ガチャ×異世界=混沌   作:ロドリゲウス666

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骨折り損のくたびれもうけ

 

 

 

 新たな仲間が3人加わった。

 しかし、現状の問題は何も解決していない。

 スキル関連で気になる物は幾つもある。だが、それよりも優先すべきなのは、水と食料。

 

「確かにそうですね。後は、ご主人様の体も奇麗にしたい所です」

 

「体が汚い事は何も言わないでくれ! 俺が悪い事は分かってるが、死ぬぞ? 俺の精神は死ぬし、肉体的にも死ぬぞ! 主に、俺の自決によってな!」

 

「お、落ち着いてよ。ご主人様」

 

 トラウマを刺激され、声が荒くなる徹。

 サードは困惑しつつも、宥める。

 

「因みになのですが、ご主人様。ここら一帯の周囲に、水場などはありましたか?」

 

「水場? ……いや大量の魔物に追われていたから、そんなの気にしている暇は……いや、確か、あった気がする」

 

 記憶を漁ってみれば、その様な場所があったかもしれない。

 だが、周囲には魔物がいる。

 

 おまけに水場までの距離はここから遠い。

 危険だ。

 

「大丈夫ですよ。ご主人様。私達にお任せ下さい」

 

 自信をもって、そう断言するシス。

 メイドルとサードの2人も力強く頷く。

 

 本来であれば、止めるべきなのかもしれない。だが、喉は渇いていた。空腹で体力が限界ではあるが、それと同じくらい水分を接種したい。

 

「分かった。お願いしても良いか?」

 

「はい。お任せ下さい!」

 

 

 

 周囲を観察して、魔物の姿が無い事を確認。

 忍び足で、4人は洞穴から出る。

 

 水場までの道のりは、徹しか知らない。

 その為、徹が3人を先導する形で水場まで進む。

 

「よし。……それじゃあ、早速目的地まで向かうぞ」

 

 洞窟という事もあり、物陰になりそうな巨大な岩が幾つも存在している。身を隠しつつ、ゆっくりとではあるが水場に向かう。

 しかし、早速躓いてしまう。

 

「あ」

 

 まともな食事を取っていないせいで、上手く力が入らない徹。

 地面の窪みに足を躓いてしまい、勢いよく倒れる。

 

「ご主人様!? 大丈夫ですか!?」

 

 徹が倒れたのを見て、慌てて駆け寄るシス。

 彼女も転ぶ。

 何も無い場所で。

 

「グェェッ!」

 

 2人が倒れてしまう。

 その音を聞きつけ、物陰から顔を出したのは一体の魔物。

 筋骨隆々の肉体に単眼。

 

 以前、徹が大量の魔物に追いかけまわされる事になった元凶だ。

 目が合う。

 

 ――不味い。

 

 魔物は咆哮を上げようとする。

 急いで止めなければいけない。

 が、どうやって? 徹が持っている武器で使えそうな物は拳銃(コピー品)だけ。一度も撃った事はない。

 

 狙いが外れてしまうかもしれない。

 しかし、それでも……。

 

「私に任せて下さい。ご主人様」

 

 立ち上がったシスは、魔物へと肉薄。

 足払いを行う。

 

「!?」

 

 予想外の攻撃。

 ましてや、倒すのではなく、相手を転ばせる為の攻撃。

 魔物は勢いよく転倒。

 

「サード!」

 

「分かってるよ! お姉ちゃん!」

 

 立ち上がろうとする魔物。その顔面目掛けて――一体何処に隠し持っていたのか?――フライパンを叩きつける。

 

 熱されていたのか、ジュッ! と肉が焼けるような音が、僅かに耳朶を打つ。

 余り激痛に、立ち上がる事も忘れてその場で悶絶する魔物。

 

「それじゃあ最後は宜しくね!」

 

「うん。分かった」

 

 顔を覆い、悶絶している魔物。

 

 その口の中に、無理矢理棒らしき物をツッコむのはメイドル。

 彼女は冷ややかな視線を向けたまま、小さく呟く「吹き荒れろ」と。瞬間、激しい風が発生。しかし、その全てが魔物の口内のみに向けられる。

 

 暴れていた魔物は、数秒後にピクリと動かなくなった。

 

「倒した、のか?」

 

「はい。私達4人の勝利ですね!」

 

「いや、凄い。滅茶苦茶凄い……けど、2人が持ってたフライパンや、棒みたいな物は……あ、もしかしてスキルなのか?」

 

 シス達3人は、それぞれスキルを3つ持っている。

 1つは『ドジっ娘』と言う、ドジっ娘らしい失敗をしてしまうスキル。しかし、残りの2つは詳しく知らなかった。

 

「はい。ご明察です。ご主人様」

 

「私が持っているのはヒートクック。魔道具って呼ばれている品で、魔力を流す事によって底の部分が熱くなるんだよ」

 

 ツーサイドアップに結んだ緑色の髪を揺らしつつ、自身が持つ道具を丁寧に説明してくれるサード。

 

「私が持っているのは、ウィンドワンド。これも魔道具で、魔力を流す事によって風を発生させる事が出来る。本来は、掃除などに使うけど、あんな使い方も出来る」

 

 顎で、魔物の死体を指し示すメイドル。

 魔物の死体を見たが、とてもグロテスクだった。

 

「今の戦いで、魔物達が来る……って事はないか。助かった」

 

「今度からはあのような事が起こらない様に、慎重に進みましょう」

 

「ああ。俺も気を付ける。因みにだけど、シス達の持っているスキル『ドジっ娘』って、如何にか出来たりしないのか?」

 

「無理だよ。常時発動型だから」

 

「マジでゴミスキルだな。『ドジっ娘』」

 

 

 

 その後も、何度かヒヤッとした場面に遭遇しながらも、何とか水場に到着した。

 どうやら徹の見間違いでは無かったらしい。

 

 やや小さめの穴から水が流れ込み、溜まっている。

 大量の水に思わず唾を飲んでしまう。

 

「待って下さい。ご主人様。水場を見つける事が出来たのは幸いですが、飲む事が出来るかどうかは分かりません」

 

「……確かにそうだけど、どうやって確かめるんだ?」

 

「ふふん。ご心配には及びません。私が持っているスキルの中に、何とこの水が飲む事が出来るのか、否かを判別する事が出来るんです!」

 

「え!? マジで!? もしもそれが本当なら早速……って、シスが持っているスキルの中にそんな物あったか? 確か水の珠を呼び出せる、みたいなのがあったけど、ソレを使って水を浄化させるとか?」

 

「いいえ。違います」

 

「違うんだ」

 

 だとすれば、残っているのは『作成:カレーライス』のみだが、カレーライスの作成と飲み水の判別がどう関係するのだろうか?

 全くもって分からない。

 

 うんうんと頭を悩ませている徹をよそに、自身の両手を使って水を掬うシス。

 彼女の掬っていた水が、突如としてカレーになった。

 

 水なんて何処にも存在していませんでしたよ、と言わんばかりに。湯気を立て、食欲をそそられるカレーに。

 

「……どうして、カレーになったの?」

 

「先人曰く、このような言葉が存在しています。カレーは飲み物だ、と。つまり、飲み物=カレーに変換する事が出来るんです。だから、ここの水は飲んでも大丈夫です!」

 

「…………」

 

 一体、どんな反応をすれば良いのか分からず、額に手をあて天井を仰ぐ徹。

 

(うん。まあ、水がちゃんと飲めるなら、別に良いかぁ)

 

 色々とツッコみたい所は沢山あったが、徹はツッコむのを止めた。

 無事に水場を見つける事は出来たが、水が必要になった時、いちいちここに赴くのは危険過ぎる。

 

「せめて何か、器になりそうな物があれば……あ。そう言えば」

 

 ふと、思い出した。

 器を呼び出してくれる道具の存在を。

 

 

 

「ご主人様。水を運ぶ為の器が見つかった事は喜ばしいのですが、どうして私達の頭上から振って来るんですか?」

 

 未だに痛みが引かないのか、顔を顰めつつタライを持つシス。

 その中には、汲んだ水が入っている。

 

「仕方がないだろ? この紐は、ランダムな相手の頭上にタライが振って来るんだ。……ランダムって所に悪意があり過ぎると思うが」

 

 当然ながら、徹もタライを食らった。

 しかも、2回も。

 運が悪い。

 

 彼も同じように、水を汲んだタライを持っている。

 空腹で力が入らなかったが、シスがスキルで作ったカレーを食した事で、ある程度力は戻った。

 

「私としては、お姉ちゃんは一度も食らってない事に納得が行かない! これ、とっても痛いんだよ! 是非とも私達と同じ痛みを味わうべきだよ!」

 

 口を尖らせて、文句を言うサード。

 

「私、痛いのは嫌いだから」

 

 妹の抗議など知らぬ、とばかりの素振りを見せるメイドル。

 しかし、ほんのお詫びとしてなのか、サードが運ぶ分のタライも請け負っている。水も溜まっている為、かなりの重量になると思われるが、表情は無のまま。

 

 全くもって動じていない。

 そんなこんなで、洞穴まで到着。

 戦果は上々。

 

「あ、そう言えば今日の分を引いて無かったな」

 

 アプリを開き、ログインボーナスのコインを1枚使ってガチャを引く。

 まあ、今日もガラクタだろう。

 

 

・銭湯

 

 全国チェーン展開されている、有名な銭湯施設。

 湯船以外にも、様々な要素が充実しており、口コミの評価は高い。

 休日は、よく家族連れのお客様が来店する。

 

 

 あ、今日1日の成果が全て無駄になった。

 

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