ウイポソウル娘・プリティトレーナー   作:ウイポ馬主

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第4話

 

 トレセン学園では、日々模擬レースや選抜レースでウマ娘達が走り、その結果に一喜一憂している。

 その姿を、トレーナー達が観戦しスカウトをする。

 それが、トレセン学園の日常である。

 

 「1600m左回りは、この時間っと」

 「なんだ、このレースにお目当てのウマ娘でも、出走するのか?」

 「うわ!?」

 

 栗毛にスーツを着たウマ娘が、レースを観戦するのにベストポジションに着くと同時に、背後から話しかける人物が居た。

 

 「ちょっと、私はウマ娘なんですよ。貴方方、人間より各種感覚が鋭敏なんです、急に背後から話しかけないで下さいよ、六平トレーナー」

 「そりゃ、悪かったな。だがな、お前さんが俺の前に来たんだよ」

 「成程、それは申し訳ない、それで私が注目しているウマ娘ですが、出ますよ。何です?気になるんです?」

 「そりゃあ……」

 「それは、興味深い話ね」

 

  新たに、如何にも出来るキャリアウーマンぜんとした、女性トレーナーが現れた。

 

 「東条トレーナーですか」

 

 東条ハナは、マルゼンスキーを始めとした、優秀なウマ娘を育て数多の賞をURAから得た。今トレセン学園で、最もホットなチームの指導者だ。現在はミスターシービーとシンボリルドルフという、三冠が有力視されているウマ娘を両取りした為に、多くのトレーナーから、白い目でみられている。ウマ娘を口説き落とせない、トレーナーが悪い話である。

 

 「名トレーナーが二人もまだ担当も持っていない、ド新人を気にし過ぎですよ?」

 「G1級の走りをする、新人トレーナーがイレギュラー過ぎて、どう作用するのかが分からないのよ」

 「ただでさえ、やり手だった奈瀬の所が、更に成績を上げていやがった。どんな手品を使ったのか敵上視察をすれば、併走でとんでもない走りをウマ娘が居た。俺は、どこからこんな走りをするウマ娘を探してきたかと思えば、奴のチームのサブトレーナーときたもんだ」

 「そうね、貴女。中長距離のG1なら取れると思うけど、トゥインクルシリーズには出ていなかったの?」

 「アハハ、お世辞は嬉しいですけど。御二方、そろそろ発走の時刻ですよ」

 

 (誤魔化しやがった)

 (誤魔化したわね)

 

 そう思う二人だが、実際に出バ機にウマ娘が続々とゲートインしている様を見て、レースに集中する。

 レースは普通に始まり、普通に終わった。

 メイクデビュー前のウマ娘として、極々普通なレース内容だった、特出する点は無い。

 普段なら、何人かのトレーナーがスカウトに動き出してもおかしくないのだが、この世代はクラシック王道をミスターシービーが、マイル・短距離路線をニホンピロウイナーが特出し過ぎている。更に悪い事に、すぐ下の世代にはシンボリルドルフという、ミスターシービーと同様に三冠を有力視されている、ウマ娘が居る。

 ありていに言えば、逃げ場が無く、もうティアラ路線に行くしか無かった。

 故に、多くのトレーナーがどうやってウマ娘を説得し。ティアラ路線に舵を切るかを考えていた。

 

 そんな中で、真っ先に動いたトレーナーが居た。

 そのトレーナーはウマ娘であった。

 栗毛の髪を揺らし、誰よりもはやく目的のウマ娘へと駆け抜け行った。

 その場に居た、多くのトレーナーがこのウマ娘をスカウトしたいと思った。

 

 「やぁ!カツラギエースさん、約束通りスカウトしに来たよ!」

 「スカウトは嬉しんですけど、ちょっと待ってくれませんか、先に約束をしている……ん?約束通り?え、でもあたしが、約束したのは……鹿毛で流星のあるウマ娘で……え、え?」

 「ん?ああ、そうか。髪型変えて、眼鏡して、髪と尻尾染めて、目元もコスプレ用テープで変えていたんだった。どう?カツラギエース、トレセン学園という川は?滝は登れそう?まぁ、滝は私が準備をするんだけどね」

 「……え!?嘘だろ!全く分からなかったですよ」

 「そりゃ、ばれたら面倒だから、しっかり変えてるよ。それより、次のレースの邪魔になるから、行くよ!」

 「はい!」

 

 話の会話こそ聞こえなて無いが、二人の様子を見たトレーナー陣は微笑ましい思いで包まれる。

 彼等、彼女等も自分が新人トレーナーだった頃を思い出している。

 狙ったウマ娘にスカウトを仕掛け、色よい返事が期待出来そうだと舞い上がる気分だった。

 その頃を思い出していた。

 

 「カツラギエースか、どう思う東条」

 「良くも悪くも平凡かと、今のレースを勝てたのも枠順有利であったのが大きい、メイクデビュー前だから仕方ないとは思うけど、技術も無い」

 「まぁ、そうだな。レースには勝てはしたが、言っちゃ悪いが能力的には平凡だ。何を考えているんだ、あのウマ娘」

 「私も、気になる存在である事は否定しません。実際に、どんなウマ娘をスカウトするのか気になってここに来ました。六平トレーナーは、一体何を気にしているんですか」

 「奈瀬の所で結果を出していたのはそうだが、併走での走りっぷりと良い、何かが有る気がしてな。あれだけ走れる奴なのに、中央(ここ)で走っているのを見た事がねぇ。外国のウマ娘かとも思って、映像で探って見たが、それらしきウマ娘が、見つからない。それが、どうにも薄気味悪くてな。東条、何かが起こるぞ」

 

 しかし、六平トレーナーの言った様な異変という異変は起こらず。

 最初こそ、競争ウマ娘とトレーナーウマ娘のコンビは、トレセンと世間とで奇異な目で見られていた。

 だが、それも僅かの間で、クラッシック期の頃には周囲に当然の様に溶け込んでいた。

 日本ダービー直後に、異変というより、異様な発表をウマ娘トレーナーが行い、各所を騒然とさせる事になる。 

 

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