独立傭兵ヴォルフ・シアン   作:何之

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ガチタンはもうしんどいので初投稿です。


お前じゃこの先生きのこれないぜ

目が覚めると、ACのコックピットの中だった。

どう考えてもこちらの方が夢のような状況なのに、現実味があるのは、装甲に包まれ、生死の匂いがすぐそばにあるこの世界の方だった。

 

やがて、ヘリがもう一つのヘリと連結されて、いつものガレージの姿になった。なるほど、ヘリだと思っていたこれがガレージで、別のヘリにパーツやオールマインドのシュミレーションルームが乗っているのか。

早速オールマインドからユーザー権限復旧の連絡が入る。

 

《登録番号 Ti61

識別名 ヴォルフ・シアンによる認証を確認

安否不明状態を解除

ユーザー権限を復旧します

 

傭兵支援システム「オールマインド」へようこそ

ヴォルフ・シアン 貴方の帰還を歓迎します》

 

《ユーザー権限復旧に伴うお知らせです

オールマインドは傭兵支援の一環として……》

 

一周目でしか聞けない台詞を聞き流し、いよいよコックピットから出て、ガレージを散策する。

きついスーツも脱ぎたかったので、さっさと風呂に入って着替え、マップを取ってガレージを見渡す。

アセン変更やカラーリング変更など、ゲーム内のガレージでのメニュー選択は、手元のタブレット型デバイスでやり取りできるようだ。試しにAC DATAを確認してみる。

USER 1にはストーリープレイ時のアセンや、お遊びで作ったアセン。USER 2にはシングル用、USER 3にはチーム用のアセン。USER 4には再現機体。流石にDOWNLOADとPRESETは無かったが十分だ。

 

仕事を確認してみる。ゲーム内と比べて、遥かに大量の依頼が入っている。大抵は雑務やいかにもだまして悪いがされそうな内容、それに完全に当て馬にされる無茶な依頼。正直言ってこの「ヴェスパーⅠ排除」はできそうな気がしてくるが、初の実戦でそんな馬鹿げたことができるほど、自分の腕に自信はない。

そういや、ゲーム内では不特定多数に向けたばらまき依頼をやったはず。ばらまき依頼なら、こちらも受けることができるだろう。迷惑メールから迷惑じゃないメールを探す時のように、大量の依頼から目的のばらまき依頼を探す。

あった、グリッド135掃討。依頼内容を聞き流しながら、アセンをミッション用に調整する。

 

右腕 MA-J-200 RANSETSU-RF(ランセツ)

左腕 VE-66LRA(LRA)

右肩 EARSHOT(イヤショ)

左肩 HI-32: BU-TT/A(パルブレ)

 

頭部 VP-44D(44D)

コア 07-061 MIND ALPHA(アルファ胴)

腕部 EL-PA-00 ALBA(アルバ腕)

脚部 IB-C03L: HAL 826(HAL足)

 

ブースター ALULA/21E(アルラ)

FCS FC-008 TALBOT(タルボット)

ジェネレーター VE-20B(150ジェネ)

 

コア拡張機能 TERMINAL ARMOR(TA)

 

とりあえずフレームは適当、武器だけはしっかりミッション用にした。EN供給効率が死んでいるが、武器がまともならまず死にはしないだろう。念のためにTAも付けたので大丈夫だ。

二つ返事で依頼を受理し、早速グリッド135に向かう。

 

≪メインシステム 戦闘モード起動≫

 

仕事の時間だ。早速ABを吹かして隔壁にアクセス、開いたら即AB。

ヘリ群をランセツとLRAで一機ずつ丁寧に片付ける。MTが群がっているところにはイヤショをぶち込む。盾持ちにはマニュアルイヤショで盾をめくる。LRAのオーバーヒートに気を配りつつ、目の前の敵に向かってダブルトリガーで乱れ撃つ。ふはは、まるで無双ゲーのようだ。

ついでにステルス機体(ゴースト)にも挨拶しに行く。EN切れを起こさないように適度に着地して休憩しつつ、「密航」のスタート地点に向かう。

スキャンをかけると、やはりゴーストがいた。バレる前にブレキャンで突っ込み、チャージパルブレをお見舞いする。大した台詞を吐けないまま、ゴーストは静かに爆散した。

 

あとは増援をまとめてボコボコにする。だがこのまま落とすのはあまり面白くない。

良いことを思い付いた。MTを一機残して全て落とし、両腕の武器をパージする。MTに向かってABし、MTに向かってぶん殴る!

ガァン! 右腕と左腕を交互に使い、敵をACS負荷限界(スタッガー)まで追い込む。スタッガーしたら、MTの両腕を掴んでABし、パルブレを使って壁ドンする。オープン回線からMTパイロットの悲鳴が響く。折角なので、こちらもオープン回線で喋ってみよう。

 

「独立傭兵レイヴンを知っているか?」

「ぇえっ!?」

「レイヴンだ。今は知らなくても、じきに知ることになる」

「なっ、何を言って……!?」

「レイヴンに出くわしたら、必ず逃げろ。ここで拾った命を無駄にするな」

「あんた一体……」

「ただの(ヴォルフ)(シアン)だ。じゃあな」

 

MTのコックピットハッチをこじ開けて退路を作り、中のパイロットが怪我しないようゆっくり後退。あとは依頼主に依頼完了の旨を伝えて終わり。

 

安全を確保してからヘリを呼ぶ。結局、信号用フレアグレネード以外での呼び方が分からなかったので、今回もフレアグレネードを投げる。頭の中で迫真空手部のイントロを流しながら待つ。

「ぬわあああん疲れたもおおおん……」

別に疲れてはいない。楽しみながらやっていたからか、ドーパミンのおかげで疲れは感じない。

そういえば、よく考えたらずっと戦闘モードにしている必要がない。メインシステムを通常モードに……

 

≪ピーッ! ピーッ!≫

 

アラート!?すかさずQBを踏む。

さっきまで自分がいたところにバズーカが着弾する。どこからだ!?

更に連続でアラートが鳴る。すかさずQBを吹かすと、レーザーキャノンが着弾して、地面が赤熱火する。アルラのおかげで無理矢理連続でQBを吹かせるが、如何せんジェネがまずい。EN供給1600では、すぐにEN切れを起こして回避行動が取れなくなる。

これが旧作ならチャージングで死ぬ。3SLの特殊輸送車両追撃で初めてOBを使い、貧弱な初期ジェネのせいで目標に追いつけず、てくてく歩いて作戦失敗した記憶がよぎる……

 

四回連続でアラートが鳴り、それら全てをQBで避けると、攻撃がピタリと止んだ。成程、分かったぞ。敵はキャノン系を両腕両肩に載せている。故に全てを撃ち終えたら、リロードまでのインターバルがあるのだ。

ならば簡単だ。敵の攻撃を全て避けて、リロードしている間にボコボコにしてしまえばいい。本当は盾があった方が、ジェネの嚙み合わせも上乗せして遥かにやりやすいが、盾は専門外なので仕方ない。さあ、姿を現せ!

 

 

心の中で叫んでも意味ねぇじゃねぇか!オープン回線で呼びかけてみよう。

 

「面白い戦い方だ。インファメタでも想定しているのか?」

 

反応を待ってみる。少しすると、プライベート回線で通信が入ってきた。

 

「独立傭兵ヴォルフ・シアンだろ? 知らねぇアセンだが、そのカラーリングは間違いねぇ」

「俺を知っているのか?」

「アリーナのランカーが、偉そうに……

 今すぐにテメェをスクラップにしてやる!」

 

そう言って通信が途切れたかと思った途端、目の前にガチタンが飛び出してきた!武器は予想通り両手にバズ、両肩にレーザーキャノン。そしてすぐさまバズが飛んでくる!QBで避けて、引き撃ちの姿勢に入る。

 

「テメェをスクラップにすれば、俺がランカーだ! 玉座から引きずり下ろしてやる!」

7位ははたして玉座なのか、という疑問が少し沸いたが、よく考えたらNESTならアベラントだ、相当な地位なのだろう。オールマインドのアリーナの順位は信用していないので、あまり確信を持てないが。

ひたすら距離を離しながら両腕の武器を撃つ。向こうはハムジャン*1をしてこないので、まるで追いかけられていない。ミサイルを積んでいないので遠距離での攻撃手段が無いのも、こちらにとってはかなり有利だ。適度にイヤショを撃ってスタッガーさせ、火力を出す。

向こうがAB凸してきた。すかさずQT(クイックターン)で後ろを向き、AB逃げを敢行する。

向こうが何のジェネを採用しているのか分からないが、噴射光から見て還流型で、EN武器を載せているところから、EN火力を重視したジェネを積んでいる可能性が高い。そういうジェネは、軒並みEN容量は多くないので、AB同士では確実にこちらの方が距離を取れる。

EN切れギリギリまでABし、またQTで後ろを向く。思っているより距離は離れていないが、変わらずこちらが有利だ。

「クソが!逃げるな!」

「逃げるわ!当たり前だよなぁ!?」

至極当然だ。ランクマではレートが、今のこの世界では命がかかっている。わざわざ相手の得意距離で戦う理由は存在しない。

向こうの手札はもう無いようで、ABで追いかけてはまた斉射するだけになってきた。こうなっては、こちらがミスを犯さない限り勝ち目はないだろう。

やがて向こうの機体のAPが全損し、火花を上げ始めた。

 

「引き撃ち機が……

 殺してやる、次は殺してやる……!」

 

多分、その「次」は来ないんじゃないかなぁ、と爆散する機体を眺めながら思った。

 

 

 

 

 

仕事を終え、ヘリに乗って帰還する。

ついでに、偶然ではあるが、初のAC戦も無事に終えることができた。収穫は沢山だ。勿論、赤字になった報酬に目を背けることが前提だが。

赤字なんて初めて見た。本当にあるんだな、と見当違いの感想を述べてみる。

 

あとでこちらを襲った敵の身分を調べてみたところ、アリーナには記載されていないものの、この世界のNESTではランクAだった。

こっちにもNESTがあるんだな、と感動するのと同時に、あの実力でランクAなら、どうやらランク分布は自分が慣れ親しんだNESTと変わらない可能性が出てきたことに、少し恐怖したのだった。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手は試供サンプルとは言え、ACには変わりない。

 気を引き締めていけ、621」

[了解]

 

いや、知っている。あいつは強くない。

一周目ならもう少し苦戦していただろうが、今となっては赤子の手をひねるよりも簡単だ。

 

≪メインシステム 戦闘モード起動≫

 

「ミッション開始だ。

 ……目標を捕捉した。621、仕掛ける好機だ」

 

[ウォルター]

「どうした」

[中のパイロットは 殺さなくてもいいのか

 できれば 殺したくはない]

「……」

 

ウォルターはいつの周回時もこんな感じだ。少し考えてから、

 

「いいだろう。だが無理はするな。

 相手に情けをかけるなら、それなりの覚悟を持って行え」

 

と、足元を掬われないように注意しろ、と釘を刺してくる。

[了解 ありがとう ウォルター]

ABを吹かして接近、こちらの接近に気付いていない訓練生に向かって、目覚めのキックを当ててやる。

「てっ……敵襲!?

 解放戦線……いや 独立傭兵か!?」

少し後退してしっかり重ショを当て、パルブレをチャージする。

慌てて後退しながらバーストライフルを乱射するACに向かって、ブレキャンも加えて距離を詰め、一太刀。再度重ショを撃ってスタッガーさせる。

「畜生……こんなところで死ねるか……!」

安心してほしい、殺すつもりはない。ただその棺桶は、動きを封じようとするには硬すぎる。

マニュアルエイムにして、コアと脚部の接続部に向けて、ワーム砲を撃つ。これでしばらくは動かない。

頭部に向けて重ショを撃ってカメラアイを壊し、冷却されたパルブレを使って両腕を切断。

あとはプライベート回線で、訓練生にメッセージを送る。

 

[死にたくなければ 今すぐ脱出レバーを引け]

[5秒後にブレードを刺す]

 

回答は聞かない。もう散々聞いたから。

脱出装置が作動し、パイロットが緊急脱出される。

5秒経ったので、冷却されたパルブレを使って機体を爆散させる。

 

「敵ACの撃破を確認した。

 621、仕事は終わりだ。帰投しろ」

[了解]

「訓練生については気にするな。こちらで保護しておく」

[了解 ありがとう]

*1
タンクで上に向けてキックすること。これを使ってタンクは宙に浮き、攻撃を回避してくる。




C4-621
n周回目のAC6主人公。
皆が生き延びられる可能性を模索しつつ、ルビコンでの戦いを繰り返している。
しかし、内心では半ば諦めており、ACを駆ることが周回時の楽しさになっている。

オールマインド
NESTを全世界の傭兵向けに開放したところ、想定より賑わってくれた。
システムについては不満の声が多いが、今のところ変える予定は無い。

独立傭兵
多種多様な傭兵達が、自由気ままにルビコンでの傭兵生活を送っている。
既にルビコンを去った者も多いが、未だに戦場に身を置く者も多い。


今回のヴォルフ・シアンのアセンです。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=56-77-28-37-128-130-157-178-192-204-222-230
イケメンフレームに無理やり150ジェネを載せています。
腕武器の組み合わせは、筆者がストーリーでよくする、実弾武器とEN武器のダブルトリガーになっています。
肩武器も同じくストーリーでよくする組み合わせ。実はあまり嚙み合わない。撃ち下ろしが強いイヤショと軸合わせが必要なパルブレでは、高度が嚙み合わないのだ。

今回登場したガチタンのアセンです。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=58-58-81-81-119-143-153-183-232-204-225-228
ランクリセット後のA帯で、タンクを使ってみようと思い組んだお遊び機です。

今回のローダー4です。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=68-37-8-75-115-135-150-168-196-209-224-227
フレームはRaD CC-2000 ORBITER縛りで、他を仕事に合わせてアセンを変えています。
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