「~~~なんでよりによってコイツと飛ばされたんだ」
これ以上ないほど引きつった顔で小松から距離を取ったサニーは、調理の準備を初めても一定の距離は保ったままだ。
(・・・網焼きセット・・・?)
ユキは小松の
どこで取って来たのか、大きな葉をまな板代わりにキノコを切っていく小松を観察するサニー。
「ふーん・・・なかなかいい包丁だなソレ。美しい」
「え?あぁ・・・どうも」
「お前じゃなくて包丁だぞ」
「え、えぇ。でも・・・なんか嬉しいです。自分のこと以上に」
照れながら感謝を返す小松にわざわざ指摘をする辺り、サニーは好意的な事を素直に伝えられない性分なのだろうか。
丸い網焼きに乗せられたキノコにある程度火が通ると、醤油バッタを手に取る小松。
よくよく見れば、バッタの背に黒い2~3㎝大の黒い粒が付いてる。
「え・・・なにその背中の」
「醤油バッタの醤油ですよ」
小松がバッタの背中にある球状の醤油をもぎ取り、指で
「・・・・・・・・・」
熱せられた醤油の香ばしい匂いに、ユキは頭ごと視線を余所へ向けた。
(
同じ姿形をしているが、虹の実を平然とそのまま食べられる人類は、ユキの知るヒトとは違うのではないか。
「・・・『醤油バッタ』。キモい背中に最高級の醤油を
距離は相も変わらず開いたまま、サニーが小松へ助言を送る。
「ええ・・・でも大人の醤油バッタは体長5m、ボクでは捕まえられないんで」
「ま、捕獲レベル5だしな。・・・キモいくせに」
「さっきからキモいキモい言い過ぎですよ」
(・・・出会って間もないのに小松、ハッキリ言うな。そしてアレだけ不快感を
下の
「小松、鼻の下伸びすぎてるよ」
「醤油でクリーム松茸の独特の香りに深みが増して最高じゃないですかっ。―――サニーさん、一緒に食べましょうよ」
ずっと離れたまま腕組みしてコチラを
(顔の造形整ってると、ただ見てるだけでも圧があるって言うけど、ホントだな)
「・・・小松ってコミュ
サニーの態度や雰囲気などお構いなしな小松に、ユキは思った事を口走る。
しかしキノコのクリーミーな舌触りと香りにうっとりしている小松の耳には届いていない。
焼けたキノコを素手で持って食べる小松に、料理人は熱さに強いなとユキはキノコを葉の上に乗せてもらった。
「アチチ・・・リッキーも食べよう。キノコ類は平気?あ、猫舌かな?少し冷ます?」
葉の裏から伝わる熱に気を付けながら、リッキーの前に葉を置いた。
「ギャァウ」
自然界で熱せられたものを食べる機会がない動物は、基本猫舌で熱いものが苦手だ。
ユキの知る常識がどこまで通じるのか疑問だが、リッキーは伏せをしてキノコが冷めるのを待ってるように見える。
ようやく手で持てる程度に冷めたキノコをユキが
(キノコを生で・・・どうしよう。シイタケですら、しっかり火を通さないと中毒になるのに・・・)
悪意なく差し出される生のキノコに、ユキは口もとに笑みを貼り付けたまま表情を硬くする。
「ユキさんどうぞ、おいしいですよっ」
にこにこキラキラと、
(~~~ぐっ・・・、生きろ。・・・生き抜けっ・・・私っ!!)
この先