ウイポソウル娘・プリティトレーナー 作:ウイポ馬主
「改めて、初めまして、元競争ウマ娘のドリームドアだよ。君がカツラギエースで合っているかな?」
「ああ、あたしがカツラギエースだ……です」
「普段通りでいいよ?ここじゃ、なんだし、ゆっくり話が出来る場所に移動しようか」
移動中、特に会話という会話も無く、二人は部屋に入る。
「うーん、表情が硬いなぁ。緊張まだ解けない?」
このウマ娘、無茶を言う。
ドリームドアという、鹿毛で流星のある恵体ウマ娘は、日本出身ウマ娘で初めてアメリカの主要と言われているG1を無敗で制し、更には春のシニアをも全て制しているのだ。
そんなウマ娘に、未だにトレセン学園に入学すらも居ないウマ娘が、一対一で対面しているのだ、緊張するなというのが無理な話である。
「あ、そうだ。折角だし、何でも聞きたい事、聞いて。世間に話していない事も、今なら答えるよ」
他人から思われているより、空気の読めるカツラギエースは、ここで何も質問しないのは失礼に当たるのではと考え、必死に質問を考えた、可哀想。
「え……っと。そうだ、どうしてドリームトロフィーシリーズに移籍しなっかったんですか?」
「ああ……よく聞かれるよ、体を壊した訳でも無いのに、どうして移籍しないのかって。世間に発信した理由は、レースよりやりたい事が出来たからって理由だね、君を始めとした時代を築くウマ娘を育成したい、という理由には一切嘘は無いというのは理解してね?それはそれとして、ドリームトロフィーには走る側に、一切夢が無いと思うんだ、だからそのまま引退したんだよ」
「え?」
ドリームトロフィーリーグ、その時代を築いたと誰もが認めるウマ娘しか、参入する事を許されない、スターウマ娘ばかりが出走する正に夢の舞台。レースファンからしたら、たまらないレースであるし、これからトゥインクルシリーズに参入するウマ娘には目標でもある。
「まだわからないと思うから、今は我武者羅に頑張りなよ。現役を引退するって時になったら、今の話を理解できていると思うし。分からなければ、その時にまた質問してくれたら答えるよ。他には、聞きたい事事は無い?」
「わかりました、続きはその時に聞きます。他に、質問は……」
聞きたい事は、他にも有る。だが、これを聞いていいのだろうかと言う思いが、カツラギエースの中で渦巻いている。目の前のウマ娘は、トレーナーとしての能力は未知数であるが、競技者としての能力は超が付く一流選手、これを聞いたら最後絶望してしまうのではないかという不安がよぎる。だけど、気が付いたら、ポツポツと口に出ていた。
「あたしは、すんげぇ田舎出身のウマ娘です。時々やってくる出張レース場みたいな所で走って、お世辞にも胸を張れる成績じゃ無かった。そんなあたしに、知り合いのオヤジはここを紹介してくれた、このクラブのオーナーさんも快く受け入れてくれた。でも、分かるんですよこんな所に居ると、色んなウマ娘と比較して、あたしはやっぱり出来はよくねぇなって。それにですよ、ここに居ると情報が入ってくるんですよ。あたしと近い歳の奴で、クラシック三冠を取るレベルの奴が、二人もいるらしいんですよ」
「うん、知っている。ミスターシービーとシンボリルドルフだね。それを知っていて君はどうしたい?目標は?夢は?」
「あたしは……あたしは……中央にカツラギエースここに有り!という事を中央に刻み付けたい!だから、その二人に勝ちたい!あの、笑ってもいいですよ?」
「ふふ、いいね、いいよ。いいかい、カツラギエース、夢を掴みたいのならおもいっきり愚者にならなきゃいけない。周囲の嘲り、嘲笑が有っても手を伸ばし続けなければ、開かない扉が有る、それが夢の扉さ。たしかに今あげた二人は、トレセン入学前からクラシック三冠を有力視されている、世代がばらければ三冠バが二人になってもおかしくは無い程さ。例えるなら、その二人は竜だ。それに対して、君は池の鯉で、もうすぐ中央トレセンという川に放流される」
「竜と鯉じゃ戦いにもならない……」
「まぁ、待って。結論を急じゃダメだ、話は途中だよ。いいかい?トレセンと言う川で、君は力を蓄えて、そして滝を見つけるんだ。いい?これだけは、例え私と契約をしなかったとしても覚えていて欲しい。君は、きっと滝を登れる!滝を登りきった鯉は龍になる。地上に居る竜じゃ、空を駆ける龍は相手にもならない。だから、君は君と契約するトレーナーと滝を登れ。それが私だったらとても嬉しいよ」
龍と成れ、カツラギエース!そう、そのトレーナーウマ娘の瞳はカツラギエースへと、力強く語り掛けていた。
供養終わり