ブルーアーカイブ:〜ACⅥ Fires of Kivototh編〜 作:とある渓流にいるかわうそ
〜〜アビドス砂漠 15:45〜〜
621(………ちっ、めんどくさいことになって
来やがったな。)
俺は、ベイラムのレッドガンに振るったブッタを
直前で止めていた。
止めざるを得まい。自殺願望を疑う大ボケ先生が
レッドガンの前に出てきやがったのだから。
先生「はぁ……!はぁ……!」
こいつは、バカなのか? 何とかブッタを振り下ろす
のを止められたが、止めた状況としてはまさに
皮一枚という表現が適切だ。
何なら、ブッタのエネルギー刃の先端が、奴の胸の
肉をほんの少し抉っているぐらいだ。
大真面目に、こいつはここで死ななかったのが
奇跡と言っていい。
621:とりあえず、ひとつ言わせてもらいたい。
お前は頭が沸いたバカなのか?:
俺は先生とは面識がない体で話しかける。
今の設定じゃ俺とこいつらはほぼ初対面
だからな。
先生「……あなたに、この男を殺させるわけには
いかない。」
621:こっちの質問は無視か。まぁいい。
だが、その言葉の意味が分からんな。その男は
お前を攫いに来た刺客だろう。
なのにそいつの命を鑑みる理由などあんたの立場
からして、思い当たらんのだがな。:
先生「確かに、この男の命など心底どうでもいい。
むしろ私の手で殺してやりたいくらいだ。
だけど、私にとって、つい先ほどこの男の命に実が
生じた。だから殺されるのは困る。」
なるほど、俺について、【敵対するつもりはないが、
敵視はしている】といったスタンスを取るつもりか。
一応俺はキヴォトスの味方の勢力から依頼を受けて
こいつらを救けに来ているという体だからな。
曲がりなりにも【今は】味方である俺に対して
礼儀は取る。
一方で、俺は独立傭兵だ。金で自分たちの味方にも
なれば、企業の犬としてキヴォトスを侵略してくる
存在にもなる。
はっきりとレッドガンの命の【利用目的】を
告げないのは当たり前か。
まぁ、利用目的など見当はつく。
俺はそこをまずは突いてみることにする。
621:ほほう。そいつを交渉材料にベイラムと囚われた
捕虜の返還を交渉しようってわけか。:
先生「………………」
621:そいつは無駄な努力だ。:
先生「そんなことはない。この男は、クズでも
ベイラムにとっては貴重な戦力となる人材
だからな。」
ホシノ「そして、このクソ野郎の言葉に頷くのは
不愉快極まりないけど…… 確かにベイラムに
とって、もうキヴォトスの捕虜たちはほとんど
価値がない。むしろ遠征先で安くない食費を
浪費させられる厄介者たちって、じきに認識は
変わるだろうね。
ならその厄介者たちで貴重な戦力を取り戻せるの
だったら、ベイラム側としても利は十分にある。
乗ってくる可能性は相当に高い。」
全く、本当に笑わせやがる。それのどこが【実】と
言いたいのだか。
お日様に甘やかされた連中はここまでおとぼけた
思考になるものか。
621:くっくっくっ……… なるほど。俺の質問
にすらまともに理解を示せないとは。やはり
平和ボケした人間を制圧するのは赤子を捻る
より簡単ということだな。
こりゃてめぇらキヴォトスのお先は真っ暗だな。:
先生「……戦力差が絶望的なことぐらい理解して
621:違うって言ってるだろうが。頭の芯まで
お花畑で染まってる野郎どもが。
【蟻】を助けて、何になるって言ってるんだよ。:
先生「…は?」
ホシノ「ア、リ……?」
おいおい、何だ?その何言ってるんだこいつ?
って表情は?
俺の言葉はこの上なく分かりやすく表現と
思えるのだがな。
621:今更、ベイラムに囚われたキヴォトス人
っていう【役立たずのムシケラ】なんぞ
助けてどうするつもりだ? その事に、お前たち
キヴォトス側に何の【利】がある?
助けたところで、どうせ明日明後日には散る命だ。
その上、ベイラムに囚われた連中って奴らは
一体何が出来る? 意味のねえ豆鉄砲を持たせて
怖しいロボット軍団に突貫させるか?
それとも爆弾でも持たせて自爆特攻させるか?
それなら今から助け出すキヴォトス人も文字通り
ムシケラぐらいの価値はあるかもしれんな。:
そうしゃべる俺への先生の視線が明らかに
険しく、鋭くなった。今にも殺してやるって
ばかりの殺意のこもった目をしてやがる。
隣のホシノも同じだ。
きっと今目に入ってねえこの場にいる他の連中も
同じ目をしている事だろう。
構わず俺は続ける。
621:だが、誰がどう考えてもそのレッドガンを
今ここで始末する方がお前たち【キヴォトス側】に
とって利があるだろう。
そうだな。蟻は蟻らしく分かりやすい例えで話して
やろうか?
お前らは、このキヴォトスに蔓延る【蟻】だ。
それで、俺たちはその鬱陶しい【ムシケラ】を
駆除する人間たち。
俺たち人間たちはほんの少し吹きかけるだけで
蟻どもを即死させられる【殺虫スプレー】を
持っている。1本あれば蟻を10万匹は殺せる
強力な殺虫スプレーだ。
で、お前たち蟻の総数はいくらだ?
1億匹か?100億匹か?
だが、そんなスプレーを俺たち人間側は数万本と
用意している。軽く兆は殺せるほどにな。
それで?お前たち蟻の取るべき戦法はそんな怖しい
スプレーの前に千か万かの乏しい蟻を補充する
ことか? ほんの数秒スプレーを吹きかける時間を
伸ばすだけで簡単に助け出した蟻はひっくり返って
動けなくなるだろう。
なら、お前たち蟻のやるべきことは怖しい
【殺虫スプレー】を1本でも2本でも減らすこと
だろう。
そうしたほうが、救える命は何百万と増える
だろう。
そして、お前たち蟻は今、その怖しい【殺虫
スプレー】の1本をその手に持っている。
なのに、その怖しい殺虫剤を敵方に返して、
すぐに蹂躙されるだけの役立たずのムシケラの
命を助けるなんざ大間抜けの中の大間抜けだ。
きっと、ベイラムも腹を抱えて、笑い転げる
ことだろう。
つまり、ここでそのレッドガンを始末しておく
方が、後々救われる命の総数は多くなるって
ことだ。
どうだ?思い直す気になったか?:
と、俺は奴らの方を見るが、目つきはまるで
変わっていない。
相変わらず親の仇でも見るかのような顔をして
やがる。
先生「……理屈はそうかもしれないけれど、
だからと言ってその理論に則るのは人の心を
持っていない怪物のやることだ。
お前たちのようなな!!」
シロコ「私たちを大切な友人の命すら【実】と
【利】で考えるお前たちのような【ゴミ】と
一緒にしないでっ!」
怪物?ゴミ???……やれやれ、戦争では
当然のように考える論理で当然のように
遂行される至極真っ当な道理だろうが。
こんな程度にすら【非情】になり切れんとは…
まぁいい。元々こいつらなら突っぱねてくる
だろうということは分かりきっていた。
【だから厄介なんだが】
621:……そうか。まぁ、てめえらの事情なんざ
どうでもいい。関係あるのは俺の都合だけだ。
どけ。そいつを始末しねえと俺はクライアント
から報酬金をもらえねえんだよ。:
俺は改めて俺の立場から先生に警告するが、
分かりきった答えが返ってくる。
先生「どかない。」
先生がそう答えた段階で、俺はウォルターに
暗号回線で連絡を取る。
621*ウォルター、悪いが『次で最後だ。』*
ウォルター*あぁ、やむを得まい。*
621:くっくっくっ…… お前は何かを勘違い
しているようだ。:
先生「…………………」
俺はそう言って、『最後の手段』を試してみる。
ズドン!!!
アル「ふえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」
バッシャアアアアァァァァァン!!!!
俺は適当に、連中には当てないようにカーティスの
弾を1発威嚇で撃ってやった。
アル「は、はひぃ…!!??」チョロロロロ
ハルカ「ア、アルさまぁ!!??」
ムツキ「ちょっ…!?」
カヨコ「撃ってきて…!」
621:クライアントに頼まれてるのは、あくまで
【シャーレの先生を助けろ】だ。周りの女どもに
ついては、特に言及はない。つまり、女どもが
どうなろうが俺には関係ないってことだ。
次は当てる。女どもの命が惜しけりゃそこを
退くことだな。:チャキ
先生「……………」
ホシノ「ちょっ!?先生!!!」
五花海:ダラダラダラ
アル「」(白目)
サオリ「先生、私たちのことはいい。だから…!」
621:10数える。それまでにそこをどいてなきゃ…
分かっているな?:
先生「……………」
シロコ「せんせ……」
621:………10:
セリカ「うわわわわわ!!や、やばい!」
621:9…8…:
イロハ「本当に、血も涙もないですね…!
こいつらは……!!」
621:7…6…:
アツコ「先生……」
621:5…4…:
ヒフミ「ど、どうしましょう!!ハナコさん!」
アズサ「落ち着け…こういう時こそ落ち着いて
考えるんだ!ヒフミ!」
621:3…2…:
リン「………」タラリ
アオイ「………」ビクビク
621:1…………:
アル「あわわわわ!!!」ジョロロロロ
ムツキ「くっふふ〜!アルちゃんビビリ
すぎておしっこダダ漏れだよ〜?」
アル「おおおおお漏らしなんてししししして
ななななな
621:0:
アル「ひえええええぇぇぇぇぇぇ!!!」(白目)
621:………………:
先生「…………………」ニッ
アル「…………って、あら?」
621:………………:スチャ
ホシノ「え……?」
ノノミ「銃を、降ろした……?」
アヤネ「ど、どういうことですか…?」
621*ウォルター、ダメ元でやってみた
作戦も失敗だ。こうなった以上『あんたの方針』に
従うってことでいいんだな?*
ウォルター*あぁ、『念のため』キヴォトス側とは
敵対してしまう完全なる1線は踏み越えておきたくは
ない。
業腹だが……【レッドガンは見逃すしかあるまい】*
621*………このような結果になってしまい、
悪かったな。レッドガンを取り逃してしまった
せいで、こんなことに…*
ウォルター*お前は何も悪くない。この結果に
なってしまったのは俺の指揮が至らなかった
せいだ。責任は全て俺にある。*
621*チッ……情けねえ。『こうなってなけりゃ』
あの脱出だって完全に撃ち落とせたはずなのに…*
先生「やはり、お前には【生徒】を殺せない
と思っていたよ。
お前のクライアントはキヴォトス側の人間
なんだからね。
もちろん、私が【最重要人物】なのには
間違いないのだろうけど、それは私の
【指揮】を重要視していて、そして私の指揮は
生徒たちがいて、初めて意味を為す。
つまり、出来るだけ【生徒たち】も無事でいて
貰わなければ困る。
もちろんそのクライアントにとっては私と生徒
となら、私の命の方が大事なのだろうけど、
このレッドガンと生徒たちなら生徒たちの方が
優先順位は上ってところかな。
レッドガンは始末したいけれど、生徒に
危害を及ぼせば、お前はクライアントの意向に背く
ことになる。
だから、お前は銃を収めるしかないと思って
いたよ。」
621(チッ、偉そうに講釈を垂れやがって……
本来なら周りの女どもの命などどうでもいいん
だよ。履き違えやがって……)
621:なるほど、甘ちゃん思考はしていても
頭は回りやがるって事か。
先ほどクライアントからも改めてレッドガンの
身柄は先生に任せろと指令が降ったところだ。
そして、護衛を続けろともな。:
くるっ
621:さっさとやるべきことをやるんだな。
こっちはさっさと依頼を終わらせたいんでな。:
〜先生視点〜
そう言って、その銀烏のACはしゃべらなく
なった。
ホシノ「ふうううぅぅぅぅぅ………さすが先生。」
アヤネ「あの災厄のACの思惑を見破っていた
なんて。」
アル「ふ、ふふ……私は最初から分かって
いたわよ。」
ムツキ「アルちゃん、そんな状態で言われても
説得力ないよ〜?」
リン「……何はともあれ、早いところベイラム本隊
と連絡をとりましょう。」
シロコ「んっ。」
ゴッ!!!
五花海「ごほっ!!!!」
シロコ「何ぽけっとしてるの???早くベイラムに
繋いで? それとも素直になるまで骨を折って
あげようか?」ハイライトオフ
五花海「お…の……れ……!!」スチャ
カチ、カチ………
五花海は右手の腕輪のデバイスに何らかの
操作を行った後
ブワアアァァァァァァ………
正面方向に、等身大ほどの立体映像を
腕輪のデバイスから映し始めた。
リン「さすがの科学力ですね。まぁ、この程度なら
ミレニアムにもありそうですが…」
と、リンちゃんが話している最中、私の、私たちの
目に飛び込んできたのは……
先生「……え?」
目を疑いたくなるような光景だった。
ナギサ「………………」
ナイル「G3か。ようやくこちらに映像連絡を……っ」
目隠しされ、猿轡を咥えさせられ、足を
椅子に縛りつけられ、手を椅子の手すりに
括り付けられていたナギサの姿、そして
その隣に、長身かつ、厳格な雰囲気を漂わせて
いる1人の軍人が立っていた。
先生「ナギサっ!!!!!」
ナイル「これは………… なるほど、
そうなったか。」
ナギサの状態に思わず悲痛な声をかける私の声に
ナギサ「…………!」ピクッ
ナギサが項垂れていた顔をあげた。
そして、目隠しされた布から涙が流れ落ちてくる。
あぁ……かわいそうに……!怖くて、たまらない
はずだ…!
………私は、とめどない怒りの激情が体の奥底から
湧き上がってくるのを感じる。
ナギサの今の状態と、隣に立つ軍人の男……。
そしてその男が先ほど放った言葉から、『ベイラム
が何をしようとしていたか、推察できてしまった
からだ。』
先生「……ナギサを……解放しろ…!!」
溢れる怒りを必死に抑えて、私は目の前に
映る軍人にナギサの解放を要求した。
だが、それに対する男の反応は芳しくない。
ナイル「あなたがシャーレの先生とお見受けする。
その要求は今すぐに、ということかな?」
先生「そうだ!!!!今すぐに!!!
今ここでだ!!!!」
ナイル「それは出来ない要望だな。
断らせていただく。」
だが、男は今度ははっきりと私の
要求を断ってきた。
それを聞くやいなやーーー
グシャ!!!!
五花海「うがあぁぁっ!!??」
ホシノが、五花海の腕を強烈に踏みつける。
ホシノ「うへぇ…… 状況が、分かってないの
かな〜? 素直に従わないと、こいつが
どうなるか想像もつかないのかな〜???」
五花海「ちょっ!!!ナ、ナイル副長!!」
五花海がナイル副長と呼んだことによって
この男の名前は分かった。しかも、副長と
呼んだということは、今、進駐してきている
ベイラム部隊のNo.2の立場を持っている
上官と考えていいだろう。
セリナ「ナ、ナイル副長……!」
ハナエ「この方が…!!」
だが、そんなホシノの脅しにナイルは
あくまで冷ややかに言葉を返す。
ナイル「まぁ待て、まずは少し落ち着いたら
どうかな? そんな様子では有意義な交渉も
出来ないだろう。」
ギリィ!
チャキ!ゴッ!!
五花海「ぐおっ!!??」
先生「解放しろって、言っているんだ…!!
有意義な交渉をしたいと言うなら……
まずは生徒たちの安全を保証しろ!!!」
私は激情のままに、五花海の頭に取り出した
銃の口をぐりぐりと押しつけ、改めて脅しに
かかるが、目の前の男の表情は能面のように
眉ひとつ動かない。
ナイル「シャーレの先生、君も成熟した大人の
男性だろう? ならばこちらの都合というものも
少しは考えを巡らせてみてはいかがか?
彼女を今すぐに、今ここで解放するということが
我々にとってどういう意味を示すか、まさか
考えに至らないわけではあるまい。」
先生「……………」ギリ
ナイル「ふむ。理屈に感情は追いつけず、か。
そのような態度で来られるというならば、
こちらも致し方あるまい。」
パチンッ
ナイルという男が指を鳴らした。すると、画面
奥から巨大な銃を所持した5mはあろうかという
人型のMTがこちらに向かってきた。
そして、その人型MTは手に持つ銃をーーー
ジャキン!
先生「なっ!!??」
ホシノ「なっ!!??」
五花海「ちょっ!ちょっと!!??」
大きな銃を、ナギサの後ろから突き当てた。
なに、をしているんだ……!?
この男は、状況を分かっていないのか…!?
それでは、まるで……
ホシノ「何しているわけ……!?
あんたのしていることは、こちらと交渉の
意思などないって言ってるようなものだよ!!」
ホシノが荒げた声でナイルに抗議するが、
ナイルは変わらず冷徹に声色を崩さず
返答する。
ナイル「そういうわけではない。こちらとしても
君たちの交渉には応じたいとは考えている。
しかし、交渉にも限度というものがある。
君たちがあくまで先ほどの要求を取り下げない
と言うならば、致し方ないということだ。
元々、敗れて敵方に捕まったACパイロットは
普通ならば殺され、失うというのが常というもの。
そのような状態になった以上、G3を失うことに
なることはこちらとしても覚悟は出来ている。
ならば、無用な時間を取るのも双方に無駄だろう。
こちらから、ナギサ嬢を処分し、この交渉は
ここで終わりとさせてもらう。」
ジャキン!
MTの構える銃が一層強く突きつけられる。
……………くそっ!
先生「わかっ………た………」ギリギリ!
ナイル「ご理解いただけたようで何よりだ。
銃を降ろせ。」
チャキ……
ナイルの命令と共に、MTの銃は下に降ろされる。
そこで、私は別の要求を求める。
先生「じゃあ、ナギサにしている目隠しと猿轡を
外せ。それならばお前たちに危害を加えるという
心配はないだろう?」
ナイル「……いいだろう。ナギサ嬢の目隠しと
猿轡を外してやれ。」
ベイラム兵「はっ!」
きびきびとした動きで、部下の1人が現れナギサに
施してある、目隠しと猿轡を外した。
ナギサ「ぁ……せん、せぇ……!」ポロポロ
目隠しが取り払われ、私の顔をモニター越しに
初めて肉眼に捉えることの出来たナギサが
滝のように涙を流す。
解放された口からは嗚咽を漏らし、恐怖に
引き攣った顔に、いくばくかの安らぎが戻った
であろうことが見て取れる。
先生「すまない、遅くなってしまったナギサ…。
すぐ、すぐに、そこから解放してあげるからね。」
ナギサ「は…い……!」
そんなやりとりを他所に、ナイルは指示を飛ばす。
ナイル「それと、現在進行で捕らえた捕虜に
行っている、尋問と拷問を全て止めろ。」
先生「…なに?」
ナギサ「っ!!」ギリ
ウォルター*……なるほど、チャティ。*
チャティ*どうした?*
ウォルター*ハナコという少女に至急伝えろーーー*
先生「お前……裏で、私の生徒たちを…!!」
ナイル「別に不思議なものではないだろう。
捕虜とは、
むしろ今現在行っている【拷問】を止めることは
こちらの君たちが仕掛ける交渉への誠意のつもり
なのだがね。」
先生「っっっっっっ!!!!!」ギリギリ!
ナギサ「っ」ギロリ!
ナイル「このナギサ嬢だって、本来なら【こちらの
交渉】を行うために、取り扱うはずだったの
だが… そこに関しては、君たちが上回ったと
言えるだろう。」
先生「クズ…野郎が……!!」ギリィ!!
そう、ナギサが拘束されていて、このナイルと
いう男が隣に立っている状態で五花海のデバイス
から映し出されたという時点で、ベイラムが
私たちに対して何をするつもりだったのかなど
容易に想像出来る。
……ナギサの、悲痛な悲鳴という鞭と、【彼女
たちを解放する】という飴で私を捕虜として
捕える算段だったのだろう。
ならば私と会敵した時に、この五花海は
すぐさまその手段に移るべきだったはずだが、
そこはおそらくこの男の醜い出世欲から来た
【手柄を独り占めにしたい】という考えで
あえてこのナイルと通信を繋がなかったわけだ。
ナイル「まぁいい、改めてG3引き渡しの
代わりとなる君たちの要求を聞かせてもら
おうか。」
奴に促され、私は改めて要求を突きつける。
先生「お前たちが、現在捕らえている捕虜の
全てを、こちらに引き渡せ。
もちろん、そこにいるナギサだけじゃない!
トリニティや!!後に侵略して捕らえた生徒
たちや人々の全員をだ!!!」
怒りを滲ませた私の要求に対し、厳格そうな
男は「ふむ」と一拍置いて、口にした。
ナイル「今回は、今すぐ、今ここでという
無茶な要求ではなさそうだが、その要求は
少しばかり君たちに贅沢というものでは
ないか?
命一つの対価が命数千とは…… せめて
求められるのは十数の捕虜というものが
限度というものではないか?」
ホシノ「よく言うね。さっきこのクズを
痛めつけていた時に眉ひとつ動かさなかった
くせにさ?
お前たちにとって、このクズの命の価値と
捕らえている捕虜の命の価値はまるで
釣り合いを取れていないだろ?」
その言葉にナイルは仏頂面だった顔に、
初めて笑みをうかべ、嘲ってきた。
ナイル「ほう…… 命につけられる価値は不平等と
言うか……。 いやはや血も戦も知らぬ清廉な
住民たちとたかを括っていたが、存外シビアな
感覚を持ち合わせているようだ。
これは君たちも、私たちと変わらない【感性】を
持っていると認識を改めねばなるまいかな?」
ブチィ!!
ゴシャア!!!
五花海「ごはっ!!??」
怒りに駆られたホシノが、下の五花海を
打撲する。
目の前のクズたちと同じにされた事に
よほど我慢ならなかったようだ。
ホシノ「勘違いしないでもらえるかな?
私はお前たちの論理で話しただけだ。
お前たちと一緒にするな。」ハイライトオフ
621(……上手いな。流石に歴戦の企業戦士と
言うだけのことはある。
お子様なんぞ相手になるはずもねえか…)
芯まで冷えるほどの低い声でナイルに
反論を返す。
だが、ナイルは冷たい威圧をもどこ吹く風と
言わんばかりに沈着な態度を崩さず
言葉を返していく。
ナイル「では、こちらの論理を述べさせて
もらうが、確かにACパイロットというものは
貴重だ。ACのように、少し歳月をかければ
生み出せるものとは違い、『適正』ある
人材を見つけることも、それを育てることも
要する年月も労力も比べ物にならない。
だが…… 先生ならば理解していそうだが、
その男、G3は重大な規律違反を犯した。
そもそも、私はシャーレの先生、君を捕える
ために、捕捉次第私と映像を繋ぎ、【お話】に
入る手筈だった。
だが、G3は暴走か出世欲か、私の命令を無視し、
単独での先生捕獲を強行しようとした。
その結果が、自らが敵方に囚われてしまい、逆に
交渉を持ちかけられるという、ベイラムとして、
損害を被る大失態を犯した。
そのような者をこのままベイラムに戻せば、
軍としての規律と秩序を大いに乱してしまう
恐れがある。
つまり何が言いたいか。確かにそれを鑑みても
ACパイロットは貴重な戦力だ。
戻るならば戻したい。
一方で重大な規律違反を見過ごすわけにも
いかない。
私が言いたい事はわかってくれたかな?」
………つまり、この五花海の人質としての
価値は落ちていると、言いたいわけか。
戻ってくるのならば回収はしておきたい。
だが、我欲で規律違反を犯した挙句、敵に
捕まってしまった無能を大きな損害を払って
まで取り返すほどでもない。
なるほど、だから私たちがこの男を痛めつけても
反応が薄かったわけか。
五花海「…………」ダラダラ
先生「……だが、それでもお前たちが捕らえている
キヴォトスの皆はベイラムにとって、それほど
価値があるわけじゃないだろう!
お前たちが知りたいコーラルの情報を持っている
人間は誰もいない!
別に彼女たちを解放してもベイラムにとって
損失などないはずだ!!」
私の反論に対し、ナイルはまたしても冷ややかに
言葉を返す。
ナイル「いいや、そうでもない。『我々の技術』
にも、発展途上は未だ多く存在している。
その中でも、発展に【人体実験】を必要とされる
技術は停滞気味でね。
その理由は【素体】の入手の難しさだ。
当然の話だが、人体実験は法によって厳しく
制限されているし、人体実験を行おうと
すれば、国際社会からの非難は免れない
ものとなる。
いくら支配的な大企業のベイラムとしても、
表立って
集めてしまうということは避けたい。
ならば非合法での施術となるが、成果を出すのに
十分な、借金づけの人間を大勢手に入れるという
のも、そう簡単な話ではない。」
先生「っっっ!!!」ざわ!
その言葉で、こいつの、言わんとしている
事が理解できてしまった。
ナイル「……だが、ここは我々の世界の
法の管轄外だ。
我々の世界に則れば、君たちの人権は
存在していない。
つまり、法的には君たちを【人体実験の素体】に
しても何ら問題はないわけだ。
もちろん、見た目が少女そのものの君たちを
堂々と人体実験に用いれば、世論からの批判は
避けられないから表立ってはできない。
だが、十分だ。裏のルートなど我々は
いくらでも持っている。
科学者たちからすればいくらでも人体実験に
使うことのできる人間というものはいつでも
どこでも求められる宝石だ。喉から手が出る
ほどに。
回りくどくなったが、要するに捕らえた
捕虜たちはベイラムの資金として換金
出来るというわけだ。
資金を用意出来るというだけでも、十分に
我々にも捕虜たちに価値はある。」
ホシノ「……ははっ…お前ら、本当に
鬼畜そのものだよ……」
先生「ははっ………はははははっ!
やっぱり、お前たちに、人の心なんて
ありはしないんだな…」
ギュウウウウウ!
私は血が滲み出るほどに拳を強く握りしめる。
ナイルはそれを無視して交渉を続ける。
ナイル「……だが、君たちが、他にも交渉
材料を提示するというならば、話は別だ。」
先生「………なに?」
621(…主導権を完全に握られてしまって
いるな…… 果たしてどれだけこいつらは
相手の要求を飲んでしまうんだろうな。)
ナイル「そうだな。有意義な情報の開示と
いうのはどうだ?
具体的に言えば、このキヴォトスの重要な
情報、又はその在処をこちらに提供して
いただきたい。」
先生「っっっ!!!」
リン「ふざけないでください…!!そんなこと、
あなたたちの目的をほぼ達成させてしまうような
ものじゃないですか!!」
アオイ「そうなれば、もう私たちのことは
あなたたちにとって用済みになる。
お前たち、ベイラムはアーキバスに情報を
渡さないためにも容赦ない殲滅を開始する。
違うかしら?」
ナイル「ふっふっふっ……流石にこの要求は
贅沢すぎたかな?
では、重要でない情報ならば教えてもらっても
構わないかな?
捕虜たちに聞くだけではこのキヴォトスに
ついて知るには足らなくてな。
先生か連邦生徒会の現代表殿から、教えても
差し支えないと考えうる限りの情報と交換と
いうものはどうだ?」
リン「……具体的には?」
ナイル「確か、このキヴォトスはそれぞれに
自治する地域を有しているのだったかな?
ならば、各自治区の様相や地理、歴史や成り立ち
なども提供していただこうか。」
リン「そんなもの知って、どうすると言うの
ですか?」
ナイル「別に、一見無価値に思える情報の中に、
コーラルにつながるファクターがあれば
幸いというだけだ。得てして重要な情報と
いうものは、たまたま引き出した襖から
出てくるということも、珍しい話では
ないからな。……そろそろ返事を聞かせて
ほしいものだが?」
先生「…………分かった。ただし、こちらが
話したくない事は話さない。
大した情報を得られるとは思わないことだな。」
ナイル「ふむ、そうか。ではもう一つぐらい
こちらも要求をさせてもらおうか。」
ホシノ「……ちょっと贅沢すぎるんじゃない?」
ナイル「なに、これはかなり重要度が高くてね。
今、そうしてG3が君たちに生身で捕まっている
という事は、G3は脱出装置を用いて脱出した
という事だろう?
ならばG3が登場していたAC[鯉龍]も完全に
大破しないと考えているが…
もしそうなら、AC[鯉龍]もこちらに返して
いただこうか。」
……なるほど、それは盲点だったね。
確かに戦闘途中で脱出したのなら、この男が
搭乗していたACは完全には壊れてはいない
かもしれない。
………だが、これは難しい要求だ。
あの恐ろしいACをこちらで破壊してしまえば
ベイラムの戦力を削ぐ事が出来るし、ミレニアムで
解析する事が出来れば、ベイラムの情報も入手
出来るかもしれない上、この先私たちの方でも
ACを創れるかもしれない。
どう考えてもせっかく鹵獲した敵方ACをただで
向こうに返すのは悪手だ。
だが……それを突っぱねてしまえば、「ならば
交渉は決裂だ」と言って、ベイラムはナギサ
たちを処分するか… 言葉通りに、どこかに
売り飛ばすかもしれない。
ナイルの態度からしても、五花海の返還は
私たちが思っているほど重要視していないのは
明白だ。
……………頷くしかない。
そもそも、ベイラムに捕えられた皆が戻ってくる
だけでも奇跡のような幸運に違いないんだ。
ナイル「どうした?早く返事を聞かせて
ほしいものだが?」
私が、仕方ないとナイルの要求に頷こうと
した、その前に
ハナコ「待ってください。先生。」
先生「……? ハナコ?」
ハナコ「交渉を終わらせるにはまだ早いです。」
621(ほう?)
先生「え、どういう…」
ハナコ「ここは、私に任せてください。」
そう言って、ハナコはーーーー
ニチャアアアァァァァァ!!!!
先生「ひっ」
五花海「っ!!」
ナイル「ぬ……」
憎悪という、悪意に満ち満ちた、歪んだ
笑顔をナイルに向けた。
ナイル「……なるほど、無理もないが……
我々ベイラムはよほど憎まれているらしい。
……だが、その黒い激情に飲み込まれる
というのは感心出来るものではないな。
せっかく穏便に交渉を終えるのを、邪魔
するつもりかな?」
だが、ハナコはナイルの言葉にケタケタと
笑って返答した。
ハナコ「穏便……?それは、あなたたちに
とってですかぁ???
うふふふふふふふ! さすがはゴミ山の副将
です♪
あなたのお話には反吐が出そうです♪
………交渉を終える前に、あなたの真意と
お話の真実性を確かめさせていただくぐらい
そうお時間はかかりませんよね?」
ナイル「……………」
スッ
ナイル「なに……?」
五花海「なぁ!!??」
不気味に笑みを浮かべ続けるハナコは、
五花海の小指を手に持つと---
ボキン!!
五花海「うぎぃ!!??」
小指の第二関節を、逆側に折り曲げた。
ハナコ「うっふふふふふふふ♪
いい顔ですねぇ♪♪♪
そんな顔をされると、もっともっと痛めつけて
やりたくなります♪♪♪」
先生「ハ、ハナコ!?」
シロコ「……さっきまでの一連の流れを見て
なかったの? このクズをいくら痛めつけた
ところで、血の凍った連中には無意味だよ。」
ハナコ「そうでしょうか?少なくとも、No.2さん
の今の顔を見れば、私は幸福感を感じられます
けれどね?」
先生「え……?」
シロコ「あ………」
ハナコに促され、見たナイルの、仏頂面だった
顔がー---
ナイル「ぬぅ………………」
苦渋を滲んだ顔となっていた。
621*形勢逆転だな。助け舟をだして
やったのか? ウォルター。*
ウォルター*あぁ。*
621*あんたまで情に絆されたか?*
ウォルター*かもしれないな…。いずれにせよ
あのハナコという少女には、内に持つ憎しみを
少しは吐き出させてやるべきだ。*
621*……つくづくあんたは甘いな。*
ウォルター*………………*
ハナコ「ふふふふふ♪あはははははは♪
それです!それです!!それが私は
見たかったんですよ〜♪♪♪
ベイラムの、2番目のお偉方さんの
苦しそうな顔を見れるのは、とぉーっても
胸が軽くなりますねぇ〜〜〜♪♪♪」
ニタニタ笑いながらハナコは狂喜の表情で
愉快そうに話す。
その光景に、私は背筋に冷たいものを
感じつつも、状況を分析する。
……だが分からない。痛めつけても、煽っても
表情ひとつ変わらなかった男の顔が、指を
折られたぐらいで何故いきなり……
ハナコ「うっふふ〜♪♪♪
こうした方があなたの顔はもっと歪んで
くれますかね〜???」スッ
そう言って、ハナコは逆側の五花海の薬指を
両の手で掴む。
ナイル「っっっ!!!!」
五花海「まっまさかぁ!!??」
その時、ナイルも、五花海の反応も、
明らかに今までとは違う、狼狽した
反応を見せた。
ホシノ「う、うへ?」
リン「どうしたことでしょうか……?」
ハナコ「あはははははは!!!!
いいですねぇ〜♪♪♪ 写真に撮って
額縁に飾りたいくらいです〜♪♪♪
では、もぉ〜〜〜っといい表情を見せて
くださいね♪♪♪」
五花海「やっ!!!やめ!!!やめろおおおおお
おおおおおおおお!!!!」ジタバタ
ギチイイイイ!ギチギチギチ!!!
五花海「あぎゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ハナコは、一気に摘んだ薬指を両の手を
使って捻り、見るも無惨な捻れ指を
完成させた。
五花海「あああぁぁぁぁぁぁ!!!
くそっ!くそっ!!この女があああ
ぁぁぁぁ!!!」
なんだ……?本当にどういうことだ?
さっきだって、この五花海はホシノと
シロコに無惨に肩を抉られていった。
その時も焦りを見せていたが、今ほどじゃ
ない。
肩を抉られれば、肩が上がらなくなるなどの
後遺症は考えられるが、今回は、指だ。
もちろん軽くはないが、せいぜい指1本
動かなくなる程度。肩が上がらなくなる
ほどの重症ではない。
なのに、今回の五花海は焦りようと悲痛ぶりは
肩を抉られた時とは比べようもない。
ナイル「チィ………!」ギリ
敵の副官、ナイルもだ。
もはや先ほどまでのポーカーフェイスは
面影すらない。
苦虫を噛み潰したような険しい表情を
している。
グイッ
五花海「ひっ!!!」
ハナコ「何ですか?お前は、トリニティの
皆さんの未来も命も奪ったじゃないですか?
『自分の人生が潰えそう』だからって、
泣き言を叫ぶのは虫が良すぎませんか???」
目を爛々と憎悪の黒い炎で灯しながら、
今度は完全に表情の失った顔で五花海に
圧力をかけていた。
だが……… 何だ?この男の人生が潰える
とは……?
ガシッ!
五花海「ひいいぃぃぃぃ!!!!」
目を黒く染め上げ、ハナコは五花海の右手の
指を全て掴み上げる。
ハナコ「今、すぐに、『お前の人生を終了』させて
やろうか???」ギチギチ!
五花海「や!やめろ!!やめろ!!!!!」
ナイル「やめろ」
そこに、力強い声でナイルがハナコに
静止をかける。
ハナコ「……………ふうううぅぅぅぅ」
パッ!
すると深呼吸した後、ハナコは五花海の
指から手を離した。
五花海「はぁ!はぁ!」ガタガタ
ハナコ「ようやく、まともに商談に臨む気に
なりましたかね?」
ナイル「ふふ…商談、か。嫌な言い回しを
してくれるものだ。
………まぁ、そちらに【物好きな傭兵】が
いると分かっただけでも、収穫としようか。」
シロコ「?????」
ホシノ「?????」
リン「?????」
疑問符が、たくさん浮かび上がる。
完全に、ハナコとナイルの2人だけの世界だ。
それに、物好きな傭兵だって……!?
ロニーの事だろうが、ロニーは一言も
しゃべっては……
チャティ:すまなかったな。助け舟を出せて
やれなくて。だが、俺がしゃべっていれば
この男は手段を変えていただろうからな。:
先生「あ、ロニー!」
シロコ「どういうことなのか、ちゃんと
説明してほしいっ!」
チャティ:あぁ、まず大前提として
この男としても、【無事に熟練のACパイロット
が返ってくるなら、喉から手が出るほど
返してほしい】っていうのが実情だ。
散々【規律違反をした無能】だとか
揶揄していたがな、腐ってもこの男は
ベイラムの誇る精鋭部隊、【レッドガンの
番号付きエースパイロット】だ。
この男も言ってたが、そもそもとして
ACのパイロットの確保というだけでも
難題だし、そいつを育成するのもAC
1体作るのなんて比べられんコストが
かかる。育成途中で任務で死亡、なんて
ざらにあるからな。
そうなりゃかけたコストはパァだ。
そんな中で精鋭部隊ともなれるほどの
ACパイロットはそれだけで【無能】
じゃねえ。
超も超も何個もつく貴重財産だ。
だから、さっきの銀烏のACも言ってたように
熟練のACパイロットは【殺して戦力を削ぐ】
のが常識だ。
そんなエースパイロット様を敵が返してやる
って提案しているんだ。
そんな企業にとっては超も超も超貴重な人材を
軍の都合で無能だから要らんと言ってみすみす
潰したら、それこそこのナイルがベイラム本社
から懲罰を与えられる、愚行中の愚行に
違いないはずだ。:
先生「……え、いやでも」
ホシノ「このナイルは、このクズを傷ついた
ところを見ても、傷つけても、眉ひとつ
動かさなかったよ!?」
チャティ:それは、お前たちが傷つけた場所が
悪かったのと、1番の理由はお前たちが【無知】
だと思ったからだ。:
ホシノ「ふぇ、む…ち……?」
先生「!!!!!!」
チャティ:まぁ、当たり前の話だな。MTやらAC
やら、俺たちの世界の事なんて、昨日今日降って
来たんだからな。俺たちの世界の常識さえも
キヴォトス側が【知っているわけがない。】
だから、お勉強に傷つけた場所が悪いって
事から話していくが……
まず、俺たちの世界の医療で治らない
怪我も病気もほぼ存在していない。
まぁ、声を戻すのは無理などの例外も
あるし、千切れた腕や足を生やすことも
失った内臓を元に戻す事も無理だ。
だが、高精度な義肢や人工内臓で、
痛覚も、触覚も、ほとんど生身と変わらず
機能させる事が出来る技術力がある。
その後のメンテもほぼ不要だから
ほぼほぼ人体の再生と変わりないな。
つまり、肩が抉られたり、殴られて
内臓が欠損しようが、高度な医療技術で
1日もあれば【ほぼ元通り】なんだよ。:
シロコ「……え?じゃ、じゃあ、なおさら
どんなに傷つけても意味なくない…?」
チャティ:……言っただろう、【ほぼ、ほとんど】
だと。……9割は、99%は元に戻るし、
それだけ戻れば、【腕や脚】ならACの操作に
大きな問題はない。:
ホシノ「腕や、脚……なら?」
チャティ:だが、【指】は話が変わってくる。
もちろん、指も9割、99%、元には戻る。
……だが、ACの操縦において、【指】は
重要器官であり、最も繊細な操作が求められる
部分だ。【1割】や【1%】も許されない。
【完璧】で、【100%】のな。
そうなってくると、治すハードルは跳ね上がる。
当然義指なんて論外だ。つまり、怪我の具合に
よっては完璧に治す事は不可能になってくる。
そうなれば、そいつのACパイロットとしての
命は終わりだ。
だが、ハードルは上がると言っても完璧に
治せない事もほとんどの場合ではない。
指を千切られん限りはな。
だが、100%に戻すにはそれだけのコストも
時間もかかる。
怪我の状態がひどけりゃなおさらだ。
だから、ナイルという副官は肩が抉れていても
ひどく殴られていようと焦るそぶりを
見せなかったし、ハナコが指に手を出したら
掌を返すように汗水流し始めたってわけだ。:
ホシノ「な、なるほどぉ…」
先生「その事を、私たちがナイルと話している
間に、ハナコはロニーから聞いたってわけだね。」
ハナコ「はい。」
チャティ:ハナコにも話した事だが、よく覚えとけ。
ACパイロットを交渉材料として、相手を脅すなら
【指】だ。
目や口なら使い物にならなくなった時点で
そこでそいつの価値は無くなってしまうし、
腕や脚なら多少傷つけてもすぐに元に
戻せるから交渉にならん。
【指】は傷の具合によって、治す費用も
時間もかかる。
交渉にはうってつけの部位だ。:
先生「そうか…… だから、私たちは
【その無知】を突かれた…」
ハナコ「ACパイロットがどれほど貴重な
存在か、先生たちが傷つけられれば困る
箇所を知らなかった、その点を初めから
ナイルが理解していた点で、ナイルの
交渉の狙いを推察しますと……
まず初めに、先生がナギサさんを解放しろと
要求してきた時点でナイルはまずは【作戦を
練る】時間を稼いだ。のらりくらりと
要領を得ない返答をしていたのがその証拠です。
考えていたのは【誰が五花海を撃破したのか?】
【その者は今そこにいるのか?】
もしいれば、そちらとの交渉のやり方を
教えられている可能性がありましたからね。
そして、先生やホシノさんの対応を見て、
【五花海を倒した者はその場にいない】と
判断した。
先ほどの知識を知っているなら、先生やホシノ
さんはとっくにクズの指に手をかけて脅しに
入っていたはずですからね。
そこで、あなたは【私たちにこちらの世界の
事情を知らない。】【先生にとって、人質
たちの安全は何よりも重要】と再認識した
時点で、交渉を打ち切る態度に出て、【本題】に
移るように誘導した。
わざわざ「捕虜たちの拷問を止めろ。」と
言ったのも誠意などではなく、【こちらの
怒りを誘うため】。
交渉本題に入った後、「命ひとつに対して
数千の命の引き換えは釣り合わないの
ではないか」と発言したのは、後の
発言の布石ですかね。ついでにホシノさん
が噛み付いてきたので、足蹴とばかりに
さらにホシノさんたちの怒りを誘う発言で
返した。」
先生「つまり……ナイルはあえて私たちの
怒りを誘うような発言ばかりをしていた
ということ?」
シロコ「でも…そんなことして何の意味が」
ハナコ「大アリですよ。シロコさん。
確か、大昔の兵法の一節に記されていましたが
「怒らせて、これを乱し」……つまり、あえて
敵を怒らせることによって、冷静な判断を
奪い、主導権を握れ、という意味です。
まさにこの男、ナイルがやろうとしていた
事です。
事実、先生たちはナイルに憎しみを募らせる
ばかりで、【ナイルの狙い】について、熟慮
する事ができましたか?」
ホシノ「…………」
ハナコ「続けます。あなたは、今までの自らの
態度をも交渉に用いてきた。
先生たちのあなたに対するあなたの五花海への無関心
の印象を利用して、あくまで先生たちに「五花海
の身柄はベイラムにとってそれほど重要では
ない。」と刷り込ませようとした。
そして、最後の先生の「ベイラムにとって
キヴォトスの捕虜たちは今や無価値だ。」
という質問がされることもあなたは想定
していた。
そこであなたが返答した「命ひとつに対して
命数千は釣り合わない」という【布石】に
意味が持ちます。」
先生「……?」
シロコ「んぅ…?」
ホシノ「???」
リン「え?え???」
アオイ「ご、ごめんなさい。全く意味が
分からないのだけれど……」
ハナコ「…では皆さん、先ほどの言葉を
発した時、ナイルの事をどう思いましたか?」
アオイ「え、どうって……?」
ハナコ「はっきりと意識は出来ていないとは
思います。【
至極当たり前のことですから。
ですが、無意識下でもナイルには【命に対する
倫理観は持っている】と感じられたと思います。」
シロコ「ん、まぁ、それは…」
ホシノ「そう、だけど……?」
リン「え〜っと、要領を、得ないように
感じられますが…?」
ハナコ「その上で、そう、私たちに【ナイルには
命の倫理観はある】と植え付けた上で
ナイルは【捕らえた罪のない善良なキヴォトスの
人間たちを奴隷か材料として売り飛ばす】と
発言したのです。」
先生「!!!!ま、さか…!!」
シロコ「……え?」
先生「全て、計算していたって言うのか…!?」
リン「っっっ!!!!!」ぞくっ!
ハナコ「その通りです。当然、【命の尊さの
倫理観は持っているというのに、我欲で捕らえた
罪のない人々を平気で売り飛ばせると
いうのか?】と先生たちは強く憤り、憎しみを
抱くと同時に………
【仲間の呻きに顔色ひとつ変えない、
命の倫理観は持っていながら、平気で善良な
人を売り飛ばせる、まさに血の凍った人間】
と言うイメージを持たせ、
【重大な失態を犯した者など、例え貴重で
あっても労して取り返すほどでもない。】
という言葉に現実味を持たせます。
とどめに、ナイルに対して大きな【怒りと
憎悪】を持たせ、熟慮する思考力も
奪われています。
そんな先生たちが抱くのは……
【囚われたみんなが戻ってこないかもしれない】
という危機感です。
実際に先生たちはその状態に陥り、完全に
【ナイルの思惑通り】となってくれた。
そう、【普通ならば論外である要求を通せる】
状態です。」
アオイ「ぁ……う……」タラリ
ハナコ「そうやって、正常な思考も状態も
奪った先生たちに、【自らの要求】という
蜘蛛の糸を垂らし、この男は【鹵獲されるのが
普通であるACの回収】と、あわよくば
【キヴォトスの情報】も手に入れようと
していた。
ここも上手いですね。最初に【機密事項の
提供】という無理難題を却下されることを
前提に提示してから、本命の【ACの回収】
を要求する。
大きな要求を提示してから本命の小さな
要求を提示して、相手に飲ませる。
交渉の常套手段ですね。
正直、【キヴォトスの情報の提供】を
飲んでくれた事も、ナイルにとっては
棚からぼたもちだったと思います。」
シロコ「あ、ぶな、かった……って
ことだよね……?」タラタラ
チャティ:あぁ。ただでさえ兵力で負けて
いるのに、手札でも圧倒的に優位に
立っておきながら、相手に危うく
こちらの情報をプレゼントしてしまう
大間抜けをしてしまうところだった
わけだ。:
ホシノ「なに、それ…… これじゃあ
おじさんたちは本当にこの男の
掌で転がされる赤子じゃないか…」タラタラ
アオイ「こんな……短時間で………
ここまで読んで自分に有利なように
交渉を持っていったなんて……」タラタラ
リン「流石は、大企業の誇る軍のNo.2、
というわけですか…… なんて、男なの…!?
G2、ナイル…!!」タラタラ
先生「う、ん………!」タラタラ
本当に……なんて男だ……!
リンちゃんだって、アオイだって、そして
ホシノも…… キヴォトスでは頭が切れる
優秀な策士だって言うのに…!!
私共々完全に手玉に取られてしまうとは…!
キヴォトスで、1、2を十分争えるレベルの
ハナコで、ようやく対等だというのか…
ナイル「ふふふふ… まだ少女の歳で
ここまで私の考えを当てられるとはな。
どうやらキヴォトスにも、油断ならない
策謀家がいるようだ。」
ナイルのその言葉に、ハナコは憎々しげに
ふん、と鼻を鳴らす。
ハナコ「ふふ、嫌味がお上手ですね。
本来なら、私だってあなたの掌に転がされて
いたと言うのに。
私がここまでの推察が出来たのは、
ロニーさんが知恵を与えてくれた他に
なりません。」
先生「……え、そう、なのかい…?」
私のその問いかけに、ハナコは表情を
落とす。
ハナコ「はい…。ロニーさんが、【指を人質に
しなければ脅しにならない】と教えてくださら
なければ、今頃私もこの男に憎しみと危機感を
植え付けられ、いいなりにされた哀れな少女の
1人になっていたでしょうね……」
先生「……そう、か…………」
………ということはだ、このナイルはハナコ
でさえ相手になれない知略の持ち主という
事になる……。
………正直、絶望色はさらに深まったと思える。
力で大きく劣るなら、せめて知力で、とも考えて
いたのだが…… 結果は完全なる無様な惨敗だ。
知でも、敵の方が大きく上回って
ナイル「こちらとしては素直に称賛している
のだがな。そちらも素直に賛美を受け取ったら
どうだ?」
ハナコ「……いい加減にしてもらえます?
そんな皮肉を言われても憎々しくて仕方が…
チャティ:いいや、俺もこの男と同意見だ。
むしろ知力においてはお前はこの男、ナイルを
上回っているように思えるほどだ。:
ハナコ「え…… や、やめてください。ロニー
さんまでそのような冗談は…
チャティ:冗談で言ってねえ。そもそもだ。
手札ではこちらが圧倒的に有利とは
言ったが、情報戦においてはお前たちが
圧倒的に不利な盤面だ。
そもそも、情報の土台が完全に【敵側】の
上だ。
交渉するにはまずは敵の懐を知っていないと
いけないのは常識だが、お前たちは敵の
懐を全く知らない、そして敵側はこちらの
懐をある程度知ってはいる。
こんなもん勝負にもならなくて当然だ。:
ハナコ「……………」
チャティ:だがお前は、【ACパイロットの
生命線は指だ】というたった一つの情報を
与えただけで、取るべき最適な行動を
行い、その上で副将のナイルの頭の中を
ほぼ完全に言い当てたわけだ。
俺の常識に則れば、こんなもん異常の中の
異常だぞ?
俺の考えに間違いなければナイルさんの心は
今頃お前、ハナコへの知力に対する危機感で
冷や汗でタラタラかと思うんだが…
当たっているか?:
ナイル「……ふっふっ…その通りだ。私も
全くその娘は「少々おかしくはないか?」と
戦慄しているところだ。
誰もが同じ評価を下すだろう。
……少なくとも、今の私の頭ではハナコという
少女は優先して排除すべき知将として議題に
あげる事が決定しているほどだな。」
621*だろうな。正直、あんたを除けば
どんな参謀よりもここまで頭がキレる奴は
見た事もない。
俺も正直ハナコって女は殺しておきたい
ほどアラームが鳴っているな。*
ウォルター*いや…… 俺のことを買い被り
すぎだ、621。
だが、確かにこの少女は危険すぎる。
これほどとはな………
ハナコという少女も『明日』排除すべき
対象として計画を立てよう。*
ハナコ「も、もうっ!おだてても何も
出ませんよ!//」プイッ
先生「ふふ……」
ハナコは照れて顔を逸らしてしまったが、
ロニーも、ナイルも、おそらく嘘偽りなく
本心からの言葉なのだろう。
私の生徒が強者から素直に賞賛の言葉を
かけられる。
不謹慎かもしれないが、私はどこか嬉しさで
満たされている。
ナイル「こちらもお前に言いたいことがある。
ロニーと呼ばれていたかな? どうやら
お前はキヴォトス側の味方をしているようだが…
『あえて弱者につくのは何だ?感傷か?』」
621*……まずいな。*
ウォルター*?どうした?*
チャティ:あぁ、その通りだ。俺はあんたらや
他の独立傭兵どものように侵略に手を貸す
なんざまっぴらだし、侵略にさらされる
人たちの助けになるって決めたんでな。
所属もある。【キヴォトス防衛委員会.
アビドス総司令部.副司令】だ。:
621*……なんだ?チャティの奴、
お遊戯会やらで決めたっていう
おままごとが気に入ったってのか?*
ウォルター*そう言ってやるな、621。
キヴォトスの人間にとって、レジスタンスの
存在というものは心の拠り所となる。*
621*あいつは【こっち側】だろうがよ…。
チッ、本当機械と思えねえぜ。*
ひょこっ!
シロコ「その通りっ!今日このアビドスで
立ち上げた、お前たち侵略者への対抗組織っ!
私も、キヴォトス防衛委員会、アビドス
総司令部に所属しているっ!!」
ホシノ「うへ〜、おじさん…いや、私もだよ。
お前たちには、この地から、この星から
退去してもらうよ。」
セリカ「あっ!!い、今まで場違いと思って
会話に入れなかったけど!それは私にも
名乗らせて!!
あんたがベイラムの副リーダーねっ!!
私もキヴォトス防衛委員会、アビドス
総司令部に所属してる[黒見セリカ]よっ!!
あんたのリーダーにも伝えておきなさいっ!!
私たち、キヴォトス防衛委員会がっ!!
あんたたちベイラムを残らずこのキヴォトス
から叩き出してやるから、覚悟しておきなさい!
ってね!!!」
ノノミ「私も同じ所属です。キヴォトス防衛
委員会は、あなたたち侵略者を許しは
しません!」
アヤネ「あっ、えーっとぉぉぉ……わ、私も!
キヴォトス防衛委員会アビドス総司令部ですっ!
あ、あなたたち!許しません!!!」あたふた
リン「……ふふ。総司令部に一自治区の
名前をつけるのはいかがと思いますが、
まぁ、それは追々としまして…
今しがた、入会させていただきました、
連邦生徒会改め、キヴォトス防衛委員会の
[七神リン]と申します。
私たち、キヴォトスはお前たちベイラムも、
アーキバスも、その存在を許しません。
この地から…いいえ、この星から出ていって
いただきます。」
アオイ「同じく、今キヴォトス防衛委員会に
入会させてもらった扇喜アオイよ。
G2、ナイルさん。あなたがたのリーダーにも
お伝えお願いするわ。
痛い目を見ない内に、ここから退去しなさい。
さもなくば、キヴォトスに手を出したことを
後悔させるわよ、ってね。」
ハナコ「うふふ……では、私はキヴォトス防衛
委員会の作戦立案係と名乗りましょうか。
あなたたち、ベイラムには必ず痛い目を見て
いただきますから、覚悟してもらいます。」
……何だか、この場にいるみんなの士気が
上がってきているね。
この空気の中、私だけ名乗らないのは
場の空気を読めなさすぎるよね。
そして、目の前の副官、ナイルにはっきりと
告げてやる。
先生「……そして、私がキヴォトス防衛委員会、
総司令にして、総司令部の顧問を務める、
【シャーレの先生】だ。
ナイル。お前の上司にもはっきりと伝えてくれ。
キヴォトスは、キヴォトス防衛委員会は、
お前たちベイラムと、アーキバスを、この地から
追い出すために設立されたレジスタンス組織だ。
キヴォトス防衛委員会がある限り、お前たちは
このキヴォトスで暴挙を働くことは決して
出来ない!
必ず!!お前たち星外企業を!!このキヴォトス
から追い出してやるから!首を洗って待って
いろ!!!」
私の宣言で締め括った言葉を受け、ナイルは
どこか嬉しそうに、クツクツと笑う。
そして、力強く笑みを浮かべて、ナイルは
私たちに言葉を返した。
ナイル「ふっふっふっふっふっ……!!
なるほど、キヴォトス防衛委員会、か。
これは油断ならない組織が出来たものだ。
また新たに議題に上げるべき事柄が増えた
ものだな…
いいだろう…!貴様ら、キヴォトス防衛
委員会は、ベイラムの総力を持って、叩き
潰してやろう!
そして、しっかりと伝えてやろう!
お前たちの【ベイラムへの宣戦布告】を!
ミシガンにもな。」
………………………………
ナイル「……さて、決意表明はもういいだろう。
そろそろ実のある、本当の商談を始めようか。
キヴォトス防衛委員会?」
ーー----------------
〜〜16:15 ベイラム総合軍事施設〜〜
[尋問部屋]
ナイル「……ふぅ。」ピピ
ナイル「こちらナイルだ。話したとおりだ。
捕らえた捕虜全員と、800万COAMを
準備して、輸送ヘリに乗せろ。
引き渡しはG6が担当する。30分後に出発だ。
それまでに済ませておけ。以上!」
プツッ
ナイル「……本当にいいのか?レッド。」
レッド「はい。」
ナイル「……危険な役目だ。死ぬかもしれん。
お前はまだ若い。他の奴に担当させたって…」
レッド「望むところです。むしろ私を行かせて
いただきたく存じます。
私は、ベイラムを裏切る重大な違反行為を
犯しました。
その愚行を注ぐ機会を恵んでいただきたいです。」
ナイル「……その愚行は、ベイラムに弓引いた
愚か者どもをお前自ら裁いたことによって
十分洗われた。ミシガンからも赦しを貰った
だろう。無理をすることは……」
バッ!
レッド「お願いします…!ナイル副長!!
私に…私に…!どうか、どうか行かせて
いただきたく……!!」
ナイル「………………」ふううぅぅぅ…
ナイル「……そこまでの決意ならば………
もう何も言うまい。レッドガンとして、
恥ずべからず、確実な遂行を期待する。」
レッド「ありがとうございます!!」
ツカツカツカツカ
シュルシュル
レッド「と、言うことだ。ナギサ嬢、早く輸送
ヘリに向かってもらうぞ。」
ナギサ「………………」ギロリ スクッ
ナイル「うちの若輩を睨みつけるのは
結構だが… 君の行動は謹んで行って
もらいたい。
今でも君の命どころか、捕虜たち全員の
命は、未だに我々ベイラムが握っていることを
忘れないでいただきたい。
もし、君がレッドに危害を出す素振りでも
見せれば…
まぁ、聡明なナギサ嬢には皆まで言わずとも
分かっているだろう。」
ナギサ「………………」
ナイル「早く行きたまえ。君を案ずる者たちを
あまり待たせるものではない。」
ナギサ「………………」スッ
ナイル「レッド、見目麗しくも、トリニティの
お偉方だ。粗相のないよう、しっかりと
エスコートしてやれ。」
レッド「はっ!……さぁ、こっちだ。」
ナギサ「………………」スタスタ
ナイル「ふぅ……、さて、後は『G7』だな…」
ガチャ
ナイル「……どうした?忘れも…の………
って、お前は………
………………………………………
………………は?しょ、正気か?
さすがにそれは笑えん…ぞ…って!!
お、おい!!待て!!本気か!!!
全く!!お前はどうしていつもいつも
そう突拍子のないことを……
あぁもう!待て!!俺も行く---
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感想の返信で、「ウォルターと621は五花海
消しておきたい」とは書きましたけど……
生きて、しまいましたねぇ…ドブカス。
これは完全にご都合主義って奴ですねえ。
一つは、囚われたナギサ嬢を合流させたい
って言うのと、
一つは今回のナイルとの交渉舌戦を繰り広げ
たかったのと
これが最も重要なのですが……
次回の『女子会』をやりたいんですよねぇ〜。
そう言う意味でもろもろ五花海生存ルートが
都合が良かったんですよねぇ。
まぁ、作者はひっじょおおおおぉぉぉぉに!
不服なのですがっ
そして、まぁある意味当然なのですが、ハナコが
ベイラムにも、ウォルター陣営にも、明確に
排除対象に入っちまいやしたねぇ〜〜〜
ハナコって、頭良すぎてAC6陣営にも割と洒落に
ならん被害をもたらしかねん傑物なので、
当然っちゃ当然だわな!
後、もっとクソどうでもいいかもしれない
ですが、ナイルさんの『あえて弱者につくのは
何だ?感傷か?』というのは貴重なナイルさんの
原作でも発言している台詞です。