個人的原作ブレイクその1です。
今回「あるキャラ」が大変な目に遭います(暴力沙汰ではないです)。また、相当の文章崩壊が予想されます。
「あるキャラ」というのが誰かはおおよそ予想がつくと思いますが、閲覧の際にはご注意ください。
【星乃家】
一歌にギターを教え出してから、しばらくして。ついに、俺の耳に吉報が舞い込んできた。
「お兄ちゃん、私やったよ! また、志歩とバンドができるんだ!!」
「……! やったな、一歌。俺も嬉しいぞ」
「お兄ちゃんがギターを教えてくれたおかげだよ」
「いや、一歌が頑張ったからだ。一歌の諦めない心が、実を結んだんだよ」
あれからついに一歌と咲希は演奏を認められ、志歩との復縁を成し遂げた。どうやら一歌たちの本気は、志歩のお眼鏡にかなったようだ。
ちなみに志歩にとっては一歌たちの練習の成果が想像以上だったらしく(咲希に関しては見てないので分からないが)、志歩にメッセージアプリで「一歌に何をしたんですか?」と聞かれた。何が何だか分からなかったので質問を返したところ、「初心者にしては出来があまりにも良すぎた」らしい。
そうは言っても、俺は普通に練習に付き合っただけなのだが。ともかく、元の関係に戻れたということは大きな進展と言えるだろう。
進展と言えば……司は類の勧誘に成功したという。そのまま類を巻き込んでフェニックスワンダーランドのステージの1つで「ワンダ―ランズ×ショウタイム」というユニットを結成、早速ショーをすることになったらしい。いつもの如くメチャメチャ大声で報告してきたので、周囲の人が呆れていた。しかも中庭で。マジであいつはスターになるうんぬんより先に「TPOを弁える」ということを覚えるべきだろう。
……もっとも、そのすぐ後に木からクモが降りてきたんでそれどころじゃなくなったのだが。
だが、今の司はどこか不安になる。声高らかに「俺はスターへの第一歩を踏み出すのだ!!」とか堂々と言っているが……。なんというか、俺から言わせてみれば危なっかしい。
それこそ、いつの間にか
(あとは……穂波か)
穂波と確実に出会う方法は、ある。そして、「善は急げ」ともいう。俺は早速準備に取り掛かり、行動を起こすべきだろう──そう思った矢先のこと。
……志歩と一歌たちが和解してから1週間と数日後。俺は一歌から、衝撃的な相談を受けることになる。
「お兄ちゃん。ちょっと、相談があるんだけど……」
「珍しいな。どうした?」
「実は──」
その相談の内容は、俺が周到に準備していた穂波との仲直り計画をすべて忘却の彼方へと追いやってしまうにはあまりにも十分すぎた。
やがて話を一通り聞き終えたが、正直なんて答えたか覚えていない。ただ、部屋を去っていくときの一歌の横顔。それが、酷く辛そうに見えたのだけは覚えている。
「穂波……!!」
……こうなってしまってはもう一刻の猶予もない。穏便に解決するつもりでいたが、一歌が沈み、咲希が泣いた以上、俺も我慢の限界だ。
俺は予定を根底から覆し、
(自分の都合で咲希を泣かせたんだ、それ相応の責任は取ってもらうぞ……!)
【宮益坂】
そして、決行当日。俺は宮益坂にあるパン屋の前で張り込みをしていた。穂波は(俺調べによると)1週間に少なくとも3回、このパン屋に立ち寄る。その理由は簡単。アップルパイだ。
そう、望月穂波という人間はアップルパイが大好きなのである。それも、正直異常と言えるレベルで。10個単位での購入などもはや見慣れた光景だ。数年前、一緒にアップルパイを買いに行ったときに何のためらいもなく「アップルパイ18個ください」と言い放ったときは俺も驚いた。しかも店員が「いつもありがとうございます!」って言ってたんで更にびっくりした。1個は俺に渡す用のものだったらしいが。
じゃあ残りの17個はどこ行ったんだって?
……ハッキリ言おう。家族にあげる予定の3個を除いて、14個
さらに言えば、そんな物凄い量のアップルパイを食べていれば普通すごい勢いで太ると思うのだが、穂波が太る気配は一向にない。さすがに見えないところでダイエットしているのだろうと思いたいが、そうでなければ食べたアップルパイのカロリーはどこへ行っているんだろうか。
そうして張り込むこと数分。やはりというべきか、穂波はパン屋に現れた。いつもの通り大量のアップルパイを買ってご満悦の穂波。
──今から俺は、そのご満悦な顔を一気にどん底に落とすのだ。俺の行いは苛烈極まりないことだと重々理解している。正直心が痛むが、もう覚悟は決めてきた。タイミングを見計らい、俺は穂波の前に現れる。
「穂波」
「ひゃっ……!? な、夏夜さん!?」
突如として目の前に現れた俺を見て、穂波はいつになく取り乱しているようだった。
「久しぶりだな」
「は、はい……」
「少し話したい。時間はあるか?」
「あ、えっと……。大丈夫です」
「よし、じゃあ行くぞ」
立ち寄ったのは、あの日志歩とも話した公園。この公園にはあまり人が来ないのだ。
ここならば、遠慮なく話せるだろう。
「ま、座ってくれ」
「あ、はい……」
ベンチに腰掛ける穂波。それを見た俺は、穂波の目の前に立つ。
今度ばかりは、絶対に逃がさない。
「それで、話したいことってなんですか……?」
「導入に入るのもめんどくさいから、率直に言おうか。穂波は、
「え……?」
「穂波は一歌たちのことが好きなのか、嫌いなのか、どっちだ?」
「えっと、その……」
やっぱり、悪い癖は直っていなかった。
他人の意見はよく聞く穂波だが、自分のことになると途端にどもってしまうのだ。割と昔から穂波はそうだったが、その傾向が顕著になったのが、中学生の時。そして俺は穂波が一歌たちから距離を取った理由も、そこにあると思っている。
あの時一歌から聞いた話の真相。今ここで、それを確かめる。
「じゃあ、もっとわかりやすい質問にしようか。穂波は、一歌たちと一緒にいたいのか?」
「……いいえ。今は、正直そうは思えないんです」
「……なんでだ?」
「一歌ちゃんたちにも言いましたけど、わたし……怖いんです。誰かから仲間外れにされるのも、悪口を言われるのも、笑われるのも……怖くて仕方ないんです……」
本来なら、この話に耳を傾けていただろう。だが今の俺はそうはいかない。あえて冷たい反応をするよう意識しつつ、穂波の話を促す。
「はあ……それで?」
「だから……だれともつきあわずに、同じクラスの人だけと仲良くしようって……。でも……そうしたら……『友達』って何なのか……分からなくなって……」
「……」
穂波の話す声は、だんだんと小声になっていく。
なるほど。どうやら志歩から聞きだした「ハブられてた」発言は嘘ではないらしい。それも、誰にでも母親のごとく優しさをふりまく穂波のことだ。余計にダメージは大きかっただろう。
だが、それ以上に今回の出来事は看過するわけにはいかなかった。咲希は形だけでも許したようだが……咲希を泣かせたこと、そして一歌を悲しませたことを許すつもりはない。
俺は一度心の中で調子を整えると、即座に心を鬼にする。最終手段……即ち、これ以上ない方法で穂波を追い詰める決断は、とっくにとうに下されているのだから。
「なるほど……。穂波の言い分は分かった。要はもう孤立したくないから、一歌たちと距離を取ったってところか」
「……はい」
さあ、ここからだ。
ここからが、俺と穂波の精神比べだ。俺の精神がすり減って、追い詰めるのに耐えきれなくなったら、穂波の逃げ勝ち。向こうが先に感情を吐き出せば、俺の勝ちだ。
「──だったら、
「……!?」
「隠しても無駄だ。一歌から全部聞いた。お前……咲希になんて言ったんだ?」
「あ……わたし……」
「お前は咲希を泣かせても、一歌を悲しませても、なんとも感じなかったのか?」
逃れようのない事実を立て続けにぶつけられた穂波は泣き出しそうだった。
しかし、ここで手を緩めては、俺が心を鬼にした意味がない。穂波の本当の想いを引き出せない。俺は言霊を放ち、立て続けに穂波を追い詰めていく。
「自分の身を守るためなら幼馴染を泣かせてもなんとも思わない。悪く言われるのが怖いから、二度と孤立したくないから。その為なら、大切な友達を捨てても構わない。……お前、いつからそんな薄情な人間になったんだ?」
「ち……ちが……」
「違わない。ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染ですら、
痛いところを突かれたようで、穂波は黙りこくってしまう。
その痛々しい姿に感じるものはあったが、ここまで来たらもう引き返すことはできない。
──だから、もうここで決めてしまおう。
「お前には今から、俺の言うことを聞いてもらう」
「え……?」
「お前は、もう二度と一歌たちに関わるな。今のお前と関わると悪影響しかない。一歌たちに話しかけることも許さないし、金輪際俺はお前に関わらない。文句は言わせんぞ」
「い……いや……!」
「嫌? なんでだ? 自分が傷つくのが嫌なんだろ? なら、これ以上ない解決法だろ。それともなんだ? この期に及んで諦められないとでも? 友達じゃないって言ってたよな? ……なら、さっさと頷け。それくらい出来るだろ?」
「──嫌ですっっ!!!!」
ついに、穂波の感情が爆ぜた。誰もいない公園に、穂波の涙声が響き渡る。
……久方ぶりに聞いた、穂波の大声だ。だが、俺が待っていたのは「それ」なのだ。
(そうだ……。それでいい。全部、全部……今までため込んできた想いを、曝け出せ)
「なんだと?」
「わたしは……っ! 一歌ちゃんも!! 咲希ちゃんも!! 志歩ちゃんだって!! 諦めたくない……! 諦めるなんて、出来ないっ……!!」
「で? だからどうした? それで終わりか?」
「諦めたくない、ないからっ……! もう一度……一歌ちゃんたちと会わせて……話を、させてください……!!」
「……
顔をぐしゃぐしゃにしながら激情を吐露する穂波にはもう、口調を取り繕う余裕すらないようだった。
でも──だからこそ、次に穂波が言った言葉は、俺の心に響いた。
「わたしは……わたしはまた……4人で一緒に……
「……」
(やっと、言えたか。遅いんだよ……ったく)
ああ、やっとだ。ようやっと、穂波の本音を引き出させることができた。俺の心の中の何かが、ようやく晴れた気がした。
──辛かったはずだ。心無い言葉を浴びせ続けた俺も、それを正面から受け続けた穂波も。
「もう一度だけ聞く。穂波は一歌たちと一緒にいたいのか?」
「……はいっ。私は、一歌ちゃんたちと、みんなと一緒にいたいです……っ!!」
その言葉にもう、迷いや躊躇は感じられなかった。
俺は天を見上げ、静かに笑みをこぼす。
「──言えたじゃないか」
「え? あ……」
「そう。それが穂波の本心だ」
「……!」
穂波はようやく、自分の気持ちを言えたことに気が付いたらしい。
そうなったところで俺は、穂波に最後の説教を始める。
「中学生の時、穂波に何があったのか俺は知らない。俺も聞かなかったし、言われなかったからな。そこは俺の責任でもある」
実際、穂波が変わっていたことに気づいていて放置を選んだのは昔の俺自身だ。もし昔の俺が手を差し伸べていれば、こんなこじれたことにはならなかったかもしれない。
だが、穂波の方にも問題はあった。
「けど……穂波はもう少し俺たちを……一歌たちを頼れよ! 友達なんだろ!? 幼馴染なんだろ!? この数年間……。一歌は! 咲希は! 志歩は! 穂波がこうして正直に話してくれることを、ずっと待っていたんだぞ……!?」
「え……そんな……」
「あいつらの心の奥にあるのは、幼馴染を大切に思う心だけだ。志歩だって、やり方は悪かったけどな、幼馴染を大事に思ってたからこそ離れたんだ……。それに一歌たちは、辛い時、悲しい時、お前の力になろうとしたはずなんだ! でもお前はなんだ!? 自分の偏見で、あいつらを自分から見限ったんだ……!」
「──っ!!」
「何のための仲間だよ……? 何のための友達だよ……!? 自分が辛くなった時、相談したり、支えあったりするためじゃないのか……!? 結局お前は……怖くて逃げただけだ……。友達を見捨てて、
──結論から言えば、穂波が選んだ道は最悪の道だったというしかない。4人の精神的支柱であった穂波が消えたことで、幼馴染たちの分断が決定的なものになってしまったのだから。
志歩は一匹狼を貫くしかなくなり、学校での居場所を失いかけた。一歌は何もできないまま、無力感に打ちひしがれ続けた。咲希は幼馴染との繋がりが消えたことで、深い悲しみに襲われた。そして穂波もまた、自分で自分を見失ってしまった。
自分が一番惨めにならないと思っていた選択肢は、実は誰もが惨めになる地獄への一本道だったのだ。
「いいか穂波!
……言いたかったことのすべてを話し終えた時、穂波はその目に大粒の涙を浮かべていた。
(──これじゃ、どっちが『酷い人間』なのか分からないな)
俺は立ち上がり、瞳に涙を浮かべてうつむく穂波の頭を撫でてやる。
怒った後は、必ず甘やかしてやる。傍から見れば、変だと思われるかもしれない。でも俺はずっと昔からそうやってきたから。
「え……?」
「──泣きたいなら、今は泣いていい。大丈夫だ。ここには俺しかいないから……」
「う、ううっ……うえええん……!」
その言葉で感情が決壊したのか、穂波は俺に縋り付いて子供のように泣き始めた。穂波の瞳から、ボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
傍から見たら完全に女の子を泣かせた青年、犯罪者の図だ。幸い、この公園には本当に誰もいない。だからこの公園に来た、というのもあるが。
そうして、数分は経っただろうか。穂波は一通り泣くと、涙をぬぐい立ち上がった。目は赤く腫れているが、その瞳には強い決意が伺えた。
……穂波はもう、一歌たちから逃げないだろう。俺は今までの事を全力で詫びる。
「すまなかった! 俺には、この方法しか思いつかなかった……!!」
「こっちこそ、ごめんなさい! 今まで、ずっと黙ってて……」
「なぁ。今更なんだが……。中学生の時に何があったのか、教えてくれないか」
「はい。わたし──」
そこから聞いた事実は、穂波の心を抉り取るにはあまりにも十分すぎる内容の連続だった。
曰く、中学時代のクラスメイトは穂波の優しさが気に入らなかった。曰く、穂波は他人の話を聞いているうちに、勝手に「人の悪口を平気で言う女」という偏見をつけられた。さらに、「誰にでもいい顔すれば、嫌われずに済むと思ってるんでしょ?」という元クラスメイトの発言が、深く心に突き刺さった。この頃から、穂波は人間不信気味になっていたのだという。
そして──「望月穂波は人の悪口を聞いてヘラヘラしているクセして、友達には自身が被害者のような振る舞いをする女だ」という陰口が、当時のクラスメイトの間で広まり始めた。それをよりにもよって穂波に
しかも、こういう時一番頼りになるであろう志歩はすでに一歌たちと距離を取り、一匹狼化していた。さらに宮女という学内での問題である以上、よその学校に通う俺に頼ってもどうにかなるものではないと思ったらしい。
だからせめて一歌だけでもターゲットにならないように、穂波は一歌から離れた。それこそが、穂波が幼馴染たちと決別した一連の出来事の真相だった。
今の穂波にとっては、思い出すのもつらいのだろう。話している最中に幾度か泣き出したほどだ。俺はその都度話を中断し、涙を流す穂波をなだめつつ、すべての話を聞き届けた。
そしてすべての話を聞き終えた時──俺は、穂波が今まで抱えてきたモノがどれだけ恐ろしいものだったかを知った。
(なんて奴らだ……。もしやられてたら一歌や咲希ですら潰れてたかもしれない。
結局いじめにも等しいその行為が暴かれることはなかったが、その元クラスメイトのほとんどは現在転校したり、他の高校に通ったりで、顔を合わせることはなくなったらしい。
それでもその出来事は、穂波の心を完膚なきまでに打ちのめすには十分すぎただろう。トラウマになって抜け出せなくなるのも無理はない。
今更どうしようもないと分かっていても、顔も名前も知らないその外道共に怒りを抱かずにはいられなかった。
だがそれ以上に、俺は俺自身が情けなくて仕方なかった。
(……気付けなかったんじゃない。穂波の異変を知って見て見ぬふりをしていた俺も、馬鹿同然じゃないか)
かつて志歩からは「一番私たちのことを理解しているのは、夏夜さんです」などと言われたことがあるが……全く理解できてなかったじゃないか。そう心の中で激しく後悔する。
確かにあの時期の俺と一歌たちは、学校が違ったり登下校時間の違いだったりで顔を合わせることが少なかった。だが……それを加味しても穂波の置かれた状況はあまりに絶望的だった。
クラスからは孤立させられ、助けを求めようとした友人(一歌のことだろう)すら盾に取られ、果てにこういったことに対処できそうな志歩からはすでに距離を置かれている始末。どこを見ても敵だらけ、完全に詰んでいた。
いや、この場合は「詰まされていた」といった方が正しいだろう。
……すれ違いの理由は、お互いがお互いを大切に思いすぎるが故に起きたものだった。
ある友人は、仲間に悪い噂を広めたくなくて。ある友人は、仲間が悪口の対象にされるのを嫌って。
(……これが真相か。あまりにも、悲しすぎるな)
「本当にすまなかった。穂波の事情も知らずに、あんなことを……」
「……いいんです。それに、夏夜さんがいたから、わたしも前に進む覚悟が出来ました」
だが、今この時をもってその枷は解かれたようだ。
もう穂波が苦しむ必要はない。穂波には今も帰りを待ってくれる、幼馴染がいるんだから。
俺は穂波に、最後のアドバイスをする。
「穂波。1つだけ、アドバイスをさせてくれ」
「……? なんですか?」
「もしもう一度一歌たちに向き合うなら……逃げるなよ。全力でぶつかってこい。今の穂波なら、それができるはずだ」
「……! はい!」
「いい返事だ。それと一度自分の周りの奴らに、昔あったことを話してみろよ。穂波が知らないだけで、穂波を理解してくれる奴らは絶対いるんだからさ」
俺の言葉に、強く頷く穂波。
……そこで俺は、ある事実に気づいてしまう。いや、俺にとってはそうでもない事実だが、穂波にとっては重大な事実だ。
「出来立てだったアップルパイが、完全に冷めちまったな……」
「あ……。ふふっ。そうですね」
「本当にすまん。あとで奢らせてくれ」
「……約束ですよ?」
「でもそれは、穂波が一歌たちと無事に仲直り出来たらだな」
「はい。わたし、もう逃げません。もう一度……きちんと一歌ちゃんたちと向き合います」
その言い放つ穂波の目には、もう一点の曇りもなかった。
──ようやく、俺の出番は終わったのだ。
「また仲良くなれたら、お前たちのバンドの演奏を聞かせてくれよ」
「あはは……。ちゃんとできるかは分かりませんけど、頑張ります……!」
「見違えたな、穂波。さ、帰ろう」
「はい!」
こうして俺たちは、それぞれの家路についた。分かれ道で、手を振る穂波を見送る。
俺も帰ろう。
……明日からの日常が、今までとは違うものになると信じて。
今回の一件があったので、レオニの面々の和解は原作よりだいぶスムーズです。
志歩は最初こそ訝しんでいましたが、穂波が夏夜の名前を出した瞬間に納得しました。
パラレルの次案を選ぶとしたら、どれにします?
-
約束された気絶のみのり(みのり)
-
夏夜と愛莉、ドラマへの挑戦(愛莉)
-
桐谷夏夜、伝説の兄妹オンステージ(遥)
-
星灯らぬ夜、眠りを知らず(完全新規)