ウイポソウル娘・プリティトレーナー 作:ウイポ馬主
トレセン学園では、日々模擬レースや選抜レースでウマ娘達が走り、その結果に一喜一憂している。
その姿を、トレーナー達が観戦しスカウトをする。
それが、トレセン学園の日常である。
「1600m左回りは、この時間っと」
「なんだ、このレースにお目当てのウマ娘でも、出走するのか?」
「うわ!?」
栗毛にスーツを着たウマ娘が、レースを観戦するのにベストポジションに着くと同時に、背後から話しかける人物が居た。
「ちょっと、私はウマ娘なんですよ。貴方方、人間より各種感覚が鋭敏なんです、急に背後から話しかけないで下さいよ、六平トレーナー」
「そりゃ、悪かったな。だがな、お前さんが俺の前に来たんだよ」
「成程、それは申し訳ない、それで私が注目しているウマ娘ですが、出ますよ。何です?気になるんです?」
「そりゃあ……」
「それは、興味深い話ね」
新たに、如何にも出来るキャリアウーマンぜんとした、女性トレーナーが現れた。
「東条トレーナーですか」
東条ハナは、マルゼンスキーを始めとした、優秀なウマ娘を育て数多の賞をURAから得た。今トレセン学園で、最もホットなチームの指導者だ。現在はミスターシービーとシンボリルドルフという、三冠が有力視されているウマ娘を両取りした為に、多くのトレーナーから、白い目でみられている。ウマ娘を口説き落とせない、トレーナーが悪い話である。
「名トレーナーが二人もまだ担当も持っていない、ド新人を気にし過ぎですよ?」
「G1級の走りをする、新人トレーナーがイレギュラー過ぎて、どう作用するのかが分からないのよ」
「ただでさえ、やり手だった奈瀬の所が、更に成績を上げていやがった。どんな手品を使ったのか敵上視察をすれば、併走でとんでもない走りをウマ娘が居た。俺は、どこからこんな走りをするウマ娘を探してきたかと思えば、奴のチームのサブトレーナーときたもんだ」
「そうね、貴女。中長距離のG1なら取れると思うけど、トゥインクルシリーズには出ていなかったの?」
「アハハ、お世辞は嬉しいですけど。御二方、そろそろ発走の時刻ですよ」
(誤魔化しやがった)
(誤魔化したわね)
そう思う二人だが、実際に出バ機にウマ娘が続々とゲートインしている様を見て、レースに集中する。
レースは普通に始まり、普通に終わった。
メイクデビュー前のウマ娘として、極々普通なレース内容だった、特出する点は無い。
普段なら、何人かのトレーナーがスカウトに動き出してもおかしくないのだが、この世代はクラシック王道をミスターシービーが、マイル・短距離路線をニホンピロウイナーが特出し過ぎている。更に悪い事に、すぐ下の世代にはシンボリルドルフという、ミスターシービーと同様に三冠を有力視されている、ウマ娘が居る。
ありていに言えば、逃げ場が無く、もうティアラ路線に行くしか無かった。
故に、多くのトレーナーがどうやってウマ娘を説得し。ティアラ路線に舵を切るかを考えていた。
そんな中で、真っ先に動いたトレーナーが居た。
そのトレーナーはウマ娘であった。
栗毛の髪を揺らし、誰よりもはやく目的のウマ娘へと駆け抜け行った。
その場に居た、多くのトレーナーがこのウマ娘をスカウトしたいと思った。
「やぁ!カツラギエースさん、約束通りスカウトしに来たよ!」
「スカウトは嬉しんですけど、ちょっと待ってくれませんか、先に約束をしている……ん?約束通り?え、でもあたしが、約束したのは……鹿毛で流星のあるウマ娘で……え、え?」
「ん?ああ、そうか。髪型変えて、眼鏡して、髪と尻尾染めて、目元もコスプレ用テープで変えていたんだった。どう?カツラギエース、トレセン学園という川は?滝は登れそう?まぁ、滝は私が準備をするんだけどね」
「……え!?嘘だろ!全く分からなかったですよ」
「そりゃ、ばれたら面倒だから、しっかり変えてるよ。それより、次のレースの邪魔になるから、行くよ!」
「はい!」
話の会話こそ聞こえなて無いが、二人の様子を見たトレーナー陣は微笑ましい思いで包まれる。
彼等、彼女等も自分が新人トレーナーだった頃を思い出している。
狙ったウマ娘にスカウトを仕掛け、色よい返事が期待出来そうだと舞い上がる気分だった。
その頃を思い出していた。
「カツラギエースか、どう思う東条」
「良くも悪くも平凡かと、今のレースを勝てたのも枠順有利であったのが大きい、メイクデビュー前だから仕方ないとは思うけど、技術も無い」
「まぁ、そうだな。レースには勝てはしたが、言っちゃ悪いが能力的には平凡だ。何を考えているんだ、あのウマ娘」
「私も、気になる存在である事は否定しません。実際に、どんなウマ娘をスカウトするのか気になってここに来ました。六平トレーナーは、一体何を気にしているんですか」
「奈瀬の所で結果を出していたのはそうだが、併走での走りっぷりと良い、何かが有る気がしてな。あれだけ走れる奴なのに、
しかし、六平トレーナーの言った様な異変という異変は起こらず。
最初こそ、競争ウマ娘とトレーナーウマ娘のコンビは、トレセンと世間とで奇異な目で見られていた。
だが、それも僅かの間で、クラッシック期の頃には周囲に当然の様に溶け込んでいた。
日本ダービー直後に、異変というより、異様な発表をウマ娘トレーナーが行い、各所を騒然とさせる事になる。