【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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いやなんで先にリンと食材探しに行っとんでしょうねえ。
今さらですが。
アイスクリームの山脈はアニメ3話冒頭のナレーション「誰かが言った」ネタです。



64違和感

寒心(かんしん)に堪(た)えない・・・恐れや不安の念でゾッとする。心が恐れおののく。憂慮する。

 

連絡手段のくだりは41話『趣旨』を参照。

 

シリアスで終わりそうだったから最後付け加えたった!

ワイにシリアスは向かないっ!!

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

幻のアイスクリーム山脈の発見を、ヨハネスから大いに感謝された。

「見付けたのはリンで―――」

恐縮するユキに、成果への対価は支払う義務があるとリンが続ける。

「ユキの力があったからでしょっ。依頼は成功したんだから。謙遜(けんそん)しないで、ちゃんと報酬は受け取るし!」

 

食材の発見報酬と買取金額を合わせると相応の額になる為、後日ヨハネスから振り込まれる手筈(てはず)となった。

「報酬は持ち帰られる分の食材とは別に、振込先が決まれば私にご連絡下さい」

ヨハネスとリンに見送られ、ユキはトリコへの土産を積んだ輸送機でビオトープを後にした。

 

*********

 

第1ビオトープからトリコの家までの移動時間を考慮するのを、ユキはすっかり忘れていた。

「やっば!ココとの約束の日取り、間に合う!?」

加えて帰路に利用する機体の重量、積載量共に増えた事で飛行時間が押してしまった。

 

(トリコへの家賃と生活費替わりのアイスクリームを手に入れられたのは良かったけど、振込先の相談するヒマ無かったなあ・・・)

ほとんど移動に時間が費やされ、当初予定していた休日も設ける事は叶わず。

「長距離移動に慣れない・・・」

 

*********

 

ココとの待ち合わせの場所は、小松の勤めるホテルグルメからほど近いという駅。

電車を降りて指定されていた改札を抜ければ、先に到着していたココと無事に合流出来たユキは短く息を吐く。

(連絡手段も、その場で経路を調べたりも出来ないから冷や汗もんだよ・・・)

 

駅を出て歩きながら、ココからこの1週間どうしていたのか聞かれたユキ。

トリコへのお礼や諸々(もろもろ)は省(はぶ)いて、「実は元手が欲しくて・・・」と前置き、依頼を受けリンと出かけていたと簡潔に伝えた。

 

「え!?リンちゃんと食材を探しに行ってた?!一体どこに・・・っ、大丈夫だった!?」

ココは寒心(かんしん)に堪(た)えないとばかりに早口になるが、公(おおやけ)にはまだ発表されていない情報を、人の往来が激しい場所で話す事は避けたかった。

「詳しい話は後でね。それで口座を作らなきゃって話を、トリコとする暇がなくて・・・そもそも作れるのか」

 

(真っ先に相談して頼るのはトリコか・・・仕方がないとはいえ・・・)

トリコの名前が出たことで、複雑な心境を抱えるココ。

「・・・・・・ユキちゃん。トリコが後見人って事は、アイツに保護してもらったって事だよね。IDとか作ってるの?」

「ID・・・身分証的なもの?」

「うん。今後必要になってくるだろうし、今日はIDと口座を作りにいかないかと誘ったんだ。トリコはそういった細かいところザルだろう?」

言い返せる材料が無くて、ユキは苦笑う。

黒草の草原(ブラックカーペット)で連絡手段を聞いてきたサニーにも、同じような事を言われたなとユキは振り返る。

 

「IDはセキュリティの厳しい場所に入る時も必要になってくるんだ。場所によっては入場料を支払う事で入れるところもあるけど」

「・・・それって、戸籍無くても作れるもの・・・?」

当然の疑問を上げるユキに、ココは少し考える素振りをする。

「!―――・・・そうだね。・・・戸籍云々(うんぬん)が気になるなら、結婚して相手の籍に入る―――とかどう?」

「なるほど。この世界の人と結婚―――・・・するにはまず籍がいるんでない?」

ココの提案に熟慮(じゅくりょ)しかけたユキは、肝心なところに気付いて問い返す。

「おや、鋭い」

「おい」

ケロリと答えるココに、ユキは短く突っ込んだ。

(揶揄(かわか)われている・・・)

 

「ゴメンゴメン」

(・・・ちょっと攻め込み過ぎたか)

ココは思わず滑った自身の口に首を傾(かしげ)げつつ、冗談だというニュアンスを演出する為に敢(あ)えて軽い調子で謝罪した。

 

「ボクら四天王も孤児だった訳だけど・・・。無戸籍でも就籍(しゅうせき)手続きを踏めば、新たに作る事は可能。グルメIDが確固たる証明になるから、発行手続きをすればいいよ」

シレっとシリアスな事情を聞かされて、ユキはそれ以上文句を口に出せなくなった。

「街はこんなに飽食(ほうしょく)の時代を物語ってるのに・・・」

「IGO非加盟国には貧しい国も多くある。ボクらは会長に拾われて運がよかったよ」

国際連合を大きく上回る360ヶ国が加盟するというIGO(国際グルメ機構)を設立し、非加盟国にも支援しているという話はマンサムから少し聞いていた。

 

「―――すごい人だね。みんなのお父さんは」

「・・・ああ」

(―――ん?グルメ(・・・)ID??)

(・・・おとうさん???)

ユキとココは、それぞれ強い引っかかりを覚えいていた。

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