【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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ここに来て別行動ですが、小松みたいにロックドラムに蹴り上げられて生きてるとか、奇跡通り越してますからね。
そこまで神がかった食運は小松の特権かなと。


15温情

『トリコに馴れ馴れしく話しかけないでほしいし』と言ってティナに体当たりし、『勝手にトリコに触んないでほしーし』と実兄(じっけい)にまで文句を飛ばすリンの事を、ユキは強火のトリコファンなのだろうと認識していた。

マンサムにも同居の件は黙っていて欲しいと言われたばかり。

 

リンが三度(みたび)ティナに突っかかっている間に、ユキはトリコに距離を詰める。

「―――トリコ。今回私、別行動してもいいかな」

「ん?なにかあんのか?」

目を丸く聞き返してくるトリコに、ユキは声を(ひそ)める。

「元居たトコの研究機関で覚えのある・・・秘術の波動?みたいなのを感じたんだよ。確かめに行きたくて」

「・・・そうか。けど1人で平気か?場所は?」

「うーん、この広大な島のどこかだとは思うんだけど・・・どう移動したものか」

北海道のおよそ6倍の面積、50万平方㎞のリーガル島。

ヨハネス(部長さん)も一般人の入島を制限してるって言ってたし、勝手に動き回るのはアウトかな」

「・・・責任者の許可が下りりゃ、いけんじゃね?」

懸念(けねん)事項(じこう)を上げるユキに、トリコはマンサムへと顔を向ける。

 

「所長さんになんて話せば・・・ただでさえ立て込んでる時に」

リーガルマンモスの件で気を揉んでいるマンサムに、ややこしい話をしていいものか考えあぐねてしまう。

「そうだなあ・・・。―――所長、ちょっといいか。ユキだけ別行動取っても問題ねえよな?」

子リーガルを抱えるマンサムの元に向かったトリコが確認を取る。

「そりゃ別に構わんが・・・1人でか?」

心配するマンサムの声に反応したように、離れた岩山の上から軽やかに下りて来たリッキーがユキの背を鼻先で軽く押した。

「!?どうしたのリッキー?」

「―――ん?随分(ずいぶん)と懐かれたなあユキ。・・・そうだ!第1ビオトープで行きたい場所があるなら、リッキーを護衛に付けよう」

マンサムの提案に、ユキは表情を明るくする。

「っ!いいんですかっ」

「他ならぬリッキーが望んどる。コイツが一緒なら下手な猛獣も寄ってこんだろうし、散歩に連れて行ってくれるならワシも願ったりだ!」

気を使わせないようリッキーの付き添いを散歩だと言い切ってくれるマンサムの優しさに、ユキは感動した。

「ありがとうございます!・・・リッキー、ありがとうね。おとーさん心根がカッコいいねえ」

互いに顔をすり寄せ合うユキとリッキーを、なにか言いたげにサニーがじろじろと見ていた。

 

「リッキーが一緒なら安心か。気を付けてな、ユキ」

「話通してくれて助かったよトリコっ。あとで合流できるといいね」

ユキの言葉を聞いて、一瞬考える素振りを見せたマンサムが声をかける。

「・・・ああ、ユキ。一度研究所に戻ってからの出発でも差し(つか)えないか?」

「?ええ、もちろん」

(リッキーの補給や休憩を挟むのかな?)

「「・・・・・・・・・」」

ユキが理由を勘違いしている一方、トリコとサニーは所長の思惑に勘付(かんづ)いていた。

(所長・・・。ユキのこと気にかけてくれてんのか?)

(ふん、所長の(わり)には繊細な配慮見せてんじゃねーか・・・)

 

 

研究所へ引き返す道中。

マンサムがリーガル島についての留意点を、ユキに話し聞かせてくれた。

「IGOは環境や気候の異なる庭―――ビオトープを世界中に保有していて、この第1ビオトープが一番広く猛獣の平均捕獲レベルも27と、8つの庭の中で最も高い危険度Aの地獄に庭だ」

「・・・虹の実を取りに行った第8ビオトープのトロルコングの群れも、逃げ出しそうな危険地帯ですね」

「加えて親リーガルちゃんが居るのは『悪魔たちの()()―――リーガル高原』。ユキが別行動を取ったのは懸命かもな。ワシのリッキーの捕獲レベルは35。そうそう危ない目には()わんだろう」

「ギャウ」

マンサムの言葉に反応して誇らしげに鳴いたリッキーに触れるユキ。

「わあーっ、リッキー強いんだねえ。・・・にしても所長さん、首ダイジョブですか?」

巨大な子リーガルを頭に乗せて運ぶマンサムの首を心配するユキだったが、軽快に笑い返される。

「心配無用!ワシもトリコ達もグルメ細胞を持っとる!」

優れた再生機能と生命力を持つ幻のグルメクラゲの万能細胞が、上手く人に結合されると超人的力を手に入れ、旨い食材を食べる程に進化・成長していくという。

「・・・だから食事で、あっという間に傷が()えたんですか」

 

「ワシは子リーガルちゃんを調理室に連れて行ってくるから、部屋でゆっくりしていてくれ」

研究所に戻ったマンサムはユキとリッキーに言い残し、地下52階の特別調理室へと向かう。

(トリコも信用しとるしリッキーも相当(なつ)いとる。心配はいらんだろうが・・・にしてもユキの目的はなんだ?トリコもあえてぼかしていた感じだが・・・)

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