おおよそ1ヵ月ぶりの更新……なのですが、本編とは全く関係のない作品になってしまったことをお許しください。
……本編を書いていたはずなのですが、気が付いたらこの作品ができていました。重ね重ね申し上げますが、本編とは全く異なる完全なパラレルの世界線となっております。
起承転結もオチもへったくれも何もないので、難しく考えずご覧くださればと思います。
ハッキリ言って駄文ですので、十分ご注意ください。
パラレル・希望を歌う偶像
──アイドル。
それは、人々の夢を叶える存在。
それは、大衆の上に立ち、すべてを魅了する偶像。
それは、皆の「希望」を背負い、「希望」を届ける象徴。
そんなアイドルの世界にその名を煌めかせる、超新星がここに1人。
「みんなー! 盛り上がってるかー!?」
世界共通の概念の名を冠するその青年は、されどステージの上では燦然とした輝きを魅せる。それは誰も触れることを許さぬ太陽の如く、昼夜を問わず輝く唯一無二の光を放つ。その光は、人々の心を捉えて離すことはない。
「さあ、こっから最後まで全力全開だ! ついてこいよー!?」
彼の口から放たれる言霊の1つ1つが、見る者すべてを震わせる。
彼のあらゆる一挙手一投足が、見る者すべてを虜にする。
「皆、フルスロットルで行くぞーっ!」
彼の名は、
この日本中の遍くすべての人々を照らす、絶対的な希望の象徴。
またの名を──「天下無敵のアイドル」。
──────
(旅館)
「ちょっとー? いい加減起きなさーい」
「……んあ?」
まどろむ意識の中、どこか勝気そうな女の子の声が聞こえてくる。どうやら、寝ている間に少し前のドームライブの夢を見ていたようだ。
意識が覚醒していく合間に、俺は今自分がどういう状態かを整理する。
(まず寝っ転がってるのは間違いない。でも、部屋に戻った記憶はない。というか、俺の記憶は旅館のソファーに座ったところで止まっている。てことはつまり……)
「……そういうことか」
状況を理解しつつ、ぼそりと呟く。
どうやらソファーで横になっていたところ、いつの間にか夢の世界に旅立っていたらしい。連日の仕事で疲れでも溜まってんのか……と思いつつ、上半身を起こす。
「あ、やっと起きた」
「起こしてもらって悪いな」
声質からもうすでに誰が俺を起こしてくれたのかは察しが付くが、やはり自分の目で見ない限り確証は得られない。
やがてピントが合ってきた視界に入ってきたのは、ずばり俺が予想した通りの人物だった。
やたらとふわふわそうなピンク色のロングヘアーと、ルビーの如く美しく光る紅い瞳。
俺は、その少女をよく知っていた。
「で、今何時だ? 愛莉さんよ」
「8時過ぎ。それよりもアンタね、公共施設のソファーのど真ん中占領して寝てんじゃないわよ」
「違いない」
──桃井愛莉。
今日の番組の共演者にして、アイドルグループ「QT」のメンバー。そして、俺の同期の1人だ。同時に、ある意味では俺のパートナーともいえる存在でもある。
というのも、俺と愛莉は事務所が別であるにもかかわらず、共演回数がやたらと多いのだ。歳が近いからか、あるいは俺たちが同期であることを事務所が知っているのか、はたまた単純な撮れ高狙いか……。
(今回も当然のごとく一緒のスケジュール抑えられてるんだもんな)
どれが正しいのか分からないし、もしかしたらこの推測も的外れなのかもしれないが、共演回数が多すぎるのは間違いない。共演した正確な回数なんてもう覚えていないし、数えるのも面倒になるくらい共演している。最初の頃こそお互い「また会ったな」とか「よく会うわね」みたいな反応を返していたのだが、今となってはお互い「はいはい、いつものね」という軽い感覚で受け入れている。
「でもまあ、愛莉なら起こしてくれるだろ? 確実に」
「その謎の信頼は何処から来るわけ?」
「どう考えても今までの行いだろ」
「……いまいち褒められてるのか貶されてるのか分からないわね」
正直なところ、もう俺と愛莉の間にプライベートの時と仕事の時での対応の差というものはほとんど存在しない。両者ともほぼ常に自然体で接している。プライベートで出かけることも間々あるくらいだ。1度プライベートで出会っているところを雑誌にすっぱ抜かれたこともあったが、互いに「友達ですが、何か?」という返答でゴリ押したことすらある。今思えば、あの時はなかなかに無茶なことをしたものだ。
実際その後事務所からお小言を貰ったものの、「仲良くするのはいいですけど、一線は超えないようにしてくださいよ」程度で、大して強くは言ってこなかった。……アイドルなのに一線を超えると思われている時点で手遅れなのかもしれないが。そもそも、記事に対するファンたちからの反応も「でしょうね」みたいな反応が多かったし。
「まったく……。旅館が貸し切りだからいいけど、そうじゃなかったら今頃大騒ぎ待ったなしよ?」
「プライベートでこんな姿晒すと思うか?」
「晒してるから言ってんのよ。でもまぁ、今更人前でそんなミスをするはずもないか……」
「当然だろ。これでもアイドルの端くれだぞ? 俺は」
「現役トップアイドル様が何言ってるわけ? アンタがアイドルの端くれだっていうなら、わたしたちの存在どうなっちゃうのかしら」
愛莉ととりとめもない会話を交わす。やはり彼女との会話は気楽でいい。コール&レスポンスがはっきりしているんで、会話していて飽きないのだ。最初の頃こそ探り探りだった距離感も、今では軽口をお互い叩き合えるような距離に落ち着いている。友人付き合いとしては、これ以上ない関係性だろう。
……まあ、少し前にエゴサして俺と愛莉が共演した時のやり取りを「夫婦漫才」って言ってる奴を見つけた時にはなんでさ、って思ったけど。
「相変わらずオカンみたいな性格してるよな……」
「誰がオカンよ」
本人は否定しているが、愛莉がオカンという認識は俺の中でもう変えようのない事実となっている。
愛莉は根っからのツッコミ体質だ。ついでにトーク力は俺の知る限り最高峰に位置しているし、大阪のおばちゃんに匹敵するくらいには話題のレパートリーがある。さらに言うのであれば、とにかく面倒見がいい。これに尽きる。
そして、おまけの地獄耳。さっきだって聞こえないようにボソッと呟いたはずなのに、愛莉の耳は敏感にそれを聞き取っていたらしい。
「あら、聞こえてたか」
「そりゃはっきりと聞こえましたとも?」
「そいつは悪かったな」
「気にしてないからいいわよ。アンタにそう言われるのも慣れたし」
──それはそれとして、そろそろ俺が置かれている状況を説明しようと思う。
俺は今、俺と愛莉を含めたアイドル達による2泊3日の旅番組の収録ということで、いいところの旅館に泊まりに来ていた。たかがアイドルの番組の収録に3日使うなどずいぶんとスケールがでかい話だと思ったが、どうやらこの旅番組は2時間スペシャルになるという。そもそも1つの県を1日で回り切ることなど不可能と言われれば終わりなので、それくらいのスケジュールは必要になるか。
一応釈明しておくと、男子は俺だけではない。比率としては男2人、女2人の1:1だ。もっとも、俺からしてみれば男女比など興味はない。とはいえ男1:女3みたいな比率になれば、確実に視聴者の顰蹙を買うことだろう。かといってせっかくアイドルが出演するというのに、男子に比重を置いた旅っていうのもそれはそれで味気ない。そう考えれば、1:1の比率にして画面に華を持たせつつバランスを保つのは戦略としては正しいのかもしれないな。
そして現在は2日目の収録終了後、つまり束の間の自由時間。
撮影スタッフたちも寝泊まりするとはいえ貸し切りにするには随分と広い旅館内で、なんともなしに立ち寄ったロビーでソファーに座ったところ、座り心地の良さと連日の疲労が相乗効果を生んでしまった。その結果見事にソファーの上を占領する形でグースカ寝てしまい、今しがた通りがかった愛莉に叩き起こされた……というのが事のあらましだ。
ファンに見られたら幻滅不可避だろうなと思いつつ、身体を伸ばす。普段の俺ならしないが、今は撮影スタッフたちも皆思い思いに時間を過ごしているし、実質的に監視の目はない。つまり、素をさらけ出しても何の問題もない。
「んー……。よし、目が覚めた。今日は寝れんな」
「いや、寝なさいよ。アイドルが夜更かしするつもり?」
……そうはいっても、正しい生活習慣とは程遠いのが俺という人間だ。
元々アイドルとして与えられた仕事をこなす時点で妹からも「いつ寝てるの?」と聞かれるくらいには普段からスケジュールが詰まっているのだ、普通の人間なら既に疲労で5回は倒れているに違いない。そんな人間に生活習慣を指摘したところでどうにもならないだろうに。
「冗談だ。ちゃんと寝るさ」
「まったく、調子狂うわね……」
「お前もちゃんと休んでおけよ。明日も早いんだからな」
「言われなくてもそうするわよ。──おやすみ。また明日」
「ああ。おやすみ、また明日」
明日になれば、またお互いに「アイドルとしての桐谷夏夜」と「アイドルとしての桃井愛莉」に戻るのだろう。
普通の人から見れば、何でもないような別れの挨拶。だが俺たちからしてみれば、2つの意味での別れの挨拶であると、お互い分かっていた。
────────―
(公園)
アイドル……というより俺、桐谷夏夜の朝は早い。妹はだいたい早朝5時半頃に目を覚ますが、俺はそれよりもさらに30分は早い。夏はともかく、冬に関しては日の出より早く起きてしまう。とはいえ両親もなんだかんだ言って早起きなので、うちの一家は遅くとも7時には全員が起きている。早起きが得意なのは、どうやら桐谷家共通の特徴らしい。
いつも通りのスポーツウェアに着替え、いつも通りのランニングシューズを履き、いつも通り軽く準備体操を済ませると、いつも通りのランニングコースへと駆け出していく。決して変わることのない、日々のルーティン。
今日もいつも通りの日々が始まる。……そう思っていた。
「ワン、ツー、スリー、フォー……!」
「ん……?」
ランニングコースの半ば、ちょうど折り返し地点にある公園から聞こえてきた声を耳にした俺の足が止まる。現在時刻は午前の5時半。こんな朝早くから、ダンスのステップを想起させる掛け声が聞こえてくる。公園の方へ耳を澄ませてみると、それに合わせて足が動く音──地面を蹴る音も聞こえてきた。
普段の俺なら「朝早くから頑張ってる人もいるんだな」と思うだけで、気にも留めなかっただろう。しかし今日の俺は何の気まぐれか、不思議と公園の中へ足を踏み入れていた。
(あれは……)
俺の視界の先にいたのは、1人の少女だった。鮮やかな茶髪が目を引くその女の子は、スマホから流れている音楽に合わせて一心不乱にステップを踏んでいる。
──お世辞にも、上手いとは言い難い。体幹はブレブレだし、指先への意識は行き届いてないし、見た感じ全身の柔軟性も足りていない。やる気はあるんだけど技術が追い付いてない、って感じの動きだ。こうしてステップを踏んでいる間にも、転んでしまいそうな危なっかしさがある。
しかし……なぜだろうか。
(どこか、惹きつけられる)
素人目線で見ても、彼女のダンスを「出来がいい」と評する人はあまりいないだろう。
だというのに、拙いはずのそのダンスから何故か目が離せない。実力自体はどう高く見積もったところで「素人よりマシ」程度のはず。にもかかわらず、彼女のダンスから俺は目を逸らすことができなかった。
俺はアイドルとして幾度となくステージに立ってきたし、当然何人もの同業者のパフォーマンスを見てきた。しかし、ここまで目が離せない相手は彼女が初めてだ。
(少なくとも、あの子はアイドルとかダンサーとかじゃないはずだ。なのに、なぜ……?)
そうしてしばらく俺が彼女のダンスに見入っていると──不意に、彼女が俺の視線に気づいてしまった。
「ワン、ツー……わひゃあ!?」
その時たまたま難易度の高いステップを決めようとしていたこともあり、彼女は驚いた勢いで派手にすっ転んでしまう。俺は慌てて彼女の下へ向かうと、今しがた尻餅をついた彼女を助け起こした。
「だ、大丈夫か……?」
「は、はいぃ……。ありがとうございます」
距離が近づいたことで、スマホから流れてくる曲を聞き取れるようになる。そこで俺はようやく、彼女が何の曲の踊りを練習しているのか分かった。忘れるはずもないメロディーだ。それは、俺にとっても関係が深い曲だから。
(この曲、ASRUNの……)
ASRUNの中でも屈指の人気を誇る曲が、彼女の物であろうスマホからエンドレスで流れていた。公式から振り付け動画が出ていることもあり、踊ってみた方面での人気が根強い曲でもある。ちなみにだが、その公式振り付け動画で踊っているのは「ASRUNの絶対的センター」こと桐谷遥だ。
「邪魔して悪かったな」
「あ、いえ! 気にしないでください!」
助け起こした彼女の様子を見てみたが、何処も怪我とかはしていないようだった。ひとまず安心だ。これで足首をくじきました、とか起こしたら洒落にならない。俺が直接手を出したわけではないとはいえ、俺が間接的な原因になってしまったのは事実になってしまう。そうなれば、最低でも半年はその過去を引きずっていくことになるだろう。
しかしこの際だ、俺は興味を持ったことを彼女に聞いてみることにした。
「いつも、ここで踊ってるのか?」
「たまに、です。実はわたし、アイドル目指してるんです」
「へぇ。アイドルか……」
アイドル志望。それを聞いた時、心の中で「だからか」と思う気持ちと、「本気か?」と思う気持ちが同時に生じた。
なるほど、アイドル志望であれば「素人より少し上」程度の実力にも納得がいく。かと言って、誰かからの教えを受けてきたわけではないのだろう。誰かからの教えを受けているのであれば、こんなダンスを修正しない理由がない。
(たぶん、この子は1人でずっと踊ってきたんだな。今日みたいに振り付け動画を見て、音楽に合わせて何度も、何度も。その頑張りは評価できるけど……俺の見立てじゃ能力は『素人より少し上』程度。今のままじゃ、この子がアイドルとして活躍するのは厳しいだろう)
アイドルの世界というのは、言っちゃ悪いが実力主義だ。実力が無ければデビューすらできず、もし運よくデビューできたとて凡百のアイドルとして埋もれていくのみ。……たとえ実力があったとしても、生半可な実力では事務所の方針に逆らえない。自分のやりたいことを捻じ曲げられることすらある。積み上げてきた実績と実力で相手を黙らせられる俺が異端すぎるのだ。
(けどまあ、ここで出逢ったのも何かの縁だ)
不意に公園に足を踏み入れたのは、彼女に会うためだったのかもしれない。別に、運命なんてたいそうなものだとは思っていない。今日ここで俺が彼女の練習風景を見たのは、ただの偶然に過ぎないのだろう。
だが、その偶然を大切にするのが俺の信条だ。
「君が良かったら、俺に1曲踊らせてくれないか?」
「え? いいですけど……どうしてですか?」
「君のダンスの、参考になればと思うんだ」
彼女は少し困惑したかのような反応を見せた後、頷いた。まもなく、今しがた彼女が踊っていた曲が流れ始める。ASRUNの曲のダンスというのなら、これ以上ないくらいに得意分野だ。しかも、この曲の振り付けを今更間違うことなどありえない。
だって──
(
「ワン、ツー、スリー、フォー」
1人だけに見せるダンスだったとしても、俺は決して手を抜かない。どんなに見に来てくれる人が少なかろうと、人前で歌うのであれば、踊るのであれば、その瞬間から俺は「アイドル」になる。そしてひとたび踊り始めれば、アイドルとしての染みついた感覚が、踊る上で必要な一挙手一投足をハッキリと想起させてくれる。
練習は本番のように、本番は練習のように──とはよく言ったものだが、俺はそうは思わない。俺にとっては、いつもどこでもすべてが本番なのだ。例え練習であろうと、“自分”という観客を満足させられなければ意味がない。
もちろん1人でも俺のパフォーマンスを見ている人がいるのならば、手を抜くことなど決してあってはならないし、何よりそんなことは俺自身のプライドが許さない。俺がアイドルとして追い求める理想の姿は、「
「──こんな感じで、どうだ?」
やがて曲が止まり、俺が最後のステップを決めた時、いつの間にか座って俺のダンスを見ていたらしい彼女は目をこれ以上ないほどに輝かせていた。
「す……」
「す?」
「すごかったです!!」
「うわっ……!?」
彼女は曲が終わるや否や、突然こちらにずい、と詰め寄ってきた。あまりに近いので、つい反射的に仰け反ってしまう。
そのまま彼女は、俺のダンスへの感想をマシンガンの如く語り始めた。……のだが、正直早口すぎて何を言っているのかハッキリ聞き取れない。凄い感動したということだけは分かったのだが、それ以外にどういう感想を持ったのかがさっぱりだ。
言いたいことがありすぎて、と言わんばかりのその姿に、俺は握手会に来るファンたちを想起した。握手会というのは、基本的に1人当たりの持ち時間が決められている。そのため、ファンたちは必然的に早口になってしまうのだ。ガチファンであればあるほど、その傾向は顕著になる。理由はもちろん、伝えたいことがあまりにも多すぎるからに他ならない。それでも愛を語りきれなくて、途中ではがされてしまうパターンもままある。俺は今までそういう人をたくさん見てきたわけだし。
そこまで考えた時、俺はあることに気が付いた。
(この子……
ファンから貰ったお便りやプレゼントは基本的にすべて保存している俺ではあるが、さすがにすべてのファンの顔を覚えているわけではない。確かに人より記憶力がいいと自負してはいるが、瞬間記憶能力なんてものは持っていないし、無限に記憶できる頭脳なんて持っているわけもないのだ。
しかしそれでも、所謂「ガチ恋勢」、あるいは「限界オタク」というものは記憶に残る。そういう人は総じて記憶に残ろうとするから、ある意味当然ではあるのだが。俺の記憶が間違っていなければ、この少女はそのガチ勢の1人だ。
とはいえ情報が足りない。せめて名前でもわかればいいのだが。
「えっと……きみの名前は、なんだったかな?」
「あ、はいっ! 花里みのりですっ!」
「みのりちゃん、か……」
──花里みのり。
おぼろげだが、確かにその名前には覚えがあった。数えきれないほど届いたファンレターの中に、そんな名前があったはずだ。俺も妹もファンレターは丁寧に残しておくタイプなので、探せば1通くらい簡単に見つかるだろう。
あとでマネージャーに頼んで、握手会の映像の1つか2つくらい取り寄せてもらえばハッキリするか。
「そうだ、俺の名前は──」
お返しとして本名を名乗ろうとして、一度俺は冷静になった。
今の俺は、帽子とメガネである程度変装している。何故かはわからないが、こうするだけで基本バレないのだ。一度とあるバラエティ番組でファンVSアイドルによる「変装かくれんぼ」なる企画をした際には、ガチ勢どころか妹にすら「どこにいたのかわかんない」と言わしめたほどだ。
とまあそんななので、俺のステルス能力はガチ勢の折り紙付きだ。ただし、一度存在を認知されるとあっけなく変装を見抜かれる。一度アイドルのくせして変装なんてものをろくに知らないド天然美女と遭遇して、その流れで気付かれた時は本当に呆気なくバレたし。
……ともかく俺のステルス能力を体現するかのように、みのりちゃんは目の前にいる男が「桐谷夏夜」であることには気付いていない。ASRUNを──桐谷遥を知っている以上、俺の存在を避けて通ることは不可能といっても過言ではない。ましてやみのりちゃんは俺のファンである可能性が高い。それでも気づいていない以上、ここで唐突に正体を明かせばみのりちゃんは良くて絶叫、最悪気絶する。
言葉を詰まらせた俺を不審がってか、みのりちゃんは不思議そうな表情を浮かべている。
──どうしようか、と逡巡すること3秒。どうにか俺はそれらしい名前を出してこの場を凌ぐことに決めた。
「──ハルだ。
俺が取った手段は、一番身近な人物の名前をもじること。名字が「きりや」とも「きりたに」とも読めることから漢字だけ見た相手から「どっち?」と言われることが多い名字だったが、生まれて初めてそんな紛らわしい自分の名字に感謝した。
一方のみのりちゃんは俺の名乗った偽名に対して特に違和感を持たなかったようで、「ハルさん、よろしくお願いします!」と元気よく語った。その純粋さにあてられたのか、俺は不思議と次の言葉を意識せずに発していた。
「そうだな……。正直力になれることは少ないけど──みのりちゃんのダンスとかを見てあげることなら、出来ると思う」
「いいんですか!?」
「ここで会ったのも、何かの縁だしな。ただし、ちゃんと覚悟はしてほしい。教える以上、妥協は一切しない。俺のレッスンは厳しいぞ?」
これで躊躇いが生じるようなら、俺はその場でこの話をなかったことにしていただろう。
しかし、みのりちゃんは俺の目を真っすぐ見つめると──。
「やります! わたし、がんばりますっ!」
そう、言い切った。
その目からは一切の迷いも、躊躇いも感じられなかった。ただ純粋に、ひたむきに、前だけを見つめ続けるという覚悟を秘めた目だった。今俺と相対している花里みのりという少女は、世間一般的にはアイドル志望の素人に過ぎないはず。
それなのに、彼女の内からは並の人間が霞むレベルの──俺が今までに見てきた人間の中でも1、2を争うレベルの強い決意と意志を感じる。
(……これは、教えがいがあるかもな)
俺には彼女の心が、太陽の如く燦然と輝きを放っているように見えた。ここまで目を焼かれたのは、いつ以来か。
……なら、俺も彼女の想いに応えないわけにはいかない。
「その想い、受け取った。──時間がある時だけになるけど、みのりちゃんの練習、見てあげるよ」
「あ、ありがとうございます!」
「そうと決まれば、連絡先を交換しておこうか。そうじゃないと、いつ空いてるかとか分からないだろうし」
「は、はいっ!」
こうして俺とみのりちゃんは、連絡先を交換する。
──プライベート用の携帯の登録名を名字だけにしていて助かった。もしフルネームだったら偽名を使った意味がなくなるところだった。俺は別に知られても困るものじゃないのだが、どっちかというとみのりちゃんが耐えられなくなるだろう。
この際だし、みのりちゃんのことを少しでも知っておくとしよう。
「みのりちゃんって、事務所とか入ってるの?」
「実は、まだなんです……オーディションは受けてるんですけど、落選続きで」
「──それ、何回受けたのか聞いてもいい?」
「ええと、確か……今応募してる事務所で、44回目です」
「よ、44回!?」
──言葉を失った。
なんてメンタルだ。正の方向に突き抜けているとはいえ、見方を変えればどう考えても狂っている。44回。普通の人なら10回、多くても20回落ちれば心折れている。彼女は、そんな回数の落選を経験してもなおアイドルを目指しているというのか。だとすれば、一体何が彼女を突き動かしているんだ。
「……なんで、そんなに落ちてもアイドルになることを諦めないんだ?」
その質問をするだけで精一杯だった。だってそうだろう。普通ならとっくのとうに諦めているか、壊れている。だというのに、目の前の少女は何処までも純粋で、ひたむきで、真っすぐだ。そこに分厚い仮面なんてものは存在していない。今目の前にいる花里みのりこそが、彼女の表であり、裏なのだ。
だからこそ、次に彼女が語った言葉が嘘偽りのないものであると俺にははっきりわかった。
「信じてるんです! ──『今日がいい日じゃなくても、明日はいい日になるかもしれない。だからみんなが、明日こそは信じて頑張れるように。このステージから、“明日を頑張る希望”を届けたいんです!』……小さい頃のわたしに希望をくれたこの言葉を、ずっと!」
「その言葉は……」
みのりちゃんの動力源になっていたのは、桐谷遥がASRUNのセンターとしてステージに立った時、語っていた言葉。その言葉だけを支えに、彼女は今こうしてここに立っているというのだ。
そこで俺は、確信した。
(きっと彼女は、壊れない。いや……
天性の才能があるわけではない。極めて優れた容姿があるわけでもない。かと言って話術に長けているというわけでもなければ、周囲を惹きつけるオーラを放っているわけでもない。だが、その鋼を超えてダイヤモンドのような硬さのメンタルは、アイドルを目指すという意志は、紛れもなく本物だ。桐谷遥がかつて語った言葉1つだけを灯火に、彼女は立ち続け、進み続けている。
(眩しいな。この子は……)
それからみのりちゃんと別れるまで、彼女の焼き付くような眩しさが俺の心から離れることはなかった。
──────
(桐谷家)
「ええっと、これは違う、これ、でもない……」
みのりちゃんとの初めての出会いを終えた後。家に帰った俺は、真っ先にファンからの手紙やプレゼント類を入れた箱を押し入れから引っ張り出し、1つ1つ宛名を確認し始めた。しかし調べ始めてすぐ、俺はある問題にぶち当たってしまった。
──シンプルに量が多い。多すぎる。
今の俺の部屋の押し入れは、その収納スペースの半分以上がファンレターやらプレゼントやらで圧迫されてしまっている状況だ。ファンの種類は千差万別、中にはどう使えばいいのか分からないプレゼントを送ってくるファンもいる。
……シューズやらタペストリーといった実用性のあるものを贈ってくるファンはともかく、アロマオイルの詰め合わせとかはぶっちゃけ使いどころに困ったし、10分の1スケールの俺の(しかも自作の)フィギュアが送り付けられてきた時なんかはファンの正気を疑ったものだ。しかも無駄に完成度が高かったせいで捨てるに捨てられず、結局マネージャーと話して事務所に飾ってもらうという形で処理せざるを得なかった。
人気になるのはいいことなのかもしれないが、こういう時には困ってしまうな。アイドルを始めた当初は考えもつかなかったことだ。もっとも、妹の部屋の押し入れもほとんど同じことになっているのだが。
「珍しいね、お兄ちゃんが手伝ってって言ってくるなんて」
「さすがにこの量を全部1人で調べてたら、手がいくつあっても足りないからな……」
というわけで現在、俺は妹に手伝ってもらいながら無数のファンレターの山からみのりちゃんのものを探し当てる途方もない作業を行っている。もちろん妹には「どうして?」と疑問を持たれたが、「朝のランニング中に偶然ファンの子と出会って、名前を聞いたから興味がわいた」という真実を混ぜた都合のいい言い訳で誤魔化した。
もう妹のことについては語るまでもないだろうが、一応紹介しておくとしよう。
──桐谷遥。
俺の自慢の妹であり、今を時めく超人気アイドルグループ「ASRUN」の中心的メンバーにして、グループメンバーからも絶対的センターとしての尊敬と信頼を集める国民的アイドル。アイドルであることにどこまでも真摯で、ストイックで、それでいて学業も怠らない。実際、事務所の出している公式プロフィール欄の苦手なことには「怠けること」と書いてあるくらいだ。
そんな俺と遥はどちらも全国に名を馳せる超有名人であるからして、オフが重なることは極めて少ない。しかし今週はたまたま、どちらも1週間の長期休暇を取っていた。遥はグループメンバーの都合で、俺は事務所の指示で。理由は違えど、休みが重なったのは事実。だからこの休暇の間は、兄妹水入らずで過ごすつもりだったのだが。
「悪いな、遥。俺の都合に付き合わせて」
「気にしないで。私はお兄ちゃんと過ごせるだけでも嬉しいから」
遥は屈託のない笑顔をこちらに向けてくる。国民的アイドルの超至近距離からの純粋スマイル、ファンが受ければ即蒸発ものだろう。
……ここだけの話、普段の遥は常人がドン引きするくらいにはストイックなのだが、俺と2人きりの時だけはそれが軟化する。具体的には呼び方が「兄さん」から「お兄ちゃん」に変わって、距離感も異常なくらい近くなる。現に今の遥は俺のことを「お兄ちゃん」と呼んでいるし、俺の隣に密着して離れる気配がない。
俺は勝手にこの状態のことを「甘えたモード」と呼んでいるが、この甘えたモードの存在を知っているのは俺だけだ。お互いの事務所の人間はもちろん、同じ「ASRUN」のグループメンバーも、両親ですら、甘えたモードの存在は知らない。遥が人前でこの状態に入ることはないからだ。一度俺たち兄妹の密着取材があった時も、絶対に甘えたモードには入らなかった。取材が終わって両親が出掛けた後、我慢の限界を迎えたらしく即座に甘えたモードに突入したが。
けどまあ、遥は基本的に根を詰めすぎるところがあるからな。遥がこんな姿を晒すのは、ペンギンを前にした時と甘えたモードに入っている時だけだ。
……だからといって、中学生にもなって一緒のベッドに入り込んでくるのはどうかと思うのだが。
「あ、あった。『花里みのり』……これだよね?」
「見つけたか。なら、他のと混ざらないところに置いておいてくれ」
程なくして遥が、可愛くラッピングされた1通の手紙を見つける。それを皮切りに、みのりちゃんからのファンレターが何通も見つかった。
いざファンレターを開封しようとしたその時、遥はグループメンバーからの電話が来たという理由で俺から離れ、どこか名残惜しそうに部屋から出ていく。それと同時に、マネージャーから数か月前の握手会の映像が送られてきた。すぐさまデータをパソコンに転送してその映像を見てみると──。
「……あ、やっぱりいた」
あの公園で見た明るい茶髪。紛うことなきみのりちゃん本人だ。映像だけでもガチ勢だとはっきりわかる。1分間ひたすら何かを俺に伝えた後、係の人にはがされていた。
今再生している映像の日付を確認すると、3か月前のものだった。割と最近の握手会だったので話の内容の1つか2つくらい覚えてないかと頭をひねったが……ぶっちゃけ、何を言われたのか記憶にない。俺は基本的にファンとの握手会の時、どんな会話を交わしたかをすぐ忘れるような人間ではなかったはずなのだが……。
(思い出した、
その理由に思い当たったことで、俺は当時のことを完全に思い出した。
3か月前の握手会、つまりは今見ている握手会の最中に、マシンガントークなんてものではないレベルの爆速でライブの感想などを語りまくり、1分過ぎてもなお止まることを知らなかったので係の人によって「あぁ~!?」という情けない声と一緒にはがされていった茶髪の少女がいた。それがみのりちゃんだったのだ。思い出せないはずだ。どんな会話をしたのか以前に、
すると、いつの間にか背後に来ていた遥が意外なことを言い出した。
「あれ? この女の子……私の握手会にもよく来るよ」
「そうなのか?」
「うん。もしかしてこの子が、お兄ちゃんの言ってた『みのりちゃん』?」
「ああ」
俺が肯定すると、遥は「そっか、この子がみのりちゃんなんだ」と呟く。どうやら遥の話を入れて勘定するに、俺の“みのりちゃんは桐谷兄妹推し”という推測は間違っていないようだった。しかし次の瞬間、遥の呟いた一言により、俺の頭の中の思考は粉みじんに吹き飛ばされた。
「──なんかちょっと妬けちゃうな」
「……はい?」
──やける? 燃やす方の焼けるではないだろうから、十中八九羨望の方の妬けるだろう。
つまり、嫉妬? あの遥が? 自分のファン相手に?
「どういうことだ?」
頭の中を整理するよりも早く、言葉が口を突いて出ていた。そんな俺の疑問に対し、遥はさも当然であるかのように答えを返す。
「だってお兄ちゃん、そのみのりちゃんって子を気に入ったんでしょ?」
「ちょっと待て、俺は──」
しかし、その先の言葉を言うことはできなかった。遥の言う通りだったからだ。
思い返してみれば、よく考えなくても分かることだ。そもそも、完全に初対面の相手にあそこまで肩入れしている時点で普通ではない。ましてや俺はアイドルなのだ、いくらファンとはいえ誰か1人だけを特別扱いしていい道理はない。だがあの時の俺は──向こうが俺の正体に気づいていなかったとはいえ──間違いなく、彼女を特別扱いしていた。そうでもなければ、わざわざ偽名を使ってまで彼女の特訓に付き合う理由などない。
遥に言われたことで、ようやく俺は何故ここまでみのりちゃんに惹かれるのかを理解することができた。
(……気に入ったんだな、俺は。彼女のことを、一目で)
そう。公園で彼女のぎこちない踊りを見た、その瞬間から。
分かってしまえば、単純な話だった。目を焼かれただの、彼女の意志が強いだの、そんな御託を並べ立てたところで、彼女に入れ込む理由にはならない。俺が彼女に入れ込む理由は、たった1つ。
──今の俺はただ純粋に、彼女の夢を応援したいのだ。
(なら、俺も全力を尽くそう。いつか彼女が、天使の翼を得て羽ばたけるように)
今の彼女は、誰かに希望を与えるにはまだ足りない。だが彼女のアイドルに懸ける強い想いは、確かに俺の中の情熱に火を灯した。ならばこの火が消えるまでは、俺は彼女の夢を全力で応援し続けよう。次に会った時には、この事をしっかりと伝えようと思った。
それはそれとして、俺がみのりちゃんに入れ込んでいることに気づいた遥は完全に拗ねてしまい、ご機嫌を取るのに俺はこの後丸1日を費やすこととなった。……ちょっとでも隙を晒すと拗ねるので、一緒のベッドで寝ることを断り切れなかったのは内緒だ。
というわけで、起承転結の内「転」と「結」が欠如したパラレル作品でした。
一応、時系列的には本編開始の1年くらい前、といったところです。世界観的には「夏夜が桐谷家に生まれ、アイドルになっていたら、こんなプロローグだった」みたいなイメージでしょうか。
下で簡単なキャラ紹介をしておきます。
【桐谷夏夜】
誰も予想だにしなかった速度で瞬く間にトップアイドル街道を駆けあがり、若くして国民的大スターとなった「天下無敵のアイドル」。
アイドルに必要な才能すべてを極めて高い次元で併せ持ち、その全てを常にフル発揮することが可能。無論、自らの持つ才能や技術を指南・教授する能力も超一流である。
その代わり、アイドルになる上で不要なステータスとして「演奏」と「作曲」の才能が0になっている。0に何を掛けても0なので、簡単に言えば一切成長しない。
彼もまた妹と同様、とある少女に惹かれる運命。文字通り花里みのりの師匠なので、「花里みのりは俺が育てた」という発言が冗談では済まされない。いつかは「花里みのりのファン第1号」として名乗る時が来る……のかもしれない。
【花里みのり】
お馴染み桐谷遥限界オタク……なのだが、この世界では桐谷兄妹の限界オタク。
元々は原作通りの経緯で遥ファンになったのだが、その後遥繋がりで夏夜のライブを見た結果、あっという間に桐谷兄妹のガチファンになってしまった。
夏夜に見定められたことで、彼からアイドルになるために必要な技術や心構えを教わることに。このため、本編開始時のみのりの技術が並のアイドルを超えるくらいには高められる結果となる(が、言葉選びのセンスや服のセンスは改善されない)。
なお、数か月後には夏夜本人の口から「桐谷ハル=桐谷夏夜」であることが語られ、興奮と衝撃のあまり気絶する未来が約束されている。それ以降夏夜を前にするとオタク特有の早口が出るようになり、夏夜側からは何を言っているのか分からなくなってしまうことがあるとか。
【桐谷遥】
誰よりも桐谷夏夜のことを知っているがゆえに、世界中の誰よりも桐谷夏夜に脳を焼かれているASRUNの絶対的センター。
形は違えど、ブラコン度は雫レベル……というか恐らくそれ以上。この世界の遥にとって桐谷夏夜というアイドルは目標であり、憧れであり、実の兄であり、同時に推し。「甘えたモード」とは齢を重ねるごとに人前で見せるのが恥ずかしくなった遥自身の本性でもあり、兄への大きすぎる親愛感情の表れでもある。
ちなみに甘えたモード中に拗ねてしまうと、夏夜が全力で甘やかさない限り機嫌が直らない。
【桃井愛莉】
ファンから「もうさっさと付き合えばいいんじゃないかな」と言われるほど、夏夜と一緒の番組に出ることが多いバラエティアイドル。マネージャーや家族を除けば、業界関係者で唯一夏夜がアイドルモードを解いて自然体で会話できる相手でもある。
夏夜との関係性は「気の置けない友人」。夏夜は愛莉に対して遠慮しないし、愛莉もまた夏夜に対して顔色を伺うようなことはしない。「夫婦漫才」のくだりに関しては愛莉も認知しており、愛莉自身は「わたしとあいつが? そんなわけないじゃない」と表面上は否定しているものの実際は満更でもない様子。とはいえ、実際の関係性は夏夜が作中でふれているように「パートナー」に近い。
……「夫婦と大して変わらないのでは?」とか言ってはいけない。
【日野森雫】
本編での出番が多い反面、この作品では直接的な出番がない。夏夜と知り合いであることが仄めかされているくらい。
なお、この世界でもやっぱり「天然×方向音痴×機械音痴」の必殺コンボは健在である。さらにいえば変装らしい変装をしようとせず、自然に人目を集めてしまうため、「普段は気付かれないがひとたび変装を見抜かれるとすぐに感づかれる」夏夜にとっては天敵もいいところである。
パラレルの次案を選ぶとしたら、どれにします?
-
約束された気絶のみのり(みのり)
-
夏夜と愛莉、ドラマへの挑戦(愛莉)
-
桐谷夏夜、伝説の兄妹オンステージ(遥)
-
星灯らぬ夜、眠りを知らず(完全新規)