ドラゴンボール×Re.ゼロから始める異世界生活 作:オレタチ青い人
長いようで、あっという間だった森の中を抜け、草むらを掻き分け村の結界へと一歩踏み込み、まず初めに目にしたのは…
「あ、帰ってきたよ!ゴクウだ!スバルもいるー!」
そう言いながら、子供のうちの一人が指を刺す姿。それに伴って、周りの大人達やエミリア、ラムやレムなども一斉にこちらを振り向く。
顔を明るくしたり、胸を撫で下ろしたり、駆け寄ってくる者がいたり反応は様々だ。一瞬、背で寝てるスバルを見て、心配の表情を浮かべた者もいたが、ただ寝てるだけだと伝えたらほっとしていた。
その中でも、特別な反応をする者がいた。水色髪のメイド、レムがこちらに駆け寄り抱きしめてきた。
「良かった…生きてて、くれてる……ゴクウさんも、スバルくんも…!!」
さらに彼女の抱きしめる力が強くなり、それが傷口に響いて思わず「いででっ!?」と声が出てしまう。
痛みに悶える声を聞いたレムは、すぐさま抱擁を解除し、頭を下げる。
「す、すいません…レムは何てことを……!」
「全然平気だから頭上げてくれよ、別にオラ怒ったりしてるわけじゃねぇしさ」
「は、はい…」
そう言って顔を上げたレムの瞳に涙が溜まっていた。よほど心配だったのだろう。
驚いたな。レムがここまで感情を露わにしているのは今までになかったはず。こんな表情初めて見た。
心配させてしまった罪悪感を胸に抱きながら、再度周りを見る。
村の子ども達も、ラムも、レムも、みんな無事だ。やっと、平和な日常を取り戻すことができた。
最後はロズワールに任せてしまったけれど、まぁあいつなら大丈夫だろう。あいつは強えって見ただけで分かる。
「本当にゴクウったら、すぐ一人で危ないことしちゃうんだから。レムもね。二人ともちゃんと反省してください」
「「は、はい……」」
彼女なりの心配の形なのだろう。エミリアの、まるでお母さんのような振る舞いを見ていると、チチを思い出して少し懐かしくなる。それはそれとして反省はする。
ある程度悟空達を諌めた後、エミリアの表情がふっと軽くなり、
「でも、生きててくれて本当に良かった。それに、みんなを助けてくれてありがとう」
エミリアからその感謝を伝えられると、心の奥があったかくなると共に、直球に褒められたことで少し照れ臭くなり、頰を掻く。
ぐうぅ〜
場違いな音が鳴り響いた。
まぁこの状況で、この音を出す人物は一人だろう。
「ははっ!オラすっげぇ腹減っちまったぞ!」
いつも通り、眩しいほどの笑顔を見せる孫悟空であった。
治療を終えて、スバルも宿に寝かせた後、村の人たちから「子ども達を助けてくれたお礼」がしたいという話があった。
一旦は断ったが、どうしてもと言うのと、腹の減りが限界なため、ありがたくお礼を受けることに。
「んん〜!!うめぇぞ!これも!全部うめぇなぁ!」
その様子をにこやかな表情で見守る村の人やエミリア。まるで''我が子を見守る親''のようだ。
リンガや肉、サラダ、スープなどの料理が次々と運ばれて、「これも美味しいですよ」「ウチのも食ってください」と、各々が悟空にアピールするように皿を置く。
やがて、その食事に村の人たちも参加し始め、今やお祭りのような雰囲気となっている。
そろそろ腹も膨れてきた頃、何やら神妙な面持ちで、何処かへと歩いているレムを見つけた。
何をしているんだ?と思い、そのまま目で追っていると、どうやらスバルが寝ている宿へ入って行ったようだ。
どうしても気になり、立ち上がって様子を見に行こうとした時、
「どうしたのゴクウ、まだお料理はいっぱいあるわよ?あ、もしかしてもうお腹いっぱいになっちゃったの?」
「いやぁ、そういうわけじゃねぇんだけどよ…ちょっとこのリンガ貰ってっていいか?」
村の人に確認して了承を貰い、リンガをひょいとすくってレムの後を追う。
その様子を、桃髪のメイドが静かに見ていたことは悟空は知らない。
やはりレムは、スバルの元に来ていたようだ。この扉の奥の部屋の中から二人のマナを感じる。
ゆっくりとドアノブを捻って、扉を開けていく。
部屋の中では、レムがベッドの傍らの椅子に座っていた。眠っているスバルの顔を、ただ静かにじっと見つめ続けている。
悟空に気付いたレムが、急いで目元あたりを服の袖で擦っているのが一瞬見えた。
「どうしたんだよレム。メシ食わねえんか?」
「……レムには、その資格はありません」
「あの事はもう終わったことなんだから良いんじゃねえか?オラだってもう気にしてねぇしよ」
「ですが、皆さんはレムのせいであんな大怪我を負ってしまいました。たとえゴクウさんやスバルくんが許してくれても、レムは……レム自身が許せません」
閉めた扉に寄りかかりながら、レムとの会話を続ける。
彼女がそう思うのは分かる。自分のせいでゴクウさん達はより酷い怪我を負う結果になったのではないか。自分がいなければ、もっと早くに村に帰ってこられたのではないかと思っているのだろう。
確かにそうかもしれない。だが、彼女のあの行動は自分たちを助けてくれるためにした行動なのだ、咎めることなどもってのほかだ。
「……なら、これから自分を許せるように、努力してけばいいじゃねぇか。おめぇもスバルに言ってただろ?『許すかどうかは、これからのスバルくんの行動で決めます』ってよ」
「それとこれとは度合いが違いすぎます……もし許せるとしても、いつになるか……」
レムは再び俯き、膝の上で両手をぎゅっと握りしめた。
自分がスバルに告げた言葉。それを今になって、自分自身に向けることができないでいるのだろう。
他人の過ちを許すことと、自分の過ちを許すこと。その難しさの差は、きっと他の人が考えているよりもずっと大きい。
「なあに、すぐとは言わねぇさ。何日、何週間、それか何年かかっても良い。少しずつで良いから、ちょっとずつ自分を許していくのも悪かねぇと思うぞ」
そう言いながら、手に持ったリンガをレムへ向けて差し出す。
彼女は一瞬、遠慮の言葉を言うために唇を動かしたが、食欲には逆らえなかったのだろう。静かにそれを受け取り、しゃくりと一口齧る。
味わうように咀嚼し飲み込んだ後、小さく「美味しい」と呟いていた。それを聞いて自分が作ったわけでもないのに胸を張る。
けれど、悟空がレムの元に来たのには、もう一つ理由がある。
「なぁ、最後に一つだけいいか?」
「はい、何ですか?」
「……どうしてあの夜、スバルの部屋に来たんだ?」
真剣な表情で、そう問いかける。
あの夜来るのは、てっきり襲撃者かと思っていたが、実際は違った。なぜ、レムがあの夜来たのかわからない。
それに「殺そうとしたことへの報い」と、言った理由もそれを聞けば分かると考えた。
「……聞きたいことがあったんです」
「聞きてえ事?」
「はい。『あなた方は''魔女教徒''なのですか?』とお尋ねするため、スバルくんの部屋に……」
「魔女教徒……知らねえな。そりゃなんだ?」
初耳の言葉を聞き、質問を質問で返してしまって悪いが、それをレムに尋ねる。
聞いた限りだと、魔女教という組織が存在していて、魔女を信仰する者達によって構成されているらしい。
かつて世界に災厄をもたらした''嫉妬の魔女''を崇拝していることから、世間一般では忌み嫌われており、関わるべきではない危険な集団として認識されているそうだ。
また、魔女教徒は各地で非道な行いを繰り返しており、レムとラムが幼い頃。彼女らの故郷も、その被害に巻き込まれたという。
上記の内容を、レムは歯を噛み締めながら話してくれた。悔しいはずだろう。昔自分を苦しめた組織が、まだ存在しているんだ。
「でももう、大丈夫です。あなた達のような善人が、魔女教なわけがありませんから」
「そうか、疑いが晴れたようで良かったぞ!…魔女教か、そんな奴らが居るなんてな……」
まさかレッドリボン軍のような存在が、この世界にもあったとは。そのせいで、多くの人が傷つき、悲しんでいる。
そんな組織、あっていいはずがない。実際に被害に遭った者が目の前にいるのだ。尚更許せない。
「もしそいつらがまた現れたら、そん時ゃオラがみんなぶっ飛ばしてやる。だから、もうあんまり無茶はすんなよ?」
「それは……とても、心強いお言葉です」
もしまた魔女教が現れたとなったら、レムはまた無茶をするだろう。そうならないように、あらかじめ今のうちに言っておかなければ。
しかし、その時には、スバルやみんなの力を借りることになるだろう。だが、一人では無理でもみんなでならきっと、魔女教だって怖くない。
「んじゃあ、オラはまたメシ食ってくっぞ。おめぇも腹減ったなら来いよ?よく動いた後は、よく食べてよく寝るのが一番だしな!」
「はい。ありがとうございます、ゴクウさん」
レムからの感謝を背に受けながら、部屋から出る。そのまま宿の玄関を潜り抜け、''先ほどから扉の前から感じていたマナ''の正体を確かめる。
気配のする方へ顔を向けると、そこには桃色の髪をしたメイドが一人。壁に寄りかかりながら、こちらの様子を窺っていた。
「やっぱりおめぇだったか。こそこそ何やってんだ?」
「気付いていたのね。単純に少し気になっただけよ。ソンがレムになにかいかがわしいことをしないか。姉としての勤めを果たしていただけ」
「いかがわしいことって……そんなことはしねぇぞ?」
返事を聞いて、やれやれと言った様子でラムはそこから歩き出した。
「全く、ソンは純粋馬鹿すぎて、バルスのように弄りがいがなくて楽しくないわ。……一つ、聞きたいことがあるのだけれど」
その後ろをついて歩いていると、歩く足はそのままに、そう問うてきた。
一体なんだろう、本当にいかがわしいことは何もしてないのだが…もしや、先ほどの会話を聞いて何か引っ掛かる部分でもあったのだろうか。
少し恐ろしいが、その質問を了承する。
「……なぜそこまでして、レムを助けようとしてくれたの?」
そんな問いだった。
ラムにとって、出会って四日の赤の他人になぜそこまで命をかけられるのかが、心底不思議なんだろう。実際は、その二倍は交流があるが。
まあでも、そんなの簡単だ。
「なんでってそりゃ、目の前に困っているやつが居たら見捨てられねぇだろ?」
「それにしても、あまりに過ぎている。ラムがソン達の立場だったら見捨て……いや、あれほど可愛い子を見捨てれるわけないわね。けど、あんなにボロボロになるまで戦い続ける理由は何?」
ラムの問いかけに、悟空は腕を組んで考え込む。
なんでそこまでしてレムを助けたのか。あんなにボロボロになるまで戦い続けたのか。
言われてみれば、確かに不思議なことなのかもしれない。自分だって、死にそうになるまで戦わなくたってよかったのかもしれない。途中で逃げることだって、できたはず。
でも…………
「オラは正義の味方でも何でもねぇ……けど、やっぱり見捨てられねぇんだ。助けれるやつは助けてぇ。別に見返りが欲しくてやってるわけじゃねぇし、賞賛が欲しいわけじゃねぇ。それに、レムはオラ達を助けてくれようとしてくれたんだ。尚更見捨てることなんて出来ねぇさ」
「……ソンは、損する性格よ。''ソン''だけに、ね。ハッ!」
「っははっ!なんだそれ!」
突然吐き出されたそのラムのダジャレに、思わず笑ってしまう。何だか、界王様を思い出すなぁ。
そのまま、なぜか笑みを浮かべているラムの隣を歩き続ける。
先ほどのダジャレと言い、今の彼女は上機嫌に見える。何かあったのだろうか。
「やけに気分がいいんだな、なんかあったんか?」
「いいえ、特に何も。……けれど、そうね。バルスの言葉を借りるとしたら、今のラムは………………────
────鬼がかっているから─────
────第二章、完。
ついに第二章も終わってしまいました。
ぜひ、これからもドラゴンボール✖︎リゼロを読んでくれると嬉しいです!また、作品の感想なども気軽に感想欄に書いてくれれば、執筆のモチベになりますので、これからも、ドラゴンボール×リゼロをどうにかよろしくお願いします!
ちなみに今日10月11日はドラゴンボール超BEERUSの放送日ですので、お忘れのないように!
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