最弱王に仕える最強眷属   作:緋踏そら

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久しぶりの投稿が新しい話ではなく、直しなのは申し訳ないです。



Prolog

僕が生まれて十と数年あまりが経ったが、これと言って興味を持つものが無かった。

 

隣で頭がザクロの様に破裂しようが。

ウリ頭の高校生が世界を救おうが。

恐怖の大王が落ちてこようと。

世界中の人が人喰いゾンビになろうが。

 

僕には一切の興味が湧かなかった。

幾数年の学校生活の中でも勿論興味を惹く物は有りはしなかった。

 

其処が圧倒的に女子が多いパラダイスの様な学校でも。

何故か美男美女が多い学校でも。

隣の席の子がクラス中から虐められても。

いつの間にか学校中から隣の席のいじめられっ子から僕が虐められても。

 

僕は一切の興味も感情もなかった。

故になのか、周りの人間が僕の事をこう言う様になった。

 

『ただ其処に居るだけの“人形”』

 

自分で言うのも変かも知れないが、僕にピッタリな言葉だと思う。

初めて聞いたときも嫌悪や怒りなんて覚えなかったし、逆に嗚呼なるほどと納得したのは今でもはっきり覚えている。

 

確かに僕は、人形だろうね。それもとびきり腕の良いカラクリ技師が作った人形。

どれだけ暴力を振るわれ逆に相手の身体を傷ついて慰謝料を請求されても、汚ない言葉を吐かれ唾が顔についても、物を壊されて食べ物に虫やチョークの粉を入れられても僕には一mmの興味を持つことは無かったんだから。

 

何一つ興味を示さないで、ただ生きてるだけの僕が今まさに人形ではない証明が出来ると思う。

僕を知っている人達が見たら、一体どんな感情を表情をするのか見てみたい気がする。

 

冬の冷たいコンクリートに仰向けに血の海の中で倒れる僕を皆はどう思うかな。

 

「……とっても痛い。それに熱いや…心臓の音もこんなに…」

 

痛い、熱い、激しく鼓動のする心臓。その三つだけが延々と頭の中と体を支配する。

 

言葉に表せない痛みは生まれて初めて感じる激痛。

血が流れ出てる箇所は火で熱した鉄の如く熱を感じる。

直接心臓を叩かれてると思ってしまう心臓の音。

 

「僕は……死ぬのかな…? 」

 

体内から流れる血の量と薄れていく意識の中で自然と浮かぶ言葉。しかし不安や恐怖はない。ましてや、死んだら何処に逝くのか死ぬとはどうな感覚なのかは興味はない。

 

「……結局…僕は何一つ興味を抱く事はなかった…な」

 

走馬灯という奴なのかな…十数年生きてきた自分の人生が映像になって頭に浮かんだ。それと同時に五月蝿いと思えた心臓の音が、少しずつ弱くなってきた。

 

「こんな僕の人生に…意味なんてあったのかな…? 」

 

その日を意味もなく生きて。

夢の一つも持たなくて。

誰の為でも自分の為にでもない人生を送って…なんの意味があるのかな。

 

「ない…だろ……生まれてきてから何処か欠けた僕に……なんの意味があるって………言うんだ…」

 

心の奥底で死ぬことを受け入れている自分がいる。

生きようと足掻かない自分がいる。

死ぬことを心待ちにしている自分がいる。

 

「…生きようともしないなんて…人間じゃなくて……人形じゃない…か…」

 

うまく喋れない…

視界がだんだん…くらく

意識も……

 

寒い冬の夜、冷たいコンクリートの下で誰にも知られず僕は死んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

懐かしい夢を見た。

もう、いつの頃だったか、昔の自分が死んだときの夢を見るとは………人形か。

あの時は自分の環境はもちろん、他人の評価等どうでも良いと思えたが、今は結構来るものがあるな…

 

ベットの上で落ち込んでいると誰かが、扉をノック音と共に扉の外から女の声が聞こえてきた。

 

「私だ。起きているか?……入るぞ」

 

そう言い扉を開け、入ってくる女性に私は彼女が一体誰なのかやっと気付く。

 

モデルにも負けない身長に、凛とした雰囲気を纏い、緋色の髪を持った彼女はベットに座っている私のもとにやった来る。

 

「おはよう。エルザ」

 

「嗚呼。おはようシモン。起きたばっかりで悪いがすぐに支度を済ませてサーゼクスのもとに行くぞ」

 

はって?何故、ルシファーのもとに行かなければ成らないのだ?

 

「エルザ…分からない事がある。何故、朝早く私がルシファーに会いに行かなければならないのだ?」

 

「はぁー。シモン、仮にとは言え、魔王であるサーゼクスとの約束を忘れるな……今日は大事な話しがあるとお前とグレイフィアからも聞いているが…?」

 

「魔王と言っても、ルシファーと会うのは殆んどプライベートだけだ…」

 

「今回はプライベートじゃないと聞いたが…?それにグレイフィアも言っていた程だから仕事だろう」

 

今日の今まで忘れていた。

ルシファーと会うと言っても、どうせ妹君のリアス嬢の自慢話だろう。

風の噂で、赤龍帝を眷属悪魔にしたと聞いたが、もしかしたらその話をするのかもな。

 

「思い出したのなら、早く支度をしろ…な、なんなら私が、て、手伝ってやっても…」

 

モジモジと頬を赤く染めながら、そう提案してくるエルザ。心なしか息づかいが荒くなってる。

…うむ、身の危険を感じる。

 

「生憎だがエルザよ。着替えるだけなら私一人で大丈夫だ」

 

「そ、そうか! そうだな…」

 

断りを入れると、しゅんと目にわかる落ち込みを見せるエルザに申し訳なく思えてしまい、耳元である言葉を呟く。

 

「……だが、その主想いの所は感謝する」

 

「―ッ! か、感謝なんて、下僕として当然のことだっ!…あ、美羽が朝御飯を作って待っていたんだ! じ、じゃあ私は先に行くからお前も早く来い!」

 

耳まで真っ赤にしたエルザは、嬉しそうに部屋を出ていた。

 

「あんなに嬉しそうに……エルザの忠義心には、主たる私でも誉めずにはいられないな」

 

私なんかの言葉で、あそこまで喜んでくれると嬉しい気持ちになる。

あの忠義心を他の眷属にも見習って欲しいが、それは贅沢という物か…

 

上級悪魔といえど、冥界最弱の私に仕えてくれる彼女達には逆に感謝しなければな。

 

人形と呼ばれた前世を持つ、シモン・パートぺルに仕えてくれる彼女は、自分よりも大切な存在なのだから。

 




次の投稿は、夏までに書き投稿します。
私情で忙しい時期なので遅くなる場合もあります。

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