【トリコ夢】赤い宇宙へ   作:らぴ=どらみ

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食通銀行とか勝手な銀行名を捏造しましたが、あっても不思議じゃないあの世界。
そして当然の如く食材も取り扱っているに違いない。




67気付き

ユキがタブレットの入力項目を半分程埋めた所で、統括部長と営業部長があたふたと立ち上がる。

その気配にユキが顔を上げると、ぎこちない動きで足をもつれさながら2人が退室していくところだった。

 

「・・・?なんか挙動、おかしくなかった?」

落ち着きのない2人の動きを不審がるユキに、ココは一部事情を伝える。

「取り乱していたのは事実だね。特別にプラチナカードを発行する事になったから、勇(いさ)み足になってたんじゃないかな」

 

ココの言(げん)を聞いて銀行側が原則を曲げ、カードが発行条件や工程が特例で省(はぶ)かれた可能性がユキの中で浮上する。

「―――お得意様だからとか?」

「そんなところだろう」

便宜を図ってくれたのかという結論に至るユキに乗(じょう)じて、ココはお茶を濁(にご)した。

 

*********

 

『グルメIDと連携、身に付ける(ウェアラブル)カード』

そんな謳(うた)い文句(もんく)の書かれたリーフレットは、先のコンシェルジュが渡してきた資料の1つ。

 

紛失時などに備えた、グルメIDと連携した本人にしか使えないカード。

時計や指輪など、普段使いとして着用可能なアクセサリー端末にカードデータを組み込める技術などの紹介。

 

タブレットの入力を終えたユキは、隣に座ったココから契約したカードの詳細について聞きながら、資料に目を通していた。

「ねえ?ココが契約したカード・・・審査にかかる期間含め、申し込み条件とか色々とすっ飛ばしてない??」

そもそもプラチナカードを申し込める前提(ぜんてい)から、満たしていないのだ。

 

「預金額とか諸々(もろもろ)合わせて、銀行が融通を利かせてくれたんだ」

(―――嘘は言っていない)

(諸々(もろもろ)?ココの過去の利用実績とか・・・?)

説明が意図的に省(はぶ)かれている気がしないでもないが、そういうものなのだろうかとユキの視線が上向く。

 

「ふう~ん・・・?相当な太客(ふときゃく)って事?」

得心(とくしん)が行かないながらも、詳細についてココがボカす理由があるのだろうと事情を汲(く)んだユキに、なんてことはないようにココは言い放つ。

「それはあるだろうね。ボクとしても仕事柄、良好な関係でいたいし」

 

相手に揺さ振りをかける時の手段として、故意(こい)に遜(へりくだ)って見せる事はあっても、常(つね)ならばココの中ではただ事実を口にしているだけという感覚なのだろう。

(・・・ココって普段、謙遜(けんそん)とかしないんだな)

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