ガチャ×異世界=混沌   作:ロドリゲウス666

4 / 35

強そう(小並感)。


新たな仲間、その名は美少女メイド三姉妹!

 

 

7日目。

 

 普段の地面の固い感触とは違う。

 柔らかい感触。

 徹はゆっくりと目を覚ます。

 

 眼前に飛び込んで来るのは、見知らぬ美少女が1人。

 彼女は誰?

 

「お目覚めになりましたか? ご主人様? 急に倒れてしまった時は心配しましたが……どうやら大丈夫なようですね。安心しました」

 

 腕を伸ばし、髪を撫でて来る。

 本当に誰だ?

 美人に頭を撫でて貰えた嬉しさよりも先に、恐怖を抱いてしまう。

 

「……えっと、貴方はどこの何方様でしょうか?」

 

「あ、私とした事がうっかりしていました。初めまして。私の名前はシス。シス・ランタンと言います。ランタン家の次女であり、ご主人様にお仕えするメイドの内の1人です」

 

 太陽のように眩しい笑顔を向けて来る、シスと名乗る少女。

 だんだんと思い出して来る。

 昨日。徹はミッション報酬として手に入れたコインを使い、彼女を――基、美少女メイド三姉妹を引き当てたのだ。

 

(というか、明らかにアイテムじゃないよな? 人……もしかして、ガチャから出て来るラインナップって、アイテムと人で分かれている?)

 

 ゲームでもよくある方式だ。

 

「と言うか、どうして膝枕してくれているのでしょうか?」

 

 ――膝枕。

 

 そう。今現在、徹はシスの膝を枕にして眠っていた。

 出来れば止めて欲しい。

 徹は2日前からお風呂に入っていない。幾ら清潔であるように心掛けていても、限度という物がある。

 

 おまけに、シス達が身に纏う衣服はメイド服。上等な生地を使用しており、汚れてしまっては申し訳がたたない。

 

「ご安心下さい。ご主人様。なにも、ずっと私が膝枕をしてる訳ではありません。三姉妹でそれぞれ、時間を決めて順番にご主人様に膝枕をしているんです」

 

 全然安心できない。

 1人だけでも不味いのに、三姉妹全員で交代制。ヤバイ。不味い。恥ずかしい、というレベルではない。

 

「あの、もう止めても大丈夫です。というか、俺、今までお風呂に入っていなくて、体も汚いので……あの、本当に……」

 

「はい。今のご主人様は汚いかもしれません」

 

 よし、死のう。

 汚い上に臭い。美少女の口から、直接そのような事を言われたのだ。

 

 死んで償わないといけない。

 徐に立ち上がり、壁に頭を打ち付けて死ぬとする。

 

「な、何をしてるんですか!? ご主人様!? ちょっ、姉さん! サード! 早く、早く止めないと!」

 

「死んじゃ駄目」

 

「離せェェェェェ! 俺は不潔なんだ! 楽にさせてくれェェェェ!」

 

 ポニーテールに結ばれた、青髪のメイドと、ツーサイドアップに結ばれた、緑髪のメイドの2人に両腕を掴まれてしまう。

 

 今までまともな食事を取っていないのが災いした。

 まともに身動きが取れない。

 

「だ、大丈夫だよ。ご主人様。確かに、ご主人様から変な匂いとかするけど、全然私達なら我慢できるから……」

 

「うん。死ぬわ」

 

 頭を打ち付ける事が出来ないなら、舌を噛み切って死ぬのみ。

 

「サード! 貴方は、どうしてそんな事を言うの! 幾ら本当の事とはいえ、言って良い事と悪い事があるでしょ!」

 

「お姉ちゃん! お姉ちゃんも言ってる! ご主人様の傷口を、抉っちゃってるから!」

 

 2人だけでは止められないと判断し、シスも参戦。

 必死になって、徹の自殺を止める。

 

「俺を死なせてくれェェェェェ!」

 

 美少女に臭いと言われた。

 汚いと言われた。

 もう、生きている意味なんてない。

 徹は心の底から絶叫するのだった。

 

 

 

「結局、三人って一体なんなんですか?」

 

 3人の尽力もあり、徹は自殺する事を止めた。

 しかし、心は死んでいる。

 臭い。汚い。

 

 脳裏を過るのは、小学生時代のトラウマ。

 隣の席の女子が落とした消しゴムを拾った際、嫌そうに顔を顰めた上に、舌打ちされながら「……汚な」と呟き受け取った苦すぎる思い出。

 

 以降、彼女と関わる事は無かったが、彼女は今も元気にしているのだろうか?

 

「ご主人様の疑問は尤もだと思います。ですが、私達はご主人様に仕えるべきメイド。敬語など不要です。普段の口調で話して下さい」

 

「え? いや、それはちょっと……」

 

 断ろうとしたが、シスは悲しそうに目を伏せる。

 卑怯だ。

 これでは断る事は出来ない。

 

「分かったよ。普段の口調で話せば良いんだろ? 分かったから、そんな顔をするのは止めてくれ」

 

「ありがとうございます。話を戻しますが、ご主人様が聞きたい事は恐らく、私達はなんなのか? という事ですよね?」

 

 徹は頷く。

 ガチャからアイテムが出て来るのはまだ良い。

 訳の分からない品が出て来る事も、100歩譲ってもまだ良い。

 

 だが、人間が出て来るというのはどういう事なのか?

 アイテムだけではなく、人間までもが出て来てしまうとなれば、自身が持つスキル「ガチャ」の評価を改めなければいけないかもしれない。

 

(……いや、そうでも無いか。ガチャから出て来る物って、大半がガラクタだし)

 

 脳裏を過ったのはガチャを引いた際に出て来た成果の数々。

 要る物よりも、要らない物が多いというのはどう言う事なのだろうか?

 

「最初に言うと私達三姉妹は人間です。人族、と言い換えても良いかもしれません」

 

「って事は、元々多数の種族が生きている世界に住んでいた、って事なのか?」

 

 徹の質問に対して、シスは頷く。

 

 若干、予想していた事ではあったが、如何やらシス達も異世界の住人らしい。彼女達の身なりから予測するに、恐らくはここと同じファンタジー世界の住人。

 

「ですが、何故私達がここに召喚されたのか? その、具体的な理由まで分かりません。……いえ、覚えていないと言った方が良いと思います」

 

「私達には召喚される前。直前の記憶がない」

 

 青髪の少女が水晶のように澄んだ瞳で、虚空を見つめつつ言う。

 シスから、姉さんと呼ばれていた少女だ。

 名前は……。

 

「そう言えば、自己紹介がまだだった。私の名前はメイドル。三人の中で、一番のお姉さん。宜しく」

 

「お姉ちゃんの言う通り。気が付いたら、ここに居たって感じだよ。けれど、私達が何をするべきなのか? とか、与えられた力をどの様に扱えばいいのか、とかは何となく理解する事が出来るんだよね」

 

 メイドルからバトンタッチされるように、補足説明を行うのはニコニコと笑うツーサイドアップの少女。

 三姉妹の中で一番幼く、悪戯好きな笑みを浮かべている。

 

「確か、君はサードって名前だったよな?」

 

「そうだよ。三姉妹の三女。サードちゃんでーす! 宜しくお願いしますね。ご主人様」

 

「こら! ご主人様に対して、そんな失礼な態度を取るんじゃありません!」

 

 サードの軽すぎる態度に、シスの拳骨が炸裂。

 その場で悶絶してしまう。

 

「具体的に説明して貰う事って可能か?」

 

「はい。私達のすべき事は、ご主人様のメイドとして誠心誠意お仕えする事。そして、与えられた力と言うのは……恐らく、ご主人様が持っている魔道具で見る事が出来ます」

 

 魔道具? と首を傾げてしまうが、恐らくは携帯電話の事だ。

 促されるがままに、徹はアプリを開く。

 

「あ、新しい項目が増えてる」

 

 項目の名はユニット。

 デフォルメされたイラストと、美少女メイド三姉妹という名前。

 取り敢えず、タップしてみる。

 

 

・メイドル・ランタン。

 スキル『ドジっ娘』『呼出:ウィンドワンド』『作成:オムライス』

 

・シス・ランタン

 スキル『ドジっ娘』『呼出:水の珠』『作成:カレーライス』

 

・サード・ランタン

 スキル『ドジっ娘』『呼出:ヒートクック』『作成:ハンバーグ』

 

 

 三人の持つスキルがズラリと並ぶ。

 

(あれ? 俺が召喚された時に聞いた話だと、スキルは原則1人1つまでって話だったんだけど……)

 

 それも気になるが、それよりも気になる物があった。

 

「あのさ。『ドジっ娘』ってスキルを三人とも持ってるけど、これってどういうスキルなんだ? 何というか、字面からヤバそうな雰囲気が漂ってくるんだけど」

 

「ああ。それはですね……」

 

 説明しようと、此方に近づいてくるシス。

 何も無い場所で、突然すっ転んだ。

 

「ヘブッ!」

 

「お姉ちゃん!? 大丈……ヘブッ!」

 

「2人共、だいじょう……ヘブッ!」

 

 倒れたシスに駆け寄ろうとしたサードも、勢いよく転ぶ。

 2人を助けようとしたメイドルも勢いよく転ぶ。

 

 何となく、スキルの詳細が見えてきた。

 同時に1つのユニットであるにも関わらず、3人現れた理由も。

 

「……こんな感じです」

 

「ゴミスキルじゃねぇかァァァァァ!」

 

 徹は思わず叫んでしまった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。