【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

30 / 45
盗賊上がりで手荒さ抜けぬ合理主義の昔のマンサム。
闘技場の対応を見るに内面の気象の荒さを隠し(きれてませんが)大人な対応してるんです、怖いですね。


29折に触れ

フルコースの件で言い争いを続けるトリコとサニーを放っておいて、各々は食事を再開する。

ユキは変わらずゆっくりと食事を進めながらも、自身のカラダが皆のように光っていない事にホッとしていた。

この世界で過ごす内に、いずれ宝石の肉(ジュエルミート)を食せば光るようになるのだろうか。

(別に光りたいとも思わんけど。・・・それよりさっきっから、ちょいちょい(けわ)しい視線をぶつけてきてやしませんかねココさぁーん??え?ただの思い違いか?)

サニーからも()る様な眼光を感じる時があり、ユキは得体のしれない焦燥(しょうそう)を抱く。

 

最終的に宝石の肉(ジュエルミート)はジャンケンという平和的解決策で、サニーのメインディッシュッシュに決まった。

(くや)しい思いは残るもののトリコは気を取り直し、研究所に戻って来てから後回しにしていた事に触れる。

「なあ・・・アイツらちょいちょい、ユキの事ガン見してね?」

テーブルに戻ったトリコが左隣のユキへ顔を寄せて、ずっと妙なココとサニーの態度について触れる。

「!!良かったぁー、私の勘違(かんちが)いじゃなかったーっ」

トリコの(げん)に、ユキはなぜか安堵(あんど)(にじ)ませる。

(やっぱユキも気付いてたのか)

()えず見ているわけではないが、事あるごとに気付かれないよう注視(ちゅうし)している。

 

「私なにか2人の(かん)(さわ)るよう事、してないよねっ?」

度重(たびかさ)なるココとサニーからの不審(ふしん)眼差(まなざ)しにさらされ、ユキは不安に()られていたようだ。

(アイツら・・・不躾(ぶしつけ)な視線でユキを怖がらせやがって・・・)

声量を落として話し合うトリコとユキ。

「やっぱココの目にはなにか見えてんじゃねーかな。どう誤魔化(ごまか)すか」

あの2人はマンサムと違い、()えて流されてはくれなそうだとトリコは頭を悩ませる。

小松もサニーに対し、ユキの事で()せている部分もあるだろう。

トリコの言葉に、ユキは言い(にく)そうに口を開く。

「実は・・・所長さんに探りを入れられてね。私がよそから来た事、話したんだ。折角(せっかく)トリコが気を()かせて伝えてくれたのにゴメンね」

「それはいいが・・・アレで(はぐ)らかせたとも思っちゃいなかったしな。けど良かったのか?」

話したのは圧をかけられた訳ではないのか、ユキの本意(ほんい)だったのかをトリコは確かめる。

 

「親切からだってわかったし、リッキーの事だって融通(ゆうずう)()かせてくれて・・・だから大丈夫かなって」

「・・・そうか」

穏やかに落ち着いて語るユキの様子に、トリコは(よぎ)った過去を飲み込んだ。

(―――昔あのおっさんに会った時、(あや)うく殺されかけたんだよなオレ。まあその頃に比べりゃ、かなり丸くなったのか・・・?)

トリコは幼少の頃に出会ったマンサムの事を思い出す。

トリコの中の悪魔を危険視して始末を考えたマンサム。

当時、盗賊上がりだったマンサムを一龍が制止した事で、トリコは(なん)を逃れた。

 

「それで、トリコと小松もやり(づら)いだろうし、ここにいるみんなにも事情を話しておこうかなって」

「俺らの事は気にすんなって。話したいなら構わねえが・・・ユキはそれでいいのか?」

ユキの提案は、トリコと小松に余計な負担をこれ以上かけまいと気にかけてものだ。

もし本心では広く事情を知られたくないのであれば、無理強いはしたくないと考えるトリコ。

「あの2人なら別に・・・あ。所長さんからトリコとの同居の件、リンには黙ってて欲しいって言われてて」

「?なんでだ?」

トリコの保護下に置かれている事実を、なぜ隠す必要があるのか。

「さあ~・・・センシティブな話題、だからかなぁ?ほら、アイドルとかに特定の相手がいたら世間の目が(きび)しい、とかあるし・・・?」

リンが強火ファンであることをトリコが自覚していないのだと誤認したユキは、考えられるふわりとした理由を告げる。

「ん-なもんか?まあ、そこ()せて伝えりゃいんじゃね?」

 

トリコがチラリと見やれば、リンは小松と味付けについての話で盛り上がっているようだ。

キャスターのティナは、肉の(まぶ)しさにカメラと悪戦(あくせん)苦闘(くとう)している。  

あの様子ではニュースネタにならないだろう。

(メディアには秘匿(ひとく)にしておいた方がいいだろう)

肉を土産に少し持たせてやると約束した手前、トリコは給仕スタッフに声をかけてティナを一足先に送り出すことにした。

「ヨハネスに俺の名前を出して、撮影用に肉を少し持ち帰れるよう手配をしてくれ。それから、オレらが下に降りるまで人払いも(たの)む」

「かしこまりました」

ティナとスタッフが屋内へと姿を消し、トリコはどう切り出したものかとグラスを(あお)った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。