深い深い森の奥。
深い霧が立ち込めるその先に、一人の冒険者が誰も知らない湖を見つけました。
湖の上には──。
白い城が浮かんでいました。
冒険者は恐る恐る探索を続けます。
植物が根を張り、壁は少し風化しています。
この白き城は、冒険者が住んでいる国よりも高度な文明によって築かれた、もう滅びた城でした。
朝と夜を3回ほど繰り返した冒険者は、城の中に、地下通路を見つけました。
城は水面に浮かんでいて、どうやら水中に繋がっているようです。通路はガラスで出来ていて、太陽の光がかすかに照らしてくれます。
湖の中には見たことのない魚たちが泳いでいました。
なぜこんなに凄い城が捨てられたのか、冒険者の探究心はより深まりました。
通路をしばらく歩いていると、階段があり、それを降ると、巨大な王族の墓がありました。
歴史的に価値のあるそれも、今の冒険者にとっては腹の足しにもならないどうでもよいことでした。
冒険者は自分が追い求めるものを探して、墓の奥へ、奥へと。規則的に並べられた棺の一つ一つの名前に目を通しながら進んでいきます。
王族の墓の奥には台座があり、金の剣が刺さっていました。
聖剣と呼ぶに相応しい風貌をした剣も、冒険者にとっては些細なモニュメントでしかありません。
聖剣の奥にはまた、階段が。
冒険者は進み続けます。
泡沫の宝珠も。
目のくらむ黄金も。
麗しき彫刻も。
冒険者は見向きもせずに進み続けます。
数えるのが億劫になるほど階段を降った後、巨大な生物の死骸と出会います。
海の中に住む化け物。
それがこの文明の主人の姿でした。
冒険者は止まりません。
真っ白な部屋に出ました。
四角く、無機質な空間です。
この白には何処か見覚えがありました。
それが、自分の今いる城の色だと、冒険者は気づくことが出来ませんでした。
冒険者は戻りません。
灼熱の部屋に着きました。
水中なのになぜこんなにも暑いのか。
どうやら地熱が悪さをしているようです。
冒険者は諦めません。
紫色の世界に来ました。
ピカピカと光る看板は、非常に興味がそそられましたが、それでも足は止まることを知りません。
一体どれほど歩いたのでしょう。
朝と夜がないので、今がいつなのか見当もつきません。
携帯食はとっくに尽きています。
冒険者は振り返ります。
この城での旅路を。
終わりは、もうすぐです。
遂に冒険者は辿り着きました。
そこには花畑が広がっていました。
冒険者は云います。
ここが終わりなんて嫌だ。
何色にも染まりたくない。
と。
冒険者は花畑に寝そべりながら願います。
もっと深くに行きたいと。
願いは神に届きました。
冒険者は水底に沈む、黒い城になりました。
白い城の一番深い場所は黒色になりました。
次は何色になるでしょうか。
白い城は楽しそうに、そう笑いました。
あとがき
というわけで城や地下の部屋が元々は人間だったというお話でした。
地下100階まで地下が完成したらみんな人間に戻って仲良くツアーしたりお花見したりして、タイムマシン作ってそれぞれの時代に戻ると思うので多分ハッピーエンドです。(雑)
【状態異常 『城』】ってかんじですかね?
次書くときは城が視点でコミカルな話を作りたいですね。なろうとかで無機物主人公は結構あると思うので、城主人公でいきますか!
ご高覧頂きありがとうございました!
東風ますけでした!