【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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イッヌの散歩で出会う他所の飼い主さんを、○○ちゃん(イッヌの名前)のお父さん、お母さんとか呼ぶ感じのノリ。


12怪しいそぶり

兄であるサニーから、リーガルマンモス捕獲完了の(しら)せを受けたというリン。

「研究所に到着するのは、明日になるみたい」

「リン、お兄さんいるんだ。いくつ離れてるの?」

ユキはリッキーに触れる手を休めることなくリンに雑談を振る。

「4つ。ウチが20歳(ハタチ)でお兄ちゃんが24。ユキ、お兄ちゃんのこと気になるの?」

「え?いやただの世間話だけど」

「まあ会った事ないしそりゃそうか。けど顔は知ってるんじゃない?好みだったりする?」

トリコの事といい、恋愛トークで盛り上がりたいのかリンは異性に関する話題に積極的だ。

「ゴメン、顔も知らない・・・」

「えぇ~~そうなのーっ?」

残念そうなリンの反応に、ユキはIGO内では有名人物なのだろうかと見当を付けた。

 

一夜明けて、皆でサニーを出迎えに行くことになった。

朝食を済ませたユキは、今朝も今朝とてリッキーを()で倒す。

「リッキー皮膜(ひまく)の翼がカッコいいけど、飛べたりするの?」

尾の付け根から、細くなる先端にかけて。

両手でがっしりと指を熊手のようにグッと押し込み()いていくユキ。

体格が大きくしっかりしたリッキーに満足してもらえるよう、じんわりと汗をかきながらマッサージする。

「お?乗せてくれるらしいぞ。良かったなぁ姉ちゃん」

体を()せて鳴くリッキーの意図を、マンサムが通訳してくれる。

「えっ、ホントにリッキー!いいの!?」

「そのままだと危ないだろうし、持ち手のある(くら)を付けるか」

食い気味のユキに、所長は安全面を考慮してくれる。

「わぁ~っ、ありがとうございます所長さん!おとーさん優しいねえ」

「おとーさんっ?!!」

リッキーに語りかけるユキの放った思わぬ呼び名に、マンサムは仰天して叫んだ。

「リッキーのおとうさんだよねーっ。・・・ハッ!思わず・・・スミマセン」

(IGOのお偉方(えらがた)だった・・・)

キャスターのティナも、ヨハネスは上の言いなりだと酒に酔ってボヤいていた。

TV取材を完全シャットアウトしていたヨハネスだが、マンサムの意向でリーガルマンモスの捕獲に関しても取材許可が下り、彼は胃を痛めている事だろう。

あの真面目な堅物を困らせているのだから相当だ。

「いや、ビックリしただけで別に構わんのだが・・・そーいや姉ちゃん、名前はユキといったか」

「あ、はい。今更ですけど完全部外者なのに昨夜からご相伴(しょうばん)にまで(あずか)って、嬉しいやら申し訳ないやらで」

「そんなに(かしこ)まらんでくれ。ヨハネスからも少し話を聞いている」

 

『トリコさんのお連れの方が2名いらっしゃるのですが、1人はホテルグルメの小松シェフ。もう1人はユキという女性の方で、最近は食材捕獲によくご一緒されているそうなのですが、素性は存じ上げず・・・』

(ヨハネスも淡々と話していたし、特に問題視はしていないようだったな)

「見たとこ美食屋や料理人、再生屋でもなさそうだが・・・」

(再生屋・・・?ってなんだろう)

気にはなったが、今は関係ないだろうとユキは自身の現状について軽く触れる。

「そうですね。今はトリコの厚意(こうい)で家に居候(いそうろう)させてもらってまして」

「っ!!そうだった、酒で忘れとった・・・!」

(リンは・・・、近くにおらんようだな)

マンサムはあたふたと周囲を見回した。

「・・・所長さん?」

(昨日からちょいちょい、おかしな様子が散見(さんけん)してるけど・・・飲み過ぎなんじゃないかな・・・)

マンサムの挙動不審を、酒浸(さけびた)りによる悪影響ではとユキは受け取っていた。

「その・・・居候(いそうろう)の件は、リンには伏せといてくれんか。リッキーに乗せる条件っつーことで」

「それは構いませんけど」

「悪いな。ほら、トリコに近付く異性には、やたら過敏な所があるからなあ」

料理の2巡目に突入しているトリコを撮影するティナに食ってかかるリンを見て、マンサムの心配ももっともだとユキは納得した。

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