1つ.昨日の出来事から界離は自重し、常闇とは抑えて戦う
2つ.不満を抱えていた界離に、界離を転生させた神が忠告に現れる
3つ.ふっきれた界離はまたまた大暴れするのだった
️『やあやあリスナー諸君!波乱に満ちた雄英体育祭本戦も四分の一を終えてwave.6に突入だぁあ!!』
️『その前に、wave.4とwave.5の結城界離君の戦いを振り返ってみよう!準備はいいか!?』
️『まずはwave.4第九試合! 結城界離VS瀬呂範子。試合開始と同時に両腕から発射したセロハンテープで拘束して、ラインの外に放り投げようと画策』
『でもお兄ちゃんが一度見た手に引っかかるわけがない!拘束されると同時に結界を発動した!』
️『怪我で入院した運動部員(十六歳)*1が、生まれつき体の弱かった病弱少年(九歳)*2と出会い、彼に色々な事を話してる内にお互い惹かれあっていく・・・しかし、突如容態が悪化して病弱少年の安否はーーというおねショタものだ!!』
『私にゃ、おね・・・ショタ?とかよく分からんが、ブーイング具合からよっぽど羨ましがられてんのは分かるぜ』
️『続くwave.5第一試合! 芦戸三奈VS結城界離。全身を粘度の高い溶解液で包んだ芦戸になす術無しと思われた結城界離・・・しかし、足と腕に結界を纏ってコマみたいに急回転しだした!』
『溶解液を削りきって、無防備になった相手に至近距離で結界を撃ち込んで必殺技発動。あんな技持ってんのも驚いたが、内容も驚きだったな』
『まさかまさかの瀬呂戦の続編! 三十一になり、病弱少年*3のお墓参りに来た元運動部員*4の元には二人の面影がある子供(五歳)が!』
️『なんとなんと!無事一命を取り留めた少年とお姉さんは結婚していたのです!!少年は三年前に亡くなってしまったようですが、少年の忘れ形見と共に生きていくのを誓う泣けるエンディングだったぜ!』
『瀬呂さんにとっては寝取られ以外の何物でもないひっどい結末だったけどね』
『取り敢えず、ドンマイ』
「にしてもwave.6からコスチューム解禁ってどうしたんだろうな一体?」
「教師陣の反応を見るに、どこかから要望が出たって感じがしたけど・・・まさか公安が横槍を入れてきたとかないよな?」
「まあだとしても、観客も飽きてきてる雰囲気出てたから新しい刺激にはなってるから結果オーライってとこか」
wave.6の開始と同時にヒーロコスチュームの着用が解禁された理由を考えるスレ仲間たちをよそに、周囲の観客たちはさらに白熱化した試合に盛り上がっていた。
「それにしても瀬呂さん・・・ようやく出番来たっぽい感じだったのにかなり災難な目に遭ってたな」
「彼女は轟以外の手によっても体育祭じゃドンマイって言われる運命なのかもな」
「せつないなぁ・・・」
メタイ事を言いながら試合観戦していたスレ仲間たちは、始まろうとしているwave.6第七試合(緑谷出久VS結城界離)に見入っていた。
原作の緑谷出久ならともかく、この世界の緑谷出久は現時点でもそれなりの強敵であるのは確実であるため、トゥインクスターやウイニング・ザ・ソウルが効かないんじゃないかとさえ思っていた。
『レディ・・・スタート!!』
「ワン・フォー・オール"フルカウル"十五%
「十八連釘パンチ!!」
試合開始と同時に、緑谷の全身に赤いラインが走り、緑色の稲妻が迸る。
一方界離の体からも山吹色のオーラが溢れ出し、双方同時に飛び出して拳をぶつけ合う。
十八の衝撃波が会場を伝播し、窓や壁の一部にヒビが入る。
『オイオイオイ!なんなんだ今の衝撃波は!?会場がマジで揺れたぞ!』
『あれは釘パンチ・・・釘を打ち付けるように数回のパンチを同時に打ちつけ、放つ事で内部から標的を破壊するカイの必殺技だ』
『連打回数が増えるほど負担が増すのに、いきなり十八連なんてお兄ちゃん・・・本気で緑谷さんを警戒してるんだね。ところでミルコさん、さりげなくお兄ちゃんをカイ呼びしてましたけど、アタシはあなたの事も認めてませんからね』
『ハッ!生意気だな結城妹』
試合そっちのけで言い争い始めるミルコと愛狸を尻目に、界離と緑谷の戦いは熾烈を極めていた。
黒鞭を籠手のように腕に纏い、釘パンチの衝撃から身を守った緑谷は空中浮遊や地面を叩いて巻き上げた粉塵を駆使し、一方の界離はアイスピックやフォーク、ナイフなど複数の技で緑谷の守りを少しずつ崩していく。
「やっぱりすごいよ結城君・・・まだ誰にも見せてない手を使ってるのに、こうもあっさり対抗されるなんて」
「それは俺のセリフだよ。俺が鍛え続けた必殺技がこんなに防がれちゃうなんて、自信無くしちゃうよ」
お互い、好戦的な笑みを浮かべながら殴り合いを続ける緑谷と界離。
異変は唐突に現れる。
界離のパンチを防ごうと、黒鞭を発動させた緑谷だったが上手く発動させる事が出来ず直撃を喰らう。
(個性を上手く発動できない・・・これが、波紋の力)
USJの一件で入院している間に、界離から波紋について聞いていた緑谷は個性不発の絡繰を即座に理解する。そしてその脅威も。
(でも僕だって、やられっぱなしじゃない!」
意識して大きく息を吸い、肺を酸素で満たす。病院で界離にしばかれながら体に叩き込んだ特殊な呼吸法を、一度も成功させられなかった方法を、この土壇場で行う。
(もっとだ・・・もっと深く、もっと強く!)
やがて緑谷の体から深緑色のオーラが僅かであるが溢れ始め、界離の波紋によって縛られていた個性因子が活性化し始める。
「マジかよ・・・教えてからまだ二週間ちょっとだぜ」
波紋疾走を発動した緑谷に界離は舌を巻く。
緑谷でここまで行ってるなら、爆豪はもうスタンドに目覚めててもおかしくないとさえ思えてくる。
「時間も押してるし、決着をつけようか・・・Emergency!」
その姿はUSJの時と異なり、まるで忍者のような装飾の鎧を纏った界離が山吹色のオーラを纏い緑谷へ立ち向かう。
『おいおいおい!結城のあの鎧はなんだ!?見たことねえぞ』
『あれは
『そしてあれは"Ninja Raccoon"。波紋を主体にトリッキーな戦法を得意とした姿ってお兄ちゃん言ってた』
『USJで使ってたのは、うs』
『お兄ちゃんがネタバレ禁止って言ってたから黙っててゾンビ先生』
プレゼント・マイクたちがミルコと愛狸から界離の鎧の説明を受けている間、界離と緑谷双方は目にも止まらぬ高速連続パンチのぶつけ合いを繰り広げていた。
拳と拳の衝突音はダンプ同士の衝突と思えてしまうほど激しく、競技場の外からでも聞こえるほど大きかった。
かなりの迫力に、観客のテンションは上がりまくり中には我を忘れ、身を乗り出してフィールドに落ちそうになってしまう者が出るくらいだ。
永遠に続くかと思われた均衡は、一瞬で崩れた。
何百回目か分からない拳の衝突の後、緑谷が押し負けたと思ったら、界離の体が宙に浮いていた。
『どうしたどうしたァ!?緑谷が押し負けたと思ったら、結城の体が吹っ飛んでんぞ!?』
『緑谷が蹴り飛ばしたんだ。押し負けた後迫ってくる結城の拳を、掬い上げる要領で弾いてバク転の要領で蹴り上げたんだ』
相澤先生が解説してる間も、戦況は変わり続ける。
これで決めようと緑谷が右腕にありったけの力を込めていたら、界離の右手に渦を巻く水球を生成している。
「波紋と力を同時に練るのに、時間をかけすぎたな緑谷」
界離の水球に風が集まり、風を切るような高音と共に巨大な手裏剣の形になる。
「(あれはまずい!)
「風遁・波紋螺旋手裏剣!」
二人の技が激突し、爆風が会場を包む。
大量に巻き上がった土煙が二人の姿を隠し、決着がどうなったか分からず皆が固唾を飲んで見守る。
「勝負有り、勝者・・・結城界離!」
土煙が晴れ、フィールドに叩き伏せた緑谷にハンマーロックを決めている界離の姿が顕になる。
『凄まじい戦いだったぜ二人とも!観客たちも大盛り上がりだったぜ!!』
プロにも匹敵する大激闘を演じた二人に観客たちは惜しみない拍手と歓声を送り、ヘトヘトになっている緑谷を担いで界離はフィールドを去るのだった。
なお隣で行われていた第八試合(爆豪VS轟)は原作通り、轟が炎を一切使わず終わってしまったため爆豪はかなり荒れましたとさ。
〜〜〜〜
『さあさあさあ、やって参りましたこの試合!!結城と麗日、因縁の夫婦対決! 長女珠美氏に捧げるこの試合、勝つのは父か母k!?』
『お兄ちゃんは結婚してませんよ!変な事言わないでください!』
そしてwave.7最終試合。最後を飾る界離と麗日の戦いに、プレゼント・マイクの煽り実況が加わりまたしても観客たちは麗日にブーイングを送っている。
「(麗日さんには悪いけど、一気に決めさせてもらうよ!)
『おおっと!結城のやついきなり必殺技と決め込んだぁああ!!』
『これはお兄ちゃんの勝ち確定だね』
青白い光が会場を包んでいくのを眺めながら、プレゼント・マイクと愛狸が呑気に実況する。会場の誰もが二人の言う通りになると思ったのか、先の緑谷との試合と比べると全く盛り上がっていない。
それ故に、展開した結界の光が一瞬ピンク色に変わった事をほとんどの人間が見逃すのだった。
「う〜ん、長かったあ」
雲一つない快晴の下、長く電車に揺られていた透は背を伸ばして凝った体を解していた。
「透ちゃん、こっちよ」
「梅雨ちゃん、皆お待たせ!」
雄英を卒業して三年。大学で勉強する傍ら、プロヒーローとして日夜働く日々。
久しぶりの友人たちとの再会を喜びつつ、近況を話し合いながら目的地へ向かっていた透たち。
「ソレニシテモ、卒業からまだ三年しか経ってない・・・timeの流れはfastなようでslowデスネー」
「そうね・・・でも私にとっては、界離ちゃんとお茶子ちゃんがもう結婚するって方に驚いてるわ」
「だよねー・・・卒業する時に付き合い始めたのは知ってたけど」
「ヒーロー科の皆さんで、お祝いと呪いのメッセージをお送りしたのが懐かしいですわね」
話題が各々の近況から、明日結婚する主役二人に移ったところで目的地の式場にたどり着く。
明治初期に創業した老舗料亭をリノベーションした和洋折衷の重厚&ハイカラな建物に、招待状をもらった時に調べた式場のレビュー(贅沢なひとときを味わえる、ワンランク上のウェディングにできる)に偽りなしだと思い知らされる。
「久しぶりだね、皆」
受付を済ませた透たちは、スタッフたちと打ち合わせを終えた界離を見かけ声をかけていた。
「にしても、皆あまり変わってないね・・・三年じゃそんなもんかな?」
「そうね・・・まだ三年しか経ってないわね」
「結城くん・・・て呼べるのも、今日が最後なんだねぇ・・・明日からはお茶子ちゃんと同じ麗日になるから」
「私も、お茶子さんも驚かされましたわ。殿方が奥方のに改姓するのは前代未聞でしたから」
「ソウデスネー。groomがmarriageでlast nameをbrideと同じにするのは、アメリカでも前例がないデース」
久しぶりの再会であるが、変わらない面々に皆安心してるのか昔のノリで会話が弾む。
「界離さーん、ちょっとスタッフさんが」
「今行くよお茶子。皆はアッチのホテルの方に居るから」
お茶子に呼ばれ、打ち合わせに向かう界離を見送った透たちは荷物を預けるため一旦ホテルへと向かう。
そこでクラスメイトたちと再会し、また盛り上がることになるのはここだけの話だ。
〜〜〜〜
「にしても、あたしらの憧れだった結城君が麗日と結婚か〜」
「羨ましいってレベルじゃないぞ全く」
「泣かせたら、承知しないからな」
夜、お茶子はホテルでクラスメイトたちと独身生活最後の夜を過ごしていた。
お酒が入っているのか皆ハイテンションであり、宴会芸を披露したり歌い出したりと楽しそうである。
一方の界離は、未だにグズっていた愛狸を慰めながら家族五人で最後の食事会をしていた。
お茶子たちと比べると厳かな雰囲気ではあったが、界離にとっては忘れられない最後の家族との食事であった。
〜〜〜〜
翌日。雲一つない快晴の下、結婚式は恙無く進行していた。
「麗日お茶子。あなたはこの男を生涯の夫として神聖な結婚生活を共に送り、病める時も健康な時も彼を愛し慈しみ、尊敬し続ける。誘惑を退け生きている限り、彼一人に心を捧げることを誓いますか?」
「誓います」
「結城界離。あなたはこの女を生涯の妻として神聖な結婚生活を共に送り、病める時も健康な時も彼女を愛し慈しみ、尊敬し続ける。誘惑を退け生きている限り、彼女に心を捧げることを誓いますか?」
「誓います」
母親と共にバージンロードを歩いて来たお茶子*5と共に牧師さんへ誓約し、指輪の交換をする。
「では、誓いのキスを」
向かい合い、ベールを上げて口付けをするため口を近づk
お兄ちゃん何やってるの!?さっさと目を覚まして!!
「愛狸!?」
突如脳内に響いた妹の声で正気に戻った界離は口付けを中断し、何もない空間に鉄槌打ちを叩き込む。
ガラスが割れるように結界が砕け散り、現実世界に戻った界離は即座に巴投げの要領で麗日を投げる。
「麗日お茶子場外! 勝者、結城界離」
ミッドナイトが勝敗を口にする。
何度も界離のお色気技を見ているおかげか動揺が表に出ることはなく、冷静に審判をしているように感じられるくらい落ち着いていた。
『さっきのは何だったんだ!?結城が発した結界のはずなのに、結城の奴が喰らって危うく場外に押し出されるところだったぞ!』
『分からない・・・こんなこと今まで一度もなかったのに』
試合は界離の勝利で終わったが、結界を発動したのはずの界離が自身の結界のやられたかのような試合展開に観客だけでなく、愛狸もプレゼント・マイクも困惑していた。
『これは多分あれやな。存在せぇへん記憶の逆流現象やな』
『誰だあんた?』
突然実況室に現れた
『ワイの知り合いにも、無自覚に相手に存在せぇへん記憶を見してまう子がてんけど・・・その子が最初に存在せぇへん記憶を見した人がちょっと個性的な人で、その子に自分の存在せぇへん記憶を逆流させてもたんですわ』
『さっきの結城と麗日も同じだと?』
『皆気づいてへなんだかもしれんけど・・・結城君が麗日君を結界で包んだ時、一瞬やけど結界がピンク色になったんや。多分麗日君の妄想力が結界に反応して、制御を乗っ取ったんやて思う』
『そんな・・・今までそんなこと一度も』
茂昌さんの予想に戦慄する愛狸。今回はギリギリのところで兄が正気に戻れたが、次は戻れる保証はないと思ったのだろう。
『そこまで深刻に考えんくても大丈夫やと思うよ愛狸ちゃん。最後に界離君が戻ってこれたのを見るに、結界を乗っ取るのにはすごい集中力が必要やろから、今の所お茶子ちゃんとミルコさんくらいしかでけへん芸当やと思うわ』
『それも嫌なんですけどー!?』
会場に愛狸の泣き言が木霊する。
なおその間、誓いのキスを待っているトリップした麗日を正気に戻そうと界離が四苦八苦していたのはここだけの話だ。
気づいたらお茶子ちゃんが東堂みたいになっちゃった
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