【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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43葛藤

気勢(きせい)()がれる・・・物事を進めようとする意気込みや勢いが弱まる。予想外の出来事や相手の反応などによって、気勢(きせい)(意気込んでいた気持ち)が(くじ)かれる。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

ココに気合を入れるべく言葉をぶつけたサニーは、やれやれと後頭部をかいた。

(―――はぁ・・・。こんだけガツンと言わなきゃ、ココから距離詰めれねぇだろうしな)

ユキの存在を危惧(きぐ)するココに、ユキ自身は遠慮している節がある。

ならばココの方から歩み寄らせる必要があるとサニーは考えた。

 

ココに拒絶され、よろめいたユキを後ろから支えた時の手の平の感触。

触れたユキの肩の薄さに、サニーは少なからずココに(いきどお)りを抱いていた。

ココに迷いや葛藤(かっとう)を見て取ったサニーは、ようやく溜飲(りゅういん)を下げ、厳しい言葉で鼓舞(こぶ)したのだ。

(これで(ふる)い立たねえようなら・・・ぶっ飛ばしてやる)

サニーは場所を移した先で、術具の捜索を再開した。

 

*********

 

声は届かず、けれどコチラの様子が(かろ)うじて(うかが)える位置にまでサニーが離れたのを()に、ココは草地を大きく踏み歩く。

(心配性だな、サニー。ボクも人の事は言えないが・・・)

ココの中にモヤモヤと渦巻く、ユキへの疑念(ぎねん)

自らの態度を振り返れば、胸中で(くすぶ)っているわだかまりに気付く。

(ずっと喉元(のどもと)に重苦しいものがつっかえて、飲み下せない感覚だ。・・・彼女を知れば、多少はこの息苦しさが消えるのか?)

 

疑念(ぎねん)が晴れずスッキリしないのならば、自身で確かめる他ない。

ココは意を決して、ユキへと声をかけようとしたところで、出鼻(でばな)(くじ)かれることになる。

「バードウォッチングというか、アニマルウォッチング?したいな。なんて言うんだろ?」

(―――??!?)

草地をかき分け術具を探すユキの唐突(とうとつ)な会話内容に、ココの思考が瞬間真っ白になる。

 

「リッキー、第1の穴場スポット知ってそう」

「ギィャオァ」

肯定の返事をするリッキーに、ユキの注意を引くように「ア“ーッ」とキッスも続く。

まるでキッスがリッキーに嫉妬しているみたいじゃないかと、知らぬ間にほだされている家族にココは愕然(がくぜん)とする。

「うん?キッスも空から目ぼしい場所見付けてる感じかな?」

「ア“ァ”ーッ」

「えぇっと、教えてくれるの?って流石に都合よく解釈(かいしゃく)しすぎかな?」

よしよしとキッスを()でてからユキが捜索に戻ろうとしたところで、おずおずと声がかかる。

「―――・・・見付けたオススメの場所に、案内してくれるそうだよ」

唖然(あぜん)としながらもキッスのオーラを読み解き、ココはなんとか言葉を絞り出した。

 

「!―――ココ・・・」

話しかけられた相手がココだと気付いて、ユキは動きを止める。

美食屋業から離れ、占いを生業(なりわい)にしながらも、孤立した崖の上で世俗(せぞく)のしがらみから隠れるように隠遁(いんとん)生活をしていたココ。

明らかにユキの存在を(あや)ぶんでいたココは、そのまま距離を保ち続けると思い込んでいた。

 

「・・・許可もらえたら、キッスも一緒に回ってくれる?」

まさかココから話しかけてくるとは考えもしなかったユキは、表面上必死に取り(つくろ)った。

「リッキーも、今度はゆっくり散歩したいね」

(・・・~~~やっちゃったかぁーーー??!ココに記憶無い状態でキッスと(じゃ)れ付き過ぎた?!どど、どーしよ??え、大丈夫?疑わしきは始末っ?!待て待て落ち着けー?キッスと居たからこの機会に探りを入れに来ただけっ・・・)

引きつりそうになる表情筋を叱咤(しった)し、脳内で慌てふためくユキはそこまで考えて情緒(じょうちょ)決壊(けっかい)しそうになる。

(・・・探り!?うわ“―――っ、待ってコワいっ。ココの精悍(せいかん)な顔立ちがコワいーーーっ!!)

 

記憶が消えてからココはユキに対し、顔も態度も強張(こわば)っていた。

不用意にユキが近付こうものなら、余裕が無く混乱の只中(ただなか)にあるココはそれがより顕著(けんちょ)になる。

(ココに負担かかんないよう、なるべくソッとしてたのに向こうから来ちゃったよっ!!どーすりゃいいの??!)

 

一方のココも予想外の話に、気勢(きせい)()がれ切っていた。

「かなり、キッスに懐かれているようだ。それとさっきの・・・言うなら野生動物観察(アニマルウォッチング)でもいいし、野外調査(フィールドワーク)・・・は違うか。生物全般の観察アクティビティなら、ネイチャーウォッチンングとかかな」

「へっ?ぁ、あぁ、そうなんだ・・・?」

しどろもどろ提案するココに、ユキも気の抜けた返事を返す。

 

「「・・・・・・・・・」」

不意に訪れる沈黙に、ユキとココの心の声が(はか)らずもシンクロした。

((気まずい―――っ))

ばつの悪さに高まっていたユキの心音は一気にスローダウンしたが、2人の間にはぎこちない空気が流れていた。

 

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