【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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ドでかいマンモスの体内を『ピッカリゴケ/日光ゴケ』のように照らすジュエルミート。
恐らく常人ならば、肉眼で直視するのは不可能なのではないでしょうか。


32認識の相違

サニーの絶叫に、ユキは弾かれたように水球を見る。

「ここが体内っ?信じられない・・・なんでこんなに明るいの?」

宝石の肉(ジュエルミート)の影響だそうですよ」

小松の補足に、ユキはギシリと固まった。

「え"。どーゆうことなん・・・?」

(鏡ばりに光を反射?それともやはり発光バクテリアが体内で分布(ぶんぷ)を拡大して・・・?)

再び訪れた恐怖に、ユキは思わず自身の胃の辺りに手を置いた。

 

「まるで過去と未来を見通す水晶玉のようだね」

叫んだサニーを放置して、水手毬(みずてまり)の水球を見つめるココ。

「・・・!未来はムリかな~・・・」

サニーがなぜマンモスの中での出来事を気にしているのかユキには解らないが、このまま映すのは忍びないとココの感想に応じながら映像の時間を体内に入るより以前に戻した。

 

皆が水手毬(みずてまり)に気を取られている後方で、サニーはやり場のない感情を持て(あま)していた。

(~~~なんでよりによってユキに見られてんだ・・・っ)

サニー自身はその思考に(いた)る理由どころか、浮かんだ感情に気付いてすらいなかった。

 

水手毬(みずてまり)を使って、別世界の異なる技術を持ってると分かりやすく実演してみせたユキ。

「コレは・・・科学技術によるもの?」

「科学も魔法も突き詰めれば同じ事象に辿(たど)り着く、みたいな話は昔からあるけど―――」

ココの疑問にユキが答えかけたところで、リンが戸惑(とまど)いがちに(たず)ねる。

「・・・つまり、ユキは魔法使いって事?」

「確か―――東洋の魔術師みたいな異名もあったし、その認識で理解しやすいなら、まあそんなとこって事で」

「そんなアバウトでいいんですかっ!?」

雑な同意を返すユキに小松が突っ込めば、困ったような笑みが向けられる。

「ちゃんと話すの面倒だなって」

説明を(しぶ)ってみせるユキに、小松は裏返った大声を上げた。

「今大事なカミングアウトの最中(さいちゅう)ですよね!?」

「ふはっ、ジョーダンだよ小松」

小松の切れのある指摘に、ユキは思わず笑いを(こぼ)す。

 

「自然の力を使う超自然現象(シャーマニズ)みたいなもので、巫術(ふじゅつ)呪術(じゅじゅつ)祈祷(きとう)占術(せんじゅつ)なんかの多岐(たき)に渡る術を扱う者は巫覡(かんなぎ)と呼ばれるんだけど・・・まあ伝わりにくいから、簡潔に秘術を扱う者で術師」

ユキは水手毬(みずてまり)を収束させて模様の状態へと戻した。

「マジか・・・別世界って、パラレルワールドとかとは(ちげ)ぇの?」

サニーは己の中の()(がた)い心境を一旦(いったん)割り切り、話に加わる。

並行(へいこう)はしてないかなー。この世界、食に振り切って破天荒だし」

「見た目オレらと変わんねーな」

改めて、穴が開くほどユキの全身に目を走らせるサニーをリンが(いさ)める。

「お兄ちゃんっ、じろじろ失礼過ぎ!」

 

「けど実際問題、大気とか体に合って良かったよ」

「そういや、なんでグラサンかけてんの?」

辺りは夜だとでもサニーは言いたいのだろうが、星の光すらも遠のく光量がこの屋上には存在している。

「肉とみんなが尋常じゃなく(まばゆ)いからだよ。比喩(ひゆ)表現じゃなくて物理的に」

まさか自覚がないのかと力が抜けるユキに、トリコが(あん)じるように問う。

(ひかり)過敏(かびん)か?疲れてると症状が出やすかったりするが・・・」

体質か、個々の感じ方によるところなのか。

まさか疲れからの光線(こうせん)過敏を危惧(きぐ)されようとは。

「カメラに撮れない程の光なんだよ?充分(まぶ)しいって」

いずれにせよ、こんな状況で世界の壁を感じようとは、ユキは夢にも思わなかった。

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