【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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お座りしてお上品かつ、ゆっくり少しずつパフェを味わうリッキー。
大好物もリンに分けてあげる、懐深い優しいリッキーに魅了されております。


11優美なる甘党

トリコやマンサムらに比べればだが、早々に腹が膨れたユキは椅子から下りてテリーの前にかがんだ。

「テリークロスはトリコに懐いてるけど、私が触ったら怒るかな?」

「どうだろうな。テリー、平気か?」

食事の合間にトリコがテリーの頭をなでて問いかければ、緩く尻尾を振った。

「大丈夫そうだぞ」

「そう?テリーはじめまして、私はユキ。トリコの家でご厄介(やっかい)になってるんだけど、仲良くしてくれるかな?」

「―――ブフゴォッ!!!」

飲んでいたジョッキを盛大に()いたマンサムに、トリコとユキは目を(みは)る。

「なんだよ所長っ!!」

「・・・びっっ・・・くりしたぁ」

「ゲッフゴッフ・・・あ、あぁスマンスマン」

(トリコが異性と同居・・・?リンのやつには・・・聞こえとらんようだな)

酒で赤くなっていた顔を青()めながら、マンサムは複雑な顔で口もとを手で(ぬぐ)った。

 

ユキは気を取り直してしゃがみ込んだままテリーの顔を見る。

(姿勢を低くするのは犬に対するファーストコンタクトの鉄則だけど・・・)

威嚇(いかく)を見せるようなら直ぐに離れるつもりだったユキだが、テリーは腰を上げて近付いてきた。

低くそっと差し出した手の匂いを()ぐテリーに、ユキは笑顔でトリコを仰ぐ。

「―――よかったなユキ!」

手の平に顔を寄せてくるテリーに嬉しくなり、ユキは顔を(ほころ)ばせる。

「ひゃあ~~~、柔らかいーーーっ。コレは寒くなると毛が増えて更にふっかふかになるのでは?!」

「どこに期待してんだよ」

気が早いユキにトリコは苦笑していた。

 

ユキは食事の最中(さなか)、リンと名乗った女性が大きな獣と一緒にパフェを食べていたのを、秘かにずっと注視していた。

「―――っ、所長さん・・・!あの翼を生やしたおっきなネコ科の動物って・・・」

ユキは意を決し、マンサムに声をかける。

「ワシのリッキーの事か?同じ空間に居るのが怖いのもわかるが、ハイアンパンサーという哺乳獣類でかなり利口だぞ?」

先のGTロボのコアアンテナを破壊したのもリッキーだと、どこか挑発的に紹介するマンサムに、ユキは(すご)みのある表情で確認を取る。

「―――・・・()でたりすることって、出来ますか?」

「え・・・・・・。・・・変わった姉ちゃんだなあ・・・・」

ユキからの想定外過ぎる質問に、マンサムは開いた口がふさがらなかった。

 

マンサムから許可を得て、ユキはキラキラとした眼差しでリッキーに突撃した。

「リッキーこんばんは~、ユキです」

パフェを食べ終えて休んでいたリッキーは、マンサムの視線で意図を察したのかユキを好意的に出迎える。

頭を上げてフスフスと鼻を鳴らすリッキーに、ユキは躊躇(ためら)うことなく手を伸ばす。

「か、かわええ~~~。短い毛並み、手触りが上品だねぇ~」

パンサーということは(ヒョウ)に近いのだろうか。

だが大きくとがった耳と、先端が細くなっている尻尾などの形状は(ヒョウ)とは異なる。

「リッキーどこ触っても平気そう・・・撫でて()いて欲しいトコとかあるかな?けど体格差的にあんまり気持ちよくないかな」

リッキーは言葉を理解する聡明さを持ち合わせ、ユキの問いかけに腹を見せて横たわる。

マンサムがリッキーの賢さを誇示(こじ)していたのも納得だ。

「なんって利発!それでいて甘え上手とか、どうしたいの~~~っ」

「別にどうもする気はないと思うけどね」

手にデザートを握ったリンが、再びユキに声をかけて来た。

「リッキーもリンと同じでビックリするほど甘党だよね。見た目が高貴なのにギャップがスゴい」

(というかこの世界のアニマル、人の食べ物と同じもの食べて平気なんだ・・・)

「ね、ねぇユキはその・・・トリコの狩りに付いて行くのって・・・トリコが目的って事は・・・」

「?・・・―――!!恋愛感情って事?いやそれはないよ」

(タダで家を間借りさせてもらってる手前、もしもそんな感情芽生(めば)えたら平身低頭(へいしんていとう)謝って、出て行かなきゃならんわ・・・)

善意で衣食住を提供している同居人相手から恋愛感情向けられるなど、その気が無ければ恐ろしい限りだろう。

「なあんだ、そっかー。でもそれじゃあ、なんで付いてくの?」

「この世界を知るには、持ってこいだからだよ」

「なにそれ」

質問に対し正直に答えたユキに、リンは首を(かし)げるばかりだった。

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