ブルーアーカイブ:〜ACⅥ Fires of Kivototh編〜 作:とある渓流にいるかわうそ
1話 アビドスに鉄の隕石が舞い降りた
ーーーーここは……どこだ…?ー
俺は闇が支配する暗闇の中で目が覚めた。
身体の感覚は何も無い。痛覚も、触覚も、
暑いのか寒いのか、温度を感じる機能すら
皆無だ。
……重い、身体が、手足が、鉛のように。
何故自分がこうなっているのか、全く分から
ない。
しかし、少なくとも視覚と聴覚はあるらしい。
話し声が聞こえる。
俺の意識が鮮明になるにつれ、話し声がはっきりと
聞こえるようになってくる。
そして、俺はその声で、自分が絶望しか
残されていないことをはっきりと知覚した。
売人「……ちっ、ダメか。声帯もやられてやがる。
声も出せないのならば売り物にはならないな。
廃棄するしかないか」
ーーあぁ、そうか…… あの時に、俺はもうーー
「せめて、声を出せたなら使い捨てのAC乗りとして…」
「というか、こいつ意識はあるのか?」
そんな声も聞こえてくるが、最早どうでもいいことだ。
どうやら『あの後』、俺は気を失っていたところを
強化人間を斡旋する売人に拾われたらしい。
【売り物】と言ったことからも明白だろう。
そして、【廃棄】…… 役に立たなくなった旧世代型の
強化人間を処分、つまり殺すこと。
つまるところ、俺に待っているのは死だけということだ。
ーーま、こいつは【殺す】という認識すらない
だろうがなーー
旧世代型の強化人間には尊厳は疎か、【権利】
すらない。
【人間であるという権利】すら。
【今】のこの世界の、俺たちへの共通認識はただ
【ACを動かすための生体CPU】、つまりは
【ACの部品】だ。
これは俺が五体満足だったとしても変わらない認識だ。
と、言うことは目の前が真っ暗なのは強化人間を
廃棄する時に使う廃棄袋の中に俺はいるということか。
全く、今、この状態になって、この【廃棄】って
言い方は本当によく言い得ていると嗤って
しまいたくなる。
機械を繋ぎ止めるネジのねじ山が潰れてしまった。
ネジなんてものは腐るほどあるだろう。
だからねじ山の潰れたネジなんてわざわざ直さずに
【廃棄】するだろう。
この事実と俺にはどう違いがある?
生きているかどうか? そんなことを考慮してくれる
者など、この冷え切った鉄の世界には存在しない。
ならば、俺が例え心臓が動いていようと意識が
あろうと何の関係もない。
あるのは【ACを操縦する】という機能が搭載
されている部品かどうかということだけだ。
【ACを操縦出来ない俺】に、部品としての
価値すらない。潰れたねじ山のネジと同じように
【捨てる】だけの話だ。
ーー『最後の最後まで…俺はただ愚かさを弄した
だけだったな』ーー
今、この状態になって、遅すぎる後悔に苛まれる。
もう、「あの時何故…」などと嘆いても
最早涙さえも流れないというのに。
俺は諦めたように、いや、実際もう諦めている
のだが、目を閉じる。その時が来るまでーー
ーーーだが、あまりに意外にも、俺の考えている
時とは別の事柄が舞い込んできた。
売人「また来たのか」
廃棄処理の準備の音は唐突に消え、再び売人
の声が聞こえた。
売人「617たちは、その後どうだ?
ーーハンドラー・ウォルター」
誰かと話してる様子を察するに、どうやら
常連が来たらしい。
ハンドラー・ウォルター、それが常連さんの
名前らしいな。
売人「だが、ちょうどいい。在庫処分の手間が
省ける」
ーーもうどうでもいいことだなーー
俺に関係のないことだと思った。当たり前だ。
俺はもう処分されるだけの【不良品】なのだから。
再び、意識を暗闇に落とそうとした時ーー
売人「機能以外は死んでいるものと…」
ウォルター「御託はいい、起動しろ」
ーーな…に……?ーー
俺にとっては絶対に聞き逃せない言葉が聞こえたーー
ーー機能以外……だと?ーー
つまりは俺の、旧世代型に求められる強化人間と
しての機能はあると。
ーーACを操縦することはまだ出来るのかーー
再び、手足を動かしてみる。
……なるほど、少し自分の状態について早合点を
してしまっていたようだな。
確かにもう歩くどころか、這って移動することも
出来ないだろう。
それどころが身体を起こすことすら出来ないだろう。
……だが、これならばACの操縦桿を握り、動かす
ことぐらいならば問題なくできる。
幸いなことに、視覚も聴覚も無事だ。意識だって
はっきりしている。
ならば…ACを操縦することは十分に出来ると判断
されるだろう。
「………つ」
やはり声は出せないな。
だが、なるほど。廃棄するしかないとはこういう
事か。
声を出せなければコミュニケーションの取りよう
がない。
まだ歩く走る、日常生活が出来ないとしても、ACに
さえ乗れるのであれば、使い捨ての駒ぐらいに
なら使えるだろうが、そんな状態で声が出ない
のであれば使い捨てにすらなれない。
駒として、あまりに致命的だ。
相場の10分の1以下の値段としても売れはしまい。
……だが、それすらも最早どうでもいいことだ。
ウォルター「621、お前に意味を与えてやる」
廃棄袋のチャックが開け放たれ、俺の目の前に
1機のACが現れた。
…Rad製か。おそらくハンドラー・ウォルターが
用意したものだろう。
ーーこの物好きな男は俺を飼うことにしたらしい
んだからなーー
絶望一色だった俺の心は一転して晴々とした
希望に満たされていた。
ロクでもない奴なのは間違いないだろうし
これから先、ロクでもない目に遭わされるのも当然
だろう。
だが、俺にとってそんなことはどうだっていい。
いいや、それどころか俺にはこのロクでもない男が
神にさえ見える。
"不良品として廃棄されるのが当然であったこの俺に
またACへと乗せてくれる機会を与えてくれた
のだから"
俺には……俺にとって、ACは人生の全てなんだ。
昔も、今でも、ACを駆ることだけが俺の生きがいだ。
そんな思いに馳せ、開いたコックピットの中へと
俺を、俺を繋ぐ機械が乗せ込んだ。
俺は静かに操縦桿を握り、ACを起動させた。
ウゥン、と駆動音を鳴らし
【メインシステム、戦闘モード起動】
すっかり耳に焼きついたそのフレーズに
俺は感動を感じながら、ACが起動したことを
確認した。
だが、俺の持ってたACとは少しフレーズは
違っていたか?
売人「…商いは完了だな。そいつはACの
操縦以外何も出来ないような状態だ。
だから相場の10分の1で…」
ウォルター「いや、相場通り金は払う」
売人「なに?だがそいつは話すらもまともに
でき
ウォルター「関係ない。きっちり相場の値段を
払う。
それと、二度と俺にこいつらに対して価値をつける
ような話をするな。
旧世代型だからと言って機械の部品扱いをしていい
わけではない。
……この男にだって、人間として、払うべき尊厳は
ある。」
売人「……ふん、そうかい」
………なんなんだ、この男は
どうも最初から不機嫌な様子だったが、あの売人が
俺に対しての値段の話をした途端一気に不機嫌さを
まし、語気を強めて……
そして…… 人間として、尊厳を払え……だと?
ACのためだけに生み出された俺たち旧世代型に
対してにか…?
この世界の常識に照らし合わせれば、100人いれば
100人がこの売人の話に対して異議を唱える
者などいないだろう。
俺だって売人は何も訂正するべき失言をしていない
と判断する。
そんな困惑する言葉を、俺たちを使い潰すような
人間が、言うとは……
ウォルター「……あぁ、すまなかったな621。少し
イライラしすぎていたようだ。お前には関係の
ないことだな。」
そう言って、少し怒気を抑えたウォルターは売人に
本当に相場通りの値段を支払っていた。
ーー本気で…言ってたのか……ーー
どうやらこの男は本気で頭のネジが1本外れて
いるようだな。
ウォルター「さぁ、行くぞ621。お前には、
やってもらいたい仕事がある。」
ーーあぁ、本当に……物好きで、変わった男だーー
----それからしばらくの後------
ーキヴォトス アビドス高等学校ー
ホシノ「せんせーーー!!」
私がアビドスの高校に訪れたのを
元気なホシノの声が歓迎してくれた。
先生「あぁ、ホシノ!出迎えに来てくれたんだ
わざわざすまなかったね」
ホシノ「うへへ!そんな事はいいのいいの!
おじさんは早く先生に会いたかっただけ
だから!」
そういう桃色のロングストレートの少女の名は
小鳥遊ホシノ。
見た目は小さな子供のような見た目ながらも
実力は【暁のホルス】と異名がつくほどであり、
アビドスで最強であり、キヴォトス全体で見ても
片手の指に入るほどだ。
先生(今のほんわかとした雰囲気からはとても
信じられないよなぁ)
にっこりとゆるーく笑うホシノを見て、私は
内心くすりと笑ってしまう。
ホシノ「うへ?どうしたの先生? 私の顔に
何かついてる?」
と、思っていたのだがどうやら顔に出てしまって
いたようだ。
先生「あはは。いや、ホシノは相変わらず
のほほーんとしてるから、癒されていた
だけだよ」
私は誤魔化すように、だけどつい意地悪して
半分は本音でしゃべった。
するとホシノは少しムッとしたように
ホシノ「うへぇ?おじさん、そんな事先生には
言われたくないかな〜? 先生だって普段
すっごくだらしないじゃん」
先生「……え? いやいやいや、私は大人だよ?
だらしなくは…」
ホシノ「じゃあこの前の当番の時、ミレニアムの
ユウカちゃんから「またこんなにプラモデル買って!
いい加減その浪費癖直してください!」って
電話越しに涙目になりながら怒られてたのは
どこの誰なのかな〜?」
先生「…………」はうぅ(涙目)
ホシノ「……ま、おじさんは先生のそんな
ところも好きだけどね〜。いざって時の
先生とのギャップもあるしね。
さ、先生!いつまでもちいかわみたいになって
ないで対策委員会の部屋に行くよ!
皆待ってるんだからね!」
先生「はい」(涙目)
……ホシノに連れられ移動中、自分が外からこの
キヴォトスに赴任してから、この激動の期間を
穏やかな気持ちで思い起こしていた。
教員免許をとった私が連邦生徒会長と出会い、
このキヴォトスへとやってきた日
来て早々、天使の輪をつけた少女たちが何食わぬ
表情で銃撃戦を行なっていた事
そして銃弾に当たっているのに血も一滴すら
出なかったことに驚きのあまりすっ転んでしまった日
超法規的シャーレへの赴任した日
アビドス対策委員会と、キヴォトスでの
初めて活動と修羅場の日
ミレニアムでのゲーム開発部の生徒たちを
きっかけにした事件の日
トリニティとゲヘナの和解を目指した
エデン条約の巡った日々
サオリたちと一緒にアリアスクワッドの
元凶ベアトリーチェとの決戦の人
SRT特殊学園について、公園にいた
ミヤコから「私はあなたのような大人が一番
嫌いです」と開口一番に言われた日
そして………キヴォトスの最大の危機、
司祭とプレナパテスとの決戦の日
そして、
託された想いのことを……
先生「ま、あれからも色々あったなぁ……」
ホシノ「ん?なーに?先生? 今度は
ちょっと嬉しそうだね〜」
先生「あっと、また口に出てしまっていたか」
ホシノ「先生って、ホント考え込んでるのが
わかりやすいよねえ。あからさまに顔に出るし、
何なら口にも出るし」
先生「だよね。自分でも直したいって思ってる
んだけどな〜……」
ホシノ「いや、そこは直さなくて良いと思うよ?」
先生「え?どうして?」
ホシノ「だってーー」
ホシノはとても、とても穏やかにそれでいて
満面の微笑みで答えた
ホシノ「私たちは先生のそんなところに救われ
たんだよ?」
ホシノ(あなたの、その真っ直ぐな温かい好意にね)
ホシノ「そしてそれは私達だけじゃなくて
キヴォトスの皆も同じのはずだよ?きっとね」
先生「は、あはは……。何か、自分が真剣に
直したいと思っているところを、こう……
真っ直ぐに褒められると照れて仕方ないね……」
ホシノ「うへー?先生はいつも私たちのこと
褒めてくれるじゃん。だからお返しだよっ」
先生「これは一本取られたかな」
そんなふうにホシノと穏やかに話していると
対策委員会の部屋に着いた。
部屋の扉をガラガラと開けると、そこに
対策委員会の、いつもの4人がパイプ椅子に
腰掛けて待っていた
ホシノ「やっほー!皆先生連れてきたよー!」
と、元気なホシノの声に対して浴びせられた
のはなんと非難の声だった。
セリカ「もー!おっそーーーい!!何で先生を
連れてくるだけでこんなに時間かかってるのよ!」
ノノミ「ホシノ先輩、さてはわざとゆっくり
歩いてきましたね〜?」
シロコ「ん、ずるい。私も先生と出来るだけ
長く一緒にいたいのに」
アヤネ「そうです!気持ちは分かりますけど
先生との事は皆公平にって決めたじゃない
ですか!ずるいですよ!」
先生「え?……え!?」
私は驚いていた。確かに話に華を咲かせすぎて
すぐそこの対策委員会の部屋に来るのにちょっと
時間をかけすぎたかなと思う。
だが、だからと言ってちょっとシリアス過ぎや
しないかな!?
私みたいな20代後半に差し掛かろうとしている
おっさんが来ても年頃の女の子にとっては
鬱陶しいだけだろうにぃ!?
ホシノ「うへへぇ。だから公平にじゃんけんで
決めたんじゃない、アヤネちゃん。だから
じゃんけんに勝ったおじさんの特権だよ〜」
アヤネ「それは…まぁ、、そうですけど……」
シロコ「ん〜〜〜〜っ」
ノノミ「それにしたってちょっと時間かけ過ぎじゃ
ないですか〜?」
セリカ「そうだよ!!先生は忙しいのに!
ほら!もうこんな時間じゃん!これじゃ
先生すぐに他のところに行っちゃうじゃん!」
ちょ、ちょっとまずそうだね……
ここは大人である私が責任を取って憎まれ役に
なるべきだろう。
ホシノが嫌われるより、おっさんの私が嫌われる
方がずっと良いに決まっているしね!
先生「ちょっ、ちょっと待ってくれ皆!
ホシノは悪くないんだ!私が話しかけたん
だよ!!
そ、それにホシノが私が直したいと思っていた
欠点を褒めてくれて……
そ、そう!それで先生ったら嬉しくなっちゃって
つい話し込んでしまったんだよ!!
いや〜おっさんのくせに先生ったらつ……
いいいいいぃぃぃ!!??」
「「「「は?」」」」
ホシノ「うへへ〜…」
わ、私に怒りを転換させるどころか更に
ホシノへの怒りを増長した…だと!?
な、何で!?ねえ皆さん!どうしてぇ!?
ホシノ「先生、おじさんそれはみんなには
黙っていて欲しかったよ〜…」
ノノミ「ホシノ先輩♪何、抜け駆けしてるん
ですかぁ?」
セリカ「そうよ、何ちゃっかり先生の好感度を
上げてるの?」
シロコ「ん、これはout」
アヤネ「えぇ、完全にギルティです」
ホシノ「あ〜……まぁ、先生の考えは分かる
んだけど、完全に逆効果だよぉ〜」
ちょちょちょちょっ!?皆さん目がバッキバキ
だよ!? いやちょっ!? ぶ、武器まで出し
始めてますやん!?
それはちょっと洒落にならないって!!
先生「いやいやいや!?皆どうしたのさ!?
いつもとっても仲良いのに!!
大体こんな何の取り柄もないおっさんとの
交流の時間なんて鬱陶しいだけでしょぉ!?」
と、言ったその時。
修羅場になりそうな場の空気は風船のように
萎み、ホシノへの敵意の代わりに私に対する
恨めしそうな視線が支配しだす。
…おや?何故だか分からないけど、もしかし
なくてもホシノから私への敵意転換作戦は
上手くいったんじゃないか?
何故かすぐ隣からも同じ視線を感じるのが
気になるところだけども
そしてーーー
「「「「「はあああぁぁぁぁぁ……」」」」」
返される、クッッッッッソデカため息。
……やったぜ☆ 何でホシノからもクソデカ息吹
攻撃されないといけないのか分からないけど
これは作戦成功だろう!
やはり私は大人だ。まだまだ子供の思惑になんて
負けんよ!
セリカ「先生って、本当にクソボケだよね!」
ノノミ「正直ホシノ先輩に同情しちゃいます」
シロコ「ん、同意」
ホシノ「ノノミちゃん、シロコちゃん、
ありがとうね。おじさんはすごくショックを
受けてるよ〜…」
アヤネ「ま、何はともあれ先輩の頑張りは
無意味になってしまったって事で…
許してあげましょう、皆さん」
うんうん!これだよ。これが青春ってやつだ。
嫌な先生を相手に皆で悪口で盛り上がる。
私もよく数学のクソ教師に対してクラスの
友達と愚痴の言い合いをしたものだ。
まぁ、堂々と言われてしまっているところが
私の時との違いだけれど、仲直り出来たようで
何よりだよ!
ノノミ「……とりあえず、【今日の本来のお仕事】
についてまずは先生に話をしましょうか」
と、ノノミが切り出したことにより、私は少し
真剣な顔に戻った。周りの皆もそうだ。
シロコ「ホシノ先輩、先生、とりあえず中で
話そっ」
シロコに促されて私とホシノは対策委員会の
部屋へと入った。
そう、私はいつものようなキヴォトスの
各地の見回りで来たわけじゃない。
今までの災禍のような事件性はないが……
最近キヴォトスに噴出し出している深刻な
問題の話を聞きまわりに来ているのだ。
その最初がここ、アビドスというわけだ。
その深刻な物はーー
シロコ「ん、これ。ヘルメット団たちが
持ってたやつ」
机の上に紙に包まれた紅い粉末。
……色こそ違うが、その形状は私がいた外の
世界にも存在していた物を連想させた。
いいや、事実これは今私が連想している物と
性質は完全に一致している。
先生「最近の噂の【麻薬】がこんなに……」
この事実に私は胸が締め付けられるような
思いへと馳せられる。
これを、この量を、カタカタヘルメット団が
持っていた、という事実についてだ。
不良集団とはいえ
だって、私のかわいい生徒に他ならない。
いや、それを抜きにしてもだ。まだ高校生の
子供に麻薬なんかが蔓延してるという事実に
私は胸が押しつぶされそうだ。
普通の良心を持った大人ならば、誰もが心を
痛めるだろう。
アヤネ「今はまだ正確な出どころは分かって
いません。 ですがヘルメット団がどこから
入手してきたのかは判明してます。」
先生「うん、そこは?」
私にはほとんど察しがついている。
ホシノ「……また、カイザーのクソ野郎ども
からだよ。」
先生「……やっぱり、そうか。」
ダァン!!!
「「「「「ビクッ!?」」」」」
私は……怒りのあまりつい机に拳を叩きつけて
しまった。
セリカ「な、なにっ!?いきなりどうしたのよ!?」
シロコ「せんせ?」
当然、私の急な怒りの爆発に皆を少し怖がらせて
しまったようだ。
全く……怒りで周りが見えなくなるなんて……
大人として情けないな、私は。
先生「あぁ、ごめん皆。カイザーの……あいつら
が今している事が、あまりにも許せなくってね…」
すぅと、深呼吸をして、私は気持ちを落ち着かせる
先生「私が外にいた頃にもね…… これではない
けれど、これと全く性質の変わらないものが
蔓延していたんだ。 ……いいや、今私が、ここ
にいる時でも、外では変わらず麻薬は蔓延
しているだろうね。」
シロコ「……ん、そういえば、これの総称を
つけたのって、先生だった気が……」
先生「……そして、こんな代物を蔓延させて
いたのも、悪い大人たちなんだ。
外の世界でも……今のカイザーたちのように
年端も行かない子供達に麻薬を普及させていた…
金のために…… 麻薬を使い続けた者がどう
なるのか知っていながら…ね。」
ノノミ「先生……」
ノノミ(すごく……苦しそう)
先生「だからね、今回のカイザーの所業には
本当に許せないんだ。外の奴らと同じように、
生徒たちの、人生がどうなろうと知った事じゃ
ないように、自分の懐を肥やすためだけに
私の大切な生徒たちの人生をめちゃくちゃに
する奴らがね」
私はギュウ!と拳を握りしめた。
ホシノ「……そうだね。今回の奴らの行動は、
ちょっとばかり行き過ぎてる」
ふぅ、と私は息を吐いた。そして『デバイス』に
時間の確認をとる。
先生「ありがとう、皆。もう時間みたいだから
先生は次の学校に向かわないと」
セリカ「えーーーーーー!?もう行っちゃうの!?
私たち全然先生とお話し出来てないんですけど!」
ホシノ「はいはい、セリカちゃん。先生だって
忙しいんだからわがまま言っちゃいけないよ」
ノノミ「すみません〜先輩。先輩がそれ言っても
殺意しか湧いてこないです〜」
ホシノ「うへへ……」
アヤネ「せ、先生!ちょっとだけでいいので!
少しは世間話とか出来ないですか!?」
先生「あはは……困ったな…」
シロコ「………あっ!!」
獣の耳をペタッと折り曲げて、分かりやすく
しょんぼりしてたシロコが、獣の耳をピョコッ
と立てて何かを発見したような、大きな声を
発した。
その声に先生と、対策委員会のみんなが
一斉にシロコの方を見る。
ホシノ「うへ?どうしたの?シロコちゃん」
シロコ「ん、あれ」
セリカ「え、あれって?」
シロコが指差す方に一同が注目した。
シロコ「流れ星」
その指の先には、シロコの言うように真っ昼間
なのに流れ星が流れていた。
セリカ「えぇー!?こんな日が出てる昼間に!?」
アヤネ「こんな事ってあるんですか?先生?」
先生「まぁ、ない事はないけど……珍しい事は
確かだね。」
シロコ「…ん。私、あの流れ星に【まだ先生を
ここに残して】って願った」
先生「いや、シロコ、何願ってるのさ…」
ノノミ「うふふ〜。シロコちゃん良いですね。
それ。じゃあ、私も流れ星さんにそう願っちゃい
ます〜」
先生「ノノミまで!?」
ホシノ「うへ〜!いいねぇ!おじさんも
協力するよー!」
アヤネ「お星様、どうかささやかで良いので、
先生とのお時間を私に恵んでいただけませんか」
先生「もうっ そんな事願ったって先生は
行きますからね!」
セリカ「えー!良いじゃない!ほんの
ちょっとぐらい!! あのお星様に
免じてさ!」
アヤネ「……え?」
先生「ダメなものはダメです!緊急事態でも
ないんだから」
ノノミ「緊急事態って例えばどんな事が起きて
いただけたら良いんですかぁ♪」
先生「いやいやいや!?自発的に起こすのは
なしだよ!?ノノミ!!」
アヤネ「え…え…?いや、まさかですよね?」
シロコ「ん、かくなる上は先生を襲う。
もちろん性的に」
先生「なに言うてまんねん!?シロコ!」
ホシノ「うっへへぇ、もちろん自分たちで
やったりなんてしないけどさ〜。
その緊急事態を教えてくれるぐらい
してくれても、いーんじゃない?」
アヤネ「え、いや……ウソウソウソ!?」
先生「え〜、……そうだなぁ。
じゃあ、あのお星様がアビドスに落ちてきたら
にしようかなぁ」
アヤネ「あっ!あのっ!?皆さん!!」
セリカ「はあああぁぁ!?そんなのっ落ちて
くるわけ
ズッドオオオオオオオオオオオオン!!!!
先生「おおおおおおおおおお!!!???」
シロコ「んんんんんんんんんん!!??」
セリカ「ええええええええぇぇぇ!!??」
ノノミ「きゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!??」
アヤネ「わあああああぁぁぁぁぁ!!!!」
ホシノ「うへえええええええぇぇぇぇぇ!!??」
な、何だ!?地震か!?まずい…!!
生徒たちを守らなければ…!!
と思っていたのも束の間、揺れはすぐに収まった。
先生「おおぉぉっ!? み、皆!?大丈夫!?」
セリカ「大丈夫!そんなに強い揺れでもなかった
から」
ホシノ「それにしてもびっくりしたね〜。」
ノノミ「何だったのでしょうね?」
アヤネ「あの、皆さん…。アレです。」
おずおずとアヤネが指を刺した。先ほど
流れ星が流れていた方向にだ。
「「「「「………………」」」」」
シロコ「……んっ!本当に落ちてきた。
お星様が」
絶句。ただただ私は絶句だ。
セリカ「……うっそぉ」
ノノミ「……あらら〜、お星様、私たちの
願いを叶えるために少し張り切り過ぎたん
でしょうかぁ〜」
セリカ「いやんなわけ……」
アヤネ「……先生、これってどう考えても
緊急事態ですよね?」
先生「……ソウデスネ。
これは流石に無視するわけにはいかないかな。
とりあえず、連邦生徒会にこの事を伝えて、
あの流れ星の落下地点に向かって調査しに
行くよ。
ごめんだけど、何があるか分からないから
皆護衛として私について来てもらって
いいかな?」
ホシノ「うへ、もちろん」
ノノミ「私もついていきますよ〜」
シロコ「ん、お星様、私の願い本当に叶えて
くれた。ありがとうって直接言いに行こう」
セリカ「シロコ先輩いいねそれ!私も現地で
お星様に祈祷しようっと!」
アヤネ「あぁ、お星様ありがとうございます!
私の願いを聞き届けていただけて!」
先生「……よし、連邦生徒会から許可が降りた
みたいだ。皆、出発しようか」
「「「「「はーい!」」」」」
……なんか、皆やけに嬉しそうだね?
こんなおっさんの用事に無理矢理付き合わされる
なんて煩わしくて仕方ないだろうに……
-----------------
先生「で、来てみたけど……」
圧巻。としか言えない光景だ。
まさか人生で、実際にクレーターが出来る
ところを目にする機会が来ようとは……
シロコ「ん、あれがありがたいお星様。
シロコ、ちゃんと感謝のお祈りするっ。
ナムナム……」
セリカ「いやシロコ先輩!それお経だよ!
感謝じゃなくて逆に失礼だよ!!
死人を送ってるじゃん!!」
ノノミ「……というか、あれ、隕石とかじゃ
なくないですか?」
シロコ「んぅ?」
セリカ「……あっ!ホントだ!!何だか
四角いよ!」
アヤネ「もしかして…コンテナとかでしょうか?」
先生「……とりあえず、側まで行ってみよう。」
ホシノ「先生、一応何が出てくるか分からないから
注意してね。皆も周囲の警戒と目標物の警戒を
怠らずにね」
私は対策委員会の皆に囲まれながら、落下物の
元へと近づいていった。
そして、近づくにつれ、流れ星の正体は
隕石ではなく、アヤネの言うようにコンテナ
だということがはっきりしていった。
そして、完全に側まで近づいた時に、もう一つ
はっきりしたことが分かった。
先生「……でかくね?」
シロコ「んん、高さだけでアビドスの校舎より
ある。」
セリカ「いくら何でも巨大すぎるでしょ……」
ノノミ「これだけでかければ、そりゃこんなに
大きなクレーターも出来ますね〜」
ホシノ「…待って、先生、シロコちゃん、
セリカちゃん、ノノミちゃんにアヤネちゃん。
……あそこ、コンテナの高さ分のドアが
ついてる。」
ホシノに指摘された場所を私は見てみる。
先生「……本当だね。あれは、ドア…だね。
…コンテナの高さ分ほどもある巨大な」
アヤネ「先生、どうします?」
先生「もちろん、行って調べるよ。」
セリカ「了解。先生、分かってると思うけど
私たちから離れないでね」
私たちはホシノが指摘した巨大なドアの目の前
にまできた。
更にそこで判明した事があった。
セリカ「ホシノ先輩、これ……」
ホシノ「うん、セリカちゃん。このコンテナ
相当な技術で作られているよ。」
このメカニックの、誰がどう見たって
機械仕掛けですってのが分かる
扉がそこに鎮座していた。
もちろん、アビドスの校舎より巨大なそれを
見れば、誰でもそれが相当な技術で
作られたらしいというのは容易に
想像出来る。
ノノミ「これほど巨大なコンテナに…何が
入ってるでしょうね…」
先生(……アロナ、聞こえる?)
私は『デバイス』、【シッテムの箱】に
アクセスした。
シッテムの箱… それは同じく超高度の
技術が込められたデバイスだ。
これ一つで、巨大なコンピュータすらも
瞬く間にハッキングしてしまうほどの
能力を持っている。
まぁ、実際にハッキングをしているのは
アロナ「はいはーい!聞こえてますよー!
先生!」
今元気に私にあいさつをして来た、この
シッテムの箱のメインOS、アロナなのだが。
私の意識をこのシッテムの箱の中に入れる事が
出来るのだが、このアロナにはこのシッテムの
箱の中で、ちゃんと触れたりする事ができる
のだからあんまりOSという感じがしない。
プラナ「事情は把握しています。先生。
私たちでこの巨大なコンテナの扉を
開けられないか、アクセスしてみます。」
そしてこの子はプラナ。
……あの時、プレナパテスから託された
向こうの次元のアロナだった子だ。
今は、あの人の願いにより私が
この子を預かっている。
先生(ありがとう、アロナ、プラナ。)
私は礼を告げると対策委員会の皆と
再び話す。
先生「みんな、聞いてくれ。この扉を
今からシッテムの箱で開けられるか
試してみる。何が出てくるか分からない。
扉から少し離れよう。」
「「「「「了解!」」」」」
そして、私たちが後退して、扉から
十分な距離を取ってすぐに
カシュー……
音を立てて、その巨大な扉が開き
始めた。
セリカ「えっ、すごっ!もう開き
始めてる!」
アヤネ「さすがはシッテムの箱ですね」
先生「うん」
先生(さすがアロナとプラナだ。この謎の
コンテナの扉にもうアクセスしたなんて)
私は感心してアロナとプラナを褒めたが
今回は違うようだった。
慌てふためいて2人が私に忠告を飛ばしに来た。
アロナ「あ、あわわわわわわ!!違います!
先生!!」
先生(違う?)
プラナ「私たち、まだそのコンテナの扉に
アクセスを試してすらいません!!」
先生(なんだって…!?)
アロナ「何かあったらまずいと思って
先生たちが離れ終わるまでアクセス処理を
するのを待ってたんです!
それで、先生たちが離れ終わったみたい
なのでいざアクセスしようと思った矢先、
勝手にドアが開き始めたんです!」
先生(ということは、つまり!!)
プラナ「はい!そのコンテナの中にいる
者が扉を開けたのでしょう!
先生!十分に警戒してください!」
危機迫る2人の言葉を受けて、私はすぐに
対策委員会の皆に指示を飛ばした。
先生「皆!! どうやらその扉が開いた
のはシッテムの箱の力じゃないらしい!!
コンテナの中にいる奴が開けたようだ!!
最大限に警戒するんだ!!」
「「「「「!!!!!了解!!」」」」」
ホシノ「先生は私たちの後ろに!皆は
銃を構えつづけて!警戒態勢を維持だよ!」
シロコ「了解、ホシノ先輩!」
ノノミ「さ〜て、蛇が出るか何が出てくるか…」
今もなおゆっくりと巨大な扉は開かれている。
ーーーそして、完全に扉が開き切った時、
その場にいた全員が余る事なく驚愕に包まれる!
その扉の先には……
セリカ「……うそ」
アヤネ「なんて…巨大な……」
シロコ「ん、私も過去1番の驚き」
ノノミ「夢では、ないですよね?」
ホシノ「うへ〜、これは流石に、
おじさんでも予測できないよ…」
先生「……何だ?………アレは!?」
そこには、アビドスの校舎の高さほども
ある、鉄の巨人……
【アーマードコア】が静かに鎮座していた。
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「すっげえぜこれ!!これなら、アビドスの
対策委員会の野郎どもに一泡ふかせられるぜ!」
何か、やっぱりブルアカ側の描写の方がちょっとふわっとしていますね…
特に先生の回想のところとか、にわか知識しかないので、すんごいふんわりとした描写しか書けなくて申し訳ありません。
ていうか、キャラ毎に武器とか持ってる種類もあるんですよね。
……ごめんなさい、ブルアカの方の戦闘を上手く書けるマジで自信ない
ですが、協力者(pixiv先生)といっしょに整合が取れるように何とか頑張っていこうと思います。
ただ、これだけは仕方ないと言いますか、やはりAC勢力側の戦力が圧倒的だと考えておりますので、1章の終盤前までAC勢力に蹂躙されるブルアカキャラたちを書くことになると思います。 1章の終盤で対抗出来るようにブルアカ勢にもACに乗せようと思っています。