すみません
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汎大陸巡徒同盟。
ヘリオルト・リソスフィアを信奉する、代表的な派閥の一つ。
――連携、協力、助け合い! この大地を生きる、全ての『生命』のために!
この世で最初に”巡徒”を名乗った人物、ガザロック・ニーブルスタチオが掲げたその言葉は、同盟に属する全ての巡徒たちが掲げるべき矜持として、今もなお語り継がれている。
汎大陸巡徒同盟――通称『ギルド』と呼ばれる組織が定めたルールは、ただ一つ。
それは生命が生まれながらに持つ自由と未来を尊重し、困難に立ち向かう者へ手を貸すこと。
見返りだけを目的とせず、ただ己が持つ正義を遂行する彼らは、多くの組織や国家から厚い信頼を得ていた。その活動内容は多岐に渡り、生命の存続が難しいような未開地の開拓を請け負うこともあれば、生活に困窮する人々の支援といった個人的な依頼を引き受けることもある。
「ご家庭のお手伝いから、神話の爪痕の調査まで!」――彼らはいわゆる大地の何でも屋として、この大陸社会での地位を確立していった。
一方で『ギルド』の活動を快くないと思っている者達も、少なからず存在する。
というより、『ギルド』ではなく巡徒を名乗る人間に対する蔑視、と言った方が正しいだろう。
こう言ってしまうのも何だが、巡徒を名乗る者達の質には非常に大きな個人差がある。
巡徒としての誇りと、崇高なる志を持つ極めて純真な人間もいれば、その一方でただ漠然と世間の流れに身を任せ、その日暮らしのことしか考えていないような、俗に言うならず者もいる。
むしろ前者は、『ギルド』という組織の中でもごく少数だけと断言してしまってもいいだろう。
だが、これも『ギルド』という組織の在り方の一つだ。
かねてから『ギルド』の門は産まれや身分を問わず、大陸を生きる全ての人間へ開かれている。
巡徒の資格を獲得するための適性審査や試験は存在するがその敷居はかなり低い。
各国の同盟支部で手続きを行えば、その日のうちに巡徒として登録されるだろう。
やろうと思えば巡徒の身分を偽称することも可能なこの仕組みは、しかし逆に言えば職も持たず路頭に迷う者達や、この大陸社会から爪弾きにされた者達にとっての最後の砦ともなっている。
このように『ギルド』は大陸社会から外れた人間たちの受け皿のような側面も持っており、何もなくなった人間の最後の希望、という認識が世間に浸透していた。
とはいえ、巡徒の身分を用いて好き勝手に振る舞う者達がいることも確かだが。
汎大陸巡徒同盟の創設のきっかけとなった初代”巡徒”、ガザロック・ニーブルスタチオ。
彼は巡徒として大陸を渡り歩いた後、余生を故郷であるオラークで静かに過ごしたという。
オラークは大陸の南方に位置する、国土の半分以上が森に覆われた緑豊かな小国だ。
晩年、彼はその地で大地の依代、『生命』の座と言葉を交わしたという。
かつてレフェルトリスと論争を繰り広げた、大地の依代、『生命』の座。
彼は鹿の形を取り、今もなお大地に芽吹く生命を見守っているという。
■
「………………生き、てる?」
胸元に圧し掛かる奇妙な重みに誘われるように、ゆっくりと意識が覚醒する。
瞼を開いて初めに見えたのは、こちらに顔を寄せながら眠るイスカの姿だった。
「イス、カ……」
「……っ!? ろ、ローレンス! 起きた、起きたっ! ローレンスぅぅう!!!」
控えめにイスカの名前を呼ぶと、彼女は途端に目を覚まし、飛び掛かるようにして俺の首に手を回してくる。寝起きの頭に響く甲高い彼女の声に思わず顔も歪んだが、それも仕方ないと悟った。
「い、生きてる、っ……! ろ、ローレンス、生きてるぅ……!」
「……そう、みたい……だな」
「ゔ、え”っ……ひぐ、っ……! よ、よかった……よかったよぉ……!」
涙で顔を歪ませながら、俺の頬に顔を押し付けてくるイスカ。そんな彼女を落ち着かせるべく、頭を撫でようと腕を上げたところで、肘の関節に点滴が繋がれていることに気が付いた。
気づけば俺の身体はベッドに横たわっていて、着ているものも病衣に変わっている。腹部に至っては包帯で締め付けられているのだろう、若干の窮屈な感覚があった。そこで初めて周囲を見渡せば、ベッドの隣にある窓以外は、全て即席のカーテンによって仕切られていることが分かる。
「ここ、は……『ギルド』の、支部か?」
「えっと……『ギルド』の、仮設病棟……流行り病の患者を、隔離してる、ところ……。た、たまたま、使ってない部屋があった、みたいで……そこに、ベッドを置いてくれたんだ、って」
ああ、そうか。
道理で巡徒同盟の支部にしては、医療設備が整っていると思った。
「……あれから……どれくらい、経った?」
「ひ、一晩中、寝てた……よ。今は、あたしたちが、カラスバ島に来た、次の日の……お昼」
……短いな。最低でも三日は昏睡していてもおかしくない損傷だったはずだ。
この回復力も、メギストスの尾による影響だろうか。今だけは感謝するべきだろう。
当の本人(?)は既に俺の体内に戻り、鳴りを潜めているが。
「イスカ、お前は? 瞳は……無事か?」
「あ……あたしは、大丈夫。なんともない……。あ、アーロンが門を開いてくれた、お陰!」
「そうか……」
イスカの瞳に植え付けられた、セレニアの翼。
それはクオンが戴くヘリオルトの赫爪と共鳴し、完全顕現する直前まで追い詰められた。
あそこでアーロンが門を開かなければ、このメノウの中心部は更地と化していただろう。
……アッシュレインといい、ここ最近はどうも翼を見たがる奴が多いように思う。
「あ、あの後、またカラスバに戻った時には、もう……ローレンスが、この病棟に運ばれた、って聞いて……ろ、ローレンス、血だらけで、包帯でぐるぐる巻きになって、て……!」
おそらくその時の不安が蘇ったのだろう。イスカはぽつぽつと話を続けながら、俺の胸元に顔を埋めていた。それを聞いていた俺も、今回の負傷が極めて重篤なものだったと思い知った。
互いの無事を確認した俺たちは、しばらく無言のまま抱擁を交わし合っていた。
イスカの行いを咎めるつもりもない。しばらくはこのままにさせておこう。
そう思った矢先、どたばたとした足音が聞こえて、カーテンが勢いよく開かれる。
『パパァーーーーーー!!!!!』
「ろ、ローレンスさま! お目ざめになりましたか!?」
果たしてカーテンの向こうから跳んできたのは、大声を上げながら荒れ狂うアーロンと、肩で息をしながら心配そうな視線を向けるナユタだった。
『生キテル! 生キテル!』
「ああ……。悪い。心配させたな、アーロン……」
『ウエ~~~ン!!』
アーロンは泣きながら――というよりは、ゴーレムらしからぬ感情の昂ぶりを見せながら、ぐるぐると俺の頭上を旋回していた。ここが病棟だということを考えると非常に迷惑極まりないが、目の前で創造主が死にかけるという場面を目の当たりにすれば、こうなるのも仕方ないだろう。
「申し訳ございません、ローレンスさま……ナユタが未熟であったばかりに、お守りできず……」
「いや……今回は仕方ない。あれが俺たちにできる最善だったと思う」
平謝りするナユタに対して、慰めの言葉を送る。むしろ彼女がイスカの撤退を補佐していなければ、俺が死ぬどころかこのメノウが滅んでいたかもしれない。
だからあれが最善だ。むしろ俺が生存したのは、奇跡と言ってもいいくらいに。
「そうとも。あんな怪物に襲われて、生きていられること自体が奇跡だ」
俺の言葉に続いたのは、低い男の声だった。
それは俺が意識を失う直前にかけられたものと同じで、妙に落ち着いた声色が印象的だった。
「どうも。祈りが届いたみたいだな、ローレンスくん?」
やがてカーテンの向こうから姿を現した声の主は、癖のある黒い長髪を首の後ろで纏めた、俺よりも二つ、三つほど年上の男だった。羽織っているのは白を基調としたジャケットで、その下には襟のある黒いシャツ。下半身は細身の黒いズボンに、同じく黒い革靴を履いている。
その装いは明らかにメノウのものではないが、しかし顔立ちはいかにもメノウの人間らしい。
だが、彼が自身を巡徒と名乗ったことを考えれば、そこに違和感はなかった。
「……よくなりました。あそこから生存できただけ、充分です」
「それはよかった。君に死なれたら、この子たちに会わせる顔がないからね」
イスカとナユタ、そしてアーロンにそれぞれ目配せをしながら、男がほんのりとした笑みを浮かべる。その雰囲気はどこか情けなさが漂っている気もしたが、逆に言えばこうした状況にもある程度慣れているようなことが伺えた。
「それで、あなたは……」
「よくぞ聞いてくれた!」
「うわっ」
俺がそう問いかけると、彼は突然その場で高らかに大きな声を上げてから、
「俺こそがおたくを助けた巡徒、メノウの頼れる兄貴分こと、フォルストお兄さんだ! こうして出会ったのも何かの縁! メノウで困ったら、迷わず俺のところに依頼をよこしてくれ!」
びしり、という擬音が浮かびそうな勢いで、フォルストと名乗る男は親指を立ててきた。
……ここが病棟であることを理解している奴は、この場に俺以外いないのだろうか。
「ね、ねえ……まさか、あんた……それ、初対面の人間、全員にしてる、わけ……?」
「もちろん。いいかいイスカお嬢ちゃん。『ギルド』は良くも悪くも出来高制なんだ。だから、こうして顔を覚えてもらうのはものすごく大事でね。でないとその日の暮らしもままならないのさ」
「巡徒のお方も大変なんですねえ……」
「ははは、それほどでも」
不機嫌、というよりは珍しく困惑するイスカと、興味深そうに頷くナユタに、フォルストは何故か得意げな笑みを浮かべていた。どうやら相当いい性格をしているらしい。
自然と冷ややかな視線を送っている俺に、フォルストが改めて向き直る。
「おたくらの事情は、このアーロンくんが視覚情報を共有してくれたお陰で知ってるよ」
『アッ、ドウモ』
「いいゴーレムじゃないか。創造者のことをよく慕っている。教育がいいんだな」
『エヒヒ』
「だが、改めて聞きたいこともある。たとえば……」
照れるような素振りを見せるアーロンを撫でながら、彼は続けて、
「第四階梯魔術師、『理外』のイスカ。どうしてあんたみたいな大物がメノウに入国してる?」
………………。
「さすがに巡徒であれば、イスカの顔も知っていますか」
「巡徒だからってよりは、俺が仕事熱心なだけさ。他にも色々と情報は仕入れていてね。五十年前に消失したはずの五人目の第四階梯、リノンがエストレア事変を経て帰還したこと、そしてこの時代は第四階梯を二人も抱える歪な時代になってしまったこともね」
そこでフォルストは、非常に珍しくばつの悪そうに視線を逸らすイスカへと目を向ける。
「イスカお嬢ちゃん。君は魔術学会エストレア支部に留まり、エストレア事変の後処理に回っている……というのが、司書連合からの公式な発表だ。だが、どうしてか君はこのメノウにいる」
「……な、何? あたしがここにいちゃ、いけないって……いうの?」
「そういう意味じゃないさ。むしろメノウへの旅行者は誰だって歓迎だ。しかし、君の連れを事情も聞かずに助けてやった俺に、少しくらいは話を聞かせてくれたっていいんじゃないか?」
声色は柔らかいが、その態度には警戒の色が強く見て取れた。何より彼は未だにアーロンを撫で続けながら、その指先はアーロンの目であり核である蒼鱗石から決して離そうとしなかった。
仮にこちらが不用意な動きをすれば、すぐに何かしらの手を打てるような位置だ。
『指ガ邪魔ナノデ、ドカシテネ』
「残念。イスカお嬢ちゃんがお話してくれるまで、もう少しこのままだ」
『イヤ~ン』
……イスカへ真正面から牽制できる人間、エンデルガスト以外にもいたんだな。
「い……イスカさまが、第四階梯魔術師……?」
果たして膠着するこの場に、はじめに言葉を落としたのはナユタだった。彼女はようやく俺たちの事情を理解したらしく、俺とイスカを交互に見まわしながら、目をぱたぱたと瞬かせている。
「なんだ、ナユタお嬢ちゃん。彼女のことを知らなかったのか?」
「は、はい……。てっきりお二人は、メノウへ家族旅行へ来られたのかと……」
「か……家族旅行なのは、本当……! ろ、ローレンスが、言ってたもん……っ! あ、あたしと、アーロンと、ローレンスの三人で……メノウで家族水入らずの時間を過ごそう、って……!」
「……そうなのか?」
そこまでのことを言ったつもりはない。こいつが過剰な勘違いをしているだけだ。
だが、こうなってしまった以上、俺たちの事情を隠し通すのも難しくなった。
何よりフォルストは俺を助けてくれた。であれば彼の言う通り、事情を説明するべきだろう。
「フォルスト」
「なんだ」
「我々の事情はお話します。ですから、アーロンを解放してください」
「嘘はないな?」
「我々も現地の人間の情報提供や協力が、可能な限り欲しい立場ですから」
やがて解放されたアーロンは、そのままイスカの腕の中へすっぽりと納まった。
「あ、アーロン……! な、何かされてない……?」
『心配ゴ無用!』
「ご……ごめん、ね? 怖かったよ……ね? ごめんね……?」
「……なるほど。愛されてるんだな、アーロンくん」
『マアネ~』
呑気に言葉を返すアーロンをよそに、フォルストへと声をかける。
「場所を変えますか?」
「そうだな。ローレンスくん、君は動けるか?」
「おそらくは」
身体の倦怠感や節々の痛みは残っているが、動けないほどじゃない。
ベッドから起き上がるために足を床へつけたところで、傍にいるナユタが点滴の繋がる台を動かしてくれた。それに手を伸ばし、支えにしながら立ち上がったところで、多少の眩暈に襲われる。
ふらついた俺の身体を、ナユタがすぐさま支えてくれた。
「ろ、ローレンスさま……ご無理はなさらず……」
「……すまない。助かる」
「もう少し時間を置こうか?」
「いえ。事態は一刻を争います。問題ありません」
自分でも無理をしているのは分かる。だが、それでも足を止めているわけにはいかない。
ヘリオルトの爪が顕現してしまった以上、もう時間は残されていないだろう。
「……はあ。まったく、そんな目をされたらこっちが悪者な気がしてくるじゃないか」
観念したようにフォルストは溜息をついて、そのまま俺たちのことを見回した。
「お三方、お腹の具合は?」
「はい! ぺこぺこです! なんでも食べられますよ!」
「ナユタお嬢ちゃんは素直でいい子だな。お二人は?」
「……まあ、昨日からあんまり……食べてない、けど……」
「丁度いい。炊き出しの仕込みが余っていてね。支部員たちの賄いを作ろうと思っていたんだ。せっかくだから、俺が腕によりをかけて作ってやるさ。もちろん無料でね」
先程の警戒心は嘘のように消え去り、フォルストは呑気にそんな提案を持ち掛けてくる。おそらくこちらが素なのだろう。その表情には朗らかな笑みが浮かんでいた。
俺としても、何か口に入れたい気分だ。点滴による栄養補給はされていたのだろうが、考えてみれば昨日の昼過ぎから今起きたこの時に至るまで、俺は何も食べていない。
なので、彼の提案を断る理由はない。ないんだが……。
「ナユタ……めちゃくちゃ食べるんだけ、ど……いい、の?」
「むしろよく食べる子は大歓迎さ。好きなだけ用意してあげよう」
「好きなだけ! 本当ですか! ありがとうございます!」
ナユタの恐ろしさを知らないフォルストは、自信満々といった様子で胸を張っていた。
止めるべきだっただろうか。いやしかし、こちらとしても彼女の食費を工面するのは……。
………………。
「では、食事にしましょうか」
「ああ是非とも! 腕によりをかけて作ろうじゃないか!」
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同日、汎大陸巡徒同盟メノウ支部、支部職員用の食堂にて。
「はくはく……はくはく……!」
「な……ナユタ……ダメ、でしょ? ローレンスのぶん、なくなっちゃう……よ?」
「申し訳ございません! ナユタは食べざかりなので! ナユタは食べざかりなので!!」
「ちょっ……ねえっ! ナユタ! おい! いい加減にしろ、っ! ナユタァ!!」
「はくはく!! はくはく!!!」
果たしてそこには、一心不乱にテーブルの上の食事を貪るナユタと、それをなんとか止めるべく彼女を羽交い締めにするイスカの姿があった。しかしナユタの食に対する姿勢は留まることを知らず、フォルストが作った料理は既に大半が彼女の胃袋に収まっている。
ちなみに本人は俺の対面に座りながら、頭を机に伏せてぶつぶつと唸っていた。
「一体なんなんだ、あの子……」
「メノウ出身の旅人で、大地の信奉者と言っていましたが」
「いやいや、そういうことじゃないだろう! あんなに食べるなんて俺は聞いてないぞ!」
がばりと顔を上げて抗議を始めるフォルストをよそに、俺はコップを傾けた。
俺の食事もマトモにとれなかったが、ナユタの食費は浮いたので良しとしよう。
「……まあいいさ。いったんここまでの話を整理してみようか」
声を荒げるのもほどほどに、彼は机の上へと視線を向ける。そこにはナユタの暴食を眺める一方で、俺がフォルストに共有した情報のメモ書きがいくつか並んでいた。
「まず、ローレンスくんとイスカお嬢ちゃん、そしてアーロンくん。おたくらの正体はメノウへの旅行者なんかじゃなく、魔術学会が派遣した秘匿調査員。その目的は六年前に壊滅したはずの黎明の解剖学者を追うこと。ここまでは相違ないね?」
「……そうなります」
「また、おたくらは同組織の首領、カルトロードによって育てられた幼馴染。おたくらの身体にはそれぞれ改造が施されていて、それぞれメギストスとセレニアの器官が植え付けられている……」
そこで彼は一度、紅茶の注がれた白いカップを傾けると、俺に視線を向けてから。
「えらく壮絶な人生を歩んでおられるようだ。大変だっただろう、ローレンスくん」
…………え?
「ああ、ええと……まあ、そうですね。色々と苦労はしましたが……」
「なんだ、やけに歯切れが悪いじゃないか。……気を悪くしたなら謝罪しよう」
「いえ、そういうわけではありません。ただ……」
……ただ、今までそうした言葉をかけられたことが一切なかったから、驚いたというか。
思えば、俺たちのことを、こうして落ち着いた場面で話すのは初めてかもしれない。メギストスの尾のことも、セレニアの翼のことも。今までは大抵、誰にも知られないよう隠し続けていた。
なので、こうして改めて身の上を話すことは新鮮だし、違和感でもあった。
「ローレンスさまの尻尾が……メギストスさまのもの……?」
ふと、ナユタが重たい表情を浮かべながら、俺とフォルストの会話へと入ってくる。見れば彼女のついていた机の上には空になった食器しか残っておらず、満足したのでこちらに混ざってきたのだろう。
「ああ。事情も話さず、驚かせてしまって悪かった」
「いえ……ただ、まさか龍の器官を宿す者が、この現世に現れるとは思いにもよらず……」
「それを言うなら、例の幽鬼だってそうじゃないか?」
ナユタの含むような言葉へ答えたのは、フォルストの方だった。
「幽鬼――本名、桃花久遠。奴の頭から生えているのは、ただのツノじゃなく、
「はい。ですから、奴が絡んでいるのはほぼ確定と言ってもいいかと」
「しかし実際、本人はカルトロードの関与を否定してる。おたくらが聞いても『そんな男は知らない』の一点張りと……。これに関してローレンスくん、君はどう捉えているのかな?」
「……演技だとは思えませんでした。本当に知らないのではないかと思います」
今になって思えば、クオンは戦いの中でもこちらの話に身を傾ける、素直を通り越して実直すぎる性格をしていた。嘘を吐けるような性格だとは思えない。
「ヘリオルトさまの爪と、メギストスさまの尾……そして、イスカさまのセレニアさまの翼……」
「三柱の龍、勢ぞろいってところだな。これを黎明の解剖学者が見逃すとは思えない」
「何より、あのクオンの反応はカルトロードにとっても計算外のものだと思います。それが致命傷なのか、軽傷なのかは分かりませんが……少なくともこの状況であれば、必ず動きを見せるはず」
さすがに俺たちがこのメノウへ入国したことまでは、奴の計算のうちだとは思えない。
腹を貫かれはしたが、結果的に見ればこの状況は俺たちにとって有利に働くはずだ。
「ですから、カルトロードを捕らえるために、まずはクオンと接触したいところです」
「だが幽鬼は神出鬼没。強者の前に現れることしか分からなかった……が」
「カザミさまにたいそう執着していることが、昨日に分かりましたね」
「そういうことだ。これはデカいぞ」
カザミ。ナユタの持っている刀を打ったという鍛冶師で、ミヤシロの跡継ぎ候補。
鍛冶師としての腕前は確かで、メノウの鍛冶師の”境地”に達するほどらしい。
だが、彼は数か月前にミヤシロの工房を去り、現在も行方不明。
妹弟子であるイオリですら、彼の足取りは掴めていないらしいが。
「カザミ……あいつがこの話の中心か」
「フォルスト、彼について何か?」
「ああ。あいつのメノウ入国を手引きしたのは、他でもないこの俺なんだ」
「え?」
フォルストから発せられたその言葉に、思わず聞き返してしまう。
「あ……あんた、その、カザミって男と、知り合いだったの?」
「偶然にもね。だいたい四年前だったか、フィールトラッセからやってきた彼は、メノウでの長期滞在を希望していてね。その時、俺が巡徒の登録を手伝ってやったのさ」
「つまり彼は巡徒だと?」
「ああ、資格自体は今も生きてるはずだ。とはいえ、巡徒は一時的な身分。元より本人も固執するつもりはなかったんだろう。しばらくしたらミヤシロの親父さんに弟子入りしたよ」
つまりカザミという男は、天空の国の出身でありながら、今は大地に根差しているらしい。
この大陸では珍しい人間だ。こうも身を置く信仰圏を変えているというのは。
「彼はメノウへ入国する目的について、何か言っていましたか?」
「なんともね。元より無口な男だったから。ただ、あちらも中々に壮絶な人生を送っていたらしくてね……自分の中にある空虚と向き合いたい、みたいな話を一度だけ聞いたことがあるくらいか」
「空虚?」
「こんな世界の端の島国へ流れてくる人間だ。何かを抱えているか、あるいは失ったか……。ま、別におかしな話でもない。ただ、鍛冶師になったのは納得できるところはある。何かを作り、誰かのためになる。そうやって自分を肯定することで、何者かになろうとしたのかもしれないな」
「……なるほど」
「あくまで俺の予想、というか彼に対する俺の願望に近いものだけれどもね」
呆れたようにそう呟いてから、フォルストは既に冷めきってしまった紅茶を一気に飲み干した。
「カザミさまとお会いすれば、全てがわかる……」
ナユタの一言に、全員が顔を見合わせる。
「そのカザミという鍛冶師が行きそうな場所に、心当たりは?」
「なんともね。俺も個人的にあいつが失踪した時、あらかた巡ってはみたんだが」
「て、手がかりらしい手掛かりは、見つからなかった……の?」
「いや、あと一つだけ行けていない場所があるんだ」
その言葉にナユタの方も心当たりがあるのか、納得したように口を開いた。
「セキレイ島ですか?」
「ああ。その反応からするに、君も行ったことはないんだろう?」
「はい。ナユタも一度、セキレイにお連れくださいとカザミさまにお願いしたことがあるのですが……『お前は勝手に海へ落ちそうでかなわん』と丁重にお断りされてしまいました……」
セキレイ島。メノウの西端にある、俺たちが訪れたサギ島と同程度の広さを持つ小島。
なぜそこへ話題が切り替わったのか、しゅんと肩をすぼめるナユタに問いかける。
「セキレイには何かあるんですか?」
「あそこは鉱物資源が豊富でな。メノウの鍛冶師はそこで、鍛造に使う鉱石を自ら採掘するんだ。もっとも、それが許されるのは鍛冶師の中でも特に優秀な腕を持つ人間だけでね」
「ですから、ナユタもカザミさまに同行を断られてしまいました……」
「あ、あんたの場合……規則とかじゃなくて、ドジなだけな気がするけど……」
どちらにせよ、セキレイの採掘場に立ち入るのは俺たちだけでは難しそうだ。
となると、ミヤシロと所縁のある人物の協力が必要になるが……。
「とにかく、セキレイの採掘場に立ち入るには、メノウの鍛冶師の許可や同伴が必要になる。その上、カザミの行方を追う……つまりミヤシロの管理する採掘区画へ赴くことを考えれば、当然ミヤシロに縁のある鍛冶師と接触する必要があるわけだ」
「ですが、今のミヤシロに鍛冶師としての資格がある人間は……」
「いないんだな、これが。現当主は流行り病に罹って隔離中。その優秀な跡継ぎ候補の男も勝手にどこかへ失踪。そもそもミヤシロの親父さんも多く弟子を取るような人間じゃないから、他の鍛冶師もいない。……冷静に考えると、今のミヤシロの鍛冶場はだいぶマズい状況じゃないか?」
「なら、管理している国に話を通すのはどうでしょうか」
「それも難しいな。伝統と祈祷を守る頭でっかちの集団だ。簡単に許可を出すとは思えない」
「あ……あたしが、その連中、ぶっとばしてこようか……?」
「お前エストレアの禁庫を襲撃したこと、一切反省していないな?」
可能か不可能かで言えば何なく可能なんだろうが、そんなことを許せるはずがない。
何よりイスカがメノウで騒ぎを起こせば、それがカルトロードの耳に入る可能性がある。
俺たちの目的はカルトロードの捜索だ。そこを見失ってはいけない。
「でしたら、イオリさまを同伴させるというのはどうでしょうか?」
そうして思考を続けていたところで、ふとナユタがそんな声をかけてくる。
「ああ、あの……生意気な、ガキ……」
「彼女も鍛冶師としての資格を持っているのか?」
「いいや、まだ見習いだよ。ただミヤシロの血縁者でなのは確かだからな。採掘自体は許可されないだろうが、ミヤシロの管理する採掘区画の点検って名目があれば、俺たちを同伴しても入場自体はできるかもしれない。……つまるところ、出たとこ勝負ってところだな」
「となると、まずはミヤシロの鍛冶場を訪ねるのがいいでしょうか」
「でも……あいつが素直に、あたしたちの言うこと、聞いてくれるかな……」
「ご心配には及びません!」
首を傾げるイスカの隣で、ナユタが胸を張りながら、
「ナユタとイオリさまは仲がいいですから! ナユタがお願いすれば、イオリさまもきっと『かわいいナユタの頼みなら、しょうがないなあ……』という具合に聞いてくださいますよ!」
むんと胸を張るナユタを見たフォルストが、こっそりと俺に耳打ちして来る。
「……ローレンスくん。彼女、いつもああなのかい……?」
「少なくとも俺たちが出会った時から、この仕上がりでした」
「なんなんだこの子……」
憂うような言葉を交わす俺たちなど露も知らず、ナユタはにんまりとした笑みを浮かべていた。
■
食事兼情報共有を終えた後、俺たちはミヤシロの工房へ向かった。
病棟を去る際、支部の医師たちからさんざん制止、というか半ば取り押さえられるような形で阻止されたが、治療を担当したフォルストの口添えもあり、手続きは滞りなく終了した。
また、回収されていた衣類と拳銃も取り戻した。拳銃は先のクオンとの戦闘で弾は切れており、持ち合わせもなかったため、これはキースに倣って他人から見える位置に吊るすことにした。
そのままふらつく身体をナユタやイスカに支えられながら、ミヤシロの工房に到着。
昨日と変わらず店番をしているイオリへ、先ほど共有した情報、そしてカザミの行方を探るべく、ミヤシロの管理する採掘区画へ案内してほしいことを、懇切丁寧にナユタが説明したのち。
「は? ヤダ」
俺たちに返ってきたイオリの第一声が、それだった。
「な…………なぜ……?」
「いやアンタはいち早く戻って寝てろよ」
自分でも思っていたより、イオリの反応に失望してしまったのだろう。
からからになった声を漏らす俺に、イオリは呆れたように答えた。
「い、イオリさま?」
「普通にイヤだし。ただでさえ流行り病と幽鬼でメノウが大変なこの時に、別の島なんて行きたくないよ。何よりこの店を開けなきゃいけないし。ウチは引きこもる」
「か……かわいいナユタの頼みなのに、ですか……?」
「アンタ、ウチにいる時だけすっげえ調子よくない?」
ひしっ、という擬音が聞こえそうなほどの勢いで抱き着くナユタを、しかしイオリは非常に冷めた目で眺めている。どうやら先にナユタが頼めば云々という都合のいい話は、単にナユタが勝手に思っていただけだったらしい。ここにいる全員がうっすらと気づいていたことではあったが。
「イオリお嬢ちゃん、カザミのことは心配じゃないのか?」
「勝手に出て行った兄弟子なんて知らない。てか、どうせまた勝手に戻ってくるでしょ」
フォルストの言葉にも、イオリはぶっきらぼうな言葉を返すだけだった。
心配していないわけではない。むしろ、カザミという男を信じているとも取れる発言だ。
ただ、今の鍛冶場の現状を考えれば、ここを離れるわけにもいかないのだろう。
しかしこちらとしても、譲れないのは確かだ。
「イオリ、どうにか協力していただけないでしょうか?」
「無理だよ。アンタみたいな重症の人間を連れて行けるような場所じゃない」
「それは、そうかもしれませんが……」
「てかアンタら、昨日幽鬼に襲われたばっかりなんでしょ? なのに、またそいつがいそうな場所に行く神経がわからん。それこそローレンス、なんでその翌日に平然と歩いてるんだよアンタ。怖いから一緒にいたくない。大人しくオヤジと一緒に寝とけって」
「それは本当にそうかもしれないんですが……」
困った。何も言い返せない。
今の俺が異常なことは分かり切っているので、イオリの意見にも同意してしまう。
「や、やっぱり……あたしが、全員ぶっとばせば……」
「…………」
再び暴動を起こしそうになるイスカに、もう最悪それで、と危うく同調しそうになったところで、ふとアーロンが。
『イオリチャーン、オネガーイ』
「ガラクタに言われてもなあ……」
『イイモノ見セテアゲルカラ!』
「へえ? 面白いじゃん。何出してくれんの」
『エットネー』
そこでアーロンは蒼鱗石を光らせ、空中に自身の視覚記録を投影しはじめた。
とても有益になるものが映っているとは思えないが、イオリが動く姿勢を見せないこの状況では、こんなものでも頼らなければいけない。固唾を飲んで見守っていたところで、はじめに見えたのは、徹夜明けのイスカが自室のソファの上でべちゃっと寝転がっている映像だった。
『ママノ寝顔ー』
「ブッサ! いらねえよこんなもん!」
『パパガ、オ料理シテルトコ』
「だからいらねえって! ストーカーの画角みてえになってるじゃん!」
『アーロンガ兄弟ト初メテ会ッタトコ』
「え? あんた兄弟いたの?」
『拗ネテルアーロンヲ、パパトママガ慰メテクレテルトコ』
「……なんで逆さまに映ってるの?」
『エストレアニイタ、アホアホ毛玉』
「もうなんなんだよ」
『ブ~モ~』
投影された映像の中では、ブモブモと喚くわたぽんの姿があった。
こいつ、日ごろからこんな適当なものしか記録していないのか?
「ダメだね。ガラクタに期待したウチが悪かった」
『アー、待ッテ! 最後ニコレダケ!』
「もう……これで最後だからね」
『アリガトネ』
付き合いがいいのか悪いのか分からないが、イオリはアーロンの最後の悪足掻きに付き合ってくれるらしい。それに応じるように、投影されていた映像が、また切り替わる。
果たして次に映し出されたのは、エストレアの遺物館の映像。
おそらく俺たちがエストレアに到着した、その日に取られたもので。
『イオリチャンハ、鍛冶屋サントイウコトデネ』
「ほうほう」
『アルバトラノ銃ノ、設計図~』
「………………は!?」
お前それ廃棄しろって言っただろ……!
なんて俺が声を上げるよりも先に、イオリが驚愕の声を漏らす。
そのまま彼女は身を乗り出し、アーロンの身体を両手で掴みながら言葉を続けた。
「アンタ何それ!? どこで手に入れたの!?」
『アウアウー』
「設計図ってことは出力できるの!? 出して! 出せっ、このガラクタ!」
『ヤメテネ! ヤメテネ!』
「あ……アーロンをいじめるな、っ!」
イオリの急な反応に見ていられなくなったのか、イスカはイオリの身体を強引に突き飛ばす。俺としてもアーロンに突っかかられたのは気になったので、アーロンと彼女の間に割り込み、改めて彼女に意図を正してみる。
「この銃の設計図に興味があるんですか?」
「興味があるとかいう話じゃない! その銃さえあれば、ウチは……!」
「……我々をセキレイの採掘場まで送り届けてくだされば、この設計図を譲ります」
「っ……!」
そこで苦渋の表情を見せたイオリは、しかしふと、誰かに声をかけられたような表情になって、
「……な、何? アンタ、日中に出てくるなんてどういうつもり?」
「イオリ?」
その異様な光景に思わず心配が勝り声をかけるが、とうの本人からの返事はない。
むしろ、ここの誰とも視線を合わせず、空中を見つめたまま言葉を重ねていく。
「こいつらが、銃の設計図を持ってきて……は、はあ? それはウチの勝手じゃん! 別にウチはアンタの言うことなんて聞く義理は……で、でも……は? え……そ、そこの、白いチビが?」
つらつらと意味不明な言葉を並べる中で、イオリは正面に立つイスカを見据えた。
そして。
「第四階梯魔術師、『理外』のイスカ……? あんたの、知り合いの……模造品?」
………………は?
「おいイオリお嬢ちゃん、大丈夫か?」
「ちょ、ちょっと……待って。ごめん、静かに……」
「イオリさま……」
「い、一度に喋らないで……! う、うるさい……」
酷い頭の痛みを訴えるような表情を見せるイオリに、俺たちはただ困惑するほかなかった。
誰かと話しているのか? だが、その相手はこの場にいる者達ではないように見える。
ただ、それ以上に奇怪だったのは、先ほどイオリが口にした言葉だった。
――――俺ですら知らないイスカの出生の秘密を、なぜ彼女が知っている?
「イスカ……?」
「…………」
イオリの言葉に、しかしイスカは何の表情も浮かべていなかった。
指先一つ動かさないまま、彼女はただ黙って、苦悶するイオリのことを見つめている。
その瞳には驚きと疑い、そしてそれ以上の何かが渦巻いた汚濁のような色が宿っていた。
「……ごめん。ちょっと取り乱した」
やがて落ち着いたらしいイオリは、しかし額に手を添えたままそう呟いた。
『ダイジョウブ?』
「大丈夫。ただの独り言だから。気にしないで」
嘘だ。今の発言が独り言なわけがあるか。
だがこの場でそれを問いただしたところで、彼女の口から答えが出るとは思えなかった。
何より、イスカは今の間で一度も、俺のほうへと視線を向けてくれなかった。
それが全てだった。これ以上のことは何もできなかった。
そして俺が何か言葉を発しようとするよりも先に、再びイオリが口を開く。
「いいよ。アンタたちをセキレイまで連れて行ってあげる」
「本当かい? しかし、なんで急に……」
「こっちにも事情があるの。それにアンタらも、セキレイへ行ければそれで文句はないでしょ? あとアーロン。さっきのアルバトラが使ってた銃の設計図、絶対よこして。いい?」
『モチローン』
「じゃ、準備してくるから。ちょっと待ってて」
そのままイオリは鍛冶屋の奥の工房へ入ろうとしたところで、ふとこちらに振り返る。
「そうだ、ローレンス。あんた、腰のそれ」
「え?」
果たして彼女の視線の先にあったのは、俺が腰に吊っているキースから譲り受けた拳銃だった。
弾を既に使い果たしたそれは、もう不意打ちには使用できないため、キースに倣い司書連合や倫理監査委員会の身分を偽れるよう、あえて第三者からの目に着く位置に吊るしている。
それに目をつけたらしいイオリは、踵を返してずかずかと俺の前にやってきて。
「貸して」
「はい……」
否応なしに銃を渡すと、彼女はそれをまじまじと観察し始めた。
「いつの時代の銃だよ……ただまあ、信頼性で言えば確かだね。弾は?」
「いえ……元々、込められていた分しか持ち合わせがなかったので」
「ふーん……」
慣れた手つきで弾倉を確認した彼女は、そのままくるくると拳銃を手の内で遊ばせる。
「いいよ。この銃に合う弾、ウチの工房で探してやる。もちろん代金はいただくけど」
「弾? ここは鍛冶場なのに、弾が置いてあるんですか?」
「……ま、お客さんになるなら、改めて自己紹介しておいた方がいいか」
そこでイオリは拳銃を弄る手を止めて、それを軽く肩に担ぐ。
「ウチは宮代鋳織。メノウで一番の銃匠を目指してる、親不孝者さ」
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この小説、腹に一物を抱えている奴が多すぎる
ヒロイン以外理性が働きすぎ