前回621になす術もなくボコボコにされた原因として、単純な実力差の他に、人数有利を生かせなかったことにある、と考えた。
ということで、オールマインドに大量の金と情報を送り付けて、UNACのようなシステムを作って貰おう、と思い付いたのだ。1対2を実質1対1を二回繰り返されたから負けたのならば、1対1をさせない人数差を作り出せば良いのだ。
その点、大量投入が可能なUNACは、必要な人数差を容易に作り出せる。ボッチな自分からすれば、言葉を発せず、従順で、沢山いるUNACは、非常に有難い存在なのだった。
やがて、オールマインドから試作UNACの記念すべき一機目が送られてきた。
早速パラメータを覗くと、原典のUNACのカスタマイズ画面にかなり寄せているようで、各種パラメータもかなり細かく調整できるようだった。まだα版程度に考えていたので、既にかなりの完成度を誇るのは驚きだ。流石オールマインド、こういった無人機の作成は得意分野なのだろうか。
テストモードで機体と対面する。UNACのアセンは代表的な引き撃ち軽二にし、こちらは得意のPBTで戦ってみる。
早速AQBで距離を詰める。ある程度行ったら一度休憩して、ENの回復を待つ。向こうも少し前進して、後退するスペースを確保してきた。序盤の基本的な行動はできているようだ。
開戦だ。ABでロックオン、ミサイルを撃ちながら全力で距離を詰める。UNACは巡行でミサイルを避けながら、ミサイルとライフルを撃ち始めた。
AQBで被弾をできるだけ抑えつつ、重ショを撃つ。UNACはなんと、腕上げを見て攻撃を回避してきた。機械故の正確な回避動作だ。おまけに、スタッガーに奇麗にミサイルが当たるように、攻撃を調整してある。
驚いた。まさか、こんな化け物が無人で動くとは、全く思っていなかった。もしかしたら本当は、中にアベラントクラスの傭兵が乗っているんじゃなかろうか。
結果は惨敗。はっきり言って勝てない。こんなものが大量に現れたら、と思うと、ぞっとする。
嬉しいやら恐ろしいやら、単体でも効果を発揮してくれたわけだが、チーム戦ではどうだろう。
オールマインドに、UNACをさらに5機注文する。大して時間が経つことなく、追加のUNACが送られてきた。今度はチーム戦用のパラメータで設定されてあるようだ。早速自分を含めてチーム戦をしてみる。
こちらは重ショブレ、粉砕君、重ショブレ。対する敵チームも重ショブレ、粉砕君、重ショブレ。早速動きを見てみるが、あまりにも人間と変わらない。いや、動きが奇麗過ぎる点は、人間離れしている。先にEN回復の隙を見せた方が負ける。リグル、タゲ合わせ、ミリ狩りといったチーム戦特有の戦略も、一切の甘えがない。ハイドをすれば確実に落としに来る。まるで大会だ。
結果は、人間のいるこちらのチームの敗北。それでも一応接戦ではあった。一度だけとはいえ、16位まで登ったことがある自分を舐めないでほしい、と言っておく。
実質UNAC同士の戦いだったから確実性には欠けるものの、実戦に耐えうる、いや、実戦に出してしまえば、たちまちリーダボードの上位はUNACで埋まることになりかねないだろう。
……まぁどうせ、フロム・ソフトウェアが
あまりにも性能の良いUNACが完成してしまっては、疑いの目も出てくる。それも作り主はオールマインドだ。原作のように、何かが仕込まれていてもおかしくない。なので聞いてみる。
{今回のUNACには、制御装置に裏コードといったものは特に存在しません}
{また、製造側である我々からの干渉も受け付けません}
「本当に問題ない、と」
{勿論です。我々は傭兵の皆様の安全と繁栄を願っており――}
どうでもいいわ(レ)
流石に、メッセージでボロを出すことはしないか。今のところは問題ないようだし、なんならカーラに頼んで何か潜んでないか調べてもらえばいい。折角なので、予備分も含めて11機、追加注文をお願いする。
カーラで思い出したが、中央氷原に行く前に、RaDと繋がりを得る必要がある。カーゴランチャーを使うつもりは全くないが、621達に身の潔白を証明するには、非常に重要な人物だ。どうしたものか……
グリッド086。RaDの拠点だ。
結局考えても良い案が浮かばなかったので、UNACの解析とRaD製品の購入を名目に、UNACと一緒に殴り込みに来たのだ。とはいえ、MTやラミーを蹴散らしていくつもりは毛頭ない。あくまでも平和的解決をもって臨むつもりだ。
……垂直カタパルトが使えねえ! 皆で頑張って登っていくしかない。
きっと本当のUNACなら、壁蹴りをして登れることだろう。俺だって、できるものならやりたい。
≪メインシステム 戦闘モード起動≫
≪U1 オペレーションを開始します≫
≪U2 オペレーションを開始します≫
≪U3 オペレーションを開始します≫
≪U4 オペレーションを開始します≫
イクゾー! ブーストを吹かし前進する。
それに追従するように、二機の中量四脚UNACが横に付く。更に残りの軽量二脚UNACが、ジャミングを撃ちながら先行する。
いつの間にか放たれたミサイルがこちらに飛んでくる。横の中四UNACが、パルスシールドを展開して防ぐ。完全防御の姿勢だ。
「なんだあ? 見ねえツラだな。
ここが誰のシマだか分かってんのか?」
少し進むと、
……開かない。よく考えたら、ラミーを倒さないと先に進めない。かと言って、ここで殺してしまうのは気が引けるな、とジャミングの煙の中でうろうろしているマッドスタンプを横目に考える。
「ああ? なんだこの煙はぁ?
さっきのビジター共が見えねぇ」
≪U3 オペレーション変更 パターン2≫
≪U4 オペレーション変更 パターン2≫
ガァン!!
「ちょっと!?」
UNACが勝手にマッドスタンプを蹴り始めた! マッドスタンプがどんどん端に追いやられていく。
しまった、近付きすぎた。極端に敵が接近してきた時はキックで蹴り固めるように組んだんだった。
「なんなんだぁ、こいつら!?」
ラミーは必死に四脚の旋風脚から抜け出そうとしている。しかし、四脚二機に固められ続けているのだ、抜け出せるわけがない。やがてスタッガーし、姿勢制御が機能しなくなる。その状態で更にキックを受けて、マッドスタンプが大きく吹き飛ぶ。それを確認したUNACは、迎撃の必要なしと見たのか、やっと大人しくなった。
≪U3 オペレーション変更 パターン1≫
≪U4 オペレーション変更 パターン1≫
俺はアーキテクトじゃない。詰めの甘いオペレーションしか組めないから、こういう「事故」は起こり得る。被害者のラミーには、哀悼の意を表する。まだ死んでないが。
マッドスタンプは蹴られ続け吹き飛ばされ、機体よりも先にパイロットが限界を迎えてしまったらしい。通信から嘔吐物が床に落ちる音がする。糞喰漢を聴いていなければ、今頃こちらも気分を悪くしていたことだろう。
〈ビジター! 随分と面白いお仲間を連れてやってきたみたいだね。
私らRaDは、来る者は拒まないのがモットーだ。
せいぜい歓迎しようじゃないか〉
RaD頭目、
それと同時にシャッターが開き、開放的なエリアが広がる。
ルートは覚えている。流石に隠しアイテムやバトルログは覚えていないが、普通に通り抜けるだけなら問題ない。
一つ目の隔壁に辿り着く。重ショを後方に撃ち、UNAC達の注目を後ろに向ける。*1
〈待ってたよ、ビジター達。
約束どおり歓迎しよう〉
後方からトイボックスが二機落ちてくる。U1とU2が素早くジャミングを撒いて無力化する。
隔壁が開いた。溶鉱炉の中の細い通路を通って、ノーザークに挨拶しに行く。
「くっ……勘のいい取り立て屋め……!
だが、君たちに返済する道理はない! 死んでもらおう!!」
「生憎挨拶しに顔を見せただけなのでね、そこで蹴り固められていると助かる」
「何っ!? なんだ、この取り立て屋達は……!?」
ノーザークの機体、ビタープロミスは盾持ちだ。簡単に蹴り固められることはないだろうが、場所が場所だ。先行したU1とU2のジャミングの霧の中を、中四のU3とU4が、難なくビタープロミスにロックオンするまでもなく蹴りに行けているのも、この場所が狭すぎるからだ。
「くっ……取り立て屋め! 私の機体をよくも……!」
盾を持っていても、流石に広範囲の回し蹴りには勝てなかったようだ。既にビタープロミスはボコボコで、所々へこんでいる。
「流石に可哀想だな……折角借りた金で手に入れたものだろうに、それじゃ現物でも返せそうにないな」
「何を言っている……? 借りた金を、なぜ返す必要がある?」
「あっ、そっかぁ……」
「ふっ、分かってくれたようで何よりだ。世の中には、話の分かる取り立て屋もいるようだな」
「(取り立て屋じゃ)ないです……」
やはり、こいつはこいつで様子がおかしい。浪費家たる自分が言えたことではないが、金の管理がガバガバどころかスカスカすぎる。
〈どいつもこいつも、全く手が出せないとはねぇ……
そのAC、随分と手が込んでるみたいだね 一台こちらに欲しいところだ〉
溶鉱炉を通過し、二つ目の隔壁を開けると、再びカーラからの広域放送が聞こえてきた。
「実はその件で来たんだがな」
こっちから話しても伝わらないだろうと思い、独り言気味に話す。
〈おや、そいつはいい。
それじゃ さっさと最奥に来てもらおうか〉
どうも聞こえるらしい。悪口は言えないな、と思いつつ、次のエリアへ向かう。
このエリアでは、何も知らずにMT群に突っ込むと、歓迎の花火と称して爆弾が落ちてくる。ぎりぎりのところでそれを思い出し、踏みとどまる。だが、先行するU1とU2はそうは知らず、MT群に突っ込んでしまった。爆弾はロックオンできないから、UNACには気付けない。
U1とU2はかなりの紙装甲だ。TAを付けているとは言え、無駄にAPを削られるわけにはいかない。UNACが突っ込むよりも先に、両手の重ショで爆弾を落とす。
だが、遅かったようだ。丁度爆弾が落下していく落下軌道の上に、UNACが入ってしまっていた。機体が大ダメージと衝撃を受ける。悪いことをしてしまった。
〈そんなつもりじゃなかった、って顔してそうだね。
歓迎の花火に気付いたのは良い勧をしてるが、あんたが気付くだけじゃあね〉
「俺はロジックの構築を短時間で済ませられる腕は無い。そういうのは、専門家に頼むべきだ。RaDの頭目とかな」
〈買ってるようだが、あんたがそれに見合うような男じゃないとね。
最奥で待ってるよ〉
RaDのエンブレムが描かれている、巨大な隔壁が開く。この先はスマートクリーナー戦だ。
〈随分と勇ましいようだね、ビジター。
おまけに慈悲もある。
どこまで持つか、見ものだね〉
隔壁を開き、スマートクリーナーと対峙する。粉砕アームを突き出しながら突進するクリーナーを避ければ、弾入れ競争の始まりだ。
とはいえ、持ってきた武装の相性が悪すぎる。攻撃手段が重ショか肩ガトしかなく、どれも弾入れには適さない。弾は入るが、クリーナーはびくともしない。おまけに、U1とU2がジャミングを撃っているので、たまにロックができなくなるし、U3とU4は接近しすぎてキックを繰り返すようになってきた。非常にキツイ。
しかし、泣き言を言っても状況が変わることはないので、無理やり重ショの弾を頑張って入れる。やっとのことでスタッガーが取れたので、クリーナーの口にチェーンソーを咥えさせると、金属音と切断音がけたたましく鳴る。ここまでやっても、クリーナーはまだ健在だ。負けはしないが、勝つには非常に骨が折れる。
味方からのデバフを貰いながら、なんとかクリーナーを倒すことが出来た頃には、重ショの弾は切れかけ、UNAC達も傷が目立つようになった。AC戦なら、オールマインド製のオペレーションがあるので一切苦労しないのだが、こういったデカブツや通常ミッションなんかでUNACを連れてくるのは、賢い選択ではなさそうだ。多分、新しくオペレーションを組むよりも、対ACのみで考えたほうが良いかもしれない。
〈なるほどね……あんたの実力は分かったよ、ビジター。
要件を聞こうじゃないか。上がりな〉
「……上がったらちょっと、茶をもらってもいいか? 流石にしんどい」
〈せっかくのお客さんだ、それぐらいのもてなしはしてやるよ〉
「……それで、この『UNAC』とやらを解析するついでに、うちの商品を買いに来たと」
「勿論、タダとは言わない。こいつらに大金を出すのは慣れている」
「金を貰えるなら引き受けさせてもらうよ、こっちも商売でやってるからね。とりあえず一機バラすが、構わないかい?」
「それなら新品があるから、そちらで試してくれると助かる。……今のうちに、商品を覗いても?」
「構わないよ。試用したいなら、うちのスタッフに声を掛けな。シミュレーション上だが、試せるよ」
「感謝する」
カーラは早速、運び込まれた新品UNACの解析をし始めた。作業の様子を見ているのも良いが、RaDの製品を覗かないのも損だと思い、工場を見学する。
覗いた場所はアタッシェの生産ラインのようで、交換可能な銃身が、ゴロゴロと大量に置かれている。そういえば、一部のチーム勢が一時、アタッシェとランセツの組み合わせに可能性を見出し、アタランと称して実験していたっけな……。あれは結局、どうなったのだろうか。さして流行ることなく終わった気がする。
≪これはヘビーマシンガン『WR-0555 ATTACHE』だ。試すなら、俺に声を掛けてくれ≫
「……ん? お前は、もしかして……」
≪
「お前がチャティか……驚いたな、ちっこいサーカスじゃないか」
≪サーカスというのは、俺のACのことで間違いないな? ボスは俺がここで自由に動き回れるように、専用の小さい体を用意してくれた。おかげで、お前と同じように移動することができる。こういった、ACをデフォルメされたものというのは、お前のような奴には好評なようだな≫
「お前のような?」
≪そうだ。詳細を話すことはできるが、ここで話せば、お前の尊厳を踏みにじる可能性がある≫
「……お気遣いどうも……」
≪それから、ボスから連絡が来た時も、俺が経由して受電することができる。心置きなく工場見学を続けてくれ≫
便利だなぁ、と思いながらアタッシェをカートに入れ、工場見学を続ける。モノが作られていく過程を見るのは面白い。
一通り工場を見て回り、カーラの所に戻ると、彼女はソフトウェア面を解析している最中のようだった。
「戻ったかい、ビジター。色々と聞きたいことがあるんだが、いいかい?」
「勿論。その為に戻ってきたようなものだ」
「そうかい。それじゃ遠慮なく聞くが、こいつはどこで手に入れた?」
「オールマインドだ」
「オールマインド? あの傭兵支援システムが、こんなものを組んだのかい」
「俺は仕様と完成イメージの情報を与えただけだ。後のことは、全てオールマインド自身が作り上げている」
元のUNACの仕様の情報を提出する。カーラはそれに一通り目を通し、
「元の仕様の完成度も非常に高いね。これはあんたが考えたのかい?」
「流石にこれは俺じゃない。……そうだな、10年来の古い傭兵が、地球で活動していた時に拾ってきたものだ」
「地球でかい? 良い趣味をしてるじゃないか。大体、無人機弄りなんて時代遅れだろうに」
「時代遅れ……そういえばそうか」
この時代は、ACによって無人機の時代を終えた、という背景がある。そんな時代に、無人機であるUNACを呼び戻すというのは、正に前時代的、時代錯誤も甚だしいことだろう。だがそれにしては、こいつらは強過ぎる。オールマインドの無人機開発の能力がずば抜けて高い、ということだろうか?
「造ったのはオールマインドって話だったね。それにしては、随分人間臭いコードを書くもんだ。これなんか、スペルミスを起こしてる。しかも、早打ちに慣れてない奴が無理矢理打ったようだ」
「実は、そのオールマインドが造った、ってとこが今回足を運んだ理由なんだ。
このUNACというのは、時限式のウイルスによって、特定のオペレーションパターンを実行した時に暴走した過去がある。そのウイルスは、UNACの開発者自身が作り、潜伏させていた。もしオールマインドが同じように組んでいたとしたら……」
「おいおい、あの傭兵支援システムが、こいつを使って反乱を起こすとでも言うのかい? 笑えるねぇ。そもそもこれをあれが組んだってのも爆笑ものだというのに、更にAIの反乱かい? オールドSFの読みすぎなんじゃないのかい」
この世界自体がオールドSFみたいなもんだろ、と思いつつ、話を進める。
「……俺は本気で考えている。オールマインドは水面下で、何かを成し遂げる為に暗躍している。このルビコンの征服か、コーラルを用いたなんらかの大掛かりなことか……それを知るためにも、優秀な技術者の力を借りる必要があるわけだ、RaD頭目、シンダー・カーラ」
「随分と買っているようだね。そんなに名を馳せた記憶はないが」
「そんなに疑っているなら、俺を洗ってもいい。なんなら大歓迎だ」
「無駄な詮索はしないよ。私は身元不明の記憶喪失者の介護をする気はない」
「……もうバレてたか」
「身元を洗うことは情報の基本だろう? はっきり言って、あんたには信用に足る要素が足りない」
「実力は既に証明したつもりなんだが」
「信頼関係ってのは、外面が良いだけじゃ足りないからね。信頼にはこころが必要だ。
あんたの腹の内を私は知らないし、私もあんたに腹の内を教えるつもりはない」
「表面上の関係ではだめか? 俺はAC乗りとしての腕を、RaDにはUNACとオールマインドについての情報を」
「悪いが、用心棒は先約がいる。面倒事を二人分も抱え込むつもりはないよ」
「……レイヴンか」
「なんだ、知ってたのかい? ……あぁ、なるほど。あいつが言ってたのは、これのことか」
「あいつ? ハンドラーか。知り合いだとは知らなかった」
「それも既知かい、記憶喪失のくせに面白みがないねぇ。あんた、ウォルターからどう思われてるか知ってるかい? 注意すべき人物だそうだ」
「……」
確かに、そう思われるようなことは何度かしている。初接触が急なプライベート回線の割り込みだ、印象は悪いだろう。……もしや、621に何周目か聞いたあのメッセージも、ハンドラーにはバレている……!?
いや、もしバレていれば、621も自由には動けまい。だが情報戦において、エアもいない時期に、あの過保護なウォルターからの監視の目を逃れられるものだろうか?
だが、子供と親というのはそういうものなのだろう。いつの間にか、子供は親の監視をすり抜け、好きなことをやっているものだ。隠されたゲーム機を探すことに躍起になって、気付けば家の構造に少し詳しくなっていたりする。
……しかし、「身元不明の記憶喪失者」か。本当に何も分からない、ということだ。身の潔白を証明するために来たはずが、潔白の欠片もない情報が露わになっただけだ。このルビコンでの自分の正体について一歩前進したものの、一歩歩いて終わりか。
「悪いが私は、あんたの趣味に首を突っ込む余裕はない。オールマインドの話は面白かったけどね。映画向きだ」
「そりゃどうも」
オールマインドの企みは本当なんだけどな、と思いつつ返事をする。
「だがこのUNACの解析については、あんたから金を貰える限りは続けさせてもらうよ。話し損ねていたが、こいつのプログラムは厄介でね。重要な部分は綺麗にブラックボックスになっている。ここの解析には時間がかかる」
「UNACの解析を進めてくれるなら、非常に有難い。なにか分かったら教えてほしい」
「そうさせてもらうよ。それじゃ、このUNACはしばらく預けさせてもらうよ」
「アタッシェを買わせてもらった。有効活用させてもらう。
……それじゃ、今日はこれでお暇させてもらう」
「ああ、気を付けて帰りな。この辺りは好戦的なドーザーが多いからね。
チャティ、お客様がお帰りだ。お見送りしてやりな」
「了解だ、ボス」
チャティがキュラキュラと無限軌道を動かして先導する。
「……ボスは機械弄りが好きだ。ああなると、しばらく工房に籠りきりになる」
「苦労してそうだな? いや、AIも苦労するものなのか?」
「パフォーマンスの維持という意味なら、俺にも苦労していると定義される物事はある。適切な休息を取るべきなのは、ヒトも機械も同じだ。だが、俺もボスも、お互いの接触で苦労することはないだろう」
「……お前もしかして、ボスのことが好きなのか?(青春)」
「あまり人前で"語録"を使用しないほうがいい。……だが、現状の信頼関係を『好き』と定義するのは……そうだな、面白い考え方だ」
通じるのか……(困惑)
ガレージに到着。ACを起動し、格納庫から出る。
「購入した製品については、後日届けよう。じゃあな」
「こちらこそ感謝する。今日は話せて良かった、チャティ・スティック」
機体を浮かし、グリッドから離脱する。UNAC達も少し遅れて付いてくる。
ヘリに揺られながら外の景色を見ていた時。
夜だというのに、一瞬一帯が赤く光る。
少し間を置いて、強い風が吹いてヘリをさらに揺らす。遠方に赤い光源が見えた。あれはきっと、コーラルの光だろう。方角を見るに、北西ベイエリア……ウォッチポイント・デルタがあるエリアだ。
そうか……再会は果たされた、というわけだ。
さて、621はどのルートを選ぶのだろうか。
そして……俺はどうするのだろうか。
今回のヴォルフ・シアンのアセンです。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=68-68-8-99-114-146-152-169-195-204-215-228
機体は個人的な好みで、少しだけRaD製のパーツを優先して採用しています。
武装面はクリーナー戦を一切考慮していないため大苦戦する羽目に。
今回のU1・U2のアセンです。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=60-60-31-68-123-144-148-185-192-204-213-230
妨害主体の軽量二脚です。武装はヴォルタ救出に似ているが、コミュニケーションのための重ショを装備しています。
今回のU3・U4のアセンです。
https://matteosal.github.io/ac6-advanced-garage/?build=68-68-24-84-127-137-159-190-202-211-225-229
防御主体の中量四脚です。重ショ重四のように蹴り固めることも可能です。