【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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52求めるもの

忸怩(じくじ)・・・自分の言動・行為の(いた)らなさや失敗を心の中で深く恥じ入る。「過去の非礼に忸怩(じくじ)する」

忸怩(じくじ)たる思い・・・深く恥じ入る気持ち。恥じ入るような思い。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

腕で払ってもなにも見えない、深い濃霧(のうむ)の中にいるようだった。

周囲の反応、ユキへの疑い。

気味の悪い現状にココは不安と居心地の悪さを抱え、見通しの()かない中で明確な答えを探し求めていた。

 

ココの手の中で移り変わる色彩。

(いの)るように花に寄せた(ひたい)から、全身に潤《うるお》いが広がる。

新鮮な血流が脳を巡るように視界がクリアに開け、鼻腔《びくう》を抜ける空気すら(さわ)やかに心地いい。

自身がどこに立っているのか、晴れてスッキリとした頭で理解する。

 

ややあって見付けた花を手に、ココは一目散(いちもくさん)に駆け出す。

向かう先のユキを思えば、走りながら己の不甲斐(ふがい)なさに忸怩(じくじ)たる思いが込み上げてきた。

(けどそれ以上に―――)

 

草地を急ぎ駆けてくる足音に気付いたユキは、探す手を止めカラダを起こす。

 

(~~~どうしよう、ものスゴく・・・)

ココは身の内に湧き上がる衝動(しょうどう)を制御できなかった。

(ぎゅって、抱きしめたい・・・っ!!)

 

()()ぐ近付いてくる音の発生源が誰なのかをユキが確認する前に、振り向いた視界を大きな影があっという間に埋めた。

「―――ぐはあっ??!」

次いでユキに襲いかかったのは、衝撃と圧迫感。

 

ユキは巨大な草食獣にタックルされ、吹っ飛ばされたのかと思ったが違った。

相手は動物でもなく、吹っ飛ばされてもいない。

衝撃は確かに感じたが、痛みは無かった。

(い・・・生きてる・・・)

遅れてやって来た驚きが、祭囃子(まつりばやし)の鐘の音のように、ユキの心臓を繰り返し打ち鳴らす。

 

「ボクは未熟で・・・ユキちゃんを傷付けてしまったっ」

頭上から降って来る声を聞いて、ユキの視界を埋めていたものの正体を知る。

(こ、ココか・・・心臓、飛び出すかと思った・・・)

(あせ)りと安堵(あんど)一気(いっき)に押し寄せ、抱きしめられている状況にまで気が回らない。

 

花を手に走って来たココは勢いのままユキに突進し、カラダに腕を回してぎゅうぎゅうと締め付ける。

一応の加減はされているのか、痛みは無いが回されている腕に力が入っているのが筋肉のこわばりで伝わってくる。

((おも)っきし圧迫感が・・・)

動けないので実質、拘束されていると言っていい状況にユキは息苦しさを覚える。

 

「~~~忘れてた間、ボクはキミに最低な態度だった・・・っ」

痛切な声音で訴えてくるココに、ユキも切実に願わずにはいられない。

「お、おち、落ち着け・・・。頼むから自分のガタイ、認識、して・・・っ」

ユキは(なだ)めるように、(かろ)うじて動く手の甲でペシペシとココを軽く叩いて解放を求めた。

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