ブルーアーカイブ:〜ACⅥ Fires of Kivototh編〜   作:とある渓流にいるかわうそ

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今回、ブルアカキャラたちに対して不快要素が
あるかもしれません。
ブルアカのファンたちには不快な思いをさせて
しまうかもしれませんが……ご容赦ください!
特にアズサとハナコは完全にキャラが変わってる
ような………


21話 憎しみという病。この場所こそが、【鉄の世界】

 

 

〜〜15:42 アビドス砂漠、アビドス高校道中〜〜

 

 

チャティ:む、あれは…:

 

先生:ホシノたち…!:

 

列車の下を覗くとホシノを先頭に、装甲車数台で

砂漠を駆ける生徒たちを発見した。

見れば、ホシノをはじめとした生徒数人が

手を振っているのが見える。

まぁ、ACは目立つからね。そりゃ向こうのほうが

発見は早いか。

 

チャティ:降りて、合流する。:

 

先生「うん、頼むよ。」

 

シュゴオオオオオオオ!!!

 

 

 

ヒフミ「あっ!こっちに向かってきてます!!」

 

ホシノ「アヤネちゃん!ストップ!ブレーキ

かけて!」

 

アヤネ「はい!」

 

ハナコ「アズサちゃんもブレーキしましょう。」

 

アズサ「了解。」

 

サオリ「ミサキ、ストップだ。」

 

ミサキ「了解。」

 

カズサ「だああぁぁぁぁ!!ストップストップ!」

 

ナツ「な、何故にティーパーティの一員とも

あろうものがこんなに運転が荒いのだよぉ!?」

 

セイア「運転は私の愛好する趣味だからね。」

 

シミコ「理由になってません〜!!」

 

 

キキイイイィィィィ……

 

キキーー!!!

 

 

アイリ「ひいいいいいい!!??」

 

カズサ「こ!こらあああぁぁぁ!!!急ブレーキ

するな!!ゆっくり止まれ!!!」

 

セイア「何を言ってるんだい?こちらの方が

スリルあるだろう?」

 

チナツ「もう!!誰ですか!?この人を運転手に

したの!!?」

 

ウイ「うぷっ…」

 

ヨシミ「へ?ウイ、先輩……ですっけ?

ちょっ、まさか!?」

 

ウイ「ら、乱暴な運転で、は、吐きそ……う………」

 

ヨシミ「ちょおおおおおお!?冗談じゃ!!

は、吐くなら外で

 

ウイ「うええええええええええ……」キラキラキラ☆

 

ヨシミ「ぎゃあああああああ!!!!!」

 

 

 

シュゴオオオオオ、ボッ、シュオオオォォォ……

ドン、カシュウウウウゥゥゥゥゥゥ………

 

 

ドシャ

 

 

先生「みんな!!」

 

シロコ「ホシノ先輩、ノノミ、セリカにアヤネも!」

 

ホシノ「先生!!それにシロコちゃんも!!」

 

セリカ「うううぅぅぅぅぅ!!! 無事でよかった

ああああぁぁぁぁ!!!!」

 

ヨシミ「……ねえ?どう考えても向こうのほうが

この車よりスピード出てるはずのに、あっちの

方がよほど良心的な止まり方してくれてるん

ですけど……?」ベチャア!

 

サオリ「……!!??待ってくれ!!!先生!!

その、その肩はどうした!!?? 抉れて

いるじゃないか!!??」

 

先生「あ、あぁ、えっと…… 大したことないよ?

ほら、肩も全然動くし!」

 

ミサキ「そんなわけないでしょ!!??

大怪我じゃない!!!」

 

スバル「先生…!あぁ、せんせぇ……! 

あなたまで……」

 

サオリ「……だれ、だ?」

 

先生「サオリ?」

 

サオリ「誰が!!あなたにこの傷を負わせた!!」

ギリギリ

 

先生「それは……」

 

ホシノ「……ついさっき、ここにやってきていた

ベイラムのレッドガンのクズだよ…!!」

 

サオリ「……………」

 

ホシノ「……まぁ、おじさんを庇ったせいだから

おじさんにも非はあるけど…… あの、五花海って

いうクズ野郎…… 先生を、私たちのことを思うなら

自殺するべきだって言いやがった!!

ゴミだとも!!」ギリギリ

 

サオリ「……………」ギリギリギリィ!

 

スバル「レッド、ガンの、五花海ですか。

………私に、力があれば、想像し得る限りの

苦しみと絶望を与えて殺してやれるの

ですがね。」ハイライトオフ

 

シロコ「それだけじゃない。あいつ、ロニーの

ことも、ゴミ呼ばわりしてた。

生きている価値のないゴミだって…

あいつ、許さない。絶対許せない……」

ハイライトオフ

 

先生「っ!!!」ギリィ!

 

ホシノ「は?」ハイライトオフ

 

ノノミ「は?」ハイライトオフ

 

セリカ「は?」ハイライトオフ

 

アヤネ「は?」ハイライトオフ

 

シロコ「それ、だけに…… 悔しいよ…!!

結局、私たちは何も出来ないまま……

あいつは【あのAC】に殺されるだろうから…!」

ギリィ!

 

セリカ「あの、AC……まさか……!?」

 

ノノミ「そういえば、あのクズ、五花海はどう

なったのですか?先生たちを追いかけて行った

と思うのですが…」

 

アヤネ「あの災厄のACが、どうしたと……?」

 

シロコ「んっ、ちゃんと説明する。実は……

 

 

 

〜〜シロコ、別れた後の経緯を説明中〜〜

 

 

 

ホシノ「……うへぇ、アーキバスまでやってきて」

 

ノノミ「五花海に追いつかれ、ロニーさんが先生の

指揮下に入ったことで、何とか善戦していたものの…」

 

セリカ「クズが青白い爆発を自身の機体から

起こして、それでロニーが怯んだ隙に」

 

アヤネ「危うく先生とリンさんを連れ去られそうに

なったところを……」

 

サオリ「あの、災厄としか思えない【AC】が

助けてくれたって…!?」

 

ミサキ「訳が分からない…… 私たちキヴォトス人を

捕らえていたってのに……?」

 

ヒヨリ「考えてることが、分かりませんよぉ!」

 

チャティ:あのACは依頼でシャーレの先生を

守りに来たと言っていた。それも、俺たち側の

勢力の者がだ。……だが、独立傭兵に依頼を

出すとなると少なくとも10万COAMはいる

はずだ。 そんな大金をポンと出せる奴など

心当たりはあるか?:

 

先生「ここのキヴォトスの基準で言うなら、

1000万円って事になるね……

う〜ん、意外と結構いそうだな…?」

 

チャティ:言っておくが、円ではなくCOAMだぞ?

俺の世界では円なんて通貨ないからな。

COAMで支払わないと独立傭兵は動かんはずだ。

そのあんたの心当たりの人物は、COAMも

持っているのか?:

 

先生「……ないと思う。そもそも、COAMは

このキヴォトスだとほぼ失われた通貨だから

持っている人がいたらそれだけで話題になる

と思う……」

 

アツコ「だよね……。 じゃあ、私たちが

知らない誰かって事になるけど…… 一体誰?」

 

スバル「……それより、私が気になるのは

その後です。件のACの顔の見た目が烏っぽい

ので銀烏と呼んでいるのでしたね?

その銀烏は企業のエリートとは……」

 

カヨコ「……やばい、アリウスのあなたたちと

私たちが見たものから、想像していた危険の

イメージすら生温かった……」

 

シロコ「先生の指揮下に入っていたロニーが……

一瞬で足蹴にされたし……」

 

アル「私たちが見る限り、戦いにすらなって

いなかったわ……。 最初に見た、3体のACよりは

ヴェスパーとレッドガンの精鋭は全然練度が上

だったけれど……」

 

ムツキ「そんな、エースを2人同時に相手に

してたってのに…… あんなの、もう戦いじゃない。

ただの蹂躙だよ……」

 

ハルカ「その銀の烏のACは…… 傷らしい傷を

ほとんど負っていませんでしたしね…」

 

アオイ「途中で離脱したから最後までは見ていない

けれど……」

 

リン「まぁ、企業の2人はまず間違いなくやられて

しまっているでしょうね……。

ですが、先も述べた通り、あの銀の烏はとりあえずは

私たちに敵意はなさそうでした。

追撃に来る事はないでしょう。」

 

ホシノ「…………」ギリギリ!

 

ハナコ「……………」ギリ

 

シロコ「……んぅ……!!くや、しい……!!

あんなに、先生を、ロニーを、ゴミ呼ばわり

されて……、関係ないところで、殺されて

終わりなんて……!!!

私の、手で……殺したかった……!!

せめて、ボコボコに……!!」

 

ホシノ「うん…… 私も、あいつは、

この手で殺してやりたかった…」

 

ハナコ「私もです。あの男に、目を拭いそうな

地獄絵図を見せられましたから…」

 

セリカ「せめて1発ぐらい殴りたかった…!」

 

ノノミ「私は原型も留めないほどグチャグチャに

してやりたかったですね」

 

アヤネ「あのクズは、もっと苦しめてやり

たかったです……」

 

サオリ「同感だ……」

 

ミサキ「……くそっ」

 

ヒヨリ「……………」

 

アツコ「私も、そのクズはなぶりたかったな…」

 

カズサ「…それにしても、まさか先生の指揮が、

ACにも有用だったなんてね。」

 

チャティ:それについて聞きたい。あんたの指揮に

入ってから、能力が明らかに向上した。

一体ありゃどういうカラクリなんだ?:

 

先生「えーと…… すまない。私にもよく分から

ないんだ。」

 

シロコ「私たちは神秘みたいなものだと

思ってるけど…」

 

ホシノ「正直誰もよくわかってないんだよね〜」

 

チャティ:……そうか。:

 

カズサ「……とりあえずさ、こうなった以上、

早いところミレニアムに行かない?

……無事かどうかわかんないけど。」

 

ホシノ「それなら大丈夫だよ。ユウカちゃんと

確認が取れた。ミレニアムには企業の侵略は

まだ来てないって。」

 

チャティ:そいつは暁光だ。早いところ向かうと…

 

 

 

ザザ…ザ……

 

 

 

 

ウォルター*待て、チャティ。少し問題が生じた。*

 

チャティ*なに? まさかビジターに何か…*

 

ウォルター*いや、あいつはきっちり仕事を

こなしてくれた。ヴェスパーは逃げたが、

問題ではない。

排除しておきたいレッドガンのACも撃破

したが……*

 

チャティ*……なんだ?*

 

ウォルター*……621はこれ以上ないほどに

仕事をしてくれた。何せ不可能と思っていた

緊急脱出を行なったコアコックピットに

リニア銃の弾丸を当てたぐらいだからな。*

 

チャティ*……冗談では? 緊急脱出を

行なったコアコックピットのスピードは

マッハ5を超えるはずだが……*

 

ウォルター*俺も絶対に不可能と思っていたが

あいつは当てた。

だが、完全にではなかった。……いや、当てた

だけで賞賛するべきなのだろうが……*

 

チャティ*要領を得ないな。つまりどうなった?*

 

ウォルター*……脱出の軌道が逸れて、もう間も

なく、お前たちのいるところにレッドガンの

コアコックピットが不時着してくるはずだ。

ネストが落下着陸予想点を割り出してはくれたが…

完全ではない。下手をすればお前たちのいる

ちょうどそこに突撃してくる可能性がある。

レッドガンの不時着の衝撃から先生たちを守れ。*

 

チャティ*……なるほど、そうなるか。了解だ。*

 

ウォルター*……10時の方向、来るぞ!*

 

 

 

 

チャティ:……………:

 

シロコ「……んぅ?どうしたのロニー?

いきなり黙っちゃって……」

 

チャティ:いや、あれは何だと思って……

!!!??? な、何だ!!??

物凄いスピードだぞ!!!:

 

先生「え……?」

 

マイア「わわわっ!ほ、ほんとですぅ!!」

 

リン「どうして……すぐに一難が…!!」

 

ホシノ「ロ、ロニー!対処出来る!?」

 

チャティ:……待て、軌道的にここより随分前で

着陸しそうだ…:

 

 

ヒュウウウ、ズッッッッッッドオオオオオオン!!

 

 

カズサ「うーわ……物凄い砂飛沫上げてるね…」

 

アイリ「でもでも!良かったですね!こちらに

被害は……」

 

チャティ:……いや待て、相当なスピードだった

らしい。 止まらずそのままこっちに転がって

来るぞ。:

 

見れば、その大きな丸型のポッドはバウンド

しながらこちらに向かってきている。

 

ハスミ「あの、ロニーさん。対処できます?」

 

チャティ:これなら余裕だ…。下がってろ。:

 

ナツ「おぉ〜、頼もしいね。」

 

 

ガン!カラン!ガガッ カランカラン

 

 

そのまま高速でこちらに突っ込んできたポッドは

 

 

チャティ:……………:ドン!

 

 

ドサァ!!

 

 

ロニーのACに激突して、ようやく動きを止めた。

 

先生「ロニー、大丈夫かい?結構な衝撃だった

ように思えるけど…」

 

チャティ:この程度、ACには無傷だ。:

 

先生「……はえ〜、すぅごぅいなぁ〜」(小並感)

 

アル「そりゃ、あんなでっかいプラズマ爆発にも

平気で耐えるぐらいだもの…」

 

チャティ:平気じゃないぞ。普通に大ダメージだ。:

 

アオイ「でも自己修復出来るんでしょ?

問題ないじゃない。」

 

チャティ:問題ある。リペアキットは3回までしか

使えないんだ。普通に消費させられると痛い。:

 

セリカ「……へ?自己修復?リペアキットぉ???」

 

シロコ「うん、新たに発覚したACのチート機能っ。

かくかくしかじか……」

 

ホシノ「……は?機体損傷を修復出来る

キット???」

 

ノノミ「しかも3回使えて……だから、ほぼ全壊に

追い込んでも一回は絶対に全快出来ると……?」

 

アヤネ「ははっ…… ずるすぎません?」

 

セリカ「チートよチート!!!」

 

リン「……こほん。それで、これは一体何なの

でしょうか……?」

 

チャティ:………なるほどな。:

 

ホシノ「あ、スキャンして調べたの?」

 

チャティ:いや、今回はそれを使うまでもねえな。:

 

シロコ「んぅ?」

 

チャティ:これもまだ言ってなかったが……ACには

脱出機能がついていてな。

……まぁそもそもACは生き残る事を前提に設計されて

いないから、脱出機能に関しては劣悪そのものだ。

脱出レバーを引いたら、コアコックピットが

マッハ5を超えるスピードで射出されるが、それに

対するパイロットへの保証は何もついてない。

使えば最後、生き残れるかは五分五分の賭けだが……:

 

リン「……?何故そのような話を今?」

 

チャティ:………あの銀烏のACに追い詰められて

いちかばちかの賭けに出たわけだ。結果は

どうかね……:

 

先生「っ!!」

 

 

……………………カシュウウウウゥゥゥ!

 

 

アヤネ「っ!!ドアが!」

 

セリカ「開いた!!」

 

チャティ:………シロコ。:

 

シロコ「え、なに?」

 

チャティ:……良かったな。お前の願いを

神さんは聞き届けてくれたようだぜ。:

 

シロコ「……え?」

 

 

「ごほっ!ガハッ!!」

 

 

シロコ「………あ」

 

 

「うぉええぇぇぇ……」ゴボッ!

 

 

シロコ「この、声……!!」

 

先生「………………」ざわ

 

 

「お、のれ……!あのレイヴンとかいう

独立傭兵め…! 私の、出世のチャンスを

よくも……!」

 

 

シロコ「まちがい、ない………!」

 

 

そして、確信を持った人物が、コックピットから

ずるりと這い出てきた事によって、私たちは

初めて人間のゴミクズ野郎の全体像を目にする事が

出来た。

 

 

シロコ「ウー、フア、、ハイイイィィィ!!!」

ギリィ!!!

 

 

五花海「大体、どうなっていると言うのです…!

普通脱出中のコアコックピットに弾など当て

られないでしょう…!! どうやってあの銀烏は

当ててきたと言うんだ…!?」

 

 

チャティ:……あの様子じゃ、レッドガンは

こっちのことに気づいてねえようだ。

まぁ、とんでもないGがかかっていただろう

からな。 三半規管が……

 

ホシノ「………………」ふらり

 

シロコ: ザッ

 

チャティ:! おい…!:

 

 

 

五花海「はぁ、はぁ…… こうしてはいられません…

あいつが来る前に…どうにか、どこかに身を

隠さなければ…

 

 

 

ホシノ「おい」

 

 

 

五花海「っっっっっ!!??」バッ!

 

 

ホシノ「…………」ハイライトオフ

 

シロコ「…………」ハイライトオフ

 

 

五花海「………!!!!!」ダラリ

 

 

手で掴めるほど、至近距離に迫ったホシノと

シロコを見て、奴の顔が可笑しいほど

汗を吹き出して驚愕の顔で固まっていた。

ロニーの言う通り、声をかけられて、初めて

気付いたらしいな。

 

 

ホシノ「…………」ハイライトオフ

 

シロコ「…………」ハイライトオフ

 

五花海「……………」ダラダラ

 

 

 

バッ!!

 

 

ガシィ!!!

 

 

五花海「ぬぅあっ!?」

 

ホシノ「なに?何しようとしたわけ?」ギチギチ

 

五花海は腰に手を入れようとしたが、

キヴォトス人からすればただの人間の動きなど

あまりにもスローだろう。

簡単にその手はホシノによって取り押さえられた。

 

五花海「くうぅぅ!!何と凄まじい怪力…!

やはり、普通の少女では…!」

 

ホシノ「うへぇ、傷つくなぁ。こんな可愛い

女の子に対して怪力とか普通の少女じゃない

とか言うなんてさぁ?

 

なぁ、クズ野郎??? お前、そういえば

トリニティの正実の子を握りつぶしてた

よなぁ?」

 

 

ギュウウウウウ!!!

 

 

五花海「ぐうううううう!!??」

 

ホシノ「こんな風にさ?」

 

 

ミチベキミチミチベキベキベキ!

 

 

五花海「ぐあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」ジタバタ

 

 

ホシノは掴んだ五花海の腕を、そのまま

握りつぶした。

キヴォトス人の彼女からすればただの

人間である五花海の腕など簡単に潰せる

だろうね。

 

五花海「あああぁぁぁぁ!!!この!!

化け物があああぁぁぁぁぁ!!!!」スチャ!

 

その時、五花海は反対の手で腰から銃を

引き抜きーーー

 

 

パン!

 

 

ホシノの顔に向けて放った。

 

 

ホシノ「……なにその銃?何のカスタムもしてない

ただのハンドガン? ははっ、笑わせるよねぇ〜」

 

五花海「っっっっ!!?? 0距離、だぞ!?

こめかみに撃ったというのに……!?

無傷だと…!?」

 

だが、当然の結果がそこで起きていた。

私はずっとこのキヴォトスで生活してきたから

彼女たちにただの銃弾の一発など効かないこと

に今更驚くはずもない。

だが、そうでない外様の奴はそれはそれは目を

見開いて、汗をたっぷり噴き出して驚愕に顔を

歪めるだろう。

0距離でなくとも、普通の人間なら額に

銃弾を受ければ死ぬのだから。

 

ホシノ「そんなチャチな鉄砲で、私を傷つけ

られると思ってるんだぁ?」にぱっ

 

五花海「ば、ばけ……もの……!」

 

 

パシッ!

 

 

五花海「あぁ!!」

 

その唯一の銃も、簡単にシロコに取り上げられて

しまっている。

 

シロコ「ん、ホントに粗悪な銃。」ジロジロ

 

五花海「か、返せ!!」

 

シロコ「あんなACのようなすごいロボットを

作れるんだから銃火器もすごいものを作れるん

だと思っていたけど……

これなら私たちの世界に普及している物の方が

よほど良いよ。」カチャ

 

五花海「っ!!!???」

 

シロコ「……でも、こんな粗悪品でもお前に

先生の苦しみを味わせるには十分っ」ジャキン!

 

五花海「や、やめ!

 

 

パン!!

 

 

五花海「ぐうう!?」ブシャ!

 

 

そう言って、シロコは奴から取り上げた銃で

奴の肩をほんのちょっと、抉るように撃った。

 

続けざまにーーー

 

 

パン!パン!

 

 

五花海「ぐあぁ!!」ブシャ!!

 

銃を撃つ。

 

 

パンパンパン!!

 

 

五花海「ああぁぁぁぁぁ!!!!」ブシャァ!

 

徐々に徐々に、抉るように。

 

 

パンパンパンパンパンパン!!

 

 

五花海「あああああああああ!!!」ブシャアアア!

ジタバタ

 

なるべく、このクズに苦しみを与えるために。

 

 

カチッ!カチッ!

 

 

シロコ「ん、弾切れ……」

 

五花海「…………」ハァ!ハァ!

 

 

ポイッ

 

 

シロコ「けど、こんな程度じゃ全然収まりが

つかないっ。お前は、もっと苦しめる。」

 

五花海「こ、の……ガキがぁ…!」

 

ホシノ「うへぇ〜、シロコちゃん。だめだよぉ。

苦しめたいんだったら……」

 

 

スッ

 

 

そう言いつつ、ホシノは手を振り上げると

 

 

ブン!

 

 

グチャア!!!!

 

 

五花海「」ブシャアアア!!!!!

 

ホシノ「手で直接潰した方が苦しむよ?」

 

拳で反対側の奴の肩を潰した。

 

 

五花海「ぐああああああああああああ

ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ジタバタジタバタ

 

少し遅れて、五花海は、今までよりも一際

苦悶に満ちた叫びをあげた。

 

ホシノ「ほら〜?こっちの方が苦しそうでしょ?」

にぱっ!

 

シロコ「ん、さすがホシノ先輩。エグいっ」

 

 

チャティ:…………!:ぞくっ

 

チャティ(憎悪に満ちた人間は……ここまで惨い

事が出来るものなのか……。

あんなに穏やかで優しい雰囲気を纏っていた

2人が…… まるで別人のようだな……)

 

ハナコ「ホシノさん、シロコさん。待ってください。」

ゆらり ハイライトオフ

 

アズサ「そいつへの恨みは……いいや、ベイラムへの

恨みは、当事者である私たちの方が断然強いと

言い切れる。」ハイライトオフ

 

ヒフミ「……………………」

 

ハナコ「その男に、裁きを降すなら、トリニティ生

である私たちこそが誰よりも適任です。

代わってください。」ハイライトオフ

 

コハル「…………」カタカタカタ

 

ハスミ「…………………」

 

 

ホシノ「…………………」

 

シロコ「……………んぅ、でも」

 

ホシノ「いや、シロコちゃん。譲ってあげよ?

シロコちゃんの気持ちのように、おじさんも

ぜんっぜん収まりがつかないけれど……

ハナコちゃんたちは目の前で、自分たちの

仲間の惨殺死体を見せられてるんだ。

正直おじさんたちよりこいつのことが憎くて

たまらないはずだよ。」

 

シロコ「……………」コクッ

 

ハナコ「ふふっ、ありがとうございます。

どちらかと言うと、ベイラム自体が憎くて

たまらないのですが♪」

にっこり

 

セリカ「でもさ、ちょっと不公平すぎない

かしら?」スタスタ

 

アヤネ「えぇ、ホシノ先輩とシロコ先輩だけ

ずるいです。私たちだってそのゴミクズは

心の底から許せなくて仕方ないんです。」

スタスタ

 

ノノミ「もちろん、ハナコさんたちの気持ちは

分かりますけれど、せめて1発ぐらいは

殴らせてくれませんか〜?」スタスタ

 

ハナコ「……いいでしょう。ですが、あまり

強くしすぎないでくださいね?」

 

セリカ「善処するわ。…それで、人間の

ゴミクズ。」

 

五花海「かぁっ!あぐっ……」カヒュー、カヒュー

 

セリカ「あら、とっても似合ってるじゃない?

ゴミらしさがね。」スッ

 

 

ドゴン!!

 

 

五花海「ごぼっ!!?」

 

セリカ「ACみたいなチートに乗ってなきゃ、

あんたなんてこんなものよ。

はぁ、正直1発じゃ全然足りないわ…

もっとボコボコにしてやりたいけど……

ま、約束だもんね。 てことで、ノノミ先輩

パス。」くるっ

 

ノノミ「うっふふ〜♪私の番ですね〜。

五花海さん? こう見ても私ガトリング砲を

武器にしているので、結構鍛えてるんです〜♪

なので、パワーには結構自信があるんです〜。」

 

五花海「ごぉ……」

 

ノノミ「一切手加減しませんから。」スン

 

 

ズドオオオオオオオン!!

 

 

五花海「ごはあああああぁぁぁぁぁ!!!」ベチャ

 

 

シロコ「うわ…」

 

ホシノ「うへ…」

 

セリカ「ちょ、ちょっと!?」

 

アヤネ「や、やりすぎです!!」

 

アズサ「お、おい!殺す気か!?」

 

ヒフミ「…………………」

 

五花海「こぽっ………」ピクッピクッ

 

ノノミ「すみません、あなたの汚い腑の血が

私の服にかかってしまいましたが?

吐き気のする血反吐を私に吐きかけないで

いただけます?」スッ

 

 

パシッ

 

 

アヤネ「そこまでです。一発だけという

約束じゃないですか、ノノミ先輩。」

 

ノノミ「………………チッ!」

 

セリカ「……思った以上に、ノノミ先輩バチクソ

キレてるわね…」

 

シロコ「ん、ノノミは先生に対して重い感情

持ってるからっ」

 

ホシノ「それは私たち全員そうじゃない?

でも私たちの中じゃ意外とノノミちゃんが

1番凶暴だもんねぇ…」

 

アヤネ「さて、私の番ですね。」

 

五花海「………」ピクッピクッ

 

アヤネ「あぁ、なるほど。【こういうこと】

ですね。」

 

セリカ「え?何よ?」

 

アヤネ「私、虫でも死ぬ間際の苦しそうな

動きを見たら、ほんのちょっとだけ、憐憫を

感じてしまったりするんですけど…」

 

 

ドゴン!!

 

 

五花海「ごはっ!!」カパッ!

 

アヤネ「あなたには、一切の感情が湧き上がって

きません。これが、【ムシケラ以下の存在】と

いうものなのですね。

……ハナコさん、待たせてすみません。

後はお任せします。」

 

ハナコ「殺してしまうのではないかと、ヒヤヒヤ

しましたよ。」ツカツカ

 

 

 

先生「………………」

 

チャティ:……あんたは、教職の者だろう?

止めないのか?:

 

先生「………うん。本当は止めるべき

なんだろうね。普段の、私なら絶対止めて

いるだろう。

憎いからって、苦しめたり、ましてや命を

奪う事は、絶対に正しくない。間違っている。

おぞましい………ことと、私は、考えていた、

はずなんだけどね………」ホロ

 

ハスミ「!」

 

チャティ:…………………:

 

先生「止める気が、起きない、止めたいと

思えない、………いいや、むしろ、もっと

やってくれと、思ってしまっている……

教師として…大人として、失格だよね……

でも、それでも!私は………!」フルり

 

チャティ:…………………:

 

先生「この男が……いいや、ベイラムと

アーキバスが憎くて憎くてたまらない……!」

プルプル

 

コハル「せんせ………」ぐすっ

 

ハスミ「…………………」ギュッ

 

チャティ「……………そうか。てめえらは

いいのか?」

 

サオリ「………正直、私も先生に怪我を負わさせた

この男のことは許せないが」

 

ミサキ「あそこまで、やられているのを

見るとね…」

 

ヒヨリ「ちょ、ちょっと毒気を抜かれたと

言いますか…」

 

アツコ「私は、あの男に先生を傷つけた報いを

受けて欲しいだけ。そして、それは彼女たちが

やってくれる。じゃあ、私としてはこれ以上

何かをする事はないよ。」

 

スバル「……まぁ、惜しいなとは思ってしまって

いますが……」

 

チャティ:………そうか。:

 

 

 

ウォルター*…………………*

 

チャティ*…どうした、ウォルター。*

 

ウォルター*いや…………… 何でもない………*

 

チャティ*………憎しみというものは、優しい

者をも、簡単に豹変させてしまうものだな。*

 

ウォルター*あぁ……… それはこの広い宇宙の、

古今東西で、ずっと変わらない事実だ。

欲望が存在するからこそ戦争が起き、憎しみが

生まれるからこそ、人間は争い続けることを

やめられない。

これも人間の本質であり、歴史そのものだ。*

 

チャティ*………………*

 

ウォルター*……ともあれ、俺たちが手を下す

までもない。レッドガンの始末は、彼女たちが

つけてくれるだろう。*

 

チャティ*そうだな……*

 

 

ツカツカツカツカ

 

 

ウォルター*……待て、チャティ。ハスミという

少女がレッドガンの方に向けて歩き出して

いるぞ。*

 

チャティ*なに……?*

 

 

 

 

五花海「………………」ヒューッ、ヒューッ

 

ハナコ「あなたには、まだ言っていません

でしたね。私は、お前たちを、ベイラムを

許しはしないと。未来永劫呪い続けると。

ふふふふふ♪ まさか、こんなにも早く

その機会が巡ってくるなんて♪」

 

五花海「………………」

 

ハナコ「……お前は、私の頭にある限りの

拷問を尽くして苦しませます。

そう簡単に、死ねると思わないことですね。」

 

アズサ「生憎だが、私はこういうことには

慣れている。私も、元は【お前たち側の人間】

だったからな。」

 

ヒフミ「………………」

 

五花海「………………」

 

ハナコ「ではまずは……」スッ

 

 

バシッ!!

 

 

ハスミ「やめなさい。」

 

コハル「……あ、ハスミ先輩………」

 

先生「ハスミ……?」

 

ハナコ「……あぁ、ハスミさん。確かに

この男への裁きはあなたが1番ふさわしい

ですね……。 この男はあなたの部下を

大勢殺し、つい先ほども正義実現委員会の

エレちゃんとチネちゃんを殺しました。

あなたにこそ1番、その【権利】があります。

ですが、私たちも、その男のことは何度

殺しても足りないほど憎くてたまらないの

です。

もちろんあなたに譲ります。ですが、私たちの

分も残してくださいね?」

 

ハスミ「……えぇ、私に【義務】があります。」

 

 

スチャ

 

 

ハナコ「なっ!?」

 

アズサ「!!??」

 

ヒフミ「え……」

 

シロコ「は?」

 

ホシノ「は?」

 

セリカ「は?」

 

ノノミ「は?」

 

アヤネ「は?」

 

先生「ハ、スミ?」

 

 

ハスミ「死になさい。五花海。」

 

五花海「………………」

 

 

ズドン!

 

 

五花海「………………」シュウウゥゥゥ

 

 

ハナコ「なに、しようとしてるんです?」

ハイライトオフ

 

ハスミ「なにって、【義務】を果たそうと

していただけですが? ハナコさんこそ、

公務執行妨害ですよ?」

 

ハナコ「こんな時に、ふざけています?

あなた、自分が先ほど何をしようとしたのか

ご理解なさっていますか?」

 

ハスミ「えぇ。正直、正義実現委員会は

トリニティの治安維持部隊であって処刑執行

部隊ではありませんので、この行いも理には

則っていないでしょう。

ですが、正義実現委員会はトリニティの

戦闘部隊かつ実働部隊も兼ねております。

よって、この中ならば正義実現委員会の

副委員長である私にその【義務】がある

でしょう。

ですので、私がこの男の処刑を代行させて

いただきました。」

 

ハナコ「ふざけるなと言っています。」

ハイライトオフ

 

ハスミ「私は何もふざけていません。いたって

真面目です。」

 

ハナコ「真剣にやっているのでしたら、先ほどの

行動は取りません。

この男に、然るべき苦しみを与えずに殺すなど、

断じてありえません。」

 

アズサ「ハスミ先輩、あなたのやったことは

許されざる行為だ。 この場のみんなの、

トリニティの心を踏み躙る、あなたの激情に

駆られた軽率な行為だ。」

 

ハスミ「確かに私は激情を持っています。

何せこの男は、私の部下を大量に殺した

だけでなく、目の前で大切な後輩を

握りつぶしたのですからね。

憎いですし、到底許せはしません。

ですが、駆られてはいません。いたって

冷静ですし、自らの行いが軽率とも

思いません。」

 

アズサ「……? どうしたんだ? ハスミ

先輩、何か、変だぞ…?」

 

ハスミ「…………変。なるほど、【今の】アズサ

さんには、私はそのように映るのですね。

この男は、大量の人々を殺し、そのことに心は

痛まず、さらには自身の醜い出世欲のために

先生を攫いにやってきただけに飽き足らず、

先生を傷つけ、名誉を冒涜した。

もはや万死に値するでしょう。この男に、

生きる資格などありません。

故に処刑するのです。」

 

ハナコ「冷静になってください!アズサちゃんは

一時の憎しみの昂ぶりで、この男を殺すなと

言ってるんです!! 

この男には普通の死など生温い!!!

苦しませて殺さなければならないでしょう!

そんなことが分からないあなたではない

でしょう!?」

 

ハスミ「分かりません。私は【そのような行為】

を理解したくありませんし、出来る人間に

なりたくありません。

苦しませて殺さなければならない?

ハナコさんの言う然るべき苦しみとは

どういったものですか?」

 

ハナコ「……はい? ちょっと、何を言ってるの

ですか……? 本気で言って……?」

 

ハスミ「先ほども申した通り、この男は生きる

資格のないクズです。

だからこの五花海は処刑するべき。そこまで

でしょう。それで終わりのはずです。

何故苦しませる必要があるのですか?」

 

コハル「……………」こくり

 

ヒフミ「……………」

 

ハナコ「ちょっと!?本当に大丈夫ですか!?

ハスミさん!あなたと言う方が!!!

あなたは!仮にもトリニティが誇る正義の

治安部隊でしょう!!! 気をしっかり

持ってください!!!」

 

アズサ「……色々ありすぎたものな、ハスミ

先輩、あなたは少し休んだ方がいい。」

 

ハスミ「ご心配には及びなく。むしろ頭を

冷やすべきはハナコさんやアズサさんと

思います。

ハナコさん、早く質問に答えてください。

五花海という男は、一体どういう理由が

あって、殺す前に苦しませるべき

なのですか?」

 

ハナコ「よく思い出してください!!この男が!

何をしたのかを!! 正義実現委員会の

たくさんの人々を虐殺し!ミカさんやイチカさん

を嬲り!先生に怪我を負わせ!その上に先生の

名誉を散々傷つけたんです!!」

 

ハスミ「…だから、苦しめるべきと?

ですが、この五花海は虐殺した人々を、

意図的に苦しめるような事はしていない

でしょう。

手に持つ巨大な銃で撃ち殺し、エレと

チネを握りつぶしました。

……行為こそ、おぞましい殺し方ですが

それでも、虐殺された人々が、

エレとチネも苦しんだようには思えません。

うめき声をあげませんでしたから、痛みを

感じる暇もなく死んでしまったのでしょう。

逆を言えば、死んでしまった人々は

【苦しまず】に死ねた。

だから、この男に与えるべきは【死】で

あって、【苦しみ】ではない。

【苦しませる】だけならば、この男の

犯した罪には生温い。

ですが、この男に死を与えるというの

ならば、その上で【苦しみ】を与えると

いうのは、行きすぎている。

譲歩して、苦しみを与えるとするならば

この男が先生の肩を抉ったことへの

報復ですかね。

しかし、それはもうホシノさんとシロコさんに

よって与えられている。それも少々行きすぎて

いると考えてますが。

よって、この男に与えるべき苦痛はもう十分

果たされたと考えます。

これが私の回答です。」

 

ハナコ「っ!!!!!!!」

 

 

ジャキン!

 

 

コハル「えっ!!ハナコ!!??」

 

ヒフミ「ハナコ、さん……!?」

 

ハナコ「取り消せ……!!その言葉は!!!

殺された皆さんに対する侮辱だ!!」

ギリイイイイイイ!!!

 

アズサ「さっきの、あなたの言葉は完全に

ラインを超えている。銃を向けられても

仕方のない事だぞ?」ジャキン!

 

コハル「アズサまで!!」

 

ヒフミ「…………っっっ!!!」

 

ハスミ「ついに、身内にまで銃を向けますか。」

 

シロコ「……向けられても、仕方ない。」

ハイライトオフ

 

ホシノ「他所だから、あえて、口は出さなかった

けどさ?」ハイライトオフ

 

セリカ「もう無理。これ以上あんたの言葉を

聞いてたら耳が腐る。」ハイライトオフ

 

ノノミ「ハスミさんでしたっけ? それ以上を

そのクズの肩を持つ発言をしないでくださり

ます? それ以上発言するようならその

耳障りな口を黙らせたくて私の銃口の先も

あなたに向いてしまいそうです〜♪」

ハイライトオフ

 

アヤネ「私たちだって、この男をまだまだ

全然苦しませたりなくてもやもやしている

んですよ?」ハイライトオフ

 

先生「………………」ギュッ

 

 

ハスミ「……やはり。アビドス高校の皆さんの

言葉で確信しました。 あなたたち、

ハナコさんも、アズサさんも、この場にいる

ほとんどの者と、………そして、先生も。

皆さんは五花海を苦しませるべきと思っている

のではなく、ただ、【苦しめたい】だけ

でしょう?

自身の中に滾る憎悪を晴らしたいがために。」

 

ハナコ「本当に………いい加減にして

ください。【それの何が悪いと言うのです?】」

 

コハル「ひっ」ぶるっ

 

ヒフミ「っ!」ゾクり

 

ハスミ「………………」

 

ハナコ「自らの中にある、この憎悪を、

虐殺された皆さんの無念を晴らしたいと

考えることの、一体何がおかしいと

言うのですか?

この男は………いいえ、それ以前に

侵略に来た、ベイラムとアーキバスは

存在を許してはならない邪悪の企業です。

ならば、ベイラムとアーキバスに所属する

人間は全て、生きるに値しないクズです。

当然、1人残らず全て地獄以上の苦しみを

味わうべきなんです。

生きるに値しない、人間でないクズたちを

苦しめて、八つ裂きにして、私たちの憎しみ

を晴らす。これのどこに問題があるのか、

言ってみてください!!」ギリギリ!

 

ハスミ「………それが、あなたの答えですか?」

 

アズサ「ハナコだけじゃない。私も全面的に

賛同だ。ヒフミとコハルだってそうだ。

この場にいる、みんなだってそうだ。

おかしいのは、ハスミ先輩、あなただけだ。」

 

シロコ「同じく」

 

ホシノ「おじさんも全面的に賛成。」

 

セリカ「当たり前よ。」

 

ノノミ「異論なしです。」

 

アヤネ「私もです。」

 

先生「………………」

 

ヒフミ「………アズサ、ちゃん……私は。」

 

コハル「……………ちが、うわ…!」ギュッ!

 

アズサ「……コハル?」

 

コハル「勝手な事!!言わないでよ!!アズサ!!

私は!!ハナコの言ったことの全てに賛同して

いない!!!

確かに、この五花海はクズよ!!私もこいつは

生きる資格なんてないって思うよ!!!

でも、だからって!!苦しめて殺していいとは

思わない!!

ベイラムとアーキバスがクズの企業ってのは

私も賛成!!!

でも、ベイラムとアーキバスに所属してる

からって、その人たち全員が生きるに値しない

クズだなんて全く思わないわ!!!

今日、トリニティに襲ってきたベイラムの人間も

全員が善人とは言わないけれど……

それでも!ほとんどの人はきっと私たちとそう

変わらない!善良な人間たちよ!!」

 

アズサ「……………は?」

 

ハナコ「コハ、ル、、ちゃん……? 

何を……言ってるんですか……!?

あなたまで……!? あいつらが!善良だと

いう戯言を!!!!」

 

アズサ「コ……ハ……ル……?」ふら

 

アズサが、コハルにふらふらと歩み寄る。

 

 

ふらふらふらふら…… ガシッ

 

 

コハル「んなっ!?」

 

アズサ「あぁ……そうか!コハル!お前は

疲れてるんだな!! そりゃそうだ……

正義実現委員会は、私たちの4人の中では

お前が1番大切にしていたものな!?

それを!!トリニティの校舎でも!!!

目の前で虐殺される様を!!!!

見せられたんだものな!!!!」

 

コハル「っっっ!!!!!」

 

アズサ「そりゃ心に支障をきたしても

仕方ない!!!

なぁ?そうだろう!!??そうだよな!?

そうだと言ってくれ!!!!コハル!!!

お前も!!本当はあいつらのことが

憎くて!!

 

コハル「憎くない!!!」

 

アズサ「!!??」

 

ハナコ「!!??」

 

ヒフミ「!!!!」

 

ハスミ「コハル……」

 

コハル「今は、校舎で正義実現委員会の皆を

虐殺したベイラムのあの人たちのことが

可哀想で仕方ないって思う…… だって

 

 

ドン!!

 

 

コハル「きゃっ!」

 

ハスミ「コハル!!」

 

先生「コハル!!!」

 

チャティ:……………………:

 

アズサ「可哀想…!!?? 何を言ってる

んだ!? あいつらが!!可哀想!!??

あぁ、頼む…… 嘘と、それは嘘と!!!

言ってくれ!!!コハル!!!

あいつらは死ぬべき存在なんだ!!!!

同情の余地なんてない!!!

あいつらは!!!お前や!!私たちの!!!

大切な人たちの全てを虐殺した

ポロポロ

 

コハル「でも!!!あの人たち!!

泣いて!!謝ってたじゃない!!」

 

アズサ「っ!」

 

ヒフミ「あ…………」

 

コハル「……あの人たち、泣いてたじゃない…!

私たちに、何度も何度も謝ってきて、ずっと

泣いてた…… 泣きながら、謝り続けて、みんなを

殺してたじゃない……。

あの人たちだって…やりたくて殺戮をやった

わけじゃないわ…」うるっ

 

アズサ「…………だからって、泣いて、謝れば、

誰かを殺していいと言うのか? 人から大切な

ものを、奪っていいというのか!!??

そんなことが認められるならば!!

警察なんて必要ではなくなる!!

正義実現委員会だって!!!存在意義が

なくなってしまう!!!」

 

コハル「…だけど、泣いたんだから、謝ってたん

だから…… 到底許されることじゃないとしても

あの人たちに人の心がないだなんてもう私には

思えないわ………

………ハスミ先輩の話を聞いたの。ベイラムの

下で働く人たちは……… 従わなければ命を

取られてしまうって……

だから……… 校舎で殺戮を、………ううん、

トリニティに侵略してきた人たち全員やりたく

ないはずよ!!

あの人たちも、クズのベイラムからやりたく

ない事を命を人質にされて無理矢理させられた

被害者だよ……」

 

アズサ「っっっ!!!!だから何だ!!??

泣こうが謝ろうが仕方なくだったろうが

あいつらが私たちの大切なみんなを殺した

ことに変わりはないはずだろう!!!」

 

ハナコ「………コハルちゃん? そのような

思考は捨てましょう。あいつらの事情なんて

関係ありません。奴らは侵略者。慈悲を

かける必要はありません。

だから、あいつらは全員苦しんで死ぬべき

なんです。」

 

コハル「苦しんで……死ぬべきって……」

 

アズサ「そうだ!!! あいつらは

苦しむべきなんだ!!!」

 

カズサ「そうよ……!」

 

アイリ「…………………」じわっ

 

ヨシミ「許せるはずないじゃない…」

 

ナツ「……………ふ、む…………」

 

セイア「っ……………………」

 

ヒナタ「……………」

 

マリー「……………」ギュッ

 

シミコ「あいつらは、苦しむべきです…」

 

ウイ「だからって、許せるわけが……」

 

セリナ「…………………」

 

ハナエ「うん、あいつらは苦しんで

死ぬべき。」

 

コハル「な、んで……?どうしてまだ

そんなことが言えるの…!?

みんな、おかしいよ!!こわいよ!!!

人間の心を持っているんだから!

殺されちゃうって事情があるんだから!!

助けてあげたっていいじゃない!!!

ましてやわざわざ苦しめなくたって

いいじゃない!!!

私………私………! 正直、今のハナコや

アズサや……みんなの方が、ベイラムの

人たちより怖いよ!!

今のみんなの方が、人の心を持ってない

怪物みたいだよ………」ひぐっ

 

 

チャティ:……………コハルつったか?

てめえの認識は甘い:

 

ウォルター*チャティ……?*

 

コハル「………あなたには、そう感じるの

かもしれないわね…… っでも!!

 

チャティ:その男も言っていただろう。

ベイラムは、一つの国家となり得るほどの

広大な経済圏を有している。

ベイラムで働く奴らはそこに住んでいる。

今ここに来ている侵略者たちだって

当然そこに住んでいる。

………家族や、大切な友人、恋人なんかもな。:

 

コハル「っ!!!」

 

アズサ「っ!!!」

 

チャティ:そこでハナコって奴と今そこで

コハルを押し倒しているアズサって奴に

質問だ。

周りの奴らもよく聞いとけ。

……お前に、何の罪のない人間を殺せるか?:

 

ハナコ「……………」

 

アズサ「………殺せ、ない。」

 

チャティ:お前の大切な……目の前の奴や

隣にいる奴が殺されてしまうとしてもか?

もちろん、お前が今から殺そうとする

その現場にはいない。

遥か遠くで、殺害命令をくだした人間の

すぐそばにお前の大切な友人は捕まって

いる。

殺さなかったら、そいつらは死ぬ。

 

それでも、お前は殺さないと言い切れるか?

お前の大切なコハルやヒフミやハナコよりも

目の前の、会ったばかりの赤の他人を優先

するか?:

 

ハナコ「………………」

 

アズサ「っっっ!!!! 卑怯、だろう!!

その問いかけは!!」

 

チャティ:卑怯? てめえが卑怯って、俺に

揶揄するその言葉が、侵略してきている

ベイラムの人間たちの現実なんだよ。

卑怯って言って、俺の質問に答えられねえん

なら…… てめえも【ベイラムの人間】と

同類だ。 なら、てめえも人の心を持ち

合わせていない悪魔って認識するか?:

 

ハナコ「…………………」

 

アズサ「…………………」

 

先生「……………………」

 

ハスミ「コハル…… よく言えました。やはり

あなたは勇気があります。

………皆さん、聞いてほしいことがあります。

トリニティだけではなく、ゲヘナや、アビドス、

そして先生にも。

この場にいる皆さん全てに聞いてほしいのです。

あの侵略の時に、【私が経験した事】を。」

 

チナツ「……………」

 

セナ「……………」

 

ハルナ「……………」

 

アカリ「……………」

 

イズミ「……………」

 

ジュンコ「……………」

 

イロハ「……………」

 

イブキ「……………」

 

シロコ「……………」

 

セリカ「……………」

 

ホシノ「……………」

 

ノノミ「……………」

 

アヤネ「……………」

 

先生「…………うん。」

 

ハスミ「……出会いから話しましょうか…。

まだ、侵略が始まるより前の、うんざりする

紅い麻薬の取締りと巡回パトロールをしていた

時です。

私の前にコーラルについて住民に聞き込みを

行うベイラムの一団が現れました。

その一団を率いていた者は、【レッドガンの

G6レッド】と名乗り、その男は私にも尋ねて

きました。

この男が……初対面だと言うのに上から目線で

とてもえらそうだったんですよ…

話してるだけでイライラしてたまりません

でした。

しかし、何故か嫌いにはなりきれませんでした。

その理由は、すぐに分かることになりました。

私が質問に答え終わった時でした。

すぐ近くで、紅い麻薬で揉め、銃撃戦を始めた

トリニティの生徒が出てきました。

最近ではうんざりするほど勃発していましたし、

そもそもとして、ここキヴォトスでは各地で

銃撃戦は日常茶飯事です。

銃弾など受けても私たちは死にはしません

からね。

ですが、先生やレッドはそうではありません。

銃弾1つで致命傷になってしまいます。

……にも関わらず、レッドは鎮圧を開始しよう

とする私より前に、そのおバカなトリニティ生の

前へと躍り出て、仲裁をしようとしました。

しかも武力ではなく、対話で、です。」

 

アズサ「え……」

 

ハスミ「全く、笑い話ですよね。どこの馬とも

知れない未知の存在の上、会ったこともない

赤の他人を、心の底から叱り、本気で説得

しようとしたんです。

説得ですよ? 話で解決しようとしたん

ですよ? 相手が銃を持っているのにです。

自分がその気になれば、簡単にねじ伏せ

られる怖しい武器(ACとMT)を持っていながら

武力で解決しようとしませんでした。

その上、私に放たれた銃弾をレッドは、肩に

銃弾を掠めながらも庇って助けてくれました。

血を出してけがをしているのは自分なのに、

「怪我はないか?」「俺の血で貴様の顔と

服を汚してしまったな。」と言ったんですよ?

ついさっき会ったばかりの私を命をかけて

守ろうとしたんですよ?

しかも、相手の武器で、自分が負傷させられた

にも関わらず、部下に対して「MTなど

使えるか!」と言って、再び対話を試みようと

したのですよ?

……そのレッドは、あまりに愚直なほどに、

正義と善良な心に満ちていました。

だから、私は初対面だと言うのに、レッドの

ことを好意的に思ったんです。」

 

ハナコ「そんな…わけ……ありません…!

仮にも!!ベイラムに所属している

人間が!!!そのような行動を取るはずが

ありません!!!!」

 

ハスミ「私の話は全て事実です。

あなたこそ謹んでください。その言葉は、

レッドへの侮辱に他なりません。

………続けます。トリニティへの

侵略命令が降った時の………

レッドの泣き崩れてしまいそうな顔は

私の目に焼きついています。

侵略が始まった後の、命令を遂行

しようと、私を掴もうとした

ACの手を通じて、レッドの手が

震えていたのを感じ取れたように

思いました。

……結局、レッドもその部下も、一度も

私たちに攻撃をすることなく、私の嘆願に

耳を貸して、投降してきました。」

 

ハスミは憂いをおびた表情で話す。

その表情には恨みや憎悪の感情は

全くない。

そのハスミの言葉に、おそらくは

ハサミと同じ場にいたであろう生徒たちが

続々と賛同していく。

 

トリニティ生1「あのレッドさん……悪い人

じゃなかった…」

 

トリニティ生2「今なら分かります…私たちの

ことを、心から本気で叱ってくれていたと

思います……」

 

トリニティ生a「今日会ったばかりの、赤の他人の

私たちの将来を、本気で案じてくれていて……」

 

トリニティ生b「善い、人だった……。【周りの

人たち】も……!」ぐすっ

 

先生「……周りの、人?」

 

その言葉に、ハスミが反応する。

 

ハスミ「……私は、私たちは、逃げられてなど

いません。 少なくとも、私もツルギや、

サクラコさんたちのように、見るも無惨な

状態にされてしまっていたでしょう…。

レッドが投降し、コックピットから降りる前に

レッドが所属するレッドガンの上司、

【ヴォルタ】が私たちのところに突っ込んで

きました。」

 

ヒナタ「え……!?ヴォルタ、って……!」

 

マリー「私たちを……襲った………!!」

ブルルッ!

 

ハスミ「ヴォルタは、レッドとは違い、

甘くはありませんでした。退去勧告を、

私が拒否すると、その男は容赦なく

私を【見せしめ】にしようと襲って

きました。」

 

先生「え……?そ、それじゃあ……」

 

マリー「どう、やって…ハスミさんたちは

逃げて…?」

 

ハスミ「………それ、は………」ぐすっ

 

 

ポロポロポロポロ

 

 

先生「え!?ど、どうしたの!?ハスミ!」

 

突然、嗚咽を漏らして滝のように涙を流し

始め、ハスミは泣き続けた。

最早しゃべることすらままならないと

言った状態だ。

当然の、ハスミの様子の急変に対する、理由と、

ハスミの言葉にしようとしていた続きを

正義実現委員会の生徒が代弁した。

 

正実モブ「………レッドさんが、率いていた

部下の皆さんが、助けてくれたんです…

ぐすっ…… ハスミ先輩の、正義実現委員会への

勧誘を飲んで、その場で入部してくれたんです…!」

ポロポロ

 

先生「え!?それって……」

 

セイア「寝返っ……た………と言うのか…!?」

 

正実モブ「は……い……!コハルが言ったように

…… 裏切れば命がないことを理解していた…

のに………! 「お前たちの汚い欲望のために

善良な人たちを殺せなんて、もうベイラムには

うんざりだ。」って!!!

「侵略者として生きるより、私たちの味方を

して死んだ方がマシだ。」って!!!」ポロポロ

 

正実モブ「私たちの、正義実現委員会の

正義を…… レッド隊の皆さんは背負って

くれました…! 私たちのために!

正義実現委員会のために!!命を散らして、

ヴォルタに立ち向かってくれました…!

誰も、逃げずに……最後まで……!」ポロポロ

 

正実モブ「あの方たちがいなければ、ハスミ

先輩は……いえ、私たちだって、この場には…!」

ポロポロ

 

先生「っ………………」

 

私は、ハスミやトリニティの正義実現委員会の

生徒たちの言葉を【呆然】と、半ば【拒否】

気味に黙って聞いていた。

 

ハスミ「うぅ…… その、ヴォルタという男も……

私に襲いかかる前に、レッドが割って入って、

「見逃してくれ」と嘆願した時………

あの男も「そうしてやりたい」とこぼして

いました。

……そもそも、サクラコさんたちを嬲った

ヴォルタ……いえ、他のレッドガンの隊員

たちも、みんなやりたくなかったはずです。

侵略行為そのものだって………

レッドも、ヴォルタも、ベイラムの人間の

ほとんどは、命令されたから、背けば命を

取られてしまうから…… そして、ロニーさんの

言葉に間違いがなければ大切な人たちを失って

しまうから………

あの人たちはやりたくない非道を、やらざるを

得なかったんです。

そして、その非道を、決して何とも思っていない

わけではありません。

大いに心を痛める、私たちと同じ人間です。」

 

ハナエ「あっ…………」

 

セリナ「ミネ団長を痛めつけたナイルさんも、

同じことを話して…」

 

ヒナタ「………そういえば、サクラコ様を

いたぶっている最中のヴォルタは大声で

喚いていました…… そして」

 

マリー「シスターフッドの皆さんを吹き飛ばした

時は……もっと大きな声を叫んでいました……

……あの時のヴォルタさんもとても辛い思いを

していたのですね…」

 

セナ「……でも、私たちのところは………

アーキバスは…!」

 

チナツ「あいつらは!警告も何もなしにいきなり

攻撃してきました!! しかも!武器を使用して!

まるで私たちをムシケラのように……!!」

 

イブキ「……………」ぐすっ

 

イロハ「仮に、ベイラムは違うとしても……

奴らには…アーキバスには、人の心は

持っていません。あいつらこそ…!

 

イズミ「ちがう……よ……」ポロポロ

 

先生「イズミ……?」

 

振り返れば、イズミも同じように滝の

ように目から涙を流していた。

周りの美食研究会のみんなもイズミの

いきなりの豹変ぶりに驚いている。

 

イズミ「私も、私たちも……ゲヘナへの侵略が

始まる前に、【ホーキンス】さんって言う

アーキバスの人間と知り合った……

…ご飯を、ご馳走してくれた……

しかもハルナ先輩が食い逃げするぐらい高くて

美味しい洋食屋さんで……

高いのに、たくさん食べる私たちを、ずっと

ニコニコして見ていた。

心から嬉しそうだった…… とっても、優しい人

だったのに……!!!

ハスミさんの言葉を聞いて、思い出したのぉ!

侵略を開始する直前に…ホーキンスさんの、

すっごく嬉しそうだったのに……

絶望のどん底に落とされたような、泣き崩れて

しまいそうな辛い顔を!!!!」

 

ジュンコ「っ!!!」

 

アカリ「…………」

 

ハルナ「あ………」

 

 

 

ーーー------------

 

 

そう言えば、あの時の、ホーキンス

さんの……

 

 

「すまない、ハルナ君、アカリ君、

イズミ君、ジュンコ君…… ここから、この

ゲヘナから…… どうか逃げてくれ。」

 

 

 

悲しみで満ちて、今にも泣き崩れて

しまいそうな------

 

 

 

-----------------

 

 

ハルナ「ぁ…う……」じわ

 

ジュンコ「ううううぅぅぅぅ!!!」ボタボタ

 

アカリ「……………」ポロポロポロポロ

 

イズミ「うわあああぁぁぁぁぁん!!!

私、わたしぃ!!!酷いこと言っちゃった

よおおおおおおおお!!!!!

「ホーキンスさんこそ死ぬべき」って!!!

ごめんね!!!ごめんねえええ!!!!

ホーキンスさああぁん!!!」ポロポロ

 

ジュンコ「わた、しも……言っちゃった…!!

あんなに優しい人が… 侵略も、ヒナ委員長を

ボロボロになんてしたいはずがなかったのに

いいいぃぃぃぃ!!

何で私……畜生なんて言っちゃったんだろ!?

ヒナ委員長を、ボロボロにして…1番辛かったのは

ホーキンスさんだってことぐらい、分かり

そうなものなのにいいいぃぃぃぃ!!!

ごめん、ごめんなさい!ホーキンス

さああぁん!!

うえええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

先生「……ちょっと、待ってくれ……?

ヒナをボロボロに……? そのホーキンスと

いう男が、したのかい……?」

 

ハルナ「…………」コクン

 

チナツ「……は? それ、なのに……?

何で……何でそんな男を優しいなどと…!?」

 

ハルナ「……今考えてみれば、ヒナを

逃すのに、必要な事だったのだと思います。

あの時、ホーキンスは【アーキバスから

風紀委員長を捕えろとの指令がくだっている】

とおっしゃっていましたわ。

……あまりに惨い仕打ちから、私もあの人を

人でなしと罵倒いたしました……

で、も…… ロニーさんの話を聞くに……

捕まれば、きっと、ヒナは死ぬことより酷い目

に遭わされたのでしょう……

ホーキンスは、それだけは避けようとした。

例え、死んでしまっても…… その方が

アーキバスに捕まるより、はるかに

救いがあるから……

だから、ヒナの生命力にかけて、いちか

ばちかの賭けに出た……。

そして、私たちにヒナをおぶらせて逃した…」

 

チナツ「……だ、けど……あんな、あんな!!

仕打ちはあんまりでしょう!!!

人間かどうかすら分からないほどに…

ヒナ委員長はぁ!!!」

 

アカリ「そうです。あそこまで惨い状態に

しなければ、ヒナは他のアーキバスの人間に

捕まっていたでしょう。

ヒナと、見分けがつかないほどの状態に

しなければ……」

 

チナツ「っ………!!!だ、けど……!!」

 

アカリ「………私は、分かっていました。

ホーキンスさん。

……もっと、あなたと、一緒にご飯を

食べたかったですね…」うるる

 

ハルナ「……ホーキンス…。もう一度、

あなたと会いたい。

会って、ちゃんと、謝りたい……!

酷い事を言ってしまって、申し訳ありません

でしたと……!

……そして、出来ることなら、もう一度……」

ガクッ! ポロポロ

 

ハルナ「もう一度、一緒に……美食巡りを

したい……!!」ボタボタボタボタ

 

 

先生「…………………」

 

私は今の複雑な心情から言葉に出すことが

出来ないでいた。

……確かに、企業に所属する人間全てが

クズではないだろう。

むしろ、ハスミの言う通り、今、侵略に

きている企業の人間のほとんどは

私たちと同じ、善良な人たちなのなだろう。

 

もちろん、そんな事は分かっている。

分かっているが………

 

 

ハナコ「だから、何です?」

 

 

先生「っ…!? ハナ、コ………?」ゾクリ

 

底冷えするほどのハナコの声に、私は背筋に

悪寒が走る。

まるで……悪鬼のような迫力を染み出しながら

ハナコは言葉を続ける。

 

ハナコ「命を取られようが、家族が

死のうが、どのような事情があろうが、

奴らは【侵略者】であり私たちの大切な

人間たちを殺した。

それが命令だったからだろうと、本当は

やりたくなかったのだろうと、到底許すことは

出来ません。

ベイラムも、アーキバスも、そこに所属している

というなら、全員地獄の業火で焼くべき

なんです。」

 

アズサ「………そう…だ……」

 

私は、背筋に薄寒さを感じてならない。

おっとりとしていて、常に余裕があって、

理性的なハナコが……

こんな事を言うとは……………

ハナコなら、ハスミたちの言葉の意味を

理解していないはずはない。

つまり、理解していてなお、ハナコは

企業に所属する全員を苦しめて殺すと宣言

しているということになる…

 

企業がもたらした憎しみは、彼女を

完全に変えてしまった……

 

先生「…………」ギリ

 

………何を偉そうに私は推察しているんだ。

私とて、彼女とそう変わりはないじゃないか。

私だって……ロニーやハスミたちの言葉を

聞いたからと、いいや、そんな事はもうすでに

わかっていたにも関わらず、私も企業の者たちを

許せそうにない。

例え、その者が善良な心根を持っていたとしても

仮に全くの無関係だとしても……

もちろん、私の憎しみをぶつける先がお門違い

だと言う事は理解している。

憎むべきは、侵略の指令を下した、ベイラムや

アーキバスのもっと上に属する人間なんだという

ことも分かっている……!

 

でも……だからと言って………!!

なら、なら!この中に渦巻く憎しみを、

どう処理すればいいんだ…!?

 

「…………………………」

 

 

チャティ*………すまない。出過ぎた真似を

してしまったな……。任務には関係のない

ことだった。*

 

ウォルター*……いや、いい。その代わりと

言ってはなんだが、チャティ、頼みがある。*

 

チャティ*なんだ?*

 

ウォルター*………俺の言葉を、お前がトレース

している621の人格の言い回しで、彼女たちに

伝えてほしいことがある。*

 

 

 

チャティ:おい:

 

ウォルター*君はハナコちゃんと言ったかな?*

 

チャティ:ハナコつったか?:

 

ウォルター*君に知っておいてほしいことが

ある。そしてこれは、この場にいる全員に

対して宛てた事柄でもある。*

 

チャティ:てめえに、教えてやりたいことが

ある。ハナコだけじゃねえ。この場にいる

全員にだ。:

 

ハナコ「いいです。どうせ私を説得しようと

するために体のいい言葉を並び立てるだけ

でしょう。

そんなもの、もう私は聞きたくありませんし、

もはや関係ないんです。」

 

先生「ハナコ………」

 

ホシノ「………………」

 

シロコ「ん、私は聞くよ。」

 

セリカ「ロニーの言葉だしね。」

 

ウォルター*……まぁいい、ひとり言として

聞き流すのもお前たちの勝手だ。*

 

チャティ:チッ、クソガキどもが…… まぁ

てめえらが聞こうが聞くまいが勝手に

しゃべらせてもらう。:

 

先生「………ううん。是非聞かせてほしいな。」

 

ウォルター*前提として、欲望というものは

【人間の醜い感情】ではない。人間として、

成り立つために不可欠な重要な要素だ。

 

チャティ:欲望、と言ってもそいつは決して

一つに限られるものじゃねえだろう?

もちろん、企業どもの【コーラルが欲しい】

【だから、キヴォトスを侵略する】

……こいつは【もっと富みたい、裕福に

なりたい、地位が欲しい】という感情から

来るまさに吐いて、まだ吐きたらねえ

醜い欲望の代表格、って奴だ。

……一方で、先生、あんたのような【生徒の

未来のために】、【私の大切な生徒の命は

奪わせない】。

これだって誰かを慈しむ慈愛の感情から来る

欲望に違いねえだろう。

他にも、【将来は学者になりたい】って夢も

言い換えると欲望と言えるし、【友達が

笑って欲しい】って思うから来る【だから

友達にプレゼントを贈る】っていう行動も

欲望に違いないはずだ。

 

つまり、欲望とは【人間の感情の権化】

そのものであり、感情の行動だ。:

 

セリカ「うぅ、ロニーの話って難しいん

だってば!!」

 

ヒフミ「確かに、よく分からないです!」

 

セナ「回りくどい。つまり何が言いたいのか

はっきり言ってほしい。」

 

ウォルター*欲望は悪ではない。悪だけに

限らない。………だが

 

チャティ:矛盾しているようだが、人間の欲望は

醜いってのには俺も賛成だ。

何故なら、【ある感情】からもたらされる欲望は

きっとこの世で最もおぞましいものに違いない

はずだからだ。:

 

先生「…………………」

 

ウォルター*その感情こそが【憎しみ】だ。

【憎しみを晴らしたい】という欲望は、その

恨みを抱く人間におぞましい行為を取らせる。

富や地位を得たいと願う人間などよりはるかにな。

 

チャティ:長く、独立傭兵として過ごしてきた

俺は、憎しみに狂った人間を数えきれない

ほど見てきた。まぁ、当たり前の話だが、

この鉄錆の匂いで渦巻く世界では、憎しみは

路上に転がる石のように、存在しているもの

だったからな。:

 

ウォルター*端的に言おう。ハナコちゃんや

シロコちゃん、アズサちゃん、君たちが、

その憎しみが求める欲望を叶え続けようとする

ならば、いつか-----

 

チャティ:てめえらは、周りの大切な人間すらも

殺すことになる。シロコ、お前の隣にいる

ホシノや、ハナコ、お前を必死に止めようと

してくれているコハル… あぁ、アズサ、てめえは

もうコハルに手をかけようとしてたか?:

 

シロコ「っっっ!!!!そんなこと、私は

しないもん!!!いくらロニーでも許さ

ないよ!!!」

 

アズサ「ふざけるな……!!私が!!!!

コハルを殺すと!!??

そんなわけが

 

チャティ:ほう、お前どの口でそう言えるわけだ?

さっきコハルを突き飛ばした手は何だ?

馬乗りになって、お前は手をどこに持っていった?

首に手をかけようとしていたのが遊びや冗談に

してはあまりに笑えんぞ。:

 

アズサ「っっっっ!!!!!

そ、れは……それは、それはそれはぁ!!!

コハルがあの悪魔たちが!!!可哀想だ

なんて言うから……!!」

 

チャティ:そういや、結局まだお前からはっきりと

俺のした質問に答えてもらっていなかったが…

ちょっと質問を変えよう。

ベイラムの人間にも、命を取られる、大事な人間を

人質にされてしまっている、そういう事情が

あるのは理解しているか?:

 

アズサ「っっっっっ!!!!!!!

だ、から…だからだからだからぁ!!!

何だ!!??

私の!!私たちの!!!!

大切な人たちを!!!!!

あいつらは大勢奪った!!!!!

奪ったんだ!!!!!!

な、の、にいぃぃぃ!!!!

許せる、はずがない………

あいつらはあいつらはあいつらはぁ!!!

苦しむべきなんだ!!!!

苦しまないのは嘘だろう!!??

あのような!!!非道を行った奴らが!!!

普通に死ぬことなんてえええええ!!!」

ポロポロ

 

ウォルター*……つまり、アズサちゃんは

理解していると受け取っていいな。

……それならば、君はその事を理解して

なお、コハルちゃんを害そうとしている。

人間には、自らに都合の悪い事を中々

認めようとせず、耳に入れたがらない

性を持っているものだが………

憎しみの怖しいところはそこだ。

憎しみは人間の身勝手さを最大化させて

しまう。

憎しみは、憎しみからもたらされる欲望に

とって、都合の悪い存在は排除しようと

する。

目や耳に入れさせないなどという生温い

ものじゃなく、存在そのものを許さなく

する。

友人であろうと、家族であろうと。

例外なく排除対象となる。

……自分の中の憎しみを、全く晴らすなと

いうわけではない。復讐として奪った者の

命を奪う事は仕方のないことだろう。

だが、そこで留めておかなければならない。

必要以上の憎悪の欲望を、叶えるべきじゃ

ない。叶えさせてはならない。

その道を歩み続ければ、大切だったはずのもの

たちや、己自身すら何も残らなくなる。

そうして、最後に存在しているのは、どの感情の

欲望よりも醜い獣だ。

その憎しみの獣は、【この世で最もおぞましい

人の心すら存在しない怪物】だ。

 

チャティ:そして、その道の末路がどうなって

いるかは言うまでもねえな…?

おぞましい怪物ってのは、どんな童話や物語でも

惨たらしく討伐されるってのが相場と決まって

いるからな……:

 

シロコ「…………………」

 

ホシノ「…………………」

 

ノノミ「…………………」

 

セリカ「…………………」

 

アヤネ「…………………」

 

シミコ「…………………」

 

ウイ「…………………」

 

ハナエ「…………………」

 

チナツ「…………………」

 

イロハ「…………………」

 

セナ「…………………」

 

アズサ「うぅ!ぐぅ!ぐうううぅぅぅ!!!

そんな…こと……言われた、ってええぇぇ!!

あいつらが殺した中には…… ヒフミたち

以外の!!私の大切な友だちだってたくさん

いた!!! 死んでいった人たちは!!!

この私の事を快く受け入れてくれたんだ!!

そん、な……優しい………みんなが………

何も、何も!!罪など犯していない………

ただ!!平和に暮らしていただけ

だったのに……!!!

何で!!??どうして!!!!!

こんな理不尽に命を奪われないと

いけないんだ!!!???

心優しくて善良な人たちが無惨に

殺されたってのに………!!!

奴らの苦しむ顔を見なければぁ…!!

おさ、まらないんだ……!!!!

悪魔は、悪魔はぁ!!!苦しんで

当然なんだ……!!!

みんなの無念の分だけ奴らも苦しまなければ!

苦しんでくれなきゃ……!!!

 

ううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!!

ロニーさんが言いたい事は分かる!!

コハルの言い分だって本当は分かっている!!

でも!!!じゃあ!!!この中に煮え滾る

憎しみはどう処理したらいいんだ!!??

あいつらを!!苦しませろと!!こだま

し続けるこの声は!!??

奴らのぉ!!!苦しむ顔が見たいって……!!

そうしなければ…そうでなきゃ!!!!!

私の憎しみは晴れないんだぁ!!!!!

うわああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

ボタボタボタボタ

 

 

目から大量の涙を流してアズサはうずくまった。

アズサの慟哭は、まさに私たちの心の内を

代弁したそのものだった。

……理屈では、分かっているんだ………

憎しみ続けた先には、ロクな末路が待っていない

ということは………

だけど………ふふふふ、滑稽だ…… 私は本当に

滑稽な人間だ。

今までの自分なら、この真っ黒の炎を宿したこと

のなかった頃の自分は、きっと「憎しみに

身を委ねちゃ駄目だ。」「憎いからって、

その者を苦しめたり、ましてや殺すことなんて

絶対に駄目だ。道を踏み外してしまう。」と

生徒たちに説教をした事だろう。

そして、今、過去の何も知らない私が私に

先ほどの言葉を言われた時を想像してみる。

そして、私はあまりにも容易に「何も知らない

くせに上から物を言うな。」、「お前には

心の奥底から誰かを憎んだ事があるのか?

この黒い炎が心の中で燃え上がってなお、

そんな言葉を吐けるものなら吐いてみろ。」

と、憎々しく、唾を吐きかけることを

想像出来てしまう。

 

そうか……… ロニーは、ロニーは……

こんな世界で生きてきたんだな……

戦争の世界では、自分自身とも

戦わなければならないということを

思い知らされる。

負ければ自らの中の黒い炎に燃やし

尽くされ、惨めな末路を辿るだけ……

こんなの、まさに 【鉄】じゃないか。

無機質な金切音が響き渡り、周囲には

()の臭いが支配する。

そして、心さえも【鉄】へと変える。

せめて、【人間】でいられるために。

【完全な怪物】となるラインを踏み越えない

ように。

 

私はここに至って、ロニーが【鉄の世界】と

呼ぶ、その意味をようやく心から理解できた。

確かに、ロニーの住む世界は

……………いいや、もうこのキヴォトスは、

芯まで冷え切る、心さえも冷たい鉄へと変え

なければならない、【鉄の世界】の他ならない。

 

 

ハナコ「ふふふふふふふふふ………!!」

 

 

ゾクッ!!!!

 

 

背筋につららを突っ込まれたかのような

悪寒が走る。

その、顔を……見るだけで…………

私の中の黒い炎さえ、消えてしまうような

おぞましさが、その笑顔(ハナコの顔)にはあった……

 

シロコ「ひ……」

 

チナツ「ひぃ……!」ジリ

 

アズサ「ハ…ナ……コ………!?」ブルッ!

 

ハナコ「確かに、ロニーさんの言葉通り

ですね。あなたが、私たちのことを思って、

色々と説得をしてくれたということは

理解できます。

ですが、ごめんなさい。正直何一つ

私の耳に言葉が入ってきませんでした♪

あなたの言葉自体が、私の頭が受け付け

ないんです♪

私の今の頭にあるのはぁ、このクズを、

ベイラムを、苦しめてやるかだけなんです♪」

ニチャアアアァァァ

 

先生「ぁ……ぅ……ぁ……!!ハナコ…!!」

 

その歪みきった笑顔は、あまりにも醜いものだ。

確かに、どんな欲望から出た笑顔よりも、

醜悪でおぞましい、人間とは思えない…!

これじゃ、まるで…………!

 

ホシノ「かい、ぶつ……!」フルフル

 

 

ウォルター(あぁ…… その顔だ。俺も今までの

一生で幾百と見てきた、完全に憎悪に支配された

人間のする顔…… 残念だが、もうこの少女は…)

 

 

ハナコ「ハスミさんや、コハルちゃん、ロニーさん

までもが何やら色々と小言を言いましたが…

私の事を軽蔑するのならどうぞ軽蔑して

ください。 怪物みたいと怖れるのならどうぞ

怖れるといいでしょう。

私を人間と思いたくないのでしたら、これ

からは人間扱いをしてくれなくて結構です。

もう、私にとってはハスミさんも、コハルちゃんも

ロニーさんも、先生の言葉さえ、心底どうでも

いいのです。

この憎しみさえ晴らすことが出来れば。

 

だから、もういいですね?

これから足下のこのクズを拷問して殺します。」

 

 

ユラリ

 

 

チャティ:…………………:

 

先生「ハナコ……!!」

 

ヒフミ「ハナコさん!!!」

 

ダメだ……! これは、これは!止めなくては

いけない!!

ロニーの言う通り、今ここでハナコの憎しみが

突き動かす、その行動をさせてしまえば………

もうハナコは確実に【戻って来れなくなる】!!

まともな道へ…… 完全に、道を踏み外すことに

なるという確信がある!!!

 

先生「ハナコおおおおおおおお!!!!」ダッ!

 

私は、必死の形相で五花海に残虐な行為を

もたらそうとするハナコの目の前におどり

でた。

 

ハナコ「先生、どいてください。」

 

冷徹な、声が、私の耳に響く。

だが、私は毅然として返す。

 

先生「……いいや、それは出来ない。

この男の始末なら、私がつける。

大人である私が。生徒たちには

手を汚させるわけにはいかない。」

 

私のその言葉に、ハナコは鼻で笑ってみせた。

 

ハナコ「私たちの、手を汚させるわけには

いかない?ですか……。 ふふふふふ、可笑しな

事を言うものです、先生。先ほど、シロコさんと

ホシノさんがそこのクズを嬲っていた時、先生は

少しでもお二人を止めようという素振りを

見せましたか?

そんな大人が、いまさらそのような世迷言を

話したところで、ちゃんちゃらおかしい話です。」

 

先生「…………………」

 

言葉に詰まる。簡単に。

正直、その通りだ。ハナコの言葉は的を

射ている。

憎しみに染まっていた私は、間違いと

分かっていながら、2人を止めなかった。

止める気が、起こらなかった……

……だが、それでも今のハナコだけは

止めなければならない。

確実に、人間としての道を踏み外すと

分かっているのに、それを止めないと

いうのは、彼女たちの教師として、

……いいや、責任ある大人として、

完全に失格となる。

だから、私はハナコに毅然と言葉を返した。

 

先生「確かにね。正直、先生として失格だと思う。

でも、それでも、ハナコ、今の君だけは

それをさせるわけにはいかない。

完全に人の道を踏み外すと分かっていて、

みすみす子供の未来を閉ざさせることは

しないよ。

だから、絶対にどかない。」

 

ハナコ「…………………」ドロリ

 

先生「!!!!????」ゾックゥ!!

 

その時、私はハナコの目が、すでに光の

ない瞳が、さらに濁り切った。

ハナコの顔から表情が完全に消えた……

もう私の背中ははぼ凍りついている

ようだ……。

それほどまでに…もうハナコは……

 

 

ウォルター*チャティ*

 

チャティ*あぁ。*

 

ウォルター*ハナコという少女を、今すぐに

殺せ。 このままだと、下手をすれば先生を

殺してしまう恐れがある。

先生との信頼関係が崩れるかもしれないが…

ハナコという少女を止めなければ後々厄介に

なるかもしれん。*

 

チャティ*了解。任務に……*

 

 

五花海「ふふふふふふふふ……」

 

 

先生「!」

 

ハナコ「…………」ギリ

 

チャティ:………?:

 

突如、今まで黙りこくっていた奴が

不気味に笑い出した。

そしてゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

 

五花海「………先生、あなたの質問に

答えてあげましょうか…」

 

先生「…………なに?」

 

五花海「ベイラムに囚われた、あなたの

大切な生徒さんたちが、どうなったのか

です。」

 

先生「!!!!!!!」

 

五花海「ふっふっふっふっふっ……。

彼女たちは、苛烈な拷問にかけられ、

大きな苦痛を味わされています。

先生や連邦生徒会の情報を得るためにねぇ。

今頃、占領したベイラムの捕虜収監施設は

少女たちの泣き声で支配されてしまって

いることでしょう。」

 

先生「……………!!!!!!」ざわ

 

目の前が、真っ赤に染まる。

あまりの怒りで、先ほどのことが

全て何もかもどうでも良くなってくる。

途端にロニーの話によって、戻った

少しの理性すら消し飛び、あるのは

この男への底のない憎悪だけが支配する。

 

先生「ころ、して、やる……」

 

ニヤつく五花海の首に手をかけ始める。

煮え滾る憎悪のままに、私はこのクズの

首を絞めあげようとする。

だが、次にこの男が吐いた言葉で、私の手は

止まった。

 

五花海「彼女たちを、助けたくは

ありませんか?」

 

先生:ピタッ

 

ハナコ「!」

 

チャティ:!:

 

ウォルター*……なるほど、そう来るか。*

 

先生「私、の生徒を……助け、られる……?」

 

五花海「ふっふっふっ…。その通りです。

この私を、ベイラムとの交渉材料に

するのですよ。

ACに乗れる人間というものはそういるもの

ではありません。

ましてや、私レベルほどでも、操縦に熟達

したパイロットなどは希少です。

ベイラムとしても、私のような熟練のAC

パイロットを失うことは、相当な損失と

なります。」

 

先生「…………………」

 

ハナコ「………………」

 

五花海「逆に、捕らえた捕虜たちからは、

知りたい情報はほぼ聞き出すことが

出来ました。よって、ベイラムとしては

もはや価値のない存在です。

いいえ、それどころか食費を浪費させ

られるだけの、ゴミどうぜ

 

 

バキィ!!!

 

 

五花海「ぐふっ………」

 

先生「次、私の生徒をゴミ同然と言ったら

もっとお前は苦しむことになる。」

 

五花海「……………よって、本来失われる

はずだったこの私が彼女たちと交換という

形で戻ってくるならば、ベイラム本隊は

乗ってくる可能性が極めて高いです。

……もちろん、彼女たちの中には

【桐藤ナギサ】もいますよぉ?」

 

ハナコ「!!!!!!!」

 

五花海「さぁて、どうします?

ここで私を殺すとなれば、役目を済ませた

彼女たちはすぐにでも処分される

ことでしょう。

ですが、ここで私の命を助け、私を

交渉材料とすれば…… あなたのかわいい

生徒たちは命があるまま戻ってくるかも

しれない。

ふっふっふっふっ………」

 

先生「……………………」

 

ハナコ「………………チッ!!」ギリイイィィィ

 

 

スッ

 

 

ウォルター*なに…?*

 

先生「ハナコ…!?」

 

ハナコ「……先生、その男の取引に乗りましょう。

さすがにナギサさんの命を無視するわけには

いきませんしね…」

 

先生「………うん。ありがとうね。ハナコ。」

 

………良かった。まだ、最低限の、理性は

残っていたようだ……

 

 

ウォルター(例え、身内の人間が助かるチャンス

があったとしても、彼女は聞く耳を持たないと

考えていたが…… これなら、もしかすれば

ハナコという少女はまだ………)

 

ウォルター*……だが、そのレッドガンが

生きてベイラムに戻られるのは少し困るな。

621との戦闘を通じて、こちらの目論見が

ミシガンにバレるかもしれない。*

 

チャティ*……どうする?俺が阻止する

わけにもいくまい*

 

ウォルター*………いや*

 

 

ホシノ「………先生、そのクズを助けるんだね。」

 

先生「うん。私の生徒たちが助かるなら、

死んで当然のクズ野郎だって喜んで

助けるよ。」

 

ホシノ「……そうだね。………じゃあ」

 

 

ゴッ!!!

 

 

五花海「がぁ!!??」

 

ホシノ「なにのんびりしてるわけ?

さっさとベイラム本部の、お偉方に

繋げよ?クズ野郎。もっと身体を

抉ってやろうか……???」

 

 

ウォルター*ちょうど、【621】が

戻ってきたようだ。*

 

 

五花海「こ、の……クソガキ

 

 

 

ヒュオオオオオ、ザザアアアアアア!!!!

 

 

五花海「!!!???」

 

ホシノ「うわあああぁぁぁぁ!!!」

 

先生「うわあああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

突然、巨大な物体が私たちのところに

砂埃を大きく舞って、現れた。

 

 

カシュウウウウゥゥゥゥゥ………

 

 

砂埃がだんだんと晴れ----

 

 

五花海「あ、あああぁぁぁぁ……!!」

 

ホシノ「………うへぇ、最悪だねぇ……

どう、考えても、【やばいAC】って

こいつのことだよねぇ?先生?」

 

先生「あぁ……ちくしょう………!」

 

 

【絶望】の姿が、徐々に露わになっていき、

先ほどでも聞いた、あの【機械音声】が私の

耳に響く。

 

 

621:チッ……!しぶといやつだ。まだ生きて

いるとはな。:

 

 

銀烏の、AC………!!!

 

 

ウォルター*621、ちょうどいいところに

来てくれた。 レッドガンを始末しろ。*

 

621*了解。*

 

 

621:まぁいい、すぐにとどめを刺してやるよ。:

ブゥン

 

五花海「ちく、しょう……!!!」

 

そして、銀烏は左手のライトセイバーのような

剣を出現させ、ゆっくりと構える。

…まずい、五花海に完全なとどめを刺す

つもりだ!!!!

 

621:あばよ。:ブォン!

 

五花海「ちくしょおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

ホシノ「っ!!!??先生!!!!!」

 

 

 

ドッ----------------

 

 




何かねぇ…… ホシノはまだしも、対策委員会
の人たちって、あんな痛めつけるようなこと
するだろうか……?
少なくともアズサやハナコはあんな事しねえ
と思う……。

まぁ、それだけAC住人が植え付けた憎しみが
とてつもなく深かったという事で納得して
ください!!お願いします!!
後、まだ子供なので憎しみへの耐性がない
かなとも思ってしまったんです……
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