ブルーアーカイブ:〜ACⅥ Fires of Kivototh編〜   作:とある渓流にいるかわうそ

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13話 悲劇の理由

 

 

〜〜11:45〜〜

 

 

先生「ロニー、大丈夫かな……」

 

今朝の出来事からずっと、ロニーに動きはない。

いや、ACに動かれたら困るのだが、全く話し

かけてくる事をしなくなったし、こちらが

話しかけても軽い相槌が返ってくるだけで

ほとんどしゃべらなくなってしまった。

 

シロコ「ん。相当思い詰めてる様子。」

 

セリカ「何か声かけた方がいいんじゃない?」

 

アヤネ「そう言ってセリカちゃんさっきも

声かけに行ったけど、返ってきたのは空返事

だったじゃないですか…

それで3回目ですよ?」

 

セリカ「うぅ〜っでもぉ〜〜〜!!」

 

ノノミ「セリカちゃん?闇雲に構った方が逆効果

ってこともあります。今は1人にさせてあげた方が

いいと思います。」

 

セリカ「……そう、かな… そうだね。」

 

ホシノ「………………」

 

先生「そうと言えば、ホシノもさっきから黙り

こんでるけど、何か考え事?」

 

ホシノ「うん。そうだね。……おじさんったら

また1人で抱えこもうとしてしまったみたいだ。

皆にもおじさんが裏で考えてきてた事を共有

するよ。

……と言っても、みんなも実は密かに考えて

いた事じゃないかな。」

 

ホシノの言い草に、私はピンと来る物が

あったけれど、あえて口にはせずにじっと

ホシノの言葉を待つ。

 

ホシノ「ロニーは、何しにこの星にやってきた

のかだ。いや、ロニーの言葉を信じるなら

ロニーを送り込んだ雇い主は、ここに何の用事

があるのかってことになるのかな。

ロニー自身のことは昨日の交流である程度

分かったけれど、肝心の【目的】が未だ見えて

こない。

おじさんが危惧しているのは【そこから先だ】。」

 

先生「そこから先?……」

 

ノノミ「どういうことでしょう?」

 

私は純粋に疑問符が浮かぶ。ホシノの回答が

私の予想したものと少し相違があったからだ。

それはみんなも同じだったようで、訝しげな

表情をしている。

 

そのみんなの疑問に、ホシノは答える。

 

ホシノ「…記憶を取り戻したロニーが、【味方

なのか】どうかだよ。」

 

先生「っ!!!!」

 

…当然の考えのはずなのに、私はそこに

考えが行きつかなかった。…いや、違うな。

とっくに行きついていたはずなのにそこに

考えを巡らせないようにしていたんだ。

私は……純粋にロニーを、敵だと思いたくは

なかったんだ……

 

先生「…ホシノ、それは考えすぎじゃない

かな?」

 

そんな思いから……いや、この場合は裏腹と

言うべきなのか…?

私の中にある様々な思惑や、疑念……

信じたいと言う望みが複雑に絡み合って、

自分の思いが結局は何なのか、分からなく

なってきている。

 

一つ確実に言えることは、ホシノの言葉を

私は否定したいと言うことだ。

 

セリカ「そ、そうよ!ホシノ先輩!

そんな事になるはずないわよ!」

 

セリカはどうも純粋にホシノの言葉の意味を

いまいち理解しきれてないように思える。

……そんなセリカの態度が、今では私にとって

救いとなる。

 

シロコ「ん、ロニーが敵になんてなるはず…

ない……と思う。」

 

ノノミ「考え…すぎじゃないかと……」

 

アヤネ「ロニーさんのことを……

疑いたく…ないです……」

 

セリカに続いてみんなが否定的な意見を

発するが、勢いがない。

……みんな、心のどこかでホシノの言葉に

納得している部分があるのを否めないわけか…。

 

ホシノ「うん、おじさんだってロニーが敵だとは

思えない。…力を持っているのに、それを振るわず

おじさんたちに歩み寄ってくれたこと…

ノノミちゃんがカタヘルたちが乗ってきたロボット

に襲われそうになったのを、全力で助けてくれた

こと……

……思える、わけが、ない。

………だけど、だからと言って、最悪に備えなくて

いい理由にはならない。

昨日のカタヘルたちのメカでさえ、おじさんたちの

装備じゃ歯が立たなかったんだ。

…もし、ロニーの乗るあのACが襲いかかってくる

ような事態になれば、一瞬で制圧されるだろう。

……だから、せめて先生は逃げられるようにあの

ACの……

 

 

と、ホシノが話している途中に

 

 

ガァン!!!

 

 

ホシノ「なっ!!??」

 

先生「!!??」

 

シロコ「え!!??」

 

アヤネ「いっ!!??」

 

ノノミ「!!??」

 

セリカ「なになに!?何の音!?」

 

ホシノを除く全員が重い金属音が響いた

方を向いた。

ホシノは、ずっと警戒していたため、ロニーから

目を離していなかったので、私たちより

その音の原因に一歩早く気づき、困惑の声を

あげた。

 

ホシノ「ロニー!?何してるの!!??」

 

先生「なっ……!?」

 

私の視線の先には、ACの拳をAC自身の

頭に殴りつけていた姿があった。

 

すぐに

 

 

ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!

 

 

ACが何度も自身の頭を殴りつけ始める。

 

先生「お、おい!?」

 

シロコ「ロニー!!どうしたの!?」

 

アヤネ「ちょっと!!やめてください!!」

 

ノノミ「ロニーさん!?」

 

セリカ「やめて!!やめてってばぁ!!」

 

ホシノ「ロニー!!落ち着いて!!」

 

私たちの静止も聞かずロニーはACで

ACを殴り続けた。

 

 

 

チャティ(ビジターの話では、1分間ぐらいは

ACでACの頭を殴りつけておけとのこと

だったが……)

 

 

先生「頼む!やめてくれ!!しっかりしてくれ!

ロニー!!!!」

 

 

チャティ(……もう十分だろう。ここからは

確か………)

 

 

 

ガン!!

 

 

先生「………ロニー」

 

私たちの声が届いたのか、ロニーは頭を

殴りつける事をやめた。

しかし、今度は代わりに両手で頭を抱え

始めた。

 

そして-------

 

偽ロニー(チャティ):くそ………!:

 

先生「………?」

 

偽ロニー:くそ、くそっ、くそっ!

くそ!くそ!くそ!!くそ!!!くそおおお!!!

………俺は…なんてことを……!!

 

くそったれがああぁぁぁぁ!!!!:

 

先生「……ロニー、まさかお前………」

 

シロコ「記憶を…思い出したの…!?」

 

ホシノ「なるほどね……さっきの行動からして

よほど最悪な記憶だと察せれるけど…」

 

間違い……ないだろう。突然のこの異常な行動。

それしか考えられない……。

それも、想像を絶するほど最悪な…何かを……。

 

偽ロニー:……先生、ここにはテレビはあるか…?

キヴォトスのニュースを映せるものだ……:

 

先生「……え?ニュース??? どうして

いきなり?」

 

偽ロニー:いいから、早く見せてほしい……:

 

先生「えーっと…… と、言われても、私は

アビドス高校の備品やらにそこまで詳しい

わけじゃ…

 

その時ーーーー

 

 

アロナ「先生!!先生!!!!大変です!!

彼の言う通り早くニュースを見てください!!」

 

シッテムの箱から、聞いたことのない焦燥の声で

アロナに呼びかけられる。

 

先生「え?アロ…ナ……?」

 

私はくちごもった。

アロナの顔が、見た事のないすごい顔になって

いたからだ。

その顔を、何と表現したらいいのか……

どこか、絶望が混じっているような……

 

そこにプラナも全く同じ表情で私に話しかけて

くる。

 

プラナ「先…生…… トリニティが…ゲヘナが…

………キヴォ…トス……が………」

 

先生「……え?トリニティが…ゲヘナが……

どうしたって言うんだい!?」

 

半ば魂が抜けたような2人の顔に、プラナが

発した言葉に、私はただならぬものを感じる。

 

 

アヤネ「あ!ありました!テレビのリモコン

です!」

 

セリカ「正直ここでテレビなんてあんまり

つけないもんね。」

 

そんな2人の声が聞こえてきた。

私はすぐに

 

先生「ごめん!アヤネ!!そのリモコンを

貸して!!!」

 

パシッ

 

アヤネ「きゃっ!?」

 

アヤネからひったくるようにテレビの

リモコンを手に取って、すぐさまテレビの

電源を入れた。

 

セリカ「ちょっ!?先生!!」

 

ノノミ「乱暴ですよ!」

 

シロコ「先生まで、なんかおかしいよ!」

 

ホシノ「そうだよ!先生までどうし、た……って」

 

先生「………は?」

 

 

私を非難する声は止まり、私と同じく

対策委員会のみんなもテレビに映し出された

映像に目が釘付けになった

 

だって、あまりに信じられないもの

だったから------

 

 

 

 

 

【謎のロボット軍団により、トリニティ、

ゲヘナ陥落!!】

 

【なおも止まらないロボットたちの侵略!】

 

川流シノン「皆さん見てください!!この変わり

果てたゲヘナを!!

見たことのない高度な建造物が次々と建てられて

います!!ほんの2時間ほど前まではいつもと

変わらなかったのに…!?

い、一体何が起きているのでしょうか!?

ここでの別の現場に中継を繋ぎます!!

 

風巻マイさん!聞こえますかー!?」

 

風巻マイ「は…い…… 別現場の、風巻マイです…

今、まさしく私たちの目の先でロボットたちが

侵略行為を繰り広げています……。

み、見たこともない兵器を使用しています…

あれは…プラズマ…なのでしょうか…?

青白い閃光と、共に……街があっという間に…

………あの、えっと………これって、現実……

ですか……?

夢なんじゃ……ないでしょうか……?

だ、だって…こんなこと……が……

 

 

ドガン!!

 

テレビに一瞬映る巨大な銃。

 

シノン「……え?マイ先輩?」

 

独立傭兵AC1:おー、こんなところに呑気に

突っ立ってやがる間抜けがいやがったぜ。:

 

独立傭兵AC2:この機材見る限り、テレビ中継を

していたんじゃねえのか?:

 

独立傭兵AC1:あぁ?……あー確かに。でも逆に

よかっただろうがよ。ちょこまか動き回られずに

済んだんだからよ。

こいつら身体能力が無駄に高いせいか、結構

素早いんだよなぁ……

たくっ、ただでさえ力加減が難しいってのによぉ。

死にたくなきゃこいつみてえにおとなしくしとけ

ってんだ。:

 

独立傭兵AC2:…お前、ちょっとは心とか痛まねえ

のかよ……。この子らはこれでも子供だろうが…:

 

独立傭兵AC1:……そういやお前、この世界に

入ってまだ日が浅いんだっけか……。

じゃあちょうどいい仕事かもしれんな。

俺たち独立傭兵は腕がなきゃ、仕事を選り好み

出来る立場にはつけねえ。

……お前もこれから先やっていくなら、この

依頼と同じぐらい胸糞悪い行為に手を染める

覚悟をしとけ。

……これが心を殺した先輩からの助言って

奴だ。:

 

独立傭兵AC2:…………:

 

ひょい

 

マイ「ぁ……ぁ………」

 

独立傭兵AC1:お、ちょうどいいぐらいに

仕上がったなぁ。

こいつで、50人目……そろそろ換金に行くかぁ。:

 

独立傭兵AC2:なぁ…あのアーキバスだろ……?

あそこに渡したら、この子たちは……

 

独立傭兵AC1:考えるな。俺たちは、アーキバスの

依頼を受けたんだ。……この先仕事が欲しいなら

依頼主の懐を探るような真似も、思いも、巡らせ

ねえようにすることだ。:

 

独立傭兵AC2:…………:

 

独立傭兵AC1:せめて俺たちに出来ることと

言ったら、ここでがっぽり稼いで、しばらくは

胸糞悪い仕事を受けなくて済むようにすること

ぐれぇだろうな。……行くぞ。:

 

独立傭兵AC2:……あぁ。:

 

ブオオオオオオオ!!

 

 

[残されたカメラに、映し出される

独立傭兵のACたちに攫われる人たちの姿]

 

[なおも続くアーキバス部隊の破壊活動]

 

シノン「へ……?マイ先輩……?………え?

このカメラ……何映してるの……?

あ……れ……?繋げた時……背景に何も

映ってなかったっけ……?

あの……青白いの……何………?

待って待って待って…!?マイ先輩、どこに

連れて行かれたの…!? 換金って何!?

この映像に映っている人たち…どうなっ

ちゃうの!?

ねえ!?夢だよね!?これ!!

現実じゃないよね…!?こんなの……こんなの!

悪い夢に決まって

 

アーキバスMT:そこで何をしている?:

 

シノン「ひぃ!?」ズサァ!!

 

アーキバスMT:これより先は、アーキバスの

管轄地域だ。撮影などはご遠慮願おう。

なお、抵抗する場合は身柄の拘束、困難な

場合は殺処分させていただく。:

 

シノン「あ…あぁ…」

 

アーキバスMT:即刻退去せよ。さもなくば撃つ。

繰り返す、ただちに退去せよ。従わないならば

問答無用で撃つ。:

 

シノン「は!は!はいいいいいいい!!!!」

タタタタタタタタ!!!

 

アーキバスMT:……これでよろしいのですか?

第5隊長殿。スネイル隊長閣下は……

……いえ、そうですね。確かに私たちは守る

ようにとしか指令を受け取っていませんね。

……正直、私も無闇に被害者を出したくは

ありませんでした……

第5隊長殿のお心遣いに感謝申し上げます。

引き続き、パトロールを継続します。:

 

プツッ

 

アーキバスMT:……おっと、あれは破壊

しなければな: ドン

 

 

ブツン!!

 

 

 

 

先生「………なんだ、これ……?」

 

セリカ「これ……特撮か何か……?」

 

アヤネ「で……も………テロップに、

はっきりとトリニティとゲヘナって……」

 

ホシノ「そう…いう……設定なのかな…?」

 

シロコ「ちが…う……紛れもない…現実……

だよ……さっきの報道………」フルフル

 

ノノミ「連邦……生徒会の……公式チャンネル

にも……テレビの報道と全く同じ事が、

報道されています…!」フルフル

 

先生「……え!?」

 

私はすぐさま、自分のデバイスを確認した。

鞄に入れていて、その上マナーモードに

していたので全く気づかなかったけど、

リンちゃんからおびただしいほどの着信

履歴に、モモトークからの異常な通知。

……今も震え続けるデバイスにお構いなしに

私は連邦生徒会の公式アカウントへと

入った。

……そこには、私の目の機能が狂ってしまった

のかと思わせられるタイトルばかりだ。

 

 

【謎のロボット軍団により、ゲヘナ壊滅】

 

【パンデモニウムソサエティ、壊滅】

 

【ゲヘナ風紀委員会、行方不明】

 

【謎のロボット軍団は、トリニティも殲滅】

 

【正義実現委員会、虐殺により事実上の

壊滅か】

 

【シスターフッド、生き残りはたった3名の模様】

 

【救護騎士団、敵の圧倒的な戦力に、屈服か】

 

【ティーパーティー現ホストの桐藤ナギサ、

敵方に捕虜として投降により、トリニティは

敵方へと事実上の陥落】

 

【ロボット軍団はなおも進撃止まらず、

クロノススクール壊滅、レッドウィンター

学園壊滅、ハイランダー鉄道学園壊滅………】

 

 

先生「待って……くれ…… 何かの……

冗談だよな……?」

 

あまりの、内容に……脳の処理が追いつかない。

追いつけるはずがない…… 理解、したいはずが

ない………。

こんな、こんなものを、現実と認めろって

言うのか……?

性質の悪い集団的いたずらだって言われた方が

まだすんなりと飲み込める。

 

セリカ「へ……?トリニティの戦略兵器が……

なすすべなく一瞬で敗北した……ツルギ……

さんのこと……?」

 

ノノミ「そんなの……ありえなくないですか?

だって、あの人、電車で10mくらい吹っ飛ば

されても無傷だったっていう噂があるくらい

ですよ……?」

 

シロコ「こっちには、ヒナ委員長が黒焦げに

されたって、記述されてる……」

 

ホシノ「そんな…何かの誤情報じゃないの?

シロコちゃん…… だって、ヒナちゃんは

おじさんが本気出しても敵わなかったほど

だったんだよ!?」

 

アヤネ「ゲヘナの……生徒たちは……わずかな

生き残り以外は全て虐殺されたという線が

濃厚…… 行方不明の風紀委員会も全員死亡

したものと見るのが適切か……?

ははっ……、まだ他所とはいえ、こんなものを

信じろって言うんですか……?」

 

私の耳は……何を捉えているんだ?

ツルギが、ヒナが、敗北?

私の、大切な生徒たちが…虐殺されたって…?

理解できない…… こんなもの、どうやって

受け入れろって言うんだ!!??」

 

対策委員会「……………」

 

先生「あ……すまない。私ったらまた言葉に

出てしまっていたか……」

 

 

偽ロニー:やはり……そうか……。奴ら…あぁ、

そうか……昨日の流星群がそうか……

いや、その前の、【コーラル物質の薬物】を

見た時に……!

何で……何で……!思い出せなかったんだ!!:

 

シロコ「……ロニー………?」

 

セリカ「まさか……あんたが……関係している

ことなの……?」

 

アヤネ「ははっ……そんな……?嘘ですよね?」

 

ホシノ「……お願いだよ。ロニー……違うと、

言って……」

 

偽ロニー:……すま、ない…………。

ちくしょう……!ちくしょおおう!!!

あぁ、そうだ……!俺は……【アーキバス】

どもに【侵略の先兵にされた】んだった…!

……俺が……あいつらを……呼び寄せて

しまった……!:

 

ホシノ「!!!!」

 

先生「そ…んな……」

 

ノノミ「じゃあ……私を助けてくれたのも…

今までの全てが、全部嘘だったってこと

ですか…? 演技してたと…?」

 

チャティ(!)

 

セリカ「何よ……それ。じゃあ、侵略が

目的ではないってのは、嘘で………

初めから侵略する気だったってこと?」

 

アヤネ「…………」

 

シロコ「そんな……嘘だよ………

嘘って言ってよ!!ロニイィィ!!」

 

チャティ(まずいな……少し話し方を失敗

したか…… これ以上疑われる前に、弁明を

 

ホシノ「うへぇ…良かったぁ〜。」

 

ホシノが、突如今の場に全くそぐわない

いつもの間の抜けた調子で「良かった」と

しゃべる。

……見れば、先ほどの信じられないと言った

顔が、嘘のようにリラックスしていて、

安堵に満ちた顔をしているじゃないか。

 

チャティ(……?)

 

先生「……は?」

 

私は……思考が上手くできない。

ホシノの、態度がまるでわからない。

そんな…そんな……態度は…………

 

シロコ「……え!」ピョコ!

 

ノノミ「ホシノ先輩…?」

 

アヤネ「え………」

 

セリカ「……何で、そんな間の抜けた

表情してるの……そんな、いつもみたいな……

空気分かってるの……!?」

 

みんなの視線が一斉にホシノへと向けられた。

非難めいた眼差しが多数の中、シロコとアヤネは

希望の目をしている。

それに気づいたのか、ホシノが少し慌てて、

言葉にした。

 

ホシノ「ぅえ!?あーっと……セリカちゃん、

おじさんそんな顔してた……?

そっかぁ…… ちょっと場違いな顔してた

ようだね〜……

おじさんったら、ひとつ、【安心】して

つい……」

 

先生「……安心?」

 

またもや今の空気にそぐわないワードが出て

私は純粋な疑問をつい言葉にしてしまう。

その言葉を聞いて、ホシノはみんなを諭すように

話し始める。

 

ホシノ「うん。……こんな事態に陥ってなん

だけど……おじさんが気にしていた事が、

今のみんなの疑念が、少なくとも杞憂って

事が分かったからだよ。

 

………みんな、【記憶を取り戻したロニーは

私たちの敵じゃない。味方だ。】」

 

先生「!!!!」

 

シロコ「んっ!!」

 

アヤネ「あぁ…よかった……!」

 

セリカ「え…?そうなの…?」

 

ノノミ「ホシノ先輩、何を根拠に…?」

 

チャティ(何だと…?)

 

その言葉に、私の希望が大きく膨らんでいく。

絶望的な情報の中で、差し込まれた唯一の

希望的な情報。

それは、奇しくも私の疲弊した心を癒すのには

てきめんだった。

 

先生「説明を、してくれるかい?ホシノ。」

 

私は私の期待を抑えることなど出来ず、疑問の

答えを催促する。

ホシノは、それに答えてくれる。

 

ホシノ「うん。……そもそもみんな、ロニーの

言葉をちゃんと聞いて欲しい。

さっきのニュースも原因してのことだろうけど、

みんな【侵略】って言葉に傾聴しすぎたん

じゃない?

……そうじゃない、ロニーは【侵略の先兵に

された】……【された】って言ったんだよ。

決して侵略しに来たって言ってはいないよ?」

 

先生「……あ」

 

シロコ「……しまった、迂闊」

 

ノノミ「ホントですね…」

 

アヤネ「あー!」

 

セリカ「確かに……」

 

確かに言ってる…… ホシノの指摘通り、

直前で見た侵略のニュースで、ロニーの

言った【侵略】の言葉に強く結びつけられて

しまったようだね……

 

セリカ「……あっ!てことは!!ロニーも

騙されたってこと!? ほら!確か雇い主が

いるとか何とか言ってたじゃん!!」

 

ホシノ「うへぇ、セリカちゃん珍しく勘が

いいねえ。

おじさんはそう思うんだけど、どうかな?

ロニー?」

 

偽ロニー:……あぁ。そうだ………:

 

ホシノ「……話すの、辛いよね。おじさんが

推測を話すよ。大体合ってると思うけど、

もし違ってたら直して?」

 

すぅ、と息を吸ったホシノは私たちにも

分かるように自らの推測を話し始める。

 

ホシノ「おそらく、ロニーが雇い主から

受けた初めの依頼内容は【侵略】では

なかったんだ。調査か、何か……

それが何かは分からないけど、ともかく

ロニーは【侵略】のつもりなく依頼を受けて

私たちの星へと出発した。

だけど、何かの拍子でロニーは自分が

雇い主に【侵略の片棒】を担がされている

事に気がつき、ここにやって来る直前で

契約の破棄を申し出た。

…ロニーは、雇い主に裏切り者として

【処分】されて、このアビドスに

墜落してきたんだ。」

 

先生「っ!!そう、か…!!そう言えば

あのコンテナには…何者かに撃たれたような

破壊痕があった!!」

 

アヤネ「え?そうでしたっけ?」

 

シロコ「そんなのあったっけ?」

 

セリカ「…あ、そう言えば!見えにくかったけど

初め見た時、コンテナの上が煙を上げて大きな

穴みたいなのが空いてたの見えたよ!!」

 

ノノミ「あら〜、ここに来てセリカちゃんが

冴えてますね〜」

 

セリカ「え、えへへ……」

 

先生「……そうか。昨日の流星群は、全て

ニュースの侵略者たちだったわけか……

侵略者たちは、撃墜なんてされていない

から着陸出来るようにちゃんとスピードを

落とした、だから流れ星のように消えて

見えたんだね。」

 

シロコ「だけど、ロニーは侵略者に

撃ち落とされて、このアビドスに

クレーターを作るほどの隕石として

降ってきてしまったと……」

 

ノノミ「……今更なんですが、よく生きて

ましたね……」

 

ホシノ「それもこのACがいかに頑丈かを

表しているってことだよ……。

つまり、それだけ奴らとの戦力差も大きい。」

 

先生「………………」

 

ホシノ「続けるよ?奴らの記憶を失ってしまった

ロニーは、私たちと出会って、アビドス高校に

来た後、ある物を捉えてしまう。

……多分密かに雇い主にACに【それ】を

知らせる装置か何かをつけられていたん

だね……

だから、ロニーは奴らを呼び寄せてしまったと

言ったのかな。確証はないけど…」

 

ノノミ「ホシノ先輩、【それ】とは?」

 

ホシノ「これだよ」

 

ホシノが視線を向けた先には、押収した

話題になっている【紅い麻薬】だ。

 

セリカ「……へ?それ?」

 

シロコ「そんなもの、何の関係が……」

 

ホシノ「それはおじさんには分からない。

けれど、錯乱してた時のロニーが言ってたんだ。

聞いたことのない言葉もあったから全部は

しっかり聞けてないけど、確かに【薬物】って

ロニーは言った。」

 

先生「っ!!」

 

シロコ「そういえば……確かに言ってた。」

 

セリカ「じゃ、じゃあ、今あいつらが

キヴォトスに侵略してきているのはこれが原因

ってこと!?」

 

ホシノ「……おじさんの推測出来るのは

ここまでが限界。ここから先は、それこそ

ロニーに聞かないと分からない。

………ロニー、とりあえずはおじさんの

推測は合ってるかな…?」

 

チャティ(……危険だな。この[小鳥遊ホシノ]は。

俺たちが用意したシナリオをわずかな情報

だけで推測し、完全な解答を言ってのけるとは…

さすがに連中のリーダー格を張っているだけの

ことはあると言うことか。

……下手をかくと、こちらの【真意】にすら

気づかれる恐れがある。

小鳥遊ホシノには慎重に接する方が得策か…)

 

偽ロニー:ホシノの言った通りだ……:

 

ホシノ「…えっと…………」

 

偽ロニー:分かっている。もう記憶は全て

取り戻した。

………俺は罪を清算しなければならない。

今こそ、ホシノが最初にした【質問】に

答える時だ。:

 

シロコ「その前に!」

 

偽ロニー:どうした?シロコ?:

 

シロコ「ロニー、ありがとう。私たちのために

奴らに刃向かってくれたんだよね?」

 

先生「っ」

 

……あぁ、そうだ。私は、命をかけて強大な

侵略者たちに反旗を翻してくれた男を疑って

しまったんだ……。

情けないな…… 生徒であるシロコはすぐに感謝

したというのに、大人である私が先をこされて

しまうなんて……

 

偽ロニー:…俺には君たちに礼を言われる資格は

ない。現に、企業どもを呼び寄せてしまった事に

何の変わりもない。俺は罪人…

 

先生「それは違う。」

 

ロニーの言葉を、私は遮る。

罪人などと、そんな事があるはずがあるか。

ロニーは……騙されていたんだ。【悪い奴ら】に。

……私は先生で、【大人】だが、【大人】が、

【大人】に利用されないなんて事はない。

いいや、大人の方が子どもより利用されるなんて

ことは世界の常識と言っていい。

【子ども】が【大人】に騙される事以上に、

【善い大人】が、【悪い大人】に騙される

事は、この世界では吐いて捨てるほど

ありふれている常識なんだ。

 

だから……悪いのは初めからロニーという

善人を騙して利用し、挙句切り捨てた

【企業という悪人たち】以外にいない。

 

先生「君は、悪くない。ロニーは、この世界でも

指折りの善人に間違いないよ。私が保証する。

…そうでなければ、見ず知らずの私たちのために

【企業】を裏切る事はしない。

ほとんどの人間は、命惜しさに、【企業】の

命令に従うだろう。

……自分の良心にしたがって、命をかけて

【企業の大人たち】に反抗することを選んだ

君は立派なんだよ。

だから、自分を罪人だなんて言わないでくれ。」

 

偽ロニー:…………:

 

先生「むしろ謝るのは私の方だ……。

すまない。ちゃんと事情を知ろうともせずに

君を疑うような真似をして……

どうか、許してくれないか?

そのためなら私はロニーに何でもするよ。」

 

セリカ(出た!先生のクソボケ奥義1!

「何でもする!」)

 

ノノミ(先生が何でもするって言ったら

本当に何でもしますもんねぇ……)

 

ホシノ(はぁ……それで何度私たちの間で

修羅場になったか……)

 

シロコ(その言葉、本当に安易に使わないで

ほしい……)

 

アヤネ「わ、私も!謝らせてください!

一瞬でもロニーさんを疑ってしまいましたから!

先生じゃないですけど、私も何でもします!」

 

セリカ「私もよ!ロニーを侵略者とか言って

ごめんね!私も先生じゃないけど、ロニー

何でもするわ!」

 

ノノミ「んふふっ、私も先生じゃないですけど

ロニーさんに特別に何でもしちゃいますよ〜?」

 

先生「あの?先生じゃないけどってなに…?

ていうか!女の子が大人の男に向かって何でも

するなんて言ったらダメだよ!」

 

シロコ「ごめん、先生が言っても説得力皆無」

 

先生「え?何で?」

 

ホシノ「うへ〜、先生まさかの自覚なしか〜」

 

偽ロニー:……ふふ、優しいな、お前たちは…

………何でもか。じゃあ、ひとつ頼んでも

いいか?:

 

アヤネ「はい!何でも言ってください!」

 

先生「あ、ロ、ロニー?大丈夫って分かってる

けど、あんまり変なお願いしないでね…?」

 

偽ロニー:……俺を、改めてお前たちの味方に

ならせて欲しい。

……お前たちが、いくら俺のせいではないと

言っても、俺が原因になってるのは揺らぎ

ようのない事実だ。

……罪滅ぼしをさせてほしい。そうでないと

俺は自分の気がおさまらない。:

 

セリカ「はぁ!?何言ってんの!?

ロニー!! あんたはもう私たち対策委員会の

仲間だっての!」

 

先生「そうだよ。それじゃあ、私たちが何かを

してあげれた事にならないよ。」

 

ノノミ「別のでお願いします。」

 

偽ロニー:そうか…。じゃあ、こういうのは

どうだ? ここに、俺たちで[レジスタンス]を

結成するってのは。

もちろん、【企業】どもへの抵抗組織のな。

……奴らに、ここを渡しはしない。:

 

レジスタンスの結成か……。

いいね……とても魅力的な提案だね。

 

セリカ「いいわね!それ!!レジスタンス!

何かかっこいいわ!!」

 

ホシノ「うんうん!ロニーも加えた新しい

チームの結成!

おじさんは改めてみんなの仲間意識を高め

られるからいいと思うな!」

 

シロコ「んっ!私も賛成!!」

 

ノノミ「ん〜、となると名前をどうするか

ですね〜。」

 

先生「あぁ、名前かぁ………。何かいい

名前あるかなぁ…」

 

偽ロニー:………別にキヴォトス防衛戦線とか

でいいんじゃないか?:

 

セリカ「ダメよ!私たちで結成するんだから

アビドスの名前を入れるに決まってるでしょ!」

 

偽ロニー:いや、この問題はアビドスだけじゃない。

キヴォトス全土の…:

 

セリカ「ダメったらダメ!……けど、防衛は

いいかも!」

 

アヤネ「あ、それじゃあアビドス防衛委員会なんて

どうでしょう!」

 

先生「いや、それだとアビドスだけに聞こえる

から…… ロニーの言うようにキヴォトスの名前に

差し替えてキヴォトス防衛委員会が妥当じゃ

ないかな?」

 

ホシノ「うへー!私たちが最初に結成するんだから

やっぱりアビドスの名前を入れたいよー!!」

 

シロコ「ん、やっぱりアビドス防衛委員会に

するべき」

 

先生「えぇ……」

 

偽ロニー:……ならばこうしよう。これから先、

キヴォトスのみんなが先生、あんたを頼りにして

このレジスタンスに集ってくるだろう。

だから、このレジスタンスは最終的には

キヴォトスの全員が所属する大所帯に

なるはずだ。

と、なると部署分けもしなければならない

わけだ。:

 

ノノミ「ふむふむ」

 

偽ロニー:組織全体の名前は、キヴォトス防衛

委員会にして、その中枢として、【アビドス

総司令部】なる名前をつけた部署を作るのは

どうだ?:

 

セリカ「!!!!!いい!それいい!!!

その案採用!!」

 

シロコ「んっ!私も気に入った!異論なし!」

 

ノノミ「決定ですね〜!」

 

先生「え?いやそんな、中枢となる部署に

そんな1地域の名前つけるのは…」

 

ホシノ「先生、もう決定だよ。おじさんは

異論は認めないよ?」

 

先生「………………」

 

偽ロニー:リーダーはもちろんあんただ。

シャーレの先生。

役職はキヴォトス防衛委員会総司令って

ところか?:

 

セリカ「いいわね!それじゃロニーが

副司令ね!」

 

ノノミ「後〜、先生にはアビドス総司令部の

顧問も兼任していただきますからね〜?」

 

アヤネ「他の部署に取らせないための対策に

ですね!」

 

ホシノ「賛成賛成!」

 

シロコ「んっ、裏切ったら先生は私たちに

貞操を捧げること。」

 

先生「……………もう何でもいいです。

それじゃあ、形だけど、結成の

言葉を言おうかな?」

 

セリカ「いいわね!」

 

シロコ「ん」

 

アヤネ「はい!」

 

ノノミ「はーい!」

 

ホシノ「うへぇ!」

 

偽ロニー:……ふっ:

 

 

先生「じゃあみんな……… この地を

このキヴォトスを、ロニーが言う【企業】たち

から守り抜く。奴らにキヴォトスを渡しは

しない!」

 

偽ロニー:あぁ、あんたらの大切なこの地を、

奴らの腐った欲望の苗床にはさせん。

企業どもをこの星から追い出すぞ!:

 

ホシノ「当然だよ。土足で他所様の

土地を踏み荒らした報いを受けさせるよ!」

 

セリカ「当然!私たちキヴォトスに手を出したら

どうなるか、思い知らせてやるんだから!」

 

シロコ「ん!ついでにあいつらが持ってる

ロボットは全部もらう!ついでにお金も全部

剥ぎ取る!

これでアビドスの借金も全部返せるっ!」

 

ノノミ「いいですねぇ!私もロニーさんの

ロボットに乗ってみたいです!」

 

アヤネ「いいです!それとってもいいです!

お金はダメでもACは必ずぶんどりましょう!」

 

先生「よし。ではここに、【キヴォトス防衛委員会:

アビドス総司令部】の設立を、宣言する!」

 

 

「「「「「おぉーーーーー!!!」」」」」

 

 

アロナ「先生先生!私も【キヴォトス防衛委員会】

に入れてくださいね!!」

 

先生「ん?あぁ、もちろんだ!アロナも

プラナも、このキヴォトスの一員だからね!」

 

アロナ「先生!!」パァ!

 

プラナ「……………」

 

アロナ「あれぇ?プラナちゃん?何でずっと

黙ってるんですかぁ?」

 

プラナ「……いや、こんな状況なのに明るく

出来ないですよ……」

 

アロナ「まぁ……それはそうですけど…」しゅん

 

 

プラナ(……何でしょう。あのロボットとニュース

の光景を見てたら、頭が疼きます…)

 

プラナ(…まるで、『見たことがある』かの

ような……)

 

 

 

チャティ(………いい人間たちだ。心を持たない

俺でも、騙しているのが、忍びなくなってくる

ほどだ…)

 

偽ロニー:さて、まず奴らに対抗するためには

ホシノの質問に答えることをしなければな。

だが、企業どもの目的を話すには【そいつ(紅い麻薬)

について、話さなければならない。

正体と、歴史についてもな。

先生、連邦生徒会につなげることは出来るか?:

 

先生「………あ」

 

し、しまった…… 状況が状況だけあって、

リンちゃんからの着信を完全に無視した

ままだった!

………そうだね、これは、リンちゃんも

聞いておくべき事だろうね。

 

先生「分かった。現連邦生徒会長代理、リンちゃんに

連絡して、その後にシッテムの箱でロニーとも

話せるようにするよ。」

 

先生「頼めるかい?アロナ。」

 

アロナ「はーい!お任せください!先生!」

 

先生「よし、ちょっと待っててくれ。」

 

私は、デバイスを取り出し、今まさに

リンちゃんから通話がかかってきた着信に

出る。

 

 

先生「もしもし?リンちゃん?」

 

七神リン:あ!……先……生………?

先生なのですか!? 無事なんですか!?:

 

先生「うん、電話に出れなくてごめんね?」

 

リン:あぁ、よかった…… あなたが、この

ロボットたちの襲撃に巻き込まれてはいない

かと……心配で心配で……!:ぐすっ

 

先生「うん。心配してくれてありがとうね?

私はこの通りピンピンしてるからさ?」

 

リン:えぇ… あなたに何かあったら……

私は、連邦生徒会長に顔向け出来ません

から……:

 

 

偽ロニー:先生、出来れば早くしてくれ。

ちゃんと説明するが、時間がない。

一刻の猶予も争う事態だ。:

 

ロニーの言葉に私はゆっくり頷き、私は

リンちゃんに早速本題を切り込む。

 

 

先生「リンちゃん、分かるとは思うけど

無事を喜んでいられる時間すらないんだ。

……今、私のすぐ近くに、今のロボットたちが

攻め込んできている事態の理由の【全て】を

知っている人物がいる。

名前はロニー。今から私たちもロニーから

話を聞くところだ。

リンちゃんも連邦生徒会の代表として聞いて

ほしい。」

 

リン:!……先生が昨日保護したというロボット

の搭乗者ですか…。分かりました。私も同席

します。:

 

先生「シッテムの箱でロニーの姿を映す。

……と言っても、彼は事情があってロボットから

降りられないから映るのはロボットの姿に

なるけどね。」

 

リン:分かりました。先生、よろしくお願い

します。:

 

 

先生「アロナ、頼む。」

 

アロナ「はいはーい!画面出力しますよー!」

 

 

フォン

 

 

偽ロニー:どうも、初めましてだな。あんたが

連邦生徒会の代表か?:

 

リン「はい、今は行方不明の連邦生徒会長に

かわって、代理を務めさせていただいて

おります、[七神リン]と申します。

あなたがロニーさんですね?

早速ですが、先生からあなたが今キヴォトスで

起きている侵略の事由の全てを知っていて、

今からそれを話すと伺っておりますが…」

 

偽ロニー:あぁ、その通りだ。リン殿。

知っての通り、時間がない。すぐにでも

説明に入りたい。準備は出来ているか?:

 

リン「問題ありません。それと、殿は結構です。

私のことは七神か、リンとお呼びください。」

 

偽ロニー:ではリン。それに先生にシロコ、

ホシノ、アヤネ、セリカ、ノノミ。

よく聞いてくれ。質問があったらその都度

するようにな。:

 

先生「分かった。」

 

ホシノ「了解だよ。」

 

ノノミ「はい。」

 

シロコ「ん」

 

セリカ「OK!」

 

アヤネ「了解です。」

 

リン「はい、お願いします。」

 

偽ロニー:よし。じゃあまずは企業どもが

ここへとやってきた大元の原因、お前たちが

呼称している【紅い麻薬】の正体について

話そう。:

 

リン「!!!それの正体を知っているの

ですか!?」

 

偽ロニー:あぁ、何せ、こいつは俺たちの

世界じゃ【業深い代物】だからな。:

 

リン「………続きをお願いします」キュッ

 

偽ロニー:…お前らが呼ぶこの紅い麻薬の

正体は、【コーラル】だ。

この薬物には、そいつが主成分として

含まれている。

このコーラルこそが、全ての元凶であり、

争いの火種そのものだ。:

 

先生「コーラル……?」

 

ホシノ「何なの?それは……」

 

偽ロニー:半世紀以上前の話だ…。この

星より遠く遠く離れた、ある星域のうちの

一つの惑星に、誰が見つけたかは知らないが

【コーラル】と言う物質を発見した。

コーラルが発見された惑星は【ルビコン】という

名称がつけられ、その夢のようなエネルギー

物質を研究するため、科学者たちがルビコンへと

移住していった。:

 

ノノミ「夢のような、エネルギー…?」

 

偽ロニー:この地にも、自動車はあるか?:

 

アヤネ「えぇ、ありますよ?」

 

偽ロニー:一度は考えたことがなかったか?

…このまま、ガソリンを補給することなく

無限に走り続ければいいのにな…って:

 

セリカ「いや、そんなの、自動車だけに

限らないんですけど……」

 

シロコ「電気も、作らずとも永遠に使えたら

電気代かからないのにとは、いつも考える。」

 

リン「ですが、そんなものは夢物語です。」

 

偽ロニー:あぁ。だから【コーラルは夢のような

エネルギー】なのさ。:

 

リン「……え?まさか……!?」

 

偽ロニー:コーラルは、そこにあるだけで

無限に増殖する特性があり、電気やガソリン……

ありとあらゆるエネルギーの代替として、

使用することが出来たエネルギーだった。

しかも、既存のどのエネルギーよりも、

良好なパフォーマンスを発揮した。:

 

リン「そんな…バカな……!?」

 

先生「無限に増殖だって…?」

 

セリカ「つまり……コーラルがあれば……

エネルギーが尽きることがないってこと?」

 

偽ロニー:その通りだ。その【紅い麻薬】が

証明しているな。:

 

アヤネ「え?」

 

偽ロニー:昨日、そいつを押収した時、そんな量

あったか?:

 

アヤネ「え……… えぇ!!?ふ、増えてる!?」

 

セリカ「え!?うそ!?気のせいか、今までのと

混ざったんじゃないの!?」

 

アヤネ「いえいえ!そんなことにならないように

ちゃんと管理してますもん!!記録も取ってますし!

ちょ、ちょっと質量計でもう一度量ります!!」

 

 

アヤネ、カタヘルから押収した薬物を質量計で

量りなおす。

 

 

アヤネ「うそ…でしょ………!?」

 

先生「どうだったんだい!?」

 

アヤネ「増えて、ます……明らかに……

1.3倍ほど、質量が………」

 

セリカ「う…そ……!?」

 

ノノミ「これは……キヴォトスそのものが

ひっくり返る発見ですね……」

 

シロコ「んっ!こんなのがあらゆるエネルギー

として使えるとするなら……すごい発見!!

このコーラルをアビドスで特許化して売り出せば

借金返すどころか、アビドスは他のどこよりも

発展を

 

偽ロニー:なるほど、シロコ。お前も企業の

クズやろうどもの仲間入りをしたいらしいな。:

 

シロコ「え?」

 

先生「……先に答えが出たね…さっきのシロコの

言葉が、奴らの侵略の理由というわけだ。」

 

シロコ「……あ」

 

ホシノ「尽きることなく、無限に増え続ける

エネルギー物質なんて独占する事が出来れば、

手に入れたものは途方もないほどの栄華を

約束されたも同然だねぇ…

それこそ、このアビドスですらも………

 

確かに、私たちを虐殺してでも、企業は

【コーラル】を求めるわけだ。」

 

リン「あぁ……これは喜んでいいのか……

悔やむべきなのでしょうか……」

 

先生「…………」

 

偽ロニー:はっきり答えてやろう。

【悔やむべき】だ。:

 

先生「……え?」

 

リン「ず、ずいぶん言い切りますね…」

 

セリカ「いや、私は喜ぶべきだと思う!」

 

ノノミ「私もセリカちゃんに同意です。

確かにこのコーラルが企業たちの侵略の

理由になっているというのは、悔やむべき

でしょう。

ですが、尽きることなく、無限に活用出来る

エネルギー資源が、私たちのキヴォトスから

出た事は大いに喜ぶべきでしょう!

このコーラルさえあれば…… いつかは尽きると

言われる石油などのエネルギー資源の枯渇を

解決し、貧しさで食料も食べられず、飢えに苦しむ

貧困の人たちだって救えます!

 

もちろん、目下の目的は企業たちを打倒する

事ですが、それが終われば、私たちでこの

コーラルを…!」

 

偽ロニー:そのコーラルがかつて存在していた

【ルビコン】の末路が、周りの星々の全てを

巻き込んだ炎による滅亡としてもか?:

 

ノノミ「……え?」

 

先生「何だと…!?」

 

偽ロニー:歴史の続きと行こうか。研究者たちは

コーラルを研究していくうちに、その凄まじい

能力を次々に解明していった。

コーラルは、エネルギーだけでなく、【食料】と

しても、優れた【情報伝達媒体】としての能力も

有していたんだ。:

 

リン「しょ、食料にもなるんですか…!?」

 

セリカ「す、すごい!ノノミ先輩の言ってた

食糧不足を直接的に解決出来るってことじゃ

ない!!」

 

シロコ「でも……そのコーラルのせいで

ルビコンって星が滅んだって…… どうして?」

 

偽ロニー:…事故だな。:

 

ホシノ「事故?」

 

偽ロニー:いや……違うだろうな…… 研究者

どもの……… いいや、俺たち人間の傲慢の

ツケの結果なんだろうな。:

 

シロコ「ごう…まん……」

 

先生「………………」フゥ

 

偽ロニー:研究者たちは、コーラルの凄まじい

能力に…次第に取り憑かれて行ったのさ。

奴らの『狂った研究成果』は俺たちの人類

世界の科学を飛躍的に進歩させたが……

研究者たちは、己の欲望のままに、コーラルを

活用し尽くそうとした結果、ついにはコーラルを

御しきれなくなり、【事故】を起こしてしまった。

……その時既に、星を覆うほどに増え続けていた

コーラルの全てに火がついた。

……もうお察しの通りだと思うが、その火は、

ルビコン全土だけでなく、その周りの星域

全てにまで及び、跡形もなく焼き尽くした。

こうしてかつての夢の星、【ルビコン星域】は

完全に滅亡した。

 

これが俺たちの世界の歴史に記されている、

コーラルによってもたらされた大火。

【アイビスの火】の全容だ。:

 

先生「……確かに怖しい代物だ。」

 

偽ロニー:だから言っただろう?悔やむべき

 

シロコ「それでも、やっぱり悔やむのは

違うよ。」

 

偽ロニー:なに?:

 

先生「…シロコ?」

 

シロコ「ロニーは言った。研究者たちは

欲望に塗れてしまったって。

…だから、失敗したんだよっ。

でも、私たちは大丈夫っ。研究者たちの

ように行きすぎたコーラルの活用方法を

探したりなんてしない!

コーラルを健全に使えば、大丈夫だよ!」

 

ホシノ「うへぇ。そうだね。おじさんも

同じ意見だよ。こんな夢のエネルギー、

使わないなんて馬鹿のすることだ。」

 

セリカ「そうだよ!!せっかく私たちの

キヴォトスから出てくれたってのに!

悔やんで使わないなんて大馬鹿も大馬鹿よ!」

 

ノノミ「こんな事言ってはロニーさんも

不快かもしれないですけれど……

その研究者たちが、愚かだったんです。

自分たちの裁量を過信して、コーラルを

御しきれなかっただけに過ぎません。」

 

アヤネ「私はロニーさんの考えも分かります

けど…… でも!だからと言ってリスクに

怯えて、無限のエネルギーにも食糧にも

活用することのできる、こんな素晴らしい

物質を悔やめだなんて!!どうかしてますよ!」

 

リン「私も、皆さんと同意見です。

……もちろん、侵略者たちをどうにかしなければ

夢物語ではありますが……

もし、ロニーさんの言う【企業】を撃退出来れば、

すぐにでもコーラルの専門機関を立ち上げる

べきです。

キヴォトスの総力を持ってコーラルを研究し、

ちゃんとルールを定めて、運用すれば

いいんです。

 

もちろん、私たちはルビコンの研究者たちのような

愚かな行為には

 

 

先生「いいや、リンちゃん。皆。君たちは

もうすでに愚かな事を口走ってると私は

思うよ。」

 

リン「先生?」

 

セリカ「いやいやいや!よく考えてみてよ!

先生!!」

 

ノノミ「確かにリスクはありますが、

ルビコンの研究者たちのような愚かしい

ミスを私たちは犯したりなんて

 

先生「それが傲慢だって、ロニーは言ってる

んだよ。ノノミ。」

 

ノノミ「え……」

 

先生「そのルビコンの研究者たちだって…

最初はみんなと何ら変わらない善良な

人々だったんだと思うよ。

今のみんなと同じ、純粋にコーラルで

人類の輝かしい発展に貢献することが

出来ると、夢見たんだろうね。」

 

ノノミ「で、ですから!その研究者たちは

その果てに欲望に

 

先生「うん、ノノミ。話は最後まで聞いて?

……優秀な研究者たちだったんだろう。

そんな人たちが、【アイビスの火】のような

リスクに早々に気づかなかったなんて、

先生にはとても思えない。

 

……それでも、ルビコンの研究者たちも

そのリスクを考慮しても、コーラルを

手放すのは惜しいと考えたんだろう。

【自分たち人間なら、コーラルを御し切れる】

と思ったんだろう。」

 

シロコ「だからっ!ロニーはそれを傲慢

だって言ってるんだよっ!」

 

先生「うん。そうだね。だからこそ、

シロコたちはそのルビコンの研究者たちの

傲慢さと、何ら変わりがないと言ってるん

だよ。」

 

シロコ「………あ、そっか。」

 

先生「シロコ、君は「私たちなら大丈夫」

って言ったね?

ホシノとセリカとアヤネは「リスクがあるから

と言って、コーラルを使わないのは馬鹿だ。」

だったかな?

ノノミは「ルビコンの研究者たちがコーラルを

御しきれなかっただけのこと」って言ったっけ?

それは私たちなら【コーラルを御し切れる】って

言いたいの?

 

……みんなの考えは、とても危険性を孕んで

いるんだ。

みんなは、ルビコンの研究者たちのことを

「愚かだ」、「欲望に塗れた」と言ってる

けどね……

「私たちなら大丈夫だ。」、「私はこんな

愚かしいミスを犯さない」………

そういう傲慢さが、みんなが嫌悪する

【愚かさ】と【醜い欲望】の入り口に

なるんだ。」

 

ホシノ「……………」

 

セリカ「うぅ……」

 

アヤネ「あぅ……」

 

シロコ「んぅ……」ペタッ

 

ノノミ「…………」シュン

 

先生「いい機会だ。みんなに、先生として

私が考えている教訓を教えるよ。

身に余る力は自らを滅ぼす刃となるという

のは、教えたと思う。

だから先生が伝えたいのは、【行きすぎた

ほどに魅力的な能力は周り全てのものを

滅ぼす】ということだよ。

 

……まさしくコーラルがそうだ。

現にコーラルは星外にある企業をここに

呼び寄せて、このキヴォトスに侵略行為を

及ばせ、そして、シロコたちのみんなから

冷静さを奪い、驕らせてしまった。

……それだけではないよ。無限のエネルギー

とは言え、結局のところ所有権は誰か特定の

人間か団体が持つことになるだろう。

仮に、私たちは大丈夫としても、この先の

未来に、私たちの子孫がコーラルを巡って

争わないという保証なんてどこにもない。

……魅力的なエネルギーが故、コーラルは

簡単に争いの火種になってしまう。

 

正直、私はコーラルという物質が心底怖い。」 

 

ホシノ「……うん、やっぱり先生はすごいや。」

 

セリカ「……確かに、私たちコーラルという

エネルギーの危険性について、軽視しすぎて

いたかも……」

 

アヤネ「……そうですね。そう言えば先生の

歴史の授業でも、川の水の所有権を巡って

昔の人たちは村同士で争いをよく起こして

いたと習いましたもんね……」

 

シロコ「私たち、軽薄だった。」

 

ノノミ「…ありがとうございます。先生。

確かに、私たちはルビコンの研究者たちの

ことをよく知りもしないくせに、ロニー

さんの話だけで勝手に愚かだのと決め

つけて、自分たちは大丈夫だなんて夢想

していました……」

 

リン「そう、ですね…… 少し考えれば

さっきまでの私たちが、どれほど傲慢か

分かりそうなものなのに…

………私も、このコーラルが怖くなって

きました。」

 

先生「うん、だから、コーラルについては

慎重に考えるべきだと思う。」

 

リン「えぇ、もちろんです。…ですが、

先ほども申した通り、今は目下の脅威に

対抗しなければ…。

ロニーさん、話の続きをお願い出来ますか?」

 

 

チャティ(……この男に、惹かれそうになる

理由が分かったかもしれない……

…………『ボスも、同じ気持ちだったのか?』)

 

 

リン「ロニーさん?」

 

偽ロニー:あぁ、すまない。少し考え事をしていた。

…続けよう。【アイビスの火】で、コーラルは

この世から消滅したと、俺たちは考えていた。

コーラルは、俺たちにとって完全に過去の

遺物になったはずだったんだ……

 

ーーーだが、ある時、こんな噂が出回るように

なった。:

 

ホシノ「噂?」

 

偽ロニー:遥か彼方の辺境の惑星に、コーラルは

今も根付いていると。

アイビスの火で、コーラルは完全に焼滅などせず、

コーラルの一部は転生を果たしたと。

眉唾だったが、先も言った通り、コーラルは

常識を逸脱するほどに魅力的なエネルギーには

違いない。……だから確認しようという【企業】

が現れた。

それが、俺の雇い主であり、俺たちの世界の覇権の

片翼を担う【支配的企業】、【アーキバス】だ。:

 

セリカ「アーキバス……」

 

シロコ「それが今、キヴォトスに侵略してきている

敵の名前……」

 

先生「そいつらが……トリニティを、ゲヘナを……

私の大切な生徒たちを……!」ぎゅう!

 

偽ロニー:俺の受けた依頼は[無人の星に根付いて

いるという、コーラルの噂の真偽について

調べてこい]というものだ。

…正直最初は深くは考えなかった。

未踏の惑星について、調べてこいという依頼自体は

俺たち独立傭兵にはありふれた依頼だからな。

今回の依頼もそれだと思ったんだ。:

 

ホシノ「うへぇ…、【無人】の星、ね」

 

偽ロニー:勘の鋭いホシノに質問だ。……アーキバス

の連中は、俺に詳しい座標を送ってきた。

カーナビで例えるなら住所を打ち込めるほどの

正確で詳細な座標情報だ。

実際に星が見える付近まで来た俺の目に飛び込んで

来たのは、どう見たって人が住んでいてもおかしく

ない、青い綺麗な星だった。

……それなのに、奴らは本当に【人が住んでない】

なんて思っていたのか?:

 

ホシノ「うん、おじさんの答えはそんなわけ

ないだよ。」

 

セリカ「ロニー!嵌められてんじゃん!」

 

偽ロニー:……そうだ。セリカ、お前の言う通り、

そこで初めて俺も「嵌められた」と思ったよ。

……そして、アーキバスの連中が原住民に

対して、何をやるかなんてすぐに想像出来た。

だから俺は辞退する旨のメッセージを

アーキバスの依頼主に送った。

……送信ボタンを押した5秒後だったよ。

奴らが用意した入植コンテナが火を吹いたのは。

 

後はご存知の通りの展開だ。:

 

ノノミ「なるほど、最初から裏切る事も

折り込み済みだったわけですか。

最初から、アーキバスの人間に後を

付けられていたわけですね。」

 

偽ロニー:そうだろうな。今思えば、こんな

役立たず同然の独立傭兵に依頼する金額に

してはやけに高かったように思える。

いいや、普通の独立傭兵としても、ただの

未踏惑星の調査の依頼にしては不釣り合いな

金額だったかもしれんな。

 

もしかしたら、俺がこのアビドスに墜落した

事も、記憶を失った事も、全て計算通りだった

のかもな。

出発する前に、変な薬剤を注射された。

奴らは未知の惑星に少しでも順応出来るように

代謝を引き上げる薬ですとかなんだとか

言ってたが……

多分あれに記憶を混濁させる成分でも含まれて

いたんだろ。:

 

アヤネ「本当に…最低な奴らです……

調査に行ってくれる人間を、まるで道具の

ように……!」

 

先生「うん……正直なところ、先生もここまで

性質の悪い大人たちは知らない。

【アーキバス】……… こいつらは、私たちが

今まで相手してきたどの大人たちよりも、

【非情で残忍】だ。」

 

セリカ「カイザーが可愛く思えてくるぐらいよ…」

 

リン「……大体の事情は把握しました。

これから、どうするかですね……」

 

偽ロニー:それについても、おおかた目星は

ついている。:

 

リン「……え?」

 

シロコ「ん!すごい!さすがロニー!」

 

先生「うん!聞かせてくれるかい?ロニー。」

 

偽ロニー:まず、何よりしなければならない

行動は…… リン、お前たち連邦生徒会に

このアビドスに来てもらうことだ。:

 

リン「え!?何故です!?」

 

偽ロニー:コーラルがこの地にあると確信し、

キヴォトスにおける拠点を手に入れた企業どもが、

次に取りたい行動は【コーラルの在処】の

情報を集めることと、更に占領域を広げる

ことだ。

……さっきのテレビ中継を見ただろう?:

 

シロコ「っ……うん。」

 

セリカ「アーキバスの奴ら…… 他の自治区の

街を……!!」

 

偽ロニー:違うセリカ。そこじゃない。:

 

セリカ「うえぇ!?」

 

シロコ「…んぅ?」

 

ノノミ「えっと…じゃあ何なのでしょうか?」

 

先生「!! まさか…!」

 

偽ロニー:おそらくあんたの想像通りだ。

……奴ら、キヴォトスの人間を捕らえていた

だろう? レポーターが連れ去られる様を、

お前たちもテレビで見たはずだ。:

 

ホシノ「…………うん。」

 

アヤネ「はい…… もしかして、情報集めという

のは…」

 

偽ロニー:あぁ、キヴォトスの人間を拉致して、

尋問して、吐かすって意味だ。

……しかも、テレビの中継の様子を見るに、

状況は相当に悪い。

レポーターを攫った様子を見るにアーキバスは、

独立傭兵を雇っているらしい。

しかも、公示として広く依頼を出したと見ていい。:

 

リン「公示……?え、えっと… すみません。

聞き慣れない言葉が多くて上手く飲み込めないの

ですが、とりあえず、まず聞きたいのはあなたが

さっきから呼称している【独立傭兵】とは何なの

でしょうか?

言葉からして、おそらくフリーランスで仕事を

請け負う傭兵稼業の方を指すのだとは思い

ますが……」

 

偽ロニー:リン、お前の考えの認識でいい。

一つ補足するとするなら、俺たちの世界の

戦場では【MT】や【AC】などの人型兵器

が支配しているんだ。

俺たちの時代では、人が生身で戦うということ

自体、もう存在していない。

だから、傭兵を指すならば全員が【MT】以上の

兵器に搭乗していることが前提だ。

特に、フリーランスで仕事を請け負う【独立した

傭兵】なら、更にその上の【AC】を所持している

事が前提となる。:

 

セリカ「ちょ、ちょっと待ってよ!?【MT】って

何!?また変な言葉出さないでよ!!」

 

偽ロニー:あぁ…… そうか、そう言えばお前たち

にはまだ説明していなかったか。すまないな。

【MT】とは元々は建築用ロボットとして開発

されて……なんぞ話しても意味はないな。

要点だけ言うと、【AC】より性能の劣る

人型兵器が【MT】だ。

量産型の【AC】とでも認識してくれた方が

飲み込みやすいかもしれんな。

まぁ、いわば【AC】とはMTの後期型人型兵器と

言うべきか。

お前たちが昨日相手したメカも、【MT】だ。:

 

セリカ「わ、分かんないよ!もうちょっと

分かりやすく言って!!」

 

偽ロニー:……数が多い雑魚敵ロボットが【MT】で、

中ボスのような強さを持つロボットが【AC】と

でも思っておけ。:

 

セリカ「あー!なるほど!それなら分かるわ!」

 

先生「セリカ………」

 

ホシノ「……セリカちゃん、やっぱりもっと

勉強しよう?」

 

シロコ「ロニーの説明はこの上なく分かりやすい。

セリカはやっぱりバカ。」

 

ノノミ「ここまで来ると情けなくなってきますよ…」

 

アヤネ「セリカちゃん!やっぱりバイトばっかり

してたらダメですよ!」

 

セリカ「うぅ……そこまで言わなくたって

いいじゃない………」

 

リン「……こほん。よく理解できました。

つまり、公示依頼というのはネットのような

公共の場に依頼文を出したという事ですね。

ですが、まだ上手く飲み込めないですね…」

 

偽ロニー:つまりだ、お前たちに【懸賞金】を

出したと言ってるんだ。:

 

リン「……え、は?………けん、しょう…

金……?」

 

先生「いや、待って待って、懸賞金って、

どういうこと!?」

 

偽ロニー:テレビの独立傭兵が言っていただろう。

【換金】すると。50人ほど捕らえたとも。

……この言葉から推察するに、アーキバスどもは

お前たちキヴォトス人を捕らえて自分たちに

引き渡す依頼を公示として出して、捕縛した

頭数で報酬を支払うように額を設定したんだろう。

 

……まぁ、今の俺には奴らのネットワークに

繋げられる設備がないから、公示内容を

確認することが出来ないんだが……:

 

 

アロナ「先生先生!!それでしたら私たちが

何とか出来るかもしれません!」

 

先生「本当かい!?アロナ!」

 

アロナ「はい!……あ!すぐに出ました!

確かにロニーさんの言うように誰でも閲覧

出来るように彼らの世界の公共ネットワークに

依頼を掲示しています!!」

 

プラナ「……なん、ですか……!?これ!!

ふざけてます!!」

 

先生「プラナ…… そんなにひどい内容なの?」

 

アロナ「はい、私も見ました…… 私たちの事を

何だと思ってるんですか!!このアーキバスは!!」

 

プラナ「……見ますか?先生。」

 

先生「うん。表示して。」

 

プラナ「了解。……閲覧にご注意してください。」

 

 

先生「みんな、シッテムの箱がロニーたちの

世界のネットワークに繋いで、アーキバスの

公示依頼を見つけてくれた。今から表示するよ。」

 

偽ロニー:なに!?:

 

ホシノ「おぉ!さすがはシッテムの箱だねぇ〜!」

 

リン「助かります、先生。早く確認を

 

偽ロニー:ちょ、ちょっと待ってくれ!:

 

シロコ「んぅ?どうしたの?ロニー?」

 

偽ロニー:いや、確かに公共のネットワークに

掲示された公示依頼だから、ネットワークに

入れさえすれば閲覧するのは簡単だが……

そもそも、俺たちの世界のネットとお前たちの

世界とは全くの接点がないはずだ!!

どうやってネットワークに入ったんだ!?:

 

セリカ「あ、そっか!」

 

アヤネ「そういえばロニーさんは先生の持つ

【シッテムの箱】のことを知りませんでしたね。」

 

偽ロニー:なに?シッテムの箱だと…?:

 

ノノミ「はい。私たちでも想像のつかないほどの

テクノロジーで作られた、総合デバイスです。

まぁ、私たちも何をどこまで出来るのかは

よく理解していないのですが、シッテムの箱に

かかれば、どんなシステムでもハッキング

出来ちゃうんです!」

 

セリカ「繋がりなんかなくたって普通に使われて

いるネットワークに入ることぐらい楽勝よ!」

 

 

アロナ「はい!このスーパーアロナちゃんに

かかればこの程度のネットワーク!入ること

ぐらいあくびをするより簡単です!!」ピース!

 

プラナ「いやアロナ先輩、聞こえませんし、

見えませんから……」

 

 

偽ロニー:……そんな、ものが……あるのか。:

 

 

チャティ(何というデバイスだ……。どんなもの

にも、直接繋がりがなくとも、システムに

入り込んで、ハッキングすら可能とは…!

……だが、ここでその【シッテムの箱】に

ついて知れたのは幸いだったな。

あの【シッテムの箱】への対策もビジターたちと

練らなければ……)

 

 

偽ロニー:……すまない。無駄な時間を使わせた。

それより、早くアーキバスどもの公示を確認すると

しよう。:

 

先生「うん。そうだね。じゃあ表示するよ。」

 

 

 

 

ウゥン

 

 

 

アーキバス:こんにちは、独立傭兵の皆さま。

アーキバスグループ、ヴェスパー部隊に所属する

第8隊長のペイターです。本日より独立傭兵の

皆さまへの、依頼窓口として務めさせて

いただくことになりました。

どうぞよろしくお願いします。

 

では、依頼内容をお話しさせていただきます。

我々、アーキバスグループはこのキヴォトスで

確認されました【コーラル】の調査および、採掘の

拠点として、キヴォトスの地域の一つ、【ゲヘナ】

を占領し、【アーキバスキヴォトス本拠点】へと

テラフォーミングいたしました。

更には時同じくしてキヴォトスに進駐してきました

敵対企業、【ベイラムインダストリー】より

早期に拠点を確保し、ベイラムに対抗するための

地盤固めを既に行なっています。

我々、アーキバスはこの時間の利を有効に活用

したいと考えております。

私たちは現在、占領域拡大と共に、コーラルと

キヴォトスの更なる情報収集も並行して進めて

います。

独立傭兵の皆さまにはこのアーキバスの情報収集を

手伝ってもらいたいのです。

 

依頼本題に入ります。

独立傭兵の皆さまに、キヴォトスの人間たちを

捕虜として捕縛し、我々アーキバスへと提供

していただきたいのです。

報酬は捕虜1人の提供につき10000COAM。

なお、最低限は我々の質問に受け答えが

出来る状態で提供していただけるようにお願い

いたします。

それさえ出来る状態であれば、不足なく、

報酬を支払わせていただきます。

引き渡しは現地のアーキバス隊員に

声をかけていただき、こちらで用意した

捕虜収容コンテナへと納めていただくことで

取引成立とさせていただきます。

 

依頼内容は以上です。

独立傭兵の皆さま、よろしくお願いします。:

 

 

 

 

プツン

 

 

 

 

リン「……なん、なんですか……!?この

ふざけた依頼は…!?

捕虜1人につき10000COAM…!?

私たちを、まるで物のように!!」

 

シロコ「舐めてる。…でも、物凄い金額。

襲えば、お金たくさん手に入りそう。」

 

ノノミ「そうですね。ですが、キヴォトスの

住人は頭で考えるだけで、数千万人の人間が

住んでいます。……正直1人あたり100万円も

懸賞金をかけるのは破綻するとしか思えない

のですが…」

 

チャティ(そういえば、このキヴォトスのCOAM

の価値は円換算だと100倍だったな。

……フォローをいれておくか。)

 

偽ロニー:……何だか、俺たちとお前たちの世界

では共通点が多いらしいな。:

 

ノノミ「はい?」

 

偽ロニー:そもそも、お前たちが使っている通貨を、

昨日までお前たちと全く接点のなかった俺たちの

世界でも使われているということに驚かんのか?:

 

ノノミ「いや、それを言われたらそうですが、

ロニーさんとは言葉も文章も私たちが使っている

言語なので、そういうものなのかと思いました。」

 

チャティ(……そう言われると、そうなのだが……。

実際、このキヴォトスには不可解な点が多い。

コーラルもそうだが、『やけに我々の世界との

接点が多い』。

…ボスも言っていたように、昔に、ここと我々の

世界は何らかの交流があったのかもしれないな…)

 

偽ロニー:……まぁ、議論していても解決には

ならんから、お前の疑問に対して答えると、

俺たちの世界では10000COAMという値は

それほど高価な金額という認識はない。

……まぁ、全く捕らえるのに苦労しない捕虜1人の

懸賞金にしては随分と羽振りがいいとは思うが。:

 

ノノミ「え?そうなのですか?」

 

偽ロニー:……聞くが、円というのが、お前たちの

世界で使用されている通貨の主流か?:

 

ノノミ「えぇ。そもそもCOAMという通貨は

ひと昔前のキヴォトスで使用されていた通貨です。

ですので、通貨としての機能は消えてはいないの

ですが、正直かなり珍しいですね。」

 

偽ロニー:なるほど。では言うが、俺たちの

世界では円なんていう通貨などない。

全てCOAMで通っている。

お前の発言を考えるに、10000COAMという

のは、俺たちにしたら、お前たちの感覚でいう

ならば1万円という認識になるな。:

 

アヤネ「なるほど… 住んでいる世界が違うの

ならば、貨幣価値も変わってくるという事ですか。」

 

先生「……何でもいい。とにかく、アーキバス

どもには人の心なんて存在しないということが

改めて分かったよ……。」

 

ホシノ(……先生の様子が、昨日の時よりも

厳しい……。 当然か。私だって、他所の

人たちだとしてもこんな扱いをしてくる

アーキバスっていう連中には腹の底から

黒いものが湧き出てきそうだ……!)

 

リン「そうですね……。アーキバスグループ…

こいつらは断じて許すわけにはいきません。」

 

先生「……なるほど。リンちゃんたちを

ここに呼ぶ理由はなんとなく分かったよ。

……捕らわれた私の生徒たちを救いに…」

 

偽ロニー:…先生、残念だが聡いあんたが

今想像している理由はちがうし、救いに

行くってのは、【寝言】だ。:

 

先生「……は?寝言?……寝言ってなんだ?

私の、大切な生徒たちを、救いに行くことが

寝言……? ロニー、いくらお前でも許さ

ないぞ!!!」

 

偽ロニー:そうだな、言葉は悪かったかも

しれない。はっきり言ってやる。

行っても無駄だ。:

 

先生「何故だ…!?どうしてそんなこと

言うんだよ!ロニー!!!」

 

シロコ「そうだよ!やる前から諦めちゃだめ!」

 

セリカ「他の自治区の人たちとは言え、みんな

私たちと同じキヴォトスに生きる仲間なのよ!」

 

アヤネ「はい…。今ならもしかしたらまだ……」

 

ノノミ「……そうですね。希望を、捨てては

 

偽ロニー:無理をするな、アヤネに、ノノミ。:

 

アヤネ「っ…………」

 

偽ロニー:言い淀むって事は、お前たちは

【分かっている】って事だろ?:

 

ノノミ「……………はい。」

 

先生「アヤ、ネ?ノノミ?……何で、

頷いてるんだ?

ロニーが……ロニーの言ってる事に

何で頷く……

 

ホシノ「いい加減にして!!先生!!

シロコちゃんにセリカちゃんも!!!」

 

先生「ホ、ホシノ!?」ビクッ

 

シロコ「ホシノ先輩!?」ビクッ

 

セリカ「ひゃう!?」ビクッ

 

ホシノ「……ごめんね、ロニー。ここからは

おじさんが先生とシロコちゃんとセリカちゃん

を説得するよ。」

 

偽ロニー:……助かる。:

 

ホシノ「うん……。」

 

先生「は?……説得……?私を……?

何言ってるんだよ?ホシノ???

おかしなことを言ってるのはロニーの

方じゃないか!!」

 

ホシノ「ロニーはおかしなことなんて何も

言ってない!!!

おかしなことを言ってるのは……!

……いや、現実を理解しようとしていないのは

先生の方だよ。」

 

先生「……はぁ?」

 

シロコ「ホシノ先輩?何を言って……」

 

ホシノ「シロコちゃん、ロニーはアーキバスどもに

どんな仕打ちを受けた?」

 

シロコ「……騙されて、撃ち落とされて、

……切り捨てられた………」

 

ホシノ「さっきの公示依頼では、私たちの状態は

口と頭さえ働けばいい。つまり、情報を

しゃべってもらう事にしか用はないって

奴らは言ってるんだ。

……例え、四肢がもがれていようが、

身体がグチャグチャになっていようが、

口さえ動けばどうでもいいってことなんだよ!

状態に問わず報酬を支払うっていうのは

そういうことなんだよ!!!」

 

セリカ「でも…… 身体が無事のまま捕まった

人だっているでしょ!?

そう…!抵抗せずに投降した人たちだって

いるはず!!」

 

ホシノ「セリカちゃん!!いい加減少しは

頭を使ってよ!!

おじさんは!情報を吐き出させたら

アーキバスとしては用済みなんだって

ことを言ってるんだ!!

……ロニーがされたことを考えたら、

アーキバスが用済みになった人たちを

どうするかぐらい想像つくでしょ…!」

 

セリカ「……分からない…!分かりたくなんて

ないわよ!!!」

 

ホシノ「じゃあ言ってあげるよ!!!

……【殺すんだよ】!!!」

 

セリカ「っ………!!!!うぅ!!」

 

シロコ「で、も…… 命乞いをして、情報を

しゃべった人たちは無事かもしれない!

救える命はあるはずだよ!!」

 

ホシノ「ないよ!!!シロコちゃんはおじさんの

質問にどう答えたの!?

ロニーは…アーキバスに騙されて、撃ち落とされて

……切り捨てられたって言ってたでしょ…!

そんな奴らが、アーキバスが!!!

命乞いの言葉を聞くと思う!?

情報を吐いた人たちの約束を守るなんて思って

いるわけ!!?

抵抗した人も、投降した人も、等しく殺されて

いるよ…!」

 

シロコ「ん…うぅ………」ペタン

 

セリカ「そんなの……そんなのひどいわよ…!

必死に命乞いをして、ちゃんと情報をしゃべった

人たちの事まで殺すっていうの…?

そんな、そんなの……人間のやることじゃない

よ……」

 

アヤネ「………」

 

ノノミ「………」

 

先生「情報を、吐かなかった生徒は…」

 

ホシノ「…………」

 

先生「情報をしゃべらない生徒たちなら

まだ無事かもしれない…!

アーキバスは情報が欲しいんだ!!!

情報を取れなければ!アーキバスも

生徒たちを殺さないはず

 

ホシノ「いいや、すぐに殺すよ。先生。」

 

先生「は……?いやだって!!」

 

ホシノ「私たちの捕縛の依頼を、公示として

出している時点でアーキバスの考えは

分かるよ。

……そもそも、キヴォトスのみんなはコーラル

という言葉すら知らないし

無限のエネルギー源がある事実すら聞いた事

なんてないはずだよ。

私たちだって、ロニーが話してくれるまで

この【紅い麻薬】の正体も知らなかった

わけだし、無限のエネルギーがあるなんて

聞いたって、夢物語を語っているとしか

思えないだろうしね。

…だから、コーラルの在処を探すのに私たちに

質問したって無意味ということぐらいアーキバス

は少しの調査ですぐに理解出来る。

そうなってくると、奴らが知りたくなる事は

【コーラルの在処を知っていそうな人物】、

言いかえると【キヴォトスの詳細な情報を

持っている人物の居場所】だ。

……だったら、数を撃って当てればいい。

独立傭兵たちは金が欲しい。

無力な私たちに高い懸賞金を出せば、

金に飢えた独立傭兵たちによって、【不特定

多数】のキヴォトスの人たちを手に入れる

ことができる。

【不特定多数】だ。……すぐに情報を吐かない

なら別に構わない。【代わりなんていくらでも

いるし、補充出来る】。殺して次だよ……」

 

先生「そんな…こと………認められ…」

 

偽ロニー:あんたが認められなくてもそれが

現実だ。……辛いのは分かるが、いい加減

受け入れろ。受け入れるしかないんだよ…

それが出来なきゃ、犠牲者は増えていく一方だ。

それより、早く行動に移すことが重要だ。

…救える見込みがない者たちを救う行動より、

せめて救える者たちを救うための行動に

出るんだ。:

 

シロコ「……………」シュン

 

セリカ「うぅ…… アーキバス…!!」

 

先生「……無理…だ。そんな簡単に受け入れ

られないよ!!!」

 

ホシノ「先生!!」

 

先生「私の生徒たちは…… この地にいる子

たちは……!未来があったんだ!!!

一人一人に!輝かしい未来が!!!

それなのに……何で、何でこんな理不尽に

生徒たちの未来を奪われないといけないんだよ!!

何で……救いに行けないんだ……!

私は先生なのに……!

何で……何でこんなに弱いんだろう……

 

うっ、うううううううう!!!!」ポロポロ

 

シロコ「せんせぇ…」ぐすっ

 

セリカ「ううううううう!!!」ポロポロ

 

アヤネ「先生……」ぐすっ

 

ノノミ「先生……」ぐすっ

 

リン「……………」

 

偽ロニー:………すまないが、埒があかないから

話を先に進ませてもらう。

先生……あんたは度が過ぎたお人好しだ。

……悪かった。こんな理不尽な現実を

すぐに受け入れろというのは俺に配慮が

足りなかったな…

……少し休め。あんたには時間が必要だ。

シロコにセリカもな。

 

……アヤネに、ノノミ。頼めるか?:

 

アヤネ「……はい。」

 

ノノミ「私たちは、まだ冷静ですから…」

 

偽ロニー:すまないな。……ホシノ、お前は

悪いんだが……:

 

ホシノ「うへ、分かってるよロニー。

ロニーの作戦を、おじさんが責任持って

聞いて、みんなが落ちついたらおじさんから

みんなに改めて話すよ。」

 

偽ロニー:……世話をかける。:

 

ホシノ「そんなことない。むしろ迷惑を

かけているのはおじさんたちの方だよ。

…ロニーがこんなに協力してくれている

というのに、情けないよね……」

 

リン「私も、ロニーさんの話を引き続き

聞かせてもらいます… 先生の代わりに」

 

偽ロニー:すまないな。……話を進めよう。

リン、お前にも早くそこから避難しなければ

ならん理由が分かったはずだな?:

 

リン「えぇ。【企業たち】はとても無慈悲な

方法で物凄いスピードで情報を集めていって

いる。

……私たち連邦生徒会の事が割れるのも時間の

問題でしょうね。」

 

偽ロニー:そうなる前にお前たちをそこから

連れ出さなければならない。

お前たちを連れ出すのは俺がいく。

ACはこのキヴォトスにあるどんな乗り物

よりも圧倒的に速いからな。

俺が行くまでの間、リンたちは屋内から

絶対に出るな。

ACの弱点は人型サイズの屋内戦は

出来ないという事だ。

そして、お前たちがいるのはキヴォトスの

重要な情報が集まる場所だ。

企業どももコーラルの情報ごと建物を壊す

わけにはいかないからな。

そして、お前たちキヴォトス人と生身で

やり合ったら100%勝てないって事も

分かっているはずだ。

少なくとも、膠着状態には出来る。:

 

リン「なるほど。さすがですね。」

 

ホシノ「でも、何でアビドスなの?」

 

偽ロニー:ここは砂漠だらけで、戦術的にも

拠点を建てるにもほとんど価値がない。

ACに乗っているとは言え、奴らだって人間だ。

灼熱と極寒には耐えられん。

 

よって、ここアビドスには企業のたちの侵略は

まず来ない。

人が大勢住んでいるようにも思えんだろうしな。:

 

リン「……それは矛盾していないですか?」

 

偽ロニー:あぁ、少し誤解を招く説明の仕方

だったな。

正確には、アビドスには【すぐには来ない】

もちろん、リンの思うように【先生】のことも

時間の問題で割れてしまうだろう。

だが、連邦生徒会のある場所は普通に占拠する

価値がある。

そもそも、お前たちがいる場所はいつ来ても

おかしくないほどに時間の猶予がないと

言うのが正しい。

それに比べれば、まだアビドス砂漠の方が

時間的猶予はあるはずだ。:

 

リン「なるほど、そういうことでしたか。」

 

ホシノ「と、いうことはここもすぐに発たないと

いけないね。」

 

偽ロニー:そうだが…… 俺としては少し待ちたい

ところだな。キヴォトスの各地に先生が現在

アビドスにいることも伝わっているんだろう?

……なら、襲撃を受けた生存者たちが先生を

頼って、ここに来るかもしれん。

……もちろんずっとは待てないが、せめて

2時間程度は待ってやりたい。

先生のためにもな……:

 

ホシノ「……そうだね。」

 

偽ロニー:……言うまでもないが、俺が加わった

とて、企業どもには勝ち目は全くと言っていい

ほどない。

だが、【正攻法】でやればだ。作戦がない

わけじゃない。:

 

リン「!!!そうなんですね!!」

 

ホシノ「さすがロニー。おじさんには全く

思いつかないよ!それで?その作戦とは?」

 

偽ロニー:【潰し合い】だ。:

 

リン「………う、ん?」

 

ホシノ「えっと……どういう意味かな?」

 

偽ロニー:何だ、企業【ども】という言葉に

反応しなかったから、先のブリーフィングで

ちゃんと理解していたと思っていたんだが…:

 

リン「……もしかして、【ベイラムインダ

ストリー】のことでしょうか?」

 

ホシノ「そう言えば、アーキバスの窓口の

奴が、ベイラムに対抗するとか言ってたね……

ということは……!」

 

偽ロニー:あぁ、ベイラムは俺たちの世界で

覇権を握る、アーキバスと対をなすもう一つの

【支配的企業】だ。

報道ではゲヘナもトリニティも同じ集団のように

取り上げられてるが、実際は違う。

ゲヘナを落としたのは【アーキバス】で間違い

ないが、トリニティを落としたのは【ベイラム】だ。

ベイラムの狙いも、言わなくても分かるな?:

 

リン「あぁ……そん…な……!アーキバスだけ

でも、どうしたらいいのかさえ、見通せない

のに………!」

 

ホシノ「いや、むしろこれはチャンスだよ。

だから【潰し合い】なんだね。」

 

リン「……あ」

 

偽ロニー:敵の敵は味方……とはちょっと違う

かもしれんが、一つ言えることは、企業どもに

とって、俺たちは【地を這うムシケラ】だ。

歩いている最中に、足元を歩く蟻をお前たちが

目にかけないように、奴らも俺たちの事など

【眼中にない】。

企業の目にあるのはお互いの企業だけだ。

……そこに付け入る隙がある。いいや、逆を

言えば、そこにしか勝機はない。

さらにもう一点、明らかにしておきたい事が

ある。

………昨日の話からなんだが【ミレニアム】には、

設計図さえあればACを作れるだけの技術力は

あるだろうか?:

 

ホシノ「う〜ん……それは分かんないなぁ……

他の自治区のことは……」

 

リン「先生の普段の報告から、ACを作れる

可能性はありますね。……特に、【白石ウタハ】

さんなら……」

 

偽ロニー:そうか。ならばそいつと企業との

潰し合いをさせることを前提にした上で、

【作戦概要】を話すぞ。

…まず、これから俺が、リンたちのところに

行って、お前たちをここに連れてくる。

連れてくる方法は、途中で列車の車両を

持っていくから、出来る限りの人数を列車に

入ってもらい、運ぶ。

悪いが、入りきれない人は……:

 

リン「……覚悟は出来ています。生徒会の皆さん

には、私から説明いたします。」

 

偽ロニー:……すまないな。続けよう。

このアビドスに戻って、少しの時間、生存者

たちがこのアビドスに来ることを待ち

生存者たちと共に、【アビドスを発つ】。

運送方法は同様の手段と、各自の足に頼る事に

なるな。

 

行き先は、【ミレニアム】だ。:

 

ホシノ「一つ質問がある。……ミレニアムだって

今日襲撃される恐れが大いにある。

そこに関して何か考えはある?」

 

偽ロニー:……それこそが、この作戦の1番の

大穴だ。対策は神様にお祈りするってところだ。:

 

ホシノ「うへぇ、1番重要なところがお祈り

なんて……

……だったら、ミレニアムに行くのは危険が

大き過ぎるよ。別の疎開先を……」

 

偽ロニー:いいや、どんなに危険でも、何人

死のうと、絶対にミレニアムに辿り着かなけ

ればならない。:

 

ホシノ「いや!?どうしてさ!!」

 

偽ロニー:【ミレニアム】が企業の手に渡って

いたらキヴォトスは滅亡だからだ。:

 

ホシノ「……え?いや!どうしていきなり

そんなに飛躍するの!?」

 

リン「大袈裟過ぎませんか!?」

 

偽ロニー:大袈裟だと?リン、お前の見立てでは

ミレニアムはACを作れるかもしれないと

思わせるほどの設備が存在しているのだろう?:

 

リン「それはそうです。あなたの考えは分かり

ますよ!ロニーさんのACをミレニアムで解析して

生産しようということなのでしょう!

ですが!数少ない命を無意味に散らしてしまう

リスクが大きすぎると言って

 

偽ロニー:そこが奪われたら、その設備を使って

企業たちが現地で【AC】や【MT】を製造出来る

ようになるとは思わんのか?

そうなってしまった場合の、対抗策をお前たちは

思いつくと?:

 

リン「あ……あぁ………」

 

ホシノ「……思いつかない………。」

 

偽ロニー:はっきり言ってやろう。もし、

既にミレニアムが企業の手に落ちていたと

したら…、もう俺たちに打つ手はない。

大人しく、虐殺されるのを待つだけになる。

……もう分かるとは思うが、先生や連邦生徒会が

敵の手に落ちる事以上に、【ミレニアムの死守】は

俺たちの、最重要かつ、最優先事項だ。

【ミレニアムの陥落は、キヴォトスの滅亡と同義】

と思え。:

 

ホシノ「…………うん。」

 

リン「はい。何としてでも、ミレニアムに

辿り着かなければなりませんね。」

 

偽ロニー:もし、無事ミレニアムに辿り着くことが

出来れば、その後の行動はそこで言おう。

だが、あえて言うならば、【ミレニアムが

キヴォトスの最終防衛ラインとなる。】

今のうちに【覚悟をしておけ。】:

 

ホシノ「…………うん。」

 

リン「……もちろんです。とっくに、覚悟は

しております。」

 

偽ロニー:よし、早速行動に移ろう。……

連邦生徒会の住所は……:

 

リン「はい。○○○○○○○○です。」

 

偽ロニー:………よし、地点が表示された

今すぐそっちに向かう。

 

……ホシノしばらく離れるが、先生たちの

ことを頼むぞ? それと……:

 

ホシノ「ミレニアムの安否確認と連絡だよね。

任せて。しょぼくれてる先生と後輩たちを

立ち直らせて、早く連絡をするよ。」

 

偽ロニー:……お前は本当に聡いな。助かるよ。

では、各自行動に入ろう。:

 

ホシノ「うん。」

リン「えぇ。」

 

 

 

ブオオオオォォォォォ………

 

 

 

 

 

チャティ(……本当に、ミレニアムのことは

頼むぞ? ビジター。)

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

〜〜同時刻〜〜

 

 

 

ウォルター:そろそろ目的の場所だ。

システムを切り替えろ。:

 

621:了解だ。オートパイロット、解除

航行モード、切り替え。:

 

ACcom:オートパイロット、終了します。

航行モードからメインシステムに切り替え

ます。 ジェネレータ循環を全回路に接続。:

ウィィィィィン

 

ウォルター:さて、お前の実力を見せてもらおう。:

 

621:了解だ。落胆はさせないさ。:

 

AC com:接続、完了:

 

621:さぁて、久々のAC操縦だ。腕が鳴るな。:

 

 

 

 

【メインシステム、戦闘モード起動】

 

 

 




ついに、3万文字を超えちまっただ……
でも、大したこと話してないという……

本当は半分以下にするつもりだったのに!!
テンション上がって無駄に作文しちまった!


さぁ!やっとこさ筆者が楽しみにしていた
ごすとワンちゃんの初めてのmissionです!
楽しみだねぇ!(どういう展開にするか全然
考えてないけどな!)
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