一般通過シシ神転生者   作:ヤックルたんペロペロ

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感想をお返しできず申し訳ないです!でもきちんと読ませていただいてるのでそこはご安心を…!
急に書くプレッシャーが来て脳が震えてるゥ…!!


7話 夜の訪問者

 湯屋はサイコーだった!!

 

 はじめは追い出されて絶望に打ちひしがれていたが、湯婆婆が「とんだご無礼を…」と謝罪した後に中へ招いてくれた。

 

 吾輩が代金にお手製の草を出したのが間違いだったのか。シシ神の生み出した草だったら薬湯の高級な素材にもなりそうだし、ちょうど良いと思ったのだが…。

 

 今度もし湯屋に行くときは、砂金の大粒でも見つけてきて無知アシタカプレイでもしよう。

 

 いやしかし、本当に湯屋は良かった。生で見る建物も絢爛であったし、外の店のあの異世界な空気感も良かった。神レビューが書けたら絶対に☆5だ。もし湯婆婆が来ずにあのまま店に入れなかったら、問答無用で☆1を付けて『従業員の態度が悪かった。二度と来ない』と書いていただろう。

 

 

 

 

 

 ──とか何とか言っていたら、時代はすでに近代に迫っていた。

 

 このままだといい感じに鎖国してくれている日本が開国して、どんどん近代化の道を進んでしまう! さすれば巡り巡って、また吾輩の力が暴走する。

 

(………変化の術の修練しかしてこなかった…)

 

 さすがにもう人前でうっかり耳が生えたり、しっぽが出たりすることはな……………いやまぁ、たまに失敗することもあるけど…。

 

 

 吾輩は早急に己の弱点を克服する必要がある。

 

 昼から夜へ、また夜から昼へ変貌するとき、吾輩の首を落とされないように済む方法か…。

 

 ………まったくわからん。

 

 誰か、誰か力以外はぽんこつな吾輩に智慧を………。

 

 

(────!)

 

 

 ふと、脳裏に智慧を授けてくれそうな人物が思い浮かんだ。

 頼りになる確信があるが、絶対に対価無しでは引き受けてくれないだろう。

 

 それでも試してみる価値はある。

 

 吾輩は早速、「ヒュン! ヒョイ!」をした。

 

 

 

 訪れた場所は駅である。晴れ渡った空の下、線路は水没していた。歩き出そうとしたところで背中から「カラカラ」と音が聞こえたので、首を後ろに向ける。

 どうやらコダマを何匹か連れてきてしまったらしく、吾輩の背中に乗ったまま水面を見下ろしていた。

 

 蹄の具合は良好。波紋を作りながらチャッチャと水を弾いて進む。

 

 彼の人物が吾輩の記憶どおりの場所にいるかはわからなかったが、今は信じるしかない。もしダメならその時は、妹の方に頼むしかないのか…。向こうはしかし、ニギニギコハクンチョスを『ハク』にした前科が──いや、まだ前科にはなっていないが、将来神を自分の都合のいいように扱う。だから信用できない。

 

 チャッチャカ歩き続けていると、日が暮れて夜になった。時折来る電車を避けながら、海を進む。

 夜の歩幅は大きいが、速度が遅いので思ったよりは進まない。

 そのうち日も昇り、朝日が顔を覗かせた。

 

 

 目的の場所には日が暮れる前に着いた。

 見覚えのあるランプが光ったところで、吾輩の姿が変わる。

 

 それから変化の術を使い、巨大な体を小さくした。

 

 吾輩の頭に乗り切れないコダマたちは、肩に滑り落ちた。服をつかんで落ちないように頑張っていたやつは、つまんで空いている方の肩に乗せた。

 

 跳ねるランプに続いて道を歩いていく。頭に軽い衝撃を感じるのは、ランプの真似をコダマがしているからだろう。

 

 記憶にある道を進めば、そこに平家があった。

 

 湯屋と比べればその質素さは浮き彫りになる。だが吾輩はこちらの方が好みである。

 

 玄関に向かうと、戸に手が触れる前にギィと重々しい音を立てて開いた。

 

 自分と同じくらいの視線の先に立つのは、湯婆婆と瓜二つの女性(メス)

 

 

「こんな夜遅くに、随分と珍しい客が来たもんだねぇ」

 

 

 銭婆。この魔女が、吾輩が頼りにしてきた人物である。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 銭婆は、随分と厄介な存在が自分の元へ向かってきていると感じていた。

 

 訪ねてきたのは子どもの姿をした神。ついでに、彼について来たらしい小さなお客たちもいた。

 

「まあ入りな」

 

 子どもはコクンと頷く。その拍子に頭にいたコダマが落ち、銭婆の鼻にしがみ付いた。一瞬「あ」と子どもの口が開く。寄り目で鼻についたコダマを見た銭婆は、大声で笑った。

 きっと湯婆婆()であれば怒り心頭になっただろうが、銭婆は愉快な気持ちになった。

 

 コダマは子どもの手に回収される。

 

 案内されるまま椅子に座った子どもは、出された茶をひと口飲んだ。

 

「アンタ、言葉は話せるかい?」

 

 子どもは首を横に振る。

 

「なら、筆談に……おや? コダマ(その子)たちはお前さんの言葉がわかるようだね。なら、通訳は任せようか」

 

 コダマたちはテーブルに座りながら首をカラカラと動かす。

 彼らがこの神にベッタリな時点で、悪い神ではないのは確かだった。

 銭婆はフッと笑い、自分もテーブルに腰かけ茶を啜る。

 

「あたしに用があって来たみたいだが、用件は何だい?」

 

 コダマたちは体全体でジェスチャーを交えながら、この神の用件を伝えた。

 

「…なるほどねぇ。己の姿が変わる時の弱みを無くしたいわけか」

 

 目の前の神────シシ神は『生と死を司る』神だ。神の中でも、人間にもっとも身近な存在である。

 

「弱みを無くしたいのは、万が一の際に暴走した力が『理』を乱さぬため。……もし人間社会から遠ざかれと言っても、いずれは増長した向こうからやってくる。だからこそアンタは人間社会に紛れることを選んだのかい?」

 

 シシ神は首を縦に振る。同時に、コダマたちが通訳した。

 

「………傍観者か。生と死を司る神であるからこその役割…」

 

 銭婆の瞳が、シシ神の瞳と絡む。表情は一切変わらぬが、その中身は思ったよりも豊かそうだと銭婆は感じた。

 だからこそ思う。

 

「お前さん、力に対して生じた中身が人間的だが、平気なのかい?」

 

 シシ神は首を傾げる。銭婆からすれば、はるか昔から生き続け、この先も──それこそ人間という生き物が滅んだ先でも、この神は滅ぶことがなければ生と死を繰り返し続けるのだとすると、とても正気ではいられないと感じる。その中身が人間に近い感性を持つなら、なおさら。

 

 

『   』

 

 

 シシ神はその時、はじめて微笑んだ。

 

 昼の姿の時のようなわずかな微笑み。何を言ったのか銭婆にはわからなかったが、自分は余計な気を遣ってしまったと気づいた。

 

 見た目は人間の子どもでも、中身は太古より生けし神。

 人間に近い精神を持っていようと、これは『シシ神』という存在なのだ。

 

 根本的な部分で、死を恐れる心も、生を喜ぶ心もない。

 

 

「ハァー……まぁ、いいだろう」

 

 ため息をついた銭婆は、シシ神の頼みを引き受けることにした。しかし、「ただし」と髪を青白く発光させた彼に人さし指を向ける。

 

「対価はきちんといただくよ。その体でね」

 

『………!?』

 

「……何だい? そのえろ…何とかっていうのは?」

 

 コダマたちの翻訳に銭婆は首を傾げた。

 シシ神はわざとらしく咳払いをする。

 

「とりあえず、明日から働いてもらう。ちょうど新しい野菜を畑に植えようと思っていたところさね」

 

 もちろん、と銭婆は付け加える形でシシ神の力を使うのは却下する。

 

 翌日土まみれになることが確定したシシ神は、床で大の字になりながらも、どこか嬉しそうに天井を見つめていた。




作品の方向性などを色々と考えて、原作をヒロアカから、「ジブリ✖︎ヒロアカ」にした方がよいのかと悩んでます。ヒロアカキャラを書いた話がジブリキャラを絡ませるものになり、今後書いていく上でこのテイストが個人的には合いそうだと感じた次第で…。
参考までに意見(アンケート)をいただけたら幸いです。

原作表記について

  • ヒロアカ
  • ジブリ
  • ヒロアカ✖︎ジブリ
  • ジブリ✖︎ヒロアカ
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