相変わらずシリアス注意!原作キャラ死亡注意!
さらにハイパーアルティメット妄想世界観浅読み捏造設定のオンパレードです!
年末からまって頂いていた方、お待たせいたしました~!!!!
あけおめ~!!!!ことよろ~!!!!!
「団長は喋りましたか。全く、あれだけ躾をしたというのに…。」
「シャープさん…!」
ベータは団長を連れ帰ったあと、再び地下迷宮に侵入。縦穴のある部屋にまで到達すれば、そのまま縦穴を降下した。
「…月の前文明人を直接殺すつもりなんですね?」
「えぇ。」
「一体何が、アナタをそこまで動かすんですか…!?」
暗く深い穴を降りる中、底からは淡い光が見えた。
「やるならとことん…ですよ。」
「前文明人が復活できるかは、コールドスリープ装置の寿命が尽きるか、私の現文明永続プロジェクトが破綻するかの我慢比べ…」
「今の勝者は我々なのですから、どうせ復活することはないんです。後顧の憂いを断つためにも引導を渡すのがスジというものです。」
最深部はドーム状になっており、透明な床の下には世界各地から集められた星晶が密に積まれている。
星晶は淡く、光を反射、あるいは発光していた。
「ベータさん。貴女は団長が心変わりすることが怖くはありませんか?」
「なにを言うんです…?」
「団長は、ガイア浄化プランの密使。目覚めごとに汚染や文明の状況を確認して、前文明人の顕現を判断するのが、本来の役割なんですよ?」
最深部ではシャープが佇んでいた。
ベータと対峙するシャープは、人型ではあるものの、ほとんど人間の肉体は無くなっていた。
「今回は、正常な目覚めができずに記憶を失い、役割を果たせていなかった。使命を忘れる中で現文明人と交流し、双方に信頼…友愛…いろんなものを築いてきました。」
戦争機械の上位個体のような姿に変貌していた。
足はフレア状に広がり、ホバー移動に適した形状に。四肢には一周する輪状の溝がいくつも刻まれており、胴体はより複雑な溝が走っていた。
頭部は髪型こそ生身の頃を再現されているものの、その顔はまさしく作り物だった。
目の周りは、アイマスク状に黒く塗りつぶされ、瞳が無い。
箱型のビットは4個が纏まり、2つ宙に浮いていた。
「しかし、記憶を取り戻した今。現人類を見捨て、前文明人の元に帰ってしまうかもしれないと考えはしませんでしたか?それを防ぐには、彼らの眠る月に星晶を撃ち込み、穢して、彼らを滅ぼすしかない。」
シャープは、くいと眼鏡のブリッジを押し上げて位置を調整する。
顔面に張り付いていゆようにもみえるアイマスクの模様は光学センサー群。
尋常な生物とは視覚メカニズムが違うにも関わらず、眼鏡をかけている姿は不気味にも感じられた。
「だからと言って!それは前文明の…団長の未来を閉ざしてしまうことになります!やり返す様な真似をして、何になるんですか!?」
「…もっと、自由に生きられるでしょう。大命だとか、使命だとか、運命だとか、そういうしがらみからは開放される。」
「…それを団長が望んでいたんですか…?」
「いいえ。そんなことは一度も」
「ならば…!」
「しかし、ここまでしないと、彼は止まりません。」
シャープはそう断定した。
「生半可な覚悟ではないはずです。任務のためとはいえ、孤独に目覚めを繰り返すことなど、普通耐えられない。何十年も寝続けるのも尋常な人生とは言えない。」
「もういいでしょう。十分ですよ。自由になりましょう。団長も、天使も、私達も…。私のエゴですが、良い事だらけです。それでも、止めますか?」
「…」
シャープの言葉に返す言葉が見つからないベータ。
「団長は認められなかったんですよね?だからベータさんに話し、止められないか仕向けた…。さあ、いかがします?」
ベータにはシャープが団長に心を砕いているのがわかった。そして、やろうとしていることも、極端ではあるとはいえ、理解はできた。
しかし、シャープの言う通りベータには団長から託された思いがある。ベータの瞳には強い意志が宿っている。
「…やはり私は…団長の意に背くことは…できません!」
「ふむ…これでは平行線ですね。…いいでしょう。ここは星導使らしく、戦いで決着をつけましょう」
シャープとベータは互いに戦闘態勢を構える。
シャープは迎え入れる様に両手を腰の位置で広げ、ビットを前面に分散配置。
ベータは右手脚を前に左手脚を引いて斜めに構え、ガンソードの銃口を正面に向ける。
「さぁ、お相手いたします。どうぞかかってきてください。」
戦いの口火は両者の射撃から切られた。
銃口から、ビットから、距離を取りながらの射撃はそれぞれ回避行動によりどちらにも当たらない。
ジャブを撃ち合う射撃戦だけで倒れる程、どちらも軟な星導使ではない。
時々無反動砲が放たれ、シャープのビットが星弾を撃ち出して撃墜…武装再装填が間にあってしまう程度の撃ち合い。
何か、迷いが見えるのはベータだ。
「何をチンタラやっているんです?貴女は私を殺すのですよね?…手加減は無用!!」
攻めるべきベータがヌルい攻撃ばかり…先に次の仕掛けをシャープが繰り出す。
シャープは八機のファンネルを四機ごとにまとめ、頭上で回転させながら砲撃モードのチャージを開始した。
「!?」
ベータの動きに積極性がなかったのは未知の敵…人間の身を捨てた人間の動作を見切る為のほかに、やはり戦友を殺すことへの躊躇も多分にある。
しかし、シャープは全く遠慮するつもりがない。チャージしているエネルギーは、実戦基準。
かつて訓練で撃ち合ったような出力ではないことを、ベータの星導感覚器官は捉えている
殺らなけらば、殺られる。
「出力…最っ大!!」
ベータはチャージ中でガラ空きの本体に両手のガンソードを揃へ、斉射──極太のビームを吐き出す。
「そう!それでいいです!」
人に向けてはならない程のエネルギーを込められたビームを、シャープは避ける。
シャープは元々の弱点、チャージ中の機動力低下を補っていた。
足裏のホバーブースターがチャージ姿勢を維持したまま、シャープを滑走させている。そして砲撃モードのチャージが完了した。
「さぁ、避けてくださいよ!」
倍となったファンネルの砲撃モードは垂直射撃と水平射撃が組み合わされて発射され、それぞれ連続で交互にベータを襲う。
ブーストを吹かし上方から降るレーザーを避け、足運びや体の捻りを効かせ回避機動を取った。
「ぐぅッ」
直撃は免れたものの、最終着弾時の爆風がベータの体を叩いた。
地面に倒れ込むも即座に受け身を取り、戦闘態勢に復帰した時、ベータの視線の先には既に再びチャージ砲撃を狙うシャープがいた。
「させない…!」
即座に誘導性の高いマイクロミサイルを発射。続けてシャープの移動先を予測し、ガンソードの連続射撃で複数箇所に弾を送る。
シャープは砲撃モードを解いてマイクロミサイルを避けるが、回避先を潰していた射撃には被弾する。
「おっと」
比較的低出力の連続射撃とはいえ、被弾したにもかかわらず、痛みを堪える素振りを見せなかった。
互いに一発目の被弾。状況はイーブンだが、ベータは焦りを感じていた。
この瞬間も撃ち出されるファンネルからの射撃を掻い潜り、勝つために思考を回す。
ベータはこれまでの戦闘で、相手の方が自身より射撃特化型であると読んだ。
生身時代から明らかに強化されたシャープ。彼女がまだ見せていない武装があると考慮すれば…。
遠距離で撃ち合い続けてもジリ貧で負けるのは確実に自分だと悟る。
「近寄る!」
戦闘距離を詰めるべく、ベータは制圧射撃─ガンブレードを八の字に構え、照射ビームとミサイルを同時に放ち牽制射撃とした。
シャープはビームを躱すも、遅れて到達するミサイルに対してシールドを発動。
星弾射撃が止まった瞬間、ベータは全速力で肉薄する。
「防御モード!」
接近を許したシャープは、八機のドローンでエネルギーバリアの外殻を即時展開、迎撃態勢を整え星弾射撃を再開するが─
ベータはステップとガンブレードで星弾をいなす。
「!?」
「突ッッ込む!」
エネルギーバリアに右膝を突き当て、仕込まれているキャニスター弾を撃ち込んだ。
バリアは砕かれた。
「タァァッーー!!!」
腰部のブースターを吹かし、左脚を支点に回転。そのままブレードを叩きつける。
ブレードは防御姿勢を取ったシャープの両腕に当たり、それを"切り飛ばした"。
あまりにも、簡単に。
「何を驚いているんです?」
腕がなくなったことを気にもとめない様子にベータが困惑しかけた時、シャープはホバージェットの出力を乗せたサイドキックをベータに蹴り入れた。
吹き飛ばされつつも身を捻り、両の脚で着地には成功したベータ。シャープの方を確認すれば、彼女の体の左右には切り飛ばされたはずの腕が浮遊していた。
「機械の身体になっているんです。この程度のことは予想して頂かないと…」
浮遊していた腕は一周する溝ごとに分離していく。脚も同様に刻まれている溝に沿って分離した。
四肢はそれぞれ4つに別れ、手と足を抜いて12機、キューブビットと合わせて20機のビットが展開される。
それぞれのビットにエネルギーが収束していき、星弾が発射される。
「くぅっ…!」
ベータはその弾幕を避けつつ、突撃ビットを射出して直撃弾を相殺するも、あまりの弾幕に距離を離すことなった。
あのビット群をどうにかしない限り、もはや近づくことはできない。
マイクロミサイルをビット群にマルチロックさせ発射した。
「迎撃」
シャープの号令に合わせ、ビット群はミサイルに標的を変えて星弾を撃ち、尽くを撃墜する。
「そこっ!」
ベータ自身が狙われなくなった僅かな隙。そこを突いてガンブレードによる連続射撃でビットの破壊を狙うも─
「反射!」
四肢ビットが円筒状から円盤状に変形し、ベータの射撃を跳ね返した。
弾かれたビームはそのままベータに返ってくる。
「!?」
バラバラに放ったビームはベータめがけて集中する。
不意を突いた攻撃のカウンターに驚きつつも回避には成功した。
「それなら!」
低出力の連続射撃がダメなのであれば─と、ガンブレードを前に揃え、照射ビームの発射体勢を取る。
今も尚、無理に避けるのであれば、最大出力の攻撃は有効打足り得る証明になる。
シャープは─シャープは避ける素振りを見せつつも、焦りは顔に現れず、唇がニコリと歪む。
「ベータさん。その装備を作ったのは、私ですよ?」
その言葉はベータに聴こえず、エネルギーの奔流は撃ち出された。
四肢のビットはシャープの前面に展開し、大きなエネルギーを小分けに分散。ドームの床や壁面を焼くだけに留まった。
「っ!…いいえ!まだ──!?」
防がれたことを認め、次の攻撃に移ろうとした時、ベータの右肩がフッと軽くなりガヅンと重い物が落ちる音がした。
「次は反応弾ですか?」
ベータの顔の横で、声がした。
数十メートル先に敵が居るのにも関わらず、振り向いてしまう。シャープから分離した手が無反動砲の基部に取り付いていた。
「いやっ!?」
突撃ビットを操って攻撃するも、仕事を終えた手はらりと避け、持ち主の元に帰っていく。
段々とまるでいたぶるように戦闘力を削いでくるシャープをベータは睨んだ。
シャープは切り札足り得る反応弾を無力化したことで、さらに余裕な様子で話しかけた。
「さぁ、どうしますか?いつまで面倒をかけさせるんですか?」
「…まだ!まだ終わってない!」
しかし、ベータのその瞳には諦めの色はなかった。
「聞き分けのない駄犬め…。まぁ、いいでしょう。時間はたっぷりあります。気が済むまでやりましょう」
シャープはビット群を再展開し、ベータに向けて弾幕を注ぐ。
ベータは弾幕を掻い潜り、何とか反撃を狙うも──格闘の距離には近づけず、射撃での反撃は尽く撃墜か反射され、より弾幕を過密にさせた。
リロードが完了する事に無事な武装を被弾しながら撃ち続ける…がむしゃらと言える攻撃にシャープは順応した。
「攻撃を強めますか…」
シャープは射撃戦を繰り広げる中でデータを蓄積し、ビットの防御パターンを最適化。余剰リソースを攻撃に回すことでチャージ砲撃モードを再開した。
正面、左右からの面制圧攻撃に加え、上方からの砲爆撃。
その攻撃を、ベータは死に物狂いで避けていた時──
バギン──ボン!
「あぐっ!」
ベータの左手に持つガンブレードが暴発した。
被弾の増えるベータは、ダメージを抑えるために、それを無理やり防御に使ってきたことが祟った。
もう片方は暴発に巻き込まれて破損した。
無手となったベータは、ただ、呼吸荒く、腰を落として立ち構えているだけになった
「…はぁ…はぁ…」
「…終わりにしましょう…」
トドメは、せめて、一思いに…。
シャープは、ビットを砲撃モードにエネルギーを注ぎ始めた。
カチン
シャープの背後で撃鉄が雷管を叩く音が、──音が正しく伝わりにくい広いドームの中で──その音がやけに響いた。
ドシュッ──
基部を分解され、放置していた無反動砲。ベータはそれを遠隔で操作していた。
シャープが音の方向を確認した時にはすでに、弾頭が眼前に迫っていた。
ドォン!
「くっ猪口才な──!?」
榴弾を防ぐためにチャージを中断してシールドで防いだ。
ベータは回避しながら粛々とチャンスを狙い、この隙をついに作りだした。
「これを…当てる!!!」
即座に反応弾を引きちぎり、投げつけ、ビットを突撃させた。ビットを推進機として反応弾頭を加速させる。
「ぐっう!?」
反応弾はシャープに直撃した。
ビットでエネルギーを反らそうとするも、中心で被弾したことにより、周囲空間が膨大なエネルギーであふれている。
この環境でビットはオーバーヒートをおこし、数機が爆散した。
しかし、その程度の被害で済んだ。
視界を支配していた反応弾の爆炎がついに晴れる。晴れた先でベータが大剣を構えて現れた。
シャープは、その大剣に見覚えがあった。
ベータがロンギヌスとなった時、過去開発資料として保管された大剣だ。
シャープが起こしたBABELの崩壊は、予備兵装の生産を止めた。
抵抗を続ける意志のあるものは、使える物をかき集め戦っていた。
ベータは、資料保管庫からロンギヌス計画の前段階、人造天使計画時代の武器を取り出し格納していた。
それをたった今、その手に召喚している。
「ッ!!!」
「とぉりゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ベータは全身をひねり、天使の力を解放したバーストアタック──横一閃の回転切りをシャープに叩き込む。
大剣の斬撃は致命の一撃となり、胴体が分断された。
舞いあがった上半身がガシャリと床に落ちる。
「…最後の最後で、負けますか…。」
「はぁ…はぁ…。」
人間であれば既に死んでいる状態だが、機械化したシャープは、はっきりとした意識を保っている。
ベータは大剣を支えに立ち、シャープを見下ろした。
「誇ってください。貴女は貴女の未来をつかみ取ることができたんです。…私はここを爆破し、共に消えます。」
「ダメです…!」
「?」
ベータは大剣を手放し、シャープの横に座り込んでその顔に両の手を添える。
「シャープさんも…来るんです!体なら団長が元に戻してくれます!」
「…本当に、ベータさんは優しいですね…。」
ザリ─
シャープのスピーカーがノイズを交じらせる。
「この体は、端末に過ぎません…。私は既に、この地下要塞の一部になっています。…ですから、無理で──いや、団長ならやってしまいそうだからおかしいですね。」
はは。と力無く笑った後、言葉を続けた。
「でも、私は団長の元には戻りません。」
ヴヴンと、鈍く震える音がドームに広がった。
それを拍子に、床に敷き詰められていた星晶が激しく発光し始める。
「何をしたんです…!?」
「星晶を純粋エネルギーに変換して、爆発させます。これだけの量です。この要塞は跡形も無くなるでしょう」
「そんな…!」
「さぁ、ここから離れてください。貴女の選択した未来が、わたしとどちらが正しかったのか…?…貴女にはそれを見届ける権利と義務がある…!」
「くっ…」
「今度こそ…お別れです」
ベータは立ち上がり、掛け替えのない先輩だったシャープを今一度見やる。
改造により無機質で表情が読み取れないその顔は、なんだかやり切った顔をしている。
ベータはそう感じた。
感傷に浸る間もなく、ドームの光と振動に脱出をせかされる。ベータはただ一人、ブースターを吹かし、縦穴を上昇していく。
その姿はドームの底から見えなくなり、ブースタージェットの光すら届かなくなった。
ドームのなかで星晶はジリジリと震え、光をより強まらせていく。
「先輩…ごめんなさい…。私の手で、仇は取れませんでした…」
シャープは光の騒がしい空間で1人、悔いを呟いた。
本当は、デュカリオンの仇は──
【シャープではない】
デュカリオンを殺したのは、彼女の両親と同じく、前文明の浄化システムに気づいたものを排除する自動機械だった。
両親の痕跡を見つけたあの日、2人は得体のしれない自動機械に襲われた。
星導使を殺す為だけに作られたそれに2人は応戦し、間一髪、シャープは生き残ったが、デュカリオンは死んでしまった。
上司であり、戦友であり、青春の多く時間を過ごした人の死は、前文明に対する強い怨嗟を与えた。
怒り、全文明人を滅ぼす復讐を考えた。
それを完遂するだけの情報はたった今得られ、力と技量をシャープは兼ね備えている。
しかし、シャープの腕の中で息絶える時、デュカリオンは遺言を残す。
『団長を…恨まないであげて…』
その言葉はシャープの心に燃え盛る復讐心の一部を抑えた。
団長は前文明人である。
それも、デュカリオンを殺した浄化プランにも直接かかわっている。前文明を滅ぼすとなれば、団長も含まれる。
シャープも団長には世話になっており、好意はある。殺すことには抵抗がある。
シャープは頭を悩ませた。
団長以外の前文明人を滅ぼし、現文明を延命させる方法自体はいくらか考え付く。
最もオーソドックスな方法は、前文明人が悪であると喧伝し、世界全体で団結して対処を促すことだ。しかし、これには団長も悪人としてつるし上げられてしまう懸念が生まれる。
そしてシャープにはなによりも譲れない点があった。
集団の結束を促すため、自動機械に殺されたという不名誉とともに、デュカリオンの両親と本人の死を公表しなければいけなくなる。
これを隠したかった。
背景を隠しつつ復讐を達成することは困難だ。
ただ単にスターエネルギー利用の危険性を示しても、自らの生活、既得権益を狭める様な話には、誰も賛同しない。
誰の力も借りれない状況で達成するには…と思考を巡らせせた結果、真実を隠す大きな事件を起こし、妥当な嘘をつけば良いと考えた。
シャープが構築したプランは、気が触れてデュカリオンを殺したとして、さらに一切合切を破壊するものになった。
こうして、一連の騒動は起こされた。
最重要の目的は達成され、秘密を知るのはシャープ自身と、この要塞に残るログだけだ。
それらは、爆発により焼失する。
シャープの、自己満足とも言える小さな願いは果たされる。
「はぁ…、疲れました。黒幕なんてもう二度とごめんです。」
臨界に達した星晶は弾け、放たれたエネルギーの奔流が要塞を破壊した。
────────
遠い未来。
「団長。長きに渡る任務、ご苦労だった」
「…」
団長は月から舞い戻ってきた本来のガイアの支配者達を出迎えていた。
シャトルから降りてきた代表者が差し出してきた手を無言で握る。
月帰りの代表者と団長が握手を交わしたとき、周りから拍手が沸き起こった。
彼はシャープが起こした事件の後、なるべくその意志に沿うように世界を動かした。
スターエネルギーの使用抑制や、代替生活エネルギーの活用法などを自身の影響力を使って広めた。
しかし、前文明人から託された願いを捨てきれなかった団長は、コールドスリープを行い、定期的に目覚め、世界を観測した。
記憶を失うことは、あれ以来起こらなかった。
スターエネルギー使用を抑制程度に留めた結果、目覚める度に汚染の濃度は薄くなり、ついに汚染は無くなった。
団長は月に信号を送った。
当初の想定より長くなった前文明人の月籠りは終わる。
長期休眠装置は伸びた期間にも十分に対応し、前文明人は長い時を超えて念願のガイアへの帰還を果たしたのだった。
───どさり。
団長があふれんばかりの拍手を受ける最中。その内の一人が糸の切れた操り人形のように倒れた。
「どうした!?」
瞬間、拍手は鳴りやみ、動揺と悲鳴が伝播していく。
混乱が場を支配したかと思えば、次々と倒れていく月帰りの人々。
「一体何が…ぐっ…!?」
ついには握手をしていた人物も、支える間もなくその場に倒れた。
団長は困惑しながらも、倒れた人のバイタルをチェックする。既にこと切れる寸前の状態だった。
ピリリと団長の持つ端末が震える。
団長に届いた通知は、汚染濃度が急激に高まりつつあるという警告だった。
一体なぜ…団長は困惑した。少なくとも汚染源たる星晶は地上近くには存在していない。
大部分はシャープにより地下要塞に集められ、それも大爆発により地上に撒かれ長い時を経て浄化されたはずだった。
地下要塞…?
団長が意識から遠ざけ続けてきた地域のことが嫌に気になり、端末で地下要塞のあったその場所の汚染度を調べる。
悪い予感は当たり、その地域から汚染が広がっていた。
ここもすでに、前文明人にとって致死的な汚染量になっている。
「…」
これはシャープが仕込んだものだと団長は判断した。
何らかのトリガー…汚染度が一定値を下回った時に宇宙から複数の飛来物があれば発動するように仕掛けてあれば可能だ。
あの大爆発の後、ドローンも同時に破壊され、集中運用も無しにすべてを掘り返すことなど不可能だった。誰も気づかなかったのは致し方のないことだった。
着陸地点は、先程の大喝采が嘘のように静かになった。生きている者は団長を除いて誰一人いない。
団長はこの惨状を到底受け止めきることはできず、遺体を整えることなくその場を離れた。
そのまま、人の営みを感じられる町までやってきた。すでに辺りは暗くなっている。
適当な道路にビークルを止め、明かりの着いた民家の前に立ち、呼び鈴を押した。程なくドアが開く。
「は~い、どちら様…”_____”?どうしたんですか?今日は月から──」
言葉を聞き終える前に、団長は出迎えた女性を、その存在を確かめるように抱擁した。
相手は、青い瞳を持ち、豊かな金髪をひとまとめにしている女性だ。
「…」
団長の行動に固まる女性。しかし、団長がひどく震えていることに気づくと抱き返し、頭を撫でた。
彼女は遠い昔、ベータと呼ばれていた女性との間に生まれた子供の子孫の一人だ。
先祖返りかベータの特徴が色濃く出ており、団長がこの時代に目覚めた時、思わず声をかける程に似ていた。
シャープが危惧していた清浄環境で起こる現文明人のアポトーシスについて。
団長はこれも解決できないか半ば博打に近い措置を講じていた。
それは、汚染環境・清浄環境両方に適応できている団長の遺伝子を受け継がせることだった。
単純に子供を成すことや適応遺伝子を解析し、世代をまたいだ長期間の遺伝子治療を行うことで血縁にない人間も適応させようとした。
この措置は功を奏し、アポトーシスを起こさない新人類が生まれ、繁栄した人口のほぼすべてが清浄環境に適応できた。
月帰りの人々が起こすであろう、当初の計画から変化していることへの反発は、何が何でも説き伏せ、受け入れてもらうつもりであった。
しかし、それはシャープの恐るべき執念。設計者らしい網羅的な対策により、かくして前文明人は滅ぼされた。
団長が描いた大団円は潰え、ただ、女の胸の中で泣くことしかできなくなった。
これが2026年最初の星の翼 同人小説だ~!!!
なんでこんなもんかいてんだおめぇ~!!!
うごご…。なんてSSを書いているんだ俺は…。
でも公式が書かないようなストーリー展開ができるのが二次創作のいいところだよね(自己弁護)
公式ぃ!!!俺より面白いバックストーリ―を用意しておけよ!じゃなかったらひどいからな!!!!!
さて、最後までありがとうございました。
また何か書けましたら投稿しようと思います。
それでは