隻眼の木遁使い   作:EKAWARI

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ばんははろEKAWARIです。
本日で隻眼の木遁使いは一周年を迎えました。
いつもは書き上がり次第投稿してましたが、折角なので投稿時間も合わせてみました。
これからもご愛顧よろしくお願いします!


閑話・雪まつり

 

 

 

 潮の匂いが鼻を擽る。

 目的地が近づくにつれて増えていく雪に、嗚呼久し振りの水の国の空気だななんて思って、うちはオビトはすぅっと冷たい空気を肺一杯に吸い込んだ。

 以前訪れた時よりも黒ずんで荒れて見える海と、灰色の分厚い雲に、柵まで凍てつくような冷たさ。

 火の国とはやはり気候が違う。

 それに、チャクラ調整で体温調節が利く忍びだからいいけど、一般人は大変だよななんてことを思いながら、ぼんやり船上の光景を眺める。

 これから先のことを思えばワクワクするような、落ち着かないような。

「お前、何黄昏れてんの?」

 目を細めて、現地に到着してからの事を考えるオビトに、呆れるような声で銀髪の相棒が声をかける。

「カカシ」

「現地に着いたら、オレだけじゃない。木ノ葉の代表として見られるのはお前も同じなんだから、あんまり醜態は晒すなよ」

「わかってるよ……!」

 んとに、てめーは説教しなきゃ気がすまねーのか、そんな思いがありありと込められたジト目を、カカシはやれやれといったジェスチャーで流して、オビトの隣の柵に肘をつきながら、軽い調子で呟いた。

「しっかし、どんなものなんだろうねェ。『雪まつり』ってのは」

「……」

 そう、今回オビトとカカシが水の国行きの船に乗っているのは、今回の任務が『同盟国の代表として、水の国で行われる『雪まつり』という催しに親善大使兼アドバイザーとして赴く事』というものだからだ。

 雪まつり。

 それは文字通り、沢山ある雪を使って雪像を複数作り、それを展示するお祭りである。

 企画者は水の国の大名様。

 開催期間は冬至からはじまり、約一週間の雪像の展示と投票、夜間のイルミネーションに屋台や常設ステージでの出し物と、国からの振る舞い酒。

 など、そんな感じで予定されているのだと、渡された冊子には書かれていた。

 当然の話だが、水の国初の試みであり、これほど大がかりで長期間のお祭りはそもそも水の国ではやったことがないのだそうだ。

 もしも、今年の雪まつりが成功したのなら、来年も続けていきたい。

 伝統にして、他国から観光客を呼び込み、経済の活性化に繋げたいと、そういう大名様の想いが込められているのがよく伝わる良い企画書だった。

 オビトとカカシという、霧と木ノ葉の同盟設立の際に、霧隠れの里へ親善大使として赴いていた忍び二名が友好国からの代表に選ばれたのは、火の国率いては木ノ葉隠れの里とは上手くいっているという、国内外に対するアピールの為なのだろうとカカシは分析していた。

 が、ただの国賓ってだけじゃ無く、祭り期間丸々一週間の滞在とアドバイザーの役目も要求された時点で、オビトは何故自分が今回代表に指名されたのか、もう一つの大名様の思惑に気付いていた。

 ていうか気付かない筈がない。

 だって、この雪まつりという企画……。

(これ、どう見てもオレが大名様に告げたアイディアそのまんまなんですけど……!)

 あれは去年の11月のことだ。

 オビトは、仮面の大道芸人トビとして、水の国の大名様からの指名依頼を受けて呼び出されたのだ。

 その時に要約すると「武練祭がある火の国が羨ましい。何か水の国の為になることをやりたい」みたいな事を深刻そうに打ち明けてきた大名様に、オビトは流浪の大道芸人トビとして、軽い気持ちで言ったのだ。

「ないのなら作っちゃえばいいんじゃないですか? 祭り」

 と。

 それで、「水の国には雪が沢山あるんだから、YOU、雪像を展示する祭りとか作っちゃいなYO!」と年若い大名様を元気づけるつもりで、そんな無責任なアイディアをぶん投げたというわけである。

 すると、大名様は喜んでオビトの手を取りながら「トビ殿! ありがとう。とても良い考えだと思う」そう言っていた。

 まあ、オビトとしては自分はどうせ他国の人間で、他里の人間だから、提案するだけならタダと言わんばかりの軽い気持ちだったので、その時は「はい、どういたしまして」なんて、これまたかるーく返したのだが。

 いやはや、まさかあんな軽い気持ちで考えた素人の思いつきを、実際に実行しようとは。

 どうもオビトはあの人の行動力を舐めていたようである。

 あの時の任務ではカカシと別行動だったし、守秘義務もあるので、大名様との個人的な会話内容をカカシに伝えるわけにもいかなかった為、この銀髪の相棒は知る由もないことだが、今回の祭りだって、友好国代表の任に水の国の大名様がわざわざオビトを指名してきたのも、この祭りの元々の発案者がオビトだったからなんだろうなーと。

 多分オビトが選ばれたのはそういうことだし、カカシはとばっちりというか、カモフラージュだ。

(あんな素人の思いつきを実現に移すのは大変だったろうに。たった一年足らずでやり遂げるとか……大名様頑張ったんだな)

 さてさて、オビトが軽い気持ちで提案した祭りは一体どうなるのやら。

 

 * * *

 

 今回の任務において、オビトとカカシの立場は同盟国の代表なわけで、港につくなり、国賓としてVIP待遇を与えられることとなった。

 港には歓迎の垂れ幕がかかり、出迎えに使者として場に立った鬼鮫と親しげに言葉を交わし、握手をして新聞社に写真を撮られた。

 それから笑顔をキープして、出迎えの民衆達に手を振り、用意された豪華な馬車に乗り込み港町を出る。

 ぶっちゃけ、馬の足より忍びの足のほうが早いのだが……まあこれも演出というヤツである。

 政治というものは中々に複雑怪奇だ。

 まあともあれ、豪華な馬車はあくまでも民衆に対するただのアピール……同盟国の代表をこれほど尊重していますよーという見せ札でしかないため、街道に出た後は、同盟国の使者護衛の任を与えられた霧忍と共に、都まで普通に走って移動することになった。

 

 そうして都に入る前に身なりを整えて、再び豪奢な馬車に乗り込み、笑顔で歓迎する民達に手を振る仕事に戻る。

 オビトは流浪の大道芸人トビを完全に演じのけたように、アホっぽく見える性格とは裏腹に演技力はそれなりに高いし、表情筋も豊かなほうではあるが、流石にずーとにこやかに、同じ表情をキープし続けて手を振り続けるのは疲れる。

 なので、つい『だー、顎の筋肉が引き攣るッ!』とカカシにアイコンタクトを送り、『誰かさんは将来火影目指してるんでしょ? ならこれくらい頑張れよ』とこれまたアイコンタクトで返された。

 まあ正論である。

 その間もいつもの無愛想さはどこにいったのか、流れの写真家スケアを演じていた頃と同じくらいにこやかな笑顔をキープし続けているのだから、カカシの演技力のほうも中々のものである。

 まあ、そんなこんなで水の国の民に歓迎を受けながら、祭り本部の関係者用テントまで辿り着いた写輪眼の双璧コンビであった。

 

 * * *

 

「おお、ようおいでになられた……! 白雷のカカシ殿、隻眼の木遁使い殿」

 開会時間の一時間前、水の国の大名様がオビトとカカシのテントにお付きを数人連れて現れ、そんな言葉をフレンドリーに投げかけた。

「これはこれは水の国の大名様……自らの歓待痛み入ります」

 すっと折り目正しく膝を突き、洗練された動作でスマートに挨拶を返すカカシの姿はエリート忍者という評判に違わないものであった。

 それに倣い、オビトも膝を突く。

 そんな二人に、オビトより一つか二つほど年長の大名様は、「良い良い、楽にしてくりゃれ」と鷹揚に笑った。

「なにせ、この催しは我が国初の試みでの。他国の視点だからこそわかることもあるだろうて。色々模索中故、何か気になることがあれば、遠慮せず言ってたも」

 そう、前に会ったときよりも格段に明るい声と表情で、大名様は言った。

 それから暫し世間話に興じる。

 同盟国であるとはいえ、他国の人間にあまり踏み込んだことを語るわけにもいかないので、やれどこどこで見た滝が綺麗だっただの、どこどこの名物が美味かっただの、そんな当たり障りのない話ばかりだったが、自国から出ることなど滅多にない大名様にとっては、それだけで十分に興味深い話だったらしく、終始、楽しげであった。

 流石に開会式三十分前になると、お付きの護衛も「大名様、そろそろ……」と声をかけてきたので、大名様はにこりと笑い、最後に「ではの、オビト殿、カカシ殿、またあとで。もし時間があれば余自ら祭りを案内しようではないか」とご機嫌に告げた。

「はは、ありがとうございます」

 と返しながらも、いやそれはむずくね? なんて考えるオビトである。

 どちらにせよ、わざわざ大名様自ら足を運ばせておいて、こちらは座ったままというのはない。

 なのですぐ近くだという大名様のテントまで、見送りをすることにした。

 護衛は十分ついているから不要だと言われるかも知れないが、これも礼儀だ。

 その時。

「兄上ー!」

 そんな可愛らしい、稚い子供の声が聞こえて思わずオビトは耳を澄ます。

 聞き覚えのある声だ。

 案の定、オビトから死角に当たる位置から満面の笑みを浮かべて、大勢のお付きを引き連れ、大名様に走りよってきた子供は、都でトビの芸を見に来て破落戸(ゴロツキ)に誘拐されかけていた子供……大名様の年の離れた弟君であった。

「おお、弟よ、どうしたのだ?」

「兄上のお姿が見えて……えへへへ」

 そういって大好きな兄に抱きつき、頭を撫でられている小さな弟の姿は、ああ仲の良い兄弟なんだなあと、見る者に微笑ましさを感じさせるものであった。

 それからふと、少年は見送りのため大名様の三歩後ろの位置にいた、オビトとカカシの姿に気付いたのだろう。

 大きな黒い眼をクリクリさせながら「兄上、あの方たちは?」と大好きな兄に尋ねる。

「こちらは火の国木ノ葉隠れの里からいらしたお客人でな。あちらの銀髪がはたけカカシ殿で、こちらの黒髪の御仁がうちはオビト殿よ」

 そう大名様はオビトとカカシを自分の弟に紹介すると、幼い大名様の弟は「はじめまして!」と年相応に元気ありつつも品良く挨拶し、自分の名を紹介する。

「これは丁寧な挨拶痛み入ります」

 そういって、カカシとオビト両名は大名様の弟に視線を合わせるように屈む。

 すると、齢八歳そこいらの子供は、「あれ?」と首を傾げ、オビトを見ながらポツリと思わずといった感じに呟いた。

「そなた、どこかで私と会ったことあるか?」

 会った事はある。

 なんなら誘拐犯に誘拐されそうだったこの子を助け、胸に抱えて街中を逃走したのはオビトだし、大名様がなにかとオビトに便宜を図ってくれているのだってその縁だ。

 だが、しかしあの日、あの場にいて、この子を助けたのはうちはオビトではなく、流浪の大道芸人のトビ……そういうことになっている。

 だからしれっとオビトは、笑顔を浮かべながら「いいえ? 初対面ですよ」と返した。

 実際、仮面を外した素の状態で会うのははじめてなのだから、嘘とも言い切れまい。

 そんなオビトに、大名様の弟御は更に首を傾げたが、お付きのじいやがゴホンと咳払いをして、時間を主張するので、「では、お客人。お祭り、楽しんでいってください」と声をかけて、手を振って兄たる大名と去って行った。

 なんとも素直で、可愛らしい子供だった。

 

 開会式の時刻は午後三時だ。

 なにせ、雪まつりの目玉は展示された雪像のイルミネーションと、夜の九時から始まる冬の花火と、夜にイベントが集中しているからその時間に開始となっている。

 祭りの期間は冬至の日からの一週間であるが、無数の屋台が店を開けるのも夕方からで、昼間は観光客にのんびり都の観光でもして金を落として欲しいと、そういう思惑になっている。

(その辺は、夏至の時期に、昼が開催時間の武練祭とは真逆だな)

 なんて考えながら、関係者席で開会式を見守る。

 祭りを楽しむ主役は子供達だ。

 だから、子供達を退屈させるようでは本末転倒である。

 そんな風に水の国の大名様は思っているのだろう、こういうビッグイベントにしては開会の挨拶は短めでさっくり簡潔なものだった。

「それでは、ご来場の皆様、雪まつりごゆっくりお楽しみ下さい」

 司会のそんな挨拶と共に、プォオとクラリネットが音を鳴らす。

 それから楽しげなオーケストラ生演奏が会場中央から鳴り響き、一般客や子供達はわっと会場中に散らばっていく。それを少し高い特別席から見下ろすのは、なんとも不思議な気分だった。

 さて、仕事の時間だ。

 祭りを実際に見てレポートを書いて提出するのも、今回の任務のうちである。

(行くか)

 そう思い、カカシと目配せする。

 すぐに立ち上がるかと思いきや、カカシは手信号で待ての合図を出したので、オビトはそのまま席から立つこともせずに待機する。 

 それから30秒とせず、見覚えのある茶髪青目のセクシーな若いくノ一が、扇情的なドレスのような青い着物を纏い、オビトとカカシ両名の前にやってきた。

「アナタ方が木ノ葉からの親善大使の方、であってますかしら?」

 真っ赤な紅を引いた唇に薄ら笑みを浮かべ、蠱惑的に目を細めながら絶世の美女が優美に言う。

 それに「ええ」とカカシは肯定を返し、オビトもそれに倣い大人しくした。

 やはり見覚えがあるが然もありなんというヤツだろう。

 あの時、火と水の大名様の会談の日にもいたくノ一だ。

 確か、桃地再不斬同様、親善大使としてオビト達とは入れ替わりに木ノ葉に出向していたという霧の忍びではないだろうか。

 まあ直接言葉を交わしたことはないのだが。

 だがまあそれはお互い様というわけで、顔だけ知っているものの初対面とほぼ変わらない関係性なのを考慮してか、社交的に微笑みながら女は「あまりあの時はゆっくり話せなかったわね……改めて、本日あなた方の案内人を任された照美メイですわ。よろしく隻眼の木遁使いさん、白雷のカカシさん」とそう挨拶を交わした。

 そのまま、彼女の先導で会場を案内される。

 

「うお、思ったより凄いな」

 雪像は思ったよりもずっと立派なものだった。

 有名な建造物や、歴史上の人物に、動物を模して、ハイクオリティで作られた大小様々な雪像が軒を連ねている。

「このあたりは、一般人の公募コーナーになりますわ。もう少し南にいけば、私共霧忍が忍術も駆使して作り上げた雪像コーナーに入りますから、更に見応えがありましてよ」

 と、にこりと笑いながらメイがそう解説すると、「へえ」とオビトも感嘆の息を漏らしながら、提灯の明かりでこの広場が照らされた様子を思い浮かべて、微笑む。

 暗い冬の夜に、氷像に提灯の明かりが映えてさぞかし綺麗なことだろう。

 リンにも是非見せてやりたいものだ。

 そんな客人の様子をニコニコ観察しながら茶髪青目の絶世の美女は思う。

(これが隻眼の木遁使い(うちはオビト)……ね。うちは一族はイイ男ぞろいと聞いていたし、確かによく見ると、そこそこ可愛い顔をしているけど……なんかパッとしないというか、地味な子ね……。同じ一族なのにあの子みたいな華が無いわ。こっちの白雷のほうがまだ色男なんじゃないかしら?)

 照美メイはイイ男が好きだ。

 イケメンを見るのも好きだし、イイ男に口説かれたい……なんて願望も持っているし、一生懸命頑張っている若く純粋なイイ男がいたら応援したくなる、そういう性質だ。

 なのでつい、もし口にしてたら失礼になることを考えてしまうメイであった。

 まあ、どんな失礼なことも、態度に出したり、実際に言ったりするわけでないならセーフなのである、多分。

 ともあれ、そんな本心を知る機会がなくて幸いである。

 もしその本心が筒抜けだったならば、オビトはこう叫んでいたことだろう。

「女ってコエー!」

 と。

 彼の湯の国滞在時につけられた、女性に対するトラウマが深刻化しなかったのは幸いである。

 

 * * *

 

「しっかしおもしれーな、これ」

 日が暮れて、ポツリポツリと提灯に火がつけられるようになった時刻。

 一通りの会場の案内が終わった時点で、照美メイと別れた写輪眼の双璧コンビは、屋台で購入した一人用の鍋を手に、会場に設置された飲食コーナー……なんと、何十と作られたかまくらのうちの一つである。で鍋を啜り夕飯としていた。

 雪で出来たドームに、雪で出来た机、雪で出来たベンチに毛皮を引いただけのものであるが、これが存外見た目に寄らず温かいのだ。

 おまけに冬の暗さに、雪明かりの中提灯の明かりが映えて、なんとも幻想的な見た目である。

 たとえ提灯を子供が引っかけて引火しても、周囲は雪だらけなのだから消火も容易なあたり本当によく考えられている。

 そんな風に感心するオビトを前に、カカシはニヤリと笑いながら「お前が何を考えているのか当ててやろうか?」と告げる。

「『ここにリンもいたらいいのになー。リンに見せられなくて残念だぜ』だろ?」

 と、オビトの声音や口調に寄せながら、からかうように銀髪の友人は言う。

「おい、ばか、それオレのつもりか?」

 少しイラッとしながら声を低くし、半目で睨むも、カカシは益々おかしそうに笑うばかりであった。

 それから食べ終わるとかまくらを出て、ブラブラと屋台を見て回る。

 祭りに参加するのはこれがはじめてではないが、屋台で売っている商品のラインナップなどが水の国独特というか、火の国の祭りとはまた違って面白いのだ。

 まあ、土地柄だけでなく、開催時間と時期が方や夏の昼、方や冬の夜だからなのもあるのかもしれないが。

 そんな風に見て回っている時に、「あれ?」と聞き覚えのある子供の声が聞こえて振り返る。

 その先には思った通り、一見十年後には絶世の美女に成長しそうな美貌を持つ、黒髪茶目の美少年(・・・)が、これまた見覚えのある子供達と連れだって立っていた。

 そう、霧隠れの里滞在中にオビト達が遊び相手を務めた、霧のアカデミー生達である。

「白」

「オビトさん、カカシさんお久しぶりです」

 白は相変わらず、礼儀正しく挨拶をする。

 それに対して、他の子供達は実年齢相応に騒がしく「うちにいちゃんとたけにいちゃんじゃん!」「ひさしぶりー」などと思い思いの挨拶をして、オビトとカカシ両名に突撃をしてきた。

 よく見れば子供達の背後には一人の霧忍の大人が立っているあたり、どうやらアカデミー生達を先生が引率しての社会見学の一環としてこの場にいるようだ。

「そーそー、うちにいちゃん、おれたちもせつぞーつくったんだぜ?」

 霧隠れ滞在時、よくオビトが遊び相手を務めて懐いていた男の子が得意そうに、そう告げる。

「お、マジか」

「マジマジ。な、な、にいちゃん見たい見たい?」

「ああ、見たいな」

 そうオビトが答えると、子供は得意そうに鼻をこすりながら、「だったらおれが案内してやるよ!」と言って、オビトの手を引いてかけだした。

 視界の端ではカカシは引率である教師と挨拶をしている。「お互い大変ですね」「全くです」などと。

 お前の方が年下のくせに、保護者面してんじゃねェよこのバカカシ! と思わず思うオビトであった。

 そのまま子供達に手を引かれるままに子供達の雪像コーナーに辿り着く。

 大人たちと比べると分が悪いが、流石雪国育ちというべきか。

 概ね、子供達が思い思いに作り上げた雪像は、十分に見応えのあるクオリティであったが、一つだけ飛び抜けて完成度の高いものがあった。

 そう、白の作った雪像である。

 では、何故白の作品だとわかったかって?

 そんなもん、見ればわかる。

 こんな美化120%で、かっこつけたポーズをとった桃地再不斬の雪像を作るヤツ、他にいたらそのほうが怖い。

「……白お前、すごいな」

「頑張りました」

 えへっという声が聞こえそうな感じで頬を染めながら返す白は、性別をわかってても恋する乙女にしか見えない可愛らしさであった。

 

 

 

 雪まつり・了

 




オビト18歳の12月の話でした。

次から第四章オビト上忍師編がはじまります。
次回「孤児院」!
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