ガチャ×異世界=混沌   作:ロドリゲウス666

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忘れ去られていた仲間

 

 

 

25日目。

 

 徹達は、冒険者ギルド内に設置された掲示板を眺めていた。

 そこには無数の依頼が貼られている。

 冒険者の仕組みは実に簡単だ。

 

 各々、ランクと呼ばれる数字で分類されている。

 数は1から10まで。

 上に上がれば上がる程、高難易度の依頼を受ける事が出来る。

 

 登録したばかりの冒険者は、駆け出し扱いされ、ランクは1。

 基本的に、依頼は自身のランクよりも下の依頼しか受注する事は出来ず、成功した依頼の数によってランクは上がっていく。

 

 つまり、徹達が1以上の依頼を受ける為には、駆け出し冒険者専用の依頼を沢山達成する以外に道はない。

 

「メガトンサイクロプスの討伐依頼……私達が住む世界には、存在していなかった魔物ですね。ほぅ、見た目も中々に興味深い」

 

「悶絶草の採取……。悶絶草、ってどんな感じなんだろう?」

 

「ご主人様! ご主人様! この依頼とかどう? 達成した時の報酬が、結構美味しいと思うんだけど!」

 

「? …………!」

 

 女三人寄れば姦しい、という言葉がある。

 今現在、徹のパーティー構成はメイド3人にホムンクルスが1人。全て女性かつ、喧しい状況だ。

 

 当然ながら、他の冒険者達の視線も集まる。

 好奇、呆れ、嫉妬、憎悪、怨嗟、絶望……エトセトラ。

 

(まあ、注目されるのは仕方がないにしても、どうしてそんな親の仇を見つけたかのような視線を俺に向けて来るんでしょうか!? 止めようよぉ! そんな視線を向けて来るのはさぁ! 普通に怖いから!)

 

 内心で叫びながらも、徹は適当な依頼を一枚手に取る。

 駆け出し冒険者が受けられる依頼は、そこまで多くない。

 

 ましてや、初めての冒険者生活だ。

 なるべくハードルの低いものの方が良い。

 

「最初だから、この野草の採取にしておいた方が良い」

 

「えー?」と文句の声が上がるも、反論は聞かない。大体、シス達の見ている依頼は全て駆け出し冒険者では受ける事の出来ない依頼だ。

 早速、依頼の受注を行う。

 

「すみません。これをお願いします」

 

「はい。分かりました。……あ、コレを受けて下さるんですね。此方の依頼者のおばあちゃん、最近足を悪くしてしまい自分で野草を取る事が出来なくなってしまったんですよ。どうか、依頼の達成を宜しくお願いしますね」

 

「はい。分かりました」

 

 薬草の判別はやや難し目。

 だが、この場に居るのは徹も含めて5人。

 総動員すれば難しくない。

 

「という訳だから、早速依頼を達成する為に向かうぞ! そこ、明らかに嫌そうな顔をしない! 大体、お前らが見てた依頼内容はどれもこれも難しい奴だったからな! 挑んだら、普通に死んでしまうような奴ばかりだからな! マジで自重しろ!」

 

 徹達の居る場所は、迷宮都市ラビリス。

 迷宮近くにあった村が発展していき、その様な名前がついた。

 今現在は、都市と呼ばれる程に大きくなっているが、未だに発展し続けている。

 

 そんな迷宮都市のすぐ近くに存在している、平原。

 静か平原とよばれる平原に、徹達はやって来ていた。

 

「うーん? これでしょうか? ご主人様! もう一度、依頼書を見せて貰う事って出来ますか? 結構、似たような野草が多いんですよ!」

 

「うわっ、首狩り兎が来てる! お姉ちゃん! 助けて!」

 

「……妹の危機に立ち上がるのはお姉ちゃんの役目って分かってるけど、それはそれとし兎は可愛い。……ので、傷つけたくない」

 

「いや、そんな事言ってる場合じゃないだろ! アイツら、可愛らしい見た目に反して、中々凶悪なんだから!」

 

 静か平原に出没する魔物は、余り危険度は高くない。

 しかし、魔物は魔物。

 油断すれば、命を落としてしまう事に変わりはない。

 

 例えば、首狩り兎と呼ばれる兎。

 見た目は普通の兎と変わらない。しかし、獲物が自身の射程距離に入った瞬間、異常な跳躍力を見せ、鋭い前歯を使って獲物の首に飛び掛かる。

 

 尤も、首狩り兎の射程距離は短く、攻撃を仕掛けるには獲物に肉薄しなければいけない、という弱点が存在している。

 それでも、気を抜けば殺されてしまう可能性はゼロではない。

 

 危険度が低いというのは、何も魔物が無害という意味ではない。対処が容易という意味で、低いと判断されているのだ。

 原則として、どんな魔物であっても人を殺し得る可能性を秘めている。

 

 だからこそ油断は禁物だ。

 一見すると無害そうに見える。しかし、実際は獲物を狩るような目で、ゆっくりと近づいていた首狩り兎達。

 

 突如として、頭部に真っ赤な花が咲く。

 まき散らされる脳漿に、肉と血の破片。

 

「ギャァァァァァ!?」

 

 首狩り兎の近くにいたサードに付着する。

 

「な、何ですか!? 今の、攻撃!」

 

「……まさか、魔法か何か?」

 

 咄嗟に体を伏せるシス達。

 

「あ、そう言えば」

 

 ふと、思い出した。

 皆には紹介していなかったが、新たに引き当てたユニットの存在を。

 

(いや、待った。よくよく考えてみたら、普通にヤバいよな。皆には後で紹介するつもりだったけど、結局紹介していなかった上に、俺自身も忘れてた訳だし。……これ、絶対に怒ってるよな?)

 

 軽く周囲を見回してみるが『梟』の姿は何処にもない。

 直接会って話すのが一番良いが、やはり連絡を取るには彼? 彼女? のスキルを宛にするしかない。

 

 タイミングよく、徹の頭の中に響き渡る声。

 性別の判別が出来ない、ボイスチェンジャーじみた声だ。

 

『久しぶりだな、依頼主。どうやら、私の事は忘れてたようだな?』

 

「……あの、もしかして怒ってますか?」

 

『はぁ? 別に、全然、怒ってたりしていないが? 皆で楽しそうにしてるのを見て、全然羨ましいとか思ってないが! 全然紹介されなくて、寂しい思いとかしてないが!?』

 

 極めて冷静に務めようとしているものの、滲み出る怒りを抑える事が出来ないのだろう。最初は淡々とした口調だったが、次第に語気が荒くなる。

 

「いや、本当に申し訳ない! 何を言ったとしても、言い訳になるから何も言わないけど、本当に悪かった! 今更、虫の良い話だって分かってるけど、改めて力を貸してくれないか? 頼む!」

 

『……勘違いしないで欲しい。あんな事は言ったが、私は仕事を降りる気はない。単に、依頼主が私の事を忘れていなかったか、気になっただけだ。そして、依頼主は今の今まで私の存在を忘れていた』

 

「本当にごめんなさい」

 

『良い。次からは、こういった事が無いように努めて欲しい。所詮は仕事上の付き合いかもしれないが、不信感を与えるべきじゃない。改めて、仕事内容の確認だが、今現在は兎らしき見た目をした的を撃ち抜けば良い。そういう解釈で問題ないな?』

 

「うん。宜しく頼む。……只、俺の仲間が近くにいる時に撃ち抜くのは止めてくれないか? 巻き添えを食らっちゃうから」

 

『……善処する』

 

 そこで通話は終わる。

 

「ご主人様!」

 

 突如肩を掴まれたかと思えば、思い切り地面に叩き付けられる。

 

「ゴグェッ!?」

 

 衝撃が全身に圧し掛かり、声とも言えない嗚咽が漏れてしまう。

 

「な、何!? 俺、何かした!? 最近、恨みを買うような事した!?」

 

「違いますよ! ご主人様! 何処から攻撃が来ているのか分からないのですから、そんな風にボケっと突っ立ってはいけません! 狙い撃ちされちゃいますよ!」

 

 徹は立ち上がろうとするも、シスに強い力で押さえつけられている為、起き上がる事が出来ない。力が強すぎる。

 

「違う! 違うから! あれは襲撃とかじゃ無くて、俺達の新しい仲間だから! 警戒しなくても大丈夫!」

 

「へ?」

 

 その時、首狩り兎がまた赤い花を咲かせる。

 まき散らされた残骸は、サードに降り注ぐ。

 

「ギャァァァァ!? まただ!」

 

 善処するといったが、出来なかったらしい。

 

 

 

 新しい仲間である『梟』について説明しつつ、徹達は野草の採取を行う。

 最初こそ手間取ってしまったが、次第に見分けがつくようになり、何とか依頼されていた量を採取する事が出来た。

 

「とは言っても、結構時間がかかっちゃったよね。……しかも、私は兎の血やら何やらで服が汚れちゃってるし。お風呂に入りたい!」

 

「入れさせたいのは山々だが、迷宮なら兎も角、こんな場所に銭湯を出したら、面倒な事になるからな」

 

「一応、ここら辺にもお風呂が無い訳ではないですが、あんな素晴らしい場所を見てしまった後だと聊か見劣りしてしまいますね」

 

「血とか落としておかないと、シミになる。後で、メイド服貸して。お姉ちゃんが落としておいてあげるから」

 

「!」

 

 時間は過ぎ、燦燦と照り輝いていた太陽も、橙色に染まっている。

 そろそろ夜になる。

 夜になれば環境が変わる。

 

 比較的危険度の低い魔物が生息する静か平原ではあるが、夜になれば別の魔物が現れる。

 日が沈む前に、徹達は急いで帰るのだった。

 

 尚、依頼達成の報酬は1000ガレアだった。

 とても渋い。

 

 今日のガチャ。

 

 

・残り1ピース足りないジグソーパズル

 

 必ず1ピース足りなくなってしまう。

 どれだけ探しても、1ピースが見つからない。

 

 

 反応に困る結果。

 少なくとも、使い道はない。

 

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