今回の話しに出てくる大名様ですが、原作戦争編に出てくる水の国の大名様の息子設定のオリキャラとなっております。それではどうぞ。
「どうもー! ご指名いただきました~大道芸人のトビくんでーす! いやぁ~今日はボクをご指名いただき誠にありがとうございまーす!! 流石に大名様に呼ばれるなんて思って無くてボク緊張しちゃいました~!」
グルグルのオレンジ仮面を再び身につけ、おどけた仕草でしゅびっと手を大きく上げながら、オビトは素よりも高めの声でそんな言葉を勢いよく繰り出す。
目の前には三人の人間。
護衛らしき武装した男とお付きらしき中年の男と、そしてオビト……いや、大道芸人トビに会いたいと言った張本人……水の国の大名様だ。
(……若い)
おどけた仕草と声で表には出していないが、その思わぬ年若さに仮面の下でオビトは密かに驚く。
衣装といい、立ち位置といい、間違いなくこの目の前のどこか気弱そうな青年が大名なのであろうが、年齢はオビトと同い年か……あるいは一つ二つ年上程度に見える。
話には聞いていただろうに、おつきの中年は大道芸人トビの奇っ怪な姿とお偉方を目の前にしているとは思わぬ態度と口調に絶句し、護衛の男はぎゅっと不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
「おお……そちが、大道芸人のトビか」
そんな自分の付き人たちの反応を気にすることもなく、朗らかにふわっと若き大名は笑った。
* * *
オビトが再び大道芸人のトビとして水の国の都へとやってくることとなったのは、四代目水影やぐらによって「大道芸人トビ」に指名依頼が入っていると言われ、カカシにも滞在している客室に戻ってその報告をした三日後のことである。
今回の任務の隊長はカカシだ。流石に無断で別の依頼を受けるわけにはいかない。
とはいえ、依頼主が依頼主である。
カカシは頭が痛そうに米神を抑えると、「断るわけにはいかないでしょーよ」と呟き、軽くそれまでの経緯を綴り、木ノ葉隠れまで文を飛ばすことにした。と言っても二人は霧隠れ滞在中の身なので、問題がない内容か検問の末に木ノ葉に文を飛ばすのは鬼鮫を経由して……という形にはなったが。
どちらにせよ、約二週間後の12月1日の会談には火影も水影も、オビトやカカシも同じ場所に揃うのだから誤報を届けるということはまずしないはずだ。
しかしそれにしても水影様……やぐらは気になることを言っていた。
言われたときは大名が大道芸人トビに会いたがっているというインパクトでつい後回しにしてしまったが、よくよく考えれば妙な話である。
水影様が大道芸人トビの正体について、その正体が隻眼の木遁使いであると予測をつけていたのは、オビト達が鬼鮫と合流して霧隠れにやってくるよりも前の事のようである。
まさか子供を慰めるために渡したタンポポから正体を看破されるとは思ってなかったが……まあそれは置いといて、四代目水影やぐらがオビトに水の国の大名様から指名依頼が入っていると言われたのは霧隠れに滞在するようになって一週間後のことである。このタイムラグはどういうことか。
悩んだオビトは直接本人に聞くことにした。
これまで接してきた彼の人柄からして、正直に聞けば教えてくれる可能性の方が高いように思えたからだ。
そしてその目算は当たっていた。
曰く。
「『隻眼の木遁使い』殿に関してはうちは一族出身の木ノ葉の忍びである、という情報くらいで元々
その言葉にピンときてオビトは尋ねた。
「もしかして、オレ達をアカデミー生の遊び役にしたのって……」
「フッ……子供は存外聡いからな」」
そういって子供のような外見をした男が笑う。それは肯定。アカデミー生の遊び役にすることによって子供達との接し方や子供達の反応を、そのまま正体不明であった隻眼の木遁使い……うちはオビトの人柄を図る為の試金石にしていたのだと暗に伝えていた。
まあオビトが悪い奴であればそれは逆に霧隠れの首を絞める行為なりかねなかったわけだが、そのあたりはオビトやカカシの監視役を務めていた暗部や、世話役に指名されている鬼鮫を信頼しての行動だったのだろう。
同盟を結ぼうとしているとはいえ、今のところは仮想敵里でもあるわけだから、オビトとしては別に騙されたとは思わない。寧ろ、大名様絡みならそれくらい慎重な方が納得するほどだ。
そして会いたいと言ったのは大名様のほうからではあるが、大名様も多忙の身だ。
その為日程を摺り合わせた結果、オビトがやぐらに指名依頼が入っていると言われた日から数えて三日後の午前中であれば大名様も時間に空きがあるということで、水の国の都に向かってその前日に霧隠れを出ることになった。
前日に出発したのは遅れては失礼なのもあるが、オビトに里の正確な位置を知られないよう遠回りして里を出る関係上でもあったのだろう。オビトは霧隠れに来たとき同様に瞳力を封じる目隠しを身につけ、鬼鮫の口寄せ獣である巨大鮫の背に身を任せることとなった。
因みに今回の依頼にカカシの姿はない。水の国の大名様から指名されたのは『大道芸人トビ』……オビトただ一人だからだ。無関係なものを大名様に会わせるわけにはいかない。また、里にカカシを残しておくことで、変な行動はするなよという人質としてオビトの行動を牽制する意味もあったのだろう。
(まあ、しないけど)
こればっかりは他里の忍びなのだから、仕方ないってやつだ。警戒心も無く忍びなどやってはいられない。
再び木遁由来の樹脂で作った本物の火傷そっくりなケロイドメイクをぺたりと顔に貼り付け、ダボダボの黒い衣装にオレンジのグルグル仮面を身につける。そうすればおどけた大道芸人トビの完成だ。
袖がダボダボなのは袖の下で木遁を使ってもバレないように、だ。木遁以外の術は両手がないと無理だが、オビトはその適性故か、右半身が植物に近い柱間細胞の義肢故か、木遁の簡単な術に限り片手印で遁術を発動することが出来た。大道芸人トビとして使っているクラブもオビトがこっそり袖の下で印を切り、木遁忍術で作り出したものである。
ただ、今回会う相手は水の国の大名様なわけで、当然ボディチェックは入念にされるわけだから、あらかじめ先に芸に使うクラブをはじめとする小道具は別途作って出しておく。
今回は鬼鮫と霧隠れの暗部が二人にオビトの四人で都にきたわけだが、オビト以外の三人は部屋の外で待つ事になる。警備の面では霧隠れの忍びも共に入室したほうが良いに決まっているのだが、先方の指示だ。水影様本人ならともかく、何故暗部如きがやんごとなきお方に会えると思うのか、身の程を知れというやつである。
今は隠居させられている先代大名様はともかく、今代の大名様は霧隠れにそこまで確執を抱いてはいないそうだが、霧隠れと水の国の大名家はここ10年以上あまり上手くいってなかったのだ。大名様自身にそこまで思うところがなくても、それに仕える周囲は違う。故に、霧の忍びが同室することに難色を示した。
それがオビトが大道芸人トビとして、一人で水の国の大名様一行に対面することになった理由である。
……とはいえ、扉一つ隔てたくらいは忍びにとって障害にはならないので、もし万が一オビトが変な行動をとったらすぐさま鬼鮫たち霧の忍びが飛び込んでくるのであろうが。
「どうもー! ご指名いただきました~大道芸人のトビくんでーす! いやぁ~今日はボクをご指名いただき誠にありがとうございまーす!! 流石に大名様に呼ばれるなんて思って無くてボク緊張しちゃいました~!」
そうして冒頭の台詞に戻る。
道化じみた格好と態度仕草のトビを前に、大名は朗らかに笑い、お付きの中年は絶句し、護衛の男は眉間の皺を増やした。そんな中で我を取り戻したお付きの中年がトビに向かって怒鳴りつける。
「貴様、なんだその仮面は! 大名様を前に失礼であろう、面を取れ!!」
「
中年の男は爺と言われるほど歳をとっては見えなかったが、まあそういう役職なのだろう、孫ほど……は歳が離れているようには見えないが、親子ほど年の離れた大名に対し、その言葉を無視出来ず振り向く。
「そちも水影殿からの調書を読んだのであろう。この者は四年前の戦争に巻き込まれ顔に酷い火傷を負ったそうな。顔を見せることが出来ぬというのもこちらを慮ってのことであろう。ならば、その想いは汲んでやるべきではないかえ?」
「し、しかし若……大名様、口ではどうとでも言えます!」
その主従のやりとりにオビトは仮面の下で小さく嘆息して、「えー……信じられないっていうなら仕方ないっすね。ちょっとだけですよ?」と言いながら、仮面を少しだけ上にずらした。
途端仮面の下から悍ましいほど陰惨な見た目をした、火傷跡……に見せかけたケロイドメイクが露出する。それに、お付きの男はギョッとして目を見開き、「待て、良いもう十分だ分かった! 分かったからその醜い跡を若に見せるな!」とストップをかけた。
「これ、爺! 確かに見ていて気持ちの良いものではないとはいえ、醜いは言い過ぎぞ」
年若い大名様は困ったような顔と声でそう部下を嗜める。
「なんでもその火傷は友を庇った際に受けたとか。ならば、その火傷はこの者にとって勲章であろうよ。のう?」
そう大名様はオビト……否、大道芸人トビへと言葉を投げた。
オビトの火傷はそういうことになっている。
「えへへ……そういってもらえると照れちゃいますね-」
キャラ設定に従いオビトはクネクネとしながら明るく高めの声でそう返答する。
大道芸人トビの設定はこうだ。
火の国から水の国へみんなに笑顔を届けにやってきた流浪の大道芸人であり、顔に仮面をしているのは大火傷をおっていて子供に見せたら泣かれるから。火傷を負った経緯は四年前の戦争中に友達を庇って突き飛ばした結果、上から降ってくる火のついた木片を避けられず……ということになっている。
まあ、降ってきたのが火のついた木片ではなく岩だったという点を除けば、実のところそこまで負傷の経緯に嘘はついてない。上手い嘘とは真実を交えて語ること、ともいうので、ケロイドメイクにしても実際の傷口をカバーするようにつけている。実際は傷跡なのを火傷に話をすり替えているだけだ。
とりあえず、本物の火傷跡そっくりのケロイドメイクを目にした事もあってか、これ以上主に気を使わせることを嫌ってか、爺と呼ばれている中年の男は大きなため息を一つつくとすっと大名より一歩後ろに下がった。
それに気付き、大名はソワソワしたような仕草を見せながら「さて、弟に聞いてからずっと楽しみにしておったのだ。そちの芸を見せてくりゃれ」と、二週間ほど前に弟だと言っていた少年にタンポポの花を渡した時に似たワクワクを目に秘めながら大名は強請った。
それに応える為、オビトはクラブを6本手に取るのであった。
* * *
元々の予定通り、ジャグリングからの玉乗り逆立ちジャグリング、パントマイムにバルーンアートなどをこなし終わった時には芸を始めてから四半刻も過ぎていた。
大名様の前で芸を披露することになると判明してから、追加で覚えたバルーンアートで作った簡易な鳥……因みにオビトはこれと蛙しか作れない。を大名様に献げると、「良いのかえ?」とソワソワと彼は受け取った。
とりあえず、オビトの大道芸人トビとして大名様の前で芸を行うというミッションは無事達成したようで、仮面の下で思わずほっと息を吐き出す。
見た目はノリノリで芸を行っていたのだが、オビト的にはどうにでもなれーなやけくそな心情だった。
幸いにも自分の即席芸は中々ウケが良いようで、渋い顔をしていたお付きの中年男も今は大分感心した顔をしており、護衛の男の眉間の皺も取れたようだ。それもこれも水の国にはあまり娯楽がなかった御陰かも知れない。助かった。
そうやってそろそろお開きかなー、お開きにしてほしいなーとオビトが仮面の下で祈っている最中、年若い青年大名様はバルーンで出来た鳥を胸に抱えながら、「さて……少しそちと二人で話したいことがあってな、爺下がってくれるか」と思わぬことを言い出した。
これには折角柔らかい雰囲気になっていたお付きの男の表情も逆戻りである。
「なりません! いくら素晴らしい芸を披露したとはいえ、このようなどこの馬の骨とも知れぬ下賤の者と貴方様を二人にするなど……大名様はご自分の立場がおわかりか!」
その言葉に仮面の下でオビトも尤もだな、と納得してうんうん肯いた。
ただし、その言葉で引き下がる大名様でもない。
爺、この者が信用ならないのか、と護衛である男の名前を出して説得にかかる。余程信頼している護衛なのだろう。男は己の名前を出されても全く動じることなく、職務に忠実にビシリと屹立している。
その会話をトビとして困ったような態度と仕草で受け止めているオビトであったが、内心では少し頭を痛めていた。
オビトは目を合わせただけで人を幻術に落とすことが出来る、写輪眼の持ち主である。それもオビトはその性格に似合わず、かなり高レベルな幻術を扱う事が出来る。
自分の事をこの三人は忍びとして認識していないからなのだろうが、どうにも危機感が足りない。
オビトがやろうとしたら目を合わせるだけで三人に瞳術をかけて支配することも不可能ではないのだ、やらないけど。というのに、わざわざ少ない人員を更に自分から減らすなんて、危機感が無い。
(……この人、良い人なんだろうけど、これが国のトップとか大丈夫なのか……?)
と思わず余計なお世話な事を考えてしまうオビトであった。
そんな中話がついたのだろう。結局、お付きの中年男は部屋を退出することになり、オビトは大道芸人トビとしてサシで水の国の大名様と向かい合うことになった。
護衛の男も少し下げ、定位置から三歩離れた位置で不動の体勢で立っている。
「さて……大道芸人のトビよ。先日は我が弟の窮地を救ってくれたとのこと、礼を言う。ありがとう」
「!」
そういって、すっと大名は祈るように手を組んだ。
これには思わずオビトも仮面の下で慌てる。やんごとなき方がオビトのような立場の人間に自らありがとうというのが前代未聞なことは、オビトにだってわかることだからだ。
「あの、やめてください。大名様に礼を言われるようなことはなにも……ボクは迷子の子猫ちゃんを親元まで届けただけっすよ……!」
ワタワタしながらオビトがそう言うと、若き大名たる青年は思わず吹き出すように笑う。
「フッ、そうか子猫ちゃんか」
「はい! そうです!」
そんなオビトに椅子を勧め、大名は言う。
「のう、そなたいくつなのだ? 顔がわからんのでなんとも言えぬが、若そうな気がするぞ」
「17ですねー」
「なんと、余とさほど変わらんではないか!」
そういうとずずいと身を乗り出し、水の国の大名様はオビトの手を手袋ごしにがしっと掴んだ。気のせいでなければ大名様の垂れ目がちな黒い眼はキラキラと輝いている。
この手をどけるわけにはいかないし、相手は貴人だしどうしたらいいんだこれ……と思わずオビトは仮面の下で冷や汗を流した。
「あ、すまぬな……どうにも、あまり同年代と関わることが無い故、つい興奮してしまった。許せ」
「いえいえ、だいじょーぶっすよ、光栄っす!」
とか言いながらハイテンションにピースしてしまうのは、トビのキャラ設定に合わせているだけで断じてオビトの趣味でないのだ。……自分でそういうキャラを選んだ時点でダウト? なんのことかわからないなあ。
「…………のう、少し愚痴に付き合ってくれぬか?」
そう元来の気弱さを滲ませながら、若き大名たる青年が俯く。
この年齢で大名なんて役職についているのだ、きっと苦労も多いのだろう。先ほど同年代に関わることが無いとも言ってたし、愚痴を吐き出す相手なんていないのかもしれない。それを大道芸人トビに言うというのは……よく知らない行きずりの相手だからこそ言い出しやすい、というのもあるのかもしれない。
そう思ってオビトは「いいですよ、どうぞー」と軽い声をかけた。それに大名はほっとした顔をして茶を一口啜り言った。
「そなたは知らぬことであろうが……私は今度火の国の大名殿と会談をするのだ」
(はい、知ってます。奇遇ですねー、オレもその会談参加するんですよ。アンタの護衛役で)
……なんて言えるわけがないので、オビトは大げさに手をワチャワチャしながら「へーそうなんですね! 流石大名様! 頑張って下さい、応援するっすよ~!」と答えといた。
そんななんでもないような明るく剽軽なトビの態度に安心したかのように、先ほどより少し緩んだ顔で大名様は言葉を続ける。
「火の国の大名殿は我が父とさほど年が変わらぬ相手でな……少し気が重いのだが……そのこととも別に私は火の国の大名殿には気が引けてな……」
「なんか理由があるんすか?」
それに若き大名はオビトからしてみれば思わぬ言葉を口にした。
「そちは火の国の出身であったな。ならばそなた武練祭を見たことはあるか?」
「え……ありますけど?」
武練祭。勿論知っている。二代目火影であったうちはイズナが里が出来た三年目にはじめた祭りであり、初代火影柱間在位期間は毎年のように行われていた、夏至の日に火影の武練を戦神に奉納するお祭りである。
「私は子供の頃からこの祭りに憧れていてな……一度はこの眼で見てみたいとそう思っておったのよ。そう、私は火の国の大名殿が羨ましいのだ。我が国にはそんな祭りはない。この国の事は愛しておる……だが大名になっても私は今だ無力だ。陰鬱な空気を、変えたいと願ってはおるのだが……今だ何も出来ておらぬ」
だから、火の国の大名殿に何も出来ておらぬ青二才の自分が対等にテーブルにつくことが後ろめたいのだと、そう水の国の大名様は話を結んだ。
「んー……」
それにオビトは頭を巡らせる。
多分、この大名様は良い人なのだろう。そして真面目だ。少し後ろ向きで思い詰めすぎるところがある。そんな風に見えた。だから、少しだけ迷ったけど、多分忖度した言葉などこの方は求めていないだろうから、オビトは素直に自分が思ったことを伝えることにした。
「ないのなら作っちゃえばいいんじゃないですか? 祭り」
「え?」
まさかそんな言葉を言われると思っていなかったのか、若き青年大名は吃驚したように目を見開く。
「別に武練祭だって最初っからあったわけじゃないっすよ。確か二代目火影様が木ノ葉隠れの里が出来た三年目に作った……って聞いたことがあります。どんなものだって、続けたらそれが伝統になる。そんなもんじゃないっすか?」
「そう、なのか? だが我が国は……」
なんとなく、続く言葉が何もないのような気がしたので、それを察して先手を打つようにオビトはトビとして口を開いた。
「そうっすね、同じやつは芸がないですし、水の国には雪があるじゃないっすか。だから雪まつりとかどうっすか?」
「雪まつり、とな?」
「そうそう、昨日見たらびっくりしましたよ。まだ11月半ばなのに水の国ってあんなに雪降るんですねー。なら、冬至の日に雪で彫像してそれを競うお祭りとかどうですか!? 投票制にして一番素晴らしいとみんなが思った雪像を作った人を表彰したり、出店を出したり、夜に提灯で雪像を光らしたらそれだけで一見の価値あり! になったりしませんか?」
言いながら、なんか我ながら良い考えにどんどん思えてきて、オビトははしゃぐような声を出して、そうテンションよく言い切った。
それに大名は呆然としながら「雪像を展示する祭り……そんなの、考えたこともなかった」と零し、それから再びキラキラと瞳を輝かせながらがしっと再びオビトの手を取り「トビ殿! ありがとう。とても良い考えだと思う。感謝する」そういって微笑んだ。
「はい、どういたしまして」
翌年から水の国の都では冬至の日に霧隠れと共同で雪像を展示する雪まつりがはじまる。
それは年々派手になっていき、かつて陰鬱で曇った国と揶揄された水の国が観光大国になる第一歩となるのだが、これはまた別の話。
そのはじまりに隻眼の木遁使いが関係していることを知る者は、あまりいなかった。
続く