【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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小松はツッコミに適しているので、大変重宝します。


55雲散霧消

雲散霧消(うんさんむしょう)/雲消霧散(うんしょうむさん)・・・雲や(きり)が風や日光によって散ったり消えるように、そこにあった跡形(けいせき)すらも消え失せること。

 

愁眉(しゅうび)を開く・・・心配事が消えて安心した晴れやかな顔つきになる。悲しみや心配がなくなり安心する。

愁眉(しゅうび)」は憂いを孕んだ眉。心配し、しかめていた眉を開く意から。

 

26話『二の矢が継げず』で、ユキは問題があった事をトリコに話そうとしていました。

連絡手段について触れているのは41話『趣旨』を参照。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

忘れな(ぐさ)によって、記憶を取り戻したトリコ達の心拍が跳ね上がった。

「うぉっ!?この味のインパクト忘れるとか、やべぇ道具だな・・・っ。虹の実思い出したら、よだれが(あふ)れてきやがる」

口元を(ぬぐ)うトリコに、リンが顔を赤らめる。

「ウチも虹の実食べてみたーいっ!でもトリコとのココマヨの記憶も幸せ~」

ココアマヨネーズで黒草(くろぐさ)をトリコと共に食した記憶が想起(そうき)されたリンは思わず両頬に手を()える。

「トリコさんの狩りを思い出したら、勝手に手足(ふる)えてくるんですけど・・・」

四肢を大きく広げて、自身の体の変化に目を(みは)る小松。

 

サニーは3人の様子を観察しながら、ココだけがやはり異常だと眉をひそめていた。

(オレも完美(かんび)大理石の回収は行くとして・・・、やっぱ記憶戻す弊害(へいがい)謎過ぎね?!調子が変なのはココだけ―――いや、もしかして()か・・・?)

 

*********

 

記憶が(よみが)った事で、昨日トリコに話しかけた面倒事の内容も思い出したユキは、研究所へ戻る道すがら皆に協力を求めた。

「今回みたいに他にも術具が(まぎ)れ込んでるかもしれないから、また妙な出来事やおかしなモノの情報があったら教えて欲しいんだけど―――」

「けどよ、道具が見付かったのは第1ビオトープ内・・・。ユキが居た場所からかなり離れてるじゃねえか?」

トリコの指摘に、ユキもそこが問題だと困った様子で同意する。

「昨日トリコに言いかけた面倒事も、そこなんだよね。私がコッチに来た時に飛び散ったのか・・・」

広範囲に術具が散らばっていたとしたら、探し出すのは困難だと難色(なんしょく)を示すユキにリンが問う。

「お安い御用(ごよう)だけど、どうやって連絡すんの?」

 

事前にユキから連絡手段を持っていないと聞いていたサニーが、単刀直入に核心に迫る。

「どこ住んでんだよ?」

世間話のような軽さで尋ねるサニーに、代わりに答えたのはトリコだった。

「ユキにとって会ったばっかの野郎(ヤロウ)に、簡単に教えるかよ。しばらく連絡はオレ経由だな」

トリコの(げん)に小松は笑みを引きつらせた。

(状況が状況とは言え・・・ユキさんは会ったばかりのトリコさんに付いて行こうとしたんだよなあ・・・)

 

保護者として前に出るトリコに、リンがユキの立場を(うらや)む。

「いいな~。ウチもトリコに保護されたーいっ」

「リンさん、それだと保護者(わく)から進展しないのでは?」

小松からの助言に、言われて見れば確かにそうだと気付くリン。

「あっ、そっか。けど正直(あこが)れるし」

 

「まあ・・・防犯意識は大事だな」

意外にもすんなりと折れるサニーに、ココから賛同(さんどう)の声が上がる。

「もっと言ってくれないかサニー。トリコではなく、ユキちゃん自身に」

住んでいる場所をトリコが(にご)してくれた事に愁眉(しゅうび)を開き、肩から腕を弛緩させて歩いていたユキは、急にココに話を振られて目を丸した。

 

「フグ鯨の時も思ったけど、ユキちゃん危険な場所とかほぼ無縁(むえん)だよね?なのによくボクとクエンドンの前に飛び出したよね」

(ハッ!ユキさんがココさんからのチクチクした毒舌にあっている・・・っ!)

ココからの『全く()りていない』発言に身に覚えのある小松が素早く反応した。

「ホントにね。人間咄嗟(とっさ)の行動って、自分でも頭の中にハテナが飛び()うよ」

対するユキ本人には、向けられた言葉の真意が伝わっていない。

(ユキさんっ、ココさんのチクリとした物言いに気付いてない!くっ、ココさんの柔らかい雰囲気と口調がいけないっ!!)

小松はココの皮肉がユキに届いていない事に、安堵(あんど)すべきなのか(なげ)くべきなのか、気持ちが二分(にぶん)する。

 

「んな無鉄砲な事してたのかっ」

(サニーさんにまで忠告を受けているっ。どうしよう、ボクがなにか言っても一緒にお説教コースだ)

「~~~トリコさんっ」

小松は(あらが)(すべ)を持たない立場として、トリコにストッパー役を期待する。

「お2人を止めて下さい!」

「ん?なんで。アイツ等の指摘はユキを思ってのもんだろ」

「そうですけど~~~っ」

気が気でない小松の横で、身に覚えがあるのかリンが遠い目をした。

「・・・ああなると、お兄ちゃんもココもコワいし」

 

ユキに詰め寄り、端正(たんせい)な顔に渋面(じゅうめん)を貼り付けるサニー。

「人にず~~~っと心配させといて」

サニーの口から出た言葉に、小松の(あせ)りがぴたりと止まる。

(―――!心配してたのか・・・)

マンモスの体内で別れるまで、第1ビオトープでサニーと行動を共にしていた小松。

サニーは取り()ました態度の裏で、その(じつ)別行動のユキをずっと気にかけていた事実に、小松は静かに衝撃を受けていた。

 

白い森林(ホワイトフォレスト)には行ってないよ?」

サニーの忠告は覚えていると答えるユキ。

「だとしてもだ。大体、(ろく)に力も()ぇのに、他人気にしてどーする」

ここぞとばかりに()まっていた小言(こごと)を向けるサニーを、打って変わって小松は生暖(なまあたた)かい眼差しで見守る。

(・・・サニーさんの言う力って、ユキさんの術を操る(たぐ)いものじゃなくて、単純に身体能力(フィジカル)系の力なんだろうなあ)

「――――――?なんかさっきっから妙な視線向けてきてねーか松?」

「いいえ、別になにも・・・っ」

サニーの勘繰(かんぐ)るような視線に、小松は咄嗟(とっさ)に取り(つくろ)った裏でほっこりとしていた。

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