【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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もっと互いの関係性に悶えるがいい…という想いと、早よくっつけイチャイチャしろという相反する想いが交差して…自分の中のジキルとハイドがケンカしてる。


24隔靴搔痒

隔靴(かっか)搔痒(そうよう)・・・もどかしく歯がゆい思い。靴を(へだ)てて(かゆ)きを()く。靴の上から(かゆ)い足を()くように、物事が思い通りに進まず苛立ちを覚える。確信に触れず歯がゆい。

 

 

「せ、セク、ハラ・・・」

ユキから向けられた言葉に地味にショックを受けているココだが、逆の場合だってそう判定されるだろうに。

なぜそこまで衝撃を受け、(こた)えているのか。

(にしても、目のやり場に困るなぁ・・・)

上半身裸のココに対し、全裸じゃないだけマシかとユキはなるべく視線を外す。

「―――!どうしたの?コッチ見てくれないね?―――あ、見苦しかったかな、ゴメンね」

(やめろぉーっ、罪悪感を刺激してくるのはっ!!)

洞窟の時同様、わざとしおらし()に振る舞いコチラの罪悪感を(あお)っているのかもしれない。

前回の事があった為に、ユキも簡単には(ほだ)されない。

 

(コイツ・・・もう持ち直したのか・・・)

誰のせい(おかげ)でココの立ち直りが早いのかも知らず、(あき)れ返るサニー。

(・・・つーか・・・さっきからなに見せられてんだ・・・)

食料を頬張(ほおば)りながら冷めた目を向けていたサニーは、目のやり場に困りココから顔を(そら)らしていたユキと目が合った。

(う。な、なんだ・・・?オレの顔になにかついて・・・ハッ!!)

なにか言いたそうにユキに見つめられ、サニーは(おのれ)惨状(さんじょう)を思い出す。

食材である程度回復はしたが、顔面は派手に殴られ血だらけだ。

あわあわとサニーがココに使った「もンのっっスゴイ勢いでコケた」という言い訳を口にするより先に、ユキがバックから取り出したものを差し出した。

「大判厚手のウェットティッシュならあるけど使う?タオルを濡らしてもいいけど」

「あ、あぁ・・・」

(流れるように気ぃ回された・・・)

躊躇(ためら)いがちにウェットティッシュを受け取るサニーに続き、ココも手を伸ばす。

「ボクもいいかい?―――ユキちゃんのタオル・・・」

「それまだ袋に入ったままの新品だけど」

(いっそボケに走ってねえか?この2人・・・)

 

心の内で突っ込み、きまりが悪そうにするサニーはふと自身の手首にあるものを思い出す。

「あのさぁ、コイツの事なんだけど」

「あれっ。小松に渡した水手毬(みずてまり)、サニーに移したの?」

「松が別行動になる直前に、どうやってか寄こしてきたんだよ」

小松には模様を移動できると説明していたが、思い返せばサニーが戦っていた(さい)に小松の姿は一度も映らなかった。

あの時点で既に水手毬(みずてまり)をサニーに移し、別行動を取っていたのだろう。

 

「なんなんだコレ。見たことねぇ効果・演出(エフェクト)付きで、模様だけの全くかさ張らねえ端末ってなんだ」

納得いかない様子のサニーの腕の模様を、ココも(のぞ)き込む。

「・・・エフェクト?」

サニーが触れてみせれば、模様が光り大まかな地図と現在の位置情報が映される。

「投影技術とは新しいね。IGOで開発された新しいシステムか?」

(ちげ)ぇよ」

 

気の置けないココとサニーのやり取りを前に、ユキは浮かんだ疑問を向ける。

「―――2人は顔見知りだったの?」

「「えっ」」

美食屋業関連だろうかと考えるユキの問いに、ココとサニーは一瞬己の耳を(うたが)った。

「マジか。オレらのこと知らねえの?」

「?サニーでしょ?リンのお兄さんの」

なにを聞かれているのかよく(わか)っていないユキに、サニーは念を押すように問いかける。

「・・・それだけか?」

「―――??会ったばかりで、ほぼ会話なかったしねえ?」

ずいっと顔を寄せて追及(ついきゅう)してくるサニーに、ユキは理解が(およ)ばず困惑するばかり。

 

「ユキちゃん、ボクの事は?」」

今度はココにまで確認を求められ、まごつきながら答えるユキ。

「ええっと・・・トリコの昔の知り合いで、占い師(けん)美食屋?」

「間違ってはいないけど・・・」

「トリコはなにも言ってねーのか?けど言わなくたって今の時代、知られてねーとか・・・」

顔を見合わせるココとサニーに、ユキは頭の中で疑問符が飛び交う。

「???―――あ、そういえばココの事は小松も知ってたね。その界隈(かいわい)では有名人って事だよね」

「・・・まあそうなる、かな?」

「ココ、そこは自信持てって。―――オレらのことまるで知らねーのな。世俗(せぞく)(うと)過ぎじゃね?」

「それは否定できない・・・」

「いやしろよ!ミーハー(にわか)じゃねえだけならまだ(わか)る!」

(マジでなんなんだコイツ・・・。ぁあぁ~~~モヤモヤするっ!!)

 

「ほら、ボクと初めて会った時、収監されたゼブラの話をしてただろう?アイツ含めて美食四天王と呼ばれているんだ」

「そういえば小松がそんな事言ってたような・・・?取材クルーにもそれでトリコ(から)まれて・・・」

ココの説明に、グルメ中央卸売(おろしうり)市場(いちば)で『カリスマ美食屋』と呼ばれていたのを思い出した。

「敵幹部みたいな二つ名(ネームド)だねえ」

「誰が敵幹部だっ!!」

ユキの正直な感想に、サニーが力強く叫ぶ。

四天王といえば創作では、敵側によくいる役職(ポジション)のイメージが強い。

「よく創作であるでしょ。ようやく四天王の1人を倒した主人公サイドに向かって『奴は四天王の中でも最弱・・・』みたいなテンプレートな(あお)り文句を放つっていう・・・」

(あ、しまった。この世界にはそういうの無いかもな)

「「・・・・・・・・・」」

(四天王の中で一番・・・いや、ユキちゃんの手前ハッキリ言うのは・・・)

(・・・最弱っつったら・・・トリコか)

3人はそれぞれに数秒、口を(つぐ)んだ。

 

「オレらはIGO会長に拾われて修業した、グルメ時代の顔だぞ」

IGOのビオトープに来ているのになぜ知らないんだと、サニーはますます(いぶか)る。

「今(もっと)も勢いのある若手ってこと??」

「・・・オレらのこと、歌手や俳優と勘違いしてねーか?」

真面目な顔で的外(まとはず)れな事を返すユキに、サニーは出鼻(でばな)(くじ)かれ肩を落とした。

「そういえばトリコ達は?」

日も随分と傾いてきているが、まだ合流していないのだろうか。

「マンモスん中だよ・・・」

サニーはユキのペースに翻弄(ほんろう)され、(さと)す事を諦めた。

 

 

やがてマンモスに吐き出され、トリコ達が体内から帰還した。

重症のリンをサニーが触覚で応急処置し終えたタイミングで、テリーがオブサウルスと呼ばれる猛獣と共に合流。

医療チームのヘリの音が聞こえて来たかと思えば、先頭を飛ぶキッスに誘導された子リーガルもコチラへ向かってきていた。

 

ココの毒で動きの鈍かった親マンモスは、毒が完全に切れたのか怒りを(あら)わに暴れ出す。

直後ユキは服を引っ張られたかと思うと、リッキーの背に乗せられていた。

「どぅわぁ!?・・・リッキー?え、みんなは・・・!?」

素早い判断で走り出すリッキーの背から背後を振り返れば、小松とティナはテリーが運び、リンを抱えたサニーとトリコ、ココはマンモスに踏まれまいと猛ダッシュしている。

「・・・・・・・・・」

「ギャウアウ」

心配いらないとでも言う様に鳴くリッキーの声に、ユキは夕闇が広がり始めた空を見上げた。

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