死んでいません(大事なことなので)
長文へのリハビリがてら、4つ目のパラレル作品を公開させていただきます。これを出していいものか悩みましたが、少しばかり変化球的な作品になりました。
また、アンケートで1位となった「約束された気絶のみのり」も公開しましたので、宜しければそちらもご覧ください。
他パラレルと同じように駄文ですので、閲覧の際にはご注意ください。
※意味のない空白は作っていません。
【誰かの家】
──この家には、この部屋には、昼夜を問わず音が少ない。
キーボードを叩く音。マウスを滑らせる音。時折、ヘッドホンから漏れる微かなメロディ。それ以外の音は、ほとんどないと言っても過言ではない。
事実、俺が来るまではそうだった。
この家の住人は音楽を作ること以外にまるで関心がなく、部屋は散らかり放題だわ、ご飯は基本的に3食全部カップ麺やら缶詰やらで済ませるわ、空気清浄機はフィルター掃除されてないわ……といった有様で、到底まともな暮らしをしているとは言い難い状態だった。
そう考えれば、今俺と彼女の生活がここまで改善されたのは目覚ましい成果というべきなのかもしれない。
「奏」
部屋の扉を開け、俺が背後からこの家のもう1人の住人の名前を呼ぶと、ジャージに身を包んだ少女──宵崎奏の指が少しだけ止まった。
「飯、出来てるぞ」
部屋の中で鳴り続けていたキーボードの音が止まった。画面から目を離してこそいないが、こちらの声はちゃんと聞こえているようだった。
「……待ってて。あとちょっとだから」
「1時間前にも聞いたぞ、それ」
すでに日は落ちきっており、時計の針は7を回っている。6時頃に「そろそろ飯にする」とちゃんと言っておいたはずなのだが、当然というべきか集中モードの奏には聞き流されてしまったらしい。
奏はしばらく黙っていたが、やがてヘッドホンを外した。
「……分かった。今行く」
最近は、俺が言えば一応聞くようになった。しかし反面、俺が何かしらの形で止めなければいつまでも作業を続けてしまう。だから、適度に俺がブレーキをかけて止めなければならない。奏的には「夏夜が止めてくれるから大丈夫」とでも思っているのかもしれないが……。こっちとしてはかなり複雑な気分になる。
「さっさと来い。冷めるぞ」
「うん」
奏は椅子から立ち上がると、机の上に置いてあったスマートフォンを手に取る。食事中にまで曲を作り始めるつもりではないだろうな、などと思いながら見ていると、奏は俺の視線に気づいたらしく、スマートフォンをポケットへしまった。
「……見ないよ」
「まだ何も言ってないぞ」
「顔に書いてあったから」
「はいはい」
奏はときどき、妙なところで察しがいい。もっとも、自分の体調や生活習慣に関することとなると、その察しのよさはどこかへ消えてしまうらしいが。
俺の足音の後ろを、奏の小さな足音がついてくる。以前は、奏を食卓まで連れてくるだけでも一苦労だった。声をかけても返事がなく、ようやく部屋から出てきた頃には、料理がすっかり冷めていることも珍しくなかった。今は、2、3回声をかければ必ずやって来る。それを進歩と呼んでいいのかは、少し悩むところだ。
「今日は何?」
「見れば分かる」
「まだ見えないから聞いてる」
「生姜焼き。それなりに上手く出来たからな」
「……そっか」
興味があるのかないのか、いまひとつ分かりにくい反応だった。
もっとも、奏は食べたくないものが出てきた時でもだいたい同じような反応をする。一応臭みのあるもの以外であればなんでも食べられるようなのだが、実のところ、まだよく分かっていない。食卓には、すでに2人分の食事が並べられている。
──豚の生姜焼きに、千切りにしたキャベツ。加えて、豆腐とわかめの味噌汁。そして冷蔵庫に残っていた香の物の並び。夕食としては理想的だろう。奏は自分の席に座ると、何か言いたげに目の前の料理をじっと見た。
「何だ」
「……なんだか、多くない?」
「どうせ昼飯抜いただろ。腹減ってると思ってな」
俺がいる間の食生活はある程度改善されてきているが、いなくなった瞬間奏の生活リズムはガタガタになる。昼食をカップ麺やエネルギーメイトで済ませようとするのはザラだし、なんならご飯を抜いたり椅子の上で力尽きたように寝落ちしていることも少なくない。
カップ麺や缶詰のごみが特に増えてなかったことを鑑みるに、どうせ今日も昼飯を食べてないのだろう。見慣れた光景ではあるが、率直に心配にもなる。
俺は向かい側の椅子に腰掛け、箸を手に取った。
「いただきます」
「……いただきます」
2人分の声が重なった。
箸が食器に触れる音。味噌汁の椀を置く音。キーボードやマウスとは違う、ごくありふれた生活の音が食卓に響く。奏は生姜焼きを一口食べると、何も言わないままもう一口食べた。食べ進めてくれているあたり、どうやらお気に召したようだと勝手に解釈する。
「味、濃くないか?」
「大丈夫」
「そうか」
「うん。──おいしいよ」
少し間を置いてから付け足された言葉に、俺は箸を止めた。奏からそんな言葉を聞けるとは思わなかったのだ。
「……急にどうした?」
「聞かれたから答えただけだけど……?」
「聞いたのは濃いかどうかだぞ」
「じゃあ、言わない方がよかった?」
「別にそうは言ってないだろ」
素直に褒められると、どう反応すればいいのか分からなくなる。
今食卓に並んでいるのは、別に大した料理ではない。レシピを見れば、誰でも作れるようなものだ。とはいえ奏が箸を止める気配はないので、作った甲斐はあったのだろう。
「夏夜は、今日は曲を作らないの?」
「食い終わったら少しやるつもりだ」
「……どれくらい?」
「奏ほどじゃない」
「答えになってないよ」
口数が多くなった奏に呆れながらも、同時に感慨深く思う。
俺が食事の時間に奏を部屋から引っ張り出していた頃は、こんなふうに会話をすることもほとんどなかった。最低限の食事を済ませるとそのまま部屋に戻ってしまっていたからだ。しかしいつからか食事中にこんな他愛もない会話をするようになり、今ではごく稀ではあるが自分から食卓に着くようにもなっている。大抵は俺に呼び出されてから来るのだが、それでも部屋から引っ張り出されることはまずなくなった。
「最近、妙に口が回るようになったな」
「夏夜がいろいろ言うからだよ」
「悪影響を与えたみたいに言わないでくれ……」
奏は小さく首を傾ける。本気で意味が分かっていない顔だった。
こういう時だけは年相応に見える。いや、普段が年不相応に危うすぎるだけなのかもしれない。
「はぁ……。今日は日付が変わる前には終わる。たぶんな」
「……たぶん?」
「明日も学校とはいえ、進捗次第だからな」
「……そっか」
俺は奏と違って普通に学校に通っているので、どうしても夜更かしをすると翌日の学校に響いてしまう。俺まで起きられなくなってしまったら、それこそ一巻の終わりだ。
それからしばらくは、食器の音だけが続いた。会話が途切れても、特に気まずさはない。奏は元々、それほど話す人間ではない。俺も四六時中喋っていたいような性格ではないので、これくらいがちょうどいいのかもしれない。同じ空間にいて、それぞれが黙って食事をしている。ただそれだけの時間のはずなのに、いつの間にかその時間が当たり前のものになっていた。
すると、不意に奏が口を開く。
「夏夜」
「なんだ?」
「明日、いつ帰ってくる?」
「いつもと同じくらいだと思うが……。何かあるのか?」
「……別に。なんでもないよ」
奏はそう言って、味噌汁を口に流し込んだ。何もない時の聞き方には見えなかったが、本人が言うつもりがないのなら無理に聞き出すことでもないだろう。
「買ってきてほしいものがあるなら、今のうちに言えよ」
「……特にないかな」
「分かった」
「……でも」
そこで奏が、一度言葉を切る。次の言葉には、妙にしっとりした雰囲気が秘められていた。
「遅くなるなら、連絡してね」
「はいはい」
それだけ答えると、奏は少しだけ安心したように箸を動かし始めた。
──特に親でもないはずの奏が、なぜ俺の帰宅時間を気にするのか。俺が学校があるという時によく聞かれるようになった質問だが、俺はその理由を深く考えてはいなかった。まあどうせ、俺が帰らなければ夕食を作る人間がいなくなるから、みたいなところだろう。というかそもそも、普段から作業に集中しているであろう奏が俺からの連絡をすぐに受け取るとは考えにくいのだが。
食事を終えた奏が、空になった皿を見下ろす。
「ごちそうさま。美味しかった」
「そいつは何より」
「洗うの、手伝った方がいい?」
「ああ、問題ない。その代わり、今日は早めに寝とけよ。それにお前、昨日風呂入ってないだろ?」
「うっ……」
風呂入ってないのくだりはカマかけだったのだが、どうやら反応を見る限り図星らしい。相変わらず、俺が見てないところの生活リズムはボロボロのようだ。奏は渋々といった様子で「分かった」とだけ言うと、自分の食器を流しまで運んでから、部屋の方へ歩いていった。その背中を見送り、俺は食卓に残された食器を重ねる。
世間一般で見れば、俺たち2人の生活はかなり歪んでいるものなのだろう。
(……ま、こんな生活も悪くはない)
ただ、少なくとも──以前よりは、まともな生活になった。
その事実があれば、俺にとっては十分だった。
──────
十数分後、食器を洗い終えた俺は部屋へ戻る。
しばらくして、浴室の方から微かに水音が聞こえた。どうやら奏は素直に風呂へ入ったらしい。
「毎日入ってほしいんだがな……」
誰に聞かせるでもなく呟き、部屋の扉を閉める。机の上に置いたノートパソコンを立ち上げ、ナイトコードを起動した。
すでにログインしている名前は2つ。「えななん」と「Amia」だ。そのうちAmiaの名前欄には、ミュートを示す表示が出ている。作業中なのか、それとも単に席を外しているのか。あの気まぐれ猫の場合、どちらもあり得るから推測が難しい。
気にすることでもないだろうと割り切ると、そのまま俺もナイトコードでのハンドルネーム──”
「来たぞ」
『あ、朔月。遅かったじゃない』
形式上の挨拶をすると、すぐさまえななんから返事が来る。こういう時真っ先に返事をするのは、いつも決まってえななんかAmiaのどちらかだ。
「Amiaは?」
『さっきからミュート。何してるかは知らない』
「ま、いつものことだな」
『まあね。戻ってきたら勝手にしゃべり始めるでしょ』
「違いない」
俺は保存してあったデータを開きながら、椅子に腰を下ろした。
『Kはどうしたの?』
「今風呂入ってる」
『……ちゃんと入ったんだ。Kのことだから、後回しにしそうなのに』
「実際後回しにしようとしてたし、昨日も入ってなかったみたいだったからな。さすがに入らせた」
『前から思ってたけど、朔月ってなんだかKの親みたいなところあるわよね……』
「同居人が生活感のせの字もない生活してるんだぞ? 気にもなるだろ」
『ま、それもそっか』
えななんは小さく笑う。
それから少しして、Amiaのミュート表示が消える。まもなく聞こえてきたのは、もうすっかり聞き慣れた軽い調子の声だった。どうやら今日も通常運転らしい。
『ただいまー。あ、朔月いるじゃん! やっほー』
「戻ったか」
『おかえり。何してたの?』
『ちょっとお菓子取ってきてた』
『え、それだけでずっとミュートしてたの?』
『それが途中で面白い動画見つけちゃってさー。つい夢中になっちゃったんだよね~』
『作業しなさいよ』
えななんの声が一気に大きくなる。いつも通りの漫才めいたやり取りに、俺は思わず苦笑せずにはいられなかった。
こうしていると、ただの雑談にしか聞こえない。だが、これが俺たちの温度なのだ。この何気ないやり取りも、今ではすっかり日常の一部になっていた。
そうしていつも通りの作業を始めてから数時間後。ようやく、ナイトコードに全員がログインしてきた。
──作曲担当の“K”。作詞・編曲担当の“雪”。イラスト担当の“えななん”。動画担当の“Amia”。そして、作曲・編曲両方をアシストする俺こと“朔月”。
これが、Kこと奏を中心とした音楽サークル・「25時、ナイトコードで。」のメンバーだ。
「この時間に全員揃うのは珍しいな」
『んー、確かにそうかも』
俺の気付きに、Amiaが同調する。
現在時刻は午後9時前、生活リズムが崩壊していることが確定しているKこと奏やえななん、隙あらばナイトコードに出没しているAmiaはともかく、現役の高校生で、しかも予備校通いまでしている雪がこの時間にログインしているのはなかなかに珍しい。
奏は風呂から上がった後、髪を乾かすのもそこそこにナイトコードへ入ってきたようだ。今頃は自分の部屋で、乾ききってない湿った髪のまま画面に向かっているのだろう。とはいえここで指摘するようなことでもないと割り切り、早速進捗確認へと移る。
「K。どこまで進んでる?」
『……ラフはほとんど出来たよ』
「分かった。ファイル投げといてくれ」
『うん』
奏はいつも通り、作曲に集中しているようだ。
……同じ家の中にいるんだから直接話せばいいのかもしれないが、生憎奏の部屋のデスクは俺のノートパソコンを置いておけるほど大きくない。それに奏はともかく、俺にもプライベートというものがある。そういう事情があるので、基本的にナイトコードを繋いでいる間はそれぞれの部屋で話している。
「雪は歌詞と編曲、どうなった?」
『歌詞は2番までは作れたよ。編曲の方は、新曲のラフを聴いてからかな』
「仕事が早いな……」
いつものことではあるが、雪の作業速度はサークルの中でも随一だ。おまけに作詞も編曲も非常に腕が立つ。才能と言ってもいいのかもしれない。
「えななんは確か、イラスト書いてる途中だっけか」
『そうなんだよね。昨日送ってもらった曲を聴いて何パターンか考えたんだけど、まだ決め切れなくて』
「なら、完成した部分からでいい。そうだな……。2時間くらい後を目安に一度見せてくれ」
『え、2時間? ちょっと短くない?』
「別に重く受け止めなくていいぞ。方向性を確認したいだけだからさ」
『ん~……。分かった。やってみる』
えななんはどうやら難航しているようだ。
絵についてのことは正直俺にはよく分からないが……それを抜きにしても、イラストというのは大事な仕事だ。イラストだけでも、作品のイメージが固まることは少なくない。それをえななんはよく分かっているのだろう。
「Amiaは、そのラフを聴いてから動画の構成を考える形でいいか?」
『うん。じゃあボクはそれまで動画に合う素材探しでもしてよっかな』
「ああ、それで頼む」
Amiaについては、特に語ることはあまりない。
雪ほどではないが、Amiaが作業に詰まることは少ない。ただ役割的に、曲作り担当の俺たちに動きがない限り動けないのがネックではある。それでもAmiaの作るMVは、俺たちの作る曲の世界観を広げるのに一役買っている。
『朔月の方は、どんな感じ?』
「次出す曲のミックスは大体終わった。あとはKのラフ次第ってとこだな」
『さすが朔月、仕事早いね~』
「はいはい……。んじゃ、俺はラフ聴くから一旦落ちるぞ」
『じゃあボクも作業に戻ろっかな。ちょっと試したい素材もあるし♪』
「わたしも作業に戻る。朔月、この後意見を聞かせて」
「ああ、聴き終わったら行く」
そのままマイクをミュートに切り替え、ヘッドホンをつけ……奏から送られてきた音源を再生する。新しく追加された部分を再生すると、昨日聞いたそれよりも音がいくつか増えている。曲の構成が変わるレベルの派手な変化ではないが、曲の底に沈みこむような低音が加わったことで、全体の雰囲気はかなり変わっていた。
ラフを聴き終えた俺は、そのまま奏の部屋に赴く。
……ナイトコードでの会話はそれぞれの部屋でとは言ったが、それはあくまで進捗確認などの話。曲作りに関して雑談なしで直接意見を言いたいのであれば、直接赴いた方が早い。
奏は作曲に集中していると周囲の音が聞こえなくなる節がある。そのせいでこっちからの通知がスルーされることが何度かあったために「なら伝えに行く方が早い」という結論に達し、それがデフォルトとなってしまったのだ。
奏の部屋に入ると、奏がこちらを振り向く。どうやら珍しくヘッドホンを外していたようだ。
「奏。低音、増やしたのか?」
「……うん。どうだった?」
「悪くなかった。ただ、入りの部分だけ妙に重すぎるな。雪の歌詞と合わせるなら、もう少し控えめにしても違和感はないと思う」
「どこ?」
「んーと……。あった、ここだな」
そのまま奏のパソコンのファイルを開くと、該当箇所を指し示す。
「ここだけ、妙に重すぎる。フレーズ単体で聴けば悪くないんだが、雪の歌詞が乗ると少し息苦しくなりすぎると思う」
「……じゃあ、減らした方がいい?」
「減らすというか、タイミング次第ってとこだと思う。音量を少し落として、入りを遅らせればちょうどよくなるんじゃないか?」
「分かった。やってみる」
奏は短く答えると、すぐにマウスへ手を伸ばした。
普段は行動に時間がかかる奏だが、音楽に関することについての切り替えはやたらと早い。俺が指し示した箇所を再生しながら、低音の入り方を細かく調整していく。
何度かの調整の末、出来上がった音楽は先ほどよりも沈み込み方の柔らかい音へ変わっていた。
「……どうかな?」
「ああ。さっきよりは歌詞を邪魔しないと思う。雪にあとで意見を聞いて、合わせてみようか」
「うん」
奏はそのまま作業へ戻ろうとしたが──そうは問屋が卸さない。
さっき奏が曲作りに集中している隙に、俺は奏の髪を少しだけ触った。やはりというべきか、ドライヤーなんてものはほぼしていなかったらしくやたらと湿っていた。俺は机の端に掛けられていたタオルを手に取り、湿ったままの髪へ放り投げる。
「あと、髪くらいちゃんと乾かせ」
「……あとで乾かしちゃダメ?」
「前科があるからダメだ」
「でも、今いいところだから」
「風邪引いて作業できなくなる方が困るだろ。乾かしてやるから、じっとしてろ」
奏は最初こそどこか不満そうにこちらを見たものの、最終的には根負けしたらしくこちらに身体を預けてきた。
「……分かった。じゃあ、お願い」
「はいよ」
そのまま近くに置いてあったドライヤーを手に取り、奏の髪を乾かしていく。
……最初こそいくら声を掛けても曲作りを優先していた奏だが、今ではある程度素直に受け入れてくれるようになった。とはいえ俺がこうして指摘しない限り湿った髪のまま何時間も作業を続けるのだから、喜んでいいのかは微妙なラインだ。
髪が長すぎてドライヤーが億劫、という気持ちも分からなくはないのだが、日中は眩しいからという理由で床屋に行くどころか外に出ようともしないので髪は伸び放題だ。そのくせしてやけに髪質はいいので、俺の中では奏の髪質は永遠の謎の1つになっている。
数分かけて奏の滑らかなロングヘアーを乾かし終えた後、去り際に俺は言葉を交わす。
「調整したラフは共有フォルダに入れればみんな聴くはずだ。俺は一旦戻る」
「うん。──夏夜」
「なんだ?」
「……ありがとう」
「別に。それが俺の仕事だからな」
それだけ返し、俺は奏の部屋を出た。
自室へ戻って改めてナイトコードへ入ると、えななんは先ほど話していたラフの作業を進め、Amiaも見つけてきた素材をいくつか共有していた。俺もマイクのミュートを解除し、奏が調整した音源を待ちながら、それぞれの作業へ意見を返していく。
それからの時間は、いつも通りに過ぎていった。奏の作った音へ雪の歌詞と編曲を重ね、違和感のある部分を俺が拾う。曲の形がある程度見えてくれば、えななんがイラストのラフ画を共有し、AmiaがMVの構成を組み立てていく。誰かの作業が止まれば自然と別の誰かが声をかけ、必要なデータが足りなければ催促する。
……俺が奏からの誘いでニーゴへ加わる以前は、奏か雪が作業の流れを作っていたらしい。だが奏は曲に集中すると周囲が見えなくなり、今でも俺たちからの通知すらろくに届かないことが多々ある。どう考えても他人を引っ張れるようなタイプではない。雪も雪で自分の仕事は圧倒的に早いものの、どうにも人を動かすことには向いていないように思える。
結果として、今では俺が全体の進み具合を見ながら歯車を回すことが増えていた。別に仕切り役になりたかったわけではなく、このサークルの中で一番全体像が見えているのが俺だったというだけの話だ。
そうして作業を続けているうちにあっという間に日付は変わり、時計の針は2時頃まで進んでいた。
雪は「明日が早いから」と一足先にログアウトし、奏は奏で途中から返事が弱弱しくなり始めた。何のことはない、椅子の上でガクンガクンと眠りかけていただけの話だ。前の日から徹夜していたので当然だろう。誰がどう見ても寝落ち一歩手前の状態だったが、それでもまだ続けようとする奏を半ば強引にデスクから引き剥がしてベッドへ押し込んだ結果、ナイトコードに残ったのは俺とえななん、Amiaの三人だけになっていた。
曲の方もひとまず区切りのいいところまで進んでいたことから、張り詰めていた作業の空気が緩み、自然と会話も取り留めのない雑談へ移っていった。
『それにしても、朔月って本当にKの面倒よく見てるよねー』
そんな中、Amiaが感心したような、面白がっているような声で会話を始める。
「……そもそもあいつは昨日から寝てないからな。放っておいても寝るとは思うけど、生活リズムがこれ以上狂ったらたまったもんじゃないだろ」
『普通はそこまでしないと思うけど?』
「同じ家で暮らしてる人間が倒れたら、こっちも困るんだよ」
俺がそう返すと、えななんが小さく笑った。
『なんだか朔月って、きょうだいがいたら面倒見よさそうな感じする』
「まあ、現に妹いるしな……」
『やっぱり?』
嘘を言う必要もないのでハッキリ言ったが、思いのほかAmiaからのリアクションはオーバーなものだった。
そういや、妹がいるって明言したのはこれが初めてだったか。
「何がやっぱりなんだよ」
『だって、Kの面倒見るの慣れてる感じするし』
『確かにね~。じゃあじゃあ、昔のKってどんな感じだったの?』
えななんまで、当然のように話へ乗ってくる。
どうやらあの2人の中で俺は奏の兄だというのは確定事項のようだ。まあ同じ家で暮らしてるわけだし、その結論に辿り着くこと自体は不自然ではないだろう。
しかし、昔の奏について聞かれても……どう答えたものやら。解答に少し困ってしまうな。そうして少し頭をひねった後、当たり障りのない答えを返すことにした。
「……昔は、よく笑う女の子だったんだけどな。ちょっといろいろあって、あまり笑わなくなったんだ。家族の時間ってのを取れてなかったからかもしれないな……」
『そっか……』
Amiaの声から、先ほどまでの軽さが少しだけ消える。
言葉にしてから、自分でも随分と曖昧な言い方をしたものだと思った。家族の時間を取れなかったというより、俺の家にはそもそもそれを取ろうとする余裕も、習慣もなかったというべきだろう。家族全員で遊びに出かけた記憶など、小学生の頃を最後に1つも思い出せない。
それでも、今ここで詳しく話すようなことではない。
『でも今は、朔月と一緒にいるんでしょ? やっぱり、心配だったりする?』
今度はえななんが尋ねてくる。今度の回答はやけにスムーズに口から出た。
「そりゃあな。俺に似て生活習慣が乱れてるから……ちょっと心配になるな」
『それ、ちょっと当てつけも入ってない?』
「少しな。とはいえ、俺もこの時間まで起きてるから人のこと言えないんだが」
『それもそうだね~』
軽い調子でそう付け足すと、えななんとAmiaは揃って小さな笑い声を漏らしていた。この話題はそれ以上深く掘り下げられることなく、別の雑談へと流れていく。
俺はそこで一旦ミュートにすると、凝り固まった身体をほぐすためにとびきりの背伸びをした。
「く……あ、あぁ~……」
背伸びを終え、少しばかり脱力して背もたれに身を預ける。
深夜の自室を包む静寂の中、俺は今頃眠っているのであろう妹に想いを馳せた。
──それから目を覚ましたのは、まだ朝日が昇っているかどうかも怪しい頃だった。どこかぼんやりとした頭のまま時計へ目を向けると、短針は5を指している。
「……5時か」
奏をベッドに押し込んだのが2時頃で、そこからあの2人と多少会話をしてから眠ったはずだから、時間的には3時間も眠っていないことになる。完全に寝不足だ。
我ながら、随分と半端な時間に目が覚めてしまったものだと頭を抱える。もう一度眠ろうと目を閉じてみたものの、一度冴えてしまった意識はなかなか眠気を取り戻してくれない。しばらく布団の中で粘った末、俺は諦めて身体を起こした。
さすがにこの時間から本格的に曲を作る気にはならない。とはいえ一度目を閉じたところで、眠れる気もしない。朝食を作るにしても早過ぎる。
結局俺がとった行動は──何をするでもなく机へ向かい、ノートパソコンの電源を入れることだった。薄暗い部屋の中で画面だけが白く光り、ブルーライトが眠気の残る目に少しだけ刺さる。
「眩し……」
画面の明るさを落としながら、何となくナイトコードを起動する。こんな朝早くなのだからさすがに全員ログアウトしているだろうと思っていたのだが、予想に反してログイン中の表示が
──“えななん”と、“雪”。
(……雪が、こんな時間に起きてるのか?)
えななんは俺が眠る前からログインしたままだったから、ずっと作業を続けていたのであれば納得できる。
だが、雪は一度ログアウトしていたはずだ。明日が早いと言っていたのだから、そのまま眠ったものだと思っていたのだが……なぜログインしているのだろうか。
少し気になり、そのまま自らも通話へ入る。
「……おはよう、でいいのか?」
『うん。おはよう、朔月』
俺が挨拶をすると、すぐに返事があった。間違いなく雪の声だ。どうやら夢ではないらしい。
「ずいぶん起きるのが早いな」
『朔月も早いね。ちゃんと眠れたの?』
「Kをベッドに放り込んだ時点で2時前だったんで、3時間寝てるかどうかだな」
『それは、寝たうちに入らないんじゃないかな……?』
客観的に見てもあまりに短い睡眠時間は、どうやら雪にまで呆れられてしまうレベルだったらしい。
一瞬「雪だって人のことは言えないんじゃなかろうか」とも思ったが、その文句を口に出すことはしなかった。
「俺もそう思う。妙な時間に目が覚めて、そのまま眠れなくなった」
『私も同じかな。途中で目が覚めちゃって』
「明日……いや、もう今日か。とにかく、早いんじゃなかったのか?」
『うん。だから、もう少し寝ておきたかったんだけどね』
雪は困ったように小さく笑う。
その喋り方は普段他のメンバーを交えて話している時と比べても、ずいぶん柔らかい口調だった。そのまま、少しだけ会話が途切れる。何か話さなければ気まずい、というほどでもない。だが、わざわざ通話へ入っておいて黙り続けるのも妙な話だ。
そんなことを考えていると、スピーカーの向こうから微かな音が聞こえてきた。
「くぅ……。んん……」
──時折聞こえる寝言のような声と、小さな呼吸音。今の今まで雪と会話していたから気付かなかったが、どうやら誰かが寝ているらしい。
そして今その可能性があるのは、1人しかいないだろう。
「……なあ、雪」
『どうしたの?』
「えななん、寝てないか?」
『かもしれないね……。私がログインした時から、ずっと返事がないし』
どうやら珍しく、ミュートを切り忘れたまま寝落ちしたらしい。奏はよくやるが、えななんが寝落ちをかますとはなかなかに珍しい。
ちなみに、ニーゴ内で寝落ちをするのは9割方奏だ。
『遅くまで作業してたのかもしれないね』
「だからって、繋いだまま寝ることはないだろ。完全に恥だろ」
『起こした方がいいかな?』
「いや、寝かせておいてやろう。どうせ起きたら自分で気づく」
『そうだね』
時折聞こえてくるえななんの寝息を除けば、通話は静かなものだった。奏とAmiaはすでにログアウトしている。えななんも眠りこけている以上、会話できる状態ではない。実質的に今ここにいるのは、俺と雪だけだった。
……珍しく2人きりということで、雪についていろいろ聞いてみることにした。
えななんが起きる可能性だけが唯一の心配要素だが、前にえななんは自分で「一度寝るとなかなか起きれない」と語っていたし、声量を抑えて話せば別に邪魔する心配もないだろう。
「そういえば、雪の通ってる学校って女子高なんだっけか」
『そうだよ。よく覚えてたね?』
「……一応な。しかも予備校にも行ってるんだろ?」
『うん。学校が終わった後に行ってるよ』
高校生活に、予備校に、サークル活動……。雪はそれだけのタスクを、いつも滞りなく回しているという。いつ聞いても頭が爆発するような話だ。しかもこれで学校での成績も優秀だというのだから恐れ入る。
「それでいつも深夜まで作業して、朝早くに起きてるのか」
『いつもは6時半とかなんだけどね……。今日はたまたまだよ』
「普段も大して変わらなくないか? 4時に寝てることだってあるだろ」
『朔月だってそうでしょ?』
「そりゃ、そうだがな」
──実のところ、俺が雪とまともに2人きりで話したことはほとんどない。えななんとは現実で顔を合わせたことはないが、ナイトコードで夜通し話したことは何度かある。Amiaとは現実でも面識がある。だから本名も知ってるしなんならAmiaの抱える事情も結構深いところまで知っている。奏に至っては、今更説明するまでもない。
だが雪とはニーゴに入ってから一度も現実で会ったことはないし、ナイトコードで2人きりになったこともほぼなかった。どちらかがログインしていないか、他の誰かが必ず会話に混ざっていたからだ。
『朔月は、どんな学校に通ってるの?』
「俺か?」
『うん。そういえば、ちゃんと聞いたことなかったから』
「……普通の高校だよ。わざわざ言うほど面白い場所でもない」
『そうなんだ。でも、学校に通いながら音楽も続けてるのはすごいと思うよ』
雪のその言葉を聞いて、そう言えばと思い直す。
確かに、よくよく考えればニーゴの中でまともに学校に通っているのは俺と雪だけだ。
奏は通信制だからそもそも通っていると言えるかどうか怪しいし、えななんは昼夜逆転生活で朝まともに起きれないんで、定時制に通っていると聞いている。Amiaは単純にサボりだ。そもそも学校に来ないんで、平日の昼間でもお構いなしに家からログインしてくる。
つまり平日の昼間にログインできないのは、サボること無くきちんと学校に通っている俺と雪くらいなのだ。
「ま、お前ほどじゃないと思うけどな」
『そうかな?』
「学校に予備校、その上ニーゴだろ。どう考えても雪の方が忙しい」
『大丈夫だよ。最初は忙しかったけど、最近は慣れてきたからね』
「……信用ならないな」
──実際大丈夫ではあるんだろうが、どうしても、その言葉には反応してしまう。
なにせ俺の同居人は、「大丈夫」という言葉がこれ以上なく信用ならない人間だ。大丈夫と言って作業を続けて、気付いたら寝落ちしていた、あるいは腹が減って動けなくなっていたなんてこともあったからな。
『どうして?』
「Kも同じようなこと言って、そのまま倒れかけたからな。しかも一度や二度じゃない」
『あはは……。私は倒れないから、安心していいよ』
その返し方に、俺は少しだけ苦い笑いを返した。
そのほかの話題も、他愛のない話だった。学校のこと。生活時間のこと。互いの普段について、知っているようで知らなかったことを少しずつ言葉にしていく。けれど、不思議と会話が途切れることはなかった。
窓の外はまだ薄暗い。朝と呼ぶには少し早すぎる時間の中で、えななんの寝息を挟みながら、俺と雪はしばらくそんな話を続けていた。
『そろそろ朝ごはん食べないと。じゃあ、またね』
「ああ。またな」
小一時間くらい話しただろうか、いつの間にか、カーテンから漏れ射す日光が眩しい時間帯になりだしていた。俺もそろそろ、2人分の朝食を作らねばならないだろう。
雪がログアウトすると、それまで時折聞こえていた声が途切れ、部屋には再び静けさが戻った。カーテンを開けはなって背伸びをすると、先ほどまで交わしていた雪との会話を思い出す。
「まともに話したのは──
3年ちょっと。
……あの牢獄を抜け出してから随分と長い時間が経ったものだ。
(俺をここに置いてくれている奏には、改めて感謝しなきゃならないな)
そんなことを考えながら、俺はすっかり日常となった朝食づくりのために台所へと向かっていった。
……ああ、そういえば。
今まで、俺自身のことをきちんと話していなかったな。
俺の名前は、
音楽サークル『25時、ナイトコードで。』の作曲・編曲補助を担当する“朔月”。
そして、“雪”こと朝比奈まふゆの──
──
というわけで、題名から察せられる通りニーゴパラレルでした。時系列的にはメインストーリー開始の数ヶ月前くらいです。
奏の家に住んでいるのに実は朝比奈家の人間だった……というちょっとしたミスリード作品です。ヒントは意外とあちこちにあります。
夏夜は朝比奈家を出て宵崎家に定住するようになってからというもの、1度も家に帰っていません。ただし父親とは定期的に連絡を取り合っているので、父親は夏夜がちゃんと生きていることを知っています。一方、宵崎家で暮らしていることは知りません。
まふゆママは夏夜が生きていること自体は父親経由で聞かされていますが、出奔以降会ったことはありません(そもそも夏夜が絶対に会いたがらないので)。
生死も含めて何も知らないのはまふゆだけです。興味がないのではなく、第2の夏夜にならないよう、まふゆママが意図的に教えていません。
【朝比奈夏夜】
朝比奈家に生まれた長男。まふゆの1学年上なのだが、まふゆは早生まれなので生まれ年は2年違い。
中学卒業直後にトランク1つだけを持って朝比奈家を出奔して以降行方知れずに。その後数日間は当てもなく街を彷徨っていたのだが、紆余曲折あって奏の家に同居人として居つくことになる。ニーゴでは「朔月」という名前で作曲・編曲を補佐する立場にある。
母親の過剰な抑制によって溜まったストレスが才能のリミッターを外したため、どの才能も犠牲にすることなく無条件にすべての才能を同時に100%発揮することが可能となっている。なおこの世界でもボカロPとして活動しているが、名義は「三日月夜」ではなく「夏宵P」。奏からニーゴに誘われたのもこのボカロPとしての活動がきっかけ。また音を聞き分ける能力が本編の夏夜以上に高められており、その関係で雪の声を1度聞いただけで”雪”が妹であると看破してしまった。
出奔以降まふゆママのことは一貫して「あれ」・「あいつ」呼ばわりで一切母親呼びをしておらず、もはや母親と思っているかどうかも怪しい。母親について触れられるだけでも不機嫌になるレベル。
家事代行として家にやってくる望月穂波に対しては“宵崎夏夜”と名乗っており、奏の従兄として振る舞っている。
【宵崎奏】
同居人が出来て孤独ではなくなった音楽少女。
ある日外出中にダウンした際、そこを通りがかった夏夜に助けられる。その後トランク1つで街を彷徨っているという夏夜を放っておけず、家に置いてあげることにした。最初こそ「ただの同居人」という認識だったが、夏夜が割と世話焼き気味だったこともあり数カ月もすればすっかり夏夜なしの生活が考えられなくなっており、結果的に依存気味になってしまっている。矢印の強さは間違いなく夏夜が奏に向けるそれよりも数倍強い。
夏夜が宵崎家に定住することを決めた際には内心めちゃくちゃ喜んでいた。なお奏は無意識で夏夜のことを新しい家族と認識するようになっているが、本人はまだその自覚がなく、夏夜もそれに気付いているかは定かではない。
【朝比奈まふゆ】
多分一番境遇が悲惨な人。
兄がいる間はどうにか感情の喪失を免れていたのだが、中学3年生に上がる直前で夏夜が出奔。それにより崩壊が加速してしまった。原作通り感情が無くなっているものの、兄への感情だけは「寂しい」・「会いたい」といった形で残っており、行方知れずになってから3年経った今なお兄についての情報を探し求めている。
兄の凄まじい音楽の才能を知っている。雪、あるいは「OWN」として活動するようになったのは失った自分を見つけるためというのももちろんあるが、「夏夜が見つけてくれるかもしれない」という僅かな望みに賭けている部分もある。
夏夜には声質で一方的に正体がバレているが、まふゆの方は一緒に活動している“朔月”こそが兄であるとは気付いていない(そもそも夏夜は余所行きモードに声を変えているので、気付けという方が無茶)。
【東雲絵名】
原作とあまり変化はない。
ただしこの世界のニーゴの中では現状唯一リアルで夏夜と会ったことがなく、また夏夜に本名を知られていない。
【暁山瑞希】
この世界でもあまり変わらず。
強いて違いを挙げるとすれば、本編では中学時代の屋上で出会っていたのがこの世界ではニーゴ経由に変わっていることと、夏夜に一方的に自らの秘密を暴かれたことくらい(それ以外は本編夏夜とほぼ大差なく、秘密に関しても夏夜は『だったらどうした』と流している)。
ちなみに、夏夜が朝比奈家から出奔してきた人間であることは知らない。
(蛇足)
ヒントは以下の通りです。
・初手から遠回りに「元々この家の住人ではなかった」と取れる言い回しがある
・作中の「特に親でもないはずの奏が~」という文は「奏は肉親ではない」とも解釈できる
・昔の奏のことを聞かれてなぜか言葉に詰まっている
・作中において、夏夜は「奏が妹だ」とは一言も言っていない
・「雪とはニーゴに入ってから一度も現実で会ったことはない」は、逆を言えば「ニーゴに入る前の雪(まふゆ)とは会ったことがある」とも取れる
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