ドラゴンボール×Re.ゼロから始める異世界生活   作:オレタチ青い人

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おはようございます!
リゼロ四期が終わってしまいました。毎週のたのしみがぁぁぁあ!
リゼロアニメ最終回記念ということで、2話同時掲載です!
ぜひ見てってくれたら嬉しいです!


第二章13 覚悟

 

 

 

 昨夜────────

 

 

 

 

 

 

 「ん…」

 

 

 いつもとは違う感覚を背に味わいながら、水色髪の少女は目覚めた。

硬い地面と自身の間に白い布が敷かれ、所々汗によって滲んでいる。

 

 だんだんと脳が覚醒していき、状況を思い出していく。

 

 確か、自分は呪いに侵されて…それで………

 

 

「─バル!ゴク──!起き─!」

 

「死─ないで!死んじゃやだよ!」

 

 

 なにやら、周りが騒がしいことに気づく。

まだ霞む視界を瞬かせ、まだ気怠げな体を、その騒ぎの方に向ける。

 

 

「……っ!!」

 

 

 横たわる、よく知っている二人の男の体。

所々噛み跡があり、傷口からは血が溢れ出し、小規模の血溜まりを作っている。

見ているだけで心が痛くなる、そんな惨状だった。

 

 その男らの周りには、死なすまいと治癒魔法を必死の形相でかけ続けるエミリア、加えてアーラム村の子供達が、心配の言葉を投げかけていた。

 

 それを見て、一気に顔が青ざめた。同時に理解した。

自分は彼らに救われたのだ。呪いの元を断ち、その過程であの傷を負ってしまったと。

 

 状況は最悪だ。

一人を担当するのでも大変な治癒魔法をエミリアは、スバル、悟空へ交互にかけ続けている。

そんなのでは、傷は塞がってもその頃には彼等の命は無くなっているだろう。

 

 

 レムは、彼等に救われた。そうであるならば、じっとしてはいられない。

救われた分、自分も彼らを助けなければ。

嫌だ。もう、何かを失うのは。

 

 あ(・)の(・)日(・)のようなことは、もう二度と繰り返したくない。

 

 その思いで、エミリア達の元へ、一歩一歩近づく。

 

 

 

「あ、レム!起きたのね!良かったぁ…」

 

「エミリア様…レムも、手伝います……うっ!?」

 

 

 突然全身に降り注ぐ倦怠感に、体が耐えきれず片膝をついてしまう。

……何をしているんだ、こんなところでくたばっていちゃ、スバルくんや、ゴクウさん達を助けることは出来ないのに。

 

 立ちあがろうと脚に力を入れると、再び倦怠感、それに加えて今度は酷い頭痛までもが襲ってきた。

連続で襲いかかってくる症状に、片膝だけでなく、両膝。両手までも地面につけてしまう。

 

 それ以上妹の苦しむ姿を見たくなかったのだろう。疲労困憊の様子で、近くの噴水に寄りかかっているラムが、口を開く。

 

 

「駄目よレム…まだ呪いの後遺症が残っているだろううから、今は安静にしていなさい」

 

「…姉様!…でも、レムは…レムは…!」

 

 

 また何も出来ずに、助けられるだけなのか。何も恩を返せず、失うだけなのか。

……そんなの絶対に嫌だ。駄目だ。

 

 短いようで遠い距離。

手を伸ばそうが届かない距離。

 

 

 ……一粒の涙が、頬を流れ落ちた。

体に走る倦怠感や、頭痛によるものではない。

救ってくれたその人達の助けになれないことの状況に対する、悔しさによるものだった。

 

 一度流れてしまったら止まらない。

大粒の涙が溢れるようにボロボロと落ち始めた。

泣いて、叫んで、俯いて、地についた手が土を握る。

助けたい。助けてあげたい。恩を返したい。話したいことだってあったのに──

 

 

「お姉さん、大丈夫?」

 

 

 小さい手が、俯いたレムの視線の前に現れた。

顔をあげると、そこには赤いリボンの髪飾りをつけた、橙色髪の12歳ほどの女の子。

 

 

「スバルとゴクウを助けたい気持ちはみんな同じ!だけど私は、力がないから何もできない。

 でも、お姉さんになら出来るって、私は思う!」

 

 

 その少女がレムの手を掴み、

 

 

「だ、か、ら…!もうちょっと、だけ、頑張って!」

 

 

 ふぬぬ…!と力を入れて、レムを、スバル達の方へ引っ張り始める。

小さな手に引かれ、レムの身体が僅かに前へと動く。

 

 ほんの僅か。

それだけだった。

けれど――その僅かな一歩が、今のレムには何よりも大きかった。

 

 

「……っぐ…!」

 

 

 もう一度、脚へ力を込める。

 

 身体は重い。頭も痛い。

 立ち上がるだけで、全身が悲鳴を上げている。

 

 それでも。

 

 

「………ありがとう、ございます…」

 

「感謝は後でっ!ほら、行くよ!」

 

 

 それでも、震える脚をゆっくりと伸ばす。

レムは少女の手を握り返した。

その手は小さく、頼りない。

 

 けれど、不思議と温かかった。

 

 

 

 

 

 ─────その後、駆けつけたベアトリスなどの協力もあり、なんとか治療は完了した。スバルくんにせんず?という豆を食べさせていたのは気になるけど。

しかし、治療が完了した今もスバル達は目覚めていない。

 

 

 

「ありがとう、レム。ベアトリス。あなた達のおかげで、なんとか治療出来たわ」

 

「よりにもよって、あの阿呆二人のためにベティーの力を貸すのはちょっとだけ癪だったのよ。

 代わりに、後でにーちゃをたくさん触らせてもらうかしら」

 

「エミリア様のお助けになれたのでしたら光栄です。あと……」

 

 

 レムが、スバルとゴクウの周りに集う子供達のうちの、一人に近づく。

 

 

「あの時は、ありがとうございました」

 

「ぅええっ!?そんな、お礼なんていいよ!私がスバルとゴクウを助けてくれたお姉さんに感謝したいくらいだよ!?」

 

 

 あの時、手を引いてくれた赤いリボンの女の子。名をペトラと言っただろうか。

深々と頭を下げると、ペトラは恐縮といった様子で両掌を左右に振る。

 

 

 

「それに、頑張ったのはお姉さんなんだから!もうちょっと自分を褒めてもいいんだよ!」

 

「…ペトラさんは将来、きっといいお嫁さんになると思います」

 

「えっ?そ、そんな…!スバルのお嫁さんだなんて〜!」

 

「え?」

 

「へ?」

 

 

 

 ……………………………………………………

 

 

 

 少しの沈黙が流れた後、ペトラは自分の発言に気づき、だんだんと顔を赤く染めていく。

それを気にせず、桃髪のメイドが割り込んでくる。

 

 

「レム、ソンを宿に運ぶから、手伝ってちょうだい」

 

「あ、わ、分かりました。今行きます!」

 

 

 そう言って立ちあがろうとしたが、先ほどのペトラさんの発言が気になりすぎる。

欲に耐えきれず、顔を赤らめているペトラの耳に口を近づかせ。

 

 

「ペトラさん…さっきの、後でよく聞かせてもらいますからね」

 

 

 それだけ言い残し、頭から湯気が出そうなほど顔を赤らめたペトラを横目に立ち去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで良いはずだわ。それじゃあレム、ラムは村の人たちに蒸かし芋を作ってくるから、バルスの様子を見ておいて」

 

「はい!」

 

 

 さすが姉様、こんな状況でも他人への気遣いを欠いていない。と心の中で姉を称賛する。

ラムがその場を離れていく。

その背中を見送ってから、レムは改めてスバルへと視線を戻した。

先ほどまでの騒がしさが嘘のように、周囲には静けさが広がっている。

 

 

「大丈夫です。レムが終わらせますから」

 

 

 時々苦しそうに唸るスバルの手を握り、呟く。

 

 この魔獣騒動は。まだ終わっていない。

彼等に治癒魔法をかけている時、深い深い、悍ましいほどの、底なしの欲のようなものを感じた。

傷の原因は、魔獣ウルガルムに噛まれたことによって出来たのだろう。それが意味することは、彼等も呪いにかかっているということだ。

 

 全てを終わらせるには、スバルくんやゴクウさんに呪いをかけた奴を殺さなければならない。

救われたこの命、今度は救うために使いたい。

 

 

「レムが、やらなきゃ…」

 

 

 覚悟したその手は、さらに強くスバルの手を握っていた。

直後、横でドアが開く音がした。エミリアだ。

 

 

「ここにいたのね!レムもスバルが心配で?」

 

「いえ、スバルくんを運ぶついでに……あ、でもスバルくんの事は心配ではありますよ」

 

「ふふ、そう。レムも疲れたでしょう。少し休んだほうが良いんじゃない?」

 

「……はい」

 

 

 レムは素直に頷いた。

けれど――その視線だけは、眠るスバルから離れない。

エミリアも共に、スバルがすやすやと眠っている様子を見て、少しホッとしながら見つめている。

 

 しかし、レムは口ではそう言いながらも、心の中は素直ではない。

 

 休む?そんな行動、今の自分がするべきことではない。

疲労なんて、彼等が受けた傷に比べれば小さすぎるものだ。

 

 

「エミリア様。レムはゴクウ様の様子を見てきますので、スバルくんをお願いします」

 

「ええ、分かったわ。もしゴクウが目覚めたら、みんな無事って、言っておいてくれる?」

 

「はい。必ず」

 

 

 そう眉を下げて微笑みながら答え、レムは部屋を出る。

 

 扉が閉まる。

 その瞬間――

 

 レムの表情から、先ほどまでの穏やかな微笑みが消えた。

 

 

「…………」

 

 

 廊下を歩く。

 

一歩。

 

また一歩。

 

 

「レムが、やらなきゃ…ダメなんです」

 

 

 覚悟を胸に秘めながら、''鬼''となった少女は、己を救ってくれた者達を救いに、森へ赴く────

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 次にレムが目覚めた時には、その足は地に着いていなかった。

 

 腹のあたりにがっしりとした腕が回り、誰かに抱え上げられている。

乱暴でがさつな扱いは、女性に触れている事を意識しているとは思えない。

 

 次の瞬間、グチョッ!と肉が潰れた音が少し遠くで鳴り響くと共に、とある男の声が耳を通る。

 

 

「はぁ…これでスバルの分は全部だ!はぁ…あとは…」

 

「無茶よソン。そんな状態じゃ残りの魔獣を倒せそうにもないわ…!一旦そこの草むらに…」

 

 

 レムはその声で一気に目が醒め、辺りを見回す。

 

 視界に映ったのは、緑の木々、暗闇に染まった空。数匹の魔獣の死体。

そして、自分の身体を抱えているスバル。

 

 傷だらけの体を隠すように、四人は草むらの中に素早く隠れる。

気づかれないよう、身を屈めて会話する。

 

 

「はぁ…はぁ…くっそ…!俺も何かできれば良いんだが…」

 

「レムを守ってくれているだけで、ラムにとってはありがたいことよ。珍しく褒めているわ、感謝しなさい」

 

「本当にお前はシスコンなんだな… はいはいありがとうございます姉様」

 

 

 その会話を聞きながら、レムは未だ状況を理解しきれずにいた。

どうして。

なぜ、スバルくんがここにいるのか。

どうして、姉様まで。

そして――ゴクウさんまで。

 

 

「なんで…」

 

「!目ぇ覚めたか、レム!」

 

 

 レムが目覚めたことにより、スバルが歓声を上げ、こちらを見下ろす。

その目覚めを嬉しく思う者がもう一人。

 

 

「良かったわ、レム、本当に手間のかかる子だわ…」

 

 

 ホッとしたように、無意識に微笑みを顔に出している姉の姿。

しかし、その二人の体と、草むらの下から生える木の幹に寄りかかっているもう一人の男の姿を見て、レムは喉を引き攣らせた。

 

 ラム、スバル共に全身に傷がつき、悟空に至ってはそれに加えて噛み跡、そして白い傷跡のようなものが所々見える。

彼等の全身が傷、血、疲労で埋め尽くされていた。

それを見て、黙ってはいられなからった。

 

 

「どうして…どうして、放っておいてくれなかったんですか?」

 

「ああ?何言って…」

 

 

 胡乱げな顔つきでこちらを見下ろすスバルに、レムは立て続けに唇を震わせ、

 

 

「姉様と、スバルくんやゴクウさんがきてしまっては意味がない。レムが、一人でやらなきゃ…傷つくのは、レムだけで十分で…」

 

「じゃあもう遅えよ。俺もラムも悟空もズタボロだよ、下手したらお前よりひでぇよ!多分肋骨折れちゃってるよ」

 

 

 誇張なんかではなく、事実としてある事をただ並べる。

レムはスバルの傾けたような姿勢を見て、再び顔を曇らせて俯く。

 

 

「レムの…レムのせいなんです。だから責任はレムが取らなくちゃ…そうでなきゃ、レムは姉様に…スバルくんに…」

 

「いいや、お前のせいじゃねぇ。悪いのは全部、お前らに呪いなんかかけたあの魔獣どもだ」

 

 

 スバルなりのフォローだったんだろう。実際、それは他の人から聞いても励ましにはなっていた。

しかし、今のレムには違う。

 

 

「だからです。呪いなんかにかかってしまったレムが悪いんです…!もっとレムが気をつけていれば…こんな事には…」

 

 

 震える声だった。

言葉を重ねるたびに、レムの声は小さくなっていく。

 

 自分でも分かっている。

今の言葉が、ただの責任転嫁ではないことくらい。

 

 呪いをかけた誰かが悪い──

それは理解している。けれど、それでも――。

 

 あの時、もっと早く気づいていれば。もっと慎重に動いていれば。

スバルくんも、ゴクウさんも、姉様も、こんな傷を負うことはなかったのではないか。そう考えてしまう。

 

 

「また、同じ…ただ見ているだけの、失ってしまうだけの…''あの時''のような罪を、もう二度と繰り返したくないんです…」

 

 

 だから、せめて。

 

 自分だけが傷つけばいい。

自分だけが苦しめばいい。

 

それで皆が助かるのなら、それでいい。そう思っていた。

 

 

「なるほど…つまりお前は、その''罪''回避にてめぇ一人でなんとかしよう、って腹だったのか」

 

 

 レムの告解に、荒い息ながらもスバルは納得したように頷いた。

 

 どんな罵倒や軽蔑も、受け入れる覚悟が、レムにはあった。

今こうなっているのは全て自分が悪いと、分かっているからだ。

 

 

「レム」

 

「……はい」

 

 

 そのスバルの呼びかけに、顔を上げる。

どんな言葉が降り掛かろうと、全て受け入れるつもりであった。

しかし、実際にスバルから放たれたのは───

 

 

「デコピン」

 

 

 額にぴん、と軽い衝撃が走る。

一瞬で痛みが消え去るほどの、子供のいたずらにも似た一撃。

レムの思考が停止する。

 

 

「馬鹿かお前は、いいや、馬鹿だお前は。あのなぁ、お前の言う罪がなんなのかはわからねぇが…その罪ってやつを繰り返したくないんだったら、もっと誰かを頼れよ」

 

「頼る…?」

 

「ああ、そうだ。俺の人生経験上、人に頼れば大体なんとかなってきた」

 

 

 スバルは軽くそう言いながら、視線は悟空を見ていた。

自分は弱い、一人だけじゃ何もできない、そう自覚している。だからと言って、何もできないわけじゃない。

頼れる仲間がいる。自分を信じてくれる友達がいる。

 

 

「いいか、俺の故郷には三人寄らば文殊の知恵って言葉がある!…ん、文殊ってなんだ?…まぁとにかく!」

 

 

 レムにデコピンした事で傷んだ指を振り、レムの瞳を見つめ直しながら語る。

 

 

「一人で考えるより、三人集まった方が矢が折れにくいみたいな。一人で考えるんじゃなく、色々と周りを頼れって話だ」

 

「スバルくん…」

 

 

 この言葉が、目の前の水色髪のメイドを変えるかは分からない。しかし、言わずにはいられなかった。

 誰も彼も、全部自分一人で解決させようとしすぎなんだ。

力があるやつは、そうやって自分一人でなんとかさせようとしてしまう。力がある者たちが集まれば、大体の物事は解決できるというのに。

 

 だけど、それは力が劣っている者だからこその思考なのかもしれない。もし自分にも力があったら、真っ先に自分一人でどうにかできないか、考えてしまっただろう。

 

 

 

 

 次の瞬間、パキッ。と小枝の折れる音が森に響いた。次に聞こえてくるのは魔獣の唸り声と荒い鼻息。

魔獣が近づいてきている。あまり悠長にしている時間がない。

 

 

「…っし、そろそろ行くか。悟空、作(・)戦(・)の(・)準(・)備(・)できたか?」

 

「ん?おう、行けそうだぞ!」

 

 

 重い腰を上げて立ち上がり、悟空へ確認をとる。その二人の会話に、ついていけてない姉妹が一組。

 

 

「作戦って…なにか、案があるのね?」

 

「ああ、あの魔獣達を一網打尽にできる素晴らしい作戦がある」

 

 

 てことで…と、言いながら、レムをラムの背中に預ける。

 

 

「姉様、あとは頼むぜ。俺らのことは俺らがなんとかするからよ」

 

「…やめてください、それならレムも…」

 

「心配すんな、大丈夫だ任せとけ。って言っても…こんなボロボロの体じゃ説得力ねぇか」

 

 

 安心できるような言葉を口にしながら、レムの頭を撫でる。

しかし、その手は震え、傷だらけの体じゃ安心しようにもできないだろう。

 

 作戦がある。と言っても、それがどれだけ魔獣たちに効果があるかは分からない。

そうは言っても、やらないわけにはいかない。村で心配してくれている大人、待ってる子供達がいる。

だから…ここで引くわけにはいかないんだ。

 

 

「よし、じゃあちょっくら行ってくるとするわ」

 

「おめぇら、また後で会おうな!」

 

「ええ、ソン達も無事に合流できる事を祈っているわ」

 

 

 そう言葉を交わしながら、各々の無事を祈りながら、それぞれ別の道に走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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