「確かに生は、小松の言う通り数食べれそう・・・私なに食べてるんだっけ・・・?」
あまりの歯ごたえの良さに、ユキはキノコを食している事実を忘れそうになる。
小松の
「おいし過ぎてうっとりしちゃいますよねー!」
天然物の味に
(私は焼いた方の味、目の前の刺身が衝撃過ぎて
改めて火を通した方を食べれば、今度は深い香りと味わいが口の中に溶け出す。
「・・・焼いたのは濃厚でこっくりとした甘みがある・・・」
「ぎやぁ?!?」
重量のあるものが近くに落ちてきて、小松が声を上げる。
(なんなんだ、キノコはゆっくり味わえないのか・・・)
ユキが背後を振り返れば、巨大な醤油バッタがノッキングされていた。
「~~~ひっ!!?」
前置きも無く巨大昆虫と間近でご対面する事態に、ユキは声が
トリコが釣りの餌として使っていたバッタも大きかったが、崖下の水面まではかなり距離があった。
「醤油バッタの成虫だ。今捕まえた」
よりクリーム松茸に合う醤油を持つ成虫を、サニーが触覚で見付け捕獲したらしい。
「でっっっか・・・てか、虫苦手じゃなかったの・・・」
どきどきどきと早鐘を打つ心臓に手を当てながら、ユキはサニーの態度を疑問に思う。
「近くで見ると結構怖い・・・」
キノコの上にいたカエルのような生き物も、ここでは逆にバッタに捕食される側なのだろうか。
「確か小松って呼ばれてたな。・・・―――調理している時のお前は美しい」
「はァ・・・どうも」
「あ、ゴメ。今ちょっとほっぺ舐めちった」
「えっ、今・・・なにかしたんですかボクに!?」
舐めただの、なにかして欲しいのかと小松を
(・・・捕獲レベル5の虫に驚いて、今はソイツをまじまじと観察している。メディアや料理人でもないなら、なんでこんな危険区に・・・?)
パチパチと小気味いい音と共に網の上で煙を上げているのは、傘の形状が
(キノコの
傘の部分だけで手の平より大きな奇怪な見た目のキノコを前に真顔になるユキとは対照的に、食したサニーが笑顔で叫んだ。
「
「ハ・・・ハイ豊富です。ほんの少し
ずいっと小松に顔を近付けて問うサニーは、距離感がおかしい。
「コレは良い食材だ。スバラシイ」
キノコ片手に目を輝かせてはしゃぐサニーと小松。
(急に小松との距離、
不思議に思いながらも、ユキは少し冷ましたキノコをリッキーの口へと運ぶ。
「パフェの時もそうだったけど、リッキーは上品に食べるねー。育ちがいいんだろうね」
おすわりをして一口を小さく丁寧に食べ進めるリッキーに、ユキは魅了されっぱなしだった。
「サーロインキノコは塩コショウやわさび、ポン酢が合いそうです」
料理人目線で食材に合う調味料を上げる小松だが、サニーは急にキノコから視線を外す。
「―――!・・・・・・・・・」
「サニーさん?」
熱心な眼差しの先を小松が確認する前に、サニーは頭を元に戻した。
「あ、あぁ。それは調和しそうだな。・・・沼地にも美しい高級食材がわんさかあンぞ!」
食材の情報に目の色を変える小松。
「ホントですか!?スグ行きましょう!」
一方のサニーは、
(キノコより夢中だな・・・そういや、ハイアンパンサーは怖くねぇのか?捕獲レベル35だぞ・・・?)