最弱王に仕える最強眷属   作:緋踏そら

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これで直しは全部おわりました。
次は新しい話を投稿したいと思います。


第2話―ホストくずれの不死鳥

一誠side

 

リアス・グレモリーさまの眷属悪魔になった俺、イッセーこと兵藤一誠は目の前の出来事に驚きが隠せないでいた。

 

昨晩会ったばっかりの銀髪のメイド、グレイフィアさんが部室にいたと思ったら今度は見たこともない魔法陣からホストっぽい男が現れたんだ。

 

突然の登場にびっくりしたが、部長の婚約者だと紹介された時は人目を気にせず、絶叫してしまった。で、その部長の婚約者ライザー・フェニックスは朱乃さんが淹れたお茶を飲んでいた。

 

「いやー、リアスの『女王』が淹れてくれたお茶は美味しいものだな」

 

「痛み入りますわ」

 

朱乃さんはニコニコと笑顔だが、いつもの「あらあら」や「うふふ」がない。絶対機嫌悪いって、ちょっと怖いものを感じるんですけど…

 

ソファに座る部長の隣につき、軽々しく肩や髪を触っているライザー。

部長が何度もライザーの手を振り払うが、ライザーの野郎は構わず触り続けているやがる。

 

「いい加減にしてちょうだい!ライザー!」

 

ソファから立ち上がり、激昂した部長はライザーを鋭く睨んでいる。

 

怒鳴られてやがる、ざまぁみやがれ! と思ったが、ライザーは全然堪えておらずニヤけた表情のまま余裕そうにしてやがる。

こいつ、全然反省してねぇ!?

 

「ライザー、以前にも言ったはずよ! 私はあなたと結婚なんてしないわ!」

 

「だか、リアス。そういうわけにはいかないだろう? キミのところの御家事情は意外に切羽詰まっていると思うんだが?」

 

「余計なお世話だわ! 私が次期当主である以上、婿の相手ぐらい自分で決めるつもりよ!当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるはずだった!」

 

ライザーと部長の言い争いに俺たち眷属はどうしていいのか分からない。

アーシアなんて、さっきからオロオロと落ち着きがない。不謹慎だけど可愛いぞアーシア!

 

それにしても、いつも優雅である部長がこんなにも感情を表に出すなんて初めて見た。

アーシアの時だって、怒りはしたがここまで怒りを見せたのは初めてだ。

 

そうこうしている内に、ライザーと部長の話の内容は悪魔世界の大事な話になっていた。

 

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 

「おおっ、さすがリアス! じゃあ、さっそく俺と―」

 

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った者と結婚する」

 

部長の言葉にぬか喜びするライザーの言葉を遮り、部長はハッキリとライザーだけではなく俺たち眷属、グレイフィアさんに聴こえるように言う。

 

すると途端に機嫌が悪くなるライザー。ニヤけた表情から一変して、目元は細まり舌打ちまでした。

さっきまでの態度が嘘みたいだ。

 

「……俺もな、フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにはいかないんだ。この狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。俺は人間界のがあまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐えがたいんだよ!」

 

ライザーの声と共に周囲に炎が駆け巡る。

あまりの熱気に空気はどんよりと重くなり、息苦しく感じ、呼吸が荒くなる。

 

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

 

殺意と敵意が室内全体に広がる。

プレッシャーで背中に冷たいものが走り、手が震えている。

こ、これが部長と同じ上級悪魔で、ライザー・フェニックスの敵意。

レイナーレなんて比べ物にならないプレッシャーだ。

 

後ろには俺と一緒でライザーのプレッシャーに当てられたアーシアが震えながら俺の腕に抱きついてきた。

 

木場や子猫ちゃんは震えてはいないが、いつでも臨戦態勢になってもおかしくない空気を作り出していた。

 

部長自身も自分の眷属を燃やすと言われ、すでに紅い魔力のオーラを全身から発し、いつでも攻撃出来るようにしている。

ライザーも体に炎を纏い始め、部長と対峙する。

 

―一触即発。

 

この部室が戦場になっても不思議ではない状態に俺は、唯立っているしか出来ないでいる。

 

「お嬢さま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにはいかなくなります。私はサーゼクスさまの名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 

今まで傍観していたグレイフィアさんが、部長とライザーを止めた。

止めてくれるんだったら、アーシアが怯える前に止めてほしかった。

 

「……最強の『女王』と称されるあなたにそんなことを言われたら、俺も流石に怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクスさまの眷属とは絶対に相対したくはないからな」

 

纏っていた炎を仕舞い戦意がないことを示すライザーに、部長も続いて紅い魔力を止め臨戦態勢を解いた。

……どうやら、最悪の状況は脱したらしい。

 

「こうなることは、旦那さまもサーゼクスさまもフェニックス家の方々も承知でした。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。これで決着がつかない場合のことを皆様方は予想し、最終手段を取り入れることとしました」

 

「最終手段? どういうことなの、グレイフィア?」

 

「お嬢様ご自身の意志を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

 

「―ッ!?」

 

グレイフィアさんの意見に言葉を失う部長。

ライザーの方は知っていたのか、或いは予想でもしていたのかさしも驚いていない。

 

「……お父さま方は、最終的にゲームで今回の婚約を決めるようってハラなのね? ……いいわ。ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

 

「へー、受けちゃうのか。俺は構わないよ」

 

二人ともゲームを受けた。

レーティングゲームの事は詳しく知らないが、部長のためにも絶対勝たなきゃな。

 

声には出さないが、意気込んでいる俺に視線を向けバカにしたように笑うライザー。

 

「なあ、リアス。まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか?」

 

「だとしたらどうなの?」

 

部長の答えに面白可笑しそうに笑い出した。

 

「これじゃ、話にならないんじゃないか? キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺の可愛い下僕に対抗できそうにないな」

 

そう言い、ライザーは指を鳴らすと、また部室に魔法陣が展開され中から続々と人影が出現していく。

 

「と、まあ、これが俺の可愛い下僕たちだ」

 

自慢するように言うライザーの周囲には、総勢十五名の眷属悪魔たちが並んでいた。上級悪魔が持てる駒の数は十五。と言うことは…

 

「此方は十五名フルでいる。そっちはたったの六人だ。勝負は目に見えていると思うが…?」

 

くっ! 野郎の言う通りこっちが、圧倒的に不利なのは間違っていない。

それでも、部長の将来のためにも勝たなければ!と、いつも以上に心を振るわせる俺を余所に、グレイフィアさんが静かに口を開く。

 

「ご心配にはおよびません。リアスお嬢さまとライザーさまとの戦力差は、サーゼクスさまも重々承知です。なので、リアスお嬢さまに協力者をつけたいと思います」

 

グレイフィアさんの言葉に全員ざわつく。

 

「ふーん。協力者が誰なのかは知らないが、良いんじゃないか。丁度いいハンデだ」

 

余裕の表情で承諾するライザー。

協力者とは、一体全体どういうことなんだ?もしかして、俺たちと一緒にゲームに出てくれるとか?

 

「それでグレイフィア、一体誰なの協力者って?」

 

「はい。……どうやら、着いたようですね」

 

そう言い、部室の扉に目をやるグレイフィアさん。すると、扉をノックする音が部室に響く。

ゆっくりと開けられた扉から現れたのは、数人の女性を連れた一人の男。

 

俺とアーシア以外の、部長達はもちろんライザーやその眷属達は突然入ってきた男たちが誰なのか知っているらしく心底驚いた表情をしていた。

 

「お待ちしておりました。シモン・パートぺルさま」

 

一礼するグレイフィアさんは男の名前を呼び歓迎する。

この目の前の、シモンと呼ばれる人が協力者なのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

シモンside

 

ルシファーからの頼みを承諾した後、屋敷に帰りリアス嬢たちを鍛えてくれる様に彼女達に相談した。

何人かはゴネると思っていたが、全員快く引き受けてくれた事に少し意外だと思ってしまった。

口には出さないが、完全に面白半分で引き受けた奴何人かいるだろ。

 

さて確か、リアス嬢の下僕悪魔は六名でリアス嬢を含めたら七名だったな…

私の方も眷属全員連れていかず、ちゃんとしたリアス嬢達に合う人選をした方が良いな。と、思い選んでリアス嬢が通う学舎に来たわけだ。

 

名前は駒王学園と言ったか、それにしてもデカい。幼稚園から大学まで揃っているだけはある。これは絶対に私の保留する敷地よりも広大なのだろうな。ふむ、学園よりも狭い私の敷地…

「シモン早く行かれば、遅れてしまうぞ。ただでさえ遅れているというのに」

 

学園の大きさに驚愕およびショックを受けている私に声をかけてきたのは、今回リアス嬢達を鍛えるために連れてきた眷属の内の一人である、エルザだ。

 

「あぁ。悪い…それでは行くとしよう」

 

そう言い、リアス嬢とフェニックスがいるであろう建物に向かって歩き始める。

それにしても、最近エルザに注意される事が多い気がする…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的地である旧校舎に着いた私たちは、中に入りグレイフィア殿から事前に教えられた部屋の前へとやって来た。

 

「あ、シモンさん。中にたくさん人がいますよ」

 

私の背後で元気よく教えてくるのはミニスカート風の巫女装束を着こんだ結だ。

 

「私には何も感じられないが……」

 

僅かだが、この建物に入ってから違和感を感じるが人しかも複数人の気配は微塵も感じられない。

 

「この建物全体に強力な結界が施されています。特にこの部屋は強力ですから、シモン様が分からないのも無理ありませんわ」

 

私の疑問に答えてくれたのは、紫色の長髪をなびかせローブを着たメディアだった。

 

「そうか。結とメディアがそう言うなら間違いないだろう」

 

生き物の気配を感知出来る結と魔術と魔法のエキスパートたるメディアが言うなら間違い。

メディアの言う通りなら、この結界を張ったのはリアス嬢ではなく、グレイフィア殿で間違いない。人間や関係ない者が来ないようにした配慮なんだろうが、私が来ることは知っているなら、こんな強力な結界を張らないで欲しい。何の気配もしなかったので場所を間違えたかと思ってしまった。

 

「どうやら、彼方も我々が来たことが分かったらしい」

 

「その様ね。けれど気付いたのはグレイフィア様だけらしいわ。あとは気づくどころかお喋りに夢中だわ」

 

「あぁ。中にいるリアスやフェニックスも気付いていない」

 

「わぁ、お二人ともスゴいです。結はそこまで分かりません」

 

「結もいずれ分かるようになる。その為に日々の鍛練を忘れないことだ」

 

「はい!」

 

後ろでエルザ、メディア、結の三人が何やら楽しそうに話をしているが気にせずドアノブに手をかける。

 

室内には先日会ったグレイフィア殿は勿論のこと、今回鍛えるリアス嬢とその眷属と婚約者のフェニックスが居た。

何故かフェニックスの眷属悪魔であろう女たちも居たが、私が来る間に一体何が合ったのだろうか。彼方も私たちに気付いたらしく視線が集まる。

 

「お待ちしておりました。シモン・パートぺ

ルさま」

 

突然の現れた私達に驚いて固まっている者たちを他所に、グレイフィア殿が出迎えてくれる。

 

「シ、シモン何故あなたが此処に!?」

 

いち早く復活したリアス嬢は、驚愕と疑問の表情を浮かべ聞いてくる。

 

「リアス嬢。驚くのは無理ないが、淑女たる者がその様な大声を出すのはいただけない」

 

「―ッ! …そうね。ごめんなさい」

 

私に指摘されたリアス嬢は冷静になり、謝罪してくる。

 

「あ、あの部長この人は?」

 

冷静になったリアス嬢に、この学校の制服を着た男子生徒が私の事を聞いている。

この場にいるということは、ただの生徒ではなく彼はリアス嬢の下僕悪魔、それに私を知らないと言うことは最近眷属になったばかりと推測出来る。ならば、噂に聞いた赤龍帝は彼なのだろう。

 

思考にふけている私を知らずか知ってか、リアス嬢が私を紹介し始める。

 

「イッセー、それにアーシアは悪魔なったばっかりで分からなかったわね。彼、シモン・パートペルは私とそこのライザーと同じ上級悪魔の一人よ」

 

「そ、そんな偉い人が何故此処に……

?」

 

「リアス嬢達の協力者と言えば分かるだろ、現代の赤龍帝」

 

リアス嬢達は、私の発した赤龍帝と言う言葉に反応する。彼が初めて人間から悪魔に転生した赤龍帝で当たっているようだ。

 

「―なっ! 貴様がリアスの協力者だと!? まさか貴様等がゲームに出るのか!」

 

今まで固まっていたフェニックスがいきなり喚く。

 

「喋るのは結構だが、声のトーン落とせ。上級悪魔ならもっと、余裕と冷静さを持って」

 

「なんだと貴様! このライザー・フェニックスを侮辱するか、お前風情が!上級悪魔の恥であるお前程度がッ!!」

 

聞く耳持たないな…

……なんだ? あれだけ喚き散らしていたフェニックスの声が聞こえなくなった。私以外にもフェニックスに起こった異変に気づく。

 

「……! …………!―ッ!?」

 

フェニックス自身も、自分の身に起こった異変に気づき、驚愕と焦りと疑問の表情を見せる。それに釣られる様にフェニックスの眷属悪魔たちも驚愕と疑問を浮かべ、フェニックスのもとに駆け寄る。

 

「ぶ、部長。ライザーの声が…一体どうなってるんすか?」

 

赤龍帝もこの状況に不安と疑問を抱き、主たるリアス嬢に問う。不思議を通り越して、恐怖だろう。突如、人の声が出なくなったのだから、もし自分も声が出なくなる事を想像したらなおさらだ。そんな恐怖する赤龍帝に、優しく頭を撫でるリアス嬢

 

「大丈夫よ。…メディア術を解きなさい」

 

「あら、お気づきになりましたか。シモン様達とグレイフィア様ぐらいしか気づかないと思いましたが…」

 

「この中で、上級悪魔に術を掛けられるなんてグレイフィアと貴女以外いないでしょう」

 

疲れたと言うより、呆れた表情で言うリアス嬢。

 

「どうせ、主たるシモンがバカにされたから、こんな事したんでしょうけど」

 

「そうなのか。メディア?」

 

術を掛けたのがメディアだと分かっていたが、何故そうしたのか分からなかった。

 

「はい。主を侮辱されて黙っておく眷属はいませんわ」

 

メディアの言葉に賛同するかの如く頷く、エルザ達。

 

「そうか…その行いには感謝するが、話が進まない。術を解いてくれメディア」

 

二つ返事で了承するメディア。

普通に解いたな。少しはゴネるかと思ったが…

声が出せるようになったフェニックスは、怒りと殺意の目で見てきた。

 

「そう睨むな。さっきも言ったが話が進まん。先程お前が言ったフェニックスとリアス嬢のレーティングゲームには私達は出ない」

 

「ならば、貴様はリアスに何をするんだ。協力者と言うぐらいだ、何かしら協力するのは当たっているだろ?」

 

「私を含めパートペル眷属はリアス嬢とその眷属悪魔をレーティングゲームまでに、フェニックス及び眷属悪魔達に対抗出来る様に、鍛え上げる事だ」

 

グレイフィア殿とメディア達眷属以外に若干の違いがあるが動揺が走る。

 

「……確かに、貴様の眷属がリアス達を鍛えれば俺の眷属にも通用するだろう」

 

「私の眷属をゲームに参加させるよりは良いと思うが…?」

 

「ハッ、良いぜ。パートペル眷属が参加しないなら、何をしようが俺は構わない」

 

フェニックスの了承は取れた。

もし、了承しなかったらルシファーが何とかしてたろう。あいつシスコンだしな。

 

フェニックスからリアス嬢の方に視線をやる。

 

「順序がおかしくなったが、リアス嬢の意見を聞こう。リアス嬢は私達が貴女達を鍛えることを了承してくれるか?」

 

「自分達だけで何とか出来る状況じゃないわね…良いわ、その話承けるわ」

 

「話は纏まりましたね。ゲームの日時は後ほどお伝えします。それでは私はこの事を主に伝えに行かなければならなりませんので、此にて失礼します」

 

そう言いグレイフィア殿は転移魔方陣を展開し、この場から居なくなった。

ルシファーの所に帰ったか…

 

「用件も済んだ。私達も帰るとしよう」

 

「えぇ。また近々会うのだし、その時ゆっくりお話しましょ」

 

ふむ。独立してからはリアス嬢とは会っていなかったな。積もる話は修行の時にでもしよう。

 

「あぁ。そうしよう…フェニックス」

 

私に呼ばれた事に、不満或い嫌悪したのか不機嫌そうな顔をして此方を向いてくる。

 

「私を下に見るのは良いが、リアス嬢達を下に見て油断していると足下をすくわれるぞ」

 

捨て台詞の様に言い、部屋から出ていく。フェニックスが何か言っているが、気に留めず歩みを進める。

 

さぁ、警告はしたぞフェニックス。

不死の能力など、ただのオマケと言うことを教えてやろう。

 




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