隻眼の木遁使い   作:EKAWARI

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ばんははろEKAWARIです。
今回、作中で出てくる湖のモデルは諏訪湖だったりします、ではどうぞ。


47.邂逅

 

 

 

 ……その日は、来る調印式の日を八日後に控えた一月の終わりであった。

 水の国の冬空は相変わらずの灰色で、深々と雪が積もり、まるでモノクロの世界に閉じ込められたかのようで、チャクラコントロールさえキチンとすれば別段、忍びにとって多少の温度差などどうってことないものとはいえ、寒いものは寒い。

 水の国にきてから調達した前開きの黒いコートの前をあわせ、橙色を差し色に入れた紺色のマフラーをしっかり巻き直しながら、雪が降る中、活動を休んでいる木々の上を飛び交い、隻眼の木遁使い……うちはオビトは、相棒たる銀髪の少年はたけカカシと共に地図を片手に目的地まで駆けていく。

 カカシは白地のコートに山葵色と松葉色の二色糸を編んで作られたマフラーをしているが、彼自身色白なのと銀髪なのも相俟って、そのままこの銀世界に溶け込んでしまいそうだ。忍びとしてはそれは良いことなのかもしれないが、一緒に行動する身としては不便だ。マフラーが保護色ではないのが不幸中の幸いである。

 そんなことを思っている内に雪が止んだ。

 分厚い雲の合間から日差しが差し込み、息も凍るような冷たさが和らぐ。

 やがて、空はあんなに重苦しかった灰色の衣を脱ぎ捨てて、抜けるように鮮やかな蒼穹が姿を顕わす。

 四代目水影であるやぐらの、昼前には晴れるだろうという予測はどうやら当たっていたようだ。真っ白な雪にキラキラと光が反射してとても綺麗である。

 そんなことを思いながら森の中を駆け抜けること約一刻、霧隠れの里を出て二時間足らずで目的地である巨大な湖へと辿り着く。

「ここが……」

 黒いコートを纏った黒髪隻眼の青年は、その風光明媚な光景にホウと思わず感嘆の息をついた。

 水の国は、オビト達の出身である火の国よりも寒さがキツい。だが、だからこそここでしか見ることの出来ない景色というものもある。

 今オビト達の前に広がっている光景がまさにそれであり、御神渡(おみわた)り……と呼ばれる現象だ。

 全面氷結した湖面が昼夜の寒暖差によって膨張、収縮を繰り返し、氷が山脈状にせり上がる自然現象を御神渡りという。この季節に、水の国でもここの湖でしか見られない現象なのだとか。

 その神秘的で美しい光景は、まるで神様が渡った跡のようだと、それが名の所以になっている。

 昔の人々は自然の中に神の存在を見出したのだ。

 きっとこの光景は火の国にいては見ることが出来なかった。

(リンにも見せてやりたいな……)

 御神渡りは発祥条件が厳しく、水の国の民でも見れる者はレアらしいのだが……とても美しい光景なので、思い人の少女に見せたらどんなに喜ぶだろうと想像してオビトの口元が綻ぶ。

 きっとリンなら『凄いね! オビト!!』そういってオビトの手をぎゅっと握りしめながら、オビトの大好きな花のような笑顔を浮かべて無邪気にはしゃぐことだろう。

「浮かれるんじゃないの」

「いて」

 そういってカカシはべしっと、ちょっとした妄想に耽るオビトの後頭部にチョップをいれる。

「んだよ、カカシィ……オマエには情緒ってもんがねーのかよ」

 そう子供のように頬を膨らませて抗議するオビトに、カカシは呆れた声と共に言う。

「あのね、オビト……遊びに来たんじゃないんだぞ」

 オレ達は依頼で来たんだ、オマエそれちゃんとわかってる? とカカシは言うが、そんな相棒の言い分に寧ろオビトのほうが「分かってないのはお前のほうだろ、この堅物」と呆れて文句を言いたい所であった。

 確かに、自分たちは依頼でここにきた。それは事実である。

 だが、その依頼を出した側は寧ろ、この前の詫びを兼ねて息抜きにここまで送り出したんだと、オビトはそう確信している。

 だってそうでもなければ、この依頼を霧隠れの部外者である自分たち二人に託す意味がわからない。

 水影様からの依頼の内容はこうだ。

 昔から観光地としてそれなりに人気のこの湖周辺に、最近不審な人影を見かけたという報告があったので一応調べて欲しい。何も出てこないなら出てこないで構わない、と。

 そんな下忍か中忍でも十分対処可能な調査任務を、四代目水影やぐらからわざわざ託されたのだ。調査が終わっても、すぐ帰らなくても構わないとの言質付きで。

 その目はありありと、折角水の国に来たのだから、火の国に帰る前に依頼がてら観光でもしてきたらどうだと言っていた。

 そして年上からのそういう好意は素直に受け取るのがマナーだと、ジジババキラーオビトは思っている。

 とはいえ、ここでカカシと言い争うのも不毛だろう。

 そう思えるくらいにはオビトも大人にはなっていた。

「それにしてもでけぇ湖だな……」

「まぁね。面積は13㎞……全長は15㎞あるらしいよ」

「へぇ……」

 そう感心したような声で呟くオビトに、カカシはそっと目尻を和らげる。

 実のところさっきはああ言ったものの、今回の依頼が水影様からの厚意からきたものであることはカカシだって気付いてはいた。だが、釘を刺しておかないとオビトの事だ、どこまで調子に乗るかわからない……と思ったが、今更ながら離れていた三年という月日は肉体面だけでなく、精神面でもオビトに成長を促していたようだ。

 ちょっと、昔のオビトを基準に心配しすぎていたのかもしれない。

(……たまには、一人にさせてやってもいいか)

 今回の霧隠れ行きのSランク任務を受けて以降、オビトが一人になることはほぼなかった。

 あったとしたら水の都でカカシがスケアとして情報収集していた時くらいか。それ以外はずっとカカシか監視員と世話役を兼ねていたあの男……鬼鮫とオビトはいた。

 まあ、それはカカシも同じなのだが……自分は上忍で、オビトは中忍であり、隊長は自分である。

 なら、部下に多少の息抜きをさせるのも、隊長である自分の仕事だろう。

 そんなことを考えるも態度にはおくびにも出さず、カカシは「オビト」と相棒たる青年の名を呼ぶ。

「ん?」

「オレは右側から湖の周辺を調べるから、お前は左側から周って。一時間後にあっちで落ち合うよ。わかった?」

「お、オウ」

 ビシッと向こう岸を指さしながらそんな事を告げるカカシに、『あれ、てっきり一緒に回るかと思ってたが別行動なのか。まあ、その方が効率的だもんな』なんてことを考えるオビトであった。

「じゃあ連絡だけど……」

「あ、ちょい待てカカシ」

 そういってオビトは印を結び、ボンと木分身を呼び出し、それを種子状のものに変化させてからカカシに手渡す。

「これ。送信木って言ってオレの分身の一種だから。何かあればその種に向かって言ってくれたら伝わるし、いざとなったらお前のとこに飛ぶわ」

 そのほうが忍犬つけるよりも効率的だろ? とオビトはニッと笑った。

 それにカカシはヒラヒラと手を振って了承の意を告げるとわかれた。

 暫し、相棒の背中を見送るとオビトもまた湖に沿って逆側を湖沿いに歩き出す。

 今日は水の国の冬には珍しいくらいの快晴だ。気温こそ火の国よりも低いが、太陽の光を浴びてポカポカと良い気持ちで、思わず歌い出したくなるくらいに長閑だ。

 ざくざくと、溶け始めている雪を踏みしめながら湖畔の道を歩く。

 そうして歩き始めて十五分後のことであった。

「ん……?」

 巨大な湖は殆どが凍っているが全てが全て凍り付いてるかと言われたらそうでもない。何せ今日は良い天気だ。氷が薄くなっている所も当然ある。

 ゆらりと影が揺れる。

 オビトの視界に湖に足を踏み出そうとしている誰かが映る。

 長い長い……三分の一ほど白髪が混じった黒髪だ。

 見えているのは後ろ姿で、顔がわかるわけではないが、体格から判断するなら男だろう。

 あまりに存在感がないので、はじめオビトは遠目に映るその影が人であることに気付かなかったが、目を懲らした結果それが人と気付き、まるで入水自殺しようとしているかのような男に、慌て叫び走った。

「ちょ、何やってんだよ、じいちゃん!!」

 

 * * *

 

 オビトが入水自殺志願者? らしき男と出会っていた一方その頃、はたけカカシは釣り道具を持った地元民の男性と遭遇していた。

「あんれまぁ、こんな所に忍者さんたぁ、珍しいだなァ」

「最近この付近に不審な人影を見たと聞きまして、調査依頼を受けて参りました。御老……何か御存知ありませんか?」

「んー……」

 男はよっこいせ、と氷に手慣れた様子で穴を開けて釣り竿を湖の中にたらしながら「ひょっとしたらオラが見た、アレのことかねェ……?」と呟く。

「アレ……とは?」

「一瞬だけだけんど……なーんか白いからだでェ緑の頭の妙ちくりんなのを見たンだよぉ」

 ま、気のせいかも知れないけどね。

 そう男は呟きながら、眩しそうに空を見上げる。

「ま、ここは神さんの住まう湖だァ……なんかあっても神さんの思し召しだろォ」

 そう目を細めながら、男は呟いた。

 

 * * *

 

「ちょ、何やってんだよ、じいちゃん!!」

 うちはオビトのモットーは困っているお年寄りを助ける、というものである。

 当然、入水自殺しようとしている……ように見えた、老人を助けないという選択肢はオビトの中にはない。

 その為瞬身の術を駆使して一直線に老爺らしき男の元に向かったオビトであったが、彼の声に反応し、長い白髪(しらが)と黒髪が入り交じった幽鬼のような男が振り返った。

(……え)

 ……思ったより、若い。

 思わずオビトはポカンとした。

 オビトが男を老人と思った理由はただ一つ、遠目から見ても髪が色艶がなくて、三分の一が白髪(しらが)で、三分の二が黒髪だったからだ。元は黒髪だろう。まさに総白髪になるのも時間の問題であることから五十代後半から六十代前半くらいかとオビトは思ったのだ。

 だが……この壮年の男は、顔の殆どがネックウォーマーで包まれているため、目元回りしかわからないが、目尻の皺の付き方や肌の状態などから判断するなら、自来也師匠と同年代くらいなのではないだろうか? おじいさんというより、まだおじさんと形容したほうが近そうな歳に見える。

 白髪が多いのはストレスか、あるいはそういう体質か。

「…………」

 黒いフード付きのローブで体格はわかりにくいが、かなり良い。おそらくはオビトと同じかあるいはそれよりも少し大きいくらいで、背筋も曲がっておらずシャンとしている。やはり白髪が多いから老けて見えただけで、年齢は……四十歳前後くらいだろう。

 髪はいつから切っていないのか、針鼠みたいに四方八方に跳ねており、量が多くボサボサだ。

 以前オビトは自来也に預けられて三年間旅に出たときに、髪を切らなかったわけだが、その三年でオビトが伸びた髪の長さを参考にすると……おそらくこの男は十年どころか、下手すると二十年近く髪を切っていないのではないだろうか?

 肌はいつから太陽を浴びていないのかと聞きたくなるくらいに不健康に白く、瞳は黒色だ。その焦点はあっておらず虚ろであったが、黒い眼がオビトの姿を捕らえるなり、少し驚いたように瞬かせ、それからじっと食い入るように見つめてきた。

(……?)

 妙な既視感だ。

 ハッキリ言ってこんな浮浪者みたいな男、オビトは知らない、初対面の男の筈だ。

 だが、何故か妙な既視感を覚えている。胸の奥がザワザワとして、オビトは老人だと思っていた男に手を差し伸べた姿勢のまま固まった。

(オレはこのオッちゃんをどこかで見たことある……? いや、誰かに似ている……のか?)

 オビトはこれでも人の顔に対する記憶力は良いほうだ。木ノ葉隠れの里に住んでいる老人の顔は全て把握しているからよそ者がいたらまずわかるし、一度見た顔を忘れることは滅多にない。

 だからこそ、こんな浮浪者みたいな男、知らない筈なのだ。

 だが、この顔も……髪の感じも誰かに似ている気がしてならない。

 そんなオビトに向かって、湖から離れふらふらと男が近寄る。

 何を考えているのかわからない、黒の硝子の瞳でオビトの姿を捕らえて、夢遊病患者のように近より、ぺたりとオビトの傷跡だらけな右の顔に触れた。

 ゆっくりと、男の筋張って冷たい指がオビトの頬の輪郭をなぞる。

 ……当然だが、オビトは避けようと思えば避けることが出来た。

 男に顔を触られて悦ぶ趣味などオビトにはないのだから、避けて良かったように思う。でも何故か避けてはいけないような気がした。男はなぞる。何度も何度もオビトの顔の輪郭を。

 それはまるで盲目の人間が顔を確かめるような触り方だった。

 そうして、幾度もオビトの顔をなぞったあと、男は破顔した。

 まるで今日が人生で一番良い日であるかのように。

 オビトにはまるで意味がわからなかった。

 どうして、この男はオビトを見て宝物を見つけた小さな子供のように笑うのだろう。

 何故そんなに嬉しそうなのだろう。

 音にならない声で男は誰かの名前を呟く。

 声になっておらず空気に溶けた音は誰の名前だったのか。

 そうして男はそのままオビトの体を抱きしめた。

「え……」

 オビトからしてみれば男は初対面……の筈だ。そしてオビトに男に抱きしめられて悦ぶような趣味はない。

 だから離れろ気持ち悪い、と突き放してしまっても良かった、筈だ。

 だけど、オビトには出来なかった。

 何故なら……。

(なんで…………ばあちゃんと似てるんだよ……)

 その抱きしめ方が……亡き祖母によく似ていたからだ。

 オビトに両親はいない。赤子の頃に任務中に失踪して……十中八九死んでいると言われてきた。そんなオビトにとって唯一家族と呼べたのが自分を育ててくれた父方の祖母だ。

 アカデミーに上がる前には祖母とは別々に寝るようになっていたけれど、雷がなった日などは「ばあちゃん、いっしょにねて」と祖母の布団に潜り込んだものだ。そんなオビトに祖母は「おいで、オビト」と優しく微笑んで、抱きしめてくれた。祖母との大切な思い出だ。

 体格が違う。性別が違う。年齢が違う。体臭だって……全然違う。

 この目の前の男と祖母は何もかもが似ていない。なのに、その包み込むような抱きしめ方が、祖母によく似ていた。

(あれ……) 

 泣き虫はもう卒業したつもりだったのに、ポロリと何故か右目から涙が伝う。でも自分でもなんで泣いているのかがわからなくてオビトは戸惑った。知らないオッちゃんに抱きしめられて泣いているとか、自分でも意味がわからなかった。

 そんなオビトの背をポンポンと男の手が優しく叩く。まるで小さな子供をあやすような手つきだった。子守歌のようなそのリズムは、昔何度も祖母がオビトにしてくれたものだ。

「アンタ……誰……?」

「……?」

 男は首を傾げた。

 まるで言葉の意味が分かっていないかのように。

 フワフワと現実感のない男は、ここにいるのにいないかのようだ。

 まるで亡霊だ。

 この男を見ていると、何故か胸がぎゅーとなって、苦くて、懐かしくて、わけもわからないまま叫びたくなる。

 問題はオビト自身にも何故自分がそうなるのかがさっぱりわからないことだ。

 男はポンとオビトの短い黒髪に手を伸ばし、その頭をワシワシと撫でる。

 怖いものは何もないぞ、大丈夫とあやすかのように。

(あれ……)

 よく見れば男の右腕と左腕は長さが違っていた。オビトに触れるのは左手だけだ。右手では触れようともしない。

「なあアンタ……」

 ふとオビトは気付いた。

 この男が依頼に出てきた湖周辺で見かけた不審な人影なのではないだろうか?

 話を聞こう。……さっきから一言も喋らない辺り、話が出来るのか怪しいが。そう思った瞬間、突風が向かい風で顔にたたきつけられる。

「……わぷッ」

 オビトが目を閉じていたのは一瞬だけの事だ。

 だが、次の瞬間には男ははじめからそこにいなかったように消えていた。

 

 * * *

 

「ただいまー」

 脳天気にも聞こえる声を出して緑の頭に黄色い目、白い人型の人外が拠点にしている洞窟の中に足を踏み入れる。その手には黒いフード付きローブの壮年の男が荷物のように引きずられていた。

「おかえりー、どうだった?」

 そういって同じく白い人外……こちらには顔がなく、グルグルと右目の空洞を中心に渦を巻いている模様があるだけだ、が尋ねると顔のある方の人外……別世界では白ゼツと呼ばれていた、は「いやーそれが、少し目を離した隙に人形が木ノ葉の忍びなんかに懐いてて吃驚したよー」と暢気そうな声で返す。

「ふーん。殺さなかったの」

「なんか厄介そうだったしね」

 まるで天気の話をするかのように二人はのんびりとそんな独り相撲にも似た会話を繰り広げる。

「なら、外に出さなくてもよかったんじゃないのー?」

「そうだけどー、なんかニンゲンはたまには陽の光を浴びた方がいいんだって聞いたよ。長く使うためにもたまにはハイリョするよ」

 ボクってば優しい。そんな風にゼツは言う。

 それに白ゼツよりも、やや無邪気な印象の強いグルグル頭のほうの人外が首を傾げながら問う。

「そのほうがニンゲンはいっぱいうんこ出るようになるんですかー?」

「出るんじゃない? 知らないけど」

 そんな会話をしながら、緑の頭をした人外は人形と呼んだ男の頭を鷲づかみにし、男の顔の殆どを覆っていたチャクラ休眠の術式が書き込まれたネックウォーマーをぐいと下ろした。

「ま、バレなかったみたいだし、これをつけさせておいて正解だったね」

 先ほどまで布で隠されていた男の顔面下半分からは、禍々しいチャクラと共にビッシリと黒い呪印が虫のように蠢いていた。

「…………」

 物のように扱われても、男は何も言わない。

 言える情緒も既に男の中には残っていない。

 硝子のような黒い瞳は虚ろで暗く淀んでいる。それはいつものことだった。

 男はこの人外達にとって都合の良いただの人形だった。

 とうに壊れているし、正気など残っていない。

 口元の封じを外された男がブツブツと誰かの……女だろう、誰かの名前をブツブツと呟くのもいつものことだ。

 狂人の戯言。

 聞く価値もないからと聞き逃してきた。

 だからゼツ達は気付いていなかった。

 男が、いつも呟いている女と違う名を呟いていることに。

 

 

 

 「…………ォ……ビト」

 

 

 その日、黒髪隻眼の青年が出会った男が何者だったのか、うちはオビトとは一体どういう関係の人間であったのか……その正確なところをオビトが知るのは、この約十年後となる。

 今はまだオビトは……若き隻眼の木遁使いは、この邂逅の意味を、男の眼差しの理由を知る由もなかった。

 

 続く




実は第二部で一番書きたかったシーンはこの『誰か』とオビトの邂逅シーンだったのであった。
次回48話「既視感」
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