ブルーアーカイブ:〜ACⅥ Fires of Kivototh編〜   作:とある渓流にいるかわうそ

10 / 29
9話 【トリニティ】鉄に芽生えた正義

 

 

〜10:50〜

 

 

ナイル:それでいい。:

 

セリナ「…………」

 

ハナエ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ギャン泣き

 

ミネ「……………」ズタボロ

 

地面にいくつものクレーターを作り、

全身グチャグチャになって床に倒れる

ミネ団長を中心に、私は彼の要求を

飲みました。……いいえ、飲んでしまいました。

ボロボロのミネ団長に覆い被さって

大声で泣くハナエちゃんの声が耳に

焼きつくように届く中、私は絶望と

自らへの失望と、団長への裏切りを

してしまったという失意の中で

真っ暗闇の中にただただ立っていました。

ミネ団長なら、必ず屈しはしなかった

でしょう。

自分がどうなろうとも、絶対に諦めたりは

しなかったと断言できます。

 

けれど、私は違います。

降伏したのは、ミネ団長をこれ以上傷つけ

させないためと、周りの市民の安全を確保

するためです。

 

ですが、ですが、、、それが【建前】である

という事を否定しきれないのです。

本当は、ミネ団長に齎された苦痛が……

いいえ、それ以上の悲劇を自分に向けられは

しないかと、怖れただけの完全な自己保身では

ないのだろうか?

だってーーー あのロボットが、倒れ伏した

時のミネ団長と同じように重い鉄の響きを

私の鼓膜に響かせながら私に近づいてきたと

したらーーー

私はそのロボットに這いつくばって、必死に

許しを乞う姿を、私はこんなにも容易に想像

出来てしまうのです。

 

ーーミネ団長の骨身を砕く音を聞きながら、

私は救護騎士団としての自負も誇りも

砕かれる音を聞いてしまったように思えて

ならないのです。

 

ナイル:……そのような顔をするな。君は、

今君に出来る事で、この場にいる全員を

立派に護った。

……各々が秘める立場や信念がある中で

選択が出来るのは、中々いるものじゃない。

 

救われたと言えば、実のところ私も救われたよ。

………君が素直にここから退去してくれると決断

してくれたからこそ、私も辛い決断も虐殺の片棒も

担がなくて済む。:

 

セリナ「…………」

 

気になるキーワードを彼が言いました。

しかし、私は沈黙を保ったままです。

…臆病な私は……【それ】の先を聞く

事が、怖くて出来ません……。

 

そんな私を察したように、彼は言葉を紡ぎます。

 

ナイル:……救護騎士団、だったかな?

君は、君たちは、負傷者を手当てする

役目なのだろう。

……これからの君たちの、辛い奮闘に

敬意を表して、【レッドガン副長、

G2ナイル】より、敬礼を贈る。:

 

そこで初めて、自らの名前を明かした

【ナイル】さんは、私たちに向けて敬礼を

しました。

彼の部下の思われる周りのロボットたちも、

ナイルさんの後に続いて敬礼のポーズを

取ります。

 

セリナ「…………」

 

ハナエ「…………」

 

もう誰も、何も、言いませんでした。

周りに支配するのは静寂だけです。

失意の風が、静かに吹くだけです。

 

その空気に、風に靡かれているのは

きっと彼ら(ナイルとその部下)も同じなんでしょう。

 

 

ナイル:さぁ、敵ながら見事な抗戦をした

彼女たちと、セリナ嬢が護ってみせた

善良なる人々に礼儀を尽くすため、丁重に

【ここから】送り届けてやれ。:

 

ナイルの部下:……了解です。ナイル副長:

 

そう言って、ナイルさんの周りの部下の

数名が私たちに寄ってきます。

 

ナイルの部下:……さぁ、行きましょう。:

 

ナイルの部下:…すま、ない……本当に

すまない……:

 

彼らに促されて、私たちは無言で立ち上がって

連れられていきます。

…ミネ団長も、ナイルさんが叩きつけた時の

ように無造作さは微塵もなく、怪我人を

保護するように、丁寧に、彼の部下が

持ち上げてくれました。

 

……そうだ、行くなら、アビドスに行こう。

あそこなら、私が心から愛する、【先生】が

待ってくれています。

彼はいつも暖かくて、私を安心させてくれる

光ですから。

絶望と失意に満ちるこの私には、もう【先生】しか

光が残っていません。

 

セリナ「……せんせぇ、この臆病な私を……

どうか癒して…安心させてくださいぃ…!」

 

……本当に情けないです私は。本来なら私が

先生を支え、癒さなければならないのに……

 

 

 

ナイル:…本当に、私は幸運だったな…。他は

皆、彼女たちに兵装を使ったと報告がある…。

 

……いや、レッドとハークラーは未だ報告は

ないか。

……あいつらもまだ若輩だ。……今回ばかりは

キツイか…。:

 

ナイルの部下:その事なのですが……。

レッド隊長の元へ、ヴォルタ隊長が向かったと

報告がありました。:

 

ナイル:そうか… なら安心だ。ならば、私は

ハークラーの元に行こう。あとは頼めるな?:

 

ナイルの部下:はっ! 副長!お気をつけて!:

 

ナイル:うむ。:

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

マシロ「あっははははははははははは

はははははははははははははは♪♪♪」

 

ツルギ「うあぁっ!!うあああぁぁぁ

あぁぁぁぁぁ!!!!!」ズルッ!ズルッ!

 

正実モブ「許して許して許して許して許して

許して許して許して許して許して」

 

正実モブ「……………」抜け殻

 

 

イグアス:クソッタレ……ここにはイラつく事しか

ありやがらねえ……:

 

 

イラつく。

ーーー血溜まりと、ススだけが支配する破壊痕に

残されたものは

 

狂ったように地獄にそぐわねえ笑顔で笑い続ける女。

 

涙かどうかも判断がつかねえ何かを目から流し

ながら、これまた狂ったようにのたうちまわり

続けるだけの虫ケラのような女。

 

誰に対してかも分からねえ許しを乞い狂う女。

 

セミの抜け殻のように顔から一切の表情を、

生気すら失ったようにそこにいるだけの女。

 

イラつく事しかしねえ4人の生存者だ。

 

あぁ、耳障りだ、目障りだ、うんざりだ。

 

どいつもこいつもまるで【被害者】のような

面をしやがって。

 

実行者の俺は【被害者】じゃねえってか?

やりたくねえはずの事を、企業どもにしがらみを

利用されて無理矢理させられる俺を、

ただ分かりやすいってだけで責めていいってか?

俺からすりゃ、心底どうでもいい物(コーラル)のために

価値があるからと、自らの手を汚さずに俺たちに

言葉一つだけで虐殺をさせる【上の連中】の方が

よっぽど責めるべきだろうが。

 

あぁ、声が、映るものが、イラついて仕方ねえ。

全部潰せば、気分がスッキリするだろうが

そんな気になんてなれねえほどには

正常な自分に……イラついて仕方ねえ…。

 

イグアス:おい、てめえら:

 

イグアスの部下:はっ!イグアス隊長!:

 

イグアス:俺は疲れた。後はてめえらが連行しろ。:

 

イグアスの部下:……はっ。お疲れ様です。イグアス

隊長。……そして、ありがとうございます……:

 

 

 

マシロ「あっははははははははははは

はははははははははははははは♪♪♪」

 

ツルギ「あああああああぁぁぁ!!!

あぁぁぁぁぁ!!!!!」ズルル!ズル!

 

正実モブ「許して許して許して許して許して

許して許して許して許して許して」

 

正実モブ「……………」抜け殻

 

 

 

イグアス:……どうしようかね…:

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ハスミ「はぁっ!はぁっ!」汗だく

 

レッド:………………:

 

レッドの部下:……………:

 

 

私は、今必死の抵抗を試みてはいますが

このライフルを撃つたびに虚しさの音だけが

響き渡ります。

救援に駆けつけてくれた正義実現委員会の

皆さんの攻撃も、戦車隊と攻撃ヘリ隊の

集中砲火すらも、レッドが乗る【AC】には

傷すら付けられず、逆にACの持つ小銃の

掃射だけで戦車隊もヘリ隊も一瞬で全滅

しました。

私の心はもう抵抗することへの無意味さで

いっぱいです。

レッドが呼称した【MT】だけならばどうにか

なったかもしれません。

現に、戦車砲の一撃は、MTに対しては有効と

見られる損傷を与えていたように思えます。

だが、ACはこの場に……いや、おそらく

【キヴォトス】全てに存在する兵器とは

【格】そのものが違う。

…それほどまでに、あの【AC】は、我々との技術

とはかけ離れた絶対的すぎる兵器です。

威力も、防御力も、このキヴォトスが持つ兵器

では太刀打ちする事が出来ません。

 

しかし、私の心は失意に塗れていても、まだ

絶望と、諦めに染まってしまっているわけでは

ありません。

 

たった一つ、希望が残されています。

 

……現に、レッドは戦車やヘリに攻撃を加えた

だけで、未だに私たちに直接的な攻撃を加えて

来てはいません。

いくら効かないとは言え、……いいえ、もう

自分たちの方(レッド隊のMT)にも立派な損害が出ているという

のに、なおも私たちに応戦らしい応戦を

して来ないのは、レッドの良心が、自らを

苛ませている証拠でしょう。

彼の良心に、いいえ、正義に訴えかければ……

 

いえ、そもそも私もーーー

 

…………そうだ、この男は、レッドは、決して

そちら(侵略者)】にふさわしい男ではない。

この男は、私たち【正義実現委員会】と

同じ志を胸に宿す善良な人間だ。

ーーー争う必要なんて、ないはずだ。

 

ハスミ「……レッド、投降してください。」

 

レッド:……………:

 

私は、私の本音をありったけ込めてレッドの

説得を試みます。

 

ハスミ「さっきから、あなた立っているだけで

私たちに何もしては来ないじゃないですか。」

 

レッド:……………:

 

ハスミ「そりゃそうですよね。自分にとって

全く関係のないこの子達(トリニティモブたち)を叱責して、会った

ばかりの私を、命をかけてでも救おうとした

大馬鹿なぐらい、あなたは善良な人間です

ものね。」

 

レッド:……俺は、善良などではない。:

 

ハスミ「ならどうして何もして来ないのです?

……あなたの正義が泣いているからでしょう?

 

……あなたの信じたもの(レッドガン)が、【そこ(ベイラム)】にはないと

気づいているんでしょう?」

 

レッド:っ!!ーーーー

 

 

 

ーーーー 俺は、思い起こす。何故、自分が

レッドガンを目指そうと夢見たのかを。

 

子供の頃の、木星戦争のミシガン総長の

活躍をテレビで見て、その勇姿に、憧れたんだ。

そして、その総長が所属する【ベイラム】には

自分の夢見た正義があるのだと憧れたんだと。

 

だから、幼い弟と妹を養いながら血を吐くような

努力をし、危険な強化人間手術を受け、俺は

レッドガンに入隊した。

挨拶をしたあの時の、総長がお声をかけて

くださったあの言葉は嬉しかったな。

 

そこからも総長や、先輩たちの元で、自分が

してきた努力など可愛くみえる手ほどきを

受けさせてもらって、コールサインを

いただけた時は、自分も正義の、善良な

人々を守れる一員となれたのだと、報われた

ような気分になったものだった。

 

そんな俺にレッドガンとして与えられた最初の

任務が、コーラルの発掘という定義の【侵略行為】

だった。

……いや、ここに来る前までは人が住んでるという

情報はなかったものだから、侵略とは思っていな

かった。

むしろ、コーラルが善良な人々の更なる助けに

なると思って、意気込んでいた。

……実際に来て、このトリニティに来て、街で

普通に人々が話しているのを見て、心が揺らいだ。

……愚かだった俺は、まだベイラムに、正義を

信じていた俺は…… 考えることをやめた。

思考を捨てて、会社が言うように【目の前にいる

こいつらは全て蛮族】なのだと思い込もうとさえ

した。

 

……だが、この女に……【羽川ハスミ】に出会って

彼女たちも俺たちの世界と同じ、天使の輪と羽が

ついているだけの、善良な人々なのだと思い知ら

される事になった。

 

 

あぁ、コーラルさえ……コーラルさえ出なければ

……… 俺は思考を捨てる愚か者のままでいられた

というのに……

 

だけど、もう俺はーーーーー

 

 

 

ーーーーー………だまれ。:

 

ハスミ「裏切られたんじゃないですか?

あなたが所属する、【ベイラム】に」

 

レッド:……………:

 

ハスミ「私たちは、正義実現委員会は

あなたの望む正義を裏切ったりしません。

先ほども言ったように、私はあなたを

歓迎しますよ?

 

だから、侵略行為など行う組織なんかとは

手を切り、こちらへ来てください。」

 

レッド:……それは出来ない相談だと言った

だろう。俺は、貴様たちの敵だ。:

 

ハスミ「どうして!?」

 

レッド:貴様の言った通り、ベイラムには

失望し切ったところだ。……だがな

それでも俺は【レッドガン】だ。

総長や副長、先輩たちの【正義】を裏切る

わけにはいかんのだ!:

 

ハスミ「でも、そのレッドガンはベイラムの

軍隊でしょう!!」

 

レッド:あぁ、その通りだ。実際、総長も副長も

先輩たちも全員ベイラムの言う事には逆らえん。

 

だが、信念までは思い通りというわけではない!

俺たちには、会社すらも関係ない!【レッドガン】

だけの正義がある!

そこに所属する皆の思いがある!!

貴様ごときに理解出来るはずがない!!:

 

ハスミ「………そうですか。」

 

レッド:俺こそ最後の警告だ。……今すぐに

ここから退去せよ。

貴様らの足掻きは全く持って無駄だという

事を、貴様の方こそよく理解出来ただろう。

……上から指示が下っている。従わない

場合は、【段階】を踏んで、貴様らへの

制圧行動を開始せよと。

 

つまり、最初に貴様を徹底的に痛めつけ

それでも従わなければACの兵装を使い、

本格的に貴様らを虐殺せよとの事だ。

 

分かったなら、さっさとここから

消え失せろ!!:

 

ハスミ「……私も言ったはずです。自らの

正義を捨てて逃げ出すぐらいなら、ここで

朽ち果てると」

 

 

スッ

 

 

レッド:なっ!?:

 

私は武器を捨て、両手を広げます。

もう、武器なんてあっても仕方ありませんから。

 

ハスミ「どうしたのですか?私は拒否しました。

なら、命令通りに私を嬲って、私たちに警告

すればいいではないですか。

あなたのご指摘通り、もうどうする事も

出来ないことは重々承知しています。

ならば、せめて私は自分の信じた正義の元に

彼女たちの盾になりましょう。」

 

レッド:っ!!………き、さ……ま……:

 

ハスミ「何をしているのですか?さっさと

私を痛めつければいいではないですか!

あなただって、誇りにしているものが

あるのでしょう!

ならば、怯える必要なんてないです!

 

それで、私は別にあなたを軽蔑なんて

しません。

 

さぁ!早くやりなさい!!」

 

レッド:ぐっ!? ……ううぅぅぅぅぅ!!!:

 

その時、レッドのACの大きな手が

私に近づき、すぐ横に迫りました。

 

正実モブ「ハスミ先輩!?」

 

正実モブ「や、やめろおおおおお!!!」

ドドドドドド!

 

正実モブ「お願いします!やめてください!!」

ドドドドドド!

 

私の後輩たちが、ACにライフルを連射しますが

結果は変わりません。

彼女たちの泣き声が、叫びが私の耳に届きます。

 

ハスミ「皆さん、後は頼みますね?」

 

正実モブ「そんな!?ハスミ先輩いいぃぃぃ!!」

 

正実モブ「いやあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

もうこの手のひらが、私を掴むのを待つだけ。

私は、そっと目を閉じてその時が来るのを

待ちます。

 

 

 

…………ですが、待てども待てどもいっこうに

その時は来ません。

 

 

 

正実モブ「……へ?」

 

ハスミ「………?」

 

誰かの、間の抜けた声で私は視界を元に戻します。

そしてーーー

 

正実モブ「とま……った……?」

 

正実モブ「どう……して……?」

 

ハスミ「……レッド…!あなたやっぱり……」

 

 

レッド:ガタガタガタガタガタ!

 

 

…ACの手は、全く変わり映えせず、ただそのまま

そこにあるだけです。

ですが、私にはこの手が、レッドの手が震えて

いるように感じてしまいます。

 

その時、レッドが小さく呟きました。

 

レッド:く…そ……! どうやっても……

この手を握りしめさせる事が出来ん…!!:

 

ハスミ「っっ」

 

きっと、私以外の誰にも聞こえてはいないの

でしょう。

レッドも、呟いた自覚すらないでしょう。

ですが、私は一言一句、その言葉を聞き逃せません。

 

まだ…まだ……!この男を……!!

 

 

スッ ACの手に触れる。

 

 

ハスミ「…お願いよ、レッド。こんな事は

やめて……! 辛いんでしょう?やりたくないん

でしょう! 無理をしないで…!

そんな奴ら(ベイラム)の、言うことなんて聞く必要はない!

あなたは、あなたの正義を…貫きましょうよ!

私たちと一緒に……!

 

こっちに来てよ!レッドぉ!!」ぽろり

 

私はついに敵である、レッドに、懇願して

しまいました。

涙も堪えることが出来ませんでした。

 

レッド:っっっっっ………っうううううう

うううううう!!!!

 

くそおおおおおおおおお!!!!:

 

 

ダァン!

 

 

手で叩く大きな音が聞こえます。

 

ハスミ「………」ボロボロ

 

私は、わけめも振らずに泣き続けます。

涙が、止まりません。

 

 

レッド:……それでも、やはりレッドガンを

裏切るわけにはいかない。:

 

 

私の耳に、絶望の拒絶が聞こえました。

それを聞いて、私の涙は更に加速して

しまいます。

 

ハスミ「レッドォ……」

 

私は、悲しくて悲しくて、それでも

懇願するようにレッドの乗るACを

見つめてしまいます。

 

 

スッ

 

 

ハスミ「……え?」

 

……ですが、レッドの言葉とは矛盾して、

ACの手は元の場所へと返っていきます。

 

ハスミ「レッド…… あなた……」

 

期待せずにはいられません。

この男に、私の言葉が届いてくれたのかとーー

 

 

レッド:……貴様らの善戦により、俺のACは

深刻なエラーを起こした。もう動かせそうに

ない。:

 

ハスミ「!」

 

レッド:俺は、ベイラムの元、レッドガンとして

誇り高く戦い、敵の見事な徹底抗戦に敗れて

しまった。

 

そうだな?お前たち。:

 

レッドの部下:……俺じゃなくて、俺たちですよ。

レッド隊長。:

 

レッドの部下:俺たち全員、余裕こきすぎて敵の

攻撃を受けすぎちまいました!こりゃMTも

全く動きそうにないです!:

 

レッドの部下:こりゃ、降参するしかないなぁ:

 

レッド:……ふっ、貴様ら…:

 

正実モブ「ハスミ先輩!」

 

ハスミ「レッド…!」

 

ウイイイイィィィィン!

 

そうして、ACのコックピットのハッチが

開き、姿を見せたレッドが宣言しました。

 

レッド「降伏する。さぁ、煮るなり焼くなり

好きにしろ。」

 

レッドの部下「俺たちも降伏します。」

 

そう言って、レッドは両手を上にあげて

降伏の意思を示します。

それに続き、彼の部下も次々に同じように

コックピットを開け、降伏を宣言しました。

 

ハスミ「……ありがとう、レッド」

 

レッド「礼など言われる筋はない。言ったはずだ。

俺はベイラムを裏切ったわけじゃない!

健闘の末に、貴様らに敗れて降伏したんだ。

決して、貴様らについたわけじゃない!」

 

ハスミ「ふふ、強情ですね。」

 

 

正実モブ「や、やった!こうなったら

こっちのものです!こいつを撃ち殺して…」

 

ベシッ!

 

正実モブ「あべしっ!」

 

ハスミ「何バカなことをおっしゃいますか。

無抵抗で身柄を差し出した相手を殺せるわけが

ないでしょう。」

 

正実モブ「で、ですが!こいつらは侵略者

ですよ!?」

 

レッド「その通りだ。俺は裏切った身ではない。

貴様らに敗れた身だ。生殺与奪は貴様らにある!

殺したければ殺すがいい!」

 

正実モブ「ほら!敵もああ言ってますし!

やりましょう!」

 

ハスミ「……はぁ、あなたは自分の正義が

泣かないのですか?」

 

正実モブ「へ?」

 

ハスミ「圧倒的に有利な状況から、私たちの

言葉に同調して、無抵抗で降伏してきた相手を

何故敵と言えますか。

彼らはもう立派に私たちの仲間です。

 

はぁ……正義実現委員会として情けない。

正義の志で言えば、レッドの方があなたより

よほど立派ですよ!」

 

正実モブ「うっ…」

 

レッド「……つくづく甘い女だ、貴様は。」

 

ハスミ「ふふっ…敵である私の言葉に絆された

あなたがそれを言いますか。

……ですが、そのACとMTはこちらで押収させて

いただきますからね。」

 

レッド「……好きにしろ。敗れた身だ。文句は

言わん。」

 

ハスミ「では、彼らを【保護】しなさい。

いいですか?身柄を確保するのではなく【保護】

ですからね。丁重に扱いなさい。」

 

正実モブ「了解しました!」

 

 

よかった、やはりこの男とは分かり合えました。

これで、私たちは共に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーなどと、甘い私の願いはすぐに打ち

砕かれる事になります。

 

 

 

突如

 

 

 

ズッドオオオオオオオオン!!!

 

 

 

正実モブ「わぁっ!!」

 

レッド「なにごとだ!?」

ウイイイイィィィィン、ガチャン!

 

建物を崩して、巨大な何かがACに突っ込んで

きました。

その巨大な何かは、びくともしなかったACを

弾き飛ばしました。

弾かれた衝撃だからででしょうか、防御システム

が備わっているのでしょうか。

同時にレッドのACのコックピットドアが勝手に

閉まっていくのを確認します。

 

そして、突っ込んできた【AC】から野太い

男の声が響きました。

 

 

 

ヴォルタ:何してやがる…?レッド…!!:

 

レッド:その声は……!ヴォルタ先輩!?:

 

ヴォルタ:レッドォ……、何で敵に無防備で

姿を晒したりなんてしていた?

てめえが話した事だろうがよ?奴らと生身で

やり合うのは自殺行為だって事をな。

それなのに、さっきのは一体どういうことだ?

まさか投降するつもりだったのか?:

 

レッド:それ……は……:

 

ヴォルタ:てめえ…!敵に絆されやがったか!?:

 

レッド:……………:

 

ヴォルタ:……あぁ、くそったれ……!心配した

通りだった…!! 正義の熱血漢みてえなてめえは

……… こんなこと出来ねえんじゃねえかと言う

気はしてたんだ……!!

もしかしたら……こいつらの味方をしちまうん

じゃねえかと……!!:

 

レッド:すみません……:

 

 

あぁ、神は正しき善良な者たちの味方じゃないのか……

 

レッドがヴォルタと呼んだその男は、レッドの

態度から見て、おそらく上司に当たるのでしょう。

 

そして、間違いなくこの男はレッドのように

甘くはない。

もしかしたら、レッドごとーーー

 

 

ハスミ「……ふっ!」ジャキン!

 

レッド:!?貴様!?何をしている!!:

 

ヴォルタ:………………:

 

ならば、せめて…せめて、害意を私の

方に向けさせねばならない。

私の、身勝手な願望に応えてくれた

この男を…身内にやらせてしまうのは、

私の正義ではない。

私は、ヴォルタが駆る、脚がキャタピラに

なったACへと銃を向けます。

 

ですが、この男の、ヴォルタの答えは意外な

ものでした。

 

ヴォルタ:……いや、お前はよくやったよ、

レッド…… お前のレッドガンとしての初任務が

こんな胸糞悪い侵略をすることだもんな……

俺だって、吐きそうなぐらいだ。

 

年も経験も若えお前が、お前たちが、こんな

かわいい娘たちを虐殺しろだなんて、あまりに

酷な話だ……:

 

あぁ、結局、私が辿る道は変えられそうに

ないですね。

 

レッド:…ヴォルタ先輩?:

 

ヴォルタ:…お前はもう下がって休め。

ーー後のことは、俺がやってやるからよ。:

 

レッド:…まさか……!:

 

その時、ヴォルタのACがこちらを向きました。

 

ヴォルタ:一応警告してやる。命が惜しけりゃ、

さっさとここから消え失せろ。:

 

そして彼も、レッドと同じように警告して

きます。

ですが、レッドと決定的に違うのは、声が震えて

いないことです。

力強い声が、彼の覚悟と本気さを十分に感じ

させます。

 

ですが、私のやることはやはり変わりません。

 

ハスミ「お断りします。皆さんのために、逃げ出す

わけにはいきません。」

 

ヴォルタ:……そうかよ。ホント、どいつもこいつも

参っちまうぜ。…じゃあ死ぬよりひでぇ目に遭う

ことを覚悟しろ。

そして、周りにいる奴らはこいつの残酷な姿を

目に焼き付けて、せめて素直に退去命令に従え。

 

……あのシスターどものようになるのは、俺も

辛えからよ…:

 

ハスミ「っっ!!あの、シスターども…?

まさか、シスターフッドの皆さんですか!?

何をしたんですか…?」

 

ヴォルタ:………言ったら、素直に引き下がって

くれるか?:

 

ハスミ「いいえ。ですが、言わなければ…!」

 

ヴォルタ:どうするってんだ?てめえらに何が

出来るってんだよ?

……チッ、まぁいい。そんなに知りたきゃ、

教えてやるよ。

 

……こいつ(グレネード弾)で、全員吹っ飛ばしてやったよ。:

 

ハスミ「っ!!なん、ですって…!?」

 

レッド:ヴォルタ、先輩……嘘ですよね……!?:

 

ヴォルタ:驚くことじゃねえだろうが。

俺は散々警告をしてやった。手荒なことも

やった。

サクラコっていうリーダー格の奴をとっ捕まえて

何度も何度も、見るも絶えねえほどグチャグチャ

になるまで、地面に叩きつけてやったんだよ。

 

なのに……奴ら、折れねえんだよ。

信念ってやつか?みんながみんな、「サクラコ様の

御心のために〜!」とか「このトリニティに暮らす

皆さんのために!私たちが盾に!」だとか、

ギャンギャン騒ぎやがって……

さっさと諦めりゃいいのによ……

 

だから、撃った。埒があかねえからな。

……サクラコって奴は俺が手に持っていたから

無事だ。…いや、その前にグチャグチャにして

やったから、無事とは言えねえか……

だがまぁ、生きてはいる。

後は……2人だけ残して、全員原型すら残さず

バラバラになっちまったよ。:

 

ハスミ「……貴様…!」

 

レッド:あ、あぁ…:

 

ヴォルタ:生き残った奴らは…全員狂いやがった。

あんなに気高かったサクラコって野郎も、

謝ることしかしなくなったし、副官っぽい

奴は、現実を認められずに自分を殴り続けて

いたし、……残る橙色の小娘は絶叫して、

後はヘラヘラ笑って涙を流し続けていたよ。

 

……だから、あえて警告してやる。

てめえらが抵抗するんなら、俺は

容赦なくこいつを撃つぜ…!

奴らみてえになりたくねえんなら

素直に逃げることだな…!:

 

ハスミ「……ふざけるな…!貴様に、貴様ら

なんかに……屈してたまるものですか…!」

 

ヴォルタ:……そうか、あぁ、そうかよ!!

ここまで言っても怯えることすらしねえっ

てか!? 

じゃあ!お望み通りてめえもグチャグチャに

潰してやるよ!!:

 

そう言って、ヴォルタのACが私に襲い

かかろうとします。

私は、無駄と分かっていながら銃を構え

ました。

ですが、それでも何もせずにやられるよりは

遥かにいい。

 

レッド:やめてください!!ヴォルタ先輩ぃ!!:

 

ですが、ヴォルタと私の間にレッドのACが

滑り込んで来ました。

 

ヴォルタ:どけ!レッド!!:

 

レッド:お願いです!この女は、ここにいる者は

見逃してやってください!!:

 

ヴォルタ:見逃せ?……あぁ、俺だってそうして

やりてえんだよ!! だがな!!こいつらは

あくまで俺たちに抵抗すると言ってきやがる

んだ!!

だったら、こいつらが素直になるか!

誰一人いなくなるまで虐殺するかしかねえん

だよ!!

 

どかねえなら……先にてめえから殺すぞ?:

 

レッド:……構いません。自分は、もう命を

投げ出した身ですから……

だけど、自分の身の代わりに……この者たちの

安全を……:

 

ハスミ「レッド!?何を言ってるんですか!?

私たちのためにそこまでする必要はありません!」

 

レッド:貴様の意見など求めてはいない!!

これは、俺たちレッドガンの問題だ!!

貴様は黙っていろ!!:

 

ハスミ「レッド!!」

 

 

ヴォルタ:……あぁ、そうかよ……ちくしょう……

クソッタレ!!そうかよそうかよ!!!

 

てめえのことはかわいいんだよ!!!:ジャキン!

 

レッド:……ヴォルタ先輩…?:

 

ヴォルタ:……頼む、どいてくれよ………

頼むから……俺にこんなことをさせないで

くれよ………レッド………:

 

レッド:……すみません…………:

 

ヴォルタ:………………………………………

…………………………………………………

………………そうか、じゃあ!

 

 

 

ズドドドドドドン!!!

ヴォルタのAC【キャノンヘッド】が攻撃

される!

 

 

ヴォルタ:ぐおっ!?:ピー!ピー!

 

レッド:!?:

 

ハスミ「誰!?」バッ!

 

突如の砲撃に、私はその出所へと顔を

振り向かせます。

 

そこにはーーーー

 

 

レッドの部下MT: シュウウゥゥゥゥ

 

 

正実モブ「あ、あなたたち……」

 

正実モブ「ハスミ先輩を、助けて……」

 

ハスミ「何を……してるんですか!?

あなたたち…!?」

 

レッド:貴様ら!?何を!?:

 

ヴォルタ:……………:

 

理解が……追いつきません………

だって、この人たちは、敵の、はず、なのに…

 

ですが、私の、戸惑いの質問に、彼らは

しっかりと答えてくれました。

 

レッド改め【ハスミの部下】

:何言ってんですか!【ハスミ隊長!】:

 

ハスミの部下:隊長の危機を救うのは

当然でしょう!:

 

ハスミ「……は?」

レッド:……は?:

 

ヴォルタ:……………………:

 

ハスミ「ごめんなさい、何を言ってるか…」

 

ハスミの部下:何言ってるんです?忘れたん

ですか?:

 

ハスミの部下:ハスミ隊長!あなた確かに

【歓迎する】って、言いましたよね!:

 

ハスミ「っ」

 

ハスミの部下:あの言葉は【レッド】に

対したものだとかは、なしですよ?:

 

ハスミの部下:あの言葉は俺たちに対して

のものだとも、こっちは受け取ってるんで!:

 

ハスミの部下:今更やっぱなしは受け付けません

から!!:

 

 

ハスミ「あなた…たち……」ホロリ

 

正実モブ「レッド隊の…皆さん……!」ポロポロ

 

 

ヴォルタ:……一応、聞いてやる。

何のつもりだ?:

 

ハスミの部下:……【ヴォルタ】、そんなの

決まってるだろ? 寝返ったんだよ!

俺たちは!! てめえらの欲望のために!

罪のない善良な人々を虐殺しろだなんて、

てめえらベイラムにはもううんざりなんだよ!!:

 

ハスミの部下:ハスミ隊長の言葉と、正義を見て、

いいや!ハスミ隊長だけじゃない!!

【正義実現委員会】の皆さんのおかげで、目が

覚めたんだ!!:

 

ハスミの部下:私はハスミ隊長の【選ぶ意志】に

魅せられてね。だから、尊敬する人間の真似して

私も選んだってわけ。:

 

【正実部下】:俺たちは侵略者としてじゃなくて!

善良な人々を守るために!

【正義実現委員会】として戦うってな!!:

 

ヴォルタ:……そうか、そっちは泥舟だぞ?:

 

正実部下:構いません。侵略者として生きていく

より、彼女たちの味方をして死んだ方がマシだ。:

 

ヴォルタ:……そうかよ。:

 

 

正実部下:早速ですが、ハスミ隊長。そして

先輩がた、お願いがあります。

たった今入隊した新参者の分際で大変恐縮

なのですが。:

 

ハスミ「何ですか?」ぐすっ

 

正実モブ「そんな、畏まらなくていい

ですよぉ…」ぐすっ

 

正実部下:……ここは私たちに任せて、隊長と

先輩がたは逃げてください。:

 

ハスミ「!?何をバカな事を!!さっきから

ずっと言ってるはずですよ!私は他の皆を

見捨てて、逃げることは決してしないと!」

 

正実部下:ですので、その皆を

ここから避難させて欲しいのです。

その行いだって、立派に【正義】だと

考えておりますが?:

 

ハスミ「いいえ、ダメです。その【皆】に

【あなたたち】が含まれていません。

あなたたちは正義実現委員会に入部したの

でしょう?

ならば、もうあなたたちは私の部下です。

部下を置いて、副委員長の私がおめおめと

逃げられますか!」

 

正実部下:…それははっきり言って世迷言

です。隊長も自分たちにはどうすることも

出来ないと、はっきりおっしゃっていた

ではありませんか。:

 

ハスミ「…ですが!」

 

正実部下:はっきり言います。隊長たちが

いても、邪魔なだけです。

ACに対して傷一つすらつけられず、ほんの

少し触っただけで簡単に重傷を負うなど、

言語道断、戦力にすらなりません。

 

その点では、まだMTならば、ヴォルタ隊長

やレッド隊長の乗るACに有効打は与えられ

ます。

…勝てはしませんが、少なくとも時間稼ぎ

ぐらいの戦いにはなりましょう。:

 

ハスミ「……私は、あなたたちの上司です!

部下の戯言に、耳を貸す必要はありません…!」

 

正実部下:……ふふ、それならばハスミさん。

私たちはあなたたちよりよっぽど年上で、

あなたたちとは違って【大人】ですよ?

 

まだ、大人にもなっていない子供が命を

落とす必要などありません。

 

ーー子どもの未来を守るのが、私たち

【大人】の責任ですから!:

 

 

ハスミ「っ!!!!」

 

 

あぁ、その、言葉は、私がお慕いする

先生のーーーーーー

 

 

ーー生徒の未来を守るのが、大人である

私の責任だからね!ーー

 

 

 

ハスミ「……………」

 

 

ヴォルタ:ハスミとか言ったか? てめえ 

いい加減にしろよ?

これ以上てめえの世迷言で、俺の部下だった

やつらの、覚悟と決意に泥を塗るんじゃねぇ。

 

今度こそ、本気で殺すぞ?:

 

 

ハスミ「っ」

 

正実部下:あなたの、正義実現委員会の

正義を、私たちに預けてください。

あなたの正義を、代わりに私たちが

背負って、奴らと戦います!:

 

正実部下:なに!ハスミ隊長の正義を

ヴォルタに刻みつけてやりますよ!!:

 

正実部下:だから、安心して逃げてください。

 

ーーーレッド隊長のためにも。:

 

 

ハスミ「っっっ!!!!!!」

 

 

【レッドのためにも。】その言葉が決定打と

なりました。

 

 

正実モブ「ハスミ先輩!!」

 

ハスミ「分かっています……。【逃げますよ!】」

 

正実モブ「!!!はい!!」

 

私たちは全力でその場から逃げ出しました。

 

ハスミ「すみません…」

 

正実モブ「ありがとう…!」

 

正実モブ「ごめんね…!」

 

彼ら(正実部下たち)のそばを通り過ぎる時、それぞれが

感謝と謝罪の言葉を述べて、その場から

走り去ります。

 

ヴォルタもレッドも、私たちを追うことも、

攻撃を加えることもしませんでした。

私たちは、全速力でその場を後にしましたーーー

 

 

 

ヴォルタ:分かってると思うが、裏切り者は

生かしちゃおけねえ。てめえら全員ここで

俺が殺してやる……:

 

正実部下:えぇ:

 

レッド:ふっ…呼び捨てか… お前たち……すまない。

感謝を尽くして、礼を言う……

 

……遺言はあるか?:

 

正実部下:そうですね、じゃあ会社に辞表

代わりにお伝えお願いできますか?:

 

レッド:分かった。録音しておいてやる。:

 

正実部下:ではーーーーーーー

おい、上層部のクソヤロウども!

コーラルだか、無限につきないエネルギー

だとか知らねえけどな…!

だからって!!俺たちに罪もねえ人間を

虐殺させてんじゃねえぞ!!!

コーラルなんかなくたって、てめえら十分

すぎるほど繁栄してんだろうが!!

それなのに、まだ飽き足らずに他所様の

星を侵略とか!

てめえらどんだけ面の皮が厚けりゃ気が

すむんだクソヤロウども!!

もう!俺たちはてめえらの言いなりになる

のはうんざりだ!!

今日限りで、ベイラムなんざやめてやる!!

 

……そんで、俺たちが本当に夢見た正義を

持った、【トリニティの正義実現委員会】で

死ぬまでてめえらに抵抗してやるからな!!

覚悟しとけ!上層部のクズヤロウども!!!!:

 

レッド:…………: ピッ

 

正実部下:撮れましたか?:

 

レッド:あぁ、敵ながら見事な啖呵だ。:

 

正実部下:そうですか、では、もう悔いは

ありません。参ります!ヴォルタ隊長!

レッド隊長!!:

 

レッド:……レッドでいい。貴様らは、もう

この土地を守る【正義実現委員会】なのだろう?:

 

ヴォルタ:……そうだ。敵に敬いもいらねえ。

……てめえらは、立派に選んだ。

だから、この場にいるのは【侵略者の俺たち】と

【正義実現委員会のお前たち】だ。:

 

正実部下:そうですね……いや、そうだな。

じゃあ!!ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げる私の耳に届きます。

 

 

ーーー覚悟しろ!!侵略者ども!!

総員!行くぞおおおおぉぉぉぉ!!!:

 

:おおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!

正義実現委員会の先輩がたの正義を

見せつけてやれええええええ!!!:

 

ドドドドドドドドドドド!!!

ドン!ドン!ドン!チュドーン!!

 

 

ハスミ「うぅ…!」ポロポロ

 

 

ズッドオオオオオオオオン!!!

 

:うわああああああぁぁぁぁ!!!:

 

:ミカムラああぁぁぁぁぁ!!!:

 

:まだよ……まだ戦える!!!:ドシューン!

 

:こんな程度の怪我で泣いてたら……

正義実現委員会の先輩たちに笑われ

ちまうぜ!!:ドドドド!!

 

 

正実モブ「ごめんね……ごめんね……!!」ズビッ

 

 

ドゴオオオオオオオオオン!!

 

 

:ごふぅ…、まだだ…!動け!動けよ!

このポンコツ!!がふっ…俺はまだ

戦え!ーーーー  ドガアアアアン!!!

 

 

ババババババババ!!!

 

ドォン!ドォン!ドォン!

 

 

:情け…ないな……私は………これじゃ…

正実の先輩たちに顔向けできなーーー  

ドオオン!!

 

 

正実モブ「そんなこと…ないよぉ……!!」

グスグス

 

正実モブ「皆さん…私たちなんかよりずっと

ずっと!素晴らしい方たちです…!!」

ポロポロ

 

 

ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!

 

 

:くそっ!もう武器も、ミサイルも使えねえ!:

 

:関係あるかよ…!あの人は……効かねえ武器でも

諦めずに立ち向かってきたんだ!!

腕も脚もまだ動く!!殴りつけりゃいい!!:

 

:あぁ…あぁそうだな!!!ハスミ隊長なら

そうするはずだ!!

行くぞおおおおおおお!!!!!:

 

 

ズッドオオオオオオオオン!!!

 

 

:うわああああああ!!!!:

 

:あああぁぁぁぁ!!!……………

……!!まだ、だ………まだ、手も足も動く…!

ハスミ隊長なら…… 最後まで自分の正義を

示すはずだ!!:ガチャン!ガチャン!

 

 

ハスミ「うううぅぅぅぅ!!!」ポロポロ

 

戦闘音と共に、彼らの声が、徐々に

減っていきます。

……それでも、誰一人として、逃げ出す者は

いません。

皆、私の信念とする、正義のために、私たちの

ために…命を散らしながら戦ってくれてます…!

 

 

チュドオオオオオオオン!!!!

 

 

:まだ……だ…… ま…だ………

最後まで……ハスミ…隊長の……

正義実現委員会の……俺たちの……

せい…ぎ………を……………

 

 

ズドン!!!!

 

 

その音を最後に、戦闘音も、彼らの声も

完全に途絶えましたーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正実部下: ……あぁ…ハスミ…さん……

あなたの……おかげで……俺は………

ここにいる…皆も………最後に……

自分の、信じた…もののために……

戦うことが…でき…ま…し……た……

 

ハ…スミ……さん……俺……たちに……

正義を…………くれ……て……………

あ…… り……… ……が……………………

………………………………………………

………………………………………………

 

 

ブツン!!

 

 

ヴォルタ:…大馬鹿野郎どもがぁ………!:

 

レッド:……………:

 

 

ブオオオオ! ドシュウウウウ!!

 

 

イグアス:よう、ひでえ面してそうだな。

ヴォルタ……:

 

ヴォルタ:…………イグアスかよ…:

 

レッド:……イグアス先輩…:

 

イグアス:………こいつらは?:

 

ヴォルタ:………敵に絆されやがった…

全く、どいつもこいつも馬鹿ばっかり

だぜ…………:

 

イグアス:………そうかよ。レッド、てめえは

何してやがったんだ?:

 

レッド:……すみません、自分も、彼女たちを

不憫に思ってしまい……それで……:

 

イグアス:そうじゃねえだろ、この場にいた

雌猿どもが逃げられたのは、ここでくたばって

やがるこのてめえんとこの大馬鹿どもの

戦果だろうがよ。

 

俺が言いてえのは…てめえもこいつらを

処分したのかって事だ。:

 

レッド:……はい。ほとんどはヴォルタ先輩が

やってくれましたが……:

 

イグアス:……そうか、ならいい。てめえの

実力なら1人でもこいつら全員同じ結果に

出来るはずだからな。:

 

レッド:……恐縮です。イグアス先輩。:

 

ヴォルタ:………………:

 

イグアス:…………おい、レッド。

てめえに一つ教えといてやる。

 

こいつらはな、実力もねえくせに

裏切る大馬鹿だが、てめえよりは

遥かにマシだ。分かるか?:

 

レッド:……………………:

 

イグアス:こいつらは、愚かでもな…

ちゃんと【選んだんだ。】

 

レッド、てめえのような奴が1番迷惑

なんだよ。

 

【選ばねえやつとは、敵にも味方にも

なれねえんだ。】

 

よく覚えとけ。:

 

レッド:……はい、本当に、大変……

大変勉強になります。イグアス先輩…:

 

ヴォルタ:……フゥーーーー…………

俺からは一言だ。

 

次、半端なことしやがったら、容赦しねえ

からな?レッド。:

 

レッド:…はい!……よく肝に銘じておきます…!:

 

イグアス:じゃあ行くぞ。ミシガンの野郎がここの

トップと話をつけたらしい。

『アーキバスどもはもうとっくに制圧を終えて』

勢力を拡大する準備中って噂だ。

グズグズするなってよ。:

 

ヴォルタ:……クソッタレ、ホント上層部の

連中は俺たちを心ねえ道具か何かだと

思ってやがんのか?:

 

イグアス:全くだぜ。こっちは辟易としてるっ

てのに、奴隷か何かのようにこき使ってきやがる。

 

そういうことだから、とっとと行くぞ。:

 

レッド:分かりました…:

 

ヴォルタ:チッ…:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コハル「ハスミ…先輩……?」

 

ハスミ「コハルですか…?」

 

 

それから、トリニティの外を目指して走る

私たちの前にコハルが現れました。

 

 

ハスミ「あぁ、無事だったのですね…!」

 

コハル「うぅ……ハスミ先輩いいい

ぃぃぃぃ!!」ダッ!

 

 

コハルが私に向かって、駆け寄り、私に

抱きついてきました。

 

ハスミ「良かった……どこにも怪我を

してないようで……」

 

コハル「それはこっちのセリフだよおおお!!

あの空飛ぶロボに乗った男が……ハスミ先輩も

イチカ先輩みたいにされてるなんて、言ってた

からぁ……!!」

 

ハスミ「イチカ…?イチカがどうしたって

言うのですか!?」

 

コハル「うっ、ううぅぅぅぅ!!!

全身……血まみれで……惨たらしい

生傷だらけで…… 生きられるか

どうかも分かんない状態にされてて

………」

 

ハスミ「………」ギリィ!

 

初めて、私に明確な憎悪が生まれました。

ヴォルタから聞かされたシスターフッドの

皆さんへの仕打ちを聞かされた時も激しい

怒りが沸いたものですが、自らが所属する

組織の身内が惨い仕打ちを受けたと聞けば

比べるべくもないほどです。

 

コハル「あの男は……あいつは!!

自分が出世したいからだと言って…!!

イチカ先輩だけじゃない……ミカ先輩も……

正義実現委員会のみんなを虐殺したんだよ!!

許せない……!絶対に許せない!!」ギリギリ!

 

ハスミ「…………」ギリギリギリ!!!

 

私はもう怒りで頭がどうにかなりそうでした。

イチカだけで飽きたらず、私の後輩たちも

全員虐殺したですって?

私の中の、奴らへの憎しみがどんどん

膨らんでいきます。

 

奴らは、一人残らず、殺さなければ……!

ぜったーーーー

 

コハル「だからハスミ先輩も、【レッド】

って奴と対峙したって聞いて…!

気が気じゃなかったのお!!!

何とか…逃げ出せたんですね…!

あの人間の悪魔たちから!!」

 

ハスミ「っっっ」

 

 

 

ーーーレッドーーー

 

 

 

その名前を聞いて、私の無尽蔵に

膨らみ続けるかと思った憎しみは、

全員を殺してやりたいと思った

憎悪は、急激にしぼみ始めました。

 

……ふふ、レッド、こんなところでも

あなたはお節介を焼くのが好きな男ですね。

 

……ありがとう。もう少しで私は憎しみに

飲み込まれて、自分の正義すらも失うところ

でした。

 

レッド、あなたには助けられてばかりですね。

 

コハル「ハスミ先輩も……グチャグチャに

されていたらどうしようかなって……!

あいつらには……人の心なんて存在しな

 

ハスミ「コハル、それは違います。」

 

コハル「ふっえぇっっっ!?ハスミ先輩!?

何でそんな穏やかな顔になって……!?」

 

なって、ですか。そうでしょうね。

さっきまでの私は、おそらくゲヘナに

対しても、したことが無い憎しみで

歪みきった恐しい顔をしていたの

でしょうね。

……それはコハルも同じですね。

先ほどまでの顔を、私が記憶する限り

見たことはありません。、本物の憎悪で

染まりきった顔を、この子がするなんて…

 

だからこそ、この子に… いいえ、きっと今この

トリニティにいる人たちにも全員聞かせないと

ダメなのでしょう。

 

彼ら(ベイラムの下で働く者たち)】の事を。

 

ハスミ「確かにあなたが対峙した男には

人の心を持っていないのかもしれません。

ですが、彼らの全員が全員、人の心を持って

いないという事は決してありません。

 

むしろ、ほとんどが私たちとそう変わらない

善良な人々なのだとさえ思っています。」

 

コハル「何を……言ってるの……?

ハスミ先輩……?あいつらが……

善良?……………………………

 

ふざけたこと言わないで!!!!!」

フーッフーッ!!

 

コハルの、強い拒絶の声が、憎しみが

私に浴びせられます。

構わず続けます。

 

ハスミ「実は、私が対峙したレッドは、

彼らが侵略行為をする前に会いました。

最初はいけ好かない男でした。

初対面なのに高圧的で、偉そうで……

 

ですが、紅い麻薬の取引をしていたこの子達(トリニティモブたち)

本気で叱って、この子達が私に向けて

撃った銃弾を、自分の身も省みずに

私を庇ってくれて……

 

侵略行為が始まった後も、ずっと

ライフルで攻撃をし続けてくる

私に対して何もしてこないどころか、

私の必死の懇願に耳を貸して降伏まで

してくれました。

 

私は、そんな大馬鹿なほどの正義心を

持ったレッドを……敵だとしても今では

心から敬愛しています。」

 

コハル「………………」

 

ハスミ「その後、ヴォルタと呼ばれていた

レッドの上司が割り込んで来ました。

その男は、お構いなしにコハルが危惧していた

ように私をグチャグチャに嬲ろうとして

きました。」

 

コハル「え……」

 

ハスミ「……私は、逃げ出せてなどいません。

……レッドの部下たちが、いいえ、【私の友たち】

が逃がしてくれたんです。」

 

コハル「…え?え?どういうこと?」

 

ハスミ「……彼らは、私たちに寝返って

くれたんです。

死ぬとわかっているのに、私たちのために

味方をしてくれたんです。

しかも、私たちの組織の【正義実現委員会】に

入部までして……くれて………

私たちの代わりに、正義を背負ってヴォルタと

戦って……くれたんです……!

 

私たちが…逃げる時間を稼ぐために……

正義実現委員会の……正義のために……!

命を散らしながら、誰一人臆さずに……!

戦ってくれたんです……!!」ポロポロ 

 

コハル「!っっっっっ………」

 

ハスミ「私に、襲いかかってきた

ヴォルタという男も威圧的な態度を

取りながらも、【見逃してやりたい】と

こぼしていました……。

 

……コハルには覚えはないでしょうか?」

 

コハル「!!!!!!!ーーーーー

 

 

 

 

ーーーそういえば、学園のあの人たちも……

 

 

:ごめんな…ごめんな……!:

 

 

私たちに、謝って………ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

------ーーうっうううううぅぅぅ!!!

じゃあ……じゃあ!私は……一体誰を憎んだら

いいの……!?

あいつらは!!どんなに謝ってきても!!

正義実現委員会のみんなを殺した!!

 

でも……でも……!あの人たちも……

やりたくないことを無理矢理させられていた

だなんて…… 知ったら…………

 

ううぅぅぅぅぅ!!!ハスミ先輩の言葉なんて

聞きたくなかった!!!

これじゃ、私……私は…………!

もう彼らを恨めなくなっちゃうじゃない!!

 

うわああああぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

……やっぱり、この子はとても善良な

心を持った人間です。

私とは違って、目の前で自分の大切なものを

奪われたというのに…

私の言葉だけで、彼らへの憎しみをなくせる

のですから。

これが、逆の立場だったら…… 私には

きっと無理だったでしょう……

 

コハル、私の見込んだ通り、やはりあなたは

強いですね。

 

大泣きするコハルをそっと私は抱きしめます。

 

ハスミ「……きっと、彼らも、私たちと

ほとんど変わらないと思うのです。

正義実現委員会が、ティーパーティの意向や、

様々な政治的観点から、動きを左右される

ように…

いいえ、私たちよりもっとひどいのかも

しれませんね。

……彼らは、従わなければ裏切り者として

自らが所属する組織から命を取られてしまうの

ですから……

 

…………ヴォルタも、自分の部下を手にかけねば

ならなかった時の気持ちはどうだったの

でしょうね…」

 

あぁ、そんなこと分かりきっていますね…

私が、私の部下たちを殺すことを想像

すればいいだけなのですから……

 

コハル「………………」

 

 

 

 

 

ヒフミ「コハルちゃああああん!!!」

 

 

私たちの耳に、ヒフミさんがコハルを

呼ぶ声が届きます。

 

コハル「ヒフミ…それに、みんなも!」

 

アズサ「いたぞ!!ハスミ先輩もいっしょだ!」

 

ハナコ「見た感じは、皆さん怪我は負っては

なさそうですね。」

 

アイリ「良かったです……少しでも無事な

人たちがいて…!」

 

カズサ「うん…正直生きてるのは私たち

だけかと思った……」

 

セイア「…………」

 

 

ヒフミさんに続いて、とてもとても、

懐かしく思える知った者たちの面々が

迎えにきました。

昨日まで、普通に学校で顔を会わせている

はずなのですけどね……

 

ハスミ「………………」

 

そんな彼女たちの後ろに控える、通路の

全てを埋め尽くすほどの大量のMT、

その最前列を歩く、おそらくリーダー格の

ACに……………

虜囚のように隣を歩く、【ナギサ】さん。

 

 

それを見て、私はこのトリニティの結末を

なんとなく想像出来てしまいました。

 

 

コハル「………え? 何でナギサさんが

あいつらと……!?」

 

どうやらコハルは未だ飲み込めていないよう

ですね。

私たち(他の皆)】が、どうなってしまったのかを。

 

 

ヒフミ「コハルちゃああああん!!!

よかったあああぁぁぁぁ!!!」ダキッ!

 

アズサ「このバカ!!心配させるな!!」

 

ハナコ「ホントです……!何もなくて…

本当に良かった…!」

 

コハル「……え…と…… 心配してくれるのは

嬉しいんだけど… 何で、この人たちが……

それにナギサさんも………」

 

ヒフミ「………………」

 

アズサ「………………」

 

ハナコ「………………」

 

セイア「………………」

 

アイリ「………………」

 

カズサ「………………」

 

ナツ「………………」

 

ヨシミ「………………」

 

ウイ「………………」

 

シミコ「………………」

 

コハルがそう聞いた直後、その場の全員が

表情を落として黙り込んでしまいました。

 

それで、私は完全に察しました。

 

ハスミ「皆…敗れてしまったのですね…

ツルギさえも……

それで、トリニティは降伏せざるを

得なかったわけですか。」

 

コハル「…え!?」

 

ナギサ「はい…。残っているのは、ここに

いる者たちだけです。」

 

ハスミ「そう…ですか……」

 

コハル「そんな…?冗談ですよね……?

ツルギ先輩は!?ツルギ先輩が負けるわけ

 

ミシガン:その者は、うちの5席目に列する

間抜けが、見事にボコボコにしてやった

そうだ。:

 

コハル「………は?」

 

ハスミ「……………」

 

ナギサ「っっっ」

 

ミシガン:ナギサ嬢によると、ツルギ嬢は

このトリニティの最強戦力だそうだな。

だが、相手が悪すぎたな。

大間抜けとは言え、イグアスはうちでも

指折りの強者だからな!

 

他にも、シスターフッドのサクラコ嬢たちは

うちのノータリンが!

ティーパーティのミカ嬢と正義実現委員会の

イチカ嬢たちはうちの弁舌が!

救護騎士団を冠するミネ嬢とその配下どもは

うちの堅物野郎が!

そして、自警団と残りのものはこの俺と俺に

ついて回る役立たずどもが叩きのめして

やったわ!!

 

こっちの被害は全くのゼロだ!たったの

一つも壊れておらん!

 

オセロは知っているか? それに例えるなら

貴様らは盤面白一色どころか、更に白を重ねに

重ねて、既に真っ白な雪山の完成だ!

 

その頂上にはナギサ嬢お墨付きのサインも

刻まれている!

 

分かったか!!ナギサ嬢の【心のこもった

サイン】を更なる石で埋もれさせたくなくば、

とっとと荷物をまとめて!ここから出ていけ!

【大間抜け】を首からぶら下げる前にな!:

 

 

ナギサ「……ごめん、なさい…!

皆さん…!!」ポロポロ

 

コハル「……………」ぼーぜん

 

ハスミ「…ナギサさん……」

 

ナギサ「私の……私の決断が……遅かった

ばっかりに……皆さんの大切な人たちに

取り返しのつかない怪我をさせてしまって…!

 

勝てないことなんてすぐに分かることだと

いうのに……!出さなくていい、傷病者を

たくさん出してしまいました…!

 

ごめんなさい…!ごめんなさぁい!!」

ガクッ! ボロボロ!

 

ハスミ「…………」

 

ナギサさんは目から滝のように涙を流して

その場にうずくまって私たちに謝まります。

 

……彼女の立場からすれば、そう簡単に

白旗をあげられないのは分かりきった

ことです。

……それでも、彼女も心優しい方です。

自分の大切な人たちをたくさん傷つけ

させてしまった自責の念でいっぱい

なのでしょう……

 

 

ヒフミ「謝らないで、ください…

ナギサさん… あなたが、悪いはず

ありません!!」

 

アズサ「そうだ…!悪いのは……

汚い欲望に染まりきったこの侵略者

どもしかいない!!」

 

ハナコ「えぇ。……仕方ありませんよ。

ナギサさんはよくやりました。

……こんな、人の皮を被った悪魔ども

からよく皆さんのために奮闘して

くれました。」ギロリ

 

コハル「…………」ぐすっ

 

コハルが……思わず涙ぐんでいます。

……本当に強い子です。

皆さんの、憎しみで変わり果てた様子を見て、

涙するのは、憎しみから完全に脱却出来ている

証拠です。

 

他の皆さんは、完全に憎しみに飲み込まれて

いるようです……

優しくて、穏やかだった皆さんの顔は

歪み切ってどこにも面影が見えません。

 

ミシガン:いつまで無駄口を叩いている

つもりだ? 大負けども!!

その犬のように惨めな眼差しをこちらに

向ける暇があるなら!

犬らしくさっさと安全な場所へ首輪を

引っ張っていってもらえ!!

 

……それとも、本当にナギサ嬢の【覚悟】に

泥を塗るつもりか?:

 

ハスミ「…?どういう意味ですか?」

 

ミシガン:そう言えば、貴様たちには

まだ言っていなかったな。

ナギサ嬢はこちらの捕虜となってもらう。

こちらの貴様らへの無事の保証と、

役立たずどもに貴様らを安全な場所まで

エスコートさせるおまけもつける代わりにな。:

 

ハスミ「何ですって…!?」

 

コハル「そんな!?ひどいよ!!」

 

ミシガン:貴様らが文句を言える立場はない!

今の貴様らの称号は惨めを首輪につけられた

負け犬だ!

こちらとしても、ここの情報は欲しいからこそ

飲んでやった、貴様ら負け犬どもにはむしろ

破格の条件だ!!

貴様らの受け答えは!負け犬にふさわしく

ワンワン喜んで、ご主人様(ナギサ)に感謝しながら

とっととここから退去することだけだ!:

 

ナギサ「……!」ギリギリィ!ギロリ!

 

そこで初めて、あのナギサさんですら

明確に分かるほどの……

いいえ、皆さんと同じく、一度も見たことの

ない、本物の憎悪に染まりきった目を

リーダー格の男に向けました。

私たちを、犬、犬、と、呼ばれているので、

私たちの尊厳を汚されているように感じて

我慢ならないのでしょう。

 

ですが…憎しみから解放されているから

でしょうか?

私には、このリーダー格の男の言葉の

裏に、優しさを感じてなりません。

 

もしかしたら、この男は教えてくれて

いるのかもしれません。

…私たちの甘さを、叱ってくれているの

でしょう。

 

ハスミ「……行きましょう、皆さん。」

 

コハル「で、でも!ナギサ先輩が…!!」

 

ハスミ「私たちは見るも無惨なほどの

敗者です。

……むしろこの程度でこの場にいる全員と

トリニティの無事な皆さんの安全を保証

してもらえるなど、慈悲に溢れていると

いうことです。

 

……彼らの常識に則れば。」

 

コハル「…………」

 

私はこの場にいる皆さんの前に出て、

代表として、この男に【謝辞を述べます。】

 

ハスミ「では、これで失礼致します。

この場の皆さんを代表して、あなたの寛大な

処遇をいただき、感謝を申し上げます。」

 

ミシガン:うむ。…さあ役立たずども!!

麗しきレディの御一行たちがおかえりだ!!

貴様らの足りん脳みそをフル活用して!

彼女たちを目一杯エスコートしてやれ!:

 

ベイラム兵:はっ!ミシガン総長!!:

 

 

ベイラム兵:さぁ、こちらです。:

 

ミシガンと呼ばれたリーダー格の男のACの

後ろから数機のMTがやってきて、私たちを

促してきます。

それと同時に、ミシガン総長の背後に控える

無数のMTたちが洗練された動きで私たちの

脱出路を開きました。

 

その促したちに従って、私たちは歩き始めます。

ーーー私たちの……いいえ、ここはもう

【トリニティ】ではありません。

ここはもう……【ベイラムインダストリーの

キヴォトス前線基地】です…。

 

ハナコ「……一つだけ言わせてもらいます。」

 

最後尾についてきていたハナコさんが、足を

止めて、一言しゃべりました。

 

ハナコ「私は……お前たちを絶対に許しは

しない…。 未来永劫、お前たちを呪い

続けてやる…!!」

 

今日1番の、いいえ、私の人生の中でも

ぶっちぎりの、深い憎悪と怨嗟がこもった

声でした。

…同じ被害者である私が、心底震えるほどの

憎しみが、その言葉に込められていました。

 

ミシガン:……なら、腕の方を磨け。

ここの門は開けておいてやろう。:

 

ハナコ「…………」フイッ

 

コハル「……」フルフル

 

 

それだけ言って、ハナコさんはまた

歩をこちらに戻しました。

 

 

コハル「……ハスミ先輩。これから

どうしよう…?」

 

ハスミ「……アビドスに向かいましょう。

先生を頼るしかないですね。

幸い、ここからでもそう遠くはありません。」

 

コハル「……うん、それが1番良いよね…

それに……」チラッ

 

コハル「………皆…とても怖いよ……

ヒフミちゃんも…アズサちゃんも…ハナコ先輩

も……… みんなみんな憎しみで変わり果て

ちゃって……何だか悲しいよ……」

 

ハスミ「…えぇ……先生なら、皆さんを

癒してくれるはずです……。

あの方は、いつだって絶望的な状況を

解決してくれましたから……

今回だって………………」

 

そこで、私は口をつぐんでしまいました。

今回は、明らかに今までのキヴォトスで起きた

どの事件よりも脅威を逸脱しています。

…先生でも……先生でも………無理かも

しれない………

そんな不安を、どうしても拭う事が出来ません。

 

私は、顔を見上げました。

そこには、いつもと変わらない青空が広がって

います。

平和だった日常と、何も変わらない青空が

広がっています。

私の、足元の、この地は……紅く紅く染まって

いるというのに……

透き通ったこの青空が……今では怖い……

まるで、どこまでも続く絶望が透けて見える

ようで………

 

そうして、たった一つのか細い路を(先生の元へ)、私たちは

歩き続けます。-----------

 

 

 

 




〜〜その頃のワンちゃんとごすずん〜〜

ウォルター「アーキバスめ…もう制圧を
終えたか…… 既に独立傭兵向けへの
公募依頼を出している。どれも占領
拡大のためのものばかりだな。

奴らのヴェスパー部隊は全員が『最新鋭の
強化人間手術を受けていると聞いているん
だがな……』←※

ネスト、ベイラムからは公募依頼は出て
いないか?」

ネストCOM:検索します…… 検索にヒット
しません。 まだベイラムグループは
公募依頼を出していません:

ウォルター「そうか、ならばベイラムは
かなりアーキバスに遅れを取ることに
なるだろうな。
全くこの世界は無情なことばかりだ……。
ほんの少しでも情を見せれば、戦局は
大きく不利になってしまう。」

ネストCOM:アーキバスの公募依頼を
確認しますか?:

ウォルター「一応な。だが、アーキバスの
依頼を受けるつもりはない。
企業どもには、出来るだけ潰しあって
ほしいからな。
そうなると、今肩入れすべきはベイラムの
方だ。」

ネストCOM:では、ベイラムグループの
公募依頼が出るのを待つということで
よろしいでしょうか?:

ウォルター「あぁ。それまで621は寝かせて
おいてやれ。昨日はよくやってくれた
からな。
起こすタイミングは俺が指示する。
ネスト、お前はベイラムの公募依頼が
出されたらすぐに俺に報せれるように
情報網を監視しておいてくれ。」

ネストCOM:了解:

ウォルター「…さぁ、いよいよお前の本領を
発揮してもらう時だ。
621…俺はお前に期待している。」



-------------------

※ つまり、「こいつら人の心とかないんか?」
って事を遠回しに言ってます。




………どっちにも救いが無さすぎんか?(号泣)
今回1番の被害者って、何気にヴォルタさん説が…
マジで、ヴォルタさん1番吐きそうな思い
してると思うんだが…
おのれ!ベイラムの上層部ども!!
貴様らマジで許さんぞ!!(憎悪)


実は、今回構想を二度変えてます。
理由は僕の心が持たないのが主な理由です。
今回だって……相当キツイってのに……


初期案…普通にレッド君にハスミ先輩を
    ボコさせる。
    →推しのレッド君の心が破壊され
    尽くされそうなので、作者の心も
    破壊し尽くされそうになったので
    断念。


2次案…駆けつけてきたコハルをイグアスか
    ヴォルタが、ハスミの代わりに
    ボコさせて阿鼻叫喚の地獄に
    させる。
    →コハルちゃんをボコボコにする
    事に、作者の心が持たないので
    断念。
    というか、レッド君がハスミ先輩に
    「お前を……信じた私が愚かで仕方
    ありません!!」ギリィ!……とか
    して、レッド君の心にクリティカル
    ダメージを与えるのが辛すぎて
    無理です。はい。


G7ハークラーは? うん、後の先生と合流
した時の回想という形でやる予定なのですが
この小説でのハークラーはアーキバスも
ドン引きするレベルのガチクズ野郎に
仕上げる予定です。
早い話、終盤の先生にボッコボコにされる
三下君役にするという事です。



次回からは、アーキバス編です。
まぁ、今回イグアスパイセンがちょっと言って
ましたが、アーキバスは更に鬼畜…というより
無情行為をやります。

さすが、アーキバス!人の心とかないんか?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。