先日は沢山御馳走(感想)貰えたので張り切って続き書きましたポン。
というわけで、飯テロ回です。
リンと夕食作りをはじめてから約一時間二十分後、今夜のメニューがあらかた完成したのでオビトは子供達に声をかけることにした。
「おい、お前ら夕飯出来たから、運ぶの手伝え」
そういってオビトが呼ぶと、カブトはお茶を入れ、ウルシはリンの指示の元茶碗に炊きたてのごはんを人数分装い、シンは料理を入れた大皿を机まで運ぶことにした。
今日のメニューは、ほうれん草のごま和えに、ポテトサラダ、オムレツ。茄子の漬物に、ワカメスープ、メインディッシュにミートローフとトロトロの焼き玉葱だ。
本当は今夜はハンバーグを作る予定でミンチ肉を購入したのだが……元々はリンと二人の夕飯のつもりだったため、生憎五人分のハンバーグを作るには厳しい量だったので、急遽メニューをハンバーグからミートローフに変更したのだ。
それでも育ち盛りの男子が三人いることを思えば少し肉の量が心許なかったので、少量の砕いた荒野豆腐とチーズ、みじん切りしたマッシュルームを混ぜ込むことでかさましをしてオーブンでじっくり焼いた一品である。
因みに、ほうれん草のごま和えと、ポテトサラダ、オムレツがリンの作で、ワカメスープとメインディッシュのミートローフがオビトの作だ。茄子の漬物は、商店街にある馴染みの漬物屋でのいただきものである。
それぞれを皿に載せて配るほど食器に余裕はなかったので、ワカメスープは各自マグカップに入れて配り、大皿二つにミートローフと焼き玉葱、オムレツとポテトサラダを載せて子供達の机の真ん中に運ばせた。
オムレツもミートローフもあらかじめ切り目は入れているので、各自小皿で欲しい分だけ取ってねというスタンスである。
食後には、これまた商店街で貰ったもらい物の枇杷があるので、あとで出す予定だ。
「すっげー……こんな御馳走初めて見た」
そういってキラキラとシンは瞳を輝かせているし、ウルシとカブトも生唾を飲み込んでいる。
大袈裟だなと思わず苦笑してしまうオビトだが、考えてみたら孤児院でこういうメニューが出てくるかと言われたら……余程金と職員に余裕がある院でない限り、難しいのかもしれないと考え直す。
品数も3品もあれば多い方だろう。
戦時中育ちなら尚更だ。
「まあ、飯は逃げないから、ゆっくり食えよ」
中皿でオビトとリンの分は既にとりわけているので、そのお前達の机に置いた皿の中身は全部食べていいぞとオビトが言うと、「マジで?」と目をキラキラさせてこちらを見てくるもんだから、可愛いガキどもだなと思わず目尻が緩むオビトであった。
「じゃ、みんな食べよっか。いただきます」
そうリンが音頭を取ると、それに合わせて子供達も手を合わせて「いただきます」と唱和する。
「うまっ!? なんだこれうめえ」
やはり育ち盛りの男子たるもの、肉に惹かれるということだろう。
ミートローフを頬張ったウルシはそんな感想を漏らした。
一口噛めばじゅわっと肉汁が滴り、チーズの旨味とマッシュルームの芳香が肉と調和し、食欲を誘い、それに合わせて白米をかきこめば、至福感が口内を満たす。
それに続くように、シンもオーブンで焼かれた玉葱を口にして、吃驚したように目を見開き、「甘っ!? 先生、な、オビト先生、なんで焼いただけなのに、こんな甘くなるの?」と質問をする。
「あ? 原理なんてしらねーけど、ネギもそうだし、野菜は大体オーブンで焼くだけで甘くなるぞ」
実際玉葱なんかは皮もむかず半分に切ったものを、ミートローフを焼くついでに空いてるスペースに載せてついでに焼いただけで、塩すら振っていない。
だが、こういうのは焼き時間と温度さえ間違えなければ、調味料なんて一切使わなくても、それだけで美味いのだ。
だからそう返して、オビトはリンが作ったほうれん草のごま和えに箸を伸ばす。
うん、優しくて良い味である。
カブトはマイペースに茄子の漬物を咀嚼し、店売りの品であることを聞き出すと、どこで売っていたものなのかリンに質問し、それに穏やかな顔でリンが返答を返す。元々二人とも医療忍者ということで、面識があったからだろう、なんとも和やかな雰囲気であった。
オビトの今日はリンと二人きりの夕ご飯デートをするんだ、という目論見は崩れたが、楽しそうにはしゃぐ子供達と、それを嬉しそうに笑ってみているリンが幸せそうだから、まあいいかなと思う。
リンが幸せならオビトだって幸せだし、それにあんま良い物を食う機会もないだろう子供達が、腹一杯食って笑っているのは、とても良いことだと思う。
ミナト先生は言っていた。
『木ノ葉の子等は皆我が子であり、ここに住まう人々はみんなオレにとっての宝なんだよ』
火影というのはそういうものだと。
そして、火影はオビトの目指す目標で、夢でもある。
今はそこまでの境地には届かないけど、ならせめて自分が担当するこの子供達の親代わりであれたら、苦労も多いこの子達が健やかに育ってくれたなら、それでいいと思う。
「お前ら、食後のデザートにもらい物の枇杷があるから、これも食ってけよ。美味いぞ」
そういってオビトは席を立ち、冷蔵庫にいれて冷やしていた枇杷を、紙を折って作った箱に入れて差し出す。
「オレ、これ食うのはじめてだ」
「うまいけど種でかっ」
「甘酸っぱいね」
そんな思い思いの声を上げながら、子供達はペロリと出された枇杷も完食した。
オビトも枇杷にかぶりつく。
今朝もぎたてだという新鮮な旬の果物は、瑞々しく甘かった。
「はー食った食った」
「ウルシ、行儀悪いよ」
ポンポンと腹をさすりながら言う黒髪団子鼻の少年を見て、灰白色の髪をした少年は眼鏡をクイと押し上げながらそんな小言を漏らす。
そんな薬師兄弟を面白そうにケタケタ笑って見てから手を合わせ、シンは元気よく「ごちそうさまでした!」と食後の挨拶の言葉を口にした。
「はいはい、お粗末様でした。あ、あとで纏めて洗っておくからお前等食器は台所に運んで、水につけとけよ」
そうオビトが声をかけると、ウルシは「はいよ」と声を上げて食器を大皿に小皿をのせて纏めてシンクに運び、カブトは「いや、御馳走になったわけだし、後片付けくらいボクたちがするよ。先生達はくつろいでて」と声をかけて、腕まくりし、台所に向かった。
阿吽の呼吸で役割分担し、カブトが洗い物をし、ウルシがカブトが洗った皿を受け取り布巾で拭き、シンが机を拭いていく。
相変わらずしっかりしている子達である。
キュッキュと机を磨きながら、感心した声でシンがぼやく。
「しかし、オビト先生がこんなに料理が出来るとは思わなかったなァ。……先生はどこで料理を覚えたの?」
そう問われ、オビトは苦笑しながら気の抜けた声で答えた。
「あー、オレは物心ついた時には両親がいなくてさ、代わりにばあちゃんに育てられたんだけど、覚えて損はないからってばあちゃんに料理のいろはを叩き込まれたんだが……本格的に覚えたのは修行の旅に出てからだな。色んな店で技術とか見て盗んでさ……御陰で料理のレパートリーは随分と増えたぜ」
「……先生、それさ、一体何の修行の旅だったわけ?」
ヒクヒクと引き攣った顔で、シンは三年前カカシに指摘されたのと全く同じ指摘をオビトに放ってきた。
それにムッとして下唇を突き出しながら、黒髪隻眼の青年は言う。
「んなもん、忍術の修行に決まってんだろ! 師匠のおさんどんもしてたからそっちのスキルツリーも伸びたってだけだ!」
そう告げると、隣に座っているリンが「ぷっ」と耐えきれないっていうかのように、吹き出しておかしそうにクスクスと笑った。
「ごめ……オビト、でもふふ、おかし……」
そんな風に笑うリンに、気まずくなってオビトは頬を真っ赤にしながら俯いた。
これが笑っているのがカカシなら一発ぶん殴っているところなのだが、リンに弱いオビトが彼女に文句を言える筈がないのである。
「まあ……でも、料理は覚えといて損はないってのも事実だ。もし覚えたくなったらいつでも言えよ。協力してやる。サバイバル中に毒草と食べれる草を見分けられる事が生存をわける場合もあるだろうし、もしかしたら将来、料理人に化けての敵地潜入ミッション、なんて任務につく未来もあるかもしれないからな」
そう気まずそうに耳を染めながら、後頭部をボリボリかきつつ呟くオビトであった。
「せんせ、洗い物終わったぜ」
そう言いながら手を拭きつつ、ウルシとカブトが並んで戻ってくる。
それからちょっとだけ気まずそうにしながら、薬師義兄弟は顔を少し見合わせ言う。
「先生、その、つい乗っちゃったけど……今日って二人でデートだったんでしょ? なんか邪魔してごめんなさい」
「いや、良いって。気にすんな」
「そうだよ。楽しかったし、また私たちと一緒にごはん食べてくれると嬉しいな」
そう本当になんでもない顔をして笑うオビトとリンのカップルに、ウルシは空気を変えるように、からかうような声で言った。
「しっかし、任務は午前中だけで、午後からは急用があるから今日はもう解散だとか急に言われて吃驚したけどよ、まさかデートの為だとは思わなかったぜ!」
そうニシシと笑う黒髪団子鼻の少年の言葉を受けて、オビトは昼に火影塔に呼び出された時のことを回想する。
* * *
「破邪神楽を継承して欲しい……?」
「ん」
ニコニコと、相変わらず感情の読めない笑顔を浮かべた金髪碧眼が眩しい火影様は、まるで世間話するような声音でなんでもないように、そんな指令をオビトに下した。
「後継者はオレのほうから既に見繕っているから、三年後の武練祭を見越して、二人を育てて欲しいんだよね」
「二人ってことは……」
破邪神楽は、代々武練祭で伝えられてきた剣舞神楽を、儀式術式として筋が通るようにオビトが改変し、再構成したものだ。
本来、武練祭で舞われる剣舞神楽の理念構想は、一対の男女をそれぞれ陰と陽に見立てることで、太極を表し、その調和によって一つの宇宙を表現し、神に捧げ、加護を得る。
アレはそういう類いのものだ。
ただ、オビトの見立てではあの儀式は、術式としては未完成品で。
それを完成させる目処が立ってしまったので、そうしたのだ。
まるで何かに誘導されているかのように、それが自然だと思った。
やるべきだとどうしてか思ったのだ。
オビトの身体は三分の一が作り物である。
その右半身の多くは、その臓器に至るまで陽遁にすぐれる千手一族の……千手柱間の細胞を基調にして出来ているし、オビトに流れるその血……うちは一族の血は、陰遁に優れることで知られている。
だからか、オビトは陰と陽、どちらの力とも親和性が強い。
故に、感じていたのだ。
本来は男女一対の舞いとして、二人で表現する陰陽の調和を、自分なら一人で体現出来ると、何故か確信していた。
そして、あの日、あの新年の宴の日のことを思えば、その見立てはあっていたのだろう。
三ヶ月前、師であり、里長でもある四代目火影波風ミナトはオビトに言った。
『破邪神楽には悪意払いの結界術、という側面もある。それはつまり、悪意を持つものがこの地に踏み込むのが難しくなるってことだ。影響としては小さなものだけど、長い目で見ればその積み重ねで守れるものは増えていくように思う。だから頼むよ、オビト』
あの神楽にはそれだけの力があると確信したからこそ、オビトにそう頼んだのだ。
火影としてこの先もこの里を守る為に。
なら、オビトが急逝して絶えたりしないように、確実に継いでいけるように、次代を育てさせるのは理に適っている、波風ミナトにとって当然の結論だ。
そして、継承者が二人、ということは、オビトのように一人に陰陽を背負わせるのではなく、陰の継承者と陽の継承者を用意し、二人の継承者で共に背負えるようにしたと、そういうことだろう。
思わず、オビトはため息を一つ零す。
「……また、一から再編しないと駄目ですね」
オビトの舞う破邪神楽は、本来二人でやるはずのものを一人で体現出来るように再編されたものだ。それを二人に継承して、儀式術式として支障のないよう継承させる……となると、一人でやっていたのを二人で成せるように再調整して、編成し直すことは必然である。
はっきり言って、オビトはマトモに舞踏を習ったことなどない。
祖母は、舞手として幼い頃からずっと修練を積んできて舞姫となった人だったが、オビトは違う。
何故なら彼は武練祭の神楽のことなど、本来は門外漢だった筈なのだ。
だが何故かオビトはその舞いの本質を理解出来てしまった。
そして、あるべき形を作り上げてしまった。
否、それは正しくない。
何故か知っていたのだ、正解を。
……どうしてなのかはオビト自身が聞きたいくらいだ。
ただ理屈より先に、心が、体が理解した。
それを今度は継承する相手の為に、これから先も残していけるように、考えて再構築しなければいけないのだ。
どう考えても厄介な話である。
しかし……。
「君なら出来るだろう?」
そんな風に信頼と確信に満ちた青い瞳で見つめられたら、「出来ない」なんて返す方が有り得ない。
だからオビトは答えた。
やります、と。
* * *
(『週に二回、カブトが木ノ葉医院に研修に行く日に見てくれたらいいからね!』とか、『いやぁオビトが上忍師になってくれてて助かったよ』とか言ってたけど、確信犯だよなァ……)
上忍師には、担当下忍に対する監督責任や、指導義務が発生する。
その関係もあり、上忍師をしている期間は、普通の上忍ほど高位任務や長期任務の類いが回されることがなく、結果的に普通の上忍に比べると時間に余裕を持ちやすくなっている。
おまけに、オビトの担当下忍のうちの一人は医療忍者で、今年から始まった制度であるが、医療忍者の卵は週に二回、あの病払いの蛞蝓姫……加藤綱手の講習会に無償で参加出来るのだ。
その関係で、医療忍者を抱える下忍の班は例年よりも任務調整が入って、休みやすくなっているのだが……このタイミングで今年から医療研修をはじめたあたり、オビトが神楽の継承者を育てる時間を作るための作為を感じるのは気のせいだろうか?
いや、多分十中八九気のせいではないんだろうなーと、師の性格を思い浮かべて思うオビトである。
とまあそんなわけで今日半休だった理由は、デートの為ではなく、火影様であるミナト先生に呼ばれていたからなのだが……破邪神楽関係についでは関係者以外には口外禁止とされているので、オビトはしれっと「まぁ、そんなところだ」と返した。
こう見えて、演技はそこそこ得意なのである。
それからもう遅い時間ということで、もれなく解散した。
子供達と夕飯を共にした夜から四日後、オビトは神楽の継承者との顔合わせの為に、『木ノ葉隠れうちは歴史資料館』へと足を運んでいた。
これから三年間、長期任務で里を離れる場合を除いて、ここの貸部屋の一つで十六時から二時間、週に二回神楽を継承者となった者達に教えるのがオビトのもう一つの仕事だ。
今日は顔合わせだけだが、次回から本格的にスタートとなる。
「あれ? ミコトさん?」
そう思い、少し自分に活をいれながら歩いていると、見知った同族の女性が資料館の門の前にいるのが見えてふと足を止める。
「オビトくん、久し振りね」
と返すサラサラストレートの長い黒髪が美しい、オビトより一回り年上のこの女性の名はうちはミコト。
うちは一族族長である、うちはフガクの妻である。
「お久しぶりですね。ミコトさんも資料館の見学に?」
そうオビトが訊ねると、ミコトはにこり。
美しい顔に感情の読めない笑顔をのせて「いいえ、貴方を待っていたの」と答えるものだから、オビトは陰の継承者が誰なのかなんとなく読めてきた。
それから二人で門をくぐり、ここにきたらお決まりの「いらっしゃいませ。『木ノ葉隠れうちは歴史資料館』へようこそ。見学は大人二名様でよろしいですか?」という、資料館の受付をしているうちはのくノ一の定番台詞を聞く。
それに対してミコトは、オビトも四日前に火影様から受け取っていた青い札を見せると、「……失礼しました。廊下右奥、階段を上がって右側の部屋へどうぞ」と彼女は返した。
「オビトくんも次から受付に札を見せてね」
あ、関係ない場所まで見学していると判明したら入館料を別途請求されるから気をつけて。
そんな言葉をお茶目に笑いながら、族長夫人である女性は笑った。
そうして、予約を取っていたのだろう、階段を上がって右側の部屋へと入室する。
「ミコトー!」
はじめに聞こえたのは、そんな火影夫人である赤髪の美女が、ハートでも語尾につけてそうな甘ったるい声でうちはミコトを呼ぶ声だった。
「クシナ、サスケの事見てくれてありがとうね」
「ううん、サスケくん、大人しくて良い子だったわよ」
そういって赤髪の美女……こと、波風クシナは、顔立ちは母親によく似ているものの、後頭部の髪がツンツン立っている少年の頭を優しく撫でる。
「なー、母ちゃんオレは?」
それに、母親の袖をクイクイと引いて、金髪碧眼の幼児が少し不安そうに訊ねると、クシナは息子が可愛くてたまんないとありありと描かれた顔で微笑むと、「勿論! ナルトも可愛くて良い子だってばね~!!」なんて言いながらグリグリと撫で回した。
(えーと、オレはどうしたらいいんだ?)
そんな幼児二人と母親二人のやりとりに、困ったようにオビトが佇んでいると、クシナは「あ、オビト」と気まずそうな声を上げて、コホンと咳払いを一つ。
それからすっと雰囲気を切り替え、他人行儀とも思えるほどの保護者として、母親としての顔を浮かべて、「この子達が破邪神楽の継承者になる子達です。それではオビト先生、これからこの子達の事、よろしくお願いします」そう言って綺麗に頭を下げた。
親しき仲にも礼儀ありという。
オビトとクシナは前から顔見知りだし、それなりに親しいほうであるが、今は子供の保護者と、これから子供達に神楽を教える、その先生として立場でこの場に立っているのだ。
それに私情を挟むべきではないと、言葉にするより雄弁にその態度は語っていた。
だから、オビトもピンと背筋を伸ばし、子供達を預かる一指導者としての立場で「お任せ下さい」とそう返した。
それからしゃがみ込み、オビトはサスケとナルト、二人に視線を合わせてニッと笑い、言った。
「これからお前達の神楽の先生をやることになった、うちはオビトだ、よろしくな」
それにナルトは、いつもの母親とオビトとは距離間が違うことに戸惑っているような色を目に宿しながら「うん」と頷き、ほぼ初対面に近いイタチの弟……サスケは「……よろしくお願いします。オビト先生」そういってぺこりと返した。
その時のオビトは、無理難題を与えられたが、まあなんとかなるだろうとそう楽天的に思っていた。
……が、三週間後、オビトは無性に神楽の先生を辞めたくて仕方なくなっていた。
「なー、オビト腹減ったってばよ!! おやつ!」
「あ? オビトのくせにオレにさしずするなよ!」
プルプルと震えながら、オビトは言う。
「お、お前ら、ちっとはオレの言う事聞けー!!」
オビトはすっかりガキ共に舐められていた!
最初は普通だったはずなのだ。
なのに、やれ「なにいってんのかわからない」「にいさんのほうがおしえるのうまい「つまんない」「あきた」などなど、子供達は好き勝手しはじめて、そのうちぎゃーぎゃーと「こんなのもわからないのかよ、うすらとんかち」「んだと、このばかすけー!!」「ばかってほうがいうほうがばかなんだよ、このばーか!」「ムキ―!」など取っ組み合いの喧嘩まで始めるようになった。
毎回頑張って仲裁するのだが、そもそもオビトはそこまで子供の相手が得意というわけでもなく、最初こそ「オビトさん」とか「オビト先生」とか呼んでいたサスケも、ナルトに感化されたのか、気付いたら「オビト」と呼び捨てがデフォルトである。
オビトは甘く見ていたのだ、幼児の好奇心の強さに集中力のなさを!
ナルトもサスケも齢五歳の、今だアカデミーにすら入学していないお子様である。
彼らはまさに今なぜなに期真っ最中であり、大人ほど深く物事を考えたりもしない。自由だ。思うが儘本能的に行動してしまう部分がある、だからこそこの時期の躾がとても大事なのだ。
幼児は獣と思え、その精神がオビトにはまさに足りてなかった。
水の国滞在中はアカデミーのガキ共とは上手くいっていたし、担当上忍として、自分が担当する子供達とは上手くいっていたので、大丈夫だとそう誤解してしまったのだ。
この年齢だと一歳や二歳違うだけで、結構違ってくるものである。
つまりオビトは、五歳児に接し方を間違えてしまったのだ。
結果、すっかり子供達に舐められて現在に至る。
(……子供って難しい)
新米教師、オビト先生の苦悩はまだまだこれからである。
続く
幼少期、うちではハンバーグが滅多に出なくて、代わりに食卓に出てたのがミートローフだったんですが、自分が成人した後は逆に母親はハンバーグを作っても、ミートローフは一切作らなくなったので、何故なのか聞いてみたところ「大人数分ハンバーグを一々作るのが面倒だったからミートローフを作っていたのよ」という回答だったので、それを参考にしてみました。
因みにEKAさんはローストチキンは作れますが、ミートローフは作れないので、作り方とアレンジの仕方の参考元はクックパッドでヤンス。
次回「祭り準備①」