ドラゴンボール×Re.ゼロから始める異世界生活   作:オレタチ青い人

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前回ではレムと子供達を助けるために悟空達が行動を始めました。
今回ではどうなるのか...レムや子供達を助けることができるのか…ぜひ見てってください!!


第二章8 黒い魔獣と黄金の槍

 

 

 

 

 

「あともうちょっとだ……!あと、もうちょっと耐えてくれ!」

 

 

 悟空達は今、失踪した子供達を助けるため、森の中を駆けていた。

道は整備されておらず、地面の凹凸が激しく、たまにその凸につまづき転びそうになる。

 

 こうしているうちにも、今悟空が背負っているレムはともかく、子供達のマナが減少していっている。

早く行かなければ…!そう焦る悟空の耳に、「んぅ……」と、レムの苦悶の声が入る。

 

 

「……ゴクウ、さん……?」

 

「……!レム、目覚めたか!!良かったぞ!」

 

 

 レムは目覚めたようで、悟空を呼ぶか細い声が聞こえる。

その声はあまりにも小さく、スバル達には聞こえていない様子だった。

悟空はレムが目覚めたことに安堵しながらも、足を止めない。

 

 

「おめぇも大変だな、呪いなんかかけられちまって。でも大丈夫だ!オラ達がぜってえ助けてやっぞ!」

 

「………………─です……」

 

 

 レムがなにかぼそっと呟くと、悟空は「ん?」と言いながら、その呟きに耳を傾ける。

 

 

「……いいんです。これは、報いなんです……」

 

「何言ってんだ?そもそも報いって、なんの報いなんだ?」

 

 

 その悟空の質問に、レムは出し渋るように口を紡ぐ。だが少しすると、覚悟したように口を開く。

 

 

「……あなた達を……殺そうとしたことの……」

 

 

 悟空のその問いかけに、レムは小さく、声を震わせそう呟く。

その呟きを聞いた悟空の足が少しだけ鈍る、が、すぐに元の早さに戻った。

 

 何も言葉が出なかった。いや、出さなかった。

ここで余計な言葉を重ねても、彼女の胸に刺さるだけだと悟空は直感していた。

 

 代わりに、レムを背負う腕にほんの少しだけ力を込める。

 

 

「後で色々聞かせてもらうかんな……」

 

「……………………」

 

 

 

 悟空はそれだけ言うと、再び目線を前へ向け、走り続けた───

 

 

 

 

 

 子供達の気を頼りに走り続けたその先に、悟空はあるものに目を見開く。

 

 

 

「居た!アイツらだ!」

 

「……!!あれは……!」

 

 

 悟空がそう声を上げると、スバル達は彼の指差す方へ目を凝らす。

そこには確かに、森の中でも開けた小高い丘の上に、寝転がる小さな姿が六つほどあった。

 

 子供達が力無くぐったりと倒れていて、見た限り外傷は無いように見える。

が、その顔色は血の気がなく、浅い息を何度も繰り返していた。

急いで近づき、それぞれの呼吸の有無を確認する。

 

 

「生きてる……生きてるぞ!」

 

「こっちも大丈夫だわ!ラムの方は!?」

 

「ええ、こちらもまだ息があります!」

 

 

 各々担当している子供達の無事を確認し、少し緊張が緩む。

 

 その子供達の姿を一望すると、やはりレムと同じようにそれぞれの足、手から''糸''が出ている。

しかも、全ての子供達の糸が、レムの糸と同じ方向へと収束しようとしている。

これが指すことは、レムへ呪いをかけたヤツと、子供達へ呪いをかけたヤツは同じという事だろう。と悟空は予測する。

 

 緩んだ緊張を再び引き締めなおし、背負っているレムを地面にゆっくりと降ろす。

 

 

「ラム、エミリア!レムとチビ達を頼む!」

 

 

 彼女らに向けてそう言うと、悟空は仙豆の入った袋をエミリアへ投げる。

 

 

「これは確か…せんず?だったわよね」

 

「ああ!本当にやばくなったらそれ食わせろ!残り五粒しかねぇから大切に使ってくれよ?」

 

「ええ、分かったわ!ゴクウ達もくれぐれ気を付けて!」

 

 

 エミリアは悟空達へ激励の言葉をかけ、仙豆を懐にしまう。

 

 悟空とスバルが術者を、ラムとエミリアがレムや子供達の治療を担当。

呪いにかけられたのがレムだけだったのならまだなんとかなったが、子供達もとなると、一人では到底処理しきれない。

加えて、術者を倒すと言う目的もあるため、ここは役割を分けた方が良いと考えた。

だが、その悟空の判断にラムが物申す。

 

 

「お待ちください、バルスを連れていって本当に大丈夫なのですか?足手纏いになる気がするわ」

 

「うっせぇな自分でも足手纏いになるって分かってるよ!

 …でも、目覚めてからの俺は超鬼がかってっから、ちょっとは信用してくれてもいいんだぜ?」

 

「「…鬼…がかる…?」」

 

 

 そのスバルの言葉に、レムとラムが反応する。

悟空もその言葉は初めて聞いたため、「ん?」と反応する。

 

 

「ん?ああ、神がかるの鬼バージョンね。基本神様って何もしてくんないけど、鬼って来年の話をすると笑ってくれるらしいぜ?」

 

「……戯言はいいから、行動で出来ることを示しなさいバルス。

 ……お客様、ここはラムとエミリア様に任せてください。どうかお気をつけて」

 

「おう!任せたぞ!」

 

 

 ラムの言葉に力強く頷くと、悟空は再び森の奥へと視線を向ける。

 

 悟空の意図を了承したラム、エミリアは、子供達に治癒魔法をかけ、村へと運び出し始めた。

その姿を見て、自分たちも役目を果たさなきゃな、と思い再び立ちあがろうとする。

 

 

「……ゴクウ……?」

 

 

 その時、目覚めたであろう子供が悟空の名を呼ぶ。

本当にか細い声だった。昼間、遊んだ時の元気がカケラも感じられない程に。

 

その子供…リュカが、震える手で悟空の服の裾を掴んだ。

 

 

「怖いよ、ゴクウ……おれ、死んじゃうの…?」

 

「大丈夫だ!死なせなんかしねぇさ!それに、おめぇ達にこんなひでぇことしたヤツはオラとスバルがぶっ飛ばしてやっからよ!」

 

 

 その言葉と共に、悟空はリュカへと笑顔を向ける。

その笑顔は、不思議と恐怖を押し流してしまうほどに真っ直ぐで、力強かった。

 

 まるで「大丈夫だ」と、言葉以上に納得感のある、そんな頼り甲斐のある笑顔だった。

 

 

「うん…分かった…!おれ、ゴクウを信じる…!」

 

「ああ、任せとけ。これが終わったら、また一緒に遊ぼうな!」

 

 

 悟空の笑顔に、リュカも微笑んだ。

不安で染められていたその顔は、今やわずかに安らぎを取り戻していた。

まだ苦しげな呼吸は続いているが、その瞳には確かな“信じる力”が宿っている。

 

 リュカの小さな拳と、悟空の逞しい拳がぶつかり合う。小さきながらも、大きな意味を持つ約束が交わされたのだった。

 

 

「悟空!まだ森の奥にもう一人いる!ペトラが証人だ!」

 

「……!!…まだ気は抜けねぇな…!」

 

 

 これでレムや子供達は安心、と思ったのも束の間、スバルから鋭い声が飛んでくる。

 

──まだ、救うべき人が居る。

 

 悟空はすぐさま目を閉じ、マナを探る。

 

…………居た!……だが、マナは減少していない…?

 

 いや、そんな疑問どうでもいい。今は助けることが重要だ!

 

 

「スバル!行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 

 二人同時に立ち上がり、同時に踏み込んだ。

そう、同時に踏み込んだはずだった…

 

 

 ドンっ!!!

 

 

 と、謎の衝撃音が鳴り風が吹いたかと思うと、その場から悟空の姿が消えた。

悟空がいたはずの場所には、小さなクレーターが出来ており、その威力を物語るようにそのクレーターの中には無数の亀裂が走っていた。

一瞬何が起きたかわからず、スバルは踏み込んだままの体勢で、動けずにいた。

少し経って、自分が置いて行かれたことに気づく。

 

 

「悟空っ!?…あいつ…早すぎんだろ!」

 

 

 同時に思ったのは、悟空の凄さだ。

今まで何度も常識外れな力を見せられてきた。

エルザを追い詰めた凄まじすぎるスピード、桁外れなパワー。

 

 だが、真横でそれらを感じたのは初めてだった。

 

 速い、なんて言葉では説明がつかない。

まるで最初からそこに居なかったかのように、一瞬で森の奥へと駆け抜けていったのだ。

 

 

「へっ、友達に置いてかれてたまるかよ…!!」

 

 

 そう叫び、呆けた自分のツラをバシッと両手で叩き、気合を入れる。

役立たずの自分だって、少なからず出来ることはあるはずだ──

 

 スバルはそう奥歯を噛み締め、走り始めた。

 

 

──────────

 

 

 

 その頃悟空は、森の中を全速力で駆け抜けていた。

助けを求めているであろう少女の気を頼りに、木々を避けながら突き進んでいた。

 

 

「!!?」

 

 

瞬間、目の前から何か''黒いモノ''が鳴き声を出しながら悟空に襲いかかる。

 

 

「っだりゃ!!」

 

 

 咄嗟にその黒いモノへ裏拳を繰り出し、退ける。

それはギャオン!!と犬のような鳴き声を出しながら、地面に転がっていった。

 

 確認する暇もなく、悟空はその黒いモノから遠ざかっていく。

何だったんだ……?今のは?と疑問を浮かべながらも、足は止めない。

 

 

 

 ───やがて、また開けた場所に出た。そして目の前に、青紫色の髪の幼女が寝転がっているのが見える。

 おそらく、スバルが言っていた「もう一人」とはこの子の事だろうと、その女の子に近づく。

 

 

「おい、大丈──」

 

 

 無事を確認するために、その子に手を伸ばす。

 

 と、その時、森の暗闇の中から赤く輝く''目''が見えた。

断言する、これはエサを前にした獣の目だ。ブルマと出会う前のパオズ山の森の中で、こんな目いくつも見てきた。

周りを覆うようにその目は増え続け、やがて完全に悟空を包囲した。

 

 

「ちっ…群れか…厄介だな…」

 

 

暗闇の中で、無数の唸り声が重なっていく。

 

 ガルルルル……。

 

 低く湿った獣の呼吸。

木々の隙間から覗く赤い瞳は、一つや二つではない。

 

 十──いや、それ以上。 

 

 すると、森の中から三匹ほどの黒い犬が、赤い瞳を輝かせながら姿を現した。

犬なんてやわな表現じゃ表しきれない、これは獣だ。餌を前に涎を垂らしながら、低く唸る獣。

 

悟空は少女を庇うように一歩前へ出ると、構えるように腰を落とした。

 

 

「どうやら、おめぇらがベアトリスの言ってた''術者''ちゅうヤツららしいな…?」

 

 

 その獣の奥にいる''両頬が禿げた犬''。今度は犬と言っていいほど可愛らしい姿だ。

だが、その可愛らしい表情から読み取れるのは純粋無垢な獣の顔。

その犬から、悟空が走ってきた方向から合計七つほどの''糸''が伸びてきている。

 

 それを見て、悟空はこいつがレムや子供達に呪いをかけた術者だと確信する。

いや、魔獣とでも言うべきか。

 

 

「…いつでも来い、オラは準備出来てっからよ」

 

 

 そう言いながら、悟空な腰を落とした体勢のまま腕を交差させる。

そして、体の中の気を高めると同時に…

 

 

「ガアアアアッ!!!!」

 

 

犬が吠え、真正面の一匹の獣が大きく飛び上がり、悟空に襲いかかる。

 

──丁度いい。今、修行で得たものを存分に発揮する時が来た。

  オラだけの新技、おめえ達で試してやる!

 

 

 その襲いかかってきた黒い獣に向かって、悟空は腕の交差を解除させ、右掌を向ける。

そして、「はっ!!」と叫ぶと同時に…

 

 悟空の背後から()()()()()()()が獣へと飛んでいき、眉間から貫く。

 

 

 ゴトっと、勢いを失った獣の体が地に落ちる。

 

 

「グォアアァァア!!!」

 

 

 それが合図になったかのように、周囲を囲んでいた魔獣達が一斉に飛びかかってきた。

 

 前方から三匹、左右から二匹ずつ。

後方では木々を蹴り、頭上から飛び込んでくる影まである。

 

 だが、一匹一匹は強くない。

 

 悟空は迫り来る牙を見据えたまま、静かに息を吐く。

 

 そして───

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 バッ!!と両手を魔獣達へ向けると、無数の光が悟空の周囲から放たれ、形ある''気''が生成される。

 

 一本一本が鋭く細長い、“槍”の形をした気。

 

 黄色い閃光は一直線に空間を裂き、飛びかかってきた魔獣達を正確に撃ち抜いていく。

 

  眉間を貫かれた魔獣が地面へ落ちる。

胴を撃ち抜かれた魔獣が木へ叩きつけられる。

 

ズッ!!ドシュッ!!ボズッ!!

  

 襲い来る魔獣達へと手を向け続ける。

右、左、正面、後ろ、斜め、全方向の魔獣へ忙しく手を向け、気の槍を飛ばす。

頭上から襲ってきた影すら、振り向きもせず放った一閃によって撃ち落とされた。

 

 

「づぁりゃあ!!」

 

 

 最後の槍を飛ばし、残り一体の魔獣を貫く。およそ三十匹以上の獣を一瞬にも満たない攻防で沈め切った。

 

 森に響いていた唸り声が、ぴたりと止む。

 

 残ったのは、土煙と、血の匂い。

そして、地面へ転がる眉間から尾、腹、それぞれに体の穴が空いた魔獣の骸だけだった。

 

 

「ふう…中々良いじゃねえか!''気突槍(きとつそう)''!!」

 

 

 悟空は軽く肩を回しながら、自分の掌を見る。

 

 “気”を極限まで細く、鋭く圧縮し、槍の形状で撃ち出し貫く技。

 

名を──気突槍(きとつそう)と呼ぼう。

 

パックのあの鋭い氷。あれにインスピレーションを受け、この技を開発した。

 

 単純な威力だけならかめはめ波の方が上だ。

だが、この技は違う。

 

 悟空の鍛えた気の練度により、速く、正確で、無駄がない。

 

 一瞬で複数を仕留めるには最適だった。

 

 

見える獣の姿を一斉に片づけ、残りはあの''犬''のみとなった。

 

 おそらく、あいつが魔獣を群れとして成り立たせているリーダーだろう。

あいつを倒せば、レムや子供達を助けられる。

 

 

「…すまねぇが、アイツらを助けるためには仕方ねぇことなんだ。ぶっ倒させてもらうぞ」

 

 

 そう言いながら、悟空は''両頬の禿げた黒い犬''へと掌を向け、頭上で気を槍の形に圧縮し、気突槍を繰り出そうとする。

だが、その瞬間…

 

 

「グォアァッ!!!」

 

「!!?…何っ!?」

 

 

 倒したはずの魔獣が、悟空へと襲いかかる。

 

死んだはずだ。

 

 眉間を貫き、確かに気配も途絶えていた。

だというのに、その黒い獣は悟空の喉元へと食らいつこうとしていた。

よく見ると、穴が塞がっている。傷が癒えている。

どういうことだ?なぜ、いつの間に…!?

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

 咄嗟に腕を差し込み、その牙を受け止める。

ギリギリと、鋭い牙が悟空の道着を裂き、肉を噛んでいた。

 

 だが───

 

 

「だぁっ!!」

 

 

 そのまま腕を振り魔獣を地面へ叩きつける。

魔獣はその威力により噛んでいた悟空の腕から牙を離し、血を吐く。

 

 追い討ちにその魔獣の腹へと拳を振りおろし、ドゴッ!!という音と共に魔獣の体は地面に沈む。

 

 

「はぁ…はぁ…くっ!?どうなってやがんだ…!?」

 

 

 噛まれた腕を押さえ、そう呟きながら再び犬へと目線を向ける。

 

 

「……はは、そんなんありかよ…?」

 

 

 先ほど全滅させた魔獣の群れが、犬を守るように囲んでいた。

気突槍で貫いたはずの傷は癒えており、再び赤い瞳を悟空へと向けている。

 

 おそらく、これはあの''犬''の仕業だろう。

 

魔獣達は低く唸りながら、じりじりと距離を詰めてくる。

 

 先ほどまでとは違う。

ただ獲物へ飛びかかる獣の動きではない。

 

 統率されている。

まるで一つの意思で動いているかのようだった。

 

 

「……なるほどな。おめぇ、自分の群れを回復できんのか」

 

 

 悟空は腕の血を軽く払う。

 

 傷自体は深くない。

だが、問題はそこではない。

 

 一匹一匹を倒していては埒が明かない。

 なら狙うべきは一つ。

 

 

「可愛いカオしてすげぇことしてくんだな、おめぇ…」

 

 

 悟空は腰を落とし、頬の禿げた黒犬をしっかりと見つめる。

 

 

「ぜってぇ助けてやるからな…レム、チビ達!」

 

 

 低い唸りが響く森の中、救うための戦いはまだまだ続く……!!!

 

 

次回、ウルガルム討伐戦 へ続く─────

 

 

 

 

 

 




この連載でのオリジナル技、気突槍が登場しました!
気を槍のような形にして「突き」、「貫く」。そんな技です。もしかしてこんな技が原作やアニメなどにも登場しているかもしれませんが、この連載では悟空独自の技として扱うことにします!
気円斬を文字って気突槍という名前にしましたが、どうでしょうか?良ければ感想などお願いします!
ちなみに、ウルガルムには少しテコ入れを行っています。
次回ではどうなるのか、ぜひ次の話をお待ちください!

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