【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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絵になる美、同伴、戸惑い、心配・・・アレコレ意識引っ張られて感情ごちゃついて分散していたサニーに、変化が現れてきました。


41趣旨

趣旨(しゅし)・・・狙い。目的。意図。趣意(しゅい)。考え。

 

 

「キキは、連絡手段とかあんのか?」

(―――・・・キキ?)

サニーから突然愛称(あいしょう)で呼ばれたユキは、問われた内容への返しが(わず)かに遅れた。

「・・・特にないねえ」

「マジかよ。トリコ、あいつそーゆうトコ抜けてんだよなあ・・・」

(こま)やかな部分にまで配慮を(のぞ)かせるサニーに、ユキは「お兄ちゃんだなあ」と笑みが浮かぶ。

 

(サニーが触覚で広範囲を探してくれてるなら、私はもう少し違う場所探してみるか)

「サニーの探してる範囲ってどのくらい?」

効率を考えて、(たず)ねながら離れていこうとするユキに、サニーは待ったをかける。

「・・・おい、あんま離れんな。花見っけてもキキにしか(わか)んねーかもだろ」

サニーの実際の趣旨(しゅし)は別のところにあったが、口にするのは無粋(ぶすい)だと適当な理由でユキを引き留める。

「まあ・・・」

術具の中には、目に見えても触れられないモノ。

秘術を扱う者にしか見えなかったり(わか)らないモノ。

特定の条件で発動したり、使用に際してなにかしらの制限が設けられているモノなど様々。

 

(わざわざ確認するのも手間だよね)

目星(めぼし)いモノを見付け次第、判断を(あお)ぎたいという(むね)を訴えてくるサニーに、一理あるとユキは歩みを止めた。

(でも改めて考えれば、なんでこんなところに真秀(まほ)ろばの術具があるんだろ。私と一緒に(まぎ)れ込んだにしては、場所が離れ過ぎてる・・・)

胸中をかすめた疑問にユキが没入(ぼつにゅう)する前に、サニーから(あん)じた声がかけられた。

 

「そーいや、平気か?ココに結構な圧で拒否られてたが・・・」

(・・・お兄ちゃんはドコまで世話焼きなんだ)

知り合って間もない浅い関係であるはずなのにと、ユキは面映(おもは)ゆさにしゃがみ込み、術具を探しながら答える。

「―――出会ってすぐ・・・というよりココ目線、いきなり現れた不審人物の私を警戒するのは当然というか・・・」

(ココは堅実で警戒心が強い)

ユキは言葉にしながら、ココにはそういった一面があると考える。

だがそれを踏まえても毒を持つが(ゆえ)の、過去の潜在的な恐怖が劣等感として見え隠れしているようにも感じた。

 

「小松のポジティブで、ココのトラウマはかなり払拭(ふっしょく)されたと思ったけど、あの反応・・・想像出来ないくらい辛かったんだろうなぁって」

特異な体質(ゆえ)に傷付いた過去があるのだろう。

ココの態度を見ていれば、(さっ)しは付く。

陰惨(いんさん)な経験をした過去は、相当に根深くココの中に巣食っているのだろうと、胸が詰まるような哀しみがせり上がってきたところで。

サニーの心底ドン引く態度で、ユキの内側に渦巻き始めていた感情は一瞬で霧散(むさん)した。

「いや、松はなにしたんだよ・・・。余所(よそ)でも笑顔で変なモン食わせたりしてたのか・・・?」

サニーの青い顔を前に、マッシュルームウッドでの出来事がリアルに想起(そうき)され、ユキは絶句したのだった。

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