【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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ボケとツッコミをありがとうサニー。
天然なみんなのコミカルなかけ合いがトリコは楽しいんですよね。


53反動

溜飲(りゅういん)(/留飲(りゅういん))が下がる・・・心のモヤモヤや怒りを失くして気分を爽やかにする。胸のつかえとなっていたことがなくなり、すっきりする。

 

慙愧(ざんき)・・・自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること。犯した罪や過ちを心の中で恥じ入り嫌悪する。

慙愧(ざんき)(の念)に堪えない・・・自分の行為を恥じ、悔やむ気持ちが耐え難いほど。心から恥じる気持ちが隠し切れない。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

記憶が戻った直後のココは、自分の中に(あふ)れる感情の(うず)に飲まれ、ユキの声が耳に入らない。

「~~~キミを前に怖気(おじけ)付いて、情けないばかりだ」

「待ってなんの・・・話。と、とりま離して・・・もらって・・・っ。って聞いてない。誰かぁ~・・・」

今の状態のココには話が通じないと判断したユキは、首を巡らせようにもガッチリとホールドされている。

か細い声でユキが助けを呼びかければ、リッキーが止めるようにココの襟首(えりくび)()んで軽く引っ張る。

キッスもソワソワと2人の周りを跳ねて、どうしたものかと悩んでいるようだ。

 

遠目に様子を(うかが)っていたサニーも駆け付けた。

「~~~ちょ、お前っ、なにしてんだココ!キキを()め殺す気か?!」

訳の分からぬ事態を前に、サニーの放ったとんでもない内容がユキを(おび)えさせる。

(え"!?なにソレおっかない・・・っ!!)

 

サニーの登場により、ようやく少し落ち着きを取り戻したココが、足先が浮いて宙吊(ちゅうづ)り状態だったユキを地面に降ろす。

「―――ああゴメンっ。・・・平気(へいき)?ユキちゃん」

「はは・・・は」

(サニーが来てくれなかったら、感情がヒートアップしてマジで危なかったのでは・・・?)

 

よろめくユキの両肩を後ろから受け止めたサニーが、ココを()め付ける。

「この状況も既視感(デジャヴ)なんだが・・・、なんでお前はそう極端(きょくたん)なんだよ。忘れても思い出しても」

(思い返せば、ココの様子が豹変(ひょうへん)した直後も、サニーが支えてくれてたっけ)

ユキはふらついていたカラダと思考で、現状を少しずつ理解し始める。

「ん?ココ・・・記憶戻ったの!?」

ココに衝突(しょうとつ)される勢いで突撃され、圧迫感の強い抱擁(ほうよう)翻弄(ほんろう)されていたユキは、(さまた)げられていた正常な思考が戻って来る。

 

「コイツ、キキの事ずっと名前で呼んでなかったろ」

サニーの指摘に「言われてみれば・・・」なんて感想はユキの中に浮かんでこない。

「―――・・・そうだっけ・・・?」

回想(かいそう)を試みるも、失敗に終わったユキは眉間(みけん)を寄せて聞き返す。

「キキ本人が自覚してなかったか・・・」

ユキの返答に、サニーは肩の力が抜けた。

 

「恥ずかしい(かぎ)りだよ。ボクはずっと勘繰(かんぐ)るばかりで、キミの人柄を理解しようとしていなかった」

ユキの名前を呼べなかった事も含めて、慙愧(ざんき)の念に()えないと謝罪するココにサニーは溜飲(りゅういん)を下げ、(にぎ)られていた花へと視線を落とす。

「・・・・・・・・・。―――ソレがワスレナグサか」

 

「私、怪しいモノ見付けたら呼んで欲しいって言ったよね・・・?」

「・・・っ、ゴメンね」

納得いかないユキに、ココは後ろめたさを抱く。

「けどんな(ちい)せぇ花、よく見付けられたな」

(くま)なく辺りを捜索していたサニーの言葉に、ココは自論を話す。

「草原で‵忘れな(ぐさ)′を見付けられたのは、‵忘れ(ぐさ)′を発動させてしまったボクの思いが引き金になっていたのかもしれない」

「思い?」

どういう意味だとサニーが先を(うなが)す様に繰り返す。

 

「ユキちゃんと話して、ボクが記憶を取り戻したいと(のぞ)んだ直後に、花が光を放ったんだ」

ココの話に、サニーとユキは改めて色が(うつ)ろい続ける花に視線を向けた。

「ほお~」

「そんな隠し要素が・・・」

ユキが花に手をかざして術具の(あつか)い方を調べていると、ココは自分の中で発見があったと話す。

「『求めなければ見付からない』とはよく言ったものだよ。記憶を失くして改めて気付いたんだ。ボクにトラウマという過去の傷があったのは、キミという光が射し込む為だったんじゃないかって―――」

突然なにやら語り出したココを、複雑な顔で見つめるユキとサニー。

「??―――詩人かな・・・?」

「・・・急にどうした?」

発言に付いて行けずに戸惑(とまど)う2人を放置して、更にココは続ける。

「ユキちゃんの言葉が、冷えて固まっていたカラダを()きほぐすように、ボクの中にじんわりと染み渡っていったんだ・・・」

 

「記憶戻った・・・反動による、副作用とかかな?」

「はっ?!戻ってんなおかしくなんのっ!?」

ユキはココの見つけた術具に、付随(ふずい)していた取り扱い説明(マニュアル)に目を走らせる。

「えーっと『一時的な記憶の混乱』・・・コレかな?時間経過で落ち着いてくるみたい」

 

記憶を取り戻す反動に一抹(いちまつ)の不安を覚えるサニー。

「なんか()えーが・・・1人()ってるココは放っといて、トリコ達呼んでさっさと記憶戻すか」

「そだね」

ココの事は、()って戯言(たわごと)を口走っている酩酊(めいてい)者として、スルーを決め込む事にしたサニーとユキ。

「キッス。みんな探して呼んできてくれるか」

「ア"ア"ー」

サニーの呼びかけに一声鳴いて飛び立つキッスを見送れば、ふと冷静になったココが気になっていた事に触れる。

「―――リッキー・・・そろそろ、離してくれてもいいんじゃないかな?」

「ググゥウ"ゥ~・・・」

ずっとココの襟首(えりくび)(くわ)えたままのリッキーが、まだ信用ならないと主張するように(うな)っていた。

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