オリ主と小松、お前らのことやぞ。
フグ鯨の産卵場所がある洞窟の入り口前には、多くの美食屋の姿があった。
「生還率0.1%と言われるこの洞窟に、末端相場価格5億のフグ鯨を捕獲しようと美食屋たちが入っていきます」
なぜか1人でやって来ているテレビリポーターの声を聞き、ユキは改めて洞窟に目を向ける。
「思ってたよりずっと大きい入り口・・・まるで魔物の口みたい・・・」
「なぜキミは捕獲について来ようと?」
まだ入り口手前で
「・・・
「ぁ、ああ・・・。ヨロシク、ユキちゃん」
(この世界を知りたい・・・?地質学者や地生物学者?)
トリコの存在に気付いたテレビリポーターがコチラに駆けてくる。
向けられるカメラを強く拒否するココは、メディアが苦手なのか。
「ティナさん、また一人で撮影ですか?」
小松の言葉に、そういえば虹の実の時にビオトープに無断で侵入していたのは彼女だったなと思い出す。
辺りには不穏な空気が立ち込めていると小松は身を
洞窟周辺に腰を
(盗賊に殺し屋もいるな・・・)
美食屋が捕獲したフグ鯨を横取りしようとしている連中だとトリコは言う。
「なんて治安の悪さなの・・・っ」
(・・・こういった雰囲気や場所には、
「洞窟から戻れても危険なんですねー」
小松は
(ほぼ全員に死相が見える・・・)
ココの表情が
(また
「ひえ~~~~やっぱりこわいーーーっ!!!」
洞窟の入り口に立ち、叫ぶ小松の声が反響する。
(・・・恐怖が増すからやめてほしい)
(この洞窟にいるなにかに、命を取られるというのか)
恐怖をかき立ててくる小松に内心で
「幻の魚、フグ鯨。この私がフグ鯨の美味しいニュースを世界に教えてあげるの。だから私も一緒に行くわ!」
力強く宣言するティナにトリコは「付いてきたいんなら好きにしろ」と了承した。
先程の恐怖もどこへやら。
撮影照明にも使える高性能タイプのヘッドランプを付けた小松は、意気
「ああ、小松くん。ボクから絶対離れないようにね」
「はい。あ、ポキポキキノコだぁー!」
ココへの返事と同時に走り出す小松に、トリコもすぐ後を追った。
「ココさーん、ユキさーん、ここいっぱい生えてますよーっ」
「・・・だから、離れるなって」
悪気がない分
ココは小さく突っ込んだ。
「舌の
ユキはキノコの外観に不安を覚えながらも、ココがなぜ小松にだけ声をかけたのか気になった。
(どうして小松にだけ注意を・・・もしかしてココ、女性嫌い?)
「?今なにか、おかしなこと考えなかった?」
「え、なにそれ第六感?」
ココに考えていたことが伝わったのだろうかとユキはドキリとした。
「その、なんで小松にだけ離れるなって・・・ハッ、まさか―――」
「違うからね?」
「まだなにも言ってない。・・・ココはメディアだけじゃなく女性も苦手とか?」
「?いや、ボクはどちらかというと―――」
キノコにカメラを向けていたティナの叫び声に、話を
どうやら洞窟の奥から現れた3人組に驚いたようだ。
更に3人組を追って、巨大ヤスデが現れる。
ヤスデから逃走を図る3人組と、奥から生還した3人から話を聞こうとするティナも出口の方に走って行ってしまう。
「一緒に出て行ったけど、撮影は良かったのかな」
「元気だなぁ~」
ユキとトリコは
広々とした入り口に比べ、進む通路が
スタスタと先頭を歩くココは、通常人の目には見えない赤外線から弱い紫外線までが見え、人の電磁波を
穴の奥に
(高性能な
ユキは自身を
「それで町に現れた猛獣に、襲われなかったんだ・・・」
クエンドンに襲われなかった理由に、ようやく合点がいったユキ。
「今では、ボクは毒人間。フフ・・・品がない
「―――っ!!・・・・・・っ!」
ココの発言に、ユキは目元が一気に熱くなった。
「・・・さぁ、行こうか」
自身を
「ココ、手ぇかして」
「手?」
左手の平をくるりと上向けて差し出したココの手を、ユキは両手で握った。
「っ?!なにを―――」
「手をかりたの。暗いしでっかい虫いるし、怖くて」
「で、でも、ボクには毒が・・」
ユキは握る手に、更にぎゅっと力を込める。
「―――私は、ココの毒に救ってもらったよ。改めて、あの時は
「―――・・・っ?!!」
真っすぐなユキの目と言葉に、ココはなにも言えなくなってしまった。
少し先に進んでしまったココとユキの様子には気付かず、小松は暗闇を心配そうに見つめていた。
「ココさん、なんだか少し
トリコは小松に、血清を作ろうと科学者に追われたり、第一級危険生物として隔離されそうなったココの過去について話す。
「だから・・・カメラを嫌がったのか」
「トリコ!100m程真下に向かって巨大な穴が広がっている」
後ろの2人にココが叫んで呼びかける。
「危ないから、少し後ろに下がって。・・・ありがとう」
ココは崖から落ちないようユキを後ろに誘導し、空いていた右手でやんわりと握っていた手を
ココは体に巻き付けていたケービングロープを
細いロープを心配する小松に、トリコは岩に杭を打ち込みながら炭素繊維を配合したワイヤーロープで100人ぶら下がっても切れないと説明する。
「
どう考えても軽そうには聞こえないとユキはトリコに確認する。
「炭素繊維は鉄の約1/4の重さだぞ?ココが用意したのは作業用クレーンの
おっかなびっくり尋ねるユキに、トリコが平然と答える。
「絶対重いヤツじゃん・・・っ」
「目が利くから、ボクが先に降りるよ」
「じゃあボク、ココさんと降ります!いいですよね?」
返事を聞く前に小松はココの背中に飛び乗った。
「わっ、あ・・・ちょっと小松くん。っボクには毒が・・・」
「人間毒があるくらいが好まれますよ、行きましょう!」
(恐怖心はないのか・・・。いや・・・これは小松くんの純粋な優しさ・・・)
少しの
「~~~小松っ、なんて
あわわわわとユキは、小松の距離の詰め方に恐怖で
長い
2人の後を、ロープを伝ってトリコが続く。
ロープを握る手に意味はあるのかという猛スピード。
ほとんど手を
「ぃぎゃぁーーーっ、もっとゆっくり降りてーーーっ」
「なにか・・・来る。トリコぉ!」
「ああ、一気に降りるぞ!」
「ま、まさか・・・トリコ待っ・・・ぃぃやぁーーーっ」
「はあ・・・はぁ・・・もう、落下じゃん。ココのが前半だけはそっと降りてってたけど、後半絶叫マシンなのは一緒って・・・」
暗い中での自由落下は恐ろしかったと、肩で息を切らせるユキ。
息つく
小松を探しに行こうにも、今度は捕獲レベル21の爬虫獣類デビル
「ヤツはボクが引き受ける。トリコはその間に、小松くんを探しに行ってくれ」
「小松は自分の意志でついてきたんだ。ここが危険区域だと理解しているし、万が一の状況も覚悟している」
毎回きちんと遺書を残してきているから心配するなとトリコは付け加えるが、それは無茶な話だ。
「でも・・・っ、小松くんは・・・」
「それよりデビル
「―――いいや」
「みろ。お前1人じゃ持て
(ココは洞窟に入った時からずっと小松を気にかけていた。今も、なにか大事なことを言い
ユキは出会ってからずっと、ココの態度が気がかりだった。
クエンドンから
(どうする?私1人で探しに行って、小松を見付けられる?また合流できるの?)
ユキはここまで術を使って視界を保っていた。
(‵
小松はヘッドライトで、トリコもここまで特に問題なく進んできた。
ここに来て暗闇で苦戦を強いられるトリコらに、術を
視界が限られるトリコが力を溜め、その間ココが動きを封じる作戦に出た2人。
蛇科の生き物が持つ
「っ、ココ!」
「ココ、お前はデビル
「ああ・・・持ってない。だが・・・ないなら作ればいい」
ココの体が淡い光を発しているのを、‵
「!!この・・・短時間で!?・・・すごい」
打ち込まれている毒針から抗体と毒を逆流させたココ。
毒で完全に動きが封じられ、釘パンチでデビル
「そんな場合じゃなくない?!」
下手をすれば2人とも命が危なかったとユキは突っ込む。
だが毒の威力を下げている為、300℃以上の加熱で毒は分解されると話すココ。
「お前のためだぞトリコ・・・。最初から致死性の猛毒をくらわせておけば、勝負は簡単についたんだ」
(いやいやいや、
本来なら、即効で
おそらくココは、『殺したら食う』というトリコの信条を理解しての行動だったのだろうが・・・。
いや、言葉のニュアンス的に本当に、トリコが食べたいだろうから食える状態で仕留めたという事実が、大部分を占めそうな気がしてきたユキ。
だがなにも出来なかった手前、ユキは押し黙る。
(なんだか、小松を追っちゃいけない気がしたんだよね・・・)
秘術を扱う者の中には、直感に優れている者が存在する。
強い力を持つ者ほど第六感が働き、その感は予見や予知のように当たるのだ。
(小松を追おうとした時、足が縫い付けらたように動けなくなった)
後を追えば、自身が
(―――小松・・・)
手に震えを覚え、ユキは広い洞窟内へ視線を