今回は我が推し登場回になってます。イェア!
霧隠れからの使者の二人が木ノ葉隠れの里に到着して早四日。
青いドレスのような扇情的な着物を纏った茶髪の美女と、眼光鋭い霧隠れの鬼人の二人は今現在、火影邸内にある部屋を二つ、隣り合わせで借りて生活をしている。
火影邸……とはいうものの、実のところ現火影である波風ミナトはその屋敷では暮らしていない。
彼は彼が建てた小さな家で今も幼い息子と、通いのお手伝いさんだけで暮らしている。
そこに息子の母たる最愛の女性はいない。彼女はあの九尾事件以来病院で眠ったままだ。
ずっと昏々と眠り続ける彼女はまるで童話の眠り姫のようだ。それでも、いつか目覚めてくれると信じて、ミナトは火影邸に移ることもせず、妻クシナと選んだ小さな家での暮らしを続けていた。
それは数少ない波風ミナトの私人としての我が儘であったといえよう。
だから、現在火影邸には主となるべき火影は住んでいない。
それでも広さだけは無駄にあるし、里の顔でもあるので手入れだけは欠かしていない。そこに霧隠れからの客人の二人を泊めるのは、持て成しているんだという歓迎の意を示す意味もあるし……監視の目が行き届きやすい、というのもある。
来月12月1日に、湯の国で行われる予定の火の国大名と水の国大名の会談。
これが上手くいけば、次は本格的に木ノ葉隠れの里と霧隠れの里の同盟へ向けて話が進む予定となっているが、予定はあくまでも予定。今のところはそれまでの歴史もあり、この二つの隠里が所属する火の国と水の国はいまだ仮想敵国同士のままなのである。
だからこそ、霧隠れの里から来たこの使者の二人は国賓であり、同時に同盟が実際に為るまでの間、霧が木ノ葉を裏切らないことを保証するための人質でもあるのだ。
……まあ、尤も霧隠れは人質交換に応じないことで有名な隠里であったから、どこまでその人質が効力を発揮するかは怪しいと思われていたりもするのだが。
しかし、四代目水影となった男は三代目水影が築き上げた血霧の里という評判から脱却を図っているようだし、他里のこと故無条件で信用したりもせず万が一裏切られた場合の次善の策は欠かせないが、それでも初代の頃から脈々と受け継がれている思想……火の意思を継ぐ者として、四代目火影波風ミナトは出来るだけ霧隠れと当代水影の事を信じたいとそう思っている。
初代火影千手柱間は子供達を犠牲にしない世の中を望み、当時長年の宿敵であったうちはマダラと結び、世界初の忍び里を作り上げた。その根底にあるのは平和への思想。長年の宿敵相手であろうと、人々はいつかわかり合える日が来ると、そんな思いを託し託されここまできた。
無条件に信じればいいわけではない、この肩にはこの里の全ての人の命がかかっているので、火影たるミナトが誤った判断をすれば多くの犠牲を招くことになる。
それでも、和平を望んで手を伸ばしてきた者があれば、それを信じたい。
全てを疑い、拒絶していたら争いなど終わらない。
だから、信じること。それが火影の名を背負った者の責務だとそう思っている。
故に霧隠れから送られてきた使者の二人の事も尊重する。
また、木ノ葉隠れのことを知ってもらうために、使者の二人には暗部の監視の目がつくことを条件にある程度里を自由に見て回る許可も与えた。
流石に機密に近い場所の出入りに関しては許可は出せないし、まだ同盟が正式に結ばれていない現状においては、仮想敵国たる霧隠れの忍びが里内に堂々と滞在しているというのは、里人の感情を思えばよろしくはない。
そのため、里内を出歩くときは霧隠れの額宛は念のため外しておいて欲しいと要求を出し、使者の代表たる女は快諾した。その護衛を名乗る霧隠れの鬼人……血の卒業式を作り上げたあの桃地再不斬はそもそも口を挟む気がないのか、酷くどうでもよさそうな態度であった。
「…………もう11月なのに、木ノ葉隠れは随分と暖かいのね……」
窓から差す日の光を受けながら、長身の美女はポツリと滞在先の部屋で独り言を零す。
ここが故郷の霧隠れの里であったなら、そろそろ雪が降り始める季節だ。
空も曇天が多く、陰鬱な空気が漂う。それが女の故郷である水の国だ。
対し、ここ火の国木ノ葉隠れの里はどうか。
日差しは暖かく、木々には紅葉の赤と銀杏の黄が深緑に美しいコントラストを与えている。
森の千手一族千手柱間からはじまったからか、否、元々火の国の気候風土がそういうものだからか、豊かな森と温暖な気候は、彼女の故郷の寒々しさとはまるで対極だ。
そんな事に思いを馳せていると、コンコンとノックの音が響き、使者の女は「どうぞ」と柔らかな声で入室の許可を出した。
「失礼します」
折り目正しくスッと膝を折り、静かな声と佇まいで入室してきたのは、齢10歳になるかならないかくらいに見える一人の少年だった。
サラリとした癖の無いストレートの長い黒髪を赤い紐で首の後ろで一つに結わえ、木ノ葉の額宛を額に巻いた、長い睫毛に彩られた凛とした切れ長の目に通った鼻筋の……幼くも可愛いというより美しいという表現のほうが似合いそうな容姿をした子供である。
気になる点といえば幼さに見合わず薄ら目の下に苦労皺のようなものが見られるくらいで、落ち着いた物腰に賢そうな顔つきをしており、控えめな態度の……中々将来有望そうな美少年だ。
「お茶をお持ちしました」
「そう、ありがとう……坊や」
「いえ……」
女からの労いの言葉に少年は控えめな笑みを返して、それから優美な手つきで急須からコポコポと湯飲みへと茶を注ぐ。漂う香りと匂いからすると番茶のようだ。
用意された湯飲みは二つ。
一つには一口分のほんの少量を注ぎ、残りの湯飲みには六割を注ぐ。
そうして、最初に注いだ一口分の茶だけ入った湯飲みを「失礼」と断りを入れてから少年はくいと飲み干し、どうぞ、と丁度良い温度に入れられたもう一つの湯飲みをことりと使者である女の前に置いた。
無礼を咎められる可能性もあっただろうに、わざわざ目の前で自分の分の茶も注ぎ、客人より先に口をつけた理由は明白だ。
少年は毒味をしたのだ。
ほぼ敵地にいる使者の女性に、毒は入っていないから安心して飲んでくれと行動で示した。
(随分と、気のつく子だこと)
用意された番茶に口をつけながら、感心したように空色の瞳をした長身の女は思った。
黒髪の少年は背も小さく、幼さを多分に残した体つきから見ても年齢は10歳になるかならないかくらいだろうが、額宛を巻いている事からアカデミー生ではなく、正規の忍びなんだろう。
木ノ葉隠れの里の
この幼さでここに派遣されたことといい、おそらく将来を期待されている存在と見た。実際その立ち振る舞いも、気配の消し方も堂に入っており、大人に比べても遜色がない。否、下手な大人よりも優れている。
ただ、この年齢の子供が一人で活動するとも思えない。木ノ葉隠れの里の上忍師システムを思えば、あと二人の子供と担当上忍が側にいてもおかしくないはずだが……。
(怖がられているのかしらね……)
気配を探れば少し離れたところにあとの三人分の気配があった。
チラリと女は再び少年に視線を飛ばす。
少年は背筋をピンと伸ばし、従者宜しく控えめな態度で佇んでいる。用があればすぐに応えられるよう控えていることといい、使者の接待、世話係となることが今日の彼に与えられた任務なのかもしれない。実力も優れている自分より年長の美女の視線にも気後れすることもなく、己が職務に徹している姿は彼女にはとても好ましく映った。
「ねえ坊や……少し、お姉さんに付き合ってくれないかしら?」
茶目っ気たっぷりに、長い茶髪の華やかな美貌を持つ使者の女が微笑む。
それに少年はパチリと黒い瞳を瞬かせた。
* * *
「ふう」
あれから世話係として派遣されたのだろう少年を連れて、霧隠れの使者たる女は木ノ葉隠れの里をゆっくりと歩いて回った。
四代目火影に言われていた通り、霧隠れの額宛は身につけていない為、あくまでも表向きは一般人としてだ。とはいえ、遠巻きには監視役である暗部の忍びもついていたし、気配を断った状態で護衛役を自認するあの少年もまたついてきてはいたのだが、それでもそれらの気配に目を瞑ればつかの間の自由である。
時々、「あれはなにかしら」とお付きの少年に尋ねると「金物屋です」など律儀に真面目に答えるものだからなんだかおかしくて、少しリラックスをさせようと思って団子屋で休憩に誘うと、一瞬だけ瞳を嬉しそうに揺らして、続けて「任務中ですのでお気持ちだけいただいておきます」と子供らしからぬ台詞で丁寧に固辞してくるものだから、「私のお茶に付き合うのも今日のアナタのお仕事です」そう押し切って、団子を口の中に放り込んだ。すると、吃驚したように目を見開いて、モグモグとそのまま口に突っ込まれた団子を咀嚼してゴクンと飲み込むのが、なんだか小動物みたいで可愛かった。
「……ありがとうございます」
あまり感情が表に出るタイプではないようだが、少し瞳を緩ませながらそう礼を言葉を告げる時の柔らかさを考えるに、もしかしたら甘いものが好きだったのかも知れない。
そうやってこの里に暮らす人々の声ややりとりを目や耳で感じながら歩いてまわり、最後に霧隠れの使者の女と接待役の少年の二人は火影岩の上へと辿り着く。
絶景、といっていいのだろう。ここからは木ノ葉隠れの里の全容がよく見える。
本当は余所の隠里のくノ一である己に見せて良い風景ではないだろうに、この少年も監視役の暗部もここに来るのを止めなかったあたり、木ノ葉隠れの里はやはり噂通り甘いのだろう。
或いは信じているのだろうか。
……人を。
「……ここは、良い里ですね」
哀愁と羨望の滲む声で女が言う。
女、というが……メリハリのある出るところが出て引っ込んでいるところは引っ込んでいる抜群のプロポーションと、大人びている姿勢や態度で実年齢より上に見せているだけで、彼女はまだ弱冠17歳の……大人へと羽化途中の少女だ。
「火影様の人徳の賜物かしら……? 人々の目は未来への希望に満ちている。……羨ましいくらいだわ」
(まるで霧隠れとは大違いね……)
彼女は、三代目水影政権下の霧隠れで生まれ育った。
一言で言えば、彼女の生まれた時代は地獄だったといえる。
元々水の国では特殊な能力を持つ血継限界を嫌う土壌は出来ていたが、それを加速させたのが三代目水影だった男だ。彼は生まれた身分や血で明確に忍びの扱いを変えた。
霧隠れのアカデミーの卒業試験で生徒同士に殺し合いをさせることは他国にも有名であったが、実のところ全ての生徒がそういう扱いだったわけではない。殺し合いを卒業課題と課されていたのは戦忍が対象であり、頭脳労働職である暗号班へと進むエリート忍者にはそれは免除されていた。
そして彼女は差別される側の人間だった。
なにせ彼女は溶遁と沸遁の二つの血継限界を使えたのだから。いくら頭脳が明晰とはいえ、はじめから彼女に用意された道は戦忍として生きる道しかなかった。
故に彼女はアカデミー卒業試験で学友を殺し、忍びになり次第、死体処理班へと配属された。
何せ彼女の力を使えば死体は欠片も残らない。どんなイイ男も若いも老いも全て溶けて無くなるのだから。
……気が狂いそうな日々だった。
辛くないといったら嘘になる。それでもやるしかなかった。
四代目火影波風ミナトが己を知らなかったのも当然だ。彼女は半年前、あの人に見出されるまでずっと忍びの中でも暗いところで、表にならない任務だけを与えられていたのだから。
何人もの仲間の死体を見送ってきた。
仲間殺しの任務は、自分を失いやすい。皆、己が何者かわからなくなっていく。だけど、彼女はいずれ夜明けが来ると信じて耐え忍び続けた。その理由は……。
「……私見を述べても良いだろうか……?」
そんな物思いに耽っている女の耳に、そんな少年の声が届く。それに「どうぞ」と返して彼女は自分より大分年下の少年に向き合う。
「アナタは故郷を愛しているのだな」
「……」
これまでの敬語や丁寧な態度を取り払い、少年はおそらく彼の素だろう口調で女の目を真っ直ぐに見上げ、そんな言葉を口にした。思わず、彼女は少しだけ水色の瞳を細める。
(……愛)
どうだろうと大人びた少女は思う。
自分の故郷への感情は複雑だ。
憎しみがないとはいえない。それでも、彼女があの地獄でクソみたいな任務を与えられながら耐えてきた理由がなにかといわれたら、そんな場所でも自分の故郷だったからだ。いつか、正したいと思っていた。
自分のような想いをする人をもう出したくない。それが原動力だった。
きっとそれはあの鬼人と渾名された同級生も同じだ。
でも、なるほど言われてみれば、それを愛というのかもしれない。
「アナタの目は
……驚いた。
聡い子だとは思っていたが。ここで得た情報をどうすればこれからの霧隠れに活かせるのか、この里を歩き回りながらずっと自分が必死に頭を回していた事を悟られているなど思っていなかった。
「大人は子供を守り、子供はやがて大人になり、また次の子供を守る。人々の思いは繋がれ、託された意思は人々の中で生き続ける。いつか人々がわかりあえる世の中が来ると信じて……それを木ノ葉では火の意思という。そしてそれはアナタの中にもある。だが、アナタは木ノ葉の忍びではない。ならば、さしずめそれは水の意思、と呼ぶべきか……」
「貴方、私が何者か知っていたの……?」
「いや……」
そう言って黒髪の少年はゆるりと首を横に振る。
「アナタが何者かは聞かされていない。ただ、この里の賓客で、オレはその世話をするようにと申しつけられただけだ。だが、見ればわかる。貴方は霧隠れからの客人だろう」
「……そうね、正解よ」
「アナタが本当に故郷を変えたいと望むのなら、きっとそれは成し遂げられるだろう。そんな目をしている」
だから頑張れアナタなら出来ると、言葉より雄弁に少年の黒い眼が言う。
不思議な少年だった。
どう見ても子供なのに、酷く大人びているというか達観しているというか……人の心の奥底まで見透かして、その言葉はするりと染みこむ。だが、どうにもそれが嫌じゃ無いのだ。
(水の意思……か)
霧隠れの未来を憂い、その為に同胞と共に現水影を旗印にして立ち上がったのは半年前の事。
まだその成果は出せているとは言えない。それでも一歩ずつなら進んでいくことが出来る。願いに、理想に一歩ずつ。もう、自分と同じような想いを次代に味合わせたくない。あんな地獄は自分達の代だけで十分だ。未来に里に生まれる子供達を守りたい、その想いを水の意思と呼ぶのなら、成程、確かにそれは自分の中に強く息づいている。
「ふ、アハハハ」
なんだかおかしくなって、実年齢相応に少女らしく無邪気に女は笑う。
酷く晴れ晴れとした気分だった。
やるべきことが、道が見えた気がした。
だから、自分の胸に抱えた想いを言語化してくれた少年に向かって、感謝と敬意を胸に女は名を問うた。
「私、照美メイと申します。小さな紳士さん、貴方の名前を伺ってもいいかしら……?」
「……うちはイタチ」
* * *
水の国にある都を出てから三日後、大道芸人トビに扮するオビトと、写真家スケアに扮しているカカシの二人は霧隠れからの使者と合流予定の村の少し手前で山賊からの待ち伏せに遭っていた。
「げへへへ、大人しく金目のものをおいてって貰おうかあ!」
「きゃー、コワーいどうしましょーかスケアさーん!」
なんて言ってスケアの影に隠れるような真似をしながら彼のコートを摘まむトビであったが、実のところこの山賊達……のフリをしている連中が忍びである事には相まみえた時からとっくに気付いていた。
スケアに扮するカカシにどうするって聞いたのも、まだこの変装続けるのかよ? いい加減めんどくせえんだけど、という含みもあったりはする。
どうにも合流地点の情報がバレていたみたいだが、オビトが見たところ山賊に扮している彼らは人数こそいるが実力はたいしたことが無い。オビトとカカシの二人で掛かれば恐らく3分も掛からず片付けられる筈だ。
が、カカシは相変わらずスケアの扮装をしたまま、解く気がないようだ。
つまりは変装は続行。オビトはトビとして振る舞わなければいけないってことだ。となると、逃げるくらいしか出来なくなる。奴等も山賊の格好をして山賊として振る舞っている辺り、多分、自分たちの正体はバレておらず、ここの峠に来る者に手当たり次第、襲いかかってたんだろう。
だからギリギリまで正体を隠して尻尾を掴もうとしてるんだろうが……本来なら簡単に倒せる相手を前にして、トビとして逃げ回らなければいけないことに、オビトは思わずゲンナリとした。
「野郎共、かかれー!!」
おお、なんだか山賊の頭領役の奴、ノリノリだな、なんて怖がっている演技の仮面の下で呆れるようにオビトが考えていたその時だった。
ゾワッとするほどのチャクラ圧に反応し、とっさにカカシ共々背後へと後退する。と、同時に聞き覚えの無い男の声で「おやおや、これはいけませんねェ……旅人を襲う悪い賊は退治してしまいましょうか……水遁・水鮫弾の術!」と聞こえたと同時に、鮫を象った大量の水の塊が荒波の如き勢いで山賊達に扮する忍びを押し流し、拘束した。
「!」
その術の規模に思わずオビトは目を見開く。男が出した水量は水場でもないにも関わらず、巨大プールに匹敵するほどの量があったからだ。それをたたきつけられ、元から大した実力でもなかった山賊に扮していた奴等の変化が解ける。それをなんでもないように飄々と拘束した大刀使いらしき青い肌の男は、次いで大道芸人と写真家に扮するオビトとカカシに振り向いて、鮫じみた容姿とは裏腹に紳士的な態度と口調で尋ねた。
「さて、旅人の方。お怪我はありませんでしたか?」
「はい、大丈夫っす! いやあ、助かりましたー!」
「助けていただき、感謝します」
現在、トビとして振る舞っているのでオビトは内心では警戒心を持ちつつも、大げさに身振り手振りで喜びを伝える。そんな二人を見ながら青い肌をした男が言う。
「さて……“草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし”と申しますが……」
「……! “南楼の月を弄ぶ輩も 月に先立つて有為の雲にかくれり”とも言いますね」
そう告げると、スケアに扮したカカシは右手を横に払うジェスチャーをした。もう変装は解いて良い、という合図だ。つまり暗号を知っていたこの男が霧隠れからの使者なのだろう。
そう判断して、オビトは仮面を外し、ベリッと顔から火傷を模したケロイドメイクも剥がした。
「ほう……“隻眼”……です、か!」
次の瞬間、ノータイムで男はオビトに斬りかかってきた。
それをとっさにオビトは刀を蹴りつけ、その勢いで後方に退く。
「なんのつもりだ……!」
酷く冷え切った声で唸るようにカカシが言う。その腕には雷を纏っており男の首元に突きつけられている。
それを見てもへらり。笑いながらに降参というかのように両手をあげて、鮫のような容姿の男が言う。
「何、少し試させていただいただけですよ。あまりに弱すぎては困りますからねェ。それにしても流石音に聞こえし『白雷のカカシ』随分な早業のようで」
そう、カカシの近年知られるようになってきた二つ名を口にした。
……確かに、言われてみれば男の攻撃には殺気はない。殺すつもりがなかったのは本当だろう。
それを理解して、カカシは氷のように冷たい眼差しのまま、ゆっくりと手を下ろし、纏った雷遁を霧散させた。
「改めまして……私、木ノ葉隠れの使者の方々の案内人を任されました、干柿鬼鮫と申します。隻眼の木遁使いさん、白雷のカカシさん、以後お見知りおきを」
そういって霧隠れの怪人の異名を持つ男……鬼鮫は笑った。
続く
因みにメイちゃんはイタチさんの事10歳くらいだと思ってますが、イタチさんの現時点での年齢は8歳です。
あまりに子供っぽくなさすぎて実年齢より上に見られる宿命。