【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

44 / 45
…え?ワイ小松に対しそんな深層心理を抱いてたの?
えっとなんかゴメンやで。他にも…なんやろ?
不屈の精神とか猛進する情熱とかね。感じてるよ?うん…。


42潜在的恐怖

嫌忌(けんき)・・・酷く嫌って避ける。非常に強い嫌悪感を持って避けたり(にく)む。()み嫌う。

 

マッシュルームウッドでの出来事は、17話『空恐ろしさ』を参照。

 

忌避(きひ)は嫌って避けること。嫌って遠ざかろうとすること。

嫌忌(けんき)は酷く嫌がること。なにかを非常に嫌う。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

小松は裏表がなく、フレンドリーで前向きだ。

屈託(くったく)のない明るさ、丁寧な物言いと物腰の柔らかさは好感を抱きやすい。

けれどココに対する容赦(ようしゃ)の無い、心理的・物理的間合(まあ)いの詰め方(しか)り。

醤油バッタへの嫌忌(けんき)の念を全身で訴えるサニーに、悪意無く笑顔でバッタを眼前に差し出す狂気性。

 

小松には(まれ)に、異質なモノと対峙した時の漠然(ばくぜん)とした言い知れなさがあるのだ。

ジワリと内に広がる緊張からか、胸元に冷気を感じた。

心臓が嫌な早さで鼓動し、口が乾く。

 

考え込んで、思い詰めた顔をしていたのだろうか。

「―――ギャゥウ?」

(うかが)うように(ひか)え目な鳴き声がユキにかけられる。

 

感情の機微(きび)を、匂いなどで感じ取ったのだろうか。

巨体に似合わぬ隠密(おんみつ)スキルを発揮(はっき)して、いつの間にか近くに居たリッキー。

「あぁ、なんでもないよーっ」

ユキは慌ててリッキーの口周りの皮膚をぐにぐにとマッサージするように動かす。

白い歯と健康的な歯茎が覗いて、ユキは息をするようにリッキーを()める。

「歯がキレイだし大きいね~。近付いて来たの、全然わかんなかったよっ」

 

やり取りを見ていたのか、上空を飛んでいたリッキーも下りてきて構って欲しそうに身を寄せてきた。

「おや可愛いコ。―――この辺かな~?キッスも付き合ってくれてありがとうねー」

2度目ともなれば互いに慣れたもの。

ずぼっと首もとに腕を差し込めば、キッスもかいて欲しい場所にユキの手が触れるよう首を(かたむ)け、気持ちよさそうに目を閉じる。

 

(えぇええっ!??!キッス!?)

少し前から成り行きを近くで見ていたココが、キッスの甘えた態度に(おの)が目を疑い思わずカラダが前に出る。

信じられないと口を開けるココの存在に、サニーは早くから気付いてた。

ココが近くに居るのを承知の上で、なに食わぬ顔でユキにココの話を振ったのだ。

 

「―――・・・なあココ。その見え見えの警戒心、なんとかならねーわけ?」

面と向かわず、(とげ)のある皮肉を放つサニー。

()えて指摘されるとは思っていなかったココが、少し言葉を詰まらせる。

「!・・・・・・みんなの態度もそうさせているんだが?実際、彼女自身得体(えたい)が知れないし」

「術の事か?懐疑(かいぎ)的になるのも分かるが、オレの触覚やお前の毒だって他人から見りゃ得体(えたい)の知れねーもんだろ」

自分達の体質を引き合いに出され、言い返す言葉も見付からない。

「・・・・・・・・・」

喉元の筋肉が引きつり難しい顔で黙り込むココに、サニーがようやく顔を向けた。

 

「お前の拒否(ソレ)は自己防衛だろ。自分が傷付かねーように、先手打ってんだ」

よそよそしさに拍車がかかり、ずっと空気をピリ付かせていたココ。

ユキの存在を用心し、人柄(ひとがら)を知ろうとせず心の距離を開いたままのココに、サニーの言葉が突き刺さる。

 

「ユキはお前の負担にならねえよう、一緒の記憶についての話題を意図して避けてたろ。同じ経験通した思い出を忘れられても、お前に配慮してんだ」

自己紹介でも最低限の内容で済ませ、トリコと小松に振られた共通の記憶についての話を、ユキはわざわざ割り込んで中断させていた。

 

「オレは気ぃ(つか)わねーぞ。今回の捕獲でお前のキキへの態度は―――あー・・・そのぉー・・・アレだ。なんつーか・・・」

サニーが苦悩し露骨(ろこつ)に言い(よど)んだ事で、ココが意趣(いしゅ)返しとばかりに口を(ゆが)めて当て(こす)る。

「・・・気遣(きづか)わないと断言した直後に、気を(つか)ってるのかサニー?」

「うっせ・・・。なにがあったか知んねーけど、コッチが言うの(はばか)られるような暴走行為で自爆してんの見てんだよ」

「え・・・。ボクが・・・?どういう事だ・・・いや待て、聞きたくない」

サニーの言葉に(きょ)を突かれ、ココは落ち着きを(うしな)う。

 

ココが挙動不審に(おちい)った事で、逆に冷静さを取り戻したサニー。

「―――忘れたお前に罪はねーが、キキへの態度は美しくねーぞ。後できっと後悔する」

真剣な横顔で忠告したサニーは話を切り上げ、意図してココとユキから離れていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。