どうも、主人公のキャラ付けがクールキャラにしたいのに出来ない。
エルザが部屋を出ていき、早々に着替えを済ませた私は朝食をとるために食堂へと向かっている。
食堂へと向かう私の鼻に突如、食欲をそそる香ばしい匂いが伝わってきた。
朝食の匂いを嗅いだ私の足は自然と速くなり瞬く間に食堂に着いてしまった。
食堂の扉をゆっくりと開けると横長のテーブルに、エルザを含め私の眷属悪魔である彼女達が座って朝食をとっていた。
扉を開けた音に気付いたのか、入る前から気付いていたのか分からないが皆此方に顔を向けている。
「おはようございます。シモン」
「……おはようございます。マスター…」
「あぁ…皆おはよう」
皆動かしてた手を止めて挨拶をしてくる。それに対して私も挨拶を返す。
朝の挨拶が終わると各々朝食をとるために箸を動かす。
「おはようございますですわ。シモンさん…はい、どうぞですわ」
席に座った所で私の分の朝食を運んできたのは、朝食を作ったであろう人物。美羽だった。
「おはよう美羽…今日は美羽が作ったのか。いつもご苦労…」
「良いんですわ。皆さん美味しそうに食べますから、作る私としても嬉しいですし」
見ている此方まで嬉しい気持ちになる笑顔を浮かべ言ってくる美羽の言葉には、嘘偽りなく、料理を作ることに喜びを抱いてる様子だ。
美羽自身も朝食をとり始める。
……どうやら、今此処にいるのは四人だけか。一人でないと言え、みな揃わないとどこか寂しいものだな。
「他の…鴉羽や美雲達はどうしている?」
「鴉羽なら…はぐれを駆除してくるよと言い、昨日シモンが寝ている間に出ていきました」
即座に答えたのは、ハムスターの様に頬を膨らませたアルトリアだった。
そうか…また、はぐれが出てきたか。
どうも私の領土に、はぐれが発生しやすい。これは偶然なのか、それとも理由があり此処にやって来ているのか。
一度調べる必要があるな。
しかしアルトリアよ。教えてくれるのはありがたいが、行儀が悪いぞ。
「アルトリア行儀が悪いぞ。口の中にご飯を入れて喋るんじゃない」
私が注意する前にエルザがアルトリアを叱り、叱られた彼女は口に入ってた物を飲み込み…
「美羽。おかわりを!」
空になった皿を美羽に突きだし、おかわりの要求をする。
アルトリア…エルザの話は確かに聞こえていただろうが、君は反省や謝罪よりも食欲にいってしまうのかい?
アルトリアの過去を知っているから私も他の皆も彼女に強く言えない。
その証拠にエルザも溜め息を吐くだけで何も言わないし、美羽もおかわりを出してあげている。
「鴉羽は分かった。他の者は…?」
「美雲さんなら、八坂さんの所に行くと人間界へ」
「…他の人もマスターが寝ている間に…」
他の者も勝手に出かけたのか。
行くなとは言わないが、みな一言か二言ぐらい言って行ってくれ……
こうも自分勝手に行動するのは、やはり私が彼女達から主として見られていないからなのか?
不安になっていく私を見据えてか、彼女達は口を開く。
「シモン…貴様、またくだらない事を考えいるな」
「大丈夫ですシモン。貴方が嫌いで黙って行った訳ではありません」
「…マスターを嫌いになることはありません…」
「そうですわ。鴉羽さん達はシモンさんが起きる前に帰ってこようしたんですが、間に合わなかっただけですわ」
エルザ、アルトリア、イカロス、美羽の順に言っていく。
彼女達の言葉を聞き安心するが代わりに申し訳なく思える。
王は常に眷属を従え、導くものだ。
仮にも王の私がこんな状態だと、不安になるのは私ではなく眷属の彼女達だ。
「……そうか。申し訳ない」
その言葉を聞くと彼女達は満足した表情で、朝食に戻った。
此れからは力だけではなく、王としての心構えも学んでいかなくてはな…
◇◆◇◆◇◆
―グレモリー本邸
エルザに再度言われるまで、ルシファーとの約束をすっかり忘れていた私は、そんなに急がず焦らずゆっくり支度をしてグレモリー領にやって来た。
魔王領ではなくグレモリーに来いと言うことは、完全にプライベートの事だと分かり今回は護衛やお供をつけず私一人の訪問だ。
彼女達もしつこく付いてこようとしたが、仕事でもないのに付いてくる必要はないと断りを入れ、逃げるように屋敷を飛び出てきた訳だ。
案内役のメイドに、ルシファーがいる部屋に案内され扉の前に立っている。
部屋の中にアイツだけなら、ノックじゃなく魔力弾を撃ちたいがメイド兼家内のグレイフィア殿も居るだろうし、此処はグレモリーの屋敷でありアイツの部屋ではないから他の者に迷惑を掛けてしまう。
仕方ないがここは、常識ある行動をして入ろう。
「私だ…パートぺルだ。ルシファー入るぞ?」
ノックをし、名を明かす。すぐに部屋の中からルシファーらしき声が聞こえた。
ドアノブを捻り部屋に入ると、紅の髪を持つルシファーとメイド服に包まれた美しい銀髪のグレイフィアいた。
「やぁ、シモンやっと来たね。待ってたよ」
「エルザに言われるまで忘れてたからな…本当は忘れたままでいたかったがな」
ルシファーの口元が引くつくが無視して部屋に備え付けの椅子に、出来るだけ静かに音を立てずに座る。
同時にふわっとした感触が伝わってくる。これはそうとう良い椅子を使っているな。
ルシファーの癖に生意気な。
心の中でルシファーをバカにしていると隣からグレイフィア殿が淹れた紅茶の匂いがした。
「お久し振りですシモン様」
「グレイフィア殿もお久し振りですね」
「相変わらず僕とグレイフィアの対応に温度差があるね……出来れば、僕にも礼儀と優しさを少しぐらい分けてくれないかい?」
戯れ言を抜かすルシファーを鼻で笑う。
今はルシファーなどと話すよりもグレイフィア殿が淹れてくれた紅茶だ。
それにだ。妹君の事しか言わないルシファーと何時も美味しいお茶を淹れてくれるグレイフィア殿では、接し方に違うのも当然だ。
紅茶を半分ほど口にして、話を切り出す。
「それで、今回私を呼んだのはなんだ? ……リアス嬢の自慢話なら帰るぞ。これでも多忙の身だからな」
「リーアたんの話も良いが、今回は真面目な話で君を呼んだんだよ」
真面目とか言うな。それ以外は真面目じゃないと言ってるものだ。いや、真面目に妹自慢されても困るが…
ルシファーはグレイフィア殿に視線をやると、それを合図に彼女は数枚の紙を机の上に置いた。
「こちら、リアスお嬢様とライザー様の婚約に関する書類になります」
「…婚約? 私の記憶が正しければ、婚約までの期間はあと数年あった筈だが…?」
確か、リアス嬢が大学を出るまで待つと聞いたが…今となって、早めたのか?彼女は大学処か高校も卒業してないと認識している。
「父上達が勝手に早めたんだ…」
暗い表情で言うルシファー。
最愛の妹の結婚を哀しんでいる訳ではないな、妹の将来という幸せが無くなる事への哀しみの表情。
「リアスにはまだ伝えていないが、あの子は嫌がるだろう……兄としてはどうにかしてやりたいが、魔王としては純血悪魔同士の結婚を望まない訳にはいかない」
難儀なものだ。
目の前の男は今はサーゼクス・グレモリーだが、サーゼクス・ルシファーでもあるのだ。どれだけ言葉を並べても、魔王としての顔の方が強い。止めさせようにも出来ないんだ。
「……それで、どうするつもりだ? ルシファーお前の事だ。何か案でもあるだろう…?」
「あぁ。リアスが拒否し自分の意思を押し通すなら、レーティングゲームで決着をつけさせようと思う」
確かにレーティングゲームなら、勝敗はハッキリするが…
「ゲームの経験の無いリアス嬢と数星をあげているフェニックスでは、勝負など目に見えているだろう」
ゲーム経験は勿論だが、リアス嬢の眷属悪魔が駒全て揃ってない。
不死鳥とうたわれるフェニックスを倒すには、精神を折るか神・魔王級の攻撃を与えなければ倒せない。まだ上級悪魔に成熟しきってないリアス嬢では、勝つことはおろか精神を折ることを出来ない。
そう言えば、赤龍帝を眷属にしたんだったな。まさかコイツ…
「お前…リアス嬢が眷属にした赤龍帝を当てにしているのか?」
「いいや。流石に目覚めたばっかりの赤龍帝では、フェニックスを倒せない。今回当てにしているのは君さ…シモン」
真剣な面持ちで話すルシファーには、冗談でも嘘をついている表情では無かった。
「君にはリアスを含め、眷属達を鍛えて欲しいんだ」
「フェニックスを倒せないなら、倒せる力を身に付けさせろと?」
頷くルシファー。
「確かに私ではなく、私の眷属達ならたった数日でもそれなりの強さを身に付けられるがフェニックスを倒す程かは正直分からん」
「そこは君を信じている…だから、サーゼクス・ルシファーとして頼みたい。妹を…彼女達を鍛えてやって欲しい」
私を信じてもしょうがないだろうに…
テーブルに頭を擦り付け頼むルシファー。
「私からもお願い致します」
ルシファーに続き、グレイフィア殿まで頭を下げお願いしてくる。
これでは、私が悪者みたいだ。
「……しょうがない。友人の頼みだ…引き受けよう」
「本当かい!? シモンありがとう!」
「嗚呼。友人のグレイフィア殿の頼みだからな」
「えぇっ!!? 僕は!?僕は友人じゃないのかい!?」
誰が友人だ。
…友人たるグレイフィア殿の頼みだから受けただけだ、それにリアス嬢の為でもある。
リアス嬢とは幼い頃からの知り合いだ、知り合いが哀しむ顔など見たくない。
……はぁ。屋敷に帰ったら彼女達にどう説明したものか…
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