ガチャ×異世界=混沌   作:ロドリゲウス666

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連続投稿3話目です。


一世一代の大勝負(12回目)

 

 

6日目。

 

 明日で一週間になる。

 やって来た事といえば、ガチャを引くか、人〇ゲームのパチモンで暇を潰すくらい。次第に、自分の精神がおかしくなって行くのを感じる。

 

 せめて、自分の他に誰かもう1人いてくれれば、多少はマシになったのかもしれない。

 けれどその場合は水や食料も更に必要になってしまう。

 そう考えると、やっぱり要らないかもしれない。

 

「頼む。何か、この危機的な状況を変えてくれる何かを! 何かを、俺に与えてくれ! 本当にお願いします!」

 

 携帯電話に向かって土下座を決めつつ、ガチャを引く。

 結果は、

 

 

・アイスの当たり棒。

 

 灼熱地獄ブート・ジョロキア! と交換する事ができる。

 

 

 現れたのは「あたり。もう一本」と書かれたアイスの棒。

 棒だけ貰った所で、購入したお店とセットじゃ無ければ交換する事もできない。つまり、完全にゴミ。

 徹はその場で崩れ落ちてしまう。

 

「というか、灼熱地獄ブート・ジョロキアってなんなんだよ! アイスなんだから、もう少し甘そうな名前を付けろよ!」

 

 終わった。

 終わってしまった。

 たった一回引いただけで、今日の分は終わり。ガチャの駄目な所だ。引く前は楽しいが、引く時間はほんの一瞬。

 

 おまけに、ガチャ結果は生命に直結する。

 良い物が出れば希望が見えてくるが、逆に悪い物が出ればその分絶望してしまう。

 

「せめて、1回だけとかじゃなくて、何度も引く事が出来ればなぁ……。これ、課金要素とか皆無だし」

 

 あった所で、支払いが出来るのか分からない。

 が、徹は思い出す。

 無課金だったとしても、ソシャゲを楽しむ事が出来る。頻繁にガチャを引く事が出来る、素晴らしい機能の存在を。

 

「頼む、あってくれ。……無かったらもう、詰みだ。頼む。お願い。お願いします。マジで、本当に、頼みま……あった!」

 

 暫くの間アプリを弄る。

 目当ての項目を見つける事が出来た。

 それは、ミッションと呼ばれる項目だ。

 

 画面一杯に、ズラリと並べられた達成すべき目標。しかし、並べられたミッションの一番上。そこには、既に徹が達成し終えたミッションが並んでいる。

 

「よっしゃ! やっぱり、達成してる! これでまたガチャを引く事が出来る! ……というか、この機能があった事を忘れてたのはヤバかったな」

 

 ありがたい事に、複数のミッション報酬を受け取る事が出来る、一括受け取りボタンが用意されている。

 タップすると同時に、徹はコインを入手する。

 

 

・1回、ログインしよう。

・1回、ガチャを引こう。

・アイテムを当てよう。

・5回、ログインしよう。

・5回、ガチャを引こう。

 

 

 報酬は全て1コイン。

 しかし、全部合わせればコイン5枚。

 今の徹にとっては、とても貴重だ。

 

 そして同時に、閉ざされていた希望も見えてきた。

 もしかすると水や食料が手に入るかもしれない。或いは、それら二つよりも更に素晴らしい物が手に入るかもしれない、という希望が。

 

 早速、ガチャを引く。

 一回目。

 

 

・岩盤掘削用兵器「メカモグラ」

 

 モグラのような見た目をしている、岩盤堀削用の機械。鼻の部分はドリル。両手の爪の部分は超合金でコーティングされており、スムーズに堀削を行う事が可能。

 万が一の場合は、鼻部分のドリルを射出する事も可能な上、自爆機能まで搭載されておりまごう事なき兵器となっている。

 

 

 徹の目の前に出現する事は無かった。

 代わりに「広さが十分ではありません。アイテムを倉庫に収納します」というメッセージが送られる。

 

「…………」

 

 乱れそうになる心を必死に落ち着かせる。

 落ち着け。落ち着け。

 食べ物でもなければ、飲み物でもない。

 

 しかし、兵器だ。

 

 魔物達と戦うのであれば、必須といっても過言ではない。だから大丈夫。要らない物ではない。寧ろ、流れは此方に来ているといっても過言ではない。

 

「よし。次!」

 

 二回目。

 

 

・引くと空からタライが降って来る紐

 

 名前の通り。紐を引っ張ると、引っ張った本人も含めてランダムな人物の頭上にタライが振って来る。

 タライが一体何処から振って来るのか不明。

 かなり痛い。

 

 

 現れたのは、一本の紐。不可思議な事に、何時でも引っ張られるような構図になっている。虚空に貼り付いている状態だ。

 試しに、一度だけ引っ張ってみる。

 

 ゴン! と、鈍い音と共に、徹の頭に鈍い痛みが広がる。

 かなり痛い。

 思わず、その場で蹲ってしまう。

 

 だ、大丈夫だ。まだ、大丈夫。コインは後、3枚もある。

 コレを使えば、きっと、きっと……。

 三回目。

 

 

・鈴原の学生証

 

 鈴原さんの学生証。尚、失くしてしまった当の本人はとても困っています。

 提示したら学割が効く。

 

 

「誰のだよ! いや、鈴原さんのか!」

 

 徹の目の前に現れるのは、異能学園と書かれた学生証。鈴原さんの顔写真も掲載されており、とても可愛らしい。

 と言うか、本人はとっても困ってるんだから返してあげろよ!

 

 不味い。自分の足場が崩れていくような、そんな錯覚を覚えてしまう。

 5回中の3回目。

 

 結果は良いとは言えない。

 寧ろ、悪い流れと言っても言い。

 

(どうする? 一度、ここで止めて明日の自分に任せるか?)

 

 弱気な発言。しかし、その日によって運気は異なってくる。今日は爆死したが、明日は神引きなんて事も珍しくはない。

 

(……だけど、正直にいえば限界だ。……何かが欲しい、この困窮した状況を打破してくれるような、そんな何かが。もう、明日に期待するだけの毎日なんて嫌だ! 後、もう少しだけ手を伸ばしたら、何か良い結果を手繰り寄せる事が出来るかもしれない。だったら、引く。俺は引くぞ!)

 

 四回目。

 

 

・草

 

 植物の草ではなく、ネットスラングの一種。

 www←これ。

 

 

 現れるのは、子犬程の大きさをしたWが複数個。

 苦悶の声が漏れそうになる。

 耐える。

 

「頼む! 何か、良い物が来て下さい!」

 

 願いを籠めながらガチャを引く。

 ラスト! 五回目。

 

 

・美少女メイド三姉妹。

 

 

「は?」

 

 アイテムを引き当てた際、必ず表示される説明文が存在していない。

 それ所か、そもそもアイテムなのかさえ分からない。

 

 結果は直ぐに訪れる。

 瞬きをした、その瞬間。

 

「初めましてご主人様!」

 

 徹の目の前に、三人の少女達が現れる。

 そのうちの1人。

 夕日を彷彿とさせる、橙色の髪色と、研摩されたルビーのような瞳をした少女が、恭しく一礼する。所謂、カーテシーという奴だった。

 

 どっと押し寄せて来る様々な感情。

 しかし、真っ先に徹はこう思ってしまった。

 

 不味い。一気に三人も出て来てしまった。水とか食料とか、どうなるんだろう? ガチャで全て賄うとか、無理じゃね?

 

 脳がキャパオーバーを起こすと同時に、徹は気を失ってしまった。

 三人の少女が徹に駆け寄って来たが、出来る事なら止めて欲しい。何故なら、4日前から一度も風呂に入っていない為、色々汚いのだ。

 

 臭いとか言われたら心が死んでしまう。

 

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