ひた歩む・・・わき目も振らず、真っ直ぐに・ひたすらに進み続ける。
軋轢・・・車輪がきしる(硬いもの同士が強く擦れ合い、キシキシと音を立てる)様から、摩擦やすれ違いにより関係が悪化する。葛藤が生じ、仲が悪くなる。
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トリコと共に術具を探していた小松。
黙々と手と目を動かしながらも、グルグルと小松の中に渦巻く気がかりは、無視出来ない程に膨らんでいく。
「・・・やっぱり気になる。トリコさん、ボクちょっとユキさんとココさんの様子見てきますね」
大きくなった不安に、小松は居ても立っても居られず草むらに屈んでいた腰を上げた。
「近くに猛獣は居ねえようだが、一応周囲は警戒しろよ小松」
トリコは辺りの匂いを探り、注意を促し小松を見送った。
(ココさん、ユキさんの存在にかなり神経を使っていた。2人の関係に摩擦が起きないといいけど・・・)
ユキとココの間に決定的な亀裂が生じることを恐れる小松は、前に進む足が徐々に速くなっていく。
幸い近くに居たリッキーとキッスの巨体を目印に、小松は2人を見付けることが出来た。
(!良かった。2人だけで話をするくらいには、溝が埋まって―――・・・!!?)
すぐに見付かった事に、小松が胸を撫で下ろした直後。
『存在を抹消』だの『猛獣に襲われ―――事故死扱い』だのと物騒な会話が聞こえてきて、血の気が引いた小松のカラダは硬直してしまった。
(なんて事言うんですかココさーーんっ!!?)
ユキが気を配りブラックジョークを窘めても、尚も真剣だと揺さぶりをかけるココに、小松は開いた口が塞がらない。
(ユキさんの言う通りですよっ、誤解しか生みません!なんで自分で自分の首を絞めるような事、言っちゃうんですかあぁっ・・・!!)
小松の中で、なにごとにもスマートに対応しているイメージのココが、ユキを相手に自ら状況を悪化させていく。
ココの不可解な言動に、ユキがキッスに助言を求めるのを見て、小松は頭を抱えた。
(もう!変な方向でギクシャクしちゃってるじゃないですかっ)
他者との円滑なコミュニケーションに関する講座を受講させた方がいいのではないか、講師は?と小松の心配事があらぬ方向にシフトしていく。
以前トリコから聞かされた過去があるとはいえ、ココの対人関係のスキルが全面的にあまりにもポンコツだ。
このまま平行線を辿るかと思われた会話に小松が嘆いていると、ユキの真っ当な考えが聞こえて来た。
(!『戒め』・・・つまりこの場所への忠告やアドバイス・・・?そうか、そんな解釈が―――って、やっぱりムリがありますよココさん!!)
ユキがココの人柄を知っていなければ、決して肯定的に捉えてなどもらえない、致命的な発言だったのは間違いない。
ユキの前向きな解釈に助けられたが、自滅の道を着実に歩むココをどうにかして止めなければと意を決する小松。
だがココの意味不明な発言に引っ張られたのか、ユキまでもが訳の分からない事を言い始めて小松の出鼻をも挫いてくる。
(敵に言い放つってなんですかっ。言われてるのユキさんですよ!?)
ユキとココのかけ合いを見守る小松は、ツッコミに忙しい。
冷や冷やハラハラと気を揉み過ぎた小松は、一周回って虚無感に陥る。
(はぁ~~~・・・2人の軋轢とか気にするの、取り越し苦労かも・・・)
脱力した小松が影を落としていると、少しずつ場の状況が好転してきた。
(え、アレ?なんだか、いい雰囲気に・・・。『魅了』ってユキさん、つまりココさんに惹かれて・・・?)
こうであればいいなという、都合よく曲解した拡大解釈である。
恋の予感を期待して胸をときめかせる小松は、ユキとココの関係にじらされ渇望するあまり、目の前の事実を曇らせ始めていた。